MATRIX7

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2010.01.27
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カテゴリ: モータースポーツ
 新規参戦するF1チームの中で独創的な存在は、何といってもUSF1チームに尽きるだろう。まさにアメリカ人が構想するF1レーシングチームの個性を打ち出している。誕生した時点から、アメリカに本拠が存在することを誇りにしている。そのために、開発部門や工場をアメリカ本土に設置した。F1マシンは精密部品の塊であり、整備や修理に時間と手間がかかる。欧州とアジア中心に転戦するF1マシンをアメリカの工場でメンテナンスすることは難しい。ホンダが開発部門や工場を英国に設置した理由もそこにある。
 アメリカに本拠を置くと、マシンの輸送費用だけでも航空会社から莫大な請求を求められる。強烈な野心を持つアメリカ人たちは、そんなことを苦にしないらしい。それよりも、アメリカ国内でF1マシンを開発生産することに大きな価値を見出している。マシンの設計も、独自性の強いものになるらしい。理由は単純で、F1開発にかかわった人間が少ないことにある。といって、英国人やドイツ人エンジニアをアメリカに引っ越しさせることは難しい。アメリカ人のエンジニアたちは、FIAの規格書を読みながら、手探りで設計を進めているという。
 ドライバー選択も独自の方式をとっている。一般的には、F1経験を持つベテランを配置することが好ましい。開発上のトラブルに対応するにも、F1経験が長いほうが役に立つ。しかし、UAF1はそういう方式をバッサリ切り捨てる。新人ドライバーをコースに送り出すことを優先する。世界中に20近くあるサーキットの特色や環境などを熟知しているベテランドライバーは役に立つはずなのに、USF1はそういうベテランを排除する考えらしい。無名のドライバーのほうが忠誠心が高く、余計な口出しやアイデアを提供するベテランを嫌っている。
 F1マシンには2万近いパーツが必要になる。それらの製造を請け負うメーカーは英国に多い。注文は1個だけという特殊な受注方式になるので、普通の部品メーカーは対応できない。たしかに、1個だけで採算が合うわけがなく、品質も最高のものが求められるから、まさに手作りの一品になる。そういう要求を受け入れる部品メーカーが、アメリカに存在するとも思えない。となると、部品さえも空輸する必要が出てくる。アメリカに工場を設置することは、さまざまな障害が発生する。それを覚悟の上でF1チームを発進させるのだから、USF1は個性の強い人間の集団だということは理解できる。はたして、どうなる事やら。





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Last updated  2010.01.29 19:29:12
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