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安乐传 The Legend Of Anle最終話韓燁(ハンイェ)の目の治療に不可欠だった長思花が見つかった。喜んだ帝梓元(ディヅユアン)は伏翎(フクレイ)山に駆けつけたが、大伯母・帝盛天(ディセイテン)の話ではいつの間にか開花した長思花が置いてあったという。しかしこの都で長思花を咲かせることができる真摯な心と根気強さを持ち合わせる人物は1人だけだった。梓元は翎湘楼(レイショウロウ)に洛銘西(ルォミンシー)を訪ねた。何と切り出して良いか分からない梓元、その時、洛銘西の手にいつも大事そうに眺めている玉佩があると気づく。「その玉佩は特別なものなの?」「玉佩の謂れは君にある…」あれは大雪の日だった。洛銘西は靖安(セイアン)侯に連れられて屋敷を訪ねたが、ちょうどその日に梓元が生まれたという。喜んだ靖安侯は祝われるたび褒美を与え、洛銘西も父に尻を叩かれて祝辞を述べた。すると靖安侯が自分の腰から玉佩を外して洛銘西に与えたという。「その時、靖安侯はこうおっしゃった…″梓元をお前の妹とする証しだ、守ってくれ″と」洛銘西は梓元に真実を打ち明けられなかった。すると梓元が露台にある小さな囲いに気づいて中を見る。「ここに鉢植えの花があったのね?何の花だったの?」「…海棠(カイドウ)だ、暗殺に来た冷北(ランベイ)が鉢を割ってしまった」梓元は洛銘西の優しい嘘に気づき、何とも言えない罪悪感に襲われた。「銘西哥哥…私はあなたに謝らないといけない…」「私に謝る必要はない、私が望んでやったことだ」しかし梓元は居たたまれなくなり、逃げるように帰ってしまう。「梓元、来世があるなら君と共にいたい…」帝盛天の治療が功を奏し、韓燁はついに見えるようになった。梓元のもとにも早速、知らせが届いたが、韓燁は光を取り戻してもなお考えを改めないという。想像以上に頑固な韓燁、すると焦った帝燼言(ディジンイェン)が伏翎山に駆けつけた。「これで姐姐を娶れますね!」しかし韓燁は梓元を韓家の皇太子妃にすれば不幸にしてしまうという。「もう守れる自信がない…昔から梓元を守ってきた洛銘西こそ相応しい」帝燼言は弱音を漏らす皇太子に深く失望し、下山してしまう。任(レン)府の婚礼の日。梓元が身支度を終えた頃、皇太子の説得に失敗した帝燼言が申し訳なさそうにやってきた。しかし梓元は最後の手段で大伯母を頼ったという。その頃、帝盛天はこれまで誰にも明かせなかった韓子安(ハンシアン)への秘めた想いを韓燁に告白していた。帝盛天と韓子安は蒼(ソウ)山で出会い意気投合、帝盛天は韓子安を死ぬまで支えると決めたという。自由に生き、欲しいものを手に入れ、どんな望みも叶えてきた帝盛天。それが韓子安にだけは最後まで近づくことができなかった。出会いの時を間違えたのか、出会った人を間違えたのか、もしくはどちらも間違いだったのか。何にせよ韓子安との出会いを後悔したことはないという。「友にしかなれず、気持ちを隠したはずが、まさか誰かを傷つけるとは思わなかった 孫瑜君(ソンユクン)の言う通り、私は身勝手だった そんな私の身勝手さが両家の確執を生み、取り返しのつかない悲劇を招いたの でもあなたと梓元は違う、同じ轍を踏まないで欲しい」すると帝盛天は嫁ぐ梓元に譲りたいと碧璽(ヘキジ)剣を韓燁に託した。「あなたの父上はやっと過去を手放した、あなたも手放して」「しかし…もう手遅れです、何もかも終わった」「いいえ!」その声は馬を引いて現れた帝燼言だった。帝燼言は安楽(アンルー)を真似て姉の口調のまま、皇太子に言づてを伝えた。「″来ないなら碧璽剣を持って靖南へ帰るわ、帝家と洛家は同盟を結ぶ 皇帝になりたいなら妃選びは慎重にね″と…」「荒唐(ファンタン)!」「″韓燁?私は3万の水軍を差し出したのよ?国か太子のどちらかをもらう″だそうです」「…大理寺卿を1年、務めたくらいでは海賊くささが抜けぬな」すると帝盛天は韓燁が思う以上に梓元は鼻っ柱が強いと笑った。「あの日、青南山で燼言が弟だと明かされなければ、あの子はあなたの後を追っていたのよ?」帝盛天の思わぬ言葉に韓燁は呆然となった。「殿下…ご覧ください、姐姐はあなたを失い、一晩で白髪になったのです」帝燼言が広げた手巾の間には梓元の白髪が挟んであった。日が暮れる頃、任府で婚儀が始まった。洛銘西と並んで入場した梓元、その時、ついに韓燁が現れる。「待ってくれ!」梓元が振り返ると韓燁が立っていた。「帝家の娘・梓元、天の定めた重責を担わせ、太子妃に封ずる 中原一の美形たる太子に差し出す嫁荷は3万の水軍、望みはひとつ太子妃の位を欲す …帝梓元、任安楽、太祖の遺詔と3万の水軍が証しとなる どんな名であろうと君が私の太子妃だ、梓元、待たせてすまない」すると洛銘西がそろそろ婚儀を再開したいと申し出た。韓燁は長思花の恩があっても自分の花嫁を渡せないと言ったが、そこへ本当の新郎新婦が現れる。「殿下、私から花嫁を奪うつもりですか? 父親代わりの殿下を立ち合わせるため遅刻しかけましたよ」韓燁はようやく新郎新婦が帝燼言と苑琴(エンキン)だと知り、まんまと騙されたと分かった。実は帝燼言も自分の婚儀だとついさっき知ったばかりだという。「この世で帝家の姉弟だけだ、平気で太子を欺くのは…」しかしこれは洛銘西の策略だった。「頑固な韓燁を連れ出すには仕方なかった、だが梓元が最初に考えた方法は捕縛だぞ?」(´⊙౪⊙)テヘ( ー̀ωー́ )<…太子殿下と呼べ洛銘西は最後の役目を果たし、梓元を韓燁に託してひとり翎湘楼に戻った。「今となっては賭けをするのも独りだ…」あの時、任安楽が皇太子妃になれるかどうか賭けをしたのがまるで昨日のことのように思い出される。「梓元よ、君の勝ちだな」韓燁は梓元を連れて蒼(ソウ)山の太祖の墓参りに来た。「太子たる私は己を律して生きてきた、ままならぬ人生ではある その中で最も喜んだことは祖父が決めた婚姻だ」「両家の間にどんな確執があろうと、運命によって結ばれた2人は引き離せない」「奇遇だな、心を動かされた任安楽が私が守りたい帝梓元だったとは」すると韓燁は碧璽剣を納めることにした。「帝家の栄光と天下の権勢を象徴する剣だ、父皇がとらわれた剣ゆえに置いていく」実は箱の中の碧璽剣の刃は二つに斬り割れていた。その夜、力尽きた洛銘西は翎湘楼の露台の長椅子に横になっていた。…私は靖安侯の期待に応えた帝家の名誉は回復し、君と歩む者が現れた君と長思花を見られぬのは残念だが悔いはない…韓燁と梓元の婚礼の夜、洛銘西はうっすら笑みを浮かべながら静かに目を閉じた。あれから7年が経った。韓燁は密かに育てていた長思花畑に梓元を案内し、満開の花を見せて驚かせる。「10年以上も前、ある少女が私に言った 長思花は凛とした美しさで、一斉に咲き誇る姿は満点の星のようだと… あの時、私はまだ年若く、種を集めさせ東宮の庭園にまいた 満開の花を見せて驚かせたかったが、その後、少女は都を離れた 私はこの場所でいつか少女の慰めになるようせっせと種をまいた 言うまでもなく寒い都ではずっと咲かなかった」「実は一度だけ都で長思花を見たことがあるわ」「…私もだ、初めて蕾を見たのは洛銘西の部屋だった」あの時、韓燁は心を込めれば奇跡が起こると希望を与えられたという。梓元は洛銘西の願いが靖南に帰って長思花を見ることだったと話し、結局、叶わなかったと嘆いた。しかし韓燁はこうして都でも咲くようになり、洛銘西も天下の民も見ることができると慰める。…帝梓元は天からの重責をその身に担う靖の皇帝・韓燁を支え、50年にわたり共に苦難を乗り越えたそして築かれるは輝ける太平の世、久しく天候に恵まれ、民は平和に暮らした…完( ゚ェ゚)公式では見つかりませんでしたが、番外編で2人の幸せな宮中生活も見られます興味のある方は動画サイトで探してみてください
2024.06.07
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第29話)最終話「輝く星河の下」程少商(チォンシャオシャン)は梁邱起(リャンチゥチー)たちと郭(カク)村に入った。郭村は天下の食糧庫、1年の生産でいくつもの都城を養うことができる。少商は貯蔵された油を回収して水源を探すよう命じたが、ふと王延姫(ワンイエンジー)の言葉が頭をよぎった。…皇太子が訪ねる郭村の道中に油を撒いたわ…少商は火が起これば高所から吹いてくる風に煽られ、村だけに留まらないと気づく。「田朔(ティエンシュオ)は峪(ヨク)州の食糧を焼き尽くし、民を飢えさせて国の根幹を崩すつもりね」その時、突然、村に火矢が飛んできた。一方、霍不疑(フォブーイー)は梁邱飛(リャンチゥフェイ)たちと皇太子を援護し、田朔を追いつめていた。しかし山の向こうから黒い煙が上がるのが見える。「霍不疑、私の術中にハマったな? 郭村には勇者200人がいる、油で広大な田畑を焼けば天下の民は死ぬしかない、ふふ 確か皇帝は仁義に篤いのであろう? 息子を救って民を見捨てたとなれば、衆口にどう向き合うのか見ものだな!」田朔は勝ち誇ったように笑ったが、不疑は郭村なら少商が守ると自信を見せた。驚いた皇太子は再び少商を失えば一生、後悔すると訴えたが、不疑は退こうとしない。「霍不疑…国や民を思う忠良を気取りながら、結局、権貴を選ぶのか?! 文(ウェン)賊に取り入り、無能な太子は救うが自分の女は見殺しか?!この偽善者め!」「少商と約束した、天下を第一に夫婦で肩を並べ戦うと… 少商は知恵と勇気で必ず郭村を守り抜く、私はそう信じている」不疑は田朔に襲いかかり、胸を突き刺した。「グッ…お前の手で死ねたら忠義の名に恥じぬ」「殺せと挑発を?…戻帝が臨終の際、名のある官員や宮人は全て殉死したな お前が生き延びたのは無名の虫ケラに過ぎぬからでは?」「黙れ!忠臣が虫ケラなわけがない!敵討ちのために私を生かしたのだ!」田朔は不疑を出し抜いたつもりだったが、逆に足下を見られ激しく動揺してしまう。「敵討ちを託したか…それとも名を覚えていないだけか?」結局、不疑は止めを刺さず、田朔から剣を引き抜いた。「郭村へ!」その頃、焼き討ちをかけられた郭村では少商や梁邱起たちが身を挺して民を守っていた。じりじりと迫る残党たち、しかし間一髪のところで知らせを受けた程家が駆けつける。「嫋嫋(ニャオニャオ)に指一本、触れるな!」少商が父の声に気づいて振り返ると、激しい煙の合間から両親や兄夫婦たちの姿が見えた。「嫋嫋!阿母が来たわ!」こうして程家は一丸となり郭村の民と田畑を守り抜く。霍不疑は必死に郭村まで馬を駆けたが、到着した時にはすでに戦いが終わっていた。「郭村は無事よ、私たちは勝った…」「勝ったんだな」再会を果たした2人は固く抱き合い、ようやく夫婦一心となった。深傷を負った袁慎(ユエンシェン)は軍営で静養していた。すると幕舎に不疑が現れ、いつまで寝ているのかとしつこく聞いてくる。「私はお前の家の居候か?口うるさいぞ?」「妻を心配させるからだ」袁慎は大事ないと安心させたが、最後に伝えたいことがあった。「私と少商は似ていると思って来たが、間違いだった 両親の影響で私は深い情愛を嫌悪していた 幼心にも誠実すぎる情愛は刃や劇毒も同じだと感じたのだ 前途ある己の足を引っ張り、志を奪ってしまうと… だが少商は違った、だからお前たちは情愛が深いのだな」「…お前が気に食わなかった、だがこの5年、少商が最も辛い時に見守ってくれた だが安心してくれ、もう彼女を辛い目には遭わせない」「どうだかな、さもなくば…」「その心配はない」袁慎は即答する不疑に失笑し、これで少商への想いにけじめをつけた。子晟(ズーション)と少商の復縁は皇帝の耳にも届いた。その夜、皇帝は越(ユエ)皇后と夜空を見上げながら、これも宣神諳(シュエンシェンアン)が静かに2人を見守ってくれたおかげだと感慨深い。一方、軍営でも少商と不疑が満天の星空を見上げていた。「故人は本当に星になるの?」「昔、私もこうして星河を見上げたものだ、父母や兄妹が星に姿を変えて私を見ていないかと… それで分かったんだ、彼らに語りかけていると、声が届いた時には星が瞬く」「…皇后?私です、少商です、聞こえますか?」すると驚いたことにある星が瞬いた。「皇后だ…阿父、阿母、彼女が一生を共にする相手です、見えますか?」不疑が家族に少商を紹介すると、いくつもの星が一斉に輝いた。「皇后は私たちの復縁を望んでいたわ、だからきっと喜んでいるはずよ」不疑は少商の手を取り、愛おしそうに見つめた。すると少商は不疑の手首にある″少商の弦″に目を留め、これを見るたびに胸が熱くなるのを感じたと明かす。「子晟、あなたは情が深く感情豊かで純粋な心を持っている、この天下で一番の郎君だわ あなたとの出会いはこの上ない幸せよ」「少商、君は最も純粋で善良だ、確固たる意志を持ち、この天下で誰より勝る女子だ 君に出会えて私もこの上なく幸せだ」2人は互いの真心を捧げ合い、唇を重ねた。しかしちょうど幕舎から出て来た程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)に見られてしまう。程始は父として何とも複雑な気持ちだったが、愛妻に諌められて目をつぶるしかなかった。「えっへん…霍不疑よ、娘を託したぞ だがうちの嫋嫋に不義理をしたら程家が一丸となって殴り込む」「…ぜひ」その時、程頌(チォンソン)と万萋萋(ワンチーチー)、程少宮(チォンシャオゴン)、程姎(チォンヤン)、青蓯(チンツォン)も天幕から出て来た。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人が夜空に手を合わせ、天の加護に感謝していた。少宮の手紙によれば大郎と嫁が再び功績をあげ、頌児夫妻まで手柄を立てたという。しかも霍将軍と四娘子はそのまま驊(カ)県で成婚するとあった。「婚約ではない、成婚よ?これで聘礼(ヘイレイ)の品も逃げないわね、ぶははははは~! 孫娘の成婚を阻む度胸のある者はいるかしら?!」実は2人の成婚を阻む者が宮中にいた。「驊県で成婚だと?!だが朕がその場におらぬぞ?!無効だ!絶対に許さぬ! 今すぐ2人を呼び戻せ!都で再度、婚礼をやり直す! あんまりではないか!この日のために長年、苦心して来たのは朕だ!」すると越皇后は呆れ果て、寝殿に戻ってしまう。そんな皇帝の嘆きなど知る由もなく、程家は揃って星河を見上げながら幸せに包まれた。完( ˙꒳˙ )2ターン目も終わったw配信の時はあっという間に挫折しかし明蘭の時と同樣、10話まで我慢すれば面白いと聞いて日本上陸を機に再度チャレンジいや〜諦めないで良かった!ただこれ原作ではタイムスリップものなんですよねそれを知った上で見ると嫋嫋の心情も分かりやすかったかなさて管理人的最終話は54となりました追憶のような最後を期待していたので、この安易なまとめ方にちょっと肩透かし途中でまさかの必殺早送りが出そうになりましたが、ここでウマーで駆けるウーレイ登場!ウーレイがコーナー攻める!攻める!wwwなるほど、全てはこの瞬間のためにあったのね! ←いや違うwもう内容はどうでもいい! ←え?wだってウーレイがカッコいいんだもの♡( ˶´꒳`˵ )
2024.01.03
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花间令 In Blossom第5話馬車の車輪についていた土が鉱山のものだと気づいた潘樾(パンユエ)。そこで上官芷(シャングワンジー)を連れて廃坑に向かった。「あの日、お前は楊采薇(ヤンツァイウェイ)をさらってここで危害を加えようとしたな? だが楊采薇が逃げ出し、お前は㬢園(ギエン)まで追いかけ、突き落としたのだ」潘樾はその証拠に上官芷の香袋を示し、楊采薇の遺体の近くに同じ香袋が落ちていたと明かした。…上官芷、私に成り済ましたのになぜまだ持っていたの?…さらに潘樾は上官芷が自分を酔わせて記録を盗み見たことも知っていた。恐らく現場に香袋が落ちていたか確かめたかったのだろう。「白状しろ、命で償わせるぞ?」しかし采薇には証拠があった。「下を見て」すると崖下に上官家の護衛と祈祷師の亡骸があった。上官芷は確かに楊采薇を廃坑に連れて来たと認め、盗賊に襲われて谷に落とされたと説明した。運良く上官芷たちは枝に引っかかって助かり、楊采薇を馬車で逃してから気を失ったという。「なぜ逃した?」「彼女の話を聞いて分かったの、2人の絆が強いことを…私は独り善がりだった」潘樾は楊采薇から何を聞いたのか尋ねた。すると驚いたことに上官芷が知るはずのない潘樾の告白を明かす。「10年前、彼女はあなたに門前払いされたと… 禾陽(カヨウ)に流れついても顔の傷のせいで蔑まれ、死者を頼りに生きる日々 そんな時、別世界にいると思っていたあなたが現れた 全てが誤解だと言うあなたを信じて心から嫁ぎたいと思ったそうよ ″この生涯で娶りたいのはただ1人、10年前も10年後も変わらない、そなただけ″ あなたがそう言ったと…」すると潘樾は誤解だったと気づき、上官芷に馬車で帰るよう告げて独りで行ってしまう。そんなある日、禾陽に銀雨楼(ギンウロウ)の少主が戻って来た。人を食べると噂になるほど恐れられる少主。新しい県令の着任から禾陽の勢力関係が崩れ、先日も銀雨楼の面目を潰すためか県令が40万も吹っかけてきたという。「潘樾は銀雨楼が片づけると伝えろ…私が追い出してやる」白小笙(バイシャオション)がついに老姜頭(ラオジアントウ)を探し出し、楊采薇は感動の再会を果たした。老姜頭は始めこそ上官芷の外見に戸惑っていたが、自分が教えた検視の心得を聞いて弟子だと確信する。実は老姜頭は楊采薇の婚儀の日、覆面の男に襲われていた。しかし幸い楊采薇の妙薬のおかげで症状が落ち着いていたことから、隙を見て逃げ出すことに成功したという。「顔ははっきり見えなかったが、新郎衣装だった」「潘樾ね、本当に冷酷な男だわ…師父はここで養生して、私が調べるから」老姜頭はくれぐれも用心するよう訴え、検視道具を渡した。楊采薇は帰り道、古木のうろに隠しておいた玉佩を回収した。…必ず元の身分を取り戻して見せる…潘樾は昨日の一件で上官芷が役所を辞めやしないか心配したが、翌朝も上官芷は元気に書斎へ現れた。すると突然、銀雨楼が県署に押しかけ、少主の代理だという孫震(スンジェン)が潘樾を夫人殺害の罪で告発する。嫌がらせなのは火を見るよりも明らか、しかし上官芷の死因を知りたい楊采薇にとって渡りに船だった。「潘大人が犯人だという証拠はありますか?」「証拠は役所が探せ、当時、御史として前県令の調査を妨害したとか 弾劾されると今度は県令として戻って来た 法を踏みにじる殺人犯に禾陽の長を任せられると?!」そうだ!そうだ!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ@銀雨楼の死ね死ね団潘樾は銀雨楼の宣戦布告と知りながら7日以内に結果を出すと約束した。「度胸のあるやつだ、お手並み拝見といこう」孫震から報告を聞いた少主はちょうどある娘の人形を彫っていた。楊采薇はこの機を利用し、検死を公開して隠し立てしない態度を見せてはどうかと進言した。しかし潘樾は楊采薇の死なら事故のため調べる必要はないという。「私に計画がある」「計画って何ですか?!」墨をすっていた采薇は思わず身を乗り出したが、潘樾は教えてくれない。その時、うっかり硯(スズリ)に触れて采薇の手が汚れてしまう。その夜、潘樾は百花宮(ヒャッカグウ)に宮主・青帝(チンディー)を訪ねた。尾行した楊采薇は上客に呼ばれたと舞い上がっている楽師たちを見かけ、どさくさに紛れて弾けもしない阮咸(ゲンカン)を持ってついて行く。すると個室ではすっかりくつろぐ潘樾の姿があった。采薇は露台で楽師たちの曲に合わせて指だけ動かしながら、帳(トバリ)で仕切られた部屋の様子をうかがう。その時、青帝が現れた。青帝は潘樾が噂通り眉目秀麗な風流才子だと絶賛した。しかしそんな潘樾でも銀雨楼の少主には手こずるはずだという。卓山巨(ジュオシャンシュー)の一人息子・卓瀾江(ジュオランジアン)は都の書生だった。実は3年前、禾陽に金水幇(キンスイホウ)という勢力が現れ銀雨楼と抗争となり、卓楼主が命を落として少主が戻ったという。「あの夜、何があったのか誰も知らない 翌朝、赤く染まった川に人々が気づいた時には金水幇全員の頭が城門に掛かっていたわ」潘樾は青帝が銀雨楼から手を引かせたいのだと思ったが、意外にも青帝は潘樾と手を組みたいと申し出た。「禾陽に来たなら四大宗族との勝負は必至、百花宮がお力添えしましょう」青帝は四大宗族の末席では満足できず、潘樾に賭けたいという。そこで誠意を示すため贈り物があると言ったが、青帝が声を落としたせいで采薇には聞こえなかった。潘樾と青帝は交渉がまとまったのか乾杯、青帝は次の曲を弾くよう命じた。その時、楊采薇は過って弦を弾いてしまい、潘樾の注意を引いてしまう。楽師たちは面紗で顔を隠していたが、潘樾は阮咸の楽師にどこか見覚えがあった。すると潘樾は楽師の手に墨の汚れがあることに気づき、その楽師が上官芷だと気づく。「私の気を引きたいようだ、今夜は私に付き合え」楊采薇は帰りの馬車で潘樾に厳しく叱られた。「何をしようと構わぬが、私は哥哥からそなたを預かっている 今度、バカな真似をしたら守れぬぞ?!」それ以来、潘樾は上官芷が尾行しないよう用心深くなった。おかげで上官芷の埋葬場所を見つける手立てを失ってしまう。しかし偶然、采薇は劉(リウ)捕吏たちの噂話を耳にした。例の7日の約束で賭けが始まり、賭場は大賑わいだという。そこで采薇は白小笙と一芝居打ち、賭場で卓少主が勝つと触れ回った。実は少主がすでに夫人の遺体を発見、勝負はついたも同然だという。賭場を後にした楊采薇と白小笙は急な雨に降られ、ひとまず酒屋の前で雨宿りした。すると小笙が令嬢となった采薇を気遣い、傘を買いに行ってくれる。その時、酒屋から男の騒ぎ声が聞こえた。「楊采薇、毎月ここで飲む約束だろう?どこへ行ったんだ?!」…阿江?…男は楊采薇がかつて無縁墓地で偶然、助けた阿江だった。驚いた采薇は給仕に銀子を払って見逃してもらったが、そこへちょうど傘を買った白小笙が戻ってくる。「お、イケメンね、誰?」「私が命を助けたの、友だちと呼べるのはあなたと彼だけよ」すると采薇は酔い潰れて倒れた阿江を助けた。屋敷に戻った楊采薇は自責の念に駆られた。師匠は自分のせいで身を隠し、小笙には気を遣わせ、苦しむ阿江に真相を明かすこともできない。…早く全てを終わらせなくては…すると約束の7日まであと2日という時、ついに噂を耳にした潘樾が動いた。「夜までに馬の用意を」そこで楊采薇は胡瓜の花粉を袋に入れ、潘樾の馬の鞍にこっそり下げてから小さな穴を開けた。その夜、楊采薇は潘樾が出かけるのを確認して屋敷を出た。すると袋の穴からこぼれた胡瓜の花粉が目印となり難なく潘樾の行き先が分かる。上官芷の墓は采薇がかつて潘樾に自分の墓を立てたいと話した桃林にあった。…なぜここに?…楊采薇は潘樾が帰るのを待ってから廟に入った。すると位牌に″亡妻楊采薇之霊″と書かれている。采薇が棺のふたを開けると、そこには花嫁姿の自分の身体が眠っていた。つづく( ゚ェ゚)パン君の白髪が増量し、師父は霊蛇のおかげでしらふに…
2025.02.15
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梦华录 A Dream of Splendor最終話「それぞれの願い」顧千帆(コチェンファン)は皇后・劉婉(リュウエン)と接触し、忠誠を誓う代わりに趙盼児(チョウパンアール)を見逃して欲しいと訴えた。しかし皇后から欧陽旭(オウヨウキョク)への訴えを取り下げさせるよう迫られ拒否、交渉は決裂する。「…悪いけど力にはなれないわ」顧千帆は咄嗟に皇后に短剣を突きつけ、パンRが助かるなら命も売り渡す覚悟だと脅した。「私は裁きへの干渉を求めているのではない、同じ女子であるパンRに機会を与えてやって欲しい その後は勝とうが負けようが恨み言は申しません」「いいでしょう」すると顧千帆は去り際、真実を明かした。「陛下の手元にある夜宴図は真作です、パンRが贋作だと示唆したゆえ、あなたは難を逃れた」何も知らなかった劉婉は驚愕した。聞けばパンRは賎民のままならぬ辛さなら自分も良く分かると共感し、皇后を助けたという。顧千帆はパンRが欧陽旭を訴えたのも、皇后が斉牧(サイボク)からの侮辱に耐えられなくなったことと同じだと話した。パンRはなかなか意識が戻らず、皆を心配させた。しかしパンRの気概に感銘を受けた高鵠(コウコク)が太宗から下賜された妙薬を届けてくれる。顧千帆は高観察を信じ、薬を砕いてからパンRに口移しで飲ませた。するとついにパンRが目を覚ます。一方、劉婉は皇帝や顧千帆の話を噛みしめながら、ようやく自分の過ちに気づいていた。「陛下に謁見したいと伝えて」皇后はパンRに再び機会を与えた。そこで皇帝は公平を期すべく長官を交代させ、審理を公開とする。パンRは重い身体をひきずりながら再び登聞鼓院(トウブンコイン)へ出廷し、早速、杖刑(ジョウケイ)の続きを受けることになった。しかしそこへ伝令官として崔(サイ)内侍が駆けつけ、聖旨を伝える。「皇后の誕辰を祝い、本日より女子に対する杖刑以下の罰は銭で免除できるものとする…ちんつー」顧千帆たちは急いで門で見守っている葛招娣(カツショウテイ)と陳廉(チンレン)に銭を集めろと指示した。「30貫だ!」すると集まっていた民衆がパンRのために寄付してくれる。その中には開封府の前でパンRを蔑んだ男たちもいた。パンRは30貫と引き換えに残りの杖刑を免れた。欧陽旭は皇后が助けてくれると信じて出廷し、依然として婚約破棄を否認する。証書はとうに破棄し、結納品もなく、婚約を証明する物などないはずだ。パンR側の証人・孫三娘(ソンサンニャン)は身内も同然、また杜長風(トチョウフウ)も今や孫氏の許嫁のため、2人の証言は信頼性に欠ける。「確かに酒によって婚姻をほのめかしたことがありました、過ちは認めます なれど男側からの婚約破棄は容赦されるかと…」欧陽旭は誠意を示してパンRに謝罪したが、パンRは偽りの謝罪など必要ないと冷ややかだった。「欧陽旭、訴状をしっかり読んだ?婚約破棄は訴えの一部、問題は私を中傷したことよ?」三娘は婚約祝いに家宝の硯(スズリ)を欧陽旭に贈ったと証言した。返還を求めたがすげなく追い返され、用心棒に都から追い出されそうになったという。しかし欧陽旭が離京前にすべての身代を質入れしたため、硯を見つけることができた。池蟠(チハン)は質札と硯を証拠として提出、硯には確かに三娘が説明した通り表に文言、裏には″孫″と表記があり、質札の契約人は欧陽旭となっている。パンRは婚約する前から欧陽旭が自分から再三、銭を借りながら返済を拒んだと訴えた。「だまし取りは窃盗と同罪のはず、5貫以上は斬首となります」その時、つい立ての裏で審理を聞いていた皇帝は、激怒してうっかり椅子を叩いてしまう。長官は咳払いして慌てて誤魔化したが、顧千帆は皇帝の存在に薄々、勘付いた。皇帝は皇后と一緒に審理を見守っていた。「…皇上、先日は私が悪うございました」「長年、連れ添った夫婦ではないか、幸いにもまだ取り返しがつく」「でも斉牧を許すことはできません」「私が群臣の反対を押し切ってそなたを立后したのは、野心あふれる有能な女子だったからだ(コソッ)知っての通り私は決して知慮に富む賢君ではない… そなたを好いたのは己にないものを持っていたからだ よいな?これからは天下の民の噂話に耐え得るような手立てを取れ この大宋はそなたの家でもあるのだ」欧陽旭は思わぬ証拠に動揺し、硯の件は失念しただけだと釈明した。「これは趙盼児の報復行為だ!君はなぜこんな下劣なことを…」「あの日の発言に感謝するわ」開封府で訴えを差し戻された後、パンRは帰り際、自分の訴えを受け止める勇気もないのかと欧陽旭を非難した。すると欧陽旭は勝ち誇ったように刑法と慣習は全く別物だと言ったという。「それを聞いて悟ったわ、婚約破棄では断罪できないとね… 欧陽旭、私はあなたを地獄へ送る、あなたが私の首を締めたようにね」「何の話だ?…首など締めていないぞ!そんな証拠はあるはずない!」焦った欧陽旭は従者に助けを求めようとしたが、すでに従者は姿を消していた。その時、証拠集めに奔走していた宋引章(ソウインショウ)が駆けつける。「証拠ならありまーす!」欧陽旭の侍従・淑徳(シュクトク)と書生・子明(シメイ)は賊に殺されたことになっていた。実は子明の屍(シカバネ)から″歩虚韵(ホキョイン)″という楽譜が見つかっていたが、確認した引章は楽譜の奇妙な点に気づいたという。「これは道家の祭事で演奏される音曲で、書生は道教の修行者でした しかし歩虚詞と工尺譜(コウシャクフ)が一致していないのです そこで奇妙な箇所だけを横に読んでみると、ある文章が現れました、″欧陽旭が私を殺した″と…」驚いた皇帝はまた椅子を叩きそうになったが、すんでのところでこらえた。楽譜の裏には″紫陽観(シヨウカン)″という文字もあった。そこで引章は欧陽宅の近くに建つ紫陽観を捜索、すると座蒲(ザフ)の下から書生の遺書を発見する。「欧陽旭は侍従を死に至らしめ、大金で刺客を雇い、趙氏を殺そうとしたと… それを目の当たりにした書生は口封じに殺されると思い、楽譜に暗号を記したのです 欧陽旭は音律を知らぬため、気づかれません」酒楼組合へ向かっていたパンRたちを襲った黒幕は欧陽旭だった。欧陽旭は激しく取り乱し、捕らわれまいと暴れ出した。するとついに皇帝と皇后が姿を現す。欧陽旭は全て聞かれていたと知り呆然、その場にへたり込んだ。「欧陽旭の官職を全て剥奪し、詔獄(ショウゴク)へ…いいや、皇城司の獄へ収監せよ! 顧千帆、朕に代わりしっかり取り調べてくれ」皇帝は趙氏、孫氏、宋氏の功績を認め、何でも望みを叶えることにした。「孫氏、言ってみよ」「わっ!私ですか?!…私は永安楼の新作料理を召し上がって頂ければ十分です 願わくば誥命(コウメイ)夫人の衣を賜りたく、栄に浴することができましたら、この上ない幸せです」「許そう」今や立派に自立した引章は、これを機に登聞鼓院が常に開かれ、杖刑が減ることを望むと嘆願した。皇帝はさすが″風骨″の文字を授かっただけのことはあると感心し、許可するという。皇帝は最後にパンRの望みを聞くことにした。するとパンRはいきなり3度ほど叩頭し、政に口を出す無礼を謝罪する。「私は父の罪により楽妓となりました…父は民を救ったがゆえに死んだのです 宋氏は官妓の家の出ですが、世塵(セジン)にまみれることなく、琵琶に邁進しています そんな私たちは欧陽旭より卑しいでしょうか?」パンRは賎民が決して卑しくないと証明するため欧陽旭を訴えたと説明した。男女を問わず一度、賎民になれば容易に抜け出すことはできず、一生、世間から見下されてしまう。パンRは楽師や職人、奴婢の家に生まれた者を賎民である苦しみから解き放って欲しいと涙ながらに嘆願した。良賎制は秦漢(シンカン)期に始まった。皇帝も改めたいと思っていたが、天下の大業ゆえ、代々の帝王が徐々に進める必要があるという。「では今日はまず1つだけ定めるとしよう… 今後、教坊司の優秀な楽師や職人に内侍省翰林院の職を授けるものとする つまり官吏だ、当然ながら賎民ではなくなる また国に貢献し、善行を積んできた官奴婢と私奴婢に対しては上奏を許可する 朝廷が適切に取り計らおう」そして皇帝もこの日をきっかけに堂々と劉婉を伴って朝議に向かった。永安楼では宋引章の琵琶を聞こうと多くの客が集まった。その様子を池蟠は上階から幸せそうに眺めている。一方、三娘は夢を叶え、杜長風との婚儀で鳳凰冠をかぶり、礼服を着た。傅子方(フシホウ)は母の新たな門出を喜び、仲睦まじい陳廉と招娣も2人を祝福する。こうして紆余曲折を経て幸せをつかんだパンR。顧千帆は愛するパンRが嫁いでくれる日を待ちながら、今日もパンRに付き添っていた。終わり無事に完走しました!中国ドラマにハマるきっかけがパンR演じるリウイーフェイが出演した武侠ドラマ金庸の女神と言われたイーフェイが久しぶりにドラマ復帰した作品でしたが、期待が大きすぎたせいか、ちょっとこれじゃない感が…ともあれ私の愚痴を聞きながら最後までお付き合いくださった皆様、ありがとうございましたw
2023.06.14
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岁岁青莲 Blooming Days第36話「それぞれの執念」「賀家は私を裏切ったぁぁぁぁぁ!」慕天殊(ボテンシュ)は刑場で安(アン)王への恨みをぶちまけ、賀元雪(ガゲンセツ)を殺めた罪で処刑された。慕天殊がいなくなれば三兄は孤立無援。賀連修(ガレンシュウ)は六弟・賀連値(ガレンチ)と新政反対派の臣下たちを引き連れ、賀連信(ガレンシン)に譲位を迫った。その時、七弟・賀連倚(ガレンイ)が慕天殊の配下を従え駆けつける。「王爺の号令で逆賊を捕らえます!」実は慕天殊の遺命は安王を守ることだった。…慕天殊が思わぬ事件を起こし、驚いた徐良川(ジョリョウセン)は急ぎ主の遺書を届けた『哥、賀連信は私を見捨てたけれど、一瞬たりとも恨んだことはない 私を哀れに思うなら、あの人を守り、支えて欲しい』徐良川はなぜ冷遇されても安王をかばうのか分からず、主に尋ねたすると慕海瑶(ボカイヨウ)は賀連信に負い目を感じて欲しいと答えたという『私を思い出すたび後悔して欲しい、それが海瑶からあの人への懲罰よ』実は徐良川は薄情な安王を恨み、これまで遺書を渡さなかったと説明した慕天殊は自ら極刑を嘆願、安王を孤立無援と思わせて黒幕の大旦那を誘き出すよう提案したしかし賀連信はどうしても決断できず、しばし昔話に花を咲かせる2人は酒を飲みながら出会った当時を懐かしんだが、やがて慕天殊は一献したいと杯を掲げてひざまずいた『来世があるなら、私は再び王爺にお仕えします…どうかお聞き入れください!』賀連信は涙があふれて声が出せず、震える手で杯を空けた『感謝します!王爺』…三兄はやはり一枚上手だった。賀連修は負けを認め、六弟や臣下たちもひざまずいて罰を請う。しかし賀連信は万死に値するのは賀連修ではないと言った。「大旦那のことなら、それも私です」賀連修は独りで罪を背負ったが、そこへ駱青蓮(ラクセイレン)が現れた。「嘘よ、ここ最近、礼(レイ)郡王は酒に溺れ政に関わっていなかった」「人の目を欺くためだ」「守りたい人がいるようね? でも多くの官吏が自害し、民が苦しんできた、海瑶姐姐も濡れ衣を着せられ死んだのよ? 無実の罪で死んだ人たちに申し訳が立つの?」賀連修が愛する阮之湄(ゲンシビ)をかばっているのは明らかだったが、結局、賀連修は妻を守り通した。「どうか私に処罰を…」賀連修は解放され、急いで屋敷に戻った。しかし阮之湄の姿がない。実は阮之湄は全て賀連信と慕天殊が仕組んだ計略だったと知り、自ら証拠を持って王府へ参上した。阮之湄は罪を認め、賀連修は無関係であったと証言した。「私の宿願は叶い難く、もはや生きる意味もない 王爺、どうか私を死罪に…骨を砕き、灰にして王府にまいてください 風に乗って潜み、決して消えません」賀連信はかつて自分を見限った想い人に会おうとしなかった。すると総管・蘇南春(ソナンシュン)が奥殿から現れる。「王爺はお認めになりました」「…感謝いたします、王爺」阮之湄は覚悟を決めて毒酒を手にした。そこへ突然、方懐蕊(ホウカイズイ)が現れる。「方家は勢いを失い、私だけが頼りだと勘違いした、まさか早々に手を引くとはね でも丞相が攻めてきたら方家もおしまいよ?」「あなたの讒言を信じて弟を犠牲にした、明日、王爺に真相を話すわ」阮之湄は刑部で毒酒を賜り息絶えた。妻を失った賀連修は絶えきれず、礼郡王邸で毒を飲み絶命してしまう。一方、呂北逸(リョホクイツ)は故郷へ戻り、家族が眠る場所へ賀元雪を埋葬した。…愛妻 賀元雪之墓 夫呂北逸泣立…呂北逸は長史処の左長史に任命されたが、勅命を固辞した。賀連信は呂北逸が妹の死の責任を感じていると考え、賀元雪も呂北逸が功成り名を遂げることを願うはずだと説得する。「″功成り名を遂げる″…人生は短い、大切な人のそばにいようと頑張ってきました でも気づいたのです、やり遂げる前から疲れていたと…では失礼します」方懐蕊は思い出の糖水を安王に差し入れた。しかし安王はまだ自分に怒っているのか、飲みたくないと冷たく突き放されてしまう。「阮之湄に利用されていたのです、まだ挽回の余地が?」そこで方懐蕊は急にひざまずき、王妃を廃して欲しいと嘆願する。実は糖水は嫁いで来た頃にいつも作っていた賀連信の好物だった。「廃妃を認めてくださるならどうかお飲み下さい」「立つがよい」すると賀連信は糖水を飲んでみせた。賀連信は駱青蓮に王妃の座を与えると決めた。しかし冊封当日、青蓮は礼服に袖を通さず、様子を見に来た安王に辞退を申し出る。「私の幸せは王爺の最愛の女人になること、その願いはとうに叶いました」青蓮はこれまで出会った人たちには皆、執念があったという。慕海瑶の執念は″情″、阮之湄は″名″、方懐蕊は″氏族″、呂北逸は″尊厳″。これら執念は首かせのように人を縛りつけ、一生、抜け出せなくなる。思えば青蓮は過去と決別して信宅に入った時から、執念はなくなっていた。「もしかするとそれが幸いしたのかも、でも王妃の座は特別です 人は高みに立つと思い通りにならぬもの、やがて初心を取り戻せなくなってしまう」賀連信は青蓮の決断に理解を示したが、そこへ蘇南春が慌てて駆けつけた。「王爺!丞相が曲涼討伐の兵を挙げました!」賀連信は久しぶりに駱青蓮を連れて城楼に登った。「私の執念は″曲涼″だ、お前は首かせのようだと言ったが、私は外そうと思ったことはない …新政が始まり、曲涼はこれからもっと繁栄する この戦で投降して丞相に帰順すれば信義に背くことになるだろう だが父親に誓いを立てた」「でも丞相の出兵は予想外です 先王が見たいのは誓いに縛られるあなたの姿ではなく、万民が心を1つにした曲涼です」賀連信は先王との誓いに青蓮を賭けたと明かした。すると青蓮は賀連信がいる限り孤独など感じないという。「2人ならどんな険しい山も乗り越えられます」…宰相討伐の檄古来、明君あれば栄えるが、陛下の仁徳と裏腹に大穆(ボク)では綱紀が廃れ、民は塗炭の苦しみをなめている全ては宰相が朝堂を我が物とし、策を弄して陛下を蔑ろにした結果だ君主が忘れ去られ宰相が国を牛耳る、これぞまさに国辱である国賊の宰相の軍にあらがわねばならぬこの賀連信、賀家先祖の名にかけて歃血して誓う逆賊討伐の決意をここに布告、もって天下に檄を発する…皇帝は丞相が曲涼へ出兵したと聞いた。しかし皇帝は賀家の子孫ならもちこたえられると信じ、何年経とうともその信頼は揺らがないという。「賀家は忠義にあつい、必ず国と民を守る」敵が迫る中、曲涼の軍民は勇敢に立ち上がった。2代にわたり民を思う安王の真心が伝わったのだろう。君主を敬う気持ちと郷土愛が1つとなり、天に通じる大きな力となって曲涼の地を駆け巡った。賀連信は娘が嫁いだジカルの軍と手を組んだ。そして丞相の10万の大軍を撃破、大きな痛手を与え、曲涼の安寧を取り戻す。終( ˙꒳˙ )え?全然、意味が分からないまま終わったwwwwww
2024.12.06
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第28話)第55話「肩を並べる時」楼縭(ローリー)は程少商(チォンシャオシャン)に協力を頼み、産気づいた何昭君(ハージャオジュン)を連れてなぜか廟に案内した。違和感を感じて殿内を見回す少商、するとふと安置された神像に目が留まる。その時、楼縭が隠し持っていた短剣を取り出し、突然、少商に襲いかかった。「程少商!あなたが従兄を自害に追い込み楼家は没落した、命をもらう!」少商は間一髪で楼縭の腕をつかみ助かったが、そのまま揉み合いとなった。「何昭君!神像を調べて!隠し扉があるかも!」少商の予想通り何昭君が神像を動かすと後ろの壁が開いた。少商は楼縭の足を思い切り踏みつけ、楼縭が怯んだ隙に何昭君と一緒に密室へ逃げ込んだ。すると思いがけず鉄鎖で拘束された傷だらけの袁慎(ユエンシェン)を発見する。度田令の推進中だった袁慎は油の買い占めに気づき、巡察中の皇太子が通過する郭(カク)村に貯蔵されていると突き止めた。そこで急いで知らせに向かうはずが、途中で戻(レイ)帝の残党に捕まってしまったという。少商はともかく袁慎を解放するため鍵を解錠することにしたが、袁慎は無駄だと止めた。「最も難解な連環鎖(レンカンサ)だ、解けやしない、早く逃げろ、私のために命を捨てるな」「この天下に私の解けない仕掛けはない、だから黙っていて」ちょうどその頃、外套を目深にかぶった女が廟に入って来た。楼縭は復讐を果たせなかったが、女は少商を誘い込めただけで上出来だと労う。「でも全てやり遂げてくれたのならもう用なしね…」女はいきなり楼縭の腹を刺した。「霍不疑(フォブーイー)と程少商以上に楼大房が憎い…あの世で父や母と再会するが良いわ」「阿父と阿母を殺したのは…あなた…」楼縭はようやく両親の敵に気づいたが、そこで事切れた。霍不疑一行は急遽、驊(カ)県に入った。一見、穏やかに見える城内、すると民に成りすましていた残党がいきなり襲いかかり、不疑を配下から引き離して孤立させてしまう。その頃、少商は解錠に成功し、何昭君と袁慎を連れて密室から脱出しようとしていた。しかし突然、床が開いて地下室へ落下してしまう。袁慎は自分に構わず逃げろと言ったが、天井が閉まる寸前に誰かが飛び降りて来た。「少商?!無事か?!」「なぜあなたがここに?」不疑は巡察中に異常を察知、驊県に駆けつけたところ戻帝の残党に県庭へ追い込まれたという。「ここに私を誘い込んだのは私の一番、大切な者が罠にかかったからだ」「罠だと知りながら飛び込むなんて…救援を求めてから敵を討てばいいのに!」「失ってからでは敵討ちに意味はない…生きていることが重要なんだ」その時、楼縭を殺した女が現れた。「餌には釣られないと思ったのに…ふっ、情愛にどっぷり浸かると英雄も愚鈍になるのね」少商は女の声で行方知れずとなった王延姫(ワンイエンジー)だと分かった。王延姫は面紗を外して正体を明かした。「今日、お前たちには私が作った墓場で死んでもらう 川で救われたあの瞬間から敵討ちを誓った、やっと果たせる…」地下室には楼犇(ロウベン)の位牌が安置され、床には藁が敷き詰められていた。どうやら王延姫は不疑だけでなく少商たちまで道連れにして死ぬつもりらしい。「少商、楼家で良くしてあげたのに、どうして夫を追い詰めたの? 袁慎、お前は知り過ぎたわ、計画を阻止する者は殺すしかない」少商は自分たちを逆恨みする気持ちは分かったが、身重の何昭君は無関係だと憤る。しかし王延姫は楼垚(ロウヤオ)を自由にするためだと言った。「楼垚は彼女を愛していない、無理やり娶らされたの、夫は死ぬ間際まで弟を案じていたわ 義姉として助けてやらなくては…子なら別の女が産む」その頃、楼垚は楼縭に騙されたとも知らず、従者と清(セイ)県にいた。産婆は夫の実家へ戻ったと聞いて訪ねてみたが見当たらず、従者は楼縭の勘違いではないかという。仕方なく楼垚は激しい雨の中、片っ端から医師をあたり、ようやく対応してくれた医師をなかば強引に連れ出した。夫の後を追って入水した王延姫を救ったのは田朔(ティエンシュオ)だった。復讐のため賊に寝返った王延姫、すでに皇太子が訪ねる郭村の道中にも油を撒いたという。「妻より野心を選んだ男だ、そんな者のために命を懸ける価値があるのか?」「あなたこそ少商より痛快に報復することを選んだくせに」「凌益(リンイー)を殺した後、少商を一目見て後悔した、夫婦は同心で肩を並べるべきだと… この5年、後悔しない日はない、復讐が難しくとも成婚すべきだった 共に明るい道を歩むべきだった」不疑の言葉を聞いた王延姫は夫もこうして悔い改めてくれたらと思うとやるせなくなった。「あなた…どうして私だけ置いていったの?」すると少商が楼犇も後悔していたと明かした。楼犇は少商に地形図を贈る際、窮地の時は心を縛られず天地を見いだせるようにと戒めたという。「その言葉をあなたに送るわ」しかしもはや夫の言葉も心に響かず、王延姫はついに火を放ってしまう。王延姫は積み上げておいた油を次々に倒し、地下室はあっという間に激しい炎に包まれた。すると王延姫は自ら煙に巻かれて倒れてしまう。その時、黒甲衛が駆けつけ、天井をこじ開けた。「若主公!」梁邱起(リャンチゥチー)は縄梯子を下ろし、身重の何昭君と負傷した袁慎を次々と引っ張り上げる。そして2人に続いて少商も無事に脱出、登ってくる不疑に手を伸ばしたが、突然、不疑の足に王延姫がしがみついて邪魔した。「…連れて行け、彼女を連れて行くんだ!」少商を守るため苦渋の決断を下した不疑。梁邱起は涙をのんで少商を床から引き離すと、ついに黒甲衛も力尽き、床は再び固く閉ざされてしまう。「子晟!子晟nnnnnnnnnnnnnnnn!」梁邱飛は少商を密室から逃がし、仲間たちも一斉に避難した。その時、地下室が爆発、少商たちは吹き飛ばされながらも九死に一生を得る。しかし不疑は…。少商は絶望の中、頑なだった自分を責めた。「子晟、後悔しているのでしょう?私の手を離さないと言ったのに! 私を散々つらい目に遭わせたから、この先はずっと私に尽くすのでしょう? 分かった、もう許すわ、だから返事をして、お願いよ!」不疑を失った悲しみに耐えられず絶叫しながら泣き崩れる少商、しかし、うなだれていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が物音に気づいて門を見た。「若主公…」霍不疑は生きていた。不疑は王延姫が中へ入れたのなら出られると判断、激しい煙の中で抜け道を探し当て、はい出したという。「少商…私を許してくれるのか?撤回しないでくれ」少商と不疑は硬く抱き合い、5年間のわだかまりが溶けて行くのが分かった。その時、ようやく清県から戻った楼垚が飛び込んで来る。「昭君!私と連れ添うと約束しただろう?共に子を育てると…約束を破ってはダメだ?!」崩れた密室の前で呆然となる楼垚、しかし何昭君は無事だった。「…楼垚?私ならここよ」「(はっ!)良かった!」楼垚は妻の手を握りしめ涙を流し、何昭君も楼垚の心に自分がいると分かって安堵した。田朔の陰謀を阻止するため、霍不疑と少商は共に立ち上がった。しかし不疑は道中の皇太子の元へ、少商は郭村で民を守ることになる。「少商、危険な任務になるぞ?」「大勢の民や天下に比べたら私たちの愛憎なんて微々たるものよ」「少商、君は唯一、私と肩を並べる者だ」こうして2人は県庭の前で別れた。郭村を目指してた皇太子一行の前に田朔が立ちふさがった。「三皇子、息災のようだな?」皇太子は今度こそ田朔を捕えようと意気込んだが、その時、伏兵が現れ、包囲されてしまう。劣勢を強いられた皇太子は自ら剣を抜き応戦するも負傷、満身創痍で田朔と対峙した。「国の後継者として死ぬのは戦場のみ…決して退かぬ!」「では主公に代わり正義の鉄槌を下す!」しかし危機一髪のところで霍不疑が駆けつけ、皇太子を守った。「霍不疑?!生きていたのか!王延姫の役立たずめが!」田朔は計画が失敗したと気づいて悪態をついたが…。つづく( ̄▽ ̄;)ちょっと田朔の声www最終話が不安になって来たw
2024.01.03
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上阳赋 The Rebel Princess最終話「陽の光がさす場所」城門で抵抗された宋懐恩(ソウカイオン)は密道から式乾殿へ侵入、馬子澹(バシタン)と王儇(オウケン)は太極殿に逃げた。今日が皇帝でいられる最後だと腹をくくった子澹、そこでせめて最期に威厳だけは守りたいと訴え、もしもの時は阿嫵(アーウォ)に斬って欲しいという。その時、宋懐恩が兵を引き連れやって来た。「王妃、降りてください…あなたを傷つけたくありません」しかし王儇は玉座のそばから動けない。そこで懐恩は自ら上段へ登り、皇帝の首を斬ると挑発した。子澹は無礼な宋懐恩に激怒、背後にいるのは誰かと問い詰めたが、懐恩は黙って門に向き直り、床に剣を付く。ドン!その時、門が開き、皇帝だけに許された黄色の礼服をまとった王藺(オウリン)が現れた。王藺が上段へ到着した。驚愕のあまり声も出ない子澹と王儇、すると懐恩は玉座にいた皇帝を床に投げ出してしまう。子澹は自分の代わりに玉座を陣取った王藺を見ると、沸々と怒りが込み上げた。「老いた逆賊めが…腹黒くあくどい奴…殺してやる!」子澹は一族の恨みを思い出して王藺へ襲いかかったが、あっけなく兵士に捕われ、そのまま引きずり出されてしまう。王藺は呆然とする娘に声をかけた。「阿嫵、お前の父亲だ、私は生きていた…偉業を成すためにはお前には隠すしかなかった じき全てが終わる、いや、新たに始まるのだ」「…その席はあなたの物ではないわ 子澹哥哥が静(セイ)児に譲ると決めたの、静児も王氏の血を引いている」王儇は父の前にひざまずき、過ちを繰り返してはならないと諌めた。しかし王藺は今度ばかりは譲れないという。王儇は仕方なく子澹が玉座に残していった短剣を手に取り、自分の首に突きつけた。あの時は母がこうして父を戒めたが、また同じ光景を見たいのだろうか。「大切なのは娘の命ですか?玉座ですか?」「阿嫵…誰も私を止められぬ、なぜ邪魔をする?…もちろん玉座よりお前の命が大事だ」すると王藺は震える阿嫵の手をつかんで短剣を取り上げた。その時、うっかり礼服の袖が切れてしまう。「愚か者めが!阿嫵っ!なぜ父亲が平和をもたらすと信じられぬのか?! 私以外にやれる者がいるか?誰がやれるというのだ?!」太極殿に王藺の怒号が響き渡った。しかし突然、背後から懐恩に刺されてしまう。「良いお話でした…何をしに来たか忘れるところだった…つまみ出せ!」王儇は兵に制止され、父が連行されるのを黙って見送ることしかできない。「王藺!私は兵力でここまで上り詰めた、だがこれは次への足掛かりに過ぎぬ」すると懐恩は剣についた血を拭い、兵士に王儇を解放するよう合図した。「蕭綦(ショウキ)が持つものは私も手に入れ、蕭綦が持てぬものも手に入れる…」懐恩は王儇に歩み寄ると、豫章王が逃げ出した婚礼の日@8話、激怒した王儇から受け取ったかんざしを返した。「阿嫵…私の皇后になってくれ」バシッ!⊂彡☆))Д´) ァゥッ!「なんて卑劣な男!」阿嫵は思わず懐恩を引っ叩いたが、その時、蕭綦が太極殿に駆けつけた。「懐恩!」懐恩は蕭綦の声に反応し、慌てて門を見た。すると蕭綦が放った矢が懐恩の胸を直撃、同時に寧朔軍がなだれ込んで太極殿を掌握する。「なぜ戻って来た…」玉座に倒れ込んだ懐恩はようやく蕭綦が寧朔へ戻っていなかったと知った。「お前が付近の軍と連絡を取り、反乱を目論んでいると知っていた だがお前を操る黒幕が誰かは分からなかった」「反乱など起こしたくなかった…」懐恩が思わず立ち上がると、包囲していた兵士は一斉に長刀で突き刺した。玉座に倒れ込んだ懐恩はうめき声をあげると、最期の時を迎えた。「…寧朔に連れ帰ってくれ…哥…二度と皇都には来たくない…」懐恩は蕭綦の元へ行こう立ち上がったが、力尽きてしまう。「二度と皇都には来ない…」すると懐恩はそのまま床に崩れ落ち、絶命した。王儇は父を探して殿内を飛び出した。すると回廊に捨て置かれた父を見つける。「私は死んだのか?生きているのか?…お前は生きているか?」「2人とも生きているわ、太医を呼んで来る!」しかし王藺は阿嫵を引き止め、抱きしめて欲しいと頼んだ。父の胸で泣き崩れる王儇、なぜ父はここまでしなければならなかったのか。「それは…愛のためだ、愛など知らぬと思うだろうが、ちゃんと知っている」「母亲を愛していた?」「…お前はどうだ?蕭綦を愛しているか?それとも子澹か?」「種類の違う愛だわ」「そうか、私の娘はすっかり大人になったのだな…私は間違っていた 人は若い頃に得られなかったものに生涯すがりつき、生きてしまうようだ…しかし正解も分からぬ」「…全てが終わったら母亲の隣で眠りたい?」「夙(シュク)児も大人になり、父親に逆らって自らの考えで行動した 夙児とお前の夫・蕭綦を呼んで来てくれないか?話したいことがある…頼む お前の願いはよく分かっている…私が死んだら当然、妻の隣で眠りたい 阿嫵…さあ行きなさい…早く…」王藺は突き放すように娘を遠ざけ、そっと目を閉じた。その時、王儇はふと振り返り、父が息を引き取ったことに気づく。王儇は悲しみのあまり倒れそうになったが、ふらふらと引き返し、再び父を抱きしめた。朝廷は平定され皇都に平和が戻った。王儇と蕭綦は兵を連れず寧朔へ帰ると決め、王夙は顧采薇(コサイビ)と一緒に見送りに来る。「ふっ、お前たちの手助けなく、丞相が務まるだろうか」「哥哥、きっと大丈夫よ」すると王儇は兄と采薇に婚礼を勧めた。「寂しくなるよ…」「そうね」王儇は子供のように兄に抱きついて別れを惜しみ、皇都を去った。…子澹は馬静に譲位、残りの生涯を皇帝陵で過ごした…朝廷は蕭綦の助言を受け、寧朔より北から玄漠(ゲンバク)の南までを3民族の共同居住地とし…多くの人々の暮らしも変わる…税を軽減し、農商業を重んじ、国は平和と繁栄の時代を迎え、″崇光(スウコウ)の治″と称されたあれから寧朔へ移り住んだ王儇と蕭綦は養子も増え、大家族となっていた。宋懐恩と玉岫の忘れ形見も元気に成長している。そんなある日、王儇は草原に太極殿の床にある大きな地図を模倣し、かつて祖太后から習ったように領土を学ばせた。「沁之(シンシ)、建寧(ケンネイ)はどこか分かる?」すると沁之が地図の上を歩き始める。「♪将軍はいつも城の中~兵士や丞相も城の中~建寧はここです!」「じゃあ暉(キ)州は?」「♪交通の要~天下二分の地~軍事の要地…暉州はここです!」「私たちがいるのはどこ?」「♪北に忽蘭(クラン)、南に六盤(ロクバン)〜 ♪星が降り、陽の光が差す、空と大地の間には高い山と淡い雲~寧朔は私たちの足元です!」「そうよ!すごいわ!もう地図を覚えたのね」蕭綦は子供たちの成長を喜びながら、阿嫵の大きくなったお腹をなでた。「母亲になるのは嬉しいか?」「もちろん、もうすぐ我が子に会える、そして帰る家がなくなったあの子たちもみんな私たちの子よ 立派な大人になれるよう導くわ、″人に優しく、世のために尽くしなさい″と…」完( ー̀ωー́ )<アウォ…皇后になってくれ…って、こっわっ!いや〜終わってしまいました~!最後は哥哥とアウォの別れに思わずポロリ…( ;∀;)好みはあれどやはりチャンツィイのオーラはハンパない!(笑楽しかった!
