ホラー、近未来、童話、独り言

ホラー、近未来、童話、独り言

2007年11月01日
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 一人フラリ旅が好きな若者は金と休暇さえあればバック一つ持って旅行していた、唯一の趣味であり

楽しみであったのだ、或る日何時ものように旅行した時夕食を取る為夜の繁華街をブラブラしていると

近代的な建物が立ち並ぶ中、今にも崩れ落ちそうな古ぼけた店が一軒開業していた。

 何を売っているのか興味を持った若者は今時珍しい暖簾を掻き分け中に入ると、小さい様々な

壷らしき物が並んでいる、らしき物とは花を生けるには口が小さい水を入れるにも不便だ手の平に

入ってしまいそうな壷らしき物がが無数にある。

 店の奥に主人らしき人物が座っている、若者はこれ等が何なのか尋ねると「此れは涙壷。」だと

答える、話に拠ると耐えられない苦しみや悲しみに遭遇して出た涙を此の壷に入れると全部消えて

しまう物らしい「なるほど其れで入り口が涙を受けやすいような形になっているのか。」

納得したが信じたわけではない。

 「此の地方には奇妙な店があるものだ。」若者は旅行の記念に一つ買い求めようと価格を聞いて

驚いた、何と此の小さな壷が一万円だという冷やかしで帰ろうとしたが如何にも気になり買ってしまった

店主はまるで薬の使用法を説明するような感じで「注意書きをよく読んでから御使用して下さい。」

真剣な顔をして言う。

 「たかが壷一つ売るのに大袈裟な。」気持ち悪くなり逃げるように店を後にした、食事も済ませ

ホテルに戻ると旅の疲れか風呂にも入らず眠りに就いたが二時間も寝ただろうか、突然目が覚めた

夢の中に壷が出てきたからだ「そうだ壷を買ったんだ。」若者はカバンから壷を取り出すと注意書き

なるものを読み始める。

「此の壷は貴方の耐えられない悲しみや苦しみ辛さを取り除く物です、それらの涙を此の壷に

入れると貴方の心は忽ち晴れるでしょう。」若者は「フン気休めか一万円も出して損をしたな。」

ベットの上に放り投げる、そして説明書を塵箱に捨てようとした時裏面に赤字で説明書きが未だ続いていた。

 「涙が入った状態で破損したりこぼしてしまうと今迄溜めた不幸が貴方を一度に襲いますから

ご注意下さい、当方では其の責任は負いかねます。」

「尤もらしい話しが書いてあるな、何かの余興に使えるかも知れない。」捨てるのを止めバックに仕舞い直した。






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最終更新日  2007年11月01日 21時02分59秒
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