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しらかわみち

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2013/08/25
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カテゴリ: まんが

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 今、「惡の華」(読んでない。)で有名な押見修造先生の本です。本屋で1巻を見てから気になって仕方ない。

 引きこもりの大学生、小森功には、午後9時に決まってコンビニに現れる女子高生、吉崎麻理に憧れていた。ある日、いつものように帰り道に彼女のあとを付けていると、彼女が微笑みながら振り向いた。翌朝、気が付くと、吉崎麻理になった自分が・・・。

 ここまでだとただの性転換モノかと思うのだが、自分が吉崎さんの体に入ったことで本物の吉崎さんがどこに消えたのかわからない。自分と入れ替わったのか疑うのだが、自分の中には、吉崎さんのことを忘れた自分が。それでは自分は誰なのだ。吉崎さんのストーカーのような同級生、柿口依にせっつかれて本物の吉崎さんを探すことに。

 他人の体と入れ替わってしまう話では、長野まゆみ先生の「あめふらし」がある。この話では、タマシイが体を次々と乗りかえていく能力を持った人物が登場した。乗りかえられた人物は、既に死んでいて、死んだ瞬間にタマシイが入れ替わって他人になってしまうのだ。

 さかいともこさん著の「ふたりめの蘭子」という本がある。これも自殺した和宮蘭子を助けようとして死んだ主人公、高岡卓のタマシイが、蘭子に移ってしまい、女子として生きざるを得なくなった話だ。根っこがBL小説なので、女になったとはいえ元々男の高岡卓は男と恋愛し、卓自身は女になってしまったことに対する葛藤があまりない。元の蘭子のタマシイは、弾き飛ばされて、植物人間状態だった小学生の男の子の体に入ってしまっている。

 最初は、この話も、小森と麻里さんの体が入れ替わってしまった話かと思ったけれど、どうもそうではないらしい。小森の体には、なぜかまだ別の小森がいるのだ。柿口依のあまりのストーカーぶりに、彼女も元々麻里さんが好きな男子であったのが今の体に乗り移ってしまったのかと疑ったこともあったけれど、これも違うようだった。絶望して死を覚悟していたとき、麻里さんに抱きしめられてそれ以来のファンなのだ。

 2巻でいろいろ謎が提示された。なぜか大事に保管されている、午後9時のコンビニのレシート。そして麻里さんの自室の押し入れに隠されていた大量のエロ本。最初は、「俺妹」の桐乃と同類かと思ってしまった。だが、これは、小森が古本としてショップに売ったものだったのだ。実は麻里さんが小森のことを知っていたのだと喜ぶ小森。だが、小森が古本を売る現場を麻里さんが毎回押さえられるのか?カウンターを見ずに、何の本を売ったのか把握できるのか?もうひとつ気になるのが、麻里さんのお父さんだ。麻里さんは、いつも午後9時過ぎまで出歩いている。お父さんは、午後10時にならないと帰らない。お父さんが部屋を覗きに来る場面があるが、これは時間が午後10時であるということを示すだけの演出なのか。気のせいかなんだか気になる。

 麻里さんと小森が入れ替わったのでなければ、ヒトのタマシイを取り込む能力が麻里さんにあるのかもしれない。小森が最後に見た麻里さんは、笑っていた。こうなることを分かっていたようにも思える。小森が売った古本を買えるのも、妖怪の「さとり」のように人の心が読めるからかもしれない。ただ、そうとしても、なぜ小森の体にはまだ別の小森が残っているのか。麻里さんは、そういう能力があった上で、術の失敗で自分を小森と思い込んでいるだけという可能性もないか?

 もう一つ、別の可能性。小森は、柿口依により完璧に吉崎麻理を演じられるように鍛えられた後、「まどマギ」のほむらのように過去にタイムリープする。そして自分の体に戻るために、過去の小森のあとを追い続けるのだ。多分自分の体に戻るチャンスは、自分が麻里さんに取り込まれたその日。保健室で、柿口依を待っていたのも、彼女に重大な使命があるからで辻褄が合う。この説は、どうだ。

 小森は、キモオタでニートでエロ本やエロビデオとか見てるのに、体育の時間の女子の着替え姿に免疫がなく卒倒してしまう。また、麻里さんに義理立てして、お風呂や着替えも目隠しをして、決して麻里さんの裸を見ない憎めない性格だ。もし、麻里さんが小森のことが好きなんだとしたら、こういう純粋な性格が分かっていたのかもしれない。そういうことなら、体が元どおりに戻った時には、小森は麻里さんのためにニートをやめ更生するという結末が見える。

 小森は、自分が女性の体になってしまったことに、かなり葛藤がある。2巻の最後に生理が始まるのだが、これも結構悩むんだろう。(連載は話が進んでるよね。)最近読んだ漫画だと、長月みそか先生の「のぞむのぞみ」も女体化の話だったが、主人公が女装趣味なせいかおしっこするときに不便だとか女になってしまったことがばれないかというところに心配がいってしまっていて、女性の体になったことに男としての葛藤があまりない。「かしまし」のはずむ君も、草食系男子というか元々女性っぽい男の子だったせいか、女性の体になったことに自然と馴染んでた。小森は、まだ男を捨ててないので体は女性でも男としての行動がどうしても出てしまいいろいろと不自然だ。

 押見修造先生の絵は、いわゆる萌絵ではなく劇画に近いので、あまり綺麗でない。ニートの小森の汚い部屋の描写が逆に上手いくらいだ。それでも、小森が中に入って僕っ子になった麻里さんは、小森の不自然な行動もあってか、かわいく感じてしまう。2巻の表紙カバーのバックをピンクに塗ったせいもあるのか、これははた目にもかわいい。

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Last updated  2013/10/07 01:37:34 AM
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