2022.04.29
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace最終話「緑梅の記憶」乾隆帝(ケンリュウテイ)弘暦(コウレキ)は慣例に従い秋の狩猟で皇室の狩り場・木蘭囲場(モクランイジョウ)に出かけた。人影もまばらとなった宮中、そこで烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)は思い出の城楼に登り、ひとり感慨にふける。その日、如懿は夜になっても亭に座っていた。侍女・容珮(ヨウハイ)は夜風が冷たいので中に入るよう勧めたが、如懿はもう少しここにいるという。「あなたもお座りなさい…」「掟に反します」「掟など、どうでもいい、今までずっと忙しく立ち働いてきたでしょう?座って、私の相手を…」容珮が腰掛けると、如懿は容珮と初めて会った時のことを思い出した。あの時、無謀にも内務府の太監に詰め寄っていた容珮、あれからもう何年も経つ。「あの日のことは死んでも忘れません、私は身寄りがいません 娘娘に目をかけられ、お仕えできて、幸運でした」「幸運だったのは私の方よ…」恐縮した容珮は茶を献上すると、如懿は喉を潤して器を返した。「あなたとの出会い以外にも色々なことを覚えているわ… 叔母上に会うため初めて皇宮を訪れた日や、赤い壁と瑠璃瓦、特に赤い壁はとても高く感じたの ″墻頭馬上(ショウトウバジョウ)″を見た時、初めて弘暦に出会った、2人で抜け出し、城楼へ登ったわ 数年後、その城楼で″一緒になろう″と言われた、″私がついている、安心せよ″と… 私が側福晋として王府に輿入れした夜は、面紗をめくり、私の様子をうかがっていた 皇后に立てられる時はこう言われたわ ″ルーイー、誰もおらぬ頂きは寂し過ぎる、そばへ来てくれ″ 私は無意識にうなずいていた、一歩ずつ彼の元へと歩き、ここまで来たの」容珮はうっすら涙をうかべ、主人の気持ちは見ていて理解できたと告げた。「にゃんにゃん…皇上が恋しいのでしょう?」しかし如懿の気持ちは違った。「色々あったわ、思い出すと昨日のことのよう…でも何もなかったようにも感じるの 恋しいかしら?…いいえ」「娘娘、宮中であまりにも苦しまれたからでは?」「宮中では誰もが苦しむ、ここ何日か多くの人を思い出すの… 叔母上、阿箬(アジャク) 、琅嬅(ロウカ)、晞月(キゲツ)、緑筠(リョクイン)や玉妍(ギョクケン)、 意歓(イカン)のことはもちろん衛嬿婉(エイエンエン)でさえも… 以前、皇上に言ったわ、後宮の争いや謀(ハカリゴト)には嫌気が差すとね 寵愛や一族を守るため、多くの命が犠牲に…馬鹿げているわ 永璜(エイコウ)と永琪(エイキ)が生きていて、璟兕(ケイジ)と永璟(エイケイ)が成長していればどんなにいいか」すると2人は美しい月を眺めた。「容珮や、想像して見て…何も起きなかった後宮を… ←imagine?w 琅嬅や晞月、緑筠、玉妍、意歓が生きていれば、どうなっているかしら? ここで彼女たちも私たちと一緒にお茶を飲んでいるかしら?…きっと皇上もいるわね」如懿はいたずらっぽく笑うと、お茶を所望した。そして容珮にも飲むよう促す。2人はまるで別れの杯を交わすように一緒に茶を飲むと、如懿は新しい茶葉に替えるよう頼んだ。如懿は枯れた緑梅の植木を見た。禁足になってから面倒を見てきたが、やはり芽は出ない…。やがて容珮が茶葉を持って戻ってきた。「にゃんにゃん?」如懿は背もたれに寄りかかって寝ているようだった。しかし声をかけても返事はなく、肘掛に第12皇子・永璂への手紙が置いてある。容珮はすでに如懿の息がないと気づき、崩れ落ちるようにひざまずいた。木蘭囲場では慶嬪・陸沐萍(リクボクヘイ)が皇帝と共寝していた。すると早朝から太監・進保(シンホウ)が駆けつける。進保は慌てた様子でひざまずくと、翊坤(ヨクコン)宮の娘娘が亡くなったと報告した。知らせによると長らく労咳(ロウガイ)を患っていながら薬を飲まず、夜更けに亡くなったという。死に顔は穏やかで、容珮もすでに殉死していた。慶嬪は好い気味だとばかりに″翊坤宮の方″なら金冊(キンサク)も印璽(インジ)も受け取っていないと揶揄し、重病を秘密にしていたのは皇上への当てつけだと非難する。しかし呆然としていた弘暦が突然、激昂した。「朕と皇后のことに口出しするな!恥知らずめ!失せろっ!」逆上した弘暦は如懿を蔑んだ陸沐萍を追い出した。驚いた進保は皇帝をなだめ、葬儀はどうするか確認する。しかし弘暦は何も聞きたくないと声を荒げ、幕舎から全員を下げた。…出発前に会った時は元気だったのになぜだ、なぜ秘密に?…薬も飲まぬとは…なぜだ?翊坤宮で如懿の葬儀がしめやかに営まれた。悪事を尽くした衛嬿婉が報いを受け、これからだという時に…。妃嬪たちは涙に暮れ、その早すぎる死を悼んだ。しかし容妃(ヨウヒ)・寒香見(カンコウケン)だけは悲しいとも限らないという。「今ごろ昔の想い人と一緒にいるはず…」弘暦は翊坤宮にやって来たが、門の前から動けなかった。そこへちょうど永璂がやって来る。「額娘は…額娘は″自由になった″と仰せでしたが、本当ですか?」すると永琪は父に母の遺書を渡した。…永璂へ…わが子よ、どうか泣かないで…額娘は重い病から、やっと解放されたわ、自由になれたの…以前に話した通り、私の望みはあなたの幸せ…やりたいことをやり、額娘と同じように自由になって欲しい…己を大切に弘暦は如懿の本心を知り、永璂に遺書を返した。「額娘の遺品だ、大事に取っておけ」すると弘暦はそのまま引き返して帰ってしまう。養心殿には切り取られた肖像画と枯れた緑梅の植木があった。李玉(リギョク)は確かに如懿が労咳だったと皇帝に報告し、薬を拒んでいたので手の施しようがなかったという。「最期は安らかでした、昼間は容珮を連れて城楼へ登られたそうです その夜、外で茶を飲みながら眠るように逝ったと… そばには12阿哥への文と、この枯れた緑梅が置いてあったそうです」「…この絵は如懿が切断を?」「はい、ご自身の部分だけを切り取り、焼いたと…」弘暦は肖像画を持って宮廷画家・郎世寧(ロウセイネイ)を訪ねた。そこで如懿が切り取ってしまった肖像画を復元するよう命じる。しかし郎世寧は無理だと言った。「皇上?この絵を描いた当時をご記憶でしょうか? お二人はとても仲むつまじく、手を握り合っていました 私が手を握った姿を描きたいと申し出たら、皇后は″しきたりに反する″とおっしゃった でも皇上は″朕の気持ちには沿っている″と仰せになりました 皇上、このような言い伝えがあるでしょう?″絵の命は人より長し″と… ですが私が思うに、時として絵は最も無意味なものです 美しく忘れがたいものは目や心に記憶が残る、絵とは比較にはなりません 絵は一度、破れたらおしまいです、だからいかに良い絵でも執着するのは無駄なのです」「描きたくないのか?」「そうではありません、復元は不可能なのです 無理して描いても同じ絵にはなりません、お許しください」弘暦はひとりで城楼に登った。2人の美しい日々はもう2度と戻って来ない。弘暦は如懿の存在の大きさを改めて思い知らされ、後悔の念に苛まれた。ひとしきり泣いていた弘暦はようやく城楼から降りた。宮道で待っていた李玉は心配していたが、皇帝から勅命を伝えられる。「皇后は奇行を重ねた、よって皇后として埋葬はせず、皇貴妃の慣例に従う 皇后に関する史書の記載や絵は全て抹消し、天下にこう告げよ、″烏拉那拉氏、死去″と」皇太后は皇帝の如懿の布告に驚いて養心殿にやって来た。「ルーイーは皇后でした、皇后として葬らぬだけならまだしも、なぜ″烏拉那拉氏、死去″と? ″崩御″とするべきでは?ルーイーは廃后だと言いたいのですか?」しかし弘暦は廃后するつもりはないが、ただ如懿が自ら皇后を降りたのだと訴えた。結局、金冊と印璽を受け取らず、薬も飲まず、肖像画まで台無しにしたという。皇太后はそれでも如懿の亡骸を純恵(ジュンケイ)皇貴妃の墓に葬り、墓碑もなく、如懿に関する記述や絵も全て記録から抹消するとはやり過ぎだと諫言した。「あの者は公然と髪を切って何度も逆らい、朕の顔を潰した 横暴な振る舞いは厳しく処罰せねば、天下に示しがつきません! …皇額娘もおっしゃいました、如懿は寵愛や権勢、皇后の位に目もくれなかったと 本人が望まぬのに無理に与えるのですか?」弘暦は如懿が宮中には合わぬ者だったという。「…あいじゃー分かりました、皇帝はルーイーを自由にしたいのですね」皇太后はならばこれ以上、何も言わないと告げ、席を立った。しかし皇帝の机の上にある設計図に気づき、思わず警告する。「懸命に消し去ろうとするのは向き合えないからでは? 忘れようとするほど記憶に刻まれるものです」弘暦の設計した図面には″梅塢(バイウ)″とあった。それから9年後、弘暦はもっぱら養心殿の梅塢にこもってばかりだった。李玉は心配して散歩でもどうかと勧めたが、そこへ進保がやって来る。「皇上、慈寧(ジネイ)宮から使いが来ました、皇太后がお呼びです」すると弘暦はようやく重い腰を上げた。殿内に飾られた梅は美しい花を咲かせていたが、如懿が残した枯れた緑梅はやはり芽が出ない…。衛嬿婉の息子である第15皇子・永琰(エイエン)が妻を娶って親王に封じられた。弘暦はこの数年の活躍を見る限り永琰が皇太子に一番ふわさしいと話す。衛嬿婉の娘である第7公主と第9公主もすでに嫁いでいた。すると皇太后は皇貴妃だけが錯乱した老婆のごとく生きていると失笑する。「永琰が立派に育ったのに、あんな母親がいては体裁が悪い…片をつけてはいかがですか?」こうして生き永らえていた衛嬿婉は皇帝から鶴頂紅(カクチョウコウ/ヒ素)を賜る。乾隆40年、皇貴妃衛氏は逝去、炩懿(レイイ)の諡号を与えられた。弘暦は第15皇子・永琰を皇太子とする密建書をしたため、小箱に入れた。「…皇阿瑪が太子を選んだ時も、こんな心境だったのか?安堵と不安が交錯しておる」すると李玉は先帝が千古稀(マレ)な名君だったからこそ、皇帝を選んだのだと告げる。そんな皇帝は出藍の誉れ、慈悲深い君主と語り継がれるだろう。しかし弘暦はふと虚しさに襲われた。確かにこの生涯、夫婦の恩情と妃嬪からの敬慕、父母の恩や子女にも恵まれたが、その半分を失っている。「…もはや朕は一介の寡夫に過ぎぬ」嘉慶(カケイ)4年、太上皇となった弘暦はすでに髪も真っ白になっていた。今でも机の上には如懿の残した緑梅がある。弘暦は久しぶりに小さな化粧箱を出すと、如懿が刺繍した紅荔(ホンリー)と青桜(チンイン)の手巾が現れた。その下には如懿が断髪した時の髪の毛が入っている。弘暦は真っ白な辮髪から少しだけ髪を切り、如懿の髪と一緒にして再び蓋を閉じた。しばらくしてまだ若い宦官がお茶を運んできた。宦官は机にお盆を置いたが、その時、枯れ木の緑梅に新芽を見つける「太上皇…太上皇!緑梅が芽吹きました!」しかし弘暦は2度と目を覚ますことはなかった。「太上皇…太上皇!」西暦1799年、清高宗乾隆帝崩御、享年89歳だった。乾隆帝の死後、清の時代に烏拉那拉氏の女子が再び妃として入宮することはなかったという。終劇全87話、約11ヶ月に渡りご紹介してまいりましたが、ついに最終話を迎えましたジョウシュンの圧倒的な演技力、バッドエンドだと分かっていても見届けられたのは主演の2人のおかげかもしれません確かに″ドロドロの後宮ものは苦手〜″と言う方には無理(断言w)でもその奥にある世界観に入れる人には忘れられない作品の1つになると思います
2020.04.05
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安乐传 The Legend Of Anle第38話余命わずかとなった洛銘西(ルォミンシー)。琳琅(リンロウ)は必ず治せる医者を探すと励まし、都では育たないと言われた長思花(チョウシカ)も花をつけたと奇跡を信じた。しかしすでに心身ともに消耗した洛銘西はこれが寿命だと受け入れているという。「ご苦労だったな…」すると洛銘西は優しく琳琅の頭を撫でた。「ところで冷北(ランベイ)の消息は?」「庶民に落とされ、辺地に放逐されたと聞きました、今、捜索中です」一方、帝梓元(ディヅユアン)は口がきけない侍女として韓燁(ハンイェ)の世話を始めた。しかし早朝、梓元はうっかり韓燁の着替中に部屋に入ってしまい、出て行けと叱られてしまう。それでも梓元は引き下がらず、半ば強引に韓燁の身支度を手伝った。侍女が梓元だと勘づいている韓燁。そこでわざと困らせて梓元を下山させようと企むが、梓元はどんな嫌がらせにも耐えた。↓お茶にケチつけて何度も入れ替えさせ、結局いらないと言ってみたり…↓日差しが強いとか風が強いとかこき使ったり…↓思い出の魚料理にキレてみたり…頑なに心を開かない韓燁に尽くす梓元。その日は下山して任(レン)府へ戻り、長思花が見つかったか聞いた。やはり簡単には手に入らなかったが、決して諦めないと自らを奮い立たせ、伏翎(フクレイ)山へ戻る。すると日が暮れたというのに韓燁は独りあずま屋で苦手な酒を飲んでいた。「(はっ!)なぜまだいる?!」「(指でなぞる梓元)…何?!″離れない″だと?!」梓元は泥酔するとたがが緩む韓燁の姿に思わず失笑しながら、居所で休ませた。「普段は穏やかなのに、侍女にあんな口を利くなんて…見かけによらず意地悪なのね?ふふ 韓燁ったら、私は安楽寨(アンラクサイ)の寨主で帝家軍の統帥よ? 威張っていじめるのを内心、楽しんでいない?この日を待っていたんでしょう? あなたは私のために光を失い、こんなに卑屈になってしまった 韓燁…後悔している?」翌日、韓燁は侍女と梅林を歩いた。すると風が吹いて梅の花が舞い落ちてくる。「この香りは梅の花だな…」韓燁は安楽と転落した谷底で見た梅の木を思い出しながら、これで終わりにしようと決めた。「…帰るんだ、花の盛りは過ぎ、じきに散り果てる 君の目なら山河を見尽くすことができる、枯れ枝を見せるのは忍びない」「韓燁…なぜなの?」梓元はついに口を開いた。「梓元、帝家にとって韓家は敵だ… 何より戦の後で情勢は乱れている、私では君を守れぬ、山を下りろ」「守ってくれなんて頼んでいない!私の欲しいものが何か分かっているの?! 私の名前が何であれ太子・韓燁を決して諦めない、あなたも私の言葉を忘れないで」梓元は任府に戻った。すると帝燼言(ディジンイェン)が現れ、韓燁の持ち物から見つけた姉宛の文を渡して帰って行く。実は韓燁は決戦の前、青南山こそが自分に相応しい死場所だと覚悟を決めていた。…梓元、安寧(アンニン)が青南城を死守した訳が分かった帝家への罪悪感だけではない、足元に広がる国土と己が背負う国、美しい山河を守るためだ私は皇太子、この地で生まれ育ち、この地で死ぬ、それでいい黄泉の国に行ったら帝家一族と8万の将兵に慚愧(ザンキ)の念なく向き合いたい悔いを残したまま韓家の祖先の前に立つのは嫌だ国と民に対して思い残すことはない、ただ君だけが心残りだだが時は流れ、世は移り行く私たちは皮肉な運命に翻弄されたが、君にはこれからは笑顔で生きて欲しい何事にも煩わされず、心のまま平穏で楽しい日々を君を想い続けた人生だったしかし求め得ぬなら胸に秘めておこう、梓元、君を愛している…梓元は自分が韓燁の人生を台無しにしたのだと思うとやるせなかった。「必ず連れ戻して見せる…」そこで翎湘楼(レイショウロウ)に洛銘西を訪ね、協力を求めた。韓燁は吉利(キツリ)から洛銘西が梓元を娶ると聞いた。しかし韓燁は動揺を隠し、酒を持ってくるよう頼む。「祝宴に出られない代わりにせめて祝杯をあげよう」その夜、洛銘西も琳琅に梓元を娶ると伝えた。「私が去ったら翎湘楼はお前に譲る、ここで隠棲するといい」「大人(ダーレン)がいない翎湘楼に隠棲して何になりましょう…」すると琳琅は別れの印に舞を披露したいと言った。琳琅は月明かりのもと、天女のごとく美しく舞った。すると洛銘西の背後に忍び寄る刺客に気づき、咄嗟にかばって刺されてしまう。崩れ落ちる琳琅を抱き止め、呆然となる洛銘西。実は刺客は皇族を追われた莫北(モーベイ)だった。その時、千月閣(センゲツカク)が駆けつけ、驚いた僕北は露台から飛び降りて脱出してしまう。「琳琅!しっかり、すぐ医者を呼ぶ、大丈夫だ」「大人の腕の中で死ねるなら本望です…ずっとおそばにいたかったけれど… 願いは叶いそうにありません…大人…大人は誰からも愛される女子になれとおっしゃった… でも…私が愛して欲しい方はこの世にただ1人…琳琅はずっと…ずっと…」しかし琳琅は最後の言葉を伝えられぬまま事切れてしまう。。゚(∩ω∩`)゚。知らせを聞いた梓元が翎湘楼に駆けつけた。「これからは自分で身体を大事にしなくちゃ」「…ずっと心配だった、私が去ったら琳琅は独りで生きていけるのかと だが実は私が琳琅に頼っていたんだな」「どこかへ行くつもり?」「いや、ここを引き払って靖南に戻るつもりだった」洛銘西は梓元を心配させまいと嘘をついた。すると梓元は何にせよ安寧と琳琅の敵を討たねば戻れないという。実は冷北は敗戦を咎められ身分を廃された恨みから、梓元たちに復讐しようと都に潜伏していた。ある夜、莫北は懐かしい公主府に足を踏み入れた。巷の噂では人けのない公主府に夜な夜な安寧将軍の魂が灯をともすという。しかし中庭で待っていたのは白髪になった帝梓元だった。「冷北、ずい分と待たせてくれたわね」すると洛銘西が射者隊を率いて現れ、莫北を包囲した。莫北は偽の噂で誘き寄せられたと気づいたが手遅れ、あっけなく生け捕りにされてしまう。「お前の心は何でできている?いずれ腹を割いて見せてもらおう その前に酷刑に処さねば…安寧と琳琅の魂が浮かばれぬ」韓燁が中庭で棋譜を解いていると、ようやく洛銘西が現れた。「梓元と幸せに…」「太子妃を私に嫁がせていいのか?」「太子妃か…私でさえ忘れていた」思えば韓燁の梓元への固執こそが洛銘西の策謀の起点となった。しかし当時は梓元が執拗に韓燁に絡んで怒らせたため、計画が狂わないか気が気でなかったという。「意外にも私は耐え抜いたのか…」「そうだ、まさか太子殿下が女海賊に惹かれるとは予想外だった」すると洛銘西はこらえきれず咳き込んでしまう。「梓元を守るためにも早く身体を治せ」「大事ない、持病だ、それにこれでも太子殿下より気が回る」「ふふ、荒唐(ファンタン)」洛銘西は黙って開花した長思花を置いて帰って行った。そうとは知らず、韓燁は今でも肌身離さず持っている赤い石を手に取り、当時を懐かしむ。一方、任府では婚礼の準備に追われていた。すると苑書(エンショ)が朗報を伝えてくれる。「小姐!長思花が手に入ったそうです!」つづく( ๑≧ꇴ≦)回想シーンでスカイダイビングはやめて!頼む!w
2024.06.06
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花琉璃轶闻 Royal Rumours最終話「太平の世の礎」崖から落下した皇太子・姫元溯(キゲンソ)と花琉璃(カリィウリ)。しかし2人は運良く枯れ枝の上に着地し無事だった。「私から離れるな、この通りだ、そばにいてくれ」元溯は改めて琉璃の大切さを痛感し、思わず口づけした。翌朝、英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)はまだ皇太子と花郡主を探していた。従者の金瓜(キンカ)と銀瓜(ギンカ)は姫元溯が消えれば英王が皇太子になれると喜び、実は賢(ケン)妃からも皇太子が弱っていたら一思いに殺せと命じられたという。これに姫元灝は激怒した。「身を挺して賊を引き離してくれた太子の危機につけ込むとは何事か!うせろ!」興奮した英王はうっかり足を踏み外し、崖から滑り落ちてしまう。すると偶然にも崖下にいる皇太子と花郡主を発見、兵を呼んで2人を引き上げた。しかし琉璃は搬送中、最期まで自分を守ってくれた宋光(ソウコウ)の亡骸を見つけ、泣き崩れてしまう。皇宮では昌隆(ショウリュウ)帝と護国大将軍・花応庭(カオウテイ)が一緒に息子と娘の帰りを待っていた。皇帝は皇太子の計画に従い、仮病を使って逆賊を掃討したが、駙馬・謝臨州(シャリンシュウ)が皇后の謀反の一味の残党で林(リン)妃と通じていると知り、心痛に堪えないという。すると無事に2人が戻って来たと報告が来た。姫元溯は琉璃を東宮で休ませ、雲寒(ウンハン)の罪状書に目を通した。…誠意をもって接してくださった殿下に残る命を捧げ、死に花を咲かせる所存です、殿下にお許しは請いません、志を果たされますよう、来世では全身全霊でお仕えします…「出かけるぞ、用意しろ」小八(ショウハチ)が馬車の準備に出かけると、皇帝と花将軍が駆けつけた。花応庭は寝台で倒れている娘に駆け寄ったが、琉璃はこっそり父の袂を引っ張って狸寝入りだと合図する。すると元溯は皇帝に琉璃をこのまま東宮で静養させたいと懇願した。花応庭は娘の体面を考え連れて帰ると言ったが、元溯は思わず自分の″皇太子妃″だと口を滑らせる。「認めていただけるなら側室は持ちません、妃は琉璃1人です 政(マツリゴト)は余しだいですが、余は琉璃しだいです、これでいかがですか?」その時、琉璃がわざとらしく咳をして目を開けた。「殿下、おでかけになるなら私も一緒に…」そこで元溯は皇帝に今日中に婚約したいと訴え、花応庭の説得を任せた。裴済懐(ハイセイカイ)は城門を封鎖、謝臨州は玉京を脱出できなくなった。楽陽(ラクヨウ)長公主は自分と娘を巻き込むなと反発したが、激怒した謝臨州に毒薬を無理やり飲まされてしまう。「長公主は故郷を思うあまり声を失った、すぐ故郷に戻らねば…」長公主の馬車が延啓(エンケイ)門に現れた。謝臨州は車の帷をあげて楽陽の具合が悪いと訴えたが、その時、皇太子が駆けつける。「もう芝居は良い、雲寒の命を償ってもらう」「死んだと?…では″死人に口なし″では?」すると謝瑶(シャヨウ)が車から飛び降り、母を助けて欲しいと泣きついた。しかし楽陽が逃げ遅れ、謝臨州に捕まってしまう。元溯は叔母の命には代えられず開門を命じたが、馬車が城門を出たところで弓矢を放ち、馬を御していた謝臨州を仕留めた。姫元溯は馬車で待っていた琉璃の元に戻り、2人で冷宮の林氏を訪ねた。「やっと来たわね」謝臨州は謀反を起こした皇后の配下だった。当時、挙兵に失敗するも逃げ延び、反旗を翻す機会をうかがっていたという。実は″雲倉嶺(ウンソウレイ)の役″で暗躍していたのも謝臨州だった。「あなたの母親を殺したのは私よ」子のない皇后は姫元弘(キゲンコウ)の即位を約束し、林氏を懐柔したという。「それが手違いで毒入りの煎じ薬をあなたではなく、あなたの母親が飲んでしまったの…」「ではおあいこだな、お前の想い人は余が殺した」林氏は愛する人が死んだと聞いて呆然となった。しかし元溯は謝臨州に愛などなかったと指摘する。「謝臨州は自分の退路を残すため、太平宴でお前に正体を現させたのだ お前はあの者に利用されたに過ぎぬ」「違う!全ては元弘のためよ!」琉璃は三皇子を口実にするなと非難した。すると元溯は三皇子から託された絵を渡し、琉璃を連れて帰ってしまう。三皇子が描いた母の姿絵は優しく穏やかな笑顔だった。…母妃、私は何も望みません、笑顔の母妃とずっと暮らしたい、皆が楽しく暮らせることが望みです…林氏は息子の絵を見ながら自分の過ちの大きさに気づき、その場で泣き崩れた。姫元溯と琉璃は高台から眼下の町を眺めた。「殿下、もう戦は起こりませんか?」「私とそなたがいる間は起きまい」「では私たちは縉(シン)国の礎を守ったのですね?」琉璃は父から家族だけではなく縉国の民すべてを思い、愛する故郷だけではなく国の門を守るのだと教えられていた。実は元溯も父皇から国家とは領土ではなくこの地で暮らす民だと教えられたという。一方、金珀(キンハク)国に戻った第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)は亡き琉璃を思いながら、城楼で独り酒を飲んでいた。まさか同じ朝日を琉璃が愛する皇太子と一緒に眺めているとは夢にも思わず…。玉京に平穏な日々が戻った。英王と田嘉敏(デンカビン)は想いが通じ合い、笑顔の絶えない毎日を過ごしている。鳶尾(エンビ)も裴済懐とのわだかまりが解け、ささやかながら幸せな時間を手に入れていた。そして深窓の令嬢だった杜琇瑩(トシュウエイ)も今や祖父のように清貧な師匠となり、独りでも強く生きている。その腰には″寒″と彫られた玉が下がっていた。「会わぬのか?」酒楼の露台にいた姫元溯と雲寒は偶然、大街を歩く杜琇瑩を見かけた。しかし雲寒は杜琇瑩とは会わないという。「私は死んだ…それでいい、江湖では危険と取り合わせの身ですから」「では私の婚儀は?」「十分なご祝儀を贈ります、ふふ」「気持ちだけ十分だ」その頃、賀遠亭に思いがけない招待状が届いた。…縉国郡主・花琉璃より、金珀国の敗将・二皇子へ招待状を送る太子・姫元溯と郡主・花琉璃の婚礼に祝儀を携えて来られたし…「ふっ、何と生きていたのか…生きているならまだ終わりではない、また会う日も来よう」皇太子と花郡主の婚礼当日、2人は家族や友人たちに見守れ、拝礼の儀を執り行った。幸せに包まれる琉璃だったが、実は思いがけず夢がついえてしまったという。「馬鹿馬鹿しい夢ですが、歴史に名を残す病弱美女になりたかったのです 両親も兄も応援してくれました まさかこんな無邪気な私の心を理解してくれる人がもう1人いるなんて… 殿下に会えて幸せです、でも私が殿下を救ったことが都中に知れ渡り、たくましいとばれました 殿下を救えたのは嬉しいけれど、長年の夢が…」「そなたは私のために夢を捨てたのだな」「殿下にはその価値があります」そこで姫元溯は史書に自分の妃が縉国の歴史上、最も美しい病弱美女だと記し、琉璃の夢を叶えると約束した。おわり(´・ω・`)ァァァァァァァァ…最後の最後に悪手を使うとは…ラブコメに良くある手法だけど、興醒めしちゃうのよね〜さて反省会場はこちらです( ̄▽ ̄;)病弱設定はてっきり花家への批判をかわすためだと思ってたまさか病弱美女になることが夢で、家族も応援して送り出してくれただと?最初から言って欲しかったわ〜そもそも皇太子が琉璃を呼んだって、聞いてないわ___え?言ってた?あ、私が見てなかっただけかもw
2024.03.27
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长相思 第二季 lost you forever S2第10話軹邑(シユウ)城に小夭(ショウヨウ)の医館・回春堂が開業。西炎瑲玹(セイエンソウゲン)は開業祝いに小夭の右腕として医者・鄞(ギン)先生を派遣し、塗山璟(トザンケイ)は自分が題した扁額を贈った。大街に鳴り響く爆竹の音、そんな中、小夭と塗山璟は仲睦まじい胡珍(コチン)と静夜(セイヤ)の姿に気づく。「私たちのために自分たちのことは胸に秘めていたのだ、随分と待たせてしまった」「私たちからお祝いを贈りましょう」「ああ、″私たち″から」塗山璟は小夭の言葉が嬉しかったが、ふと九尾狐の鋭い嗅覚がある人物の存在に勘づいた。「どうかした?」「いいや…」王后・辰栄馨悦(シンエイケイエツ)は医館の開業を見ようとお忍びで外出していた。しかし塗山璟に気づかれ、慌てて引き返す。侍女・鈴蘭(リンラン)は道すがら、西炎王がなぜ王姫と塗山璟の恥知らずな行動を戒めないのか分からないと憤った。「たとえ口を出しても何もできないからよ」小夭と塗山璟の復縁は順風満帆に見えたが、今頃になって皓翎第一王姫が赤宸(セキシン)の娘だという噂が広まった。塗山璟は一族の力を集結して揉み消そうとするも失敗、噂の出所を調べても分からない。そこで自ら古蜀(コショク)の西陵(セイリョウ)氏と北流(ホクリュウ)城の鬼方(キホウ)氏を訪ねることにした。「噂を流したのは辰栄氏や赤水(セキスイ)氏かもしれぬ、豊隆(ホウリュウ)は卑怯なことはせぬが…」塗山璟は王后の仕業を疑って3氏族の力で封じ込めようとしたが、なぜか噂を止められなかった。赤水豊隆は西炎王に水軍の訓練の完了を報告、武器や糧秣も全て整えたと伝えた。「今なら全軍の士気も高いので出陣すれば勝利は確実です!」しかし瑲玹はまだやるべきことが残っていると言った。「これは自ら処理せねば…」一方、軹邑城に戻った塗山璟はその足で回春堂を訪ねた。塗山家は一族の名誉を守るため防風意映(ボウフウイエイ)が病だと公表していたが、年明けには病死したと公表し、1年の喪が明けてから小夭との婚礼を相談するという。小夭は構わないと笑顔を見せ、父王と会って事情を説明して欲しいと頼んだ。すると塗山璟はあえて巷で小夭の噂が広まっていると明かしてしまう。もはや小夭の耳に入るのは必至、隠し切れないなら自分の口から伝えた方が傷は浅いだろう。「…言わせておけばいいわ、どうせ何もできないから」塗山璟は強がる小夭を優しく抱きしめた。「私は赤宸の娘なのかもしれない、これは子供の頃からの悪夢なの だから家を失い、辛酸をなめようと五神山に戻れなかった もう過ぎ去ったこと、そう思っていたのに悪夢が追いかけて来た」「心配ない、私がついている、君は君だ、君が誰の娘だろうと生涯、離れないよ」小夭の出生を巡る噂話は止まることを知らず、ついに西炎の朝議で重臣たちが諫言する事態となった。「このままでは陛下の名声まで脅かされます!皓翎第一王姫を皓翎へお戻しください」しかし瑲玹はむしろ噂が事実なら小夭を無関係の皓翎に帰す道理などないと一蹴した。「皓翎玖瑤は西炎の王姫大将軍の娘、開国の君主である太尊ご自身が孫と認めている なのに追い出せとは…ならば私も辰栄山から追い出す気でいるのかっ?!」瑲玹は声を荒らげ、追及するなら沐斐(モクヒ)と同じ轍を踏むことになると釘を刺した。小夭の噂は皓翎王の耳にも届いていた。そこで小月頂に小夭が喜ぶ貴重な薬材を届け、根も葉もない噂など気にするなと文を送る。小夭は父王の気遣いを喜び、年明けには必ず塗山璟を連れて父王に会いに行こうと決めた。塗山璟は族長として新年の祭祀を行わねばならず青丘に戻った。こうして迎えた除夜。辰栄馨悦は慣例通り西炎王と王后が過ごす夜を楽しみに待っていたが、使いから西炎王が来られないと報告が来た。しかし鈴蘭は他の妃嬪の宮殿に行ったのではなく、太尊に孝を尽くすため小月頂に行っただけだと安心させる。これがかえって馨悦を苛立たせた。「他の妃嬪が相手なら正々堂々と争える…寵愛を争うことさえ許されないなんて」一方、瑲玹は小月頂で太尊と小夭と3人で新年を迎えていた。小夭は酔った勢いで自分が誰の娘なのか祖父に尋ねたが、太尊は父親について何も分からないという。「誰の娘にせよ、そなたが私の孫であることに変わりない」塗山璟が青丘から戻った。その夜、小夭は男装して瑲玹と塗山璟の3人、路地裏にある焼肉の店に向かう。「前に友達と来たの」「防風邶(ボウフウハイ)とか?」瑲玹の鋭い指摘に言葉を失う小夭、すると塗山璟が助け舟を出してくれる。「空腹だ、話は食べながら」そんな3人の様子を密かに相柳が見ていた。瑲玹は隣の席に座ったのが離怨(リエン)将軍たちだと気づいた。しかしいくら衝立てで仕切られてるとは言え、小夭は全く声が聞こえないことを訝しむ。瑲玹は″遮音の術″だと教えたが、小夭は何を話しているのか気になった。「璟、連中の話を聞く方法がない?」すると塗山璟は西炎王の許可を確認してから遮音の結界に穴を開けた。離怨将軍は義弟と甥から王姫の噂は本当かと聞かれていた。驚いた塗山璟は術を解こうとしたが、小夭は聞きたいという。「王姫が誰の娘かは知らぬ…だが大将軍と赤宸の別れの抱擁を見かけたことがある 将兵たちが何事かと2人を取り巻いて問いただした 大将軍は皆の前で赤宸と想い合う仲だと認めたよ お前たち、赤宸を恨む者に噂を広めろと唆されたな? 言っておくが大将軍の娘を傷つける者は決して許さぬ、分かったか?! 確かに赤宸は私たちの敵だ、だが尊敬に値する男だった」すると離怨将軍が席を立ち、そこで3人とも帰ってしまう。「聞いた?やっぱり私は赤宸の娘なのね…」小夭は深く傷つき、独りになりたいと言って飛び出してしまう。店を出た瑲玹は暗衛の瀟瀟(ショウショウ)に小夭を護衛するよう命じた。「小夭は私が小月頂に送り届ける、帰って休め」「陛下、なぜこんな真似を?」「どうして分かった?」塗山璟は3氏族の力を借りるも噂を止められず、王后の仕業ではないと気づいたという。「あの3人が店に来たのも陛下のお考えですね?つまり小夭にわざとあの話を聞かせた」瑲玹は赤水豊隆から聞いていた通り塗山璟の知恵は天下一だと感心、これも小夭を守るためだと明かす。「陛下のお考えに口を出すなどもっての外、しかし小夭にはご配慮を…」しかし瑲玹は不機嫌そうに帰ってしまう。その頃、小夭は赤宸を知る辰栄軍の生存者・離戎戟(リジュウゲキ)の店を訪ねた。すると月明かりが差す部屋の中で離戎戟の霊位を見つける。「勇気を出して会いに来たのに…もういないなんて… 誰もが赤宸を憎んでいる、だから憎んでいない人の話が聞きたかった 恨むべきではないと言って欲しかったのに!」小夭はせきを切ったように号泣、その時、思いがけず相柳が現れた。「どうしてここに?」「友を弔いに来たらお前がいた…どうやら噂は本当のようだな」相柳は小夭が心配で密かに後をつけていたがおくびにも出さず、わざと小夭を怒らせた。「天下に聞こえた悪者が父親と知ったんだ、気持ちは分かる」「黙れっ!」「だが赤宸を知らぬとしても自分の母親まで疑うのか?」「黙れってば!」「お前は両親がいる、私よりましだ、私のように卵から生まれた妖怪は親を知らぬ 頭が9つもあるゆえ幼い頃から飢えとの闘いだったよ しかも九頭は互いに命を狙う、飢えが酷いと別の頭を食おうとした」( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)<じぇんだ(真的)?( ゚ェ゚)<嘘だつづく( ๑≧ꇴ≦)オイオイオイオイ…なんだその慰め方w
2025.01.12
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第23話)第50話「我が名は…」文(ウェン)帝の命を受け、崖から落ちた凌不疑(リンブーイー)の捜索に向かった三皇子。深手を負った不疑はかろうじて山肌の蔓に絡まり生きていた。三皇子は懸命な救出作業を見守っていたが、程少商(チォンシャオシャン)の心配が的中し、左(ズオ)将軍が引き上げを手伝うふりをして縄を切ろうとする。しかし目を光らせていた三皇子が気づき、あっけなく捕まった。「…呼応する仲間を待っているのか?だが奴らは永遠に来ないぞ 収監して拷問せよ!死んでも構わぬ!」凌不疑は崖から引き上げられ、三皇子が急いで宮中に運び込んだ。皇帝と三皇子が見守る中、医官たちの懸命な治療が続いたが、不疑は琴の弦を握りしめたまま離さず、なかなか手当が進まない。「琴の弦?」「少商の弦です…意識を失っても誰にも触らせないとは…」皇帝は老三の話を聞いて少商がいないことを思い出し、すぐ呼ぶよう命じた。曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は程娘子ならすでに回廊にいると伝えたが、本人曰く凌将軍とは縁が尽きたので会えないという。「首に縄をつけても連れてこい!」しかしその時、殿外から少商の笛の音が聞こえてきた。凌不疑は叶わなかった少商との成婚の夢を見た。…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!…このまま死を選べば2度と少商は許してくれないだろう。走馬灯のように蘇る少商との思い出、それが不疑の生きる希望となった。…それから別院に花畑を作る、琴と笛で合奏するの、私たち2人で共白髪となり生死を共に…すると不疑は弦から手を離し、それまで無意識に受け付けなかった薬を飲み始めた。こうして不疑は峠を越え、夜が明ける。「もう凌将軍は大丈夫です!」医官の声を聞いた少商は部屋の中をのぞき、不疑の無事を見届けてから倒れた。少商が目を覚ますと皇后が付き添っていた。「せっかく子晟が目覚めたのに、そんな様子では心配になる」「…彼とはもう終わりです」少商は自分が子晟でも同じ選択をしたと理解を示したが、何が真心で何が計略なのか分からなくなったという。「あんな仕打ちは承服できない、敵を殺したいのなら、そう言って欲しかった 私も一緒に行く、たとえ黄泉だとしても一緒に行くのに… でも私を独りにするのは許せない、しかも私のためだなんて… 幼い頃は両親に捨てられ、今度は愛する人に捨てられた 陛下と皇后から教わりました、夫婦は一心同体だと…そうでしょう? でも私だけが一心で彼は隠し事ばかり、一心だったことがあったのでしょうか?」「…もう決めたのね?」「決めました」すると皇后は納得できるまで調べるよう勧めた。全てが分かった時、少商がどんな選択をしても支持するという。「余とは違ってあなたの人生は順当であって欲しい、余の分までしっかり生きるの」少商は袁慎(ユエンシェン)に頼んで淳于(チュンユー)氏と会うことにした。実は淳于氏は血の海の城陽侯符を目撃し、衝撃のあまり錯乱してしまったという。人を見ても暴れるだけで会話もできず、今は廷尉獄に収監されていた。実は少商は兼ねてから城陽侯夫妻が仲睦まじく見えず、凌益(リンイー)がなぜ非難されると知りながら後添えを迎えたのか疑問だったという。「そうか、弱みを握られ、娶るしかなかったと…」少商は淳于氏に凌益が死んだと教えた。「当時、あなたが流産した理由を知ってる?家職に聞いたの 凌益はあなたの飲食に薬を盛らせた、長年、服用すれば身ごもれなくなるわ 彭坤(ポンクン)と結託した証拠を握れば城陽侯夫人になれると思ったの? 凌益のごとき奸人が脅されたままで甘んじるはずない あなたが寄る辺もなく孤独に死ぬのを望んでいたのよ、そうしてこそ脅す気力も失せる …でも錯乱しているなら真相を知っても苦痛じゃないわね」淳于氏は激しく動揺すると、ふいに凌益に叩かれた時の事を思い出した。あの時、あまりの理不尽さに憤り、いつも手を合わせていた神像を三才観の汝陽(ジョヨウ)王妃に届けるよう頼んでいる。すると淳于氏は急にその場にひざまずき、手を合わせて一心不乱に祈りを捧げ始めた。「三才観の女媧様!私にどうか子供をお授けください…」袁慎は結局、淳于氏が錯乱しているのか偽りなのか分からなかった。すると少商はどちらにせよ生き延びるには錯乱するしかないという。「因果応報よ、これから三才観へ行く」意識を取り戻した凌不疑は朝堂で15年前の孤城陥落について証言することになった。皇帝は念のため医官を待機させ、その場で薬を煎じさせている。すると廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が口火を切った。「教えてくれないか、当時、孤城で一体、何が起きたのか…凌将軍?」「私は霍(フォ)だ、凌ではない」今も忘れられない、あれは杏の実がなる頃だった…あの日、阿猙(アージョン)は身体が弱い阿狸(アーリー)のため、木に登って好物の杏を採ってやったしかし木から降りる時、うっかり衣が引っかかって破れてしまう『阿母が用意してくれた衣なのに…見つかったら罰を与えられる』『見せて…大丈夫、僕と衣を替えよう』阿狸は衣を交換して舅父・霍翀(フォチョン)が気づくかどうか試そうと提案した衣なら自分が破ったと言えばいいという『この杏は舅父と舅母に渡して、そうすれば阿母の前で僕をかばってくれる』阿猙は阿狸の衣を着て父の部屋に入り、書卓に杏を入れた袋を置いたすると外から父たちの声が聞こえ、咄嗟に衝立ての裏に身を隠す衝立ての隙間から見えたのは父の背中の傷を手当しながら撤退するよう説得している姑父・凌益の姿だった『援軍が遅すぎる、文氏は我らを見捨てた…将軍、孤城を守ってやる必要はありません』しかし霍翀は一蹴し、妹婿という立場に免じて聞かなかったことにすると言ったその時、阿猙は凌益が背後からいきなり父を刺すところを目撃する『ぐっ…やはり敵と通じていたか…』『なぜ降伏せぬのだ?英雄になるため我らまで道連れにすると?! 援軍は来ない、いや来られぬのだ、誰も来ない…』阿猙は父の最期を目の当たりにしながら、嗚咽が漏れないよう必死に自分の口を押さえた…「凌益の結託した相手が誰なのか謎のままでした しかし寿春(ジュシュン)で突き止めたのです、凌益と共に孤城を陥れたのが彭坤だと…」…阿猙が息を潜めて隠れていると、誰かが入って来た『投降の説得では?なぜ殺した?!』『霍翀は強情だ、絶対に投降などしない…殺さねばいつか報復される だが家族は見逃せるだろう?』『誰が見逃すと?霍翀がいなくなったのなら攻める絶好の機会だ 孤城が陥落すれば文帝の敗北を決定づける、共に主公を入城させるぞ』『騙したのか?!家族は見逃すという約束だ』『お前だけだ、どちらにせよ兵が殺す』すると凌益たちは出て行った阿猙の足元まで流れて来た霍翀の鮮血、すると建物に火が放たれ、阿猙は煙を吸い込んで気を失ってしまうしかし運良く、その日は孤城に大雨が降った阿猙が目覚める頃にはすっかり日も暮れ、外は見渡す限りの骸と血の海が広がっていたすると突然、父の妹・霍君華(フォジュンホワ)が現れ、生き残った2人は身を隠すことにするその時、稲光が暗闇を照らし、城門が見えた霍君華は悲鳴を上げ、咄嗟に甥の顔を手で覆ったが、阿猙は姑母の指の隙間からその情景を見てしまう城楼には父や叔父たちの生首が並び、その中に阿狸の顔があった…「衣を替えた阿狸は私の代わりに死んだのです」2人は賊軍がいなくなるまで丸二日、飲まず食わずで死人の山に隠れ、城門を逃げ出した。我が子の無惨な姿を見た霍君華は時に錯乱し、時に呆け、ずっと息子の名を叫びながら、都へ戻ろうと言い続けたという。そして2人は何度となく死にかけること2年、やっと都へ到着し、皇帝に謁見した。実は当時、霍君華は甥が凌益に殺されないよう阿狸と呼んでいたという。『童よ、そなたは…』皇帝はあの時、不疑に名を聞いた。しかし錯乱した婦女と幼子に過ぎない自分たちに闘う術などなく、不疑は身分を偽ったという。『私の名は…凌不疑』不疑は敵を討つために阿狸の身分でいるしかなかった。賊を父と見なし、本名を隠したのも全ては仇を葬り去るためだったという。「父のため、霍一族のため、孤城の民のため、孤城陥落に関わった者には代償を払わせる! それも達成間近と思えた… 都へ戻った私は密かに探り始めるも、凌益が次々と証拠を隠滅、そして結局、私は負けた 凌益は関わった者を彭坤も含めて全て殺害、姑母も身体が持たずに無念のうちに病死した… こうして証人が全て消え、望みは潰えた 正当に凌賊を捕らえられぬなら、自ら手を下すのみ…」「これぞ同害報復…」皇帝は不疑の前まで歩いて行くと、もう一度、あの時と同じように聞いた。「童よ、自ら言ってみよ、お前の名は?」「私の名は…霍無傷(フォウーシャン)」つづく。゚(∩ω∩`)゚。 しゃんしゃ〜ん!
