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コラージュ本て? となるわけですが、ようするに、 松岡正剛 という表現者が、過去、 数十年 に、
十数年ではなく数十年! に渡って、たとえばネット上であれば 「千夜千冊」 であるとか、書籍であるなら、たとえば 「花鳥風月の科学」(中公文庫)、「フラジャイル 弱さからの出発」(ちくま学芸文庫)として 書籍化されてきた表現全体を対象に、特定のテーマによって、再び、貼り合わせることによって、新たな発見、あるいは、
ああ、そうだったのか! という面白さの再構築をもくろんだ本で、これが見事に炸裂しているのです。
いかに立体化するか! という意図によって、まあ、 松岡正剛用語的 に言えば 「再編集」 されているわけですが、かなりいまくいっていいますね。
と、冒頭 37ページ 、 万葉 から、 新古今 に至る 「うたの苗床」 と題した章が、まあ、こういう調子で編集され始めて、そこから、360ページ後、 393ページ には 歌が歌を求めて漂泊する。歌人がさまようのではなく、
歌そのものが「さすらい人」という
日本古来に芽吹いた母型を使って漂泊する。(千夜千冊)
本歌取り ●本歌取りとは、その歌にはモト歌があるということで、たとえば「新古今集」は冒頭からして「春立つというふばかりにやみ吉野の山も霞てけさはみゆらむ」という「拾遺集」の歌を本歌として、「み吉野の山もかすみて白雲のふりにし里に春は来にけり」を置き、続いて「万葉集」の「ひさかたの天の香具山この夕べ霞たなびく春立つらしも」を引いて、「ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山霞たなびく」を続けてみせた。(千夜千冊・書籍未収録)
という一句が、突如引用され、 死ぬ鳥に春の色出る秋の暮れ 永田耕衣
耕衣は老いてからだんだん凄まじい。そういう老人力というものは昔から数多いけれど、ぼくが接した範囲でも老人になって何でもないようなのはもともと何でもなかったわけで、たとえば野尻抱影、湯川秀樹、白川静、白井晟一、大岡昇平、野間宏・・・・みんな凄かった。なんというのか、みんな深々とした妖気のようなものを放っていた。正統の妖気である。 と、まあ、こんなふうに コラージュ されているのですが、ボクは、 耕衣の句 を口ずさみながら、 本歌取り の章で引用されていた 「歌が歌を求めて漂泊する」 という断片にもどったりするわけです。
それが耕衣にあっては少々異なっていた。もうちょっと静謐なバサラのようなものがあって、俳諧が前へ行っているのか、沈みこんだのか、上下しているのか、飛来なのか飛散なのか、そういうことが見当がつかない横着が平ちゃらになっていくのである。(千夜千冊・求龍堂)
よくぞまあ! というしかないような取り合わせで 編集 され、
松岡理解の新しい地平! が開けている印象ですね。
松岡正剛の読み直し始まりの一冊! になりそうですね(笑)。
【目次】まえがきひぃ ─うたの苗床─◉音と声と霊
方法の声 目当てと景色 文字霊か言霊か ふぅ ─記紀万葉のモダリティ─◉古代袖振る万葉 代作と枕詞 漢詩を少々 みぃ ─仮名とあわせと無常感─◉平安擬装する貫之 浄土と女房 いろはと五十音よ ─百月一首─◉うたの幕間闇夜と月の詩歌いつ ─数寄の周辺─◉中世消息の拡大 古今と今様 すさびと念仏 連歌の時分むぅ ─道行三百年─◉近世俳諧の企み 歌う国学 三味線の言葉なな ─封印された言葉─◉近現代断絶の近世 寅と鬼と童 世紀の背中あとがき
追記
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