★人生はホラー映画★ただいま労災で休職中★投稿すると抹殺人生★人生は運が全て★

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2013.01.14
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 3話目も書かないとね。短篇ならなんとかなるかしらん。
主人公の名前はバレエダンサーの熊川さんから
拝借しました。新聞の広告に国際会館での公演が掲載されていたので。
別にファンというわけでは。低年収なので、バレエ公演なんて行けません【笑】

「過剰」7
 四十分が経過した。
 陽子はキッチンへ行ったのか、換気扇の音がしている。湯でも湧かしているのだろうか。熊川は緊張で一瞬だけ、意識を失って窓で頭を打った。プロとして失格だなと苦笑した。
 陽子がいるらしい部屋を見ていた。打ち合せの時に書いてもらった家の見取り図を参考にすると、そこは和室。つまりお茶の間だ。その隣にはもう一つ部屋がある。そこにも窓があった。
「何も、起こらないな」「当たり前ですよ。彼女の思い込みです」
 そう断言したが、本当は今日線路に転落したことは、ただの事故ではなかったような気がしていた。それでも認めたくはない。偶然だ。そうだ。何度も言聞かせた。
「!」 熊川は体を起こした。
「煙、出てませんか?」「うん?」「出てるぞ!」
 二人は車を飛び出して、美咲家に走った。ホーンを押して、陽子を呼び出した。
「どうなさったんですか?」「火事ですよ!」「え?」
 まったく頓着しない陽子を玄関に置いたまま、熊川と田村は奥へと入っていった。簡易の見取り図を見ながら、煙が漏れていたキッチンに飛び込んだ。
「火だ!」
 ごみ箱が倒れて火が出ていた。運よくそばに消火器があった。そのままひっつかんで、安全ピンを引き抜いた。プシューと、一気に化学物質が吹き出した。視界が漂白されたようになっていった。
 オレンジ色の火が見えなくなったので、消火器の操作を止めた。
「何が燃えたんだ?」「ゴミ箱みたいだな」
 手を伸ばして触ってみると、真っ黒になったゴミがあるだけだ。まだ灰色の煙が出ている。
「火事だったんですか?」「そうです」
 他人事のように見ている陽子を、困ったといった顔で熊川は見ていた。
「どうして気づかなかったんですか? ケムリがあんなに出ていたのに」
「あたし鼻が悪くて」「見えなかったんですか? もしかして寝ていたとか?」
「いいえ、あたしは起きていました。コーヒーを飲みながら、ニュースを見ていたの」
「煙が見えなかったなんて」
「熊川、大事な依頼人サマだ。丁重に扱え。依頼人サマが見えなかったと言ってるんだから見えなかったんだ。判ったな」
「ハイ」
 ゴミを触って、検分をしてみるとそれは揚げだまだったことが判った。
「揚げだまが火元?」「今日、天ぷらを揚げましたか?」
「はい。今日ボディガードサービスの依頼に行くと決めていましたが、いつ帰ってくるか見当がつかなかったので、朝に揚げておきました」
「揚げだまは、火元になることがあるんですよ。消防庁の報告書で読みました。量が多いと、時間が経ってから自然発火するんです」
「そうなんですか? もしかして、この火事もあたしの命を狙って」
 また、この女はそんなことをと思ったが、依頼人サマにそんなことは言えない。そこはプロとして、ビジネスのために堪えた。仕事を逃してはうちの会社が危なくなる。高額の保証金は貴重だ。
「だから、こういう火事は大量の揚げだまが原因ですから」
「でも、あたしそんなに大量に捨てていません。家庭の天ぷらですよ。今は弟と二人分しか作らないし、そんなに作りませんでした。だから揚げだまもそんなに出ませんでした」
「でも、まさかあなたの命を狙っている犯人が、揚げだまの量を増やして火事を起こしたなんてことは考えられない。よっぽどのバカか天才かどちらかだ」
 結局は、消防署へは連絡を入れたが、すでに消火されていたということで、二人だけがやって来て、検分だけして帰っていった。
「じゃ、私たちもまた車に戻ります。しかし、私たちが直接戸締まりを確認しておきましょう」
 ゆっくりと二人は窓を確認して回った。一応、プロの仕事らしく、冷蔵庫なども細工をされていないかどうかを見ていった。
 ポットを開けた。
「どうして、ポットを開けたんですか?」
「ま、毒でも入れられていたらと思いまして」
 湯気をクンクンと嗅いだ。もちろんただの湯だ。
「!」しかし嫌の匂いがした。一瞬だが、ただの湯とは匂いが違っていた。
「これはなんですか?」「もちろんお湯です。当たり前でしょ」
「いや、湯じゃない。嫌な匂いだ」
 陽子が飛んできて、ポットの湯を匂った。
「ホントだわ」「よくわからないけど、飲まない方がいい」
「警察を呼ぶ?」「明日届けよう」
 それからはもう一人と見張りを替わり、熊川は帰る事になった。また明日の六時に交替することになっていた。
 あのポットの湯はただの変質か、それとも毒を入れられたのか?





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最終更新日  2013.05.04 10:48:16
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