ほぼ日刊三浦タカヒロ。

「水辺の未来。」



あるNPOのお手伝いで、農業用貯水池を核に魅力ある地域をつくろうとする、ため池整備事業のための住民ワークショップに参加する機会がありました。
一般的にため池は、漏水による機能低下や農家需要の減少に伴って水源としての価値が減り、草刈り堀払いなどの維持管理作業の担い口が行き届かなくなってきています。さらに釣り客の散乱ゴミや排水、そして外来移入種の動植物が、ため池の水質や生態系をかく乱しているという現状があります。
いくら「整備」とはいえ、ため池を整備し景観をごっそりつくり替える試みであってはなりません。日々の暮らしと共になにげなくある「池」の維持管理の担い手を育て、住民がため池に集える設備やきっかけを生み出そうとする地道な取り組みを続けることが本当の整備ということになるんだと私は思っています。
住民の方も、むしろこれを機会に、地域の未来をみんなで考えるきっかけとして、ため池にかかわり心を寄せる「ひと」を増やし、動植物のすみかや憩いの場としての「池の価値」、地域の土木遺構、親水空間としての利用を目指されているようでした。
実際、お話を伺うと、鯉の料理があったりレンコンやヒシが栽培された過去があったりと、今までそういった暮らしがあり、ウシガエルの産卵や、白鳥が飛来して越冬するなど、季節ごとの「知る人ぞ知る」羨ましい楽しみもあるようです。
しかしいま、無償の維持管理作業を住民に期待して丸投げするだけでは、池は荒れていくばかりでしょう。
池ならずとも、川、水路、田んぼ、畦など、先人が未来のために残した「暮らしに身近な水辺」の魅力を、ノスタルジー偏向だけではなく、今に生きるみんなでじわじわと気付いていくきっかけづくりのお手伝いが必要で、それがこれから農家に求められつつあるものなのかなぁと、最近とみに思うようになっています。


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