MATRIX7

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2010.07.14
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カテゴリ: モータースポーツ
 FOMを運営するバーニー・エクレストンは、F1をネタにして金儲けに専念している。F1からあがる収益は1000億円以上であり、スポーツイベントとしては最大の利益を上げている。収益の多くはTV放映権とサーキットに課せられるF1開催権料になる。そのほかに広告やイベントをこなしている。このありさまを見て、F1に投資すれば大もうけできると考える人物や組織が出てきても不思議ではない。
 ドバイの建設業者がFOMと手を握って、F1テーマパークを建設するという計画を打ち出した時には、誰もが驚かされた。鈴鹿やシルバーストーンならば、世界から観光客が押し寄せる可能性がある。しかし、F1に無縁のドバイにテーマパークを建設しても、入場者が限られる。裕福な海外旅行者というのがターゲットだと大失敗する危険性が高い。
 ドバイの人口は120万人と呼ばれる。しかし、80%は出稼ぎ外国人であり、経済力のあるドバイ人の数は限られる。そんな小国のドバイにF1テーマパークを建設しても、開園すれば赤字は免れない。建設予算は500億円だったというが、半分まで進んだところでドバイショックに見舞われ、すべての工事は中断されている。実は、F1以外にも数百のプロジェクトが中断されているというから、再建は絶望的だろう。
 ドバイ政府の首脳は、あらゆる投資の口実を祭り上げて、欧米の銀行から多額の資金を借り入れてきた。四兆円のGNPに比較して、七十兆円の建設計画を練っていたというから、やはり経済の実態を顧みない愚か者の集団というしかない。
 人口の大部分を占めるインドやバングラの出稼ぎ労働者は貧しく、F1テーマパークの客にさえなれない。豊かなドバイ人だって、F1に関心があるものは限られてしまう。そんな地域で五百億円もの投資をして、F1テーマパークを建設してしまったというのは悲劇になる。
 工事途中で放置されているF1テーマパークを再建することは難しく、投資家の目にも入らない雑な計画だと理解できる。ドバイのほとんどの事業が誇大妄想に取りつかれて、規模の拡大と資金を浪費してきた。どうやって、収拾策を取り繕うかさえも見えておらず、砂漠の巨大な廃墟として風化していくのを見るだけになるかもしれない。投資家も、銀行家も、政府首脳も、砂漠の廃墟を予見できなかったことに驚かされる。





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Last updated  2010.07.14 13:09:33
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