2023.12.03
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偷偷藏不住 Hidden Love第8話桑稚(サンジー)の失踪騒動は無事に解決。両親は娘の思わぬ行動に動揺し、食事をしながら言い聞かせることにした。しかし桑延(サンイエン)は妹の片思いでフラれてしまったと明かす。「あいつも反省しているし、俺も説教したから十分だよ あいつはプライドが高いから諦めると決めたら諦めるさ」桑栄(サンロン)は確かに思春期に反抗するのも普通だと納得し、黎萍(リーピン)もこれまで通りに振る舞うと決めた。「でも身分証とスマホは預かりましょう」部屋に戻った桑稚は真っ先に段嘉許(ドワンジアシュー)との思い出を片付け始めた。するとふと思い出して牛乳瓶から願い事の短冊をひとつ取り出し、星形を解く。…✩°。私の夢✩°。その1宜荷(イーホー)大学✩°。その2段嘉許✩°。…桑稚は″その2″の夢だけペンで消すと、最後にいつも一緒に寝ていた狐のぬいぐるみを箱に押し込んでふたをした。11月5日土曜日 嘉許哥、再見了(白熊のぬいぐるみを持って笑顔で見送る段嘉許の絵)あれから2年。桑稚は夢が叶い宜荷大学に合格、学生寮で新しい生活を始めていた。ルームメイト3人は個性がばらばらながら、姉妹のように仲良く暮らしている。派手好きで賑やかな寧薇(ニンウェイ)、スケボーやゲームが好きな虞心(ユーシン)、メガネっ子で真面目な汪汪(ワンワン)。そんなある日、何冊も本を抱えて歩いていた汪汪は誰かとぶつかり、本をぶちまけた。すると運動場にいた男子学生が駆けつけ、一緒に拾ってくれる。「随分たくさんあるね、どこまで運ぶの?」「デジタルメディア科よ」ランチタイム、汪汪は遅れてルームメイトと合流した。社交的な寧薇は汪汪と一緒にいる男子学生に興味津々。「こちらは…」「あ、初めまして、体育学部で長距離走チームやらせてもらってます江銘(ジャン・ミン)です」「私たちはデジタルメディア科でルームメイトなの せっかくだからSNSを交換しない?明日の誕生日、体育学部の人たちにも祝って欲しい!」「いいよ、後で場所を送って」汪汪は優しい江銘に好感を持ったが、江銘の目に留まったのは桑稚だった。翌日の寧薇の誕生日。桑稚たちはカラオケ店のロビーで江銘が来るのを待っていた。すると江銘が体育学部の友だちだけでなく後輩やサークル仲間まで連れて来てくれる。思いがけず大勢から誕生日を祝われ大喜びの寧薇。実はその店には偶然にも同僚たちと一緒に遊びに来た段嘉許がいた。〓第八篇 ~巡り合わせ~ 再会の前にさようならを〓誕生日パーティーは予想以上の人数で大盛り上がり。江銘はお目当ての桑稚と親しくなりたかったが、なかなかきっかけがつかめなかった。すると桑稚は外の空気を吸いたくなり、自分の上着を持って部屋を出てしまう。店の外に出た桑稚がポケットからスマホを取り出すと、一緒に入っていたタバコが落ちた。タバコを拾おうと手を伸ばした桑稚、その時、懐かしい声を耳にする。「サンジー?」顔を上げた桑稚は段嘉許の姿を見て呆然、そのまま固まった。( ꒪ω꒪)・・・段嘉許は桑稚が落としたタバコを没収した。焦った桑稚は友だちが間違えて自分の服に入れただけだと釈明したが、今度は酒を飲んだかと問い詰められてしまう。「久々に会ったのに挨拶もなしか?ん?」「ジアシュー哥…」「なぜ連休に連絡しない?」「授業があった、いやその~バイトが」段嘉許はしどろもどろになる桑稚に呆れた。「この恩知らずめ、小朋友は薄情だな…俺が何か悪いことをしたか?」「何を言い出すの?…ともかく私はもう大人よ、″小朋友″呼びはどうかな?」「だってまだ小朋友だろう?ふふ」「そうね、まだ小孩儿よね…でもあれから2年よ?嘉許哥だって年を取った、世の中も変わるの」すると憤慨した段嘉許は桑稚にスマホを出して見てみろと迫った。「何度も連絡したのになぜ返信しない?…外界と隔離か?」「もちろん、隔離しなくちゃ大学に受かっていない」そう言われると段嘉許も何も言い返せなくなってしまう。「もう9時を過ぎた、寮まで送る」「大丈夫、友だちと一緒に帰るから」桑稚は予定外の再会に動揺し、逃げるように店内に戻ってしまう。桑稚は母から電話が来る前に寮に戻らねばならず、先に切り上げた。…私はもう子供じゃないのに…「ちっ、老東西(クソジジイ)」独りで部屋を出た桑稚は歩きながら悪態をついたが、運悪くロビーで待っていた段嘉許に聞かれてしまう。「俺の悪口か?…ふん、行こう、オヤジが送ってやる」彡(-_-;)彡段嘉許の車で寮に向かった桑稚だったが、何ともばつが悪かった。一方、段嘉許はなぜ桑稚が自分との連絡を断ったのか分からず、答えを探そうとする。「俺に何か文句があるように見えるんだが…ん?」「子供扱いするから」「小朋友、俺は君より5歳も上だ、ご両親にとって君がいつまでも子供なのと同z…」「じゃあ父親?ぁ…ともかく大人になったのに子供扱いは気まずい」「分かったよ」すると段嘉許は急に黙り込んでしまう。そこで桑稚はどんな仕事をしているのか聞いた。実は段嘉許も夢を叶え、ゲームプログラマーとして働いているという。段嘉許は桑稚が宜荷大学を選んだ理由が例の彼氏かと探りを入れた。そんな設定などすっかり忘れていた桑稚は慌てて否定し、あくまでデジタルメディア科が国内一だからだという。「桑延(サンイエン)が宜荷大学を選んだことを怒っていたからてっきり…」「彼とは…とっくに連絡を取っていない 哥哥が怒っていたのは私が何も相談せず勝手に決めたからよ でも何も尋ねられなかったから…それにもう大人だもの、自分のことは自分で決める」「そうだな、サンジーはもう大人だ」「(でも今も子供としか見てくれないのね)」段嘉許は学生寮まで桑稚を送り届けた。「何かあったら俺に連絡するんだ、いいな?」桑稚は黙って頷いたが、どこかよそよそしい。「さっきのは冗談だ、薄情だなんて思っていないよ でもさっきの″老東西″っていうのは…小姑娘なんだから言葉に気をつけろ」「ごめんなさい、もう言わない」すると段嘉許は近いうち一緒に食事でもしようと誘った。「…うん」「哥哥は宜荷で独りで暮らしている、だから君が宜荷大学に来ると聞いて嬉しかったよ 早く入って」「じゃあ行くね、嘉許哥、再見」「おやすみ」桑稚は寮の部屋に戻った。…実家があるのになぜ1人暮らし?例の彼女とはどうなったのかな?…そんな事を考えていると段嘉許からメッセージが届いた。💬帰りが遅くなる時は誰かと一緒に帰るように分かった💬2年ぶりに段嘉許とのチャットを開いた桑稚、すると未読のメッセージがずらりと表示された。翌朝、桑稚は段嘉許から知らせを受けた桑延から叱られていた。「いや少し飲んだだけで…そんな怒鳴らなくても…(ガチャ!」桑延から一方的に電話を切られてしまう桑稚、するとなぜか寧薇が意味ありげに見ている。「昨日、江銘がずっとあなたの心配していた、彼から連絡があった?」「まだ見ていない」そこで桑稚は江銘のチャットを開いてみた。💬今後、遅くなったら一緒に帰るから桑稚は段嘉許から誰かと帰れと言われた事を思い出し、何とも複雑な気分になってしまう。「彼はなんて?見せてよ!」焦った桑稚は咄嗟にアプリを閉じたが、寧薇は教えてくれと食い下がる。そこで桑稚は″友だち″の話としてルームメイトたちに相談を持ちかけた。「友だちが子供の時に哥哥の朋友を好きになったの その後、彼に彼女ができたと知って諦めたわ、でも最近、再会したからどうしたらいいかと… 彼は24歳でゲームプログラマーなの」その時、ゲームと聞いた虞心が目を輝かせ、どんなゲームを開発しているか聞いた。「″一夢の江湖″って知ってる?」「知ってるも何も今年一番のヒット作よ!私も今、やってる!」↓桑桑と寧薇寧薇たちはその友だちの話が桑稚のことだと分かっていた。すると桑稚は本題に入り、彼が友だちのことを妹としか見ていないことが問題だと明かす。虞心は思わず彼が当時の桑稚を好きだったらそれこそ大問題だと笑ったが、慌てて寧薇が話を遮った。「茶々を入れないで!…で彼はどんな人?」「カッコいい、成績も優秀、話も性格も面白い、それから…魅力的なの」「知り合ったきっかけは?」「哥哥の親友で、いつも家に来ていて…」「そんな素敵な人なら恋人がいる!間違いない」「一件落着ね」「そんな~」桑稚の初恋はルームメイトたちに一刀両断されてしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)タジタジのおやじ嘉許哥wwwwww
2024.12.23
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花间令 In Blossom第4話翌朝、楊采薇(ヤンツァイウェイ)が目を覚ますと上官蘭(シャングワンラン)はすでに出立していた。まだ眠っている妹を起こさぬよう、大金を残して都へ帰った上官蘭。采薇は見たこともない銀子の山に度肝を抜かれながら、妹を思う兄の優しに胸が痛んだ。…この先、どうやって上官公子に真実を告げたらいいの?…潘樾(パンユエ)着任の日。楊采薇は㬢園(ギエン)を引き払い、県署に引っ越すと決めた。親友に面倒を見ると約束した手前、潘樾は許したが、我がままな上官芷(シャングワンジー)のこと、すぐに根を上げるだろう。県署には李(リー)家殺害の件で楊采薇を杖(ツエ)打ちに処し、鬼市では用心棒に潘樾がいると密告した劉(リウ)捕吏がいた。令嬢らしい微笑をたたえながら内心、怒り心頭の采薇。しかし意外にもすぐ鬱憤を晴らす機会がやって来る。実は禾陽(カヨウ)では″官位を保ちたくば四大宗族に留意せよ″という掟があった。四大宗族とは″禾陽を覆う銀雨楼(ギンウロウ)″、″妓楼が避ける百花宮(ヒャッカグウ)″、″財のため生死を賭ける生死坊(セイシボウ)″、″善を施し万家を司る済善堂(サイゼンドウ)″のことで、もし四大宗族に関わる案件が持ち込まれた場合、原告と被告の素性を調べ、四大宗族に有利になる方が白と決まっているという。すると潘樾は汚職を指南した劉捕吏を断罪し、杖打ち20回と減棒三月に処した。「上官芷、そなたが打て」「うぉ(我)?」采薇は困惑したが、確かにあの時の恨みを晴らす絶好の機会だと気づき、上官千金という身分も忘れて大きな杖を振り下ろした。(^ꇴ^)<だーれん、終わりました!ひと仕事終えて居所に落ち着いた楊采薇。すると回廊を歩いてきた潘樾の姿を見つけ、彼の部屋が上官芷の部屋のすぐ近くだと分かった。…ふっ、順調すぎて驚きよ、待っていなさい、私への借りを全部、返してもらうから…翌朝、楊采薇は侍女・凌児(リンアル)に頼んでおいた使用人の衣装で役所に現れた。少々わざとらしい継ぎはぎだったが、潘樾はすぐ上官芷がいつもと違う雰囲気だと気づく。「別人に生まれ変わったようだ」「はい、九死に一生を得たので」「九死に一生か…そう言えば㬢園に押しかけて暴れたな あれからどこへ行って、何が起きたんだ?」「(上官芷は私をさらう前、㬢園を訪れていたのね?何のため?) …あなたが他の女子を娶ると知って深く傷ついた私は遺書を残して姿を消しました 数日だけ身を隠すつもりでしたが道中で盗賊に遭い、馬車から崖下へ飛び降りたんです 盗賊には死んだと思われ、命拾いしました」どちらも腹に一物ありながらおくびにも出さない采薇と潘樾。すると潘樾は主簿が老年のため上官芷に補佐を任せ、これからは裁判の記録を取って判決を言い渡すよう命じた。「理由なく私のそばを離れぬように」上官芷は潘樾と一緒に書斎で仕事をする羽目になった。…潘樾を調べるつもりが逆に私が監視されてるじゃないの…潘樾は自分の着任宣言に上官芷を同行させることにした。しかし道中で孫万財(ソンワンツァイ)と夫人の揉め事に巻き込まれてしまう。夫人は気が触れているように見えたが、潘樾も楊采薇も夫人の腕からのぞくアザを見逃さなかった。楊采薇は夫に虐待された夫人を救うため、潘樾に暴言を吐いた罪で夫人を収監することにした。しかし潘樾が却下、心身喪失した者は罪を免れると見逃してしまう。「だが今後は夫人の言動に責任を持ってもらうぞ」「はい大人、次は私が全責任を負います!」安堵した孫万財は配下に夫人を拘束させたが、その時、激高した夫人が潘樾を″悪党″と罵った。すると潘樾は孫万財の言葉尻をとらえ、責任を取って夫人の代わりに罪を償えと迫る。劉捕吏は慌てて孫万財が銀雨楼だと教えたが、潘樾は鼻であしらった。「捕らえよ!…私の牢は善人の入るところではない」着任宣言も無事に終わり、潘樾は地元の名士たちと宴席にいた。楊采薇はその間に上官芷の事案の記録を探し出そうと保管庫へ向かう。実は保管庫はかつて検視人だった師匠が未解決の事件を調査するよう県令に懇願し、追い出された因縁のある部屋だった。保管庫に上官芷の案件の記録はなかった。主簿の話では全て潘県令が持っていったという。采薇は慌てて潘樾の部屋へ、すると大きな行李の中に錠がついた箱があった。その時、運悪く潘樾が千鳥足で戻って来る。焦った采薇は行李の影に隠れ、潘樾の着替えが終わるのを待つしかなくなった。そのお陰で潘樾が鍵を肌身離さず持っていると分かり、思いがけず腹に大きな傷跡があると知る。…見た感じ、ひと月も経ってないわね…その夜、晟喜(セイキ)楼に四大宗族が集まることになった。四大宗族の資金源である孫万財を捕まえた新人の県令・潘樾への対応を協議するためである。すると銀雨楼の使いが現れ、少主がまだ禾陽に戻らず欠席すると知らせて帰った。生死坊坊主・蔡昇(ツァイション)と済善堂堂主・顧雍(グーヨン)は若造などさっさと潰そうと息巻いたが、唯一の女子である百花宮宮主・青帝(チンディー)は妻を殴る男をかばう気はない。そもそも郡主の婿に手を出せば禾陽にいられなくなるのは自分たちだという。「まずは礼を尽くすのみ…」楊采薇は市場で商売している白小笙(バイシャオション)を頼り、強い酒を手に入れた。すると嬉しいことに小笙が師匠の手がかりが見つけたという。「続報を待っていて」采薇が酒を持って屋敷に戻ると、ちょうど四大宗族が藩越を訪ねていた。そこで回廊で立ち聞きしたが、潘樾は孫万財を釈放したければ40万払えと要求している。…昔は実直だったのに、なぜこうもひねくれたのかしら?…呆れた采薇はそこで引き上げてしまう。その夜、楊采薇は捕吏たちを夕食に誘い、実は県令も皆と仲良くしたいと吹き込んだ。悪い気はしない捕吏たち、すると偶然、潘樾が居所に戻ってくる。そこで劉捕吏が代表して県令を酒席に誘い、采薇は計画通り潘樾にも例の強い酒を飲ませることに成功した。疑われないよう采薇も乾杯したが、実は独りだけ酔い止めを飲んでいる。…早く潘樾の正体がバレて報いを受けますように…すると護衛の阿澤(アーヅー)まで凌児に無理やり飲まされ、泥酔してしまう。寝たふりをしていた楊采薇が薄目を開けると、潘樾も捕吏たちも酔い潰れていた。そこで采薇は潘樾に肩を貸して部屋まで送り届け、何とか寝台へ寝かせてから鍵を手に入れる。箱の中には鬼市で描いてもらった潘樾と自分の絵姿があったが、その下から報告書が見つかった。…楊氏が落下した当時、部屋は無人、毒も検出せず外傷もなく部屋に紛失物も損壊の跡もなし唯一、遺体のそばに奇妙な水の染みがあった…その時、潘樾が寝返りを打ち、驚いた楊采薇は箱を閉めて潘樾に鍵を戻した。「では潘大人、ごゆっくりお休みください」しかし上官芷が部屋を出て行くと潘樾が起き上がった。翌朝、楊采薇は上官芷の案件を考えあぐねていた。…あの時、婚房の明かりが一度、消えたわ、再度ろうそくを灯す前に上官芷を気絶させた?時間差で落下するよう仕組めば不在は証明できる、でも例の水はどこから?…采薇は潘樾が上官芷を殺害して亡骸を窓の前に立たせ、紐で梁に固定したと仮定した。時間を稼ぐため梁側に氷を挟み、溶けると同時に紐が外れて亡骸が窓から落ちるというからくりか。しかし仮に殴られたのなら上官芷に外傷がなくてはおかしい。唯一の手がかりは上官芷の亡骸だったが、潘樾がどこに上官芷を埋葬したのか分からなかった。潘樾は急に上官芷を連れ出し、馬車でとある民家を訪ねた。実は調査の末、頼(ライ)家の老三が上官芷を襲った盗賊だと判明し、面通ししろという。楊采薇は困惑し、盗賊なら覆面をしていたので分からないと誤魔化した。すると潘樾は物証があると教え、上官家の馬車を示す金の飾りを頼老三に投げ返す。「これを一昨日、質に入れたな?どこでこれを?」実は婚礼の日、上官家の馬車を御していたのは老三だった。通りかかった㬢園が婚礼で警備が手薄だと気づき、裏庭から侵入してめぼしい品を盗んだという。上官家の馬車は頼家の裏庭にあった。あの岩山での出来事を思い出し動揺を隠せない楊采薇。すると馬車を調べていた潘樾が車輪についている土の特徴に気づき、意味ありげに上官芷を見た。つづく( ˙꒳˙ )あのシックスパック、本人じゃなさそう?←そこ?w
2025.02.14
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三生三世十里桃花 Eternal Love第49話「師匠の帰還」狐狸洞に戻った白浅(ハクセン)は、二兄・白奕(ハクエキ)と四兄・白真(ハクシン)に夜華(ヤカ)との縁談を早めて欲しいと頼んだ。「姑姑?!本当に太子殿下に嫁ぐの?」白鳳九(ハクホウキュウ)は驚いたが、白浅は早めるよう提案したのが夜華の母・楽胥(ラクショ)だと教える。しかし白奕は復活が近い墨淵(ボクエン)のことが気にかかった。実は白浅が愛しているのは墨淵だと思っていたという。「二哥!変な冗談はやめて…私にとって父のようなお方よ?師父のためなら死んでも本望だわ だけど愛しているのは夜華だけなの」「はお、決心したのなら反対する気はない、だが突然、急ぐのはなぜだ?」「夜華は自分の修為(シュウイ)を使って師父のために丹薬を作ってくれたの 修為は残りわずかよ、天君の位を継ぐ時には天雷と荒火(コウカ)に耐えきれないかも…」そこで白浅は早く夜華に嫁ぎ、天后を継ぐ者として一緒に天雷と荒火を受けたいと説明した。事情を知った白奕は了承、早速、両親に文を出すと約束する。「ありがとう、二哥、では帰るわ」白浅は正房を出たが、ふと思い出して引き返した。何事かと思えば、自分が嫁いだら鳳九に女帝を譲りたいという。白真はいい考えだと喜んだが、鳳九が帝位を継いだら世代が揃わなくなると揶揄した。そこで白奕はひとまず両親や大兄と相談してみると告げる。白浅は安心して帰ることにしたが、ついでに鳳九を外へ連れ出した。白浅は白鳳九に連宋(レンソウ)の想い人からの伝言を伝えた。「私も理由は知らないけれど、天宮に来て欲しいそうよ?」「成玉(セイギョク)元君が?」鳳九の話では成玉は慎重な性格のため、一大事でもなければ姑姑に伝言など頼まないはずだという。「天宮へ行くなら四叔に頼みなさい」白真は十里桃林に戻ると、早速、折顔に報告した。実は白浅が早く嫁ぎたいと言い出し、白鳳九が東荒(トウコウ)の女帝を継ぐことになったという。「婚儀は9月2日になりそうだ」「別に驚くことでもないさ…」そうは言ったものの、折顔は内心、動揺していた。(´-ω-`).oO(アイヤ~墨淵よ墨淵…一方、天宮では楽胥(ラクショ)が久しぶりの祝い事に心躍らせていた。そこで側室である素錦(ソキン)にも洗梧宮(センゴキュウ)の妃として宮女たちへの指示を頼む。内心、穏やかではない素錦、しかし白浅上神を立派に迎えると安心させ、婚儀の日取りを聞いた。すると実はまだ決まっていないと知る。父神(フシン)が瀛州(エイシュウ)においた猛獣を夜華が殺してしまったため、罰として修練に出ることになったのだ。「2ヶ月後、夜華が戻ってきた時に決まるはずよ?」「承知しました」白浅が洗梧宮へ戻ると、すでに婚儀の飾り付けが始まっていた。どこか照れ臭い白浅、すると紫宸(シシン)殿から天枢(テンスウ)が現れ、夜華の命令により自分が案内するという。「こちらです」しかし水廊に入る頃には霧が深くなり、目が悪い白浅は自然と欄干に触れた。その時、突然、欄干を頼りにこの水廊を歩いた記憶がよみがえり、なぜか急に言いようのない不安に襲われてしまう。「上神?どうかしましたか?」「何でもないわ…ここに来たことがあるの…なぜ今夜は霧が?」「殿下のご指示です、上神、こちらへ」すると急に霧が晴れ、夜華が蓮池に集まった神仙たちと一緒に白浅を出迎えた。「臣等拝見姑姑」「浅浅、こちらへ」夜華はこうして正式に白浅を皇太子妃として紹介した。「あなたって時々…」「何だ?」「かわいく思えるわ」「それだけか?」そこへ阿離が駆けつけ、父と母の手を引いて行く。神仙たちはそんな3人の姿を微笑ましくながめながら、可愛い天孫に目を細めた。紫宸殿に戻った夜華は白浅に9月2日の婚儀は無理だと教えた。実は瀛州で猛獣と戦ったせいで人間界で修練するという。人間として60年の人生を送るが、天界で不在なのは2ヶ月だけだった。しかも今回は天君の指示で運命簿が空白だという。「空白?つまり何が起こるか誰にも分からないのね?」「その通り」「では言っておくわ… 人間界へ行って自分が太子であることや、正室になる許婚(イイナヅケ)がいるのを忘れても、 別の女を娶らないでね…だって怖いの 人間界では女子と深みにはまってはだめよ?知っての通り私は一途な性分だもの」「もし私に女ができたらどうするのだ?」すると白浅は急に夜華を寝台に押し倒した。「そんなことをしたら青丘の狐狸洞に閉じ込めてやるわ 日々会えるのは私だけ、食事をする時も、書を読む時も、私しかいないの」「それが誠なら今すぐ青丘へ行きたい」「じゃあ…約束したわよ?戻ったら青丘へ私を訪ねて来てね、婚儀のしきたりはどうでもいい 青丘のしきたりに従い、閉じ込めるから」「はお…浅浅、もう寝よう」折顔と白真は白浅が皇太子の世話で忙しいため、代わりに疊雍(チョウヨウ)の様子を見に行った。付き添っていた疊風(チョウホウ)の話では昨夜、急に気分が悪くなって苦しんだが、今朝になってことの外元気になったという。折顔は墨淵が戻ってくる兆しだと気づき、早速、疊雍を追魂(ツイコン)術で探ると、思った通り墨淵の元神はもういなかった。そこで疊風に今すぐ崑崙虚(コンロンキョ)に弟子を集め、墨淵を迎える準備をさせるよう指示する。折顔と白真はすぐ炎華洞(エンカドウ)へ向かい、墨淵の元神が仙体に戻ったか確認することにした。一方、人間界に下ることになった夜華は、先に白浅を門まで見送りに出た。「送らせてくれないの?」「わずか2ヶ月だ、人間界まで私を送れば笑い者になるぞ?」「天族の掟は面倒ね…そうだ、渡すものがあるの、持って行って」白浅は玉魂(ギョクコン)を渡し、離鏡(リケイ)が手放す理由を知っているか尋ねる。「瀛州で私に命を救われた礼だろう…なぜ私が素直に受け取ったと思う?」「離鏡が私に会う口実がなくなるもの~もう行くわね」その頃、崑崙虚は帰京していた弟子たちが戻り、かつての賑わいを取り戻していた。するとついに師匠の来訪を知らせる鐘の音が響き渡る。「きっと師父だ!師父が戻られる!」その鐘の音は九重天にも届いていた。夜華は大殿にて歴劫に出かける挨拶をする矢先、鐘の音を耳にする。「崑崙虚の鐘だ…」天君と東華帝君(トウカテイクン)も思わず席を立って外を眺めた。「帝君、この鐘の音はもしや…」「そう、崑崙虚からでしょう、墨淵が戻って来るのです」青丘に戻った白浅も鐘の音を聞いていた。するとちょうど西海から折顔と白真が戻り、墨淵の復活を知る。「…師父が目覚めるのね」白浅は居ても立ってもいられず、炎華洞に向かって走り出した。同じ頃、挨拶を済ませた夜華は紫宸殿に戻っていた。司命(シメイ)星君は掟に従い、人間界へ下る前に忘川水(ボウセンスイ)を飲むよう告げる。すると夜華は白浅との約束を思い出した。…戻ったら青丘へ私を訪ねてきてね、婚儀のしきたりはどうでもいい…青丘のしきたりに従い、閉じ込めるわしかし墨淵が戻った今、夜華の心に一抹不安がよぎる。…浅浅、待っていてくれ夜華は覚悟を決めて忘川水を飲み干した。白浅は炎華洞の前に到着すると、咄嗟に男の姿に戻ろうとした。しかし折顔は墨淵なら初めから見抜いていたと教え、そのままの姿で会うよう勧める。すると白浅は大きく息を吐き、洞窟に足を踏み入れた。…7万年が過ぎた…四海(シカイ)と六合(リクゴウ)の中で青丘は779回の干ばつがあった…7万年と言えば私の生きてきた半分よ…その7万年で私が唯一なしたことは、師匠の目覚めを待つことだった白浅は白い靄が立ち込める洞窟に入った。するとすでに意識を取り戻して腰掛けている墨淵の姿がある。まるで昨日のことのように思い出される崑崙虚で過ごした日々…。白浅は昔と変わらない師匠の姿を目の当たりにすると、7万年という月日がすべて吹き飛んだようだった。「師父…」「間違いなく司音(シイン)だ」白浅は思わず墨淵に抱きつき、涙を流して喜んだ。「師父、やっとお戻りに…」「その通り、師父は戻った…その姿もよく似合っている」そこへ折顔と白真が遅れて姿を見せた。折顔は7万年ぶりだと感慨深い様子、白真は白浅が7万年も墨淵を隠し、戻って来るのを待ち続けていたと教える。司音の献身を知った墨淵は感極まり、涙がこみ上げた。こうして宿願を果たした白浅、しかしその一方で東皇鐘(トウショウコウ)の封印の力が弱まっていた。擎蒼(ケイソウ)は墨淵の復活を感じ取り、墨淵の元神がなくなった東皇鐘では自分を封じ切れないだろうとほくそ笑む。「もうすぐだ、待っておれ…再び私に会える」白浅たちは墨淵を連れて狐狸洞に戻った。すると墨淵はこの7万年で自分に瓜二つの者が現れなかったかと聞く。折顔は確かに現れたが、その者とは司音が親しいと意味ありげに言った。しかし白浅はどこか神妙な様子で、口ごもってしまう。折顔はいいから話せと促し、仕方なく白浅は師匠に夜華のことを話した。「師父がおっしゃる瓜二つの者とは恐らく…私の許婚で天族太子かと」「許婚?…その者の名は?いつ生まれた?」「夜華という名です、私と師父が崑崙虚を出た頃に生まれました」「…そなたは私の弟を手に入れたのか」墨淵は驚くべき事実を明かした。実は父神が逝去する直前、墨淵は自分に双子の弟がいたと知る。あれは父神から金蓮を賜った時だった。四極が折れて天地が崩れた年、墨淵の母は天を支える柱を守ろうと身ごもった身体を悪くしてしまう。そのせいで双子の小さい方の息子を守りきれず、無事に生まれたのが墨淵だった。父神は弟を不びんに思い、半生分の修為を使って仙胎(センタイ)を作ると、さらにその仙胎で金蓮を作ったという。そして混沌に戻る前に墨淵に金蓮を託し、崑崙虚の蓮池で守るよう頼んだのだ。兄である墨淵が弟を呼び起こし、いつの日か世に出して欲しいと願いながら…。「私が元神を捧げたあとに目覚めたのだな…」折顔はようやく合点が行った。だからあの金蓮は墨淵が死ぬと同時に枯れてしまい、まもなく楽胥が夜華を産んだのだ。夜華が生まれた時、72羽の五彩鳥(ゴサイチョウ)が飛び、3年も霞がかかったのもこれで納得できる。父神の子だからこそ、あのように天地も祝ったのだろう。しかし白浅は複雑な心境だった。…夜華と師父は似ていると誰もが言う、私でさえ間違いかけたわ…でも2人が兄弟だなんて考えもしなかった墨淵は司音に弟に会いたいと頼んだ。白浅は夜華が人間界にいて自分も会えないと説明し、今は閉関して体力を養うよう助言する。「師父が元気になった頃、私が連れて来ましょう」「いいだろう、では崑崙虚で待つとしよう…兄弟子たちは元気か?」するとどこか白浅はきまりが悪そうだった。「数千年もの間、兄弟子たちは姿を消した私と師父を探し続けていました でもその後は帰郷するなど離れ離れに…崑崙虚も昔の面影を失っています そんな崑崙虚を師父にお見せしたくありません…」「構わん、今すぐ崑崙虚へ戻ろう」一方、父から禁足を命じられていた白鳳九は、白真の協力のもと仙障(センショウ)を抜け出して天宮へ駆けつけた。すると成玉元君から東華帝君に大難が迫っていると知らされる。神仙ならば仕方がないこと、いくら位が高くても大難は避けられず、最後は混沌に戻る。鳳九は衝撃を受け、直接、東華帝君に聞くことにした。東華帝君は蓮池にひとりたたずんでいた。「帝君…」「なぜ泣いている?」すると鳳九は黙って東華帝君に抱きついた。「帝君が生きれば私も生きる、帝君が死ねば私だけ生きたりしません…」東華帝君は青丘の姫が九重天で帝君に抱きつくとは恥ずべきことだとたしなめたが、鳳九は人間界では夫婦だったと訴え、離れない。「大難に遭うまでおそばにいますぅぅぅ~」「私が大難に遭うと?」( ゚д゚)<…えっ?違うのですか?つづく。゚(∩ω∩`)゚。しふぉ~!お帰りなさい!髪の毛のツヤもそのままでw大方の夜華ファンを敵に回し、数少ない師父推しの管理人です(笑
2020.09.07
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※あらすじには残酷な表現が含まれています丽姬传(秦时丽人明月心)The King's Woman最終話「願い」秦(シン)王・嬴政(エイセイ)は荊軻(ケイカ)が自分を殺しに来ると知っていながら、謁見を許した。一方、荊軻は頭痛に襲われながらも秦舞陽(シンブヨウ)と共に別邸を出発、殿上に足を踏み入れる。…何があろうと今日は必ず成功させる…樊於期(ハンオキ)将軍、田光(デンコウ)先生、丹(タン)太子殿下、3人の思いに応えるため…そして何より民を救うために…嬴政よ、お前の命をもらう!大殿で引見の儀が始まろうとしている頃、昭徳(ショウトク)宮では麗姫(レイキ)がようやく目を覚ました。なぜか身体が重く、頭もはっきりしない麗姫、しかし何とか起き上がってみると、宮女たちが平伏して部屋から出ないよう訴える。麗姫は薬を飲まされたと気づき、慌てて祖父の形見の短剣を握りしめて飛び出したが、寝宮の廊下には衛兵たちが立ちふさがっていた。「麗夫人、お留まりください」「どきなさい!」嬴政は燕の使者を九賓(キュウヒン)の礼をもって出迎え、接見した。すると秦王を目の当たりにした秦舞陽は恐怖のあまり自らひざまずいて震え始めてしまう。荊軻は咄嗟に北方の田舎者ゆえ天子を前にして恐れおののいているとごまかし、まず樊於期の首を献上した。樊於期の顔を確認した嬴政はたいそう喜び、次に地図を見せるよう命じる。荊軻は秦舞陽から地図を受け取ろうとしたが、秦舞陽は思わず強く握りしめ放そうとしなかった。周りに悟られまいと笑顔を見せた荊軻は、半ば強引に奪うように地図を取る。「大王!督亢(トクコウ)は燕で最も豊かな土地、秦に忠誠を誓う証しです! この地図は私の手から秦王にお渡しさせてください!」驚いた李仲(リチュウ)は反対したが、嬴政はあっさり了承した。一方、麗姫は祖父の短剣で衛兵たちをなぎ倒し、寝宮を脱出した。しかし大殿へ続く長い回廊でも衛兵が行く手を阻む。それでも麗姫は諦めず、師兄を救うため必死に衛兵を倒した。荊軻は地図を持って壇上へ上がった。「大王、督亢一帯の地図を献上いたします 宜しければ私が地図を開き、詳しくご説明いたします」すると荊軻は机の上に巻き物を置き、地図を開き始めた。しかし急に嬴政が開くのを止める。「やめておけ、お前の考えは読めておる、手を放せば自由の身にしてやろう」「ふっ、自由だと?自由の意味が何かお分かりか?…分からぬくせに」そこで荊軻は懐に忍ばせていた絵を出して広げた。「麗児が描いた、麗児は海に憧れて、いつか俺と行くことを夢見ていたよ…」…見て、私と師兄を描いたのよ?海で遊んでいるところ…これも私と師兄、馬に乗っているの、朝日や夕日を見ながら草原を駆け回りたい…この絵も私と師兄、山を登り川を越えて、険しい山道で私が歩けなくなったら…師兄が手を取って山頂へ導いて欲しい、ふふふっ「麗児が描いた夢だ、師妹が一番、望んでいたのは自由な暮らしと戦のない太平の世 お前に永遠に分かるはずがない…お前が生きている限り、天下に自由などない!」激高した嬴政は机を蹴り飛ばした。その拍子に巻き物に忍ばせてあった短剣2本が飛び出す。騒然となる朝堂、しかし荊軻は机を避けながら短剣をつかみ取った。秦舞陽は助太刀しようと立ち上がったが、その場で衛兵たちに串刺しにされてしまう。荊軻は機会を逃し、雪崩れ込んだ禁軍に包囲された。もはや絶体絶命、すると嬴政が自ら荊軻に手を下すため、禁軍を下げてしまう。荊軻はこの好奇に素早く壇上へ飛び上がったが、突然、激しく血を吐いた。実は嬴政は真っ向勝負しても勝ち目がないため、荊軻に楚の毒を盛っていた。「ふっ、そう長くはもたぬぞ?」毒に犯されながらも嬴政と死闘を繰り広げる荊軻、しかしやがて身体に力が入らなくなり、倒れてしまう。その頃、麗姫はついに短剣を抜き、邪魔をする衛兵たちを一気に片付けていた。嬴政は毒で動けなくなった荊軻を蹴り飛ばした。そして臣下たちが見守る中で荊軻の顔を踏みつけ、憎しみを込めて腹に剣を突き刺す。荊軻は動かなくなった。宿願を果たした嬴政は天を仰ぎながら玉座へ歩き出したが、その時、荊軻が最後の気力で立ち上がり、飛びかかる。「うりゃあぁぁぁぁっ!」「大王!」李仲は咄嗟に飛び出し、大王をかばって胸を刺されてしまう。「ぐぐぐ…大王…どうか天下統一…を…」腹心の李仲を殺された嬴政は激情に駆られ、再び荊軻の身体を突き刺した。幼い頃、麗児と一緒に嬴政の命を救った荊軻、まさかこんな形で再会を果たすとは夢にも思わなかっただろう。すると荊軻は歪んだ嬴政の顔を見ながら高笑いし、そのまま後ろへばったり倒れた。その時、大殿の扉が開き、荊軻の目にぼんやりと人影が映る。やっと大殿に到着した麗姫だったが、そこで見たのは嬴政の前で血だらけになって倒れている無惨な荊軻の姿だった。嬴政は衛兵に荊軻と秦舞陽を担ぎ出すよう命じた。すると麗姫は荊軻に駆け寄り、震える手でそっと頭を支える。「師兄…」「師妹…来てくれたのか…」「師兄、ごめんなさい…間に合わなかった…ゥッ…」しかし荊軻は麗児との幸せな思い出につつまれ、うっすら笑みを浮かべて事切れた。「待ってて…」麗姫は師兄の目をそっと閉じて送り出すと、嬴政をにらみつけた。嬴政は人払した。恐らく麗姫は薬で眠らせたはずの荊軻がなぜ参内したのか分からないだろう。すると清児(セイジ)が現れた。実は清児は嬴政に命じられ、入内した時から麗姫を監視していたという。「そなたが荊軻と会ったことも知っている…」「やはりあなたは私を信じていなかったのね、清児…荊軻に何の薬を飲ませたの?」「…大王から渡された特別な毒です」「それで…私に眠り薬を飲ませたのね?」嬴政は麗姫に荊軻の死を見せたくなかったと言った。「麗児…これも愛ゆえだ」すると嬴政は清児を下げた。麗姫は底知れぬ絶望と悲しみから息もできないほど苦しくなった。しかしやがて全てを諦めたように長嘆する。「大王、あなたは師兄を殺した…今度は私の番よ」「つまり…荊軻のために余を殺すと?」「民のためよ…天下統一を成し遂げるまでに、どれだけ犠牲を強いる気なのっ?!」「忘れたのかっ!最小の犠牲で最大の平和が得られる」「ふっ…信じない、師兄が遂げられなかった使命は師妹の私が果たす! 秦王政…死んでもらうっ!」「はお、余を殺すというなら縁もこれまで…この剣でケリをつけよう…来いっ!」麗姫と嬴政は互いに剣を向け、同時に走り出した。2人はそのまま刺し違える勢いだったが、麗姫は直前で短剣を回転させ、嬴政の胸に剣先ではなく柄がぶつかる。「(はっ!)」「うぐっ…」しかし嬴政は勢いを止められず、そのまま長剣で麗姫の身体を突き刺した。「麗児ぃぃぃぃ!なぜだぁぁぁぁ!」「考えたの…あなたに必要なのは愛する人を失う気持ちを知ることだと…だから私を殺せばいい」「もう何も言うな」「聞いて…民の心に寄り添いさえすれば…あなたは明君になれるわ…ね?」すると麗姫は嬴政の胸に顔をうずめ、絶命した。嬴政は大殿を出ると、放心状態のまま石段を降りた。しかしやがて崩れ落ちるようにひざをつき、空に向かって雄叫びをあげる。…あれは大きな満月だったあの夜、嬴政は恩人である麗児と荊軻と3人、この友情が長く続くようにと月に願う横を向けばまだ幼い麗児と荊軻の姿があった優しく微笑みかける麗姫、しかしふいに2人の姿が消えてしまう今やその満月を見上げているのは嬴政ひとりだけだった…完( ;∀;)あ~3回目だけどやっぱり楽しかった〜理由は定かじゃないけどwディリラバはいつもの配音さんではありませんでしたが、麗児の声、上手い!それにしてもなぜ最後の最後で笑いを…いや違ったw…スポットライトってどう言うこと?ではディリラバ迷さんとは年末の長歌行でお会いしましょう(^ꇴ^)ノ″
