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2006年11月03日
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テーマ: お勧めの本(7419)
カテゴリ: オヨミモノ
役小角
手前味噌な話をすれば、 以前紹介した本 の中巻、持統帝の時代背景が、この本と被るかっこうです。

修験道開祖のお話です。

時代を下って、不比等の子孫であり、平安時代を築いた藤原氏、特に藤原道長の時代に活躍したとされる「陰陽師」が、映画化などされ、かなり脚光を浴びたことがありましたが、加茂役君小角 ~ かものえのきみおづぬ ~ 小角も「加茂」に連なる家系の出。あながち無関係でもなさそうです。

話は、修行から開眼、小さな善行逸話を経て、大宰府の反乱に潜む波斯魔術師との対決....といった構成で、ある種「ありきたり」ではありましたが、それなりにまとまっていたし、楽しめたと思います。

読んだ本人の興味の対象は、超人的な行者の日常に迫ることよりは、「歴史」を作家という人たちが、どういった角度で、どのように受け止めているか?といった点でしたので、あまり主人公に「魅せられる」ことはなかったです。
とは言え、自らを「倭国の民族魂の担い手」とする小角の潔さは、憧れの対象と言えるかもしれません。時の権者藤原不比等をして「まろは、誤ってはならぬな。誤りて、権力の権化とでもなろうものなら、金色の孔雀に乗った役小角が駆け下りて、まろに鉄槌を下そうぞ」と、本当に言わしめたのであれば、これは大いに楽しい逸話と言えますね。
本当の姿がどれだけ情けなくとも、日本の歴史を担ったとされる人物が、あまりに情けない姿で登場したのでは、それだけで話がうそ臭い方向に傾きます。相応の人物が、識者として小角を立てる場面があるからこそ、歴史の表舞台に立たずとも、小角の真価が発揮されるのでしょう。

ともあれ、修験道がどんなものか?の実態もよく分かっていませんし、ここに描かれた物語が、どこまで信憑性のあるものか?もよく分かりません。
正直どうでも良いと言えば、どうでも良い話で、これを信じようが信じまいが、物語としての質が堕ちるものでもないでしょう。

ただ、平城京時代の「裏歴史」としては、相応のエンターテーメント性を発揮した秀作だったと考えます。





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最終更新日  2006年11月03日 15時31分20秒
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