パパさん捕獲計画発動中

パパさん捕獲計画発動中

りょりょがきた時。


しぇり、21歳。
りょりょが私のオナカにやってきた。
卵巣摘出から1年経っていた。
私は純粋に嬉しかった。
子供好きだし、若いママになりたかったから。
その数ヶ月前、突然パパさんがこう言った。

いつか、結婚しようね。

軽々しく、将来の話をするヒトじゃなかったから、その時は驚いた。
そうだね~なんて、結構流していた。

あかちゃんがいるの。
って伝えたとき。
パパさんは、決して笑顔じゃああなかった。
そして言った。

子供を産むのなら、オレはしぇりとはいられない。
オレは父親にはなれない。

パパさんの家庭は結構複雑で。
父親になるのが怖い、って言ってた。
だからって、せっかく私を選んでくれた赤ちゃんに、バイバイなんてできない。
丁度その時、残りの卵巣も腫れていて。
もしかしたら摘出しなければならないかも・・・とお医者さんに言われていた。
そしたらもう2度と、私の元にあかちゃんは来てくれない。

一人で産む決心をした。

2人でいろいろ話し合った。
若かった私達には、戸籍とか、認知とか、慰謝料とか。
なんの知識もなくて。
当時はまだ、インターネットなんて言葉も知らなかったから、調べ方もわからなかった。

そんな時にね。
パパさんが言ったんだ。

頑張ろうか。

って、一言。
悩んだんだと思う。
子供の頃のこととか、思い出したくないことまで、いっぱい考えて。
そして結論を出してくれた。

別れを決めたときより、もっといっぱい泣いた。
嬉しくて、嬉しくて。
パパさんといられること。
そして。
パパさんがあかちゃんを認めてくれたことが。
人生で一番嬉しかった瞬間だと思う。
(すず妊娠も、もちろんね)

突然の妊娠で、お医者さんも、親も、友達も。
・・・私も。
オメデトウ
って言えなかった。
その事が今もすごく後悔してる。
いつの日か、2人目を授かったら。
みんなから祝福してもらいたい。
私も、パパさんも、一抹の不安もなく、喜びたい。
そう思ってた。
それが叶わないなんて、思ってもみなかったんだ・・・。


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