2021.10.19
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君九龄 Jun Jiu Ling最終話「因果応報の罰」太炎(タイエン)3年、北祁(ホクキ)の人質となった太上皇たちが殺されたのは楚譲(ソジョウ)が身代金を着服したせいだった。しかし楚譲は九齢(ジゥリン)たちの謀反だと訴え、衛兵を呼んで朝堂を包囲してしまう。命が惜しい朝臣たちは皇帝に従うと決めたが、その時、陸雲旗(リクウンキ)が武徳司を率いて乗り込んだ。陸雲旗はかつて九齢公主を守れなかったことを悔やみ、今日は決して同じ間違いを犯せないという。思わぬ腹心の裏切りに呆然となる楚譲、そこで断罪できるものならやってみろと開き直った。「朕は父と兄長の跡を継ぐ正当な皇帝、朕はこの国の天子であるぞ!」「…陛下はその座を得るために何をしたのかしら?」するとこれまで黙って話を聞いていた九齢が楚譲と対峙した。九齢は″太炎3年″と書かれた封じ紙を見せた。「これはあなたの不正の証し… 身代金の着服が発覚するのを恐れ、自ら先帝を手にかけて皇位を簒奪(サンダツ)したのね? 父親を犠牲にし、兄長を殺し、即位後は奸臣を重用、3郡を割譲し、税を増やして民を苦しめた! お前に皇帝の資格などない!」すると九齢は重要な証人となる先帝の侍女・氷児(ヒョウジ)を呼んだ。( ತ _ತ) <びんR!氷児は先帝の侍女で薬係だった。当時、氷児は薬を届けるため先帝の寝殿に向かっていたが、その時、楚譲が寝殿から出てくるところを目撃したという。殿内には倒れた先帝の姿があり、首に絞められた跡があった。「その日の宿直は陸大人です」すると陸雲旗は今まで真実を隠してきたと認め、全てを明かすことにした。「御書房を通りかかると助けを求める声が聞こえた…中に入ると楚譲が先帝の首を絞めていた」動揺した陸雲旗は楚譲に言われるまま、部屋を出て戸を閉めたという。陸雲旗は楚譲が先帝を殺害したと証言した。驚いた衛兵たちは皇帝を見限って剣を下ろし、袁宝(エンホウ)は人知れず逃げ出してしまう。賢(ケン)王は楚譲が本当に父と兄を殺したと知り、憤懣やるかたない。しかし往生際の悪い楚譲は陸雲旗の裏切りに憤った。「この恩知らずめ!なぜこんな女のために朕を裏切るのだ?!」「…なぜなら彼女が九齢だからだ」「そうさ、彼女は楚九齢だ」朱瓚(シュサン)は君九齢の正体を明かした。君九齢は火事で亡くなったと思われていた楚九齢だった。朝堂は呆然、成国公(セイコクコウ)、寧雲釗(ネイウンショウ)、寧炎(ネイエン)も突然の事実に目を丸くする。すると誰よりも動揺した楚譲が思わずつまずき、尻もちをついた。「皇叔、残念でしたね…あの年、父皇の死の真相を知った私は婚儀であなたを殺そうと決めた」実はあの時、楚譲は九齢にだけこっそり先帝を殺したと認めていた。「まさか私まで殺そうとするなんて…君(クン)父娘が私を救ってくれました なぜあんなことを…楚譲、こうして再び姿を現したのは父皇に代わり罰を下すためよ! 父皇に取って代わろうとし、己の権力と私欲のために実直な臣を遠ざけた 敵と戦い、多くの者が犠牲になったわ!成国公がいなければ国はとっくに滅んでいた! 想像してみて、死後に皇陵に入ったら、そこにいる先祖たちに顔向けできるの?! 良心に恥じたことはなかったの?!」楚譲はふいにあの日の夜のことを思い出した。皇兄に呼ばれて寝宮を訪ねた楚譲、実はすでに身代金を着服したことがばれていると知る。楚譲は過ちを認めたが許してもらえず、兄が背を向けた隙に腰紐を解いて首を絞めたのだった。すると抵抗する気力を失った楚譲は泣き崩れ、そのまま床に寝転んでしまう。楚譲が地味に大●洋?w九齢はついに父の敵を討ち、玉座で微笑む父の幻像を見て安堵した。朱瓚と方承宇(ホウショウウ)は九齢と中庭を歩きながら、楚譲をどうするのか尋ねる。すると九齢は極刑にすることを望まなかった。「楚譲の所業の全てを民に知らせて裁きに任せるわ、生きて蔑まれることこそ最大の罰よ」そこへ寧雲釗が玉璽(ギョクジ)を持ってやって来る。 ←( ๑≧ꇴ≦)エーッ!今?!w「皇帝の座を空けてはおけない、懐(カイ)王殿下の擁立を…」寧雲釗は九齢に頼まれ、奸臣を演じながら楚譲を近くで見張っていた。「寧公子、あなたがいなければ父皇の恨みは晴らせなかった、あなたへの恩義を心に刻むわ」しかし九齢はまだ幼い九穃(キュウヨウ)に皇帝の重責は担えないという。「玉座に座れば天下を得られるわけではない、民心を得てこそ天下の統治者と言えるの」朱瓚は九齢が賢王を推挙していると気づき、賛同した。その時、陸雲旗がやって来る。朱瓚は2人で話をさせるため、承宇と寧雲釗を連れて涼亭で待つことにした。陸雲旗はこれが九齢と話せる最後の機会だと分かっていた。「初めて皇宮に入った時の持ち場がここだった、そして思いがけず君と再会した 君が通りかかるのを見るたび夢のようで幸せだったよ 」しかしあの夜、楚譲が自分を先帝付きにしたのはこれが目的だったと気づいたという。「先帝を救おうと思えば救えたのに見逃した…」すると陸雲旗は短剣を差し出し、命を以って償いたいと訴えた。九齢は短剣を抜いて陸雲旗を刺そうとしたが、寸でのところで手を止める。「陸雲旗…これで終わりにしましょう」九齢はうっすら笑みを浮かべ、剣を捨てた。( ;∀;)ルールー…いい人だったのに…←え?w九齢堂に親しい仲間たちが集まった。すでに九齢の正体が公主だと公になったが、それでも皆との関係が変わることはない。すると寧承宇が訪ねて来た。対応に出た錦繍(キンシュウ)は中庭に誘ったが、寧雲釗は話があるので店で待つという。寧雲釗は即位の準備で遅くなったと断った。「また行ってしまうのか?」「…成国公の一家と北方へ行くわ」すると寧雲釗は最後にもう一度だけ九齢と碁を打ちたいと頼む。一方、中庭ではなかなか戻ってこない九齢を皆が心配していた。朱瓚は酔い覚ましの薬を取りに行くとみえみえの口実で席を立ったが、2人の対局を見てそっと引き上げる。「風に当たったらすっきりしたよ」朱瓚は何事もなかったように席に戻った。そこで承宇は明日、都を発つと伝える。「姐夫、九齢をお願いします」「任せてくれ」寧雲釗は九齢との大切な思い出を振り返りながら碁を打った。するとふいに手を止める。「…また私の負けだ」「楽しかったわ」「そうだな」寧雲釗は名残惜しそうに九齢の顔を見つめていたが、潔く帰って行った。北方でかくまわれていた承宇がやっと沢州に帰って来た。曹(ソウ)氏たちは無事な承宇の姿に安堵し、ようやく方家にも平穏が戻る。一方、陳七(チンシチ)は錦繍を娶ると決意していた。錦繍は相変わらず素直になれないが、夫として振る舞う陳七に悪い気はしない。そして賢王は新帝に即位した。含元(ガンゲン)殿では文武百官が新帝を迎える。「面をあげよ」おわり( ;∀;)うわ~ん!終わってしまった~!って、あれ?これで終わり?そうなんです!皆さんもお気づきですね?肝心な男主と女主のキャッキャウフフ~♪のデンディングがカットされてるんです↓それがこちらですいやこれカットする?!( ̄▽ ̄;)もしや触覚が似合わなすぎてNG出たのか?いや〜楽しかったわ〜またポンちゃんのドラマが始まることを祈りつつ…皆様、お付き合いありがとうございました
2023.05.19
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长相思 第二季 lost you forever S2第7話相柳(ソウリュウ)に小夭(ショウヨウ)を連れ去られても静観している塗山璟(トザンケイ)。実はかつて小夭に相柳を選ぶ機会を与えなかったことに後ろめたさを感じていた。「その機会を返さねば…借りを返す」一方、桑甜児(ソウテンジ)と再会した小夭は塗山璟が度々、回春堂を訪ねて皆を気遣っていたと知った。「それで串子(カンシ)に嫁いで後悔しなかった?」「実は息子を産んだ後、串子の裏切りを知って別れようと思ったことがあってね でも怒りをのんで思いとどまった…今、思い返してみるとあれで良かったと思う 振り返ってみると色々なことがあったが満足さ、悔いはない」確かに選んだ道が正しいかどうか、その時には分からないものだ。しかし小夭は選んだ道の苦しさが報われるとも限らないとこぼした。甜児は思わず失笑し、何百年も生きられる神族でさえその答えは分からないという。「人生は荒れ山を進むようなもの、先に何があるのか誰も分からない だから人は道連れを求めるのさ、お互いに支え合って助け合えばどうにか一生を終えられる」「でも間違った相手を信じてしまったら?」「小姑娘、信じることを拒んでいたら心を尽くすことはできない 心を尽くすことさえできないのに、望むものを手に入れられると思うかい?」小夭は甜児の言葉で胸のつかえが取れたような気がした。…私と璟がこうなったのは私が間違っていたから?…するといつの間にか相柳が来ていたことに気づき、そこで話を切り上げることにした。「甜児、見事に生き抜いたわね、老木(ロウボク)も私も嬉しいわ」「あんたは一体…(はっ)」娘は愛おしそうに甜児の頭をなでると、黙って去って行った。呆然と娘の背中を見送る甜児。その時、ようやく娘の正体が玟小六(ビンショウロク)だと気づき、その場で思わず叩頭した。小夭と相柳は思い出深い西河(セイガ)に出た。今もほとりの景色は当時のまま、しかし2人の関係は以前とは全く違う。「あなたが防風邶(ボウフウハイ)に罪を背負わせれば防風意映(ボウフウイエイ)が一族を守ろうとする いやでも塗山氏が巻き込まれるわ」「私のせいだと?」すると相柳は小夭の婚礼を止めさせた黒幕が塗山璟だと暴露した。塗山璟は同じ場所で相柳と落ち合い、小夭の婚礼を止めて欲しいと頼んだ。『引き受けるなら今後は毎年、残党軍に糧秣を提供する』『臆病でできぬことも銭があれば片付くか…いい根性だ』『婚礼の前に止めて欲しい』『どうやるかは私に任せてもらう、あれこれ指示されたくない 条件は向こう37年間、辰栄軍に糧秣を提供しろ』寝耳に水だった小夭は激しく動揺、すぐ帰ろうと決めたが、急に胸が痛くなって倒れ込んだ。「防風邶の正体を漏らしたら死ぬぞ、秘密を守ることだ」「ゥッ…このために蠱虫(コチュウ)を解こうとしないのね」「私がどういう男か分かっていただろう?」相柳はわざと悪人ぶって先に帰ってしまう。置き去りにされた小夭は仕方なく市場に出た。すると運良く清水(セイスイ)鎮の王・兪信(ユシン)に出くわす。そこで青丘の塗山璟に会わせて欲しいと頼んだ。「私には会うはずよ、私の言葉が嘘で無駄足になれば罰を受ける でも私の言葉が本当なら罰を受けるのはあなた」相柳は兪信の馬車で清水鎮を発った小夭をかげながら見送った。その時、ふと小六が″たとえ一時の道連れでも寂しいよりはいい″と言っていたことを思い出す。…行きずりの防風邶の代わりに添い遂げる相手をやろう…塗山府に突然、小夭が現れた。知らせを聞いた塗山璟は喜び勇んだが、薬の匂いで小夭に病が知られてしまうと焦る。「新しい衣を出してくれ、私の顔色はどうだ?」すると侍女・静夜(セイヤ)はひとまず王姫に湯あみを勧めて旅の疲れを癒してもらうと安心させた。感情的になって青丘まで押しかけた小夭。しかし冷静になってみると浅はかな行動だったと気づき、湯殿からこっそり逃げ出した。すると回廊で塗山璟に見つかってしまう。「ぁ…相柳に聞いて頭に来てしまって、衝動的になると思いもよらないことをする 来るつもりじゃなかったのに」「もうすぐ日暮れだし大雪になりそうだ、今日は泊まっていくといい」「雪になるとは思えないけれど…」今日は晴天だったが、塗山璟は後ろ手でこっそり術を放ち、雪を降らせた。一方、西炎瑲玹(セイエンソウゲン)は未だ小夭の行方をつかめずにいた。報告では青丘にも王姫の姿は見当たらないという。しかし兪信という怪しい男の馬車が塗山府に入ったと知り、瑲玹は小夭がやはり塗山府にいると確信した。「今まで清水鎮にいたのか…清水鎮を調べてくれ、手がかりがなければ回春堂へ」小夭と塗山璟は互いに話があると切り出した。「君から先に…」すると小夭は塗山璟を忘れられず、本当はずっと思い続けてきたと正直に伝えた。確かに自分を裏切った塗山璟を恨んでいたが、最近になって自分の間違いに気づいたという。「防風意映が悪辣な女だと気づいていながら何もしなかった 2人で力を合わせれば解決できたかもしれないのに、そうしなかったわ… 不幸な生い立ちのせいで私は他人との関係に悲観的なの 誰にも心から期待せず、あなたを信じていなかった、怖いからよ 自分からは尽くさない、そのくせ結果を見ては毎回、思うの ″ほらやっぱり思った通り、人の心なんか当てにならない″ってね でも忘れていた、何事も自分から求めて努力しないと実りはないってことを 全て自業自得ね、独りよがりだった、だからあなたを失ったの」小夭はもはや取り返しがつかないと決別を告げたが、塗山璟の告白で事態は一転した。「小夭、瑱(テン)Rは私の子ではない」(꒪ꇴ꒪〣)ナッナンダッテー!塗山璟は過去の記憶を取り戻せなかったものの、塗山瑱が自分の子ではなく兄の子だと確信していた。当時、祖母に薬を盛らせ、小夭になりすまして塗山璟の寵愛を得たと思われた防風意映。しかし小夭に誘惑されたのならなおさら、塗山璟は娶ってから結ばれたいと願い、自制するはずだという。「君と正々堂々と結ばれることを望む私が他の女子の寝台で君を抱けると思うか?」「…あなたを信じる」すると塗山璟は急に咳き込んだかと思うと、喀血してしまう。塗山璟は薬を飲んで落ち着いたが、小夭には病ではないと嘘をついた。しかし小夭はなかば強引に塗山璟を脈診、重い病を患っていると気づく。「どうしてこんなことに?」静夜は族長が数十年前、悲嘆のあまり心脈を損ね、近年は王姫を想うあまり心を病んだと口を滑らせた。三ヶ月前には王姫から婚礼の招待を受けて倒れ、さらに悪化したという。「寿命まで縮んで…」「静夜!」塗山璟は静夜の言葉を遮り下げた。すると塗山璟の変わらぬ深い愛情を知った小夭は思わず抱きつき、号泣してしまう。翌朝、小夭は塗山璟のために新しい薬の処方を書いた。しかし胡珍(コチン)が王姫の処方では治療に20年ほど必要だと気づき、続けることができるか疑ってしまう。塗山璟は王姫の指示に従うよう命じて胡珍を下げ、かつて小夭に突き返された魚丹の首飾りを差し出した。「治療代として受け取ってくれないか?」その時、静夜が西炎から王姫の迎えが来たと声をかけた。苗莆(ビョウホ)は寝殿の前にひざまずき、西炎王の命を受けて迎えに来たと訴える。驚いた小夭は思わず立ち上がると、塗山璟の手から魚丹を受け取った。小月頂に帰った小夭は恐る恐る祖父の前に立った。「阿爺(アーイェ)…ただいま戻りました」そこへ知らせを聞いた瑲玹が駆けつける。小夭は思わず瑲玹の後ろに隠れたが、祖父から厳しく叱責された。「出てこいっ!防風邶はどうしたっ?!」「防風邶は…死んだわ、私のせいよ、でも私たちの関係については話したくないの」そこで瑲玹は小夭を捜索していた自分の侍衛が抵抗した防風邶を誤殺したことにしようと提案した。これなら世間も納得し、赤水豊隆(セキスイホウリュウ)の怒りも収まるだろう。太尊は仕方なく了承すると、瑲玹は小夭に部屋へ戻るよう促した。瑲玹は祖父も相柳と防風邶が同一人物と気づいていると分かった。「知った上で帰順を?」「そんな気はしていたが、確信したのは今日だ」「姑姑も赤宸(セキシン)がいなければあんなことには…相柳め、一体、何を考えているんだ」つづく(๑•̀ㅂ•́)و✧ 私の子ではない!…って昼ドラあるあるw
2025.01.04
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偷偷藏不住 Hidden Love第11話江銘(ジャンミン)が化粧室から戻ると、桑稚(サンジー)が熱心にクレーンゲームで白くまのぬいぐるみを取ろうとしていた。そこで江銘も隣の台で挑戦、見事にぬいぐるみをゲットする。しかしちょうど桑稚もぬいぐるみを手に入れたところだった。「桑稚、これ…ぁ」「ちょうど1人1匹だね」寮に戻った桑稚と江銘。江銘は一緒に学食で夕食でもどうかと誘ったが、桑稚は部屋で食べるとつれない。その時、背後から偶然、桑稚のルームメイトたちがやってきた。寧薇(ニンウェイ)は桑稚の抱きついて驚かせると、大晦日に皆で出かけようと誘う。「でも絶対に人が多いよ?」「だって~あ、江銘も来ない?にぎやかな方が楽しいし」「いいよ、じゃあ寮に戻る」江銘は大晦日も桑稚と過ごせると期待したが、当日、桑稚は来なかった。大晦日、人混みが苦手で寒がりの桑稚は結局、独りで寮に残ることにした。寧薇は出かける直前まで説得したが、虞心(ユーシン)にしつこいとたしなめられてしまう。その時、着替えを済ませた汪汪(ワンワン)が現れた。汪汪はコンタクトを入れてメガネをはずし薄化粧、珍しくミニスカートを履いている。防寒のためパンツだった寧薇は自分も着替えると言い出したが、虞心は時間がないと急かした。「じゃ桑桑、行ってくる!お土産、買ってくるね!」「気をつけてね~!」 新年快楽!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ待ち合わせ場所で合流した江銘は汪汪のイメチェンにすぐ気づいた。「いいね!」江銘に褒められて嬉しい汪汪、しかし江銘は桑稚が来ないと知って落胆してしまう。実は上着のポケットに桑稚のために買ったプレゼントがあったが、江銘は気まずそうに紙袋を押し込んだ。桑稚は寮の部屋で夕飯を食べようとしていた。すると段嘉許(ドワンジアシュー)から着信が鳴る。📱<会社の食事会に家族を呼べるから来ないか?( ತ _ತ)<(誰が家族じゃボケ…)夕食ならデリバリー頼んだから、行かない📱<大晦日にデリバリー?人混みが嫌なら2人でどう?( ತ _ತ)<外に出たくないの段嘉許は桑稚の揺れる乙女心など知る由もなく、食事をおごってくれる約束だという。📱<店を予約しておく、早く着替えて…もう大学に着くぞ?段嘉許はまだ会社にいたが、嘘をついて腰の重い桑稚を誘い出した。〓第十一篇 ~心動~ これが情愛なら〓段嘉許に誘われ渋々、食事に出かけた桑稚。段嘉許は上司の助言通り病院でからかったことを謝罪した。「お詫びに今日は俺がおごるよ」「私が食事をごちそうするって約束だから」「どういう意味だ?これを最後にもう会わないと? はあ~孤独で気の毒なおじさんとは食事もしたくないのか~( ߹꒳ ߹ )」「嘉許哥?ちゃんと食べて、今日は口数が多いのね」「やっと小桑稚と食事ができたんだ、口数も増えるさ」2人は話題を変えて食事を楽しんだが、その時、運悪く同じ店に姜穎(ジャンイン)が現れた。姜穎は友人と一緒に入った店で偶然、楽しそうに食事をしている段嘉許を発見、矢も盾もたまらず段嘉許の席に押しかけた。「電話に出なさいよ!」「…言っただろう?もう連絡の必要はない」段嘉許の冷たい仕打ちに怒った姜穎はいきなり段嘉許の顔にコップの水を浴びせた。桑稚は呆然となったが、すかさず立ち上がって自分のコップの水を姜穎に浴びせてしまう。「何するの?!私が水をかけた理由が分かる?」「理由なんてどうでもいい、あなたが手を出すなら私がやり返す」すると激情に駆られた姜穎が今度はテーブルの皿をつかんでしまう。姜穎の目に余る行動にさすがの段嘉許も憤慨、皿を奪い取って床に投げ捨てた。「何のつもりだ?!」「その女は誰?!支払いが終わっても一生、私に借りがあるのよ!逃さないから!」そこへ騒ぎに気づいた店主が駆けつけ、姜穎たちを店から追い出した。桑稚は気が動転している段嘉許を連れ、2人分のコートを持って店を出た。「嘉許哥、あの人は誰?」「…父親の元貸主だ」桑稚は段嘉許にコートを着せてマフラーを巻いてから自分もコートに袖を通す。「彼女を見たことがある、入院中に家に荷物を取りに行った時よ あの時、彼女はあなたに会いに来たのね」しかし桑稚は父親の元貸主なら段嘉許には関係ないと励ました。「負けちゃだめ」「俺が…どうして負ける?」段嘉許の強がりに桑稚は少し切なくなったが、その時、段嘉許はようやく笑顔を見せた。「言い忘れていた、ありがとう、桑稚」すると夜空からちらちら雪が舞い落ちてきた。宜荷(イーホー)で雪が降るのは珍しく、前に降ったのは段嘉許が高校1年の頃だった。「私はすごく運がいいのね」「俺も桑稚と一緒に雪を見られるなんて幸運だ」そこで2人はそれぞれ手を合わせ、初雪に願い事をした。…嘉許哥に辛いことが起きませんように、彼のそばにいるのが私でありますように…桑稚がずっと幸せで健康でありますように、俺も同じく一方、桑稚の友人たちも初雪の願い事をしていた。すると汪汪は片想いしている江銘に思わず何を願ったのか聞いてしまう。「あ、無理に言わなくていいの」「構わないよ、俺の好きな人が願い事をしていたら、それが必ず叶うようにと…」「その人は幸せね」姜穎が路地裏で待ち伏せしていると段嘉許が帰って来た。「許して、2度としないから」「言ったはずだ、もう2度と連絡しない」すると下手に出ていた姜穎が豹変、激しく段嘉許を責め立てた。「支払いが終わったら連絡を断つ?あなたは私に借りがあるのよ?! あなたのパパが私のパパを殺したんでしょう?!」「賠償金は払った、父さんも相応の代償を払った、借りはない」段嘉許は入り口に立ちはだかる姜穎を押し避け、鍵を開けてビルに入った。しかし姜穎が激しくドアを叩いて怒号を響かせる。<段嘉許!あなたのママが約束したわ!自分たちが一生、私の面倒を見るって!…段嘉許が高校生の頃、父が姜穎の父親を車でひき殺した段嘉許は母と2人で姜家に謝罪に向かったが、許してもらえるはずもないすると母は玄関先で泣き崩れながら、裁判所が決めた賠償金を必ず完済し、残された家族の生活を自分と息子が最後まで面倒見ると誓った実は当時、段嘉許と姜穎は同じ高校のクラスメートクラスでは事情を知った同級生たちが段嘉許を殺人犯の息子と噂したが、それでも段嘉許は学校を休まなかった…新年を祝う花火があがった。音に気づいた段嘉許は屋上に出て写真を撮っていたが、その時、ちょうど桑稚からメッセージが届く。<祝嘉許哥新年快楽 天天開心すると桑稚のスマホに″哥哥2号″から返信が届いた。<おめでとう<今、花火を見てるの<🎆俺も見てる、きれいだね段嘉許の心を唯一、明るく照らしてくれる桑稚の存在。段嘉許はアドレスの桑稚のファイルを出し、名前を″只只(ジージー)″に変えることにした。▶︎保存しますか?「はい」「いいえ」その時、ふと自分の家庭環境や年齢のことが頭をよぎり、結局、桑稚に戻した。段嘉許が部屋に戻ると着信音が鳴った。確認してみるとチャットグループ525に銭飛(チェンフェイ)からメッセージが届いている。💬報告がある、俺、結婚する!しかし新年のせいか誰も返信しなかった。💬何だよ?皆もう寝たのか?無視かよ~😢そこで段嘉許は直接、銭飛に電話した。銭飛はひとしきりノロケたあと、段嘉許にも気になる子がいるか聞いた。すると段嘉許は一瞬、考えたあと、ふいに桑稚の姿が頭に浮かんで黙り込んでしまう。「今の沈黙は…いるんだな?誰だ?言えよ?!」「結婚するんだろ?早く寝ろ(ガチャ!」「おーい!誰か教えてくれー!」段嘉許は慌てて電話を切ったが、我ながら動揺していた。「俺は何を考えているんだ?相手は子供だぞ?」江銘はキャンパスで桑稚たちと遭遇した。「桑稚、年越し来なかったね、週末どこかへ出かけない?」「テストが近いからまた終わってから…」「じゃあ、テストが終わったら皆でどこか行こうよ」すると寧薇が新しい店がオープンしたことを思い出し、早速、夕食へ行こうと提案した。しかし桑稚は親戚に会いに行くからと断ってさっさと行ってしまう。実は桑稚は段嘉許のため防犯グッズを手に入れていた。段嘉許は会議を終えて携帯をチェックした。すると桑稚からメッセージがある。…渡したい物があるから会社へ行くね、忙しければ受付に預けておく…今どこ?段嘉許はすぐ返信したが、その時、思雲(スーユン)がまた姜穎が会社に押しかけてきたと報告した。「ビルに立ち入らないよう警備員に頼んであるわ」段嘉許は桑稚と姜穎がかち合うことを恐れた。そこで急いでロビーまで降りたが、ちょうど姜穎と警備員が押し問答している。「自由に入れません!」「私は彼の親友よ!」段嘉許は仕方なく裏口から外へ出ると、ちょうど桑稚を見つけた。焦った段嘉許は急いで桑稚を引っ張ってビルの影に隠れたが、つい口調がきつくなってしまう。「桑稚、突然、会社や家に来るな、来る前に連絡してくれ」「これを私に来ただけ、ドアカメラよ、もしもの時は警察に連絡できるし… 仕事に戻って、私は授業があるから」すると桑稚は帰ってしまう。仕事を終えて家に戻った段嘉許は桑稚がくれたドアカメラを早速、取り付けた。桑稚の気遣いに心が温まる段嘉許、まさか桑稚が自分のせいで悶々としているとも知らずに…。つづくΣ(꒪꒫꒪ )ジアシュ哥の過去がヘビー過ぎて引いた
2025.02.02
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古相思曲 An Ancient Love Song第2話「まさかの二度目」史実と全く異なる″元啓(ゲンケイ)の変″を目撃した沈不言(シンフゲン)。孤立無援の皇后・陸鳶(リクエン)の元へ駆けつけるも、趙啓龍(チョウケイリュウ)に襲われてしまう。「はっ!またお前か」「″また″って…」沈不言が趙啓龍の言葉に困惑していると、その時、陸鳶が颯爽と飛び出し、趙啓龍に応戦した。陸鳶は武芸者だった。沈不言を守りながら孤軍奮闘する陸鳶。するとその隙に丞相・李擁(リヨウ)が弩(ド)に矢をつがえ、沈不言に狙いを定めた。「全てお前のせいだ、沈なんとやら…初めからお前がいなければ…」しかし李擁の放った矢は咄嗟に沈不言の盾となった陸鳶の背中に命中してしまう。皇后が倒れる姿を見た虎豹(コヒョウ)営は一斉に突撃。驚いた李擁たちは陸鳶の息子・楚同裳(ソドウショウ)を置いて逃亡した。血まみれの陸鳶を抱き留め、途方に暮れる沈不言。すると陸鳶は沈不言の手を握りしめながら、うっすら笑みを浮かべた。「恐れないで…あなたはまた私に会える…」その時、沈不言は激しいめまいに襲われ、気がつくと自宅の机にいた。スマホの着信画面を見た沈不言はまだ30分しか経っていないと知った。やはり夢だったのか。しかし自分の著書″南晟遺事(ナンセイイジ)″を開いてみると、″元啓の変″の結末が変わっている。…やはり夢じゃない、陸鳶は私のせいで死んだのか?…すると5つに割れていた玉がいつの間にか4つになっていた。よく見ると欠片の2つがつながり、4つになったと分かる。沈不言は試しに接着剤で玉を修復したが、やはり晟国には戻れなかった。そこで翌朝、玉を譲ってくれた露店の老婦人を頼ることにする。しかし露店は見つからず、書店の店員に尋ねても無駄だった。「露店?露店なら禁止されていますけど…」家に戻った沈不言は頭を抱えた。すると昨夜、鼻血が出たことを思い出し、試しに指に針を刺して玉に血をつけてみる。その時、急に風景が回転し始めたかと思うと、どこからともなく賑やかな声が聞こえてきた。…3月は上巳の節句!柳の露で厄を払おう!…沈不言は昨夜の古装のまま上巳節で賑わう大晟の城下にいた。どうやらタイムループして″元啓の変″の直前に戻ったらしい。沈不言は陸鳶に李擁の裏切りを伝えようと決めたが、その時、人ごみの中に陸鳶の姿を発見した。「陸鳶!陸鳶!私だ!待ってくれ!」すると沈不言の声を聞いた陸鳶が足を止め、振り返った。しかし陸鳶も侍女・倚華(イカ)も沈不言を知らず、感動の再会どころか冷たくあしらわれてしまう。…そうだった、まだ私を知らなくて当然だ…沈不言は陸鳶の後を追いかけ、江都で有名な鏡花楼(キョウカロウ)に入った。そこでちょうど風流な場にふさわしくないと邪険にされていた公子を見かけ、止めに入る。実はその子供のような公子は元啓(ゲンケイ)皇帝だった。無邪気な元啓は自分を助けてくれた沈不言に御牌(ミハイ)を渡し、上機嫌で遊びに行ってしまう。その時、店内に西榮(セイエイ)商人たちが現れ、御牌を持っている沈不言を元啓皇帝だと勘違いした。「少爺?西榮に帰りましょう、馬車で老爺がお待ちですよ?」「誰が少爺だよ…はっ!」男の短刀を見た沈不言は西榮の黒賊(コクゾク)だと気づき逃げようとしたが、捕まってしまう。…まずい、まだ陸鳶と話していないのに…しかしちょうど元啓を探していた陸鳶が現れた。陸鳶は今回も沈不言を守りながら見事な武芸を見せた。そこへ″殺神(サッシン)″の虎豹(コヒョウ)の面をつけた武将が駆けつけ加勢、黒賊を一掃する。「阿時(アジ)」「姐姐」沈不言は驚いた。陸鳶の弟・陸時(リクジ)と言えば無骨な男のはず。しかし仮面の下から現れたのは爽やかな好青年で、何より史実では陸時はもう死んでいるはずだった。陸時はまだ遊び足りないという皇帝を説得して店を出た。沈不言はまた自分を救ってくれた陸鳶に感謝し、今は元啓何年なのか確認してみる。「恐らく元啓15年かと…」「…元啓5年よ」陸鳶は皇后ではなく、まだ皇帝の世話をする掌宮(ショウキュウ)という身分だった。ともかく沈不言は10年後に李擁が国を裏切ると訴え、未来に起こる出来事を詳しく伝えておく。しかし陸鳶はでたらめだと相手にしなかった。「私に養子などいないし、丞相が裏切るはずない、もう帰って」沈不言は陸鳶を追いかけたが、店を出た陸鳶は驚いたことに李擁の馬車に乗り込んだ。沈不言は皇帝の御牌を持っていたお陰で堂々と長晟(チョウセイ)宮に入った。するとちょうど李擁が陸鳶の手を取って馬車から下ろしている姿が見える。…10年前の2人は親しかったのか、陸鳶に李擁の思惑を伝えなくては…沈不言は窓からこっそり紫光(シコウ)殿に入った。そこは皇帝の寝所だったが、まるで子供部屋のように玩具が並んでいる。正殿から漏れ聞こえる陸鳶と李擁の話し声、すると元啓が寝所にいる沈不言を見つけた。「しーっ!陛下、あの二人はどういう関係です?」「朕の鳶姐姐なのに毎晩、取られちゃうんだ 朕は文字が嫌いだが、亜父は好きなんだって」「亜父って…」李擁は元啓を傀儡にして朝廷を牛耳っていた。朝臣の中には李擁の独裁だと糾弾する上奏もあったが、陸鳶は5年前に皇帝がうつけとなって以来、政を担ってきた丞相の苦労を労う。「お前さえ分かってくれれば良い」その時、陸時がやって来た。「義父、姐姐…」鏡花楼に現れた西榮商人は北烈人だった。所持する曲刀は西榮の型だったが、素材は北烈の寒鉄だったという。沈不言は李擁が皇帝の居場所を漏らしたと気づき、晟と西榮を戦わせるためだと分かった。すると陸時も北烈が晟に戦をさせる魂胆だと進言する。「北烈と西榮の戦が始まって3ヶ月、大事な時期です 陛下を連れ去れば我が国は西榮へ攻め入り、北烈は漁夫の利を得られる…」実は最近、北烈軍が火烽堡(カホウホウ)周辺の遊牧民を装ってが西へ移動していた。陸時はこの機に山河を奪還したいと嘆願、雪辱を果たす好機だという。つづく(  ̄꒳ ̄)これは…篤姫?
