緑と清流

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神秘家の庵

神秘家の庵

2010.05.20
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カテゴリ: 枕草子
バラ1


野分の吹き荒れた次の日は、垣根などが乱れて、花壇の花も痛々しい。
大きな木が倒れたり、枝が折れたりしたものが、草花の上に横倒しになって覆いかぶさっているのは、まったく心外なことだ。
格子戸の隙間に木の葉が入っている様子は、誰かがわざとしたかのようで、荒れ狂った嵐の仕業とも思えない。
美しい女の人が、昨夜は嵐の騒ぎで眠れず、遅れて起きて来た時、髪が乱れている様子などは、何だか魅力的だ。
その人がしみじみと外を眺め、和歌など口ずさんでいたりすると、物の心が解っているのだと思える。
若い女房や童女が外に出て、折られた草木など取り集めたり、起こして立ち上がらせたりしているのを、羨ましそうに眺めている後ろ姿も可愛らしい。

身分の高い女性は、部屋の中では立って歩くこともなかったくらいで、外に出たくても庭に降りることもできなかった。
主人筋の美しい女性は、使用人の若い女性たちが、嵐の後片づけをしている姿を、羨ましげに眺めていて、清少納言はその後ろ姿を眺めていたのだろう。






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最終更新日  2010.05.21 08:06:42
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