ホラー、近未来、童話、独り言

ホラー、近未来、童話、独り言

2007年11月21日
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カテゴリ: 本当だったら怖い
入社以来始めて座り全車両を見渡せる電車で悠々と帰宅して、男が最初に取った行動は各メディアに

自分を売り込む作業から始めた、おりしも占いブーム絶対当たると公言したのだから各局こぞって

男を偵察に来た、男は先ず過去の眼鏡を掛け対応した人々の過去を寸分の間違いなく言い当てる

次に小用と称して座を外し今度は心を読む眼鏡に架け替え、これまた総て当ててしまう更に

「未来も当てられるが之は高額な見料を必要とするので、今当てる事は出来ない私の力を認めて

下さった方のみに御教えしましょう。」但しと続ける「私の力が増えて忙しくなれば当然見料の

高い方を優先しますので、今のみサービス料金とします。」

 決して安くは無い金額を提示すると集まっていた人々から驚きの声が上がった、各局の代表は

急いで社に戻ると局長に仔細を説明し特番を組むよう迫っていた、或る局は総理の次期当選は

有るかを売りにし又或る局は大物俳優の未来等をこぞって特番を組んだ。

 男は何もせずとも通帳に大金が振り込まれていた、アクセク働いていたのが馬鹿らしくなるほどに

男は一流の服を仕立て一流のレストランで食事をし高層マンションに引っ越した、明日から始まる

TVの特番をこなせば顧客は山ほど来るだろう貧相な暮らしをしてはいられない、次の日局からの

迎えの車に乗り込みスタジオ入りすると政治家や大物俳優が胡散臭い奴を見るように男を品定めする

先ず始めに全員の心を読み休息を入れて、明日の出来事を見たままに伝える。

 占って貰った人々は心を読まれたのには驚いたが「そんな事感の良い奴なら分かるだろう。」

全く信用していなかったが、次の日の行動が細部にわたって昨日言われた通りになってしまうと

信じざるを得ない先ず動いたのは政治家、次の選挙が気になる次に映画監督次回作がヒットするかどうか

伺いをたてに来る、破格の見料にも関わらず男の許を訪れる人は途切れない。

 男の生活はより一層派手になり夜の街に繰り出せば何十人もの供が付き一晩で一千万の金が

飛んでいった、数十人の女を囲いクルーザーに専用飛行機幾ら使っても通帳の金額が減る事は無い

或る日男は考ええた「並みの人間が出来ない贅沢はやり尽くした、此れから俺の人生は如何なるのだろう。」

未来を見る眼鏡を掛け一年後を頭の中で念じ鏡を見た、何と男は癌で苦しんでいるではないか

医者は「今日が峠だな。」看護師と話している「之は何かの間違いだ。」二年後を念じ鏡を見る

鏡には何も映らない「俺は死ぬのか、一年後には死ぬのか。」人の数倍楽しい思いもした然し

一年後には癌で苦しんで死ぬ、男は気が小さかった自分の住むマンションの屋上から飛び降りた。

 「馬鹿な男だ折角説明書を付けてやったのに。」そう鏡は反対を映す男は生涯平和で贅沢な

暮らしが約束されていた、占い師は自分の事は決して占わないのが鉄則なのだ。





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最終更新日  2007年11月21日 16時42分18秒
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