2025.02.14
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※2024秋アジドラで放送が決定しました!詳しい放送予定はHPでご確認ください偷偷藏不住 Hidden Love(全25話)現代劇はあまり見ることはありませんが、ルースーのドラマにハズレなしということで視聴してみました最初は子役が出て来るゴリゴリのティーンドラマさすがに恋に恋する物語にはピンと来ませんでしたが、何しろルースーが上手い!さて物語は女主・サンジー(桑稚)が14歳の時、思いがけず兄の友人と出会うことから始まります大学生の兄が帰省したと知り、友だちがいるとも知らず部屋に飛び込んだサンジー「お兄ちゃん?整形したの?!」しかしそれは大学生の兄の親友・ダァンジィアシュ(段嘉許)でした中学時代はルースーではなく子役が出てきます子役さんも上手でしたが、少女時代の話がこのまま続くのかと思うとややうんざりしたところでルースー登場!いくら童顔とはいえやはりちょっと厳しいか…でも挫折せずに済んだのは5歳年上の兄・サンヤン(桑延)の存在が大きかったと思います兄妹の掛け合いが面白おかしく、兄妹喧嘩も微笑ましかった↓兄役の馬伯騫親友の妹を可愛がり、何かと面倒を見てくれるジィアシュ哥やがて年頃になったサンジーは自然とジィアシュ哥に淡い恋心を抱きます優しくてカッコいいジィアシュ哥、確かにこれじゃ好きになっちゃうわなルースー演じるサンジーのドキドキ感がこちらまで伝わってきて、何だか自分までジィアシュ哥が好きなのか?という錯覚に陥ってしまいますwしかしそんなサンジーの初恋は思わぬ誤解から7話で終わることに…いや~胸が痛みました( ; ; )ルースー上手い! ←こればっかりw↓妹を慰める兄と「そうじゃないのよ〜」@視聴者8話ではサンジーが念願の大学に合格し、実家を離れて寮へカラオケ店で偶然にもゲーム制作会社で働くジィアシュ哥と再会しますそこからジィアシュ哥とサンジーの距離がぐっと近づくわけですが、ジィアシュ哥のバックグラウンドが思いのほかヘビーでちょっと凹みました( ̄▽ ̄;)ジィアシュ哥はお金の工面に苦労したり、ストーカーに悩まされたりしていますが、その裏に悲惨な事件が…でもそれを知ったサンジーが誰より強くてしっかりしていてカッコいい!あ、ドラマですからねw17~18話とラブラブな時間が流れ、ちょっと早すぎやしないかと老婆心wそしてついにお兄ちゃんに2人の交際が知られるところとなりますさらに実家帰省中に両親にも知られることに…ジィアシュ哥は確かに良い人なんです、でも親からすると心配なのは分かりますね~そこでジィアシュ哥は両親を安心させるためある決断を下し、時間をかけて説得することになります話の展開は24話まで、最終話はまとめと言ったところでしょうかドラマはサンジーの大学卒業で終わります管理人はてっきり大人になったサンジーで終わると思っていたため、ちょっと肩透かしでした↓サンジーの卒業写真とジィアシュ哥の卒業写真これは視聴する年代で評価が分かれそうですドラマなので現実離れしている点は仕方がありませんが、本国ではどうなんでしょう?でも最後にオチがあり、そこは上手いな~と思いました何しろルースーの演技が逸材サンジーがジィアシュ哥の胸に顔を埋めると、まるでジィアシュ哥の体温まで伝わって来るようです陳哲遠ももちろん素敵でしたが、BTSでルースーが彼に演技指導している場面を見ると、やはりかなり彼女の影響が大きかったのでは?ただ時々、ルースーが上手すぎてかえって年相応に見えちゃうこともありましたwこればっかりは仕方がありませんが、若さだけはどうしてもね…ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー↓女主:趙露思と男主:陳哲遠ちょっと( ತ _ತ)メンドクセーと思いますが、まあ若い子向けのドラマのため注意勧告ということで…「偷偷藏不住」の原作は同名小説小説の設定はサンジー13歳にジィアシュ哥20歳、ドラマでは14歳と19歳に変わっています何でも配信後に一部で少女と成人男性の出会いが犯罪を助長していると叩かれたようで、しかも子役が当時11歳だったというのも問題になったとかでもジィアシュ哥の過去が分かって初めて色々と腑に落ちるストーリーなんですね、これ大人への階段を上りながらジィアシュ哥への思いを成熟させていくサンジー一方、心に深い闇を抱えた青年がサンジーという少女と心を通わせながら自分を取り戻していくイチャイチャを削ってこのあたりをもう少ししっかり描いてくれたら良かったかも?まあそもそもドラマなんで、んなワケあるか!なのは仕方がないかな…( ̄▽ ̄;)海外ではすでにNetflixで配信が始まっています日本でもいずれ視聴できると思いますので詳細は省きました少し時間が経って辛口になりましたが、配信当時は久しぶりにハマって楽しかった!これからも2人のご活躍をお祈りしています
2023.07.18
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第21話「それぞれの選択」一族の敵を討ち、肖(シャオ)世子の首を取った何昭君(ハージャオジュン)。程少商(チォンシャオシャン)はその境遇に同情しながらも、やはり楼垚(ロウヤオ)を譲ることはできないと伝えた。しかし何昭君はもはや情愛など問題ではないという。「阿父は最期に私の頬を叩いて言ったわ ″もう何家でお前を守れる者はいない、将来の何家と幼い弟にはお前だけが頼りだ″と… 程少商、もう昔の私とは違う… 私が阿垚を好きだと思う?私だって自分の幸せを犠牲にするの 父や兄が戻ってくれるなら楼垚なんて惜しくもない!」その時、凌不疑(リンブーイー)が現れ、程娘子(ニャンズー)に食ってかかるなと割って入った。「ふっ、こんな憐香惜玉な十一郎(ジュウイチロウ)を見るのは初めて… 程少商、凌将軍がいるんでしょ?なのに楼垚まで奪うの?!」何昭君の怒号が響き渡り、少商は思わず身をすくませた。すると不疑は少商に自分の馬車で送ると伝え、先に車に乗せる。「安成君、父兄の忠勇に今は皆が何家姉弟を哀れむが、時は移ろうもの… 敵を作るか、善意で接するかは安成君の心がけ次第だ」アルソックw少商は馬車の中で凌将軍から馮翊(ヒョウヨク)郡の話を聞いた。馮翊郡は何将軍たちの命懸けの抵抗があり、驊(カ)県のような惨劇は免れたという。「だからと言って破談を勧めているわけではない 私の本音はひとつ…程娘子がどう選ぼうと全て正しい」すると少商はなぜ自分ばかり運が悪いのかと号泣してしまう。( ;∀;)ァァァ…にゃおにゃお…楼垚は曲陵(キョクリョウ)侯府の前で少商を待っていた。すると少商がなぜか凌将軍の馬車で帰って来る。実は少商は何昭君と一緒に肖世子の処刑に立ち会っていた。「何だって?!抗議して来る!」しかし少商が止める。「阿垚…しばらく来ないで、独りで考えたいの」楼垚は少商の背中を見送ったが、思わず呼び止めた。「少商…点心の新しい店ができたんだ、落ち着いたら食べに行こう」少商は笑顔を見せたが、うなづくだけで精一杯だった。楼垚は夜まで曲陵侯府の前に立っていたが、少商が現れることはなかった。…少商、約束しただろう?決して離れないと…程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)は楼垚の一途な想いに胸を痛めたが、結局、嫋嫋(ニャオニャオ)とは縁がなかったのだろう。しかし程家には楼家との縁談をどうしても諦められない者がいた。程老夫人董(ドン)氏は先走って孫が皇太子の夫子の家に嫁ぐと言いふらし、破談に反対して楼家からの聘礼(ヘイレイ)を手放そうとしない。蕭元漪は仕方なく今日は婚姻の相談に行くだけだとごまかしたが、そこへ少商がやって来た。「阿父、阿母、大母…阿垚とは破談にします」(꒪ꇴ꒪〣)ガーン!@老太太少商は両親と共に楼家を訪ね、破談したい旨を伝えた。寝耳に水の楼垚は少商が何昭君から脅されたのだと疑ったが、少商は否定する。すると少商にまで見限られた楼垚はこれまでの鬱憤が爆発した。「誰もが大義をかざして仁義の行いや恩に報いることを説く… でも我慢を強いられるのはいつも私だけ! 私の代わりにもなれぬくせに、なぜ私だけを犠牲にするんだ? 少商、なぜ君まで私を追い詰める?」楼垚の苦しい胸の内を誰より理解しているのは少商だった。「阿垚、2人だけで話があるの」 ( ;∀;)あーやお…楼垚は激しく反発、破談にはしないと断言した。しかし少商は悲しみをこらえ、楼垚を説得する。「前に何昭君のことは嫌いだけど何将軍には可愛がられたと話してくれたわね 五公子とも親しい間柄で、弓術を教わったのでしょう?」少商は馬車の中で凌不疑から聞いた何家の壮絶な死に様を教えた。実は五公子は賊から数十の矢を受け、回収した亡骸は穴ばかりだったという。他の息子たちは馬に踏まれ、亡骸の欠けている者もいた。「今回、馮翊郡の民は驊県とは違ったそうよ 何将軍が息子5人を率いて矢面に立ったから、民を守り災いを阻むことができたの 何将軍は国のために散った、将軍の前では男女の情なんて取るに足りないことだわ」そうは言っても犠牲になるのは楼垚、少商は代われるものなら自分が代わってあげたいと涙した。「…少商、君は正しい」楼垚は驊県での辛い体験から民を守れるようになりたいと誓っておきながら、少しの我慢もできないと反省する。すると少商が未来なら変えられると励ました。「阿垚、何昭君を娶ったらただの夫ではなく、兄であり、寄る辺となる だから大切にして教え導くのよ、彼女が過ちを犯したら譲歩してはだめ、言いなりにならないで」「…また強情を押し通せば何将軍の墓前で反省させるよ」楼垚は少商と一緒に破談を決めたと報告した。安成君を娶ればこの先、十余年は何家の部曲が二房の指示に従うことになる。楼垚は大房の干渉を牽制し、もはやこれまでの怯える二房公子の面影はなかった。「程叔父、程叔母、今後は私を身内と見なしてください…少商、これからは私を兄と呼んでくれ」「はお、今後は順風満帆で、いつか外地で仕官し、高く飛べるように祈っているわ」「私も祈っている、君が良い人に出会い、共白髪となって添い遂げ、情愛を貫くと…」こうして2人は笑顔で別れた。汝陽(ジョヨウ)王妃は孫の裕昌(ユーチャン)と凌不疑の仲を取り持つため、城陽(ジョウヨウ)侯府を訪ねた。しかし城陽侯凌益(リンイー)が皇帝に上奏して息子を呼び寄せていたにもかかわらず、子晟(ズーション)は現れない。王妃と郡主は仕方なく帰ることにしたが、話題は自然と楼家の縁談話になった。裕昌はさすがに巻き込まれた程娘子に同情し、もう良縁はないだろうという。すると汝陽王妃は強情で品行が悪い程少商の心配など必要ないと冷たかった。その時、ちょうど門前に凌不疑が現れる。「皇帝が望んでまとまった楼何両家の縁談にとやかく言うのは天下の罪人だ …先日、陛下より半年の俸禄を召し上げられた、その理由をご存知か?」慌てた城陽侯妃淳于(チュンユー)氏は中で食事をしようと話題をそらしたが、不疑はそんな気分ではないと一蹴した。「皇帝を煩わせずとも今後は頻繁に会いに来るつもりだ そうだ…程娘子の縁談だが心配には及ばない、彼女の婚姻は私が責任を持つ」←唐突に何?wその頃、曲陵侯府では老夫人が楼家との破談を知って大泣きしていた。 皇帝は涂高(トコウ)山での祭典に曲陵侯と夫人、子供たちの随行を認めた。程始はちょうど嫋嫋の気晴らしになると喜んだが、少商は祭天の儀にも出ずにひとり鬱々としている。そんな少商を心配した万萋萋(ワンチーチー)は少商と程姎(チォンヤン)を騎射場に誘った。「班(バン)侯がひ孫を紹介したくて若い息女たちを招待したの でも班侯もお気の毒よね、戦乱で子も含めて一家が亡くなり、5人の孫まで失うなんて… だから唯一の子孫・班嘉(バンジア)を宝のように溺愛しているらしいわ でも身を固める年頃になって初めて遠出し、都も不案内ときてる」すると少商は何昭君と似たような境遇だと気づき、かえって気落ちしてしまう。騎射場の貴賓席には少商がお目にかかる機会などない公主たちが座っていた。唯一、天下平定後に生まれた五公主は末娘ということもあり溺愛され、天敵の王姈(ワンリン)と仲が良いという。五公主と犬猿の仲なのは越(ユエ)妃の娘・三公主。生まれてすぐ小越侯に育てられ、派手好きは萋萋と良い勝負に見えた。実は皇帝が宣(シュエン)越両族の婚姻を決め、五公主は三公主の従兄に嫁ぐことになっている。「従兄を怒らせないことね、気が短いの、屋敷の″幕僚″をどう片付けるのか考えたら?」一番、落ち着いて見えるのは二公主だった。二公主は騎射を見ないなら駙馬と囲碁でも打てと三妹を叱り、五妹をかばう。その中でただ一人、装飾品も身につけない質素な貴賓がいた。実は皇帝が天下平定前に皇太子に娶らせた太子妃だという。「実家は貧しく田舎の出身でね…」その時、程頌児(チォンソンアル)が萋萋の頭をこずいた。「口は災いの元だ、嫋嫋に皇族の秘話など吹き込むな」すると運悪く騎射場に何昭君と楼垚がやって来た。つづく。゚(∩ω∩`)゚。 ←思いの外、あーやおショックが響いている管理人w
2023.08.25
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第26話)第53話「長秋からの旅立ち」霍不疑(フォブーイー)に嫁ぎたいと願うも手酷く追い返された駱済通(ルオジートン)。これも全て程少商(チォンシャオシャン)のせいだと逆恨みし、長秋(チョウシュウ)宮に少商を訪ねた。少商は殊勝にも先のぶしつけな態度を謝罪する駱済通を追い返せなかったが、どちらにしても助けることはできない。「彼とはもう関わりたくないし、とりなす気もない、成婚を勧めることもね…あなたの問題よ」「今日はあなたに伝えに来ただけ、北西に戻って余生を過ごすわ、これで永遠にお別れよ 明日にも出発する、ただやり残したことがあるの…」宣神諳(シュエンシェンアン)の心疾(シンツウ)は悪化の一途をたどり、今朝は身体を起こすこともできなくなった。そんな宣神諳の元に帰京した霍不疑が見舞いにやって来る。「子晟(ズーション)なの?」「私です」不疑は宣皇后が力無く伸ばした手を取り、頬に当てた。「少商ならまだ婚約していない…少商の心の中にはまだあなたがいるわ」「知っています、私の過ちです、一生かけて贖罪すると決めました」その時、宣皇后が重い身体をどうにか起こした。「少商は幼き頃、最も愛が必要な時に家族がそばにいなかった 愛しているなら少商の心に欠けたものを補ってあげて… あなたの決断を理解させるのではなく、相談し合って初めて肩を並べて進めるのよ?」「はい、今後、少商には全てを明かし、語り尽くします、隠し事はしません」「だけどもう私には時間がない、2人の成婚を見届けられないわ」「私は不肖者です…ご心配をかけて…」不疑は育ての親でもある宣皇后への不孝を思うと涙があふれ出した。すると宣神諳は子晟の涙を拭い、来世では子晟と少商を息子と娘にしたいという。「そして長生きして2人に養ってもらいながら笑顔で晩年を送るの これこそ満ち足りた人生というものよ」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)が現れた。「霍将軍に急務だと…」宣神諳は最後に少商としっかり話すよう念を押し、必ず許してくれると励ました。不疑が寝殿を出ると翟媪が待っていた。梁邱起(リャンチゥチー)から知らせがあり、少商が都を離れる駱済通の馬車に同乗して郊外に向かったという。実は駱済通は宣皇后の心疾を治せる神医に心当たりがあると嘘をつき、少商を連れ出していた。少商はなかなか到着しないことを訝しんでいたが、やがて駱済通が本性を現す。「…幼き頃より彼を慕うも身分の差で明かす勇気はなかった その後、互いに婚約して望みは絶えた、でも天は私を哀れみ北西で再会させてくれたの あなたに分かる?愛する人がいながら別の人を世話する気持ちが…」駱済通は不疑への思いの丈をぶちまけると、少商に隠し持っていた短剣を突きつけた。「彼は女に目もくれないのにあなただけは別、なぜ霍不疑の目にはあなたしか映らないの?! 彼のためなら何だってやる、夫だって殺したのよ?でも彼は私を愛してくれない でもあなたを殺せば彼は私を忘れられなくなる、恨まれても本望よ」御者は崖に向かって馬を走らせた。しかし背後から凌不疑の馬が追いつき、驚いた御者は飛び降りてしまう。その時、短剣を振り上げる駱済通の姿が窓から見えた。不疑は無我夢中で手を伸ばし、素手で短剣をつかんで取り上げる。その間も馬の暴走は止まらなかった。不疑は何とか馬車に飛び移ったものの間に合わず、咄嗟に車から少商を抱きかかえ脱出、駱済通は馬車と共に谷底へ転落してしまう。( ;∀;)ァァァ~ウマーの扱いィィィィィ~不疑は少商の手をつかみ、かろうじて岩肌にしがみついた。しかし少商は不疑の手から流れる鮮血で真っ赤になった自分の手に気づき、覚悟を決める。「手を放して、あなた独りなら登ることができる」少商は自ら手を放したが、不疑は少商の手を握りしめて決して放さなかった。「独りで生きるつもりはない、君に許してもらえるとも思っていない だが歯形の誓いから君は私の妻になった、君が生きれば私も生きる、君が死ぬなら私も死ぬ!」その時、2人を探していた黒甲衛(コクコウエイ)が到着、不疑と少商は無事に引き上げられた。少商は不疑の手の傷を心配してくれた。不疑は包帯を巻けば支障はないと安心させ、皇宮まで送りたいと申し出る。しかし少商は必要ないと断った。落胆しながら馬の元へ歩き出した不疑、その時、宮中から早馬が駆けつける。「霍将軍!程娘子!すぐ皇宮へ!宣皇后が危篤です!」少商と不疑が長秋宮に戻る頃には激しい雨となった。2人はびしょ濡れのまま寝殿に駆けつけ、一番後ろで静かにひざまずく。文(ウェン)帝は枕元で付き添いながら、自分が宣神諳の一生を台無しにしたと涙した。しかし宣神諳は皇帝と出会えて幸せだったという。「分かっています…阿姮(ホン)妹妹が流した涙が私より多いことを… これからは彼女と手を取り合い暮らして欲しい…私という存在がなかった頃のように… 陛下、阿姮と話をさせてください」越姮(ユエホン)は宣氏一族のことなら心配ないと安心させた。しかし宣神諳が話したいのは自分たちのことだという。「我が子は19歳の時に襲われたけれど、あなたを疑ったことはないわ」「分かっています…あの年、私の息子も4ヶ月で夭折しました でも疑ったことはありませんでした」「分かってる、決して私を疑わないから外の流言も恐れることなく子供たちを受け入れてくれた」「…私たちは姉妹同然でした」「普通の家の姉妹だったらどれだけ良かったか…」すると宣神諳は子供たちを呼ぶよう頼んだ。皇帝は宣神諳を抱き起こして子供たちの顔を見せた。すると宣神諳は最後の望みとして父が隠居した山で眠りたいという。「この身体は皇陵に葬るしかない…だからお願いです 私の髪を一束ほど切って少商に燃やさせてください、その灰を埋めて欲しい」「分かった、全て望みのままにしよう」そして東海(トウカイ)王には闊達に生きるよう諭し、翟媪の面倒を頼んだ。嫁いだ五公主にはしっかり生きて欲しいと願い、美しい歳月を大切にして欲しいという。「子晟…」不疑は宣皇后に負い目があった。しかし宣神諳は子晟も苦汁をなめて生きて来たと理解を示す。「私が逝った後は過去のことは水に流すといいわ…あなたも自分を許してあげて… 少商、ここへ…」少商は寝台へ近づくと、宣皇后の手を握りしめた。「少商、あなたを巻き添えにし、5年も無駄にさせたわ…」「巻き添えなんて…少商が望んだのです、5年でも10年でも…」「バカな子ね…私のために多くを犠牲にしてしまった だから将来の日々は自分のために生きなさい…私のように無意味な余生を送らないで欲しい 母としてはあなたたち2人の縁がそのまま続いて欲しい… ただ情理を知る目上の者としては婚姻が強引に求められないことも分かる だから万事、心に従えとしか忠告はできない…今を大切にして悔いなきように…」すると宣神諳は苦しくなったのか大きく息を吸い込んだ。「陛下…来世では太平な盛世に生まれ、放浪の苦を免れますように… 来世では両親が健康で長生きして憂患の苦を免れますように…ハァ… あなた…あなたに嫁げて幸せでした… でもどうか来世では…あなたと会うこともないように…」宣神諳は夫婦の情を得られぬまま不遇の人生を終えた。悲しみに包まれる長秋宮、その頃、心の支えを失った少商は呆然と宮中を歩いていた。やがて憔悴した少商は激しい雨の中で倒れてしまう。不疑は意識を失った少商を曲陵(キョクリョウ)侯府へ送り届けた。突然のことに困惑する程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)、聞けば宣皇后が逝去したという。「…私は送って来ただけ、すぐ失礼します」「霍不疑、待たんか!」程始は娘を簡単に捨てた霍将軍への怒りが爆発、5年前に娘は死にかけたと明かした。今でも裏庭の離れには作りかけの棺が残っているという。不疑は思わずその場にひざまずき、少商を傷つけたことを謝罪した。「ゆえに2度と邪魔はしません…」しかしどんなに謝られても失った5年間は戻ってこない。蕭元漪は長秋宮にこもっていた嫋嫋を思うと胸が痛んだ。「私が重病を患った時も、阿兄が妻を娶る時も、堂姉が嫁ぐ時にさえあの子は帰らなかった 嫋嫋の選択はあなたのためよ、霍不疑!」不疑は床に頭を打ちつけるように叩頭した。「私の過ちです、少商の一途な情を裏切り、程家の信頼を裏切った 少商と程家には負い目があります、その償いは一生かけても終わらない 北西で戦死できればと思っていたが死ぬ勇気もなく、彼女の恨みも消せず… 私には死ぬ資格さえない」しかし蕭元漪も決して霍将軍に自責の念を植え付けたいわけではないという。そもそも自分たちにも娘が幼い頃に構ってやれなかった苦い経験があった。「今後は嫋嫋の望み通りにさせるわ あなたと娘は互いに情があっても天に翻弄されてしまった 今後も縁が続くかどうかはいずれ答えが出る」つづく( ;∀;)宣皇后…泣けたわ〜
2023.12.22
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第27話)第54話「母娘の雪解け」宣(シュエン)皇后は程少商(チォンシャオシャン)と霍不疑(フォブーイー)の縁が再び結ばれることを祈って旅立った。主を失った長秋(チョウシュウ)宮の夜。不疑は少商の飴糖(トウイ)作りを手伝いながら、彼女の言葉を待っていた。やがて少商は静かに自分の胸の内を明かす。「捨てられて恨んだわ、独断専行で死を選んでも共に歩もうとしなかった 私は本音で接したのにあなたは嘘ばかり…でも5年が経ち、苦労の末に吹っ切れた 今はどうしても心を預けられない、信頼できないの」「少商…すまない、君がどう決めようと尊重するよ 君が捨てられることを何より恐れていると知りながら、私は最も傷つける方法を選んでしまった これまでの20年間は恨みの中で生きて来たが、この先の余生は悔恨の中で生きる できることなら心を取り出し、君にあげたい…でも私にはその資格がない…」すると少商は居たたまれなくなり、黙って部屋を出て行った。少商は回廊から満天の星空を見上げた。すると霍不疑が現れ、隣に並ぶ。「以前、皇后に言ったの、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く 日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すと… 私もしっかり生きるわ、皇后の髪を埋めたら遊歴に出る、私も天地の広さを見たいから」「私も度田令の任務が終わったら北西に戻って国境を守る、世の星河を守るために… これからは自分を大切にする、お互いにしっかり生きよう」少商と不疑は笑顔で別れた。しかし互いに相手の姿が見えなくなると立ち止まり、こらえ切れず涙してしまう。。゚(∩ω∩`)゚。少商は曲陵(キョクリョウ)侯府に戻った。すると母が初めて少商の好物を手作りしたという。5年の月日が流れ、ようやく親子3人で過ごす穏やかな時間、しかし蕭元漪(シャオユエンイー)は急に点心を食べている娘の手を止めてしまう。「もういいわ、どうせ上手じゃないから」「嫋嫋(ニャオニャオ)は何も言っていないだろう?」程始(チォンシー)は相変わらず自分に厳しい妻に失笑した。「嫋嫋、阿母が悪かった…初めての女の子だったから… 兵の指導とどう違うかも分からなかった、息子を育てるのとはもっと違うし… 娘の成長はあまりに早過ぎた、どう改めていいのかも分からなかったの 私が間違っていた、もう一度やり直せるなら決してあなたを置き去りにしない 自分のそばに置くわ、家族で生死を共にするのよ」少商は母の涙にほだされ、長年のわだかまりがゆっくり解けて行くのを感じた。少商は母の手作りの点心を甘い物に目がない祖母に届けることにした。すると偶然にも過去を悔やむ祖母の話が聞こえてくる。当時は二房の葛(ゴー)氏にそそのかされ、老夫人は父と母を支配しようと躍起になっていた。その結果、幼い嫋嫋が最も被害を被ることになったという。「やり直せるなら嫋嫋によくしてあげたい、だって私の孫だもの… 私が死んだら蓄えた金銀財宝は全てあの子に残すわ もし一生、嫁がなくても暮らしていけるようにね、本当にあの子に申し訳ない…」少商は複雑な心境になり、結局、引き返した。少商は蓮房(リエンファン)と東屋に腰掛けた。思えば田舎の別宅に送られた時、蓮房の献身的な世話がなければ今頃、自分の墓が建っていたはずだ。「あなたは私が唯一、信頼できる人だった」「もう昔のことです」少商は祖母とも仲良くなりたかったが、どうにも近寄りがたかった。程家の危機では祖母も身を投げ打ち、徐々に家族になれたと思ったが、やはりまだどう向き合えば良いのか分からない。しかしこれからは誰が自分を憎み、嫌うのかではなく、自分を大切にしてくれる人のことを考えようと決めた。「それが生きる活力になる…人は良い事を考えないと… そうしないと余生をしかと生きられなくなってしまう」蓮房はすっかり大人になった女公子の言葉に大粒の涙をこぼした。。゚(∩ω∩`)゚。 少商は宣皇后の故郷に向かう前に参内、袁慎(ユエンシェン)に別れを告げた。実は善見(シャンジエン)も外地に赴任することになり、皇帝に挨拶したところだという。「2年前、父が義兄を救出するため部隊を離れ、味方が不利な状況に陥ってな 霍不疑は父を助けるため駆けつけ、死にかけたんだ しかし陛下の恩情で父は降格の上、膠東(コウトウ)に戻るだけで済んだよ」父は祖先に面目ないと身体を壊したが、これを機に母も夫を気遣うようになってすっかり夫婦仲が改善されたという。「2人は出発前、我らの縁談を案じていた」「…ごめんなさい、望みには応えられない」「残念だな~将来、私は三公に並び称される、三公夫人になり損ねたな?」袁慎はかつてのように茶化して笑ったが、初めから不疑に勝つ見込みがないと分かっていた。この5年、少商を見守り続けた袁慎、最後は少商の立ち去る姿を見送りながら未練を断ち切った。袁慎が城楼から都を眺めていると霍不疑がやって来た。「決めたのか?」「そうだ、父のためお前は死にかけた、これ以上、競っては恩知らずになる」実は不疑も度田令の推進のため、各地を巡察し、監督すると申し出たという。袁慎は不疑が程将軍の代わりに戾(レイ)帝の残党を掃討するつもりだと気づいた。しかし少商の父や兄を助けるのはまだ分かるが、なぜ恋敵の自分の父を命懸けで救ってくれたのだろうか。すると不疑は少商が袁慎を案じているからだと明かした。「お前が達者でなければ少商は安心できない、楼垚(ロウヤオ)を推挙したのも同じ 彼女は口とは裏腹に情に篤いからな…関心を持つ者が達者なら彼女は安心できる 私がお前たちを守れば、彼女はようやく自分の道を模索できる」「お前は私より情が深く、愚かだ…彼女の愛に値する」袁慎は最後まで少商に寄り添える者がいるとしたら、不疑であって欲しいと願った。。゚(∩ω∩`)゚。不疑…サイコーか宣皇后の四十九日が過ぎ、少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)と一緒に宣皇后の故郷へ向かった。やがて驊(カ)県から十数里の山道を進んでいたが、その時、待ち伏せしていた馬車が一行を足止めする。馬車に乗っていたのは都を追われた楼太傅の娘・楼縭(ロウリー)だった。楼縭は楼垚が少商に今の驊県を見てもらいたいと願い、招待したいという。「ありがとう、でも宣皇后の郷里に向かっているのでごめんなさい」しかし少宮はここで待っているので行ってこいと背中を押した。楼垚と何昭君(ハージャオジュン)は少商の来訪に驚いていた。どうやら自分は招待されたわけではなく、楼縭が勝手に連れて来たらしい。しかし夫婦は両親を相次いで亡くした楼縭を気遣っていた。すると空席がひとつある。何かおかしいと警戒する少商、その時、身重の何昭君が急に苦しみ出した。「お腹が痛い…産まれそう」予定日はまだ先のはずだったが、楼垚はともかく産婆に連絡するため慌てて出ていってしまう。一方、巡察に出発した霍不疑一行は道中の山林で襲撃に遭った。黒甲衛(コクコウエイ)は賊を一掃、すると付近の溝で数十人の死体が見つかる。「驊県の侍衛の鎧を着ていました、他には…袁家の部曲の身なりに酷似を…」驚いた不疑は行き先を驊県に変更した。楼縭は少商に手伝いを頼み、何昭君を連れてなぜか廟に入った。「県衙(ケンガ)に廟を立てるなんて、誰かが修行でもしているの?」少商は困惑したが、その時、突然、楼縭が隠し持っていた短剣を抜き、襲いかかって来る。「少商!」つづく( ;∀;)イイハナシダ〜って、え?これが最終回かってくらい良かったのに今さらローリーって…ないわ___w
2023.12.23
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神隐 The Last Immortal第1話「新たな火鳳の降誕 」足元には一本の道 谷に横たわる生死を黄泉という見上げれば一本の川 川を望むと今生が映し出される川の上には一本の橋 忘憂とは過去の塵が散ること道の果てには石一つ 三生とは全ての塵縁(ジンエン)を断つことここは幽冥界修言(シュウゲン)が酒を飲みながら幽君の詩を聞いていると、阿音(アイン)が現れた『阿音…歴劫(リャッコウ)に送ってまだ18年、公主の身分をあげたのにもう終わりか? 皇室の龍の気でも君の衰運は救えぬと?』『私を歴劫に送る時、言ったわね?今度は平和で幸せな人生だって、なのに私は兄皇に… 不幸な結末だったわ、この道を20回以上も歩いたけれど、いつ終わるのかしら?』その時、阿音が川を望むと風格ある神仙の姿が映し出された『彼はなぜ悲しそうなの?』あれは1000年前のこと、彼が愛した女仙が妖族の狐王を助けたそれが元で仙界の霊山が滅び、仙妖の戦が起きてしまう彼は見せしめに女仙を神剣で刺し、女仙の仙元は散ったそれ以来、彼は女仙の仙元が残っていないか、こうして毎年、探しに来ているという『死なせてしまったからって、そこまで執着しなくても 私がその女仙ならきっと生まれ変わっても2度と会いたくないわ じゃあ行くわね~あ、そうだ、その女仙の名は?』『阿音だ』『その女仙の名前を聞いたのよ?』その時、阿音の姿に気づいた元啓(ゲンケイ)が幽冥界に飛び込んできたしかし修言が咄嗟に阿音を歴劫に送ってしてしまう『修言?!今のは阿音か?!』『阿音はもういない、神君、お忘れか? 元神剣は至高の神剣、剣を受けた者は終わる、全ては幻だ』元啓は修言の辛辣な言葉に目を潤ませながら、必ずまた阿音と巡り会えると信じていた…時はさかのぼり1000年前。仙界の梧桐(ゴトウ)島では鳳族が次の火鳳(カホウ)の誕生を楽しみに待っていた。火鳳が殻で育ち始めて100年、涅槃(ネハン)を経てそろそろ降誕する頃だろう。しかし現鳳皇の存命中に次の火鳳が誕生するのは前代未聞のことだった。天帝であり鳳皇・鳳淵(ホウエン)は小火鳳の降誕を祝う宴を催すことにした。大澤(ダイタク)派の弟子・古晋(コシン)は宗主・東華(トウカ)の代わりに祝いを届けることになり、青雲(セイウン)とちょうど入門したばかりの新弟子・青衣(セイイ)を同行する。すると道中、青雲は青衣が人間界から昇天してすぐ大澤山に入門できるとは幸運だと話した。「我ら大澤山は一等仙門だ、相当ついてるな」「一等?!では最高位ですか?!」「いいや」この世は太古より神が最も貴く、神界の下、人間界の上に仙界・妖界・幽冥界の三界があった。神界は真神(シンシン)が住む所で、上神となって始めて行くことができる。残念ながら神界の門は長らく閉じたままだったが、三界にはそれぞれ主がいて、そもそも神界は滅多に関わることがなかった。実は古晋の正体は真神の血族である元啓だった。素性を知るのは大澤派の東華、閑竹(カンチク)、閑善(カンゼン)の3人を除けば天帝と清池(セイチ)宮の主管しかいない。あれは200年前、滅世(メツセ)の劫が起こり、元啓の父神・帝眷(テイケン)が劫を止めるために散った。母神の儀合(ギゴウ)は悲しみに暮れ、神界を閉ざして帝眷の復活に力を注いだという。当時、まだ幼かった元啓は深く傷ついて神力を失ってしまい、儀合は息子に修行させるべく下界へ送ったのだ。火鳳と言えば真神の霊獣、東華は降誕する小火鳳と古晋にも深い関係があるため、古晋を祝宴に送っていた。神族の話を聞いて目を輝かせる青衣、しかし古晋は神界など冷たくて面白くないと言い放った。「行ったことが?!」「…いや、想像さ」その時、突然、馬が暴れて車が激しく揺れた。すると馬車の横を万儀(バンギ)派の弟子たちが笑いながら抜き去って行く。「霊風(レイフウ)め…」実は万儀派の少主・霊風は酔仙(スイセン)楼の競売で貴重な酒・聞仙酒(ブンセンシュ)を古晋に横取りされた恨みがあった。梧桐島の祝宴には多くの招待客が集まった。すると降誕が待ちきれず、鳳隠(ホウイン)はこっそり涅槃を飛び出して自分の祝宴を見学することにする。その時、蒼梧(ソウゴ)殿に妖君で狐王・鴻若(コウジャク)が甥・鴻奕(コウエキ)を同伴して現れた。妖族の姿に眉をひそめる仙族たち、しかし実は鳳淵と鴻若は長年の盟友だという。「今日は鳳隠が降誕する日、忘れないで かつて静幽(セイユウ)山の手合わせであなたが負け、鳳族から好きな嫁を選べと言ったわ 鳳隠が成人したら正式に結納に来るわね」しかし寝耳に水だった鴻奕は仙族を娶る気などさらさらないと言い捨て、帰ってしまう。その様子を鳳隠がこっそり見ていた。(ˇ⊖ˇ)<気性の荒い妖君だこと、仙界に恨みでもあるのかしら?鴻若は蒼梧殿を飛び出した甥を引き留め、なだめていた。その時、制御不能になった馬車が現れ、鴻奕が咄嗟に妖術で馬を御して止める。しかし勢い余って古晋たちが空から落下して来た。哀れな姿に霊風は失笑、妖君を煽って古晋と手合わせさせようとしたが、鴻奕は馬鹿馬鹿しいとばかりに帰ってしまう。「もっと妖君と話したかったのに…」古晋は名残惜しそうにぼやいたが、その様子を鳳隠も見ていた。(ˇ⊖ˇ)<この仙君は…蒼梧殿に孔雀王・華黙(カモク)が娘の華姝(カシュ)を連れて現れた。孔雀公主の美しさに仙君たちの目は釘付け、しかしそのせいで華姝は女仙たちの嫉妬を買ってしまう。(*´・ω)<孔雀族は二流の仙門なのに偉そうよね(*´・ω)<見て~頭に孔雀玉胆(ギョクタン)を載せてる~(*´・ω)<でも鳳族が真神からいただいた火鳳玉の方が貴いわネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー祝宴が始まった。しかし鳳淵は宴席をのぞきに来ていた鳳隠に気づき、後を追いかけて捕まえる。「殻の中で待たず、幻形術を使って飛び回るとは…なぜ出て来たの?」「尊師が誰を選ぶか心配で…相手は私が選ぶから勝手に決めないで」すると鳳隠は神仙たちの貴賤を決めるのは天なのか聞いた。宴席の女仙たちは名門たちに嫁ぎたいと話し、仙君たちも家柄を競っていたという。「なぜ家柄が気になるの?分からない」「あなたは天性の王、皆の苦悩など分かるはずないわ」しかしだからと言って簡単に鳳皇の座に就けるわけではなく、火鳳は数々の劫を経験しなければならなかった。↓見っかちゃった!梧桐島は多くの招待客のため結界を解いていた。魔族の灼影(シャクエイ)は主に報告、この機に梧桐島へ侵入するという。仙族と妖族に九淵熬獄(キュウエンゴウゴク)に封印されて200年、青霖(セイリン)は恨みを募らせ、小火鳳を殺して火鳳玉を奪えと命じた。古晋は宴席を抜け出し、青雲と青衣を探していた。すると偶然、庭園にいた霊風と女仙の話を立ち聞きしてしまう。女仙は祝宴に駆けつけた仙君たちの目当ては火鳳との縁組だと噂していた。「でも火鳳は真神の霊獣よ?神君の元啓には誰も敵わない」「誰も顔を見たことがないんだ、ひどく醜くて小火鳳は嫌がるかも 何が真神だ、確かに生まれはいいが、親の愛を受けずに育った しかも昔、神界は乱れていて、母の儀合は下界の神君と噂があったとか 元啓は帝眷の子ではないかもな 帝眷も元啓が真神の子でないと知り、怒って滅世の劫に身を投げたのかも…」「黙れ!」古晋は思わず霊風に殴りかかった。霊風はなぜ古晋が真神をかばうのか分からなかった。しかしこれまでの恨みを晴らすべく殴り返し、仙鎖で縛り上げてしまう。驚いた女仙は必死に止めたが、その時、誰かが法術で霊風を罰し、古晋を解放した。「誰だ!」霊風は激怒したが、女仙は物陰からわずかに見える真紅の紗に気づき、孔雀公主だと誤解した。慌てた霊風と女仙はただの遊びだったと謝罪、逃げるように去って行く。実は古晋を助けたのは鳳隠だったが、偶然にも全ての成り行きを華姝が見ていた。古晋は孔雀公主を呼び止め、救いの手を差し伸べてくれたことに感謝した。華姝は物陰にいた赤い衣の娘と自分を勘違いしていると気づいたが、大澤山の弟子に恩を売っておけばいつか役に立つと踏んで成り済ます。「いいの、気にしないで」「ご恩は必ず…何が欲しい物があれはお持ちします」すると侍女・紅雀(コウジャク)はわざと無理難題を言った。「何でも?ふふ、では小火鳳は儀合真神の火鳳玉を持っているとか、さすがに無理でしょう?」しかし古晋は手に入れると安請け合いしてしまう。一方、灼影は梧桐島に潜入したものの炙火(シャカ)の結界に阻まれ、小火鳳の殻に近づくことができずにいた。すると誰かの気配を察し、慌てて物陰に潜む。それは恩人に報いようと火鳳玉を借りに来た古晋だった。古晋の手にはちょうど霊風ともめた時にできた傷があったが、驚いたことにその血が結界を破ってくれる。しかし古晋は急に火鳳玉の力に引っ張られ、慌てて仙鎖を放って木に縛りつけた。そこで灼影は咄嗟に鎖を切断、涅槃に吸い込まれる仙君と一緒に入ろうとしたが、独り跳ね返されてしまう。鳳淵たちは涅槃の異変に気づき、火鳳の様子を見に行った。すると殻の中の鳳隠が離散、その前で古晋がへたり込んでいる。鳳淵と鴻若は直ちに燃魂灯(ネンコントウ)で鳳隠の仙元を探し回ったが、三界には見当たらなかった。おそらく火鳳玉に砕かれ、時空の乱流に落ちたのだろう。「姑姑…」「なぜ鳳隠の涅槃に入ったの?!」「火鳳玉を借りたくて…」「何のために?!」華姝は巻き込まれることを恐れたが、古晋は恩人を売らなかった。「それは…結界の外にいたのに、何かの力で引き込まれたのです 鎖仙術で身体を止めたのに、黒い影が現れて…鎖を切られ飛ばされました 火鳳玉は何かの衝撃で破裂したようです」古晋のせいで数万年かけて生まれる火鳳が消えた。これに鳳族は激怒、たとえ東華の弟子でも雷刑にすべきと鳳皇に嘆願する。古晋は潔く罰を受け入れると言ったが、古晋の身分を知る鳳淵は困惑した。つづく(  ̄꒳ ̄)うむ、長い…これでもかなり端折ったのにw
2024.09.07
