ホラー、近未来、童話、独り言

ホラー、近未来、童話、独り言

2007年08月25日
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カテゴリ: 考えて
題名 「約束」


 妻は朝から浮き浮きしている「昨日の後なのに如何したのだろう。」気味悪かったが深く

考えず出社した、夫が家を出た後の妻の行動は早かった家事全般を素早くこなすとデパートの

開店時間に間に合うよう出かける支度をしだす。

 デパートの開店時は定員がズラリと並んで恭しく出迎えてくれる、あれは何度味わっても

気持ちの良いものだ然も今日は買物をするのだ前々から欲しかった「指輪とネックレス」何時もより

念入りに化粧してイソイソ出かけ御目当ての物を買い求める「御支払いは如何致しましょ

う。」丁重に聞く店員に月々夫に渡す小遣いの金額を告げ分割に、合計金額は100万円を超

えていたが妻は驚きもしない、夫名義のカードを渡し手続きを済ませると店員総出で御見送り

され最高の気分で帰宅、飽きもせず眺めているうちに夫の帰る時間になっていたが夕食は勿論

デパートの惣菜、テーブルに出すだけ。

 夫が帰宅した、テーブルには惣菜が並べられている「何だ今日は出来合いか。」妻を見ると

驚いた「如何したんだ其れは。」「買ってきたのよ。」「金は如何した。」「勿論分割よ、

貴方が指輪ぐらいなら買っても良いって言ったから買ったのよ、領収書は其処にありますから。」

金額を見て驚いた夫は暫く言葉が出ない「心配しなくても貴方の御小遣いで月々払って下されば

良いだけの分割にしましたから。」

「俺に小遣い無しで働けというのか100万も使って如何するつもりだ。」

「あら、貴方指輪ぐらいなら買っても良いって言ったじゃない、序でにネックッレスを買った

だけよ。」

「俺は認めんぞ明日にも返して来い。」それだけ言うと夕食も摂らず寝室に入ってしまった。

 次の日妻が目覚めた時夫の姿は既に無くテーブルの上に「今日返品してこなければ離婚。」と

書かれたメモが置いてあった「フン、何よこんなもの。」妻はメモを破り捨てゴミ箱に投げ入れ

昨日の残り物で朝御飯を済ませ、昨日買って来た物を出してご満悦。

 一方早くに出社した夫は頭を抱えていた「アイツの事だ返品しないだろうな、何の為に俺は

アクセク働いているんだ。」深い溜息をついていると又後輩が出勤してきて「あれ、先輩今日も

早いんですね又溜息なんかついて今度は何があったんですか。」夫は総てを話した

「何だそんな事ですか。」人事だと思って軽く言う「先輩そんな金払う必要ありませんよ。」

「如何してだね。」「日常家事債務と言って二人で生活する上で必要な物以外の高額な買物は

夫が払う義務はないんです、此れも裁判しても勝てますよ。」

「そういうものなのか、いやー良い事を聞いたよ、君コーヒーでも飲まんかね。」目の前の

モヤがすっかり晴れたような清々しい気分で早速妻に電話する「マアそんな訳だ、如何しても

返品しに行かないのならお前が結婚前に貯めてた預金で払うかパートにでも出るんだな。」

キッパリ言うと電話を切った。

 気分爽快で帰宅すると妻がしょんぼり座っている、指輪を返しにいったのだろう其の姿を

見て余りにも哀れになり声を掛けた「あんなに良い物は買ってやれんが、今度の休みに一緒に

見に行くか。」優しく慰めると妻の顔は急に明るくなり夫に抱きつき「私が悪かったわ。」

「嫌、俺こそ君に甘えて今迄何もしてやらなかったからな、罪滅ぼしだよ。」

今迄の険悪さは何処へやら、休日二人で出かける姿はまるで新婚のように微笑ましい。





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最終更新日  2007年08月25日 09時28分55秒
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