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长相思 第二季 lost you forever S2第13話賭場で思いがけず相柳(ソウリュウ)と出くわした小夭(ショウヨウ)。そこでこの機会に蠱毒(コドク)を解くよう説得したものの、相柳に断られてしまう。実は塗山璟(トザンケイ)からも解いて欲しいと頼まれたが、引き受けたくてももう解けなくなっていた。するとそこに塗山璟が現れ、小夭の手を取る。「間者を遠ざけた、脇門から出られる」「助かったよ」相柳は2人の繋いだ手を一瞥すると、独りで去って行った。小夭は帰りの道すがら、瑲玹(ソウゲン)に会うのが嫌で賭場で時間をつぶしていたと釈明した。しかし塗山璟は気にする様子もなく、小夭を探していた苗莆(ビョウホ)を先に帰らせたと報告する。一方、瑲玹は日が暮れても帰って来ない小夭を心配して下山していた。すると偶然、橋の上にいる小夭と塗山璟の姿を見つける。2人が楽しそうに夜景を眺めている様子を見て険しい表情になる瑲玹。しかし2人の元へ向かう時には満面の笑みを作っていた。塗山璟は西炎王に気づいて拝礼した。何ともばつが悪そうな小夭だったが、瑲玹が迎えに来たと知って素直に塗山璟に別れを告げる。塗山璟は2人の後ろ姿を見送りながら、相柳の件が杞憂だと気づいた。…陛下は小夭を溺愛している、蠱毒が解けなければ相柳を殺さないだろう…一方、小夭を送り届けた瑲玹は自分を避けるために出歩く必要はないと伝えた。「休戦したそうね?」「今は雨期だ、戦を続けたら洪水の被害は免れぬ…戻るよ」「待って…」すると小夭は急な雷雨を心配し、瑲玹に傘を渡した。雨期が終わって戦が再開した。皓翎(コウレイ)王は体調を崩しながらも政務に追われていたが、朝議では平然と皓翎王の失策を批判する大臣が現れる。しかし出征を志願した蓐収(ジョクシュウ)が巻き返し、負け続きだった皓翎に勝利をもたらした。喜んだ阿念(アネン)は早速、父王を訪ねたが、そこにはすっかり老け込んで弱々しくなった父の姿がある。阿念は霊術で父王の白髪を黒く染め、蓐収に任せてゆっくり静養するよう勧めたが、何の役にも立てない自分を恥じた。瑲玹は祖父と一局、手合わせしていたが上の空だった。実は西炎軍が白嶺(ハクレイ)城の一戦で敗北。叩き上げの蓐収に比べて挫折を知らない赤水豊隆(セキスイホウリュウ)が気がかりだという。「今回の敗北によって士気が下がるのが心配です 爺爺(イェイェ)、西炎城の巡視という名目で密かに軍営を訪ねようかと…」「行って来い、私がいる」すると瑲玹の期待通り、話を聞いた小夭は心配で同行すると言ってくれた。しかし父王に追放されたことを思い出し、小夭はやはり行かないと断ってしまう。そこで瑲玹は塗山璟に同行を頼み、中原で民に喜ばれる物産選びを手伝うよう頼んだ。塗山璟は快諾、小夭も行かざるを得なくなってしまう。皓翎に入った小夭は西炎に陥落されながら戦などなかったように平和な街に困惑していた。塗山璟の話では瑲玹が戦に際し民の暮らしを侵さぬよう厳命、河川の増水期には兵士たちが堤を修築したという。また駐屯兵たちは西炎王の勧めで家族を呼び寄せて定住させ、心身ともに落ち着いて任務に当たっていた。小夭は自分が想像していた悲惨な戦と全く違うと知った。すると瑲玹は皓翎にいた200年であらゆる苦労をしたと明かす。時には漁師として働き、行商や人足で銭を稼ぎ、従軍して匪賊討伐に出かけたこともあった。「孤独で先の見えない日々をこの国の民たちと共に暮らして来た …小夭、この地への思いはお前より深い」「王姫だったのに私はこの国のことを何も知らなかったのね」瑲玹は天下統一で民に利をもたらすためには血も流れると分かっていた。それでも民の犠牲を極力、避けたという。「私のやり方に賛同しろとは言わない、だが努力は認めてほしい」「はお」小夭は瑲玹へのわだかまりを解き、お陰で3人はその夜、野宿で久しぶりに自由を楽しんだ。小夭は西炎軍営に到着したものの、赤水豊隆に合わせる顔がなかった。そこで幕舎には入らないことにしたが、運悪く豊隆が外へ出て来てしまう。しかし豊隆はすでに立ち直り、過去を手放していた。西炎軍はすでに4敗を喫していた。自分の不甲斐なさを嘆く豊隆だったが、瑲玹は責めることなく、数回の負け戦など大した問題ではないと笑い飛ばす。「勝敗は時の運、常に勝ち続けるなど無理な話だ」一方、皓翎の朝議では連勝に気を良くした大臣たちが士気をあげるため三軍に報奨を出すよう嘆願していた。するとある大臣が病の皓翎王につけ込み、儲君を立てるよう上奏する。しかし皓翎王の子供は皓翎億(コウレイオク)唯一人、当然ながら反対の声が上がった。「優秀な世継ぎの教育は君主の職責です、ですが王姫に儲君の大任は務まりますまい」そこで大臣は甥の中から選んではどうかと進言した。皓翎王はそれが真意だと気づいて憤慨、頭に血が昇って激しく咳き込んでしまう。塗山璟は弟同然の赤水豊隆と腹を割って話し合うことにした。そこで自分が欲しいのは小夭だけ、富も地位も何もいらないと告白する。「小夭との婚儀を防風邶(ボウフウハイ)に邪魔させたのは私だ、すまない」「ふっ、お前にもそんな一面があったんだな、求めるものが違って助かった」阿念は父王の助けになろうと今さらながら兵法を学んでいた。しかし朝議で白虎(ビャッコ)部と常㬢(ジョウギ)部が儲君の一件で自分と父王を愚弄したと聞いて激怒、目に物見せてやろうと独断で西炎軍営に潜入してしまう。侍女・海棠(カイドウ)はやはり帰ろうと説得したが、阿念の決意は堅かった。「守衛を引き離したら逃げなさい」西炎軍の兵士を装った阿念は幕舎に乗り込んだ。そこで寝所にいる人影に向かって毒を放ったが、おとりだと気づく。すると異変に気づいた禺彊(グウキョウ)が駆けつけた。「何者だ?」「裏切り者めっ!」阿念は禺彊に斬りかかったが、禺彊は王姫だと知らずに反撃してしまう。つづく( ˙꒳˙ )急にやる気を出して来た阿念、でも空回りか?w
2025.01.22
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大明风华 Ming Dynasty第40話「2つの生命」漢(カン)王・朱高煦(シュコウク)が絶食して5日目、宣徳(セントク)帝・朱瞻基(シュセンキ)は自ら王府に足を運んだ。すると報告で聞いた通り、寝殿から漢王がかつての自分の功績を語る声が聞こえて来る。朱瞻基は寝殿の前に立って耳を傾けたが、その時、急に戸が開き、朱高煦は皇帝だけ連れ込んで戸を閉めた。朱高煦はすっかり憔悴し、もはや立ち上がることもできなかった。危険がないと判断した朱瞻基は錦衣衛に入らないよう命じ、視察から帰った昨日になって絶食の件を聞いたと告げる。「二叔は英雄、靖難(セイナン)の役や北伐で功績を立てた、史書にもそう記されている 私の心にもしかと刻んでいるぞ? こたびの謀反は史書には載せぬし、二叔を守るために加担した者の名も伏せる 私の苦心がなぜ分からぬのだ?」二叔父がこうして一日中、騒ぎ立て、皆を騒然とさせていれば、誇張した噂を流す者も現れるだろう。朱瞻基は自分たち家族の醜聞だと嘆き、このような私事はもう幕引きしようと言った。すると朱高煦は這いつくばって朱瞻基の足首にすがりつき、自分を処刑するよう懇願する。どうやら二叔父が罪を認めるのは難しいらしい。それでも朱瞻基は二叔父を殺すことはできないと告げた。「食事をすれば新しい地に屋敷を用意して禁足を解いてやる、南京はどうだ? ここより大きな屋敷で晩年を過ごせるぞ?」朱瞻基は屈み込んで二叔父を諭したが、朱高煦はいきなり朱瞻基の腕をつかんだ。それほど罪を認めさせたいなら、葬儀の席で自分が言ったことが真実だったか教えて欲しいという。「大侄子(甥)、真相が知りたいのだ…それを知ることができたら死んでも悔いはない…」朱高煦は気が弱かった先帝である長兄を子供の頃からずっと守って来たと懐かしんだ。もし靖難の一件がなければ自分たちは良い兄弟だったはずだという。まさか自分がこうして屋敷に軟禁され、長兄がこんなにも早く逝ってしまうとは…。朱高煦は朱瞻基の情に訴えかけ、あの話は趙(チョウ)王・朱高燧(シュコウスイ)から聞いたと言った。「私の父は何と言っていた?」「ゥッ…爺爺は幾晩も悩まれた、私に譲位しても二叔には勝てぬ そこであなたに譲ろうとした…二叔だけが大局を安定させられるからだ… 二叔に誓わせるつもりだった、太子一家の命を守り南京に逃がすとな…」朱瞻基はついに真実を明かした。すると朱高煦は床に転がっていた太宗の肖像画を広げ、やはり父は自分の力を認めてくれていたと歓喜する。これまで明に暗に盾となって父を守って来たことは無駄ではなかったのだ。「父上が私を害するわけも見捨てるわけもないっ!」朱瞻基は二叔父の気が済んだと安堵し、約束通り祖父の前で罪を認めるよう頼んだ。しかし朱高煦はかつて朱瞻基がそうだったように南京行きを拒否する。「ふっ…私もお前と同じだ、たとえ殺されても、引き裂かれ灰になっても…決して罪は認めぬ」激昂した朱瞻基は約束を破るのかと食ってかかったが、逆に朱高煦から押さえつけられた。「騙されたな!私を信じたのか?!お前の爺爺をよく見ろ!罪があるのはお前の方だ! 帝位を簒奪(サンダツ)し、親族を禁足にした!ぬぐい去れぬ恥をさらして生きるがいい!」「ぐぐぐ…誰かっ!」皇帝の号令で錦衣衛が一斉に殿内に踏み込んだ。朱瞻基は激情に駆られ、錦衣衛の帯剣を抜いて二叔父に突きつけた。すると朱高煦はひざまずき、先帝の腹黒さにはどんな鋭利な剣もひれ伏すしかないと嫌味を言う。「お前の父に負けたことは認める、父上すらだましたのだ、私など簡単だろう?」その時、朱高煦は思わず失禁し、父の肖像画を濡らしてしまう。朱瞻基は異様な姿の叔父に何とも言えない恐怖を感じ、逃げるように王府から飛び出して行った。翌朝、皇妃・孫若微(ソンジャクビ)は皇太后のご機嫌伺いで慈寧宮にいた。しかし皇后・胡善祥(コゼンショウ)は体調が悪く、誰にも会いたがらないという。また宣徳帝も気分が優れず、今朝は挨拶に来れないと女官が報告して下がった。すると皇太后はなぜか太監がうつむいたまま帰らずに控えていると気づく。そこで自ら席を立って話を聞きに行ったところ、顔色が一変した。若微は様子がおかしい皇太后を心配し、何ごとかと歩み寄る。「皇上が…これまでの成り行きを認めたわ…漢王はこのままでは済まさぬはず」|ω・`).oO(その他大勢はもしや側室の皆さん? その夜、頭を抱える朱瞻基のもとに朱高燧が現れた。三叔父に漢王の調査を頼んでからすでに幾月も経ったが何をしていたのか。朱瞻基は三叔父がうまくお茶を濁しつつ、何者かと結託して自分を陥れるつもりかと疑った。すると朱高燧は微妙な立場ながら命がけで実の兄を探っていると訴え、信用できないなら他の者へと辞退する。しかし朱瞻基は最後までやり遂げろと迫った。「北鎮撫司(チンブシ)が嫌なら朝廷内に別の役職を用意してやろう、それも嫌なら地方を治めるか? どこでもいいぞ?約束は守る」「…心得ました」「私に猶予はない…二叔は私のことを追い込む気だ」「いかにも、老二は死をも恐れぬ男、ですが皇上も焦り過ぎでは?面倒な状況なのです 漢王府の件は知れ渡っている…」「(ジロリ…)」「(ハッ)私の失態です」朱高燧は慌てて拝礼すると、朱瞻基はきちんと始末をつけろと凄んだ。朱高煦がひとりで酒を飲んでいると、朱高燧が現れた。朱高燧は手土産に持って来た酒を開け、朱高煦と酌み交わす。「時機が来たな…」「奴を追い詰めました…老二、このまま命を懸けても?」「危険を承知で臨むしかない、今、命を懸けないでいつ懸ける?」翌朝、侍医たちは皇后の懐妊を確信し、胡善祥に伝えた。すでに皇太后と皇帝にも報告したという。こうして久しぶりに慈寧宮で家族4人水入らず、張妍(チョウケン)は今度こそ子を失わないよう息子に釘を刺した。そこで朱瞻基は皇后の子には先帝からもらった名前・祁鈺(キギョク)をつけるが、皇妃の子には自分がつけたいと懇願する。「太后、どうかお許しください、さもなくば癇癪を起こすかも…ふふ この数日、書を見ては縁起の良い字を選んでいます」「重鎮の″鎮(チン)″にしようかと…重石の意味があり、貫禄も感じられる、天下の根幹です」胡善祥は黙って聞いていたが、内心おだやかではなかった。そこへ宦官が現れ、宣徳帝に耳打ちする。朱瞻基は急に席を立つと、辺境で何かあったらしいと断り、政務に戻った。若微は胡善祥を心配し、寝殿まで送り届けた。「皇后、私はこれで…」しかし急に胡善祥が若微の手を止める。「皇妃も懐妊中ゆえ、免礼」どこか不満そうな様子の胡善祥、すると合図して付き人たちを下げた。「私に言うことはない?」「会おうとしなかったのはあなたの方よ?」「あなたが真相をいつ皇上に話すかと気が気でないだけ…」「皇上の子をまた懐妊したのでしょう?大切にしてくれるわ…」「あなたの子に″祁鎮″と名付けた、皇上は言ったわ、天下の根幹だと… 私のことなど眼中にないの、ひと目でも私を見た? ともかくこの子に感謝すべきだわ、そうでなければ私は廃后になっていたかも…」「蔓茵(マンイン)!何を考えているの?両親が天から見ているわ! 私は実の姉なのよ?あなたのことが心配なの!」「姐姐、そう言ってくれるなら安心だわ~私も姐姐が好きよ?でもそのお腹の子は嫌い…」驚いた若微は思わず後ずさりすると、そのまま帰って行った。「ハア~姑姑が言ってたわ、川の両岸の者は考え方も同じではないと…」朱瞻基が寝宮に戻ると三叔父が待っていた。すると朱高燧は証人も物証もすべて揃っていると報告し、万が一にも虚偽なら自分の首を差し出すという。朱瞻基は早速、証拠を確認すると、それは楡木川(ユボクセン)で盗まれた軍報だった。「都の市場で別々のオイラト人から買い付けた物です 当時、皇上に上奏された軍報と同じ物がマフムードの手にも渡っており、大明は大敗を喫しました 奴らは密約を交わし、父上を死に至らしめた、真相を調査していて驚きました 老二は兵権を握っていましたが、まさか内外で結託していたとは… マフムードが都にいたのも老二の手引き、タタール、アルクタイ、ウリヤンハイとも結託していた 国内では靖難の遺児にも手を出しています 遺児の中から人材を選び、武夷(ブイ)山から都に刺客を送った 裏で金を出し、指揮を執っていたのは奴です 建文(ケンブン)帝を正統と見なす者は多い、その切り札を使った 爺爺も老二を恐れていました 爺爺の遺詔の存在で奴が築き上げた勢力は瓦解(ガカイ)しましたが、腹立たしかったはず… 都の中にも宮廷の中にも奴の間者は多く、探れぬものはない」「なら三叔の間者はどれくらいいるのだ?」「知らぬほうが身のためです、皇上、この件が解決しても油断なさらぬよう…」その頃、朱高煦は王妃と2人、最後の晩餐を決め込んだ。皇帝は夜半にやって来るだろう。「使用人は解雇したか?…子供たちは寝たか?」「コクリ…王爺(ワンイエ)、本当に恩情を求めないと?王爺…シクシク…」すると朱高煦は自分が勝利していたら、決して太子たちを見逃さなかったと言った。朱瞻基はついに朱高煦の大罪の証拠を手に入れ、早速、漢王府へ向かうことにした。しかし寝宮を出ると、ちょうど楊士奇(ヨウシキ)たちが慌ててやって来る。「皇上、火急の軍報です!」朱瞻基は後で聞くと言って歩き出したが、于謙が顔を真っ赤にして怒鳴った。「皇上!どこへ行くのです!」実はオイラトが侵攻し、しかも太宗さえ苦戦したあのマハムードだという。朱高燧は翼をもいで心の蔵をえぐれと皇帝を鼓舞、すると朱瞻基は皆を連れて兵部に向かった。朱瞻基は親征を決意した。驚いた楊子奇は朝廷が内憂外患の今、大局を預かる者がいなくてはならないと反対する。しかし朱瞻基はあっさり楊子奇で良いと決めた。「長い間、爺爺は長城の内と外との和平を願っていた だがあの者は長城内に攻め込もうとしている…はお、迎え撃とうではないか 爺爺の遺志を継ぎ、私が徹底的に征服してやる!」「ご も っ と も で す !」于謙はひざまずき、皇帝の決定に賛同した。結局、漢王府に皇帝は現れなかった。すると翌朝になって皇帝の聖旨が届く。朱高煦は寝殿でうとうとしながら聞き流していたが、皇帝が親征すると知って目が冴えた。「″朱高煦は長年、軍中におり、優秀な将軍である この国難に際し禁足を解くこととし、太宗の鎧を下賜する 玉の指輪、多数の真珠、香料も下賜するゆえ、世に太平をもたらすことを己の務めとせよ″」首の皮一枚つながった漢王妃は涙ながらに拝受すると、突然、朱高煦が中庭に現れた。そこには確かに父の鎧がある。玉扳指を嬉しそうに手に取った朱高煦はうっかり落としたが、慌てて拾って寝殿に戻った。一方、朱瞻基は皇后に出征を伝え、最後に若微を連れ出した。「もし私が男だったらついて行きます、ですが残念ながら見送るしかないわ…」「母上に会いに行ったが不機嫌だった、危うく説教されそうだったよ」朱瞻基は心配する母にまだ見ぬ子供たちのためにも戦へ行くのだと伝えていた。「私からのお願いです、皇帝として子供のため、何か一言、残してください」「私が戻らぬと思っているのか?」つづく(´゚艸゚)さてさて、煮ても焼いても食えない老三…どちらに転んでも退路は残していそうw
2020.09.26
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甜了青梅配竹马 Sweet First Love第5話「あきらめない心」楽堤胤(ローディーイン)が救命救急にいると知り家を飛び出した蘇念風(スーニエンフォン)。蘇牧雲(スームーユン)は親友を心から心配する念風にほだされ、結局、病院へ送って行った。すると病室の前に楽父が座っている。楽父は同級生だという少女を見てすぐ息子から話を聞いていた念風だと分かった。病弱な堤胤は友だちがいなかったが、念風と出会ってから笑顔を見せるようになったという。実は堤胤の病気は拡張型心筋症、しかも珍しいタイプのため手術が困難だった。堤胤が目を覚ますと念風がいた。「お父様は入院手続きに行ったわ…どうして話してくれなかったの?親友でしょう?」「親友だから言えなかった、言ったら心配事を増やしてしまうだろう?」堤胤はわずか10歳で余命宣告を受けていた。両親は誕生日が来るたびにこれが最後になると涙していたという。そこで念風も自分の秘密を打ち明けた。「実は私、しょっちゅう同じ夢にうなされるの…医学書によると解離性健忘症の人に多いみたい 私は幼少期の記憶も実親の記憶もないし、車に乗るのが怖いの なぜだか知りたくて医学部を目指しているけれど…成績が追いつかなくて」その話をちょうど差し入れを買って戻って来た牧雲も聞いていた。「僕を見て、何度、余命宣告を受けてもまだ生きている、つまり諦めなければ奇跡は起こるんだ」堤胤の言葉に大いに励まされた念風、一方、頑なだった牧雲も少なからず影響を受けることになった。家に戻った念風は自分の症状はもちろん、堤胤の病気のためにも医学部を目指そうとやる気を出した。その夜、いつものように念風の様子を見に来た牧雲、どうやら今日は夢遊病が出ていない。「俺はお前の気持ちも考えず、勉強の妨げになるものを排除しようとした…ごめん やり方は強引だけど、俺はお前のことを全力でサポートする…卓依風(ジュオイーフォン)、加油!」牧雲は念風の寝顔を見ながら密かに本音を明かし、そっと部屋を出る。すると寝たふりをしていた念風が目を開け、優しい弟の言葉に笑みを浮かべた。念風と牧雲は仲の良い姉弟に戻った。そんなある日、秦堯(チンヤオ)は念風の練習の助けになればとオーディオ機器を贈る。想い人からのプレゼントに喜ぶ念風、しかし秦堯は幼なじみの斉媛(チーユエン)からの受け売りだと話し、ついでに買っただけだと言った。「じゃあ頑張って~」(´・_・`).oO(ついでって…でも少なくとも嫌われてはいないのよね@ポジティブ相変わらず高圧的な牧雲だが、発表会に出る念風を全面的にサポートすることにした。おかげで朗読技術も格段に上がった念風、しかし創立記念日を明日に控え、堤胤に思わず愚痴をこぼしてしまう。「早く終わって欲しいわ、これで悪魔の特訓から逃れられる、すごいスパルタなのよ?」「分かってあげて、彼は君のことが好きなんだから」「Σ(・□・ ;)そっそんなわけないじゃない、私たちは姉弟よ?」動揺する念風を見た堤胤は内心、本当の姉弟でもないのに何を恐れているのか分からなかった。創立記念日の当日、牧雲と落ちこぼれ仲間のメガネくん(小眼睛)が舞台裏へ念風たちの激励にやって来た。発表を前に原稿を確認しようとした念風、するとうっかり控室に忘れてしまったと気づく。その時、老師が2人の名前をアナウンスした。ともかく柳子慧(リウズーフイ)が先に朗読して時間を稼ぎ、その間に牧雲が控室へ原稿を取りに向かう。しかし牧雲が間に合わず、念風は史記の一節をたどたどしく朗読すると、そのまま口ごもった。やっと戻った牧雲だったが、もはや舞台そでで念風を見守ることしかできない。すると突然、念風がアドリブで話し始めた。「私は落ちこぼれで進学すら危うい…でも先日、友だちが心臓病だと知りました 彼は今も力強く生きています、あきらめなければ奇跡は起きるからと… その後で弟と映画を見ました、その映画にこんなセリフがあったんです ″期待されていない人こそ不可能を成し遂げるものだ″ 逆境とは苦難ではなく、贈り物なのではないでしょうか 果敢に立ち向かえば自分を高められるはずです」牧雲は人前で立派に演説する念風をスマホで撮影しながら、自然と笑顔になった。念風の朗読は大喝采だった。すると上機嫌の念風は洋服を買いに行きたいという。「ねえ、付き合って」念風は牧雲を腕をつかんで引っ張っると、牧雲は急に照れ臭くなって手を振り払った。(^ꇴ^)<私、痩せて少し可愛くなったと思わない?( ー̀ωー́ )<…ずっと可愛い(ボソッしかし喜んだのも束の間、朗読に専念したせいか念風はまた成績が下がってしまう。念風は職員室に呼び出され、担任から留年を覚悟しろと脅かされた。その時、偶然、秦堯がやって来る。秦堯は念風とは対照的に最優秀奨学生に選ばれていた。すると顔から火が出るほど恥ずかしくなった念風は秦堯と目も合わさず、逃げるように出て行ってしまう。家に戻った念風は改めてテストの成績を見ながら落ち込んだ。するとリビングから牧雲の厳しい叱責が聞こえてくる。牧雲はTVのサッカーの試合を見ながらヤジを飛ばしていただけだったが、念風は自分への悪口だと誤解した。「どうせ私は何もできないダメ人間よ!」念風はいきなり牧雲にクッションを投げつけ、激怒して部屋に戻ってしまう。( ゚д゚).oO(あの、テレビを見ていただけェェェ…すっかり自信を喪失してしまった念風は教室でも落ち込んでいた。牧雲は気分転換に生徒会の見回りに付き合わせることにしたが、子慧まで付いてくる。すると運悪く秦堯と出くわした。昨日の今日で顔を合わせたくない念風、しかし秦堯に引き止められてしまう。「スピーチ良かった、感動したよ!…昨日、職員室で見かけたけど伝えられなかったから…」その時、通りかかった女子生徒が嫉妬から念風に嫌味を言った。スピーチがうまくても大学には受からないわ>(*´・ω・)(・ω・`*)ネーしかし秦堯は最近、頑張っている念風なら高得点だったはずだとフォローする。子慧も言い返してやれと煽ったが、念風は気まずそうにうつむいた。(´・_・`)<実は…ひどかったの…念風は大学以外の進路を探し始めた。一方、牧雲は念風が勉強に集中できるよう自炊にチャレンジしたが、恐ろしく不味いチャーハンを作ってしまう。するとその間に念風は堤胤に呼び出されて出かけて行った。(* ゚ェ゚)<動画をありがとうって…何の動画かしら?堤胤はアメリカで治療を受けられることになったと教えた。近いうちに休学することになったという。「君のスピーチに励まされたよ」念風は牧雲が密かに録画した自分のスピーチを堤胤に送信していたと知った。念風が帰宅すると牧雲がなぜか玄関の照明を修理していた。まさか玄関で念風の帰りを待っていたとも言えず、牧雲は動揺して電源も入れないままゲームのコントローラーを動かしてしまう。つづく(´゚艸゚)むーゆんw5話にしてやっと小風の立ち位置が分かって来たわ〜
2022.05.26
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甜了青梅配竹马 Sweet First Love第9話「いつだって味方」銘賢(ミンシエン)大学バスケット部は強豪相手に見事、勝利。すると蘇牧雲(スームーユン)へ一方的に想いを寄せる欧陽(オウヤン)社の令嬢・晴雪(チンシュエ)がお祝いの花束を持って駆けつけた。しかし牧雲は柳子慧(リウズーフイ)と一緒にいた念風(ニエンフォン)を見つけて行ってしまう。その様子を遠目から欧陽予(オウヤンユー)が見ていた。晴雪は気を取り直し、牧雲に祝勝会へ参加しないかと聞いた。早く家に帰りたい牧雲は断ったが、念風と子慧が勝手に参加すると決めてしまう。しかしそのおかげで牧雲と先輩たちのわだかまりは完全に解けた。晴雪は牧雲と親しくなろうと食い下がるが、牧雲は姉の世話ばかり焼いて自分には目もくれない。そこで牧雲と念風は姉弟と言うより恋人同士のようだと揶揄した。すると子慧は一緒に育った姉弟なら仲が良いのは当然だと恋敵を牽制、牧雲たちと早々に引き上げてしまう。その夜、念風に欧陽社から面接の通知が届いた。喜んだ念風はまた牧雲に抱きついたが、振り向いた牧雲と顔が接近し過ぎてしまう。急に牧雲を意識して焦る念風、しかしちょうど蘇父母が現れ、気まずい状況はあっという間に壊れた。元気な子供たちの様子に蘇父母は安心した。すると顔を合わせればいがみ合っていた姉弟がやけに仲良くなっている。蘇父母はどういう風の吹き回しかと驚いたが、念風は大人になったのだと笑った。念風の雇い主はあの欧陽予だった。すると偶然にも欧陽予のオフィスに雪球(シュエチウ)がいる。実は子慧が見つけてくれた雪球の新しいセレブな飼い主とは欧陽予だった。欧陽予はすでに念風のことを詳しく調べ上げ、医学知識と弁舌の才能があり、その上、料理もできるなら理想的な秘書だという。「君を採用することにした、ただ1点だけ注意してくれ 私は多忙なので説明を好まない、質問はなしだ」念風は月給8000元という好待遇に歓喜した。しかし牧雲は条件が良すぎると怪しみ、断れという。「とにかく頼む、俺の初めてのお願いだ…やめてくれ」いつになく真剣な眼差しの牧雲、そこで念風は試用期間の1ヶ月だけ働かせて欲しいと頼んだ。牧雲は元気のない親友・秦堯(チンヤオ)を家に呼ぶことにした。そこで子慧は念風を着飾って想い人との感動の再会を演出したが、秦堯の悩みの種が幼なじみの斉媛(チーユエン)だと知る。進学してから正式に付き合い始めた2人、しかし彼女を優先しているにも関わらず、相手の気持ちがよく分からないという。子慧は念風こそふさわしいと訴えたが、秦堯は愛しているのは斉媛であり、念風は妹でしかないと断言した。念風の初恋は終わった。居たたまれなくなった念風は部屋を飛び出したが、すぐに牧雲が追いかけて来る。しばし牧雲の胸を借りて泣いていた念風、するとふと我に返った。「もう落ち着いたわ、でもこれは失恋の涙とは違う気がする、屈辱の涙よ 私はチンヤオを好きじゃなかったのかも…」「そうかもな、お前は理想の初恋相手像をチンヤオに重ねていただけだ」すると牧雲は泣き疲れた念風を抱きかかえ、マンションに戻った。…君を一生、守るよ、卓依風(ジュオイーフォン)…念風のレポートは1位を取った。しかし米国のシンポジウムへの参加は他の学生になってしまう。覚悟はしていたものの、いざとなると念風はショックを隠しきれなかった。「あんたのせいよ…どうしてミンシエ大学に入ったの?まるで疫病神なんだから」念風は牧雲の苦労も知らず、つい八つ当たりしてしまう。念風は子慧に誘われ、学園祭でも注目の的である芸能祭に参加することにした。本当は医学部の課題で忙しい念風、しかし優勝賞金が1万元だと知り、渡米費用が稼げると俄然、やる気になる。↓念風のダンスレッスンを盗み見るムーユン( ̄ー ̄)ニヤリすると主催団体の部長である晴雪は念風の参加を知り、親切を装って事前に会場を教えると優遇した。そこでとりまきの丁小青(ディンシャオチン)に念風へ連絡先を教えるよう頼む。念風は何の疑いもなくスマホに入れたが、子慧は恋敵の晴雪を嫌って断った。念風は30分前に会場に到着した。すると小青から次が出番だと無理やり部屋に押し込まれてしまう。しかしそこは弁論大会の会場、HIPHOPを披露するはずだった念風はド派手なメイクと衣装で壇上に立たされた。弁論大会の審査員だった牧雲は驚き、隣に座る晴雪に姉が申請したのは芸能祭だと指摘する。晴雪は名簿を確認して困惑、恐らく申請者が多くて間違えたのだと言った。「愉快か?」「私がわざとやったと言うの?心外だわ」「…オウヤンチンシュエ、二度とスーニエンフォンに嫌がらせするな さもないとひどく後悔することになるぞ?お前の善人面には反吐が出る」やがて耐えきれなくなった念風は逃げるように会場を飛び出した。一方、独りで舞台に上がった子慧もギリギリまで念風が来るのを待っていたが、結局、時間切れになってしまう。翌日、念風は反対する牧雲を振り切ってアルバイトへ出かけた。すると欧陽予が米国本部で研修を受けるよう指示する。しかもこの機会に医学シンポジウムにも参加できると知り、念風は夢のようだと感激した。「こんなラッキーでいいのかしら…」「善因善果だ」「は?どう言う意味ですか?」「質問はしない約束だ」(´・_・`)お、おう…念風が帰ると入れ違いで晴雪がオフィスに現れた。「スーニエンフォンのために研修を作るなんて…哥?どう言うつもり?!同情心なの?」「お前は口出しするな」欧陽予は父の罪を償うのは息子の役目だとなだめ、念風に近づくなと釘を刺した。「他はともかく、スーニエンフォンのことは譲れないぞ」しかし晴雪は兄と牧雲が目をかける念風に嫉妬し、どうしても許せない。そこで翌日、委員会の場で弁論大会での失態を自ら謝罪した。「このミスのせいで敗退になった学生がいるわ…そこで敗者復活戦を行おうと思うの」↓お嬢様を絵に描いたようなキャラ設定wその夜、念風は食事の前に楽堤胤(ローディーイン)に連絡した。面白くない牧雲はわざと咳払いして邪魔する。「今度シンポジウムに行くんだけど、その時に…」「ゲフンゲフン!」「会えるかも」📱<そろそろ食事にして、そうしないと牧雲の咳がひどくなるから…バイバイ!すると牧雲はどんなバイトだったのか聞いた。「オウヤンは何だって?…やめないと後悔するぞ?」つづく( ๑≧ꇴ≦)なんだなんだ〜w
2022.06.01
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甜了青梅配竹马 Sweet First Love第12話「家なき娘」家出した蘇念風(スーニエンフォン)は久しぶりにスマホの電源を入れた。その時、ちょうど蘇牧雲(スームーユン)から着信が鳴ったが、念風は切ってしまう。持ち金を使い果たし、今夜の宿もない念風、そこで大学の寮に忍び込み、階段の片隅でウトウトしていた。すると寮母に通報され、警備室に連れて行かれてしまう。警備員は弟の牧雲に連絡したが、念風は楽堤胤(ローディーイン)に助けを求めた。警備員から知らせを受けた牧雲は急いで大学に駆けつけた。「何しに来たの?」「家に帰るぞ」牧雲は念風の次に始末書に引き取りのサインを書くことにした。すると念風が″卓依風(ジュオイーフォン)″とサインしたことを知り、衝撃を受ける。しかし動揺を隠し、念風がまた逃げないよう腕をつかんだ。「まず家に帰ろう」「…あなたの家でしょう?私に家はない」そこへ遅れて堤胤が到着した。「迎えに来たよ」結局、念風は牧雲の手を振り払い、堤胤と行ってしまう。(´-ω-`)切ないムーユン…念風は料理をつくることを条件に、しばらく堤胤の家に居候することになった。すると翌朝早々、牧雲が乗り込んでくる。( ๑≧ꇴ≦)<顔も見たくない!帰って!(  ̄꒳ ̄)<帰らない!( ๑≧ꇴ≦)<はお、なら私が出て行く!念風は興奮して飛び出して行った。堤胤は念風の方が辛いとたしなめたが、牧雲はそれくらい分かっているという。堤胤は誰かが念風を陥れようとしていると気づいていた。そこで牧雲に2人で協力しようと提案する。牧雲は情報の出どころが欧陽晴雪(オウヤンチンシュエ)だと教え、音声データを取り出した。すると堤胤は知り合いの凄腕ハッカーにデータを調べてもらうという。牧雲と堤胤は実はどちらもゲーマーだった。2人は返事を待つ間にオンラインゲームで対戦、互いの腕を認め合う。やがてついに音声データの解析結果が送られて来た。「この音声データは手を加えられている」牧雲はまだデータの件を秘密にして欲しいと頼み、堤胤を信頼して帰って行った。すると入れ違いで念風が戻ってくる。堤胤は念風が本当は牧雲を好きだと分かっていた。「帰った方がいい、蘇父母と話してみて、他人の言葉だけ信じちゃだめだ」念風は残りの荷物を引き取りに家へ戻った。しかし牧雲が両親と話すまで帰さないと邪魔し、仕方なく蘇父母と膝を突き合わせることになる。すると蘇父母は念風に実親の写真を渡した。「あなたの媽媽の秦念雲(チンニエンユン)、爸爸の卓慕風(ジュオムーフォン)よ… 私たち4人は幼なじみで、ずっと親友だった」4人は一緒に留学し、結婚写真も一緒に撮影するほど仲が良かった。そして起業しようと決めて4人そろって帰国したが、いくつもの困難に見舞われたという。蘇父母は不用意にもビジネス上の機密を漏らし、それが原因で会社は危機に陥った。結局、自己破産になったが、念風の両親は会社を残そうと金策に走り回り、疲労困憊している中であの事故が起きたという。「機密を漏らしたって何?で、事故には関わっていないの?」「…不慮の事故だったんだ」蘇父はなぜかお茶を濁すと、牧雲が例の音声データは編集されていたと教えた。恐らく他の資料も改ざんされたものだろう。「俺が真相を調べてやる」「いいえ、何が真実か私が自分で調べるわ」念風は今まで育ててくれた恩に深く感謝したが、これ以上、蘇家の世話になることはできないと別れを告げた。一方、晴雪は半年前に欧陽社に入社した米国帰りのモニカ(莫妮卡)に目をつけた。モニカは新薬開発室のチーフだったが念風に仕事を奪われ、不満を募らせているという。しかも野心家で兄の恋人になりたいと堂々と宣言していた。晴雪は早速、モニカを家に招き、兄の相手にふさわしい相手だとあおって高価な腕時計を贈る。互いに念風が邪魔だった2人は意気投合、モニカは自分が手を打つと自信を見せた。モニカは実習生の念風に山のような仕事を押し付けた。たまりかねた念風は深夜まで働き詰めだと訴えたが、モニカはできなければ別の実習生を雇うと突き放す。そこで念風はバイト代の前借りができないか聞いた。モニカは無断欠勤や遅刻をしていながら前借りできる立場かと呆れ、オフィス中に聞こえるように嫌味を言う。「コネを使って採用されたんですってね?…私にはマネできないわ」念風はようやく仕事を片付け、オフィスをあとにした。するとちょうど来客を見送りに出た欧陽予(オウヤンユー)と出くわす。「どうして私を雇ったんですか?」欧陽予は妹のせいで念風の様子がおかしいと気づき、気晴らしに外へ出ようと誘った。欧陽予はプライベートバーで自ら酒を作ってやった。悶々としていた念風はカクテルを立て続けに飲み干し、すっかり酔ってしまう。「嫌なことがあるなら私が聞くよ、親しくない相手の方が話しやすいものだ」すると念風は孤独な身の上を嘆き、友だちもいないと言った。「あ…違った…ローディーインだけが友だちなの…いつも私を励まして応援してくれる…親友よ 医学部を選んだのも彼のためだった…ディーンは重い心臓病を患っていて…(バッタリ)」欧陽予は酔い潰れた念風をソファに寝かせた。「すまない…」眠り込んだ念風の頬にそっと手を伸ばす欧陽予、すると急に着信音が鳴り、慌てて手を引っ込めた。欧陽予は念風の横に座り目を閉じた。すると念風は夢遊病の発作でふらふら歩き出し、いつの間にか街に出てしまう。暗い夜道を歩く念風、その時、前から車、後ろからオートバイが走って来た。しかし危ないところで牧雲が念風を歩道へ避難させる。「ここはどこ?」意識が戻った念風は何が起こったのか分からなかった。「ムーユン?どうしてここに?」つづく( ๑≧ꇴ≦)ヤンヤン兄のあたまがw
2022.06.04
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil最終話息山神女(ショクサンシンニョ)・息芸(ショクウン)と長珩(チャンハン)の婚儀が始まった頃、東方青蒼(ドンファンチンツァン)は独り、息山にいた。ここは代々、息山神女が凶神・太歳(タイサイ)を封印していた洞窟、すると予想通り自分の身体を乗っ取ろうと企む太歳が現れる。「…ずい分、待ったぞ、身体と元神を私によこせばお前の望みを叶えよう」「欲しいのならくれてやる」東方青蒼は元神を差し出したが、太歳が元神を乗っ取ろうとした時、すかさず自分の心海に引っ張り込んだ。東方青蒼は太歳を道連れに自分を葬り去るつもりだった。東方青蒼独りの力で太歳を封じ込めることは不可能だが、情の木には小蘭花の痕跡が残っている。太歳は苦しみながらも、東方青蒼の弱みを探った。何事にも動じない東方青蒼、しかし息芸の名前を出すと一瞬、顔色が変わる。「…息芸がお前を忘れても良いのか?」その時、太歳は小蘭花(シャオランファ)を案じる東方青蒼のわずかな心の隙を発見、身体の中に入り込んだ。「うわああぁぁぁぁぁぁぁ~っ!」水雲天では神仙たちが見守る中、天が定めた息山神女と長珩が永遠の縁を結び、婚礼の儀がお開きとなった。その時、突然、三界に暗雲がたれこめる。小蘭花は太歳がついに身体を手に入れたと気づき、砕霊淵(サイレイエン)にいると分かった。砕霊淵に仙族が集結、すでに東方青蒼は太歳に身体を乗っ取られ、巨大な祟気(スイキ)をまとっていた。雲中君は今さらながら赤地女子(セキチジョシ)の話が事実だったと知り驚愕する。「初代息山神女が太歳を封印した折、太古の祟気も共に息山に封じられた しかし太歳が封印を破った際に解き放たれたのだ…皆で力を合わせ、鎮圧するぞ!」仙族たちは東方青蒼に向かって一斉に霊力を放ったが、祟気を浄化できるのは息山神女だけだった。「私に行かせて」小蘭花は長珩が止めるのも聞かず、激しい祟気の中へ入ってしまう。東方青蒼の身体を手に入れた太歳は力が回復していた。蘇ったばかりの小蘭花はまだ完全とは言えず、勝ち目があるとは思えない。「我々は息山神女のために全力で時を稼ぐぞ!」長珩たちは懸命に霊力を送り続けたが、次第に力尽きた天兵たちが吹き飛ばされた。その時、月族が駆けつけ援護する。実は觴闕(ショウケツ)は月尊から仙族を手助けし、共に凶神・太歳を倒すよう命じられていた。しかし幽王は相手が月尊だけに困惑する。「巽風(ソンホウ)殿下、水雲天のために月尊に手向かうと?」「…そうではない、三界の皆のためだ」こうして仙族と月族は力を合わせ、共に太歳に立ち向かった。小蘭花は祟気を突破、太歳に身体を乗っ取られた東方青蒼の元へたどり着いた。そこで昊天塔(コウテントウ)で出会った時のように唇を重ね、再び東方青蒼の心海へ入ることに成功する。その時、2人の身体からまばゆい光が放たれた。「…小蘭花の至高の霊力が目覚めたのか?」「これは業火(ギョウカ)だ!兄尊が目覚め、業火も戻ったのだ!」しかし雲中君は長珩も巽風も違うと否定した。「これは琉璃火(ルリカ)、太古に失われた慈悲の火だ 七情や八苦の試練を受けても真心を失わず、愛と慈しみを持つ者だけが操ることができる」雲中君は月族の東方青蒼がこの琉璃火を身につけられたことに衝撃を受けた。息山神女の力が心海に広がり、東方青蒼が自分を取り戻した。「小蘭花、私を殺せ…私と太歳の元神は融合している、私を殺せば太歳も死ぬ 早くしろ、もう意識を保つことができぬ」「太歳!東方青蒼を放して!」しかし太歳は息芸が愛する東方青蒼を殺せないと高をくくり、決して手放そうとしない。「小蘭花、殺さなければ太歳は三界に害を与え続ける、お前の努力が無駄になる」「民を救うのは私の使命、あなたではない!」「…お前を救うことが私の使命なのだ」すると東方青蒼は再び苦しみ始めた。「私はもうもたぬ…頼む…早く殺せぇぇぇぇぇ!」小蘭花は覚悟を決め、息山神女の力で太歳を滅ぼした。東方青蒼は自分の使命を果たし、小蘭花の運命を変えることに成功した。全てを引き受け、自分を犠牲にした東方青蒼、すると小蘭花の目の前で身体が消散してしまう。「待って!行かないで!だめよ、東方青蒼!」しかし東方青蒼は小蘭花が握りしめていた手をすり抜け、闇の中へと消えた。すると悲しみに暮れる小蘭花の元に小さな三日月だけが戻ってくる。「世の万物は絶え間なく変わる、だけど愛だけは変わらない」…数万年にも及んだ仙族と月族の戦いしかし三界で最も不思議で最も強い力が最後に全てを変えたそれは愛あれから500年、誰もがその愛により変化を遂げていた誰より己を抑えていた長珩は戦神を辞し、気ままに各地を旅していたすると丹音(タンイン)が雲夢澤にいる長珩を訪ねて来る丹音は幼い頃、赤地女子(セキチジョシ)に憧れて戦神になりたかった夢を思い出し、軍に入ることにしたかつてのわがままな令嬢の面影は消え、今では意志が強く、広い心を持つ「どうやら空いた戦神の座には君が就くようだ」「ご心配なく、すぐです」蒼鹽海(ソウエンカイ)にも愛により成長した者がいたかつて狭量で嫉妬深かった巽風、しかし愛により寛容となり、月尊としての威厳を増している「兄尊はいつか戻られるだろうか…」また人間不信で嘘つきだった結黎(ジエリー)も觴闕の深い愛により、誠実で信頼を得られる者へと変わっていた…司命殿の花壇には東方青蒼が残した小さな三日月が今日も草木の生気を浴びていた。…愛は非情な者に悲しみと思いやりを分からせる…愛する者のために己の命さえ捨てることを教えてくれる小蘭花はいつものように三日月の様子を見て笑顔になると、書斎へ戻ることにした。その時、ふいに気配を感じて振り返る。「戻ったぞ」そこには笑顔の東方青蒼が立っていた。おわり(* ̄0 ̄)<ら〜いぶーじー♪
2023.08.05
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第20話「火花散る婦女たち」孤城でも兵器を横流ししたと認めた雍(ヨウ)王。しかし当時、皇帝の征戦に追随した自分たち老臣の苦悩を若い凌不疑(リンブーイー)が分かるはずもないという。当時、群雄が競い情勢が見通せない中、皇帝が天下に号令をかけると誰が予想できただろう。「私はただ予防線を張り、帰郷するという退路を残しただけだ 密かに兵器を横流ししたが、まさか一度だけであの惨事を招くとは…孤城陥落は私の本意ではない 霍翀(フォチョン)は援軍が来るまで持ちこたえると思った、だが誰も現れなかった 孤城陥落の原因は私一人ではない、陛下はなぜ援軍が到着しなかったことを責めぬ?」すると雍王は急に高笑いした。いずれにせよ皇帝の性分からして凌不疑の望み通り徹底的に解明してくれるはずがないという。急に静かになった牢に梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)が入った。するとはりつけにされた雍王がめった刺しにされ、すでに事切れている。若主公が自らの手で霍(フォ)家の敵を討ったのは明らかだった。廷尉府が検視すれば追及されるのは必至、しかし凌不疑は雍王が自害したと報告するよう命じる。「それから雍王が教えてくれた、当時、孤城は援軍を要請するも兵器が粗悪で数日で陥落 つまり援軍を求めた者はまだ生きているやも…2人でその者たちの行方を探せ」その夜、凌不疑は霍家の祠堂にいた。正気を失った母・霍君華(フォジュンホワ)は植木の手入れをしながら、不疑の話を聞いている。「阿母、兵器を着服した者はすでに突き止め、この手で葬り去りました、ご安心を 我ら霍家の仇は決して忘れません、いつの日か孤城の真相を突き止めます 全ての罪人たちの息の根を止める、一人残らず…」その時、君華の脳裏にふと孤城で目の当たりにした惨劇が蘇った。「…流れた血は血で贖(アガナ)う」君華は無意識に恨みを募らせ、うっかり棘のある枝を握りしめて手を切ってしまう。「血が…手当てしましょう」「いいのよ、阿狸(アーリー)、昔から血が苦手だったでしょう?手を切った時も気絶したじゃない?」「私は成長しました、戦場で敵も殺せます」「戦場?(はっ!)戦場はだめ!兵器が壊れてる!彼らを倒せないの! 彼らは誰一人来てくれなかった!」すると不疑は動揺する君華を強く抱きしめた。「大丈夫、兵器を壊した者は全員、殺しました…来なかった者も一人一人見つけ出します」祭壇に並んだ霍家兄弟の位牌、その後ろには孤城で無念の死を遂げた将士たちの位牌がずらりと並んでいた。凌不疑の私刑は皇帝の耳にもすぐ入った。不疑はすでに3時(トキ)ほどひざまずいている。「お前を甘やかしすぎた!審理前に殺すとは、君主を欺く罪だぞ?!」「雍王父子は無辜の将士と何(ハー)将軍一族を殺した、それを始末して何の罪が? 他の事案にも関わっているのです!」「死者は戻らぬ!なぜ執着する?…お前を甘やかすのも天下の民の安逸が前提なのだぞ? 戾(レイ)帝が世を乱して数十年、民は平穏な日々を待ち望んでいた それなのにまた朝堂を乱して天下を混乱に陥れると?!」「…滅相もない」頑なだった不疑はようやく自分の過ちを認め、罰として半年の食邑(ショクユウ)没収と半等級の降格を命じられた。その頃、破談問題で揺れる程(チォン)家に楼(ロウ)家から話し合いたいという旨の書簡が届いた。程家から破談にして欲しいという思惑は明らか、少商(シャオシャン)は楼太傅ではなく楼伯夫人の企みだと気づく。「はお、話を聞いてやろうじゃないの!」憤慨した蕭元漪(シャオユエンイー)は早速、嫋嫋(ニャオニャオ)を連れて楼家に出かけることにしたが、婦人の問題につき程始(チォンシー)はひとまず留守番になった。「我らが楼家と格闘になったら、止めに来くればいいわ」(; ̄▽ ̄).oO(格闘する気満々だな…@父楼家では楼伯夫人と娘の楼縭(ロウリー)が待ち構えていた。案の定、楼伯夫人は栄誉ある何家との縁談は楼垚(ロウヤオ)にとって身に余る光栄だと言いのける。母娘は楼太傅の権勢を笠に着て程家を見下し言いたい放題、しかし相手が悪かった。蕭元漪は理不尽な物言いに呆れ、けりを付けるなら外へ出ろと圧力をかける。驚いた楼伯夫人は使用人たちを呼びつけ対抗、皇太子の太傅である楼府での狼藉だと責めた。「母娘して楼府でのさばるとは…ギギギギ!いい度胸ね!」「そもそも求婚してきたのは楼家、本来なら楼太傅が謝罪に来るのが筋でしょう? 楼伯夫人が口を出すことかしら? 私たちがのさばる?…その言葉、そっくりそのままお返しするわ」楼垚は少商たちの来訪を聞いて慌てて母たちと母屋に駆けつけた。すると興奮した大夫人と楼縭が金切り声を上げる。「阿母!早くこの人たちを追い出して!程家の出入りを禁じて…」「何をしてるの?!早く追い出しておしまい!…出て行けぇぇぇぇ!」絶叫しながら程伯夫人に迫る楼伯夫人、その時、蕭元漪が思い切り楼伯夫人の横っ面を張り倒した。「今までは姻戚になる手前、顔は立ててやった 破談となった以上、この一発を境に2度と来るもんですか!足が汚れるわ!」激怒した楼縭は母の敵を討とうとしたが、すかさず少商が引っ叩いた。「阿母の出る幕でもない、あんたは私が片づける」「行くわよ」蕭元漪は引き上げることにしたが、二房たちが引き止めた。↓鼻セレブの会…少商は楼垚が足を怪我していると気づき、楼大夫人の仕業かと疑った。しかし二房夫人が否定し、実は息子が塀を乗り越えようとして落下したと教える。安堵した少商だったが、その時、ようやく楼垚を支えているのが袁慎(ユエンシェン)だと気づいた。「なぜここに?」「楼大公子とは良朋(リョウホウ)でな、弟御が負傷したと聞いて見舞いに来た」( ತ _ತ).oO(いつも騒ぎを嗅ぎつけるのね…ボソッすると板挟みとなった二房夫人はいっそ少商と何昭君(ハージャオジュン)を一緒に娶ってはどうかと持ちかけた。蕭元漪は呆然、程氏三兄弟で側室を取った者はいないと憤慨して出て行ってしまう。そこで少商は最後に楼垚の考えを聞くことにした。楼垚は絶対に昭君を娶らないと拒否、改めて少商との破談はないと断言する。( •̀㉨•́)<絶対に嫌だ!(๑•̀ㅂ•́)و✧<約束よ?( •̀㉨•́))<うん!少商は楼垚の気持ちを確認し、ひとまず帰ることにした。しかし短気な母が自分たちを置いてさっさと帰ってしまったと知る。門前で途方にくれる少商、すると思いがけず袁慎が自分の馬車で送ると言った。袁慎は馬車に揺られながら、何将軍が昭君をなぜ楼垚に嫁がせたかったのか説明した。今は昭君が何家の遺産や一族の孤児たちを管理しているが、いずれは成人した末子が引き継ぐことになる。それまでの十数年、遺産を守るためには権門の楼家に嫁ぐことが最も安全な選択だった。「だったら袁夫子、あなたはどう? あなたなら何家の財は狙わないし、才覚も学識も容貌も阿垚より何倍も勝る あなたなら何昭君もきっと…」すると袁慎は少商の無神経な提案に憤怒、急に馬車を止めて少商を降ろしてしまう。( ತ _ತ).oO(送ったり降ろしたり…マジで何なん? ←分かってないにゃおにゃお洛陽の城門、少商と楼垚は帰京した何昭君に縁談を諦めてもらうよう説得することにした。この機会を逃せば皇帝が楼垚との縁談を賜る可能性がある。すると馬車から昭君が顔を見せた。少商は大事な話があると切り出したが、昭君はこれから重大な用件があるという。「程娘子、どうしても話したいなら同行して」驚いた楼垚は少商を責めるなとかばったが、昭君は亡き父に誓って危害は加えないと安心させた。「阿垚…大人になったわね」安成君の馬車は廷尉獄の前で止まった。恐る恐る昭君の後を追って門をくぐった少商、すると中庭の執行台ですでに肖(シャオ)世子がその時を待っている。世子は見送りに来た昭君に気づき、夫婦の誼で肖家の者を善処して欲しいと頼んだ。「誼?どんな誼かしら?大兄と四兄の首を槍に刺して阿父を挑発した誼? それとも五兄を射(イ)殺し、身籠もっていた嫂嫂を突き刺した誼?!それとも乳母を惨殺した誼?! …陛下は慈悲深いわ、肖家の功績を鑑み、屍は残すつもりだった でも私が訴えたの、さらし首にして欲しいとね! 今日から肖氏は代々、首を切られた逆賊として世人に唾棄(ダキ)されるのよ!」「何だと?!」肖世子は昭君の思わぬ仕返しに激しく抵抗したが、もはやどうにもならない。すると昭君は往生際の悪い世子の顔を引っ叩いた。「急いで帰京したのはお前の首が落ちるのをこの目で見るためよ!」少商は昭君にそろそろ執行の時間だと知らせた。しかし昭君は皇帝が敵討ちを許可してくれたと明かし、執行台へ上がってしまう。「私の手で…あの世へ送ってやる!」昭君は執行人の手から剣を受け取ると、いきなり振りかぶった。驚いた少商は咄嗟に背を向けて逃げようとしたが、誰かにぶつかってしまう。「…怖くない、私がいる」少商を抱き留めたのは凌不疑だった。つづく( ๑≧ꇴ≦)ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!最後にブチギレた何昭君が全部もっていった~それにしても善見、本当イラっとするわw
2023.08.19
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第25話)第52話「歳月を経て」15年前の孤城陥落の真実と凌不疑(リンブーイー)の出自が明らかとなり、大きな節目を迎えた宮中。文(ウェン)帝は宣神諳(シュエンシェンアン)の希望を叶え廃后とし、皇太子も降格となった。これで越姮(ユエホン)が皇后に冊封されれば、三皇子は滞りなく東宮へ入れるだろう。一方、程少商(チォンシャオシャン)は恩人である宣皇后に終生、付き添うと決めて長秋宮へ戻った。淡々と流れていく歳月、その頃、北西に駐留する霍不疑(フォブーイー)は再び殺戮に明け暮れていた。しかし今でもその右腕には少商の弦がある…。そんなある日、少商は父からの書簡を受け取った。程家で慶事があり、二兄・程頌児(チォンソンアル)と万萋萋(ワンチーチー)、堂姉・程姎(チォンヤン)と班嘉(バンジア)、そして使用人の蓮房(リエンファン)と符登(フードン)、さらに姎姎の父で二叔父・程承(チォンチョン)と青蓯(チンツォン)が成婚したという。やがて二兄夫妻は双子に恵まれた。長秋宮でも嫁ぐ五公主を送り出し、穏やかな日々が続く。こうして5年が経った。正月の夜は雪となった。宣皇后は今年も家に帰らない少商を心配したが、少商の話では程家でそれぞれの夫婦に子が生まれ、自分が戻っても座る場所さえないという。すると宣皇后は新年の願い事で少商が良人と出会い、嫁いで子を産む姿が見たいと言った。しかし少商は一生、嫁ぐつもりはないという。「まだ吹っ切れないの?」「いいえ、ただ許せないだけ…縁が切れて別れたのです、もう有り得ません」宣皇后は少商と子晟(ズーション)の復縁を願っていたが、やはり少商は簡単に自分を曲げることはない。「ではこう願うわ、私の死後、あなたの余生に同伴がいるようにと…」「縁起でもない…」「少五が嫁いで行った今、1番の心残りがあなたなの…あ、見て、こんなに雪が降って来たわ」宣皇后は寝殿に入ることにしたが、その時、ついに倒れてしまう。孫(スン)医官は宣皇后の余命を早くて1ヶ月、長くても春までと診断した。しかし頑なに皇帝と越皇后の見舞いを拒み、長秋宮を明け渡したいと申し出る。「本来なら東海(トウカイ)王と属地に移り、東海太后と名乗るべきだと…」少商は越皇后に長秋宮を返したい旨を伝えたが、越皇后は住み慣れた永楽(エイラク)宮を移動したくないと断った。「呼び名も変えなくていい、これ以上、蒸し返すことがあれば私を不快にさせるだけよ」「越皇后に感謝します」 袁慎(ユエンシェン)が回廊で待っていると少商がやって来た。この5年、袁慎は宮中に留まる少商に付き添って縁談を全て断って来たが、待っていた甲斐はあったのだろうか。「少商、宣皇后も望んでいる、伴侶を持つ気はないか?ならば私を選べ 家柄も合うし、互いに伴侶が必要だ、いっそ宣皇后を安心させるため一芝居、打つのはどうだ」「袁善見(シャンジエン)、あなたの想いには応えられない」「少商、そなたの縁談が潰れてばかりなのは目先が利かぬからだ 私は両親からも放任されて育った、自由を望むなら都で私ほど自由な者がいるか? 我らこそ最適なのに私の望みに応えられぬと?」袁慎は互いに生まれながら誰にも関心を持たれず、病友であり盟友でもあると訴えた。利が一致すれば互いに信頼し合い、裏切ることはないという。「私は某人より自分を大切にするし、危険にも近寄らぬ、ゆえに私の方が最適だ」病床の宣皇后が薬を飲んでいると、少商が戻って来た。何やら考え事をしているのか、衝立て越しでも上の空だと分かる。実は皇帝は余命わずかとなった宣皇后のため、北西にいる霍不疑を呼び戻していた。…近いうちに到着する…複雑な面持ちで寝殿に入った少商、確かに宣皇后の言う通り、わだかまりに捉われていては更なる苦しみに陥ってしまうだろう。…過去は過ぎ去るもの、今と将来を大切にして、そのためにはわだかまりを突き破る必要がある…少商は袁慎に自分の心に″彼″がいても娶るのか聞いていた。…待つよ、そなたが奴を忘れるまで待ち続ける、いつか振り向いてくれるまで…「皇后、皇宮を出る許可をください、袁善見と婚約しようと思います」霍不疑が5年ぶりに宮中へ戻った。ますます義兄に似て来た子晟の姿に思わず目が潤む皇帝、しかし軍装でも生傷が絶えない身体だと察しがつく。「なぜ1番の精鋭を都に残したのだ?皇宮を出られない少商には必要ないであろう?」不疑は梁邱起(リャンチゥチー)を少商の護衛のために残し、梁邱飛(リャンチゥフェイ)だけをそばに置いていた。邱飛の報告では5年前、王(ワン)将軍が戾(レイ)帝の残党に襲われ、若主公が救出に向かうも敵は死士、多勢に無勢で負傷したという。「袁善見の父親が兵を率いたはずだが?」「分かりません、そして2年も経たぬうちに若主公は蜀へ討伐に行きました その時、襲撃に遭った程頌(チョンソン)将軍を…」「もういい」不疑は邱飛の話を遮ったが、皇帝は凱旋した程頌が褒美をもらいに来ない理由が分かった。「少商は知っているのか?…もしや兄を助ければ復縁できると期待したのか?」「…私は過ちを犯しました、少商の許しなど求めるはずがありません 少商に知られたら、かえってもっと疎まれてしまうでしょう」皇帝は子晟に下心がないと知って安堵し、今後は度田令を監督している皇太子を補佐して欲しいという。実は少商は5年ぶりに皇宮を出ていた。袁善見との縁談を進めるためで、近々、成婚するという。「お前はどうする?崔祐(ツイヨウ)さえ正室の座は空けて妾を取ると決めたぞ?」「皇父、ご心配には及ばぬかと…」皇太子は北西の軍営で駱済通(ルオジートン)が献身的に子晟の面倒を見ていたらしいと伝えた。噂では駱済通が都へ戻って子晟と成婚すると宣言しているという。しかし不疑は憤慨、成婚などあり得ないと否定した。霍不疑は阿飛と宮中を後にした。これから直ちに霍氏の墓と祠堂を修繕し、妻は娶らず子もなさぬと祖先に報告するという。(´ ・ω・)<若主公~それってどうみても吹っ切れてないっていうか~するとちょうど外出していた袁慎たちが城門に入って来た。袁慎は馬を降りて少商を馬車から降ろしたが、その時、2人は子晟の姿に気づいて呆然となる。しばし見つめ合ったまま立ちすくむ少商と不疑、袁慎はただ黙って待つほかなかった。霍不疑は意を決して少商に向かって歩き始めた。すると少商はどう接したら良いのか分からず、咄嗟に袁慎の馬に飛び乗ってしまう。その時、不疑がまたがった少商の足を支え、大事そうにあぶみに乗せた。まるで第9話で初めて馬にまたがった少商の足をあぶみの中に通してくれた時のように…。「感謝します、霍将軍…でももう昔の程少商ではない、あぶみがなくても乗れる」少商は馬を駆けて去って行った。安堵した袁慎だったが、霍将軍が戻ったからには少商を諦めないつもりだと疑う。「少商の中で私はお前に及ばぬ、しかし少商の性分ならお前を選ぶとは限らない」しかし不疑は黙ったまま拝礼して帰って行った。北西の賈(ジア)家に嫁いだ駱済通が長秋宮に挨拶にやって来た。宣皇后と少商は都に戻った駱済通を歓迎したが、どこか言葉の端々に棘がある。「あなたは幸運ね、私なんて不遇の身… 夫が重病で四六時中、世話ばかり、再嫁を狙っていると陰口まで叩かれたわ だから私も意地になって夫の死後も賈家の君舅君姑に奉仕した でも子晟にも前を向けと言われたの 厳しい人だけれど私には寛容で、私だけ天幕に入らせ、酒や食事を届けさせた その後、天幕に入れなくなったけれど、私に苦労させないためね」駱済通は恐らく子晟が都で求婚してくれると自慢したが、宣皇后も少商も当てつけだと分かった。「…皇后が病となり吉事に水を差しましたね?」「いいえ、そういう意味では…」「分かっています、皇后が在位中は駱家を何度も庇護してきました 恩人の前で恨み言など言えるはずない、もし本音なら畜生も同然です」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)がやって来た。「駱娘子、早く実家へ戻らないと…先ほど実家から連絡がありました 霍将軍が2台分の嫁荷に加え、巨大な銅鏡を届けて長老に命じたそうです ″駱娘子の嫁ぎ先をすぐ探すように″と…」「銅鏡?鏡とはね…」少商は思わず失笑した。翌日、霍不疑が屋敷へ戻ると駱済通が待っていた。駱済通は北西で連れ合った自分への仕打ちに憤ったが、不疑は確かにかつて連れ合いがいたことはあったという。あの時、駱済通は負傷した子晟の意識がないのを良い事に勝手に介抱していた。結局、すぐ軍営から追い出されたが、駱済通は外に住み着き、再び忍び込んで洗濯をしたという。「私は顔も見ていない 都へ戻る時も軍の後ろを追って来たそなたとは話もしていないぞ? それのどこが連れ合いだ?」「でも3年前、天幕にも入れてもらえなかった私が今はこうして顔を見てもらえます」駱済通は妾でも構わないと食い下がった。すると不疑が馬から降りて来る。実は不疑はとうに気づいていた。駱済通の亡夫・賈七郎(ジアチーラン)は病弱だったが、20歳の若さで死ぬほどの病ではない。「お前が謀って殺したな?その方法は言うまでもない」子晟が北西に駐留すると知った駱済通は夫の薬湯に毒を盛っていた。「…程少商のため?だから私を拒むの?」「程少商がいなくてもお前に情はなかった」つづく(ˇ꒳ˇ *)今回もいい話だったわ〜でもここにきてラクダさんが闇堕ち?せっかくしみじみしてたのにな〜
2023.12.09
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东宫 Goodbye my princess第7話「仕掛けられた罠」顧剣(コケン)は死の谷から曲小楓(キョクショウフウ)と顧小五(コショウゴ)こと李承鄞(リショウギン)を逃した。これで心置きなく戦えるようになった顧剣は、朔博(サクハク)の将軍・ユエンカーたちを迎へ撃つ。一方、顧小五は水場を見つけ、ひとまずそこで顧剣たちを待つことにした。すると小楓が急に地面に耳をつけ、蹄の音が近づいていると気づく。「30騎ね…」しかしそれは顧剣たちではなく、大勢の朔博兵だった。顧小五は敵を攪乱させるため馬だけ逃したが、付近に身を隠せる場所はない。仕方なく顧小五は泳げない小楓を引っ張り、湖へ飛び込んだ。水の中に潜って身を隠した顧小五と小楓、しかし小楓は息が続かず苦しみ出した。顧小五はこのままでは小楓が水面に出てしまうと焦り、咄嗟に小楓を抱きしめ、口移しで空気を分けてやる。やがて敵の気配が消えると、2人はようやく陸へ上がった。口づけされた小楓は激怒、顧小五のような男に唇を奪われたと喚き始める。顧小五は小楓を助けるためだったと弁解し、好きで口づけしたわけではないと反論した。ともかく今は口論している暇などない。顧小五と小楓はいがみ合いながら馬を追いかけ、弓月(キュウゲツ)城を目指した。一方、娘を逃したことがばれた阿史那雲(アシナウン)は西州王・曲文成(キョクブンセイ)から責められていた。「まさか丹蚩(タンシ)か?!丹蚩と豊朝(レイチョウ)の諍いが始まれば西州は苦境に立たされる! そなたは娘を死地に追いやったのだぞ?!」西州王は金塊100個の褒賞金を付け、必ず九公主を探し出して連れ戻せと配下に厳命した。 夜も更けた頃、小楓と顧小五は無事に弓月城へ到着した。しかしすでに城内にはお尋ね者の小楓の似顔絵が貼られている。「九公主を見つけた者には金塊100個…?」小楓と顧小五は宿に泊まるのを断念し、人目につかない郊外の廃寺に身を隠した。小楓は最愛の娘を探すのに金塊100個しか出さないのかと怒りが収まらない。暖を取っていた顧小五はそんな小楓に失笑したが、ふと大事な玉がないと気づいた。「玉佩?服の飾りなんてまた買えばいいじゃない?」「何でも金で買えると思うな!とても大切な物なんだぞ!君を助けたから落としたんだ!」2人は気まずくなって黙り込んだが、小楓はふと思い出した。急に口づけされ、水中で顧小五を何度も叩きながら暴れたことを…。確かにあの時に玉佩を落としたのかもしれない。翌朝、顧小五が目を覚ますと小楓の姿がなかった。驚いて中庭に飛び出したが、繋いでいた馬も消えている。実はその頃、責任を感じた小楓は顧小五の玉佩を探しに湖へ戻っていた。命綱を頼りに湖に潜った小楓は、やがて岩陰に落ちている玉佩を発見する。あとは水面へ上がるだけ、しかしあと少しと言うところで小楓は失神し、再び沈んでしまう。するとそこへ顧小五が現れ、危機一髪のところで小楓を救出した。小楓は水を吐き出して目を覚ました。すると顧小五の腕の中にいると知る。「シァォウー…あなたの玉佩を見つけたわ…」顧小五は思わず玉佩を持つ小楓の手を握りしめた。小楓と顧小五は外衣を干して乾くのを待った。顧小五はふと泳げないのに危険だと思わなかったのかと聞く。しかし小楓は自分のせいで玉佩を落としたなら探すのは当然だと答えた。「…身勝手だったよ」「身勝手なのは私も同じよ~今頃、父上や母上がきっと心配しているわ …明遠(メイエン)娘娘は偉大な方よね、国と民のために異国に嫁ぎ、長い年月、孤独に耐えたんだもの 昔は幸せだと思ってた、公主として皆に愛され、楽しい一生を送れるって… 今は公主なんてうんざりよ、知らない人に嫁ぐのは嫌なの 私が公主でなければ好きな人に嫁げるのに…」「なあ?…表哥のことが好きなのか?」「師父とは幼い頃から一緒にいたの、助けが必要な時はすぐ来てくれた 私の中の師父は正直で優しくて情に厚い人よ、どんな困難にも負けない英雄なの …でもこの想いはかなわない(はあ~)忘川に飛び込んで全て忘れられるといいのに~」小楓の話では天亘(テンコウ)山の奥に谷底があり川が流れているという。美しく澄んだ水は枯れることがなく、石林に大きな滝、美しい花畑もあった。明け方と夕暮れに見える景色は″日月同輝(ジツゲツドウキ)″と呼ばれ、太陽と月が同時に空に出る。「皆が言っていたわ、忘川の水を飲むと全て忘れることができると… 愛する人と一緒にいられないのなら、飛び込んで全て忘れろとね」顧小五は小楓を元気づけようと、天下一の男が目の前にいると笑った。釣られて小楓も失笑したが、ふと師匠の無事が気にかかる。しかし顧小五は腕利きの顧剣が負けることなどないと安心させた。一方、安護府では裴照(ハイショウ)が高顕(コウケン)に呼ばれていた。実は明日、裴照が捕縛したバトゥールを李釅(リゲン)が都に護送することになったという。すると高顕は砂漠に最近、盗賊が出るため、裴照に2千の兵を率いて巡視するよう頼み、体良く追い払った。そして配下に書かせておいたバトゥールの似顔絵を手に受け取ると、取り急ぎ都にいる父・高于明(コウウメイ)に密書をしたためる。高顕は宣徳(セントク)王・李承鄴(リショウギョウ)と李釅が何か企んでいると気づいていた。李釅は護送中、人目のない林でバトゥールを殺した。そして兵士の鎧を着せて砂漠に捨て置き、帯同していた兵士の冷昆(レイコン)がバトゥールになりすます。すると李釅は冷昆の家族の面倒を見ると約束し、他に望みがあれば聞くと言った。小楓と顧小五は廃寺に戻った。すると顧小五は安全のため1人で城内へ行き、顧剣たちを連れて戻ると言って出かけてしまう。小楓はなかなか戻らない顧小五を心配したが、その時、鳴り矢の音を耳にした。「師父!」小楓は顧剣からの合図だと思い、急いで馬を連れて出かけて行ったが…。その頃、顧小五はようやく顧剣たちと合流していた。早速、郊外の廃寺へ案内したが、小楓の姿がない。「動くなと言ったのに…どこへ行ったんだ?」すると顧小五は城内で鳴り矢の音を聞いたことを思い出した。「それで探しに出たのでは?」「…いや矢は放っていない」「何だって?」その瞬間、2人は鳴り矢が朔博の罠だと分かった。小楓は木にぶら下がった鳴り矢入れを見つけて取り戻した。すると待ち伏せしていたユエンカーたち朔博兵が現れる。罠だと気づいた小楓は慌てて馬を駆けると、やがて祖父の側近・ハーシの一行を見つけた。ハーシーが警告の矢を放つと、ユエンカーたちは停止した。「丹蚩の領内で宣戦布告もなく戦をする気か?!」しかしユエンカーは逃げ出した奴隷を追ってきたという。そもそも天亘山は朔博・丹蚩・西州の国境、正確に言えば丹蚩の領土ではないはずだ。そこでユエンカーは小楓を返せば撤収すると言った。「だが断ると言うなら一戦交えるしかない!」ハーシは一見して数では不利だと分かった。そこで九公主に幕舎へ行って援軍を頼んで欲しいという。驚いた小楓は巻き込んだ以上、自分も戦うと言ったが、ハーシはこの状況で公主を守ることができないと訴えた。「北に300里行くと河があり、東側に王の幕舎があります、早く!」「嫌よ残るわ!」するとハーシは公主を抱き上げて馬に乗せ、馬の尻を叩いた。宣徳王が丹蚩の刺客を捕まえた。報告を聞いた皇后と叔父の高于明は思わぬ大手柄に動揺を隠せない。皇后はこれで李承鄞は不利になったと落胆した。しかし高于明はそうとは限らないという。皇帝は西州との和親に大きな関心を寄せていた。もし九公主を娶ると決まれば、第五皇子の形勢が有利になるだろう。小楓は必死に馬を駆けた。心細い中、激しいにわか雨を岩陰でやり過ごし、再び炎天下の中を行く。次第に喉が渇き、体力を消耗する小楓、何とか水辺を見つけたが、意識を失って落馬してしまう。すると小楓を探していた顧剣が倒れている小楓を発見した。そこで胡嘯(コショウ)に第五皇子に連絡するよう頼み、小楓を介抱しながら待つことにする。つづく( ๑≧ꇴ≦)次第に打ち解けて行く小五と小楓…キャアー!(←何がw
2020.11.16
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琉璃(琉璃美人煞) Love And Redemption第21話少陽派の掌門・緒磊(チョライ)は元神を失った緒玲瓏(チョレイロウ)の様子を見ながら悲しみに暮れた。すると柱石(チュウセキ)が現れ、救ってくれた恩に報いたいと軒轅(ケンエン)派の霊匙(レイシ)と引き換えに玲瓏の元神を取り戻すことを提案する。褚磊は柱石の気遣いに心から感謝したが、霊匙は天下の安危に関わる物ゆえ、まずは五大門派で話し合いたいと頼んだ。掌門たちは正道を貫く褚磊の姿に感服し、霊匙も玲瓏も守る方法を考えることにした。すると離沢(リタク)宮の副宮主は軒轅派の天機珠(テンキシュ)が精巧で封印が解きにくいため、偽の霊匙を入れて妖魔に渡し、バレる前に元神を取り戻してはどうかと提案する。柱石に成り済ました欧陽桐(オウヨウトウ)は驚き、咄嗟に天虚(テンキョ)堂との一戦で内力が回復しておらず、封印を解けることができないとごまかした。そこで奇門遁甲(キモントンコウ)に精通する点睛(テンセイ)谷・容(ヨウ)谷主が代わりに開けると申し出る。褚磊は他門派の恩情に心から感謝したが、副宮主が言葉だけでは信用できないと言った。副宮主は4派が霊匙の存在を公にしているが、少陽だけが秘境に何があるのか隠していると指摘した。そこで褚磊は誠意を示すため、少陽の秘密を明かすことにする。実は魔煞星(マサツセイ)は完全に消滅していなかった。少陽の禁地である秘境には魔煞星の心魂を封印した琉璃盞(ルリサン)が隠されているという。しかし燭龍(ショクリュウ)が琉璃盞を守っているため、霊匙がある限り天虚堂につけ入る隙はなかった。天機珠の封印を解くには原料である隕鉄(インテツ)の霊気が必要だった。すると東方島主が浮玉島にある姻縁石(インエンセキ)に隕鉄の霊気が備わっていると思い出す。そこで容谷主は木火土金水(モッカドゴンスイ)に属する弟子を1名ずつ集めて陣を構えることにした。少陽派からは璇璣と昊辰(コウシン)が参加する。伝説によれば姻縁石は天が夫婦と定めた2人を霊光で照らすというが、実はまだ前例はなかった。5人の弟子たちが陣を敷き、容谷主が隕鉄の霊気を取り出すことに成功した。その時、姻縁石が輝き、赤い光が璇璣と昊辰を包み込む。「伝説は本当だった、褚掌門、おめでとうございます」璇璣と昊辰は天が定めた運命の相手だった。動揺した璇璣は師兄に嫁ぐ気はないと反発、思わずこの石はデタラメだと暴言を吐いてしまう。昊辰はこの場を収めるため密かに術を放って霊光を消すと、自分たちは無情訣(ムジョウケツ)を修行する身ゆえ期待には応えられないと辞退した。翌朝、昊辰は司命(シメイ)を呼び出した。姻縁石は司命が作った駄物のはず、昊辰は自分をからかったのかと激怒する。しかし司命は帝君が術を施したせいで霊力が反応したのだろうと言い訳し、姻縁石はただ規則に従って2人を照らしたに過ぎないと言った。「…当時、戦神は帝君との婚姻を願った 帝君はその願いを叶えるために戦神の修行を助けているのでは…」「戦神は情を持たぬ、情を抱き心に魔を生じさせたら天界に戻れなくなるのだぞ?」昊辰は2度と自分を煩わせるなと憤慨し帰っていった。「はあ~…帝君は戦神が情を持たぬと仰せだが、ご自分の情も分かっておらん」東方島主は柱石の勧めで破門した弟子を呼び戻し、島を警護させることにした。そしてついに容谷主が天機珠の封印を解くことに成功する。一方、少陽派の居所では璇璣が玲瓏を救うために、すぐにでも出発しよう気が急いていた。昊辰は弟子たちの到着を待つようなだめたが、2人の様子を見た敏覚(ビンカク)たちから姻縁石の件でからかわれてしまう。ちょうど璇璣を訪ねて来た司鳳は璇璣の運命の相手が昊辰だと知り愕然となった。「はっ!司鳳!」璇璣は逃げるように去って行く司鳳に気づき、慌てて後を追った。璇璣は河原にいた司鳳に追いつき、必死に釈明した。「あの石には問題がある、天の定めでも私は昊辰師兄に嫁ぐ気はないわ!「釈明など必要ない、私には関係ない」そんな2人の話を璇璣を追いかけて来た昊辰が物陰で立ち聞きしていた。「分かってもらえるまで説明する! 皆は私が誰とでも婚姻できると思っている、でもそうじゃない、本当に違うの 私が責任を取れるのは司鳳だけ、他の人や師兄ではだめなの…あっ!」その時、璇璣は強い妖気を感じた。容谷主は天機珠から霊匙を取り出し、東方島主に渡した。この機会に霊匙を奪おうと企む欧陽桐、その時、弟子が妖魔の群れが現れたと報告する。そのため東方島主が直ちに霊匙を宝物庫へ保管することになり、欧陽桐は格好の機会を失った。弟子たちを乗せて戻った翩翩(ヘンヘン)の船が妖魔に襲われた。翩翩は埠頭で待っていた玉寧(ギョクネイ)に剣網を張って島を守れと叫ぶ。これで大方の妖魔は防げたと思ったが、妖獣は雷火弾(ライカダン)で陣眼を爆破しようとしていた。副宮主は浮玉島の一大事を遠目から涼しい顔で眺めていた。一方、東方島主は陣眼を守るため埠頭へ向かったが、道すがら夫人・清榕(セイヨウ)が現れる。清榕は死ぬ時も一緒だと訴え、深い愛情を示した。すると東方島主は令牌を託し、自分に何があっても島主になれば誰にも蔑まれることはないという。そこで玉寧に夫人を裏山へ避難させるよう頼み、陣眼に駆けつけた。妖獣たちは火を吹いて陣眼を攻撃していた。東方島主は弟子たちと必死に守ったが、ついに剣網に穴が開いて吹き飛ばされてしまう。しかしそこに司鳳が駆けつけ、妖獣が入らないよう防いだ。妖獣の雷火弾と司鳳の霊力の攻防、さすがに司鳳の力も限界が近づく中、璇璣が駆けつける。「司鳳ががが(ギギギギ…)その雷火弾であの世へ送ってやるわ」司鳳の危機を目の当たりにした璇璣は戦神の力が蘇り、定坤(テイコン)剣と共に剣網から飛び出した。璇璣は定坤剣の力で妖獣を焼き尽くした。驚いた妖獣たちは慌てて逃げ帰ると、璇璣は意識を失って落下してしまう。司鳳は無我夢中で飛び出し、璇璣を受け止めた。「璇璣?!璇璣?!」「(はっ)私を心配してくれたの? だって姻縁石の件があったから関わりたくないのかと…本当にあれは違うのよ?!」その時、埠頭へ皆が集まって来た。褚磊は無謀にも璇璣が妖獣に立ち向かったと知って困惑する。「さっきの爆発がまさかお前の仕業だったとはな…」思いがけず璇璣に助けられた浮玉島、しかしその場に柱石の姿はなかった。すると璇璣がまだ妖魔がいると気づく。「さっきよりもはっきりと妖気を感じるわ!」司鳳は璇璣の予感が外れたことはないと言った。「向こうです!」「宝物庫か?!」東方島主たちは急いで裏山へ向かった。その頃、玉寧を眠らせた清榕は宝物庫で欧陽桐と合流していた。欧陽桐は清榕が手に入れた島主の令牌を使って天機珠の霊匙を手に入れることに成功、蛟月刃(コウゲツジン)を持っている清榕と急いで逃げることにする。しかし埠頭へ向かう2人の前に東方島主が立ちはだかった。東方島主は欧陽桐が妖魔だと知り、清榕が愛しているのは自分ではなく欧陽桐だと知る。「お腹の子も彼の子よ、あなたに尽くされても虫唾が走るだけだわ~ふん」激怒した東方島主は地狼(チロウ)に戦いを挑んだが、激しい妖気に吹き飛ばされた。しかし危ないところで褚磊が現れ、急死に一生を得る。褚磊は地狼と互角に渡り合ったが、やがて怒涛の攻撃から毒掌(ドクショウ)を食らって喀血した。その時、司鳳と璇璣が現れ、2人の剣気で地狼を挟み撃ちにする。すると地狼も神剣である定乾剣の一撃には耐えられず、ついに倒れた。東方島主はここぞとばかりに留めを刺そうとしたが、清榕がかばう。その隙に立ち上がった地狼は清榕を連れて姿を消した。「妖魔は天界と一戦を交える…人間が手を出せば辛酸をなめることになるぞ…」憤まんやる方がない東方島主は弟子が生け捕りにした天虚堂の配下を拷問した。すると配下の証言から天虚堂が魔域左使(マイキサシ)・無支祁(ブシキ)を救うため霊匙を探していると分かる。無支祁は神器・均天策海(キンテンサクカイ)を持っていた。均天策海とは千年前の仙魔対戦で戦神が魔煞星から奪った物で、その力を借りて琉璃盞を解き、魔煞星を復活させるつもりだという。副宮主はなぜか出まかせではないかと疑ったが、褚磊は警戒を強めた。掌門たちは地狼が柱石に化けていたことに衝撃を受けた。血を用いた変わり身の術は習得が困難と言われていたが、妖族は着々と力をつけているらしい。何より天虚堂がすでに魔煞星の心魂の在りかまで知っていることに衝撃が走った。残る霊匙はあと2つ、とにかく離沢宮と点睛谷は警備をいっそう強化して霊匙を守るしかない。一方、地狼は功力をめぐらせ、傷を癒していた。…痛手は負ったが、褚掌門の精血が手に入った、思わぬ収穫だった…つづく( ̄▽ ̄;)東方島主…何だかちょっと…あれじゃない?弱いし…
2021.11.23
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琉璃(琉璃美人煞) Love And Redemption第39話霊匙(レイシ)を全て手に入れ、反旗を翻した元朗(ゲンロウ)。しかし離沢(リタク)宮の宮主は息子である禹司鳳(ウシフォン)にその座を譲ると宣言した。すると元朗は宮主と文皓鳳(ブンコウホウ)の美しい恋物語は事実ではないと暴露してしまう。「皓鳳があなたを愛していたのは妖魔と知るまでだ…」実は離沢宮の秘密がばれなかったのは、前宮主が赤子の異変に気づいた点睛(テンセイ)谷の弟子を始末していたからだった。皓鳳は妖魔との子を産んで悲しみに暮れる中、目の前で同門を殺され、さぞや師兄を恨んだだろう。それでも以前のように愛するよう強要され、皓鳳は自害することも許されず、苦しい日々を過ごした。「…あなたは情人呪の発作中に皓鳳に逃げられ、妖魔の姿で追いかけた その時に少陽派の掌門夫人・何丹萍(カタンヘイ)に出くわし、後先考えず攻撃して皓鳳を追った 私が何丹萍の口を封じておらねば、秘密を知られて滅ぼされていましたよ」褚璇璣(チョセンヂー)の母を殺したのは元朗だった。しかし師兄の尻拭いをしても前宮主は十二羽金赤鳥(ジュウニウキンセキチョウ)の継承者である師兄をひいきしたという。「前宮主は呪術であなたの妄想を現実のように見せかけた、情人呪の発作を恐れたからです そして死ぬ前にあなたに忘情丹を飲ませ、真相を忘れさせました ふっ、師哥、皓鳳を死なせたのは他の誰でもない、あなたです」衝撃のあまり身体を震わせる宮主、すると元朗は長年、隠し持っていたという皓鳳の父親宛ての血書を出した。…私は妖魔に監禁され泣き暮れています、苦しみから逃れるため今日、自ら命を絶ちます…私は妖魔に騙され、辱めを受け、点睛谷の名声を傷つけてしまいました…来世では決して妖魔と契りを結ばぬと死をもって誓います…皓鳳、絶筆宮主は初めて見る皓鳳の血書に呆然、到底、受け入れ難い事実だった。元朗は師兄の袖をめくりあげた。そこには情人呪の印である羽根のあざが残っている。これまで皓鳳が自分の情人呪の仮面を外してくれたと信じて疑わなかった宮主、しかし全て幻想だったと気づいて激しく動揺した。宮主は情人呪の発作で喀血し倒れた。「あれ~師哥?皓鳳と相思相愛なら情人呪は解けているはずですよね?なぜ発作が?」父を追い詰める副宮主に激高する司鳳、すると諦めきれない宮主は皓鳳が目覚めれば自分たちの愛を証明してくれると訴えた。すると元朗は千年石髄のことだと思い出し、さらに厳しい現実を突きつける。「当時、点睛谷は皓鳳のため2年かけて千年石髄を手に入れた しかしある夜、何者かにより皓鳳の骸が盗まれ、見つける前に期限が過ぎ、望みは潰えた はあ~師哥、ご存じなかったようですね」実は修行者の骸は3年以内なら千年石髄で蘇らせることができたが、それを過ぎると元神が消えて復活することはできないという。そこで副宮主は配下に皓鳳の氷の棺を運び込ませた。激情に駆られた宮主は弟子たちを吹き飛ばし、棺の前に立った。すると棺の蓋が開いて皓鳳の骸が起き上がり、ゆっくり目を開ける。「おや!師哥の愛が通じたのですね~見てください、師哥に微笑んでいますよ?」しかし棺を出た皓鳳はそのまま消散した。その時、宮主は自分の正体を知った皓鳳から激しく罵倒されたことを思い出し、倒れてしまう。司鳳は急いで駆けつけ、父を腕に抱いた。「司鳳…お前の母は私の正体を知るまでは私を愛していた…我らは心から愛し合っていたのだ… 私は今まで何をしていたのか…滑稽な人生だった…すまない…」そして宮主は離沢宮を司鳳に託し、金赤鳥一族の面倒を見てほしいと頼んで絶命してしまう。宮主は消散し、登仙した。すると長老や弟子たちが副宮主を次の宮主と認め、拝跪する。しかし羅(ラ)長老と白(ハク)長老だけは宮主の座を引き継ぐのは司鳳だと反発した。司鳳は父の死を悼む時間さえなく、涙をふいて内紛を鎮める。「今日以前に天虚(テンキョ)堂へ加入した弟子については罪に問わぬ だが今後、背いた者は1人残らず始末する、今すぐ天虚堂を脱退する弟子は前に出よ」離沢宮の掟には第25条で″終生、他派への入門は許されず、背いたものは死罪″とあった。弟子たちは魔族に加担するより離沢宮の弟子を選んで司鳳の前に集まったが、その時、元朗が天虚堂へ加入しなかった弟子たちを連行する。「同族を捕らえるとは…血迷ったのか?!」白長老は思わず声を荒げて非難すると、元朗はいきなり首を切り裂いて始末した。「金羽令を渡し、私を新宮主と認めるのだ…さもなくば犠牲者が増えるぞ」激怒した司鳳は翼を広げて元朗を攻撃したが、同時に天虚堂が弟子を処刑してしまう。「これ以上あながえば弟子の命は保証せぬ、共倒れはよそう 私はしばし実権を握るだけ、危機が過ぎれば金羽令は必ず返してやる」司鳳は弟子たちを守るため断念、元朗に金羽令を渡した。一方、褚璇璣(チョセンヂー)は現実から逃避するように酒に溺れ、泥酔していた。昊辰(コウシン)は知らせを聞いて駆けつけたが、璇璣の司鳳への未練を知り、いたたまれなくなって引き返してしまう。そしてその夜、酔って眠っていた璇璣は妖気に気づいて目を覚ました。「紫狐(シコ)?」「やはり鼻が利くわね~」実は37話で元朗に利用された紫狐は隙を見て姿を消し、亭奴(テイド)に傷を治してもらっていた。紫狐は司鳳が十二羽金赤鳥だったと聞いたが、それが問題かと笑った。なぜなら璇璣は狐妖とも鮫人とも友だちになれたという。紫狐は自分の経験から後々後悔しないよう、誤解があるなら2人で話し合い、解決する方法を見つけるべきだと訴えた。実は柳意歓(リュウイカン)の話では宮主が司鳳の実父だという。司鳳も事実を知らされたばかり、おそらく板挟みとなり苦しんでいるはずだ。そこで紫狐は2人の仲を取り持つため、柳意歓に頼んで司鳳を探すと約束した。「吉報を待っていて!」一方、褚玲瓏(チョレイロウ)は烏童(ウトウ)のせいで修仙門派から偏見を持たれ、落ち込んでいた。鐘敏言(ショウビンゲン)は玲瓏に何ら責はないと慰め、気にする必要はないという。「安心しろ、私がいる、もう過ぎたことだ」しかし玲瓏は烏童の影に怯えるあまり、夢にまで烏童が現れる。…私の元へ戻るのだ!お前は私のもの、逃すものか…「きゃあぁぁぁぁーっ!」飛び起きた玲瓏は夢だと分かったが、消すことのできない記憶が玲瓏の心をむしばんでいった。司鳳は独り亡き父を弔っていた。思えば父が言った通り璇璣の愛情が本物なら情人呪の発作は出ないはず、どんなに愛し合っても正体が知られたら悲惨な結末が待っているだけなのだろうか。そこへ小銀花(ショウギンカ)がやって来た。小銀花は宮主の位牌に叩頭すると、司鳳が1日も早く忘情丹を飲んで璇璣を忘れるよう祈る。「バカなことを言うな、出ていけ」「出て行きますよーだ!」すると小銀花と入れ替わるように元朗がやって来た。十二羽の血統が解放された今、司鳳は強大な妖魔となった。元朗は同族なら対立するのはやめようと訴え、千年前の天魔大戦で金赤鳥は修羅王の親衛軍として魔煞(マサツ)星に付き従い、戦ったという。かつての栄光を取り戻すために自分たちで魔煞星を復活させようという元朗、しかし司鳳は夢物語に過ぎないとあしらった。すると元朗は少陽山の秘境に封印された琉璃盞(ルリサン)の中に魔煞星の心魂があると教える。無支祁(ブシキ)が持っている神器・均天策海(キンテンサクカイ)で琉璃盞を開ければ、魔煞星は復活するのだ。「お前にやって欲しいことがある」つづく( ;∀;)ミッキートリビュート最後まで顔芸、ありがとう!
2022.02.23
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上阳赋 The Rebel Princess第55話「懐恩の決意」新帝・馬子澹(バシタン)は即位にあたり恩赦を実施、寧朔(ネイサク)軍も赦免となった。城門では守衛たちが次々と晒し首を回収していたが、豫章(ヨショウ)王たちを見送りたいと集まった民たちが見守っている。すると城外の露店でその様子を見ていた客たちが噂話を始めた。「王妃は寧朔に行ったとか…」「忽蘭(クラン)に連れ去られたという話もあるぞ?」「反逆者の妻に転落か~」しかし店主は王妃をかばった。店主は王妃のおかげで生き延びたと話し、豫章王も戦死した兵の家族の面倒を見ていた立派な人だという。その話を農民に成り済ました蕭綦(ショウキ)が聞いていた。その頃、忽蘭では和親の障害となる豫章王妃を乗せた馬車が密かに幕営を出ていた。忽蘭王を信じて脱出を試みた王儇(オウケン)、しかし夜の林の中に独り放り出されてしまう。一方、蕭綦は寧朔軍の首を運ぶ兵士たちを追跡していた。山へ入った兵士たちは穴を掘って首を放り込みながら、豫章王妃は夫が死んだことも知らずに探し続けているだろうと笑っている。すると蕭綦が現れ、兵士たちを皆殺しにし、殉葬させた。…兄弟たちよ、お前たちが私のために受けた苦痛と屈辱を何倍にもして返す…約束しよう、この蕭綦、皆のために必ず雪辱を果たす蕭綦は松明を放り込み、燃え盛る炎に復讐を誓った。王儇は夜の林に置いてきぼりにされ、怯えながらさまよっていた。そこへ王儇の置き手紙を見た賀蘭箴(ガランシン)が迎えに来てくれる。実はこの林は猛獣だらけ、王儇は忽蘭王が初めから自分を殺すつもりだったと知り落胆した。「もう大丈夫だ、一緒に帰ろう…神に誓ってもいい、命をかけて君を守る」江南では王夙(オウシュク)が父に皇太后から届いた密命を見せていた。王藺(オウリン)は妹をみくびっていたと後悔し、今や江夏王となった息子に判断を委ねる。すると王夙は宋懐恩(ソウカイオン)を生かしたいと言った。懐恩はこれまで我が身を省みず何度も阿嫵(アーウォ)を助けており、恩を返したいという。何より一緒に治水作業を行う中で、懐恩が賢く勇敢だと高く評価していた。王藺はあっさり息子の意見に従った。いささか拍子抜けする王夙、すると王藺は王夙と阿嫵に恨まれても仕方がないという。「お前たちと瑾若(キンジャク)に厳し過ぎた…瑾若に顔向けはできないが後悔はしていない 私がしてきたことは自身のためではなく、王氏の繁栄のためだ」歴代の皇帝は即位すると王氏の制圧を試みた。王藺は側女の韓(カン)氏が懐妊して死を賜った時、自分の子は自分の手中に置くと心に誓ったという。「二度と他人に抑えつけさせぬとな…」「分かります」「何を分かったと?本当に分かっていたのなら1人の女にうつつを抜かさなかったはずだ」「…桓宓(カンヒツ)の件は私が間違っていました」「これから頼れるのはお前だけだ…志を共にせぬか?」王夙は思わぬ父の言葉に目を潤ませ、一緒に王氏を盛り返すと誓った。しかし王藺は自分たち2人だけでは難しいという。「助っ人が必要だ…」王夙は懐恩のことだと分かった。賀蘭箴は忽蘭王を訪ね、例え父でも王儇を傷つければ容赦しないと釘を刺した。そこで王儇以外を妃にするつもりはないと宣言、髪の毛1本でも傷つければ忽蘭と決別すると脅す。忽蘭王は憤慨したが息子は賀蘭箴1人だけ、結局、何も言い返すことができなかった。新帝は軍の残党を排除する絶好の機会に大赦を行い、朝廷は戸惑いを隠せなかった。丞相・温宗慎(オンシュウシン)だけは一挙に排除するのは難しいと理解を示したが、時局が急速に変化し、大臣たちも戦々恐々としてる。そこで温宗慎は争う心を捨てて国のために働こうと団結を呼びかけた。しかし皇帝に謁見を願い出ても馬子澹は会おうとせず、半日は書斎にこもって詩を書いている。一方、忽蘭王も聞き分けのない息子に頭を悩ませていた。賀蘭拓(ガランタク)は父子の争いに乗じて継承式を延期するよう提案したが、忽蘭王は継承式も婚礼も延ばすつもりはないという。「もはや大成にとって王儇は重要ではなくなった…お前が人を送り始末してくれ」「分かりました」すると忽蘭王は明日にもカルに発って両部族の和親をまとめ、10日後には継承式と婚儀を行うと決めた。粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩の耳にもついに寧朔軍の凶報が入った。そこで直ちに軍営を発とうとしたが、江夏王に足止めされてしまう。ひとまず馬を降りて王夙と膝を突き合わせた懐恩、しかし怒りは収まらず、大王と王妃の潔白を証明するために命をかけると奮起した。しかしどちらにしても江夏王がいなければ自分はとうに死んでいたと知る。懐恩は皇太后の密命を見て呆然、悔し涙を流しながら、国に忠誠を誓った自分たちへの不当な扱いに憤った。「豫章王のような英雄がこんな終わりを迎えるとは…あまりにも無念です…とても悲しい 私がそばを離れたから…はっ!」その時、懐恩は皇太后が大王を殺すために故意に自分を遠ざけたと気づく。すると王夙は帰京を止めにきたのではなく、帰京後にどうするか相談したいと言った。「どうだろう、このまま死を待つより命懸けで生きる道を模索してみないか?」王夙は王氏という名家と豪傑の懐恩が手を組めば悪を根こそぎ排除し、この乱世で覇業を成し遂げられると訴えた。懐恩は江夏王の提案を注意深く考えた。幕舎を取り囲んだ兵士たちは剣を抜き、江夏王の合図を今か今かと待っている。…杯が割れる音がしたら首をはねろ…すると王夙はついに杯をゆっくり持ち上げた。その時、懐恩がようやく重い口を開く。「江夏王は私の命を救ってくださいました… 条件があります、一緒に豫章王の潔白を証明してください それから…王妃を探しましょう」「ふっ…もう探させている」王夙は配下に下がるよう合図を送り、懐恩と杯を交わした。賀蘭拓は方(ホウ)術士の天幕を訪ねた。忽蘭王に王儇を殺せと命じられたが、和親がまとまって賀蘭箴が王位を継承すれば草原を統一する大王になり、自分が追求されるだろう。「そうなれば私は草原と大成どちらでも罪人となる…トホホホ…」しかし術士は失笑した。「今、手を下さぬのなら、いつやるのだ?」馬子澹の待ち人がついに皇宮に現れた。書斎にこもっていた子澹は急いで寝殿に戻ると、憔悴しきった蘇錦児(ソキンジ)がへたり込んでいる。「安平王…いいえ、皇帝陛下でした」「ずっと探していたのだ…無事で良かった、阿嫵は?そばにいなかったのか?今どこに?」「…亡くなりました」錦児は皇帝が王妃をあきらめるよう嘘をついた。実は逃亡生活を続けるうち王妃が豫章王の死を知って大病を患ったという。錦児は皇帝の元へ帰ろうと再三、説得し、王妃も徐々に落ち着きを取り戻して行った。すると王妃が豫章王を弔うため楝羽(レンウ)山に行くと言い出し、その言葉を信じてついて行ったが、山崖に到着すると身を投げたという。「嘘だっ!…阿嫵が自死を選ぶはずがない…偽りだぁぁぁ!」子澹は烈火の如く怒り出した。つづく
2022.03.17
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长歌行 The Long Ballad第45話「郡主の正体」毒殺されたはずの鉄勒(ティエラ)部の稚西(ジーシー)が生きていた。実は阿詩勒(アシラ)部が西へ侵攻したという知らせも偽物で、裏で画策していたのは奕承(エキショウ)公主だという。一方、阿詩勒隼(シュン)と阿詩勒渉爾(シャアル)は独房で夜を明かした。ふと隣の牢から聞こえる渉爾の指笛…。阿隼は懐かしい調べを聞きながら、渉爾が母と引き離されて孤独だった自分に手を差し伸べてくれたことを思い出す。すると渉爾が弥弥古麗(ミミクリ)を利用して自分から情報を聞き出した阿隼を非難した。「これも李長歌(リチャングァ)のためだ」「一体、李長歌とはどんな女なんだ?お前も弥弥も命まで捧げるとは…」長歌は李楽嫣(リラクエン)と皓都(コウト)の協力で奕承の陰謀を暴き、使者たちを納得させた。しかし奕承が家族を人質にして脅す手口を使う以上、まだ油断は禁物だと警戒する。「別の計画を講じていて、長安で他にも勢力を擁しているかも…」そこで長歌は赤合(チーハー)から赤鯢(セキゲイ)の所在を聞き出し、皓都が兵を動員して隋(ズイ)の残党を捕らえた。長歌は残党の中に肝心の楊成(ヨウセイ)がないと気づいた。しかしすでに夜も更けてきたことから、先に楽嫣を宮中へ帰そうと決める。四方館に戻った長歌と皓都、すると楊成が楽嫣を人質にして待ち構えていた。長歌は仕方なく残党を解放すると決め、要求された魚符をわざと高く放り投げる。その時、楽嫣が一瞬の隙をついて逃げ出し、皓都は見事に楊成を生捕りにした。楽嫣は楊成の短刀で首を切っていたが軽傷だった。心配そうに手当てする皓都、すると長歌は気を使って部屋を出る。空を見上げると美しい月が出ていた。…阿隼、牢でどうしているかしら?…皓都が屋敷に戻ると杜如晦(トジョカイ)が待っていた。無断で兵を動かしたことを叱責されると覚悟する皓都、しかし杜如晦は果敢な決断だったと称賛する。そこで皓都を連れて霊廟に向かい、祖先の位牌の前で叩頭させた。「今日からお前は我ら杜家の人間だ、族譜にもお前の名前が加わる」杜如晦は皓都を正式に息子として迎え入れ、駙馬になれるよう道を敷いてやった。杜如晦は皓都を連れて参内し、皇帝に暗躍していた隋の残党を捕らえたと報告した。しかし黒幕が奕承だと証言できるのは接触していた楊成だけ、その楊成が黙秘を続けており、今回、奕承を罪に問うことは難しいと落胆する。「まあ焦るな…翼をもがれては抵抗も時間の問題だ」李世民(リセイミン)は赤鯢を掃討した手柄を認め、皓都を駙馬にすると命じた。「皓都、いや杜郎君、楽嫣をそちに託したぞ、大切にするのだ」その頃、長歌は楊成を使者たちの前に引っぱり出し、奕承から直接、命令を受ける数少ない独りだと暴露していた。すると何食わぬ顔で奕承が現れる。「それだけの説明で私に疑念を向けるとは…和議のために嫁いだか弱い女が黒幕であるわけがない」証拠がないと分かっている奕承は強気だった。(´゚艸゚)∴ブッ<か弱いって笑うトコ?…安心してください、楊成は黙ってますよ~長歌は奕承のしらじらしい態度に呆れたが、そこへ礼部特使として魏淑玉(ギシュクギョク)がやってきた。淑玉は皇帝の盟約書を携えていた。唐皇の条件を聞いた使者たちは公平だと喜んだが、突然、弥弥が李長歌は漠北郡主ではないと暴露してしまう。長歌や使者たちは騒然、すると弥弥は李長歌の本当の正体は唐の元皇太子の娘だと明かした。その時、楊成が急に長歌の計画を壊すなと叫び、衛兵の剣で自害してしまう。これではまるで楊成が長歌の配下だと認めたようなもの、そこで奕承は弥弥に目配せし、さらに長歌を追い詰めた。「赤鯢は李長歌に従っていたの! 結盟は各部を戦に巻き込む口実で、狙いは唐皇が親征に向かうことよ! それなら唐軍を消耗させられる、そして唐皇を殺し、復讐を果たす…結盟は李長歌の陰謀よ!」…実は弥弥は直前に奕承に呼び出されていた『断れば穆金(ムージン)と歩真(ブジェン)がどうなると思う?』『穆金?!』弥弥は弟だけでなく愛する人まで人質になったと知り、奕承に忠誠を誓ってしまう…こうして淑玉の懸念は現実のものとなった。「李長歌を拘束せよ、陛下の判断を仰ぐ」李世民は淑玉が盟約書を持ち帰ったら娘の婚儀の日取りを決めるつもりだった。しかし淑玉から思わぬ報告が届く。李世民は奕承が小可汗を解放させるために講じた策だと気づき、再び淑玉を遣わせることにした。「何を要求されてもこう答えよ、朕は阿詩勒部の手中にある各部捕虜の解放を求めると」翌朝、奕承の予想通り唐の使者が現れた。皇帝からの過分な要求に難色を示す奕承、しかし淑玉は人心が不穏となった今、各部の使者をなだめるためには小可汗を懲らしめ、唐の威厳を示すのが最善の策だと脅しをかける。すると奕承はその代わりある条件を出した。淑玉は長歌を解放、しかし結盟は事実上、決裂した。阿隼の身が心配で仕方がない長歌だったが、特別な身分ゆえ面会は許されず、淑玉でも様子は分からないという。それにしても長歌を守るため、阿隼が自分の身分を明かしてまで奕承を引きずり込むとは驚きだった。「一度や二度じゃないの、彼がいなければ崖から落ちた時に死んでいたわ」「君を救ったのは彼だったのか…」すると淑玉は兄として長歌を阿隼に託すと言った。阿隼と渉爾が投獄されて4日、思いがけず2人はわだかまりのない時間を過ごしていた。そこで渉爾はここを出たら許してやってもいいと笑う。しかし可汗の養子と奕承の息子、阿隼は和解できるのは来世だと言った。すると突然、李承乾(リショウケン)が現れ、配下に阿詩勒隼を拘束させる。「ついに盟友の敵を討てるぞ」承乾は短剣を出して阿隼に襲い掛かろうとしたが、淑玉が駆けつけ阻止した。「阿詩勒隼、陛下がお呼びだ」阿隼は唐の皇帝を目の前にしても礼を尽くさなかった。「李長歌の男としても二叔に頭を下げるわけにはいきません」「ふっ、では姪のためにお前はどこまでできる?」そこで李世民は長歌と阿隼のために新しい戸籍を差し出した。今後は名前を変えて長安に残り、阿詩勒部と往来を絶てば一生、憂慮なく暮らせるという。しかし阿隼はすでに長歌が拒んでいると訴え、阿詩勒部を捨てることもできないと固辞した。李世民は2つ目の道は容易くないと警告したが、阿隼は長歌のため命をかけることも厭わないという。「…では長安を離れる前にある者に会え」淑玉は傷心の皇太子を東宮まで送り届けた。晟辛(セイシン)の正体を知って自分の愚かさを実感する承乾、初めて誰かのために立ち上がったが、そんな自分が滑稽だという。「殿下、では今後は誰かに全幅の信頼を置けなくなりますか?」「置くだろうな…ただ盲目的ではならぬ」「なら良かった、成長した証しかと…殿下、人は往時にこだわらず、前を向かねばなりません」つづく( ๑≧ꇴ≦)イールンがようやく良いこと言ってめでたしめでたし…ってまだ続いてた〜w
2022.06.05
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梦华录 A Dream of Splendor第37話「募る憎しみ」東京(トウケイ)に来た当初はしおらしくしていた傅子方(フシホウ)。しかし次第にわがままになり、孫三娘(ソンサンニャン)は手を焼いていた。今朝は書院に行かないと駄々をこねる息子を送り届けたが、三娘は仕事にかこつけて息子の相手をしない自分を責めてしまう。すると杜長風(トチョウフウ)が現れ、子方ももう14歳、母親とべったりでは笑われるとなだめた。「君の息子は私の息子も同然だ、私が育て上げる」三娘はしみじみ杜長風との出会に感謝し、都へ来たことは人生で最も正しい選択だったと言った。趙盼児(チョウパンアール)と顧千帆(コチェンファン)は復縁し、幸せな時間を過ごした。しかしパンRは軌道に乗った永安(エイアン)楼の仕事が忙しく、今は婚礼どころではない。パンRとの結婚生活を夢見る顧千帆だったが、それでも無理強いはしなかった。「私に嫁ぐのはいつだっていい、ずっと嫁がなくても私は待っているよ 君は恨みを捨てられる人だが、わだかまりはあるはずだ 君に付き添い、心の傷をゆっくり癒して行きたい」パンRは顧千帆の真心に感激し、思わず涙ぐんでしまう。すると顧千帆は夜宴図(ヤエンズ)の件も解決したと安心させた。「欧陽旭(オウヨウキョク)は新(シン)州の通判に…」「横滑りで降格ではない、欧陽こそ諸悪の根源なのに…」欧陽旭は辺地に飛ばされると知って絶望した。皇帝の怒りはすでに静まっていたはず、恐らく斉牧(サイボク)と顧千帆にそそのかされたのだろう。そこで赴任するまでの十数日の間に活路を見いだすべく、銭をかき集めることにした。「西京(セイケイ)での苦労を2度と味わいたくない、ここに留まれるなら命を売り渡してもよい」叔徳(シュクトク)は欧陽家の最後の身代である屋敷の売却に反対したが、欧陽旭は子明(シメイ)に証文を渡してしまう。欧陽旭はパンRに謝罪するため永安楼を訪ねた。驚いた宋引章(ソウインショウ)は咄嗟にパンRなら留守だと追い返し、謝罪文をパンRに届ける。…この情、追憶となるを待ち、惘然(ボウゼン)とする…パンRは欧陽旭が自分たちの追い打ちを恐れて旧縁にすがっているだけだと分かった。皇帝の欧陽旭への処分は確かに甘すぎだが、欧陽旭にとって前途を断たれるのは何よりの罰だろう。そんな折、池蟠(チハン)当てに酒楼組合から招請状が届いた。パンRに香料を買い占められたと知り、来年の醸造権の入札について相談したいという。「女子が正店を営むことを組合は禁じて来た、君が会合に行けば鼻を明かせるぞ?」パンRは明日の休みに顧千帆と出かける予定だったが、池蟠の言葉で心が動いた。欧陽旭は子明が400貫しか持って帰らなかったことに激怒、折檻した。実は淑徳から売らずに質入れしろと指示されたという。そこへ慌てて淑徳が現れた。淑徳は質入れなら請け出すことができると訴えたが、欧陽旭は質札を出すよう迫る。「私は先代に欧陽家を託された身、たとえ死んでも渡せません!」激情に駆られた欧陽旭はいきなり淑徳を殴打、そのまま撲殺してしまう。「欧陽家の主はお前か?!私だ!くたばれっ!」子明は常軌を逸した主の様子に呆然、腰が抜けて動けなくなった。顧千帆はパンRとの生活のため、調度品を買い揃えた。するとパンRは改めて蔵の鍵を要求、このままでは破産してしまうという。そこへ陳廉(チンレン)が子犬を連れてやって来た。「ご命令どおり賢い犬です!」顧千帆とパンRは幸せに包まれ、これからは顧宅で楽しい毎日が待っていると信じて疑わなかった。池蟠は酒楼組合へ出かけるため馬車でパンRを迎えにやって来た。しかしパンRを心配した顧千帆が一緒について来る。狭い車の中でにらみ合いを続ける顧千帆と池蟠。痺れを切らしたパンRは2人をなだめ、今回は入札を打診されても断ろうと提案した。「今、手を広げ過ぎてもうまく回せない 杜氏もいないし、人選びに失敗すれば名折れになるわ 商いも戦と同じ、攻めてばかりではいけない」その時、馬車が急停止した。露店と馬車が接触、道がふさがっている。するとパンRは組合ならもう近いので歩こうと言った。パンRたちが組合への道を歩いていると、突然、工事中の陸橋から材木が落ちて来た。池蟠は運良く免れたが、パンRをかばった顧千帆は材木の下敷きになってしまう。その時、顧千帆は陸橋の上から自分たちの様子を確認する男と目が合った。顧千帆は男が自分たちを狙ったと気づいて暗器を放ち始末したが、そのまま意識を失ってしまう。顧千帆は大事に至らず、足を負傷したパンRは顧宅で静養することになった。知らせを聞いた杜長風は慌てて桂花巷(ケイカコウ)へ駆けつけたが、子方は師範の姿を見て動揺する。「母さんに用ですか?僕は何もしていませんよね?」陳廉は咄嗟に自分が呼んだと取り繕い、一緒に昼餉を食べようと誘った。三娘は杜長風の優しさに感激しながらも、まだ息子に婚姻の件を伝えることができなかった。杜長風はこそこそ付き合いたくないと漏らしたが、三娘の気持ちを汲んで待つことにする。一方、陳廉は引章に永安楼の主を託したいとパンRから事付かっていた。パンRは軽傷だが事情が複雑なため、顧千帆がそばに置いておきたいという。現場に先に駆けつけたのが開封府のため皇城司は手を出せなかった。引章は了承したが、刺客の狙いが誰だったのか気になる。もしや酒楼組合だったのか。しかしパンRたちを狙ったのは酒楼組合ではなかった。王楼(オウロウ)店主はパンRの事件に酒楼組合が関わっていないと確認して安堵した。するとこの機に店主が宋氏に代わると分かり、思わぬ好機だと喜ぶ。そんなある晩、永安楼に急報が舞い込んだ。可四(カシ)が長楽(チョウラク)郡主府へ料理を届けたが、蟹醸橙(カイジョウトウ)の蟹が腐っていると騒ぎになっているという。引章と三娘が長楽郡主府に駆けつけると、可四が門前に縛り付けられていた。すると誰が煽ったのか、騒ぎを聞きつけて人だかりが出来ている。その時、腐った蟹を持って家職が現れた。見たところ確かに蟹は腐っていたが、引章は同行した医官に調べさせ、蟹みそが朱色だと分かる。三娘は群衆にわざわざ蟹みそを見せて回り、これが永安楼の料理ではないという証拠だと訴えた。「赤いみそは雌蟹特有のもので、雄蟹のみそは黄色です、召し上がった方ならお分かりでしょう 水産組合も証言してくれます、雌蟹を永安楼に卸したことは一度もないと…」実は東京で貴重な江南産の蟹を提供しているのは永安楼だけだった。他店が出している沢蟹とは身の肉が全く異なり、医官はひと目で判別したのだという。潔白を証明した三娘は可四を解放した。すると可四は陰謀だと訴え、群衆を焚き付けたのが王楼の店主だと暴露する。引章は訴状の到着を待つよう告げたが、焦った家職は結託を否定し、自分も騙されたと謝罪した。しかし翌日、今度は李家に酒を買いに行った葛招娣(カツショウテイ)が断られて帰って来る。何でも欲しいなら鬱金(ウッコン)と蘇合(ソゴウ)を全部差し出せと脅して来たとか。「ここは池蟠の出番ね」あの事件以来、池蟠は寝殿に引きこもっていた。引章は寝所へ乗り込み、このまま永安楼が潰れたら笑いものになるという。ようやく永安楼が嫌がらせを受けていると知った池蟠は一念発起、地方で酒を買って来ると出かけて行った。その夜、杜長風は三娘を抱きしめ慰めていた。しかし運悪く厨房へ来た子方に見られてしまう。2人の関係を知った子方は屋敷を飛び出したが、追いかけて来た三娘たちに橋で挟み撃ちにされた。「来るな!飛び込むぞ?!こんな破廉恥な女、母親じゃない!よその男と通じるなんて!」すると激怒した引章は子方を橋から落としてしまう。「溺れやしないわ」確かに子方は浅い水路であっさり立ち上がった。「俺は悪くないぞ!」「いいえ、銭塘(セントウ)で必死に育ててもらった恩にどう報いたの?! 東京では最上の衣食を与えられ、書院にも通ってる、あなたに孝行心はないの?!」「とにかく下種と通じるなんて間違ってる!」これにはさすがの杜長風も言い返した。「私は進士で下種などではない、君の母君は表裏のない清らかな人だ 君子と淑女が愛し合うのは喜ばしきこと、恥でも何でもない」「でも…おれは許さないぞ!」 つづく( ๑≧ꇴ≦)引章、覚醒!意外にも最後は一番カッコよくなりそうw
2023.06.11
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安乐传 The Legend Of Anle第8話皇太子が病で朝議を欠席した。忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)は韓燁(ハンイェ)が江南(コウナン)へ出かけたと勘づいたが、すでに迎え撃つ準備は整っている。「お手並み拝見だ」一方、留守を命じられた温朔(ウェンショウ)は密かに皇太子一行を追いかけていた。しかし途中で後をつけていることがばれ、皇太子に帰れと怒られてしまう。「いいじゃない、連れて行ってあげたら?」温朔は任安楽(レンアンルー)の口利きで何とかお供を許され、洛銘西(ルォミンシー)から預かった地図を渡した。皇太子一行は江南へ到着、早速、安楽と韓燁は身分を隠して散策に出かけた。街は平穏で被災民の姿はなかったが、天災で収穫が少ないにも関わらず、店では大口の客相手に米が高額で売られている。「埃っぽい古米だった、恐らく官倉の米だろう、飢饉の備えゆえに埃をかぶる」韓燁はひとまず客桟へ戻って策を練ることにしたが、安楽が止めた。「繁栄の裏にある別の一面も見るべきじゃない?」安楽と韓燁は衣を泥だらけにして顔を汚し、物乞いを装った。すると衛兵が現れ、沐天(モクテン)府の知府・鍾礼文(ショウレイブン)の命令で賎民は城内に入れないという。「2人を連れて行くぞ」安楽は横暴な衛兵に憤慨したが、韓燁は騒ぎにならないようなだめた。賎民たちは郊外の河原に集められ、水のような粥を配給されていた。「あれは辺境の戦に夫や息子を送り出した人たちよ…干ばつの時には自らの手で水路を掘った」「私のせいだ…」韓燁は皇太子として民を守れない無力さに打ちのめされたが、安楽は皇太子ではなく悪徳役人のせいだとかばった。「戻ろう…気づかれぬうちに」韓燁は沐天府を調べるより先に民を助けようと決めた。その頃、翎湘楼(レイショウロウ)では琳琅(リンロウ)が持病に苦しむ洛銘西のため、薬湯を差し入れていた。「公主の侍衛・冷北(ランベイ)ですが怪しい点はありませんでした 辺境に住んでいましたが戦で家族が離散、5年前に公主に拾われ侍衛に…」安寧(アンニン)と冷北が出会ったのは青南(セイナン)山だった。当時、冷北は数十人の北秦(ホクシン)兵を前に窮地に陥ったが、安寧に救われる。冷北は恩人の公主に仕えたいと嘆願、その時、不意をついて飛んできた敵兵の矢から身を挺して安寧を守った。それ以来、安寧は冷北をそばに置き、重用している。冷北は公主のためなら命を投げ出す覚悟と誓ってくれたが、安寧にとって人助けは8万の帝家軍を救えなかった贖罪だった。琳琅は主のため、都では手に入らない長思花(チョウシカ)の種を見つけた。洛銘西は喜び、日向に植えて欲しいと頼む。「沐天府に着いた頃だな、大芝居の幕開けか…」その夜、安楽は韓燁の部屋を訪ねた。「そろそろお客さんが来る頃よ」すると早速、外から剣戟の音が聞こえてくる。中庭では待機していた簡宋(カンソウ)と苑書(エンショ)が刺客に応戦していた。しかし刺客は殺意がなく、劣勢になると全員が自害してしまう。韓燁は刺客の目的が暗殺ではなく警告だと気づいた。恐らくお忍びで江南へ入った皇太子が暗躍しないよう表に引きずり出したいのだろう。「立場を逆転させよう、こちらから姿を現してやる」「いいわね」そこで韓燁は温朔に皇太子の儀仗を整えるよう命じた。「沐天府中の役人に太子のおなりを知らしめるのだ」翌朝、鍾礼文は官吏たちを引き連れ、客桟に皇太子を訪ねた。鍾礼文は色褪せた官服に擦り切れた履き物という出で立ちで、度重なる災害のため食糧を配給し尽くし、備蓄がないと報告する。「だったらなぜ被災民の血書が届いたの?」安楽の素朴な疑問にも鍾礼文は動揺する様子もなく、恐らく被災直後のもので、血書が都へ到着する頃には救済が済んでいたと説明した。「ほお~だったらもう救済銀は必要ないわね」「それは…治水による対策を見直さねばなりませんので」すると鍾礼文は明日、皇太子と大理寺卿のために宴を開くと伝え、帰って行った。安楽は明日の宴をどうするのか韓燁に聞いた。その時、韓燁は客室の様子をうかがう怪しい影に気づき、敵の目をごまかすため安楽と仲睦まじい姿を見せる。安楽は韓燁の目配せで事情を飲み込み、この機に乗じて韓燁に迫った。「お疲れでしょう~衣を解いてくつろいでください」仕方なく安楽に合わせる韓燁だったが、気がつくと間者の姿が消えている。すると韓燁は安楽を突き放し、程度をわきまえろと叱った。「やり過ぎだ!」一方、鍾礼文は皇太子の出方に合わせて2つの策を準備していた。まずは賂で懐柔し、皇太子の手柄をお膳立てして貸しを作る。しかし誠意を見せても受け入れないのなら、被災民を煽って暴動を起こさせるまでだ。韓燁は鍾礼文が宴席で何か仕掛けてくると疑った。しかし安楽は韓燁の余裕の表情から、すでに対抗策があると気づく。「さすがは知己、分かっているな」「…知己?忠実なしもべってところかしら?」「ぁ…その〜」「じゃあ知己の願いを聞いてもらえる?…私を一度でいいから″美人″と呼んで?」「…美人」「やった~!″美人″に封じられたわ!」その頃、都では洛銘西が琳琅の鍼治療を受けていた。主のため都の名医から鍼を学んだ琳琅、3日に1回の治療を続ければ元気になれるという。洛銘西は生まれつきの体質を変えるのは難しいと分かっていたが、琳琅は長思花も直に芽を出すと励ました。すると翌朝、長思花が本当に発芽している。「靖南(セイナン)の長思花は寒さを嫌う、芽が出たのは初めてだ、琳琅、さすがだな…」翎湘楼に安寧公主がやって来た。安寧はまだ明るいうちから酒や舞を楽しんでいたが、そこに洛銘西が琳琅を連れてやって来る。すると洛銘西は舞姫たちを下げ、代わりに琳琅に琴を弾かせた。「これは…梅花落(バイカラク)だわ」「覚えていたか」「もちろん、梓元(ヅユアン)と一緒に習った曲よ でも武術が好きな梓元は身が入らず、太子哥哥にせっつかれてやっと覚えたの」「何でも瑇(タイ)山では1年を通して花が咲かず、鳥の声も夏の盛りだけだとか… そんな生気のない場所で梓元は10年間も孤独に耐えて来たのだな」洛銘西は安寧に揺さぶりをかけた。「まもなく都へ戻る、10年後の梓元に会いたくないか?」つづく( ゚ェ゚)鉄板の米ネタ、さすがにもうお腹いっぱいw
2024.02.22
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长相思 第二季 lost you forever S2第20話小夭(ショウヨウ)も結局は両親や父王のように天下万民のため、復讐より大義を選んだ。独り残された瑲玹(ソウゲン)は小夭を抱きしめ号泣。しかしその時、不意に目が覚めて小月頂で祖父と一緒にいると気づく。「はっ!爺爺(イェイェ)、このお茶は一体…私は幻境にいました」太尊が瑲玹に飲ませた茶は″因果″と呼ばれ、3000年に1度だけ開花し、次の3000年で実をつけ、更に3000年で実が熟し、9000年を経て実る果だという。瑲玹は祖父から塗山璟(トザンケイ)を殺したか聞かれたことを思い出し、自分ではないと否定した。太尊も瑲玹でないと分かっていたが、その実、塗山璟の不幸を喜んでいたはずだという。「小夭の目はごまかせぬぞ?お前が本気で調べ上げねば猜疑の念に苦しむだろう」太尊は瑲玹より気の短い者が手を下していなければ、いずれ幻境が現実になっていたと釘を刺した。≡≡≡≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズコーッ!赤水豊隆(セキスイホウリュウ)は塗山篌(トザンコウ)と防風意映(ボウフウイエイ)をけしかけた黒幕が妹だと気づいていた。辰栄馨悦(シンエイケイエツ)は見えすいた嘘をついたが、兄をごまかせるはずもない。実は秘法で顔を消していた死士は王后となった妹を守るため辰栄氏が育てた私兵だった。「従兄を殺すとは」「塗山璟は単なるついでよ、本当の標的は西陵玖瑤(セイリョウキュウヨウ)だった まさか防風意映が仏心を出して裏切るとはね、おまけに塗山篌までしくじった」馨悦は事の重大さに気づいていないのか、何の証拠もないので問題ないと悪びれる様子もない。 「後悔している…徳のないお前を王后にしたせいで災いを招いてしまった!」「そうよ!徳がないから人質にされたのよっ!」しかし馨悦は万が一の時は自分1人で責任を負い、一族に迷惑をかけないと約束した。すると豊隆はすでにこの件を処理しておいたと教える。「だが忘れるな、今回だけだ、2度と過ちを犯すな」( ๑≧ꇴ≦)お前だったのかーい!すっかり忘れていたわw瑲玹は恐る恐る小夭の部屋を訪ねた。現実の世界では何事もなく医書を編纂している小夭、しかし美しい黒髪に白髪がある。「小夭、その髪は…」「何本か色が変わっただけよ…分かってるわ、婚礼のことで怒っているのね?」「小夭…お前が生きていれば私はどんなことでも受け入れられる」「心配しないで、早まったりしない、それに璟を待たなくては」すると瑲玹は婚礼を阻止しようとした時、小夭が″あの時とは違う″と言った意味を聞いた。「だって娘(ニャン)と璟では違うから…娘は子供より責任が大事だったのね 両立できないから私が捨てられた、仕方がないわ、だって西炎の王姫で責任も重大だもの でも璟は違う、彼にとって一番大事なのは私 娘は私を捨てて死んだけれど、璟は私のために生きる、私を捨てて逝くはずない 何があろうと必ず戻ってくるわ」小夭は幻境でも現実でも塗山璟が自分にとっていかに大切かを訴えた。「璟は生きている…哥哥、分かってくれる?」 「分かるよ、これからも捜索させる」瑲玹は思わず小夭を強く抱きしめた。「忘れないでくれ、全て私が悪かった、私のせいなのだ、最初から私が間違っていた」「ふふ、分かった、じゃあ私が過ちを犯しても全て哥哥のせいね?」その夜、王后の寝宮に西炎王が現れた。久しぶりの来訪を喜ぶ辰栄馨悦だったが、人払いした瑲玹から塗山璟の一件を追及されてしまう。「そなたが塗山璟を殺した目的は何だ?何の利がある?」「彼が消えれば陛下は想い人を娶れます、陛下は塗山璟が消えて欲しいと思っていたのでは?」「なぜ殺したのか聞いたのだ!」「なぜか?…ふっ、陛下は私など全く眼中になかったのですね」「まさか標的は小夭だったのか?」「そうです!」馨悦は瑲玹こそ自分の王位のために愛する女子を他の男の元に送りながら、王位を得たら奪い返そうとしたと蔑んだ。バシッ!⊂彡☆))Д´)アゥ!瑲玹は怒りに任せて馨悦の頬を引っ叩いたが、気位の高い馨悦は毅然としていた。「西 炎 瑲 玹 ! 度胸があるなら私を殺しなさい!」「できるかっ!…その位は奪わぬ、だが王后の権利は与えぬ! 誰にとっても目障りな存在となり、死ぬまで苦しむのだ 辰栄馨悦よ、しかと王后の座を享受するがいい」( ๑≧ꇴ≦)馨悦wwwww~振り返ったところ最高w辰栄残党軍の洪江(コウコウ)は再三の説得にも応じず、瑲玹はいよいよ挙兵して内患を解決することになった。そこで蓐収(ジョクシュウ)を総帥、覃芒(タンボウ)を副将に決めたが、赤水豊隆は自分に任せて欲しいと嘆願する。しかしそんな息子の姿を辰栄熠(ユウ)が苦々しく見ていた。赤水豊隆は総帥に命じられた。すると屋敷に戻ってから父に厳しく叱責されてしまう。「敵に帰順した私は今も父親(フーチン)に恥じている それなのに息子のお前が兵を率いて辰栄残党軍を滅ぼすというのか?! 中原の氏族を出征させぬのは陛下のご配慮なのに!」すると豊隆は私欲で名乗りをあげたのではないと訴え、事情を明かした。実は王后が小夭と塗山璟の暗殺を企て、小夭は無事だったものの塗山璟は未だ行方不明だという。「馨悦の過ちは死罪に値する だが陛下は中原の氏族を敵に回せず、馨悦を罰することができません しかし馨悦の人生は終わったも同然 真相に気づいて私が秘密裏に処理しましたが、陛下にも璟にも合わせる顔がない…」真実を知った辰栄熠は呆然となり、腰が抜けてへたり込んでしまう。赤水豊隆は出征前に妹を訪ねた。しかし頑な辰栄馨悦は兄の気遣いに感謝するどころか、2度と来るなと冷たく追い返してしまう。そしていよいよ西炎軍が出陣する日を迎え、西炎王自ら見送りに出た。「勝ちを急ぐな、兵力の損失を抑え、敵の消耗を待って一撃で倒せ」「承知しました!」太尊は編纂に没頭する小夭を訪ねた。実は今朝、赤水豊隆が洪江討伐のため兵を率いて出征したという。しかし瑲玹がすでに清水(セイスイ)鎮から民を避難させたと安心させた。太尊は相柳(ソウリュウ)と近しい小夭の反応が心配だったが、思いのほか小夭は冷静に見える。「分かったわ…」すると小夭はふいに窓際に立って外を眺めながら、初めて回春堂での生活や塗山璟、相柳との出会いを明かした。その頃、空き家となって久しい回春堂に相柳がやって来た。中庭には今でも玟⼩六(ビンショウリク)が横になっていた長椅子がある。小夭と相柳は時を同じくして偶然にも回春堂で過ごした時間を懐かしんでいた。「傷を負って訪ねてきた相柳は動けなかったの だからかまどの木炭で目を7つ描いてやったわ、本物の目と合わせてちょうど9つよ 相柳は憎々しげに私を睨みつけていた、でも不思議ね、相柳から殺気は感じなかった」相柳はあの時のように玟小六の寝台に腰掛けた。するとふいに蠱虫(コチュウ)がうずいて左胸に手を当てる。…2つの地で抱かれる1つの愁いか…相柳は寝台に横になると、当時、自分に寝床を奪われふて腐れていた玟小六の顔を思い出して微笑んだ。洪江は最後の決戦を前に、去りたい者は去るよう勧めた。しかし残党軍は誰一人、逃げ出す者などいない。「軍師が残るのに我々が去るとでも?!最後まで共に戦おう!」おーっ!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<おーっ!戦が始まって1年、洪江は相柳に反対され前線には出なかった。そんなある日、相柳から今夜、西炎軍に奇襲をかけて欲しいと頼まれる。「派手な方がいい、赤水豊隆を動揺させる」「なぜ今夜なのだ?」「…時機が来たのだ」一方、豊隆も西炎の国力があれば勝利を急ぐ必要はないと分かっていた。「だが妹の性分では長くは待てまい…」その時、にわかに軍営が騒がしくなった。「洪江の奇襲です!兵糧に火が放たれました!」豊隆はついに敵将が現れたと知り、これを好機と見て出撃してしまう。赤水豊隆は功を急いで洪江を追いかけ、相柳の策にはまって大敗を喫した。西炎の氏族は総帥を代えるよう上奏、しかし豊隆を降ろせば中原の氏族が黙っていないだろう。瑲玹は祖父に戦況を報告し、自ら清水鎮へ赴くと伝えた。すると小夭が一緒に行くという。瑲玹は危険だと反対したが、祖父は小夭もケリをつけたい思いがあるとして認めた。「分かりました、小夭、ただし私から離れず、勝手に動くなよ」「はお」こうして小夭と瑲玹は因縁深い清水鎮にやって来た。つづく( ;∀;)回春堂での時間が確かに懐かしい〜
2025.02.11
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烈火如歌(Lie huo ru ge)The Flame's Daughter第30~32話ダイジェストおじいちゃんからあれほど行くなと言われたのに、予想通り薫衣(クンイ)を救うため夷(イ)山に乗り込んだ歌児(カール)こと烈如歌(レツジョカ)なぜ持っていたのか不明ですが、火器をセッティングして暗河(アンカ)宮が現れるのを待ちますやがて暗河宮の女たちを見つけたカールは一番後ろの弟子を草むらに引きずり込みボカスカボカスカ暗河宮の紅衣を奪い、何食わぬ顔で隊列に続きますやがて一行は暗夜絶(アンヤゼツ)の元へ到着、そこには大木に吊るされた薫衣の姿が…一方、カールの危機を悟った玉自寒(ギョクジカン)も夷山を目指していました念のためおとりの馬車を行かせると、案の定、刺客が襲撃しかし乗っていたのは侍衛で、すぐ合図の発煙筒をあげます合図を見た玉自寒は刺客を引きつけたことに成功したと分かり、すぐカールを探すことに…カールがなかなか現れず、待ちくたびれた暗夜絶は薫衣を地面に下ろし、配下に目を潰せと命じますさすがに誰も暗夜絶の娘を傷つける勇気などありませんが、そこでカールが手を上げて薫衣の元へ薫衣は面紗の配下がカールだと気づきますするとカールは短刀を構えるなり背後に投げ、木に吊る下げておいた火器を爆破すると次々に引火し、付近はあっという間に炎と煙に包まれますカールはその間に薫衣を連れて脱出、不意をつかれた暗夜絶は炎にまかれて追えませんカールは薫衣を連れて大木の枝の上に避難しましたその時、必死にカールを探す玉自寒の声が聞こえて来ます喜んだカールは玉自寒の姿を見つけて返事をしましたが、突然、薫衣に腹を刺されてしまいます「う…どうしてなの…?」「私は暗夜絶の娘なんです…」カールは枝から落下し、炎に飲み込まれてしまいますその様子を目の当たりにした玉自寒は必死に車椅子を動かしますが、車輪が木の根に取られて転倒助けに向かおうともがいていると、そこに裔浪(エイロウ)が…暗夜絶はこの20年で2回しか会ったことがない娘が自分のためにカールを刺したことにいささか驚いていましたしかし烈火山荘を裏切ったからには暗河宮へ連れ帰るしかありません薫衣は母に忠実に従うことで、愛する姫驚雷(キケイライ)を守りたかったんですね〜暗河宮に軟禁され、相変わらず飲んだくれている戦楓(センホウ)そこへ暗夜羅が現れ、カールが死んだと報告します(ΦωΦ)<辛いだろう~?愛する者を失うとジワジワ来るぞ~激高した戦楓は叔父に切りかかりますが、暗夜羅は黒い霧となって消えてしまいます「楓児よ、そなたが烈親子を殺したのだ~ 奴らは両親の敵、当然の報いではないか?何を悔やむことがある?クックック~」ようやく解放された戦楓でしたが、カールを失った衝撃から茫然自失となり、ふらふらと暗河宮を出て行きます裔浪から玉自寒を捕らえたと聞いた暗夜羅は喜び、裔浪に烈火山荘の荘主の座を約束、まずは天下無刀城(ブトウジョウ)と一緒に霹靂(ヘキレキ)門を排除するよう命じます烈如歌殺しの罪も雷驚鴻(ライケイコウ)にかぶせれば、霹靂門掃討の名目も立つというわけしかし暗夜絶は複雑でした…雷恨天(ライハンテン)、あなたは死ぬ必要があった、でも雷驚鴻の命は守るわ…そこで薫衣に姫驚雷が霹靂門の本船にいると教え、霹靂門の掃討に巻き込まれそうだと伝えます「好きにしていいわ、でも私に累が及ばぬように、烈火山荘の侍女として行って」烈火山荘の荘主・烈如歌が霹靂門の麒麟火雷で殺され、副荘主の戦楓も行方不明となりましたそこで白羽の矢が立ったのが裔浪です裔浪は荘主への足掛かりとしてまず荘主代行となり、山荘を取り仕切ることにそこで早速、先代とカールの敵を討つため霹靂門を一掃すると宣言します一方、青龍堂を密かに手中におさめた鍾離無涙(ショウリブルイ)は弟子たちにカールの亡骸を探すよう命じました実はカール、危機一髪のところで銀雪(ギンセツ)に助けられていました…廃屋で意識を取り戻したカールは玄関先で焚き火をしている男に気づき、声をかけます「カール、目が覚めたか?」「あなたは誰?」「私は…そなたの友だ、親しい友」「何も覚えていないの」「ああ、健忘薬を飲まされたからだ」「私の恩人なのね、ありがとう」銀雪は有琴泓(ユウキンオウ)と暮らしていた東海近くの民家にカールを連れて戻り、2人で穏やかな時間を過ごしますしかしある夜、銀雪に再び寒咒(カンジュ)の発作が…カールは凍えながら寝台の上で震える銀雪を見つけ、ただ寄り添って手を握りしめましたすると銀雪は思わずカールを引き寄せ、口づけします命の期限が迫る銀雪、そこで困惑しているカールに″鳳求凰(ホウキュウオウ)″の一節を詠みます「″麗しき乙女…忘れ得ぬ人よ…そなたに会わずば我が心、千々に乱れん… 鳳は故郷に帰るも、四海に出で凰を探し求む″…私に嫁いでくれ この銀雪、殺生を重ねた身、天罰に遭うのは当然だ そなたに再び会えて…もはや心残りはない…」銀雪はそう言って意識を失ってしまいます霹靂門掃討を知った刀冽香(トウレツコウ)は本船に駆けつけ、雷驚鴻と鳳凰(ホウオウ)、姫驚雷の逃走を助けますしかし途中で二兄・刀無痕(トウブコン)が現れ、雷驚鴻と一騎打ちで決着をつけることに2人の激しい攻防戦が繰り広げられる中、物陰に身を潜めていた薫衣が刀無痕の足につぶてを命中させますその隙をついて雷驚鴻の飛び蹴りが炸裂、吹き飛ばされた刀無痕は足を取られて後ろに転倒、そこには運悪く大きな石が…激しく頭を打ちつけた刀無痕は絶命し、刀冽香は兄を腕に抱いて悲しみに暮れますこんな時に"無刀派を捨てて自分と一緒に行こう~♪"なんて言っちゃう雷驚鴻もちろん刀冽香は拒否し、雷驚鴻を激しく責めます「どんなにひどい兄でも私を育ててくれた人よ!贅沢な暮らしを与え、苦労もさせなかった!」駆けつけた薫衣は早く逃げようと急かし、雷驚鴻は後ろ髪を引かれる思いでその場を離れます薫衣は雷驚鴻たちを隠れ家にかくまいましたしかしこの混乱の最中、なぜ侍女の薫衣が自分たちを助けに来られたのか雷驚鴻は薫衣が裔浪の命で自分を殺しに来たと疑いました薫衣は仕方なく自分が腹違いの妹だと告白、しかも暗夜絶が義母の情で雷驚鴻を助けたと教えますそのせいで姫驚雷にまで身分を知られてしまった薫衣、姫驚雷に拒絶され、深く傷つき帰って行きました雷驚鴻を追っていた刀無暇(トウブカ)は、妹と息絶えた弟の姿を発見恐らく刀冽香が雷驚鴻を逃がすために弟を犠牲にしたと気づき、激怒します憎しみを募らせた刀無暇は霹靂門の者を見つけしだい問答無用で斬れと命じ、弟に殉葬させると誓うのでした烈火山荘の荘主が2代続けて殺されたことを機に江湖は混乱します2人を殺した罪で霹靂門は江湖の敵となり、雷驚鴻の行方も分からないまま4回も総攻撃を受けることにこうして霹靂門のあまたの弟子たちが殺され、ついに裔浪は本船を手に入れます暗夜羅は暗夜絶が娘を使って雷驚鴻を助けたと知り激怒どうやら3歳から育てた雷驚鴻や手駒として烈火山荘に送り込んだ薫衣に情があると見抜きますそこで暗夜羅は贖罪として暗夜絶自ら雷驚鴻を始末するよう命じ、失敗したら薫衣を殺すと脅しました雷驚鴻たちの隠れ家に碧児(ヘキジ)が駆けつけます幸い青龍堂は鐘離堂主が握っているため、そのおかげで姫驚雷が雷驚鴻と一緒だと分かったんですね~碧児はカールが殺されたと発表されたものの、まだ亡骸は見つかっていないと希望を持っていますそれにしてもカールに何かあればすぐ動くはずの玉自寒がなぜか軍営から姿を見せません実は軍営では玉自寒が行方不明という事実を景献(ケイケン)王に隠すため、玄璜(ゲンコウ)が静淵王の鎧を付けて時間稼ぎをしていました暗河宮の地下牢、暗夜羅は収監している玉自寒を訪ねます(ΦωΦ)<いやぁ~車椅子じゃカールを救えるわけないよね~玉自寒は愛するカールも守れない不甲斐なさに思わず喀血しました(ΦωΦ)<このままじゃ今度、愛する人が危ない時にまた助けられないよ~?暗夜羅のこの言葉で玉自寒はカールがまだ生きていると気づくんですね~(ΦωΦ)<私なら足を治すことができるんだけどな~カールを探しに行きたくないの〜?暗夜羅は自分に協力するなら、もうカールを煩わせないと約束しますが…カールとの生活に幸せを感じる銀雪、そこでカールに2人の出会いを教えますあれは銀雪が正道の門派に追われていた時のこと銀雪にとっては赤子の腕をひねるようなものでしたが、そこに世慣れぬ小侠女が現れますそれが強きをくじき弱きを助けるカールでした当然、カールは銀雪の敵ではなく、銀雪は口づけしてくれるなら他の者を助けるとからかいますすると驚いたことにカールは本当に銀雪の頰に口づけしたとか「ブハッ!嘘よ~」「本当だ」銀雪は約束通り追っ手を許しましたが、しかし後に恩を仇で返し、カールを襲ったのです…そして1話の冒頭へ戻るそんなある日、烈火山荘から東海の軍営に大きな箱が届きます玄璜は兵士たちがいなくなってからふたを開けますが、なんと中に入っていたのは玉自寒でした玉自寒は傷だらけでしたが口を閉ざし、ともかくカールを探せと命じます有琴泓が民家に戻ると、元の姿を取り戻した師匠がいました聞けばカールは健忘薬を飲んでいるとかしかし遠からず記憶を取り戻すため、縹渺(ヒョウビョウ)洞には連れて行かなかったと説明します事情を聞いた有琴泓はひとまず出直すことにすると銀雪が再び寒咒(カンジュ)の発作に襲われます外から様子をうかがっていた有琴泓は慌てて駆けつけ、銀雪を助けられるのはカールの烈火功だけだと訴えました「身に染みついた技は忘れぬはず、どうか師匠を助けてください!」カールは必死に何か思い出そうと努力し、やがて銭袋の烈火山荘の門符から記憶の糸口を見つけますしかしあまりに辛い思い出に耐えられず号泣銀雪は思い出さずともいいとなだめ、凍えながらまた「鳳求凰(ホウキュウオウ)」を詠みましたカールは自分にできることは銀雪の希望通り嫁ぐことだと気づきます(꒦ິ⌑꒦ີ)<結婚する!カールは赤い面紗をかぶって銀雪と簡素な拝礼の儀を行います銀雪はついに念願が叶い感激しかしその間にカールは全ての記憶が蘇ってしまいます「だましたわね…銀雪の師を名乗り、軍営の外で助けてくれた、そうでしょう? だまさないで、私の記憶を封じた、私には使命があるのに…もう留まれない」その時、銀雪はついに力尽き、卒倒します有琴泓はカールに苛立ちを隠せませんでした「師父は玉自寒の呪いを吸い込み、解くには100年もかかるのに、あなたを案じて東海へ向かった 私の内力を尽くして師父を助けたが、倒れてしまわれた あなたと玉自寒の再会に師父は全霊を注いだのに、あなたは薫衣を助けに… あなたのせいで師父は毎夜、激痛に苦しんでおられる」カールは銀雪の深い愛情に涙し、烈火功で治療を開始します日も暮れる頃、ようやく銀雪は意識が戻りましたそこでカールは正直に気持ちを伝えることに…「死んだあなたを思うのが怖かった…起きている時はあなたを思わないよう努めたわ 私のせいで死んだと言われなくても分かった…でもあなたは生きていてくれた」「その言葉を聞いただけで十分だ」すると銀雪は明日、洛陽へ発つと伝えます結局、何をしてもカールが勝手なことをしちゃうので、もう無駄だとあきらめたんですねw仕方がないから銀雪もカールの復習に付き合うことに決定カールも恨みを晴らしたら一緒に江湖を離れると約束しますカールたちは酒売りの一行に扮し、品花楼(ヒンカロウ)の女将が手配してくれた馬車を使いますすると道中、今や暗河宮が正派として民たちから賞賛されていると知り呆然しかも烈火山荘を名乗る弟子たちが民から金を巻き上げ、父・烈明鏡(レツメイケイ)が培ってきた烈火山荘の名声は地に落ちていました玉自寒も戦楓も雷驚鴻も消息が分からず、裔浪が仕切っている烈火山荘…そんな烈火山荘に見切りをつけた慕容(ボヨウ)堂主は隠居を決めて去ってしまいますカールたちは洛陽へ到着すると飲んだくれて道端に座り込んでいた戦楓が荷車に座っているカールを目撃します幻だったのか現実だったのか…↓ヒゲオスカル~馬車を追いかけようとするも立ち上がれずに倒れる戦楓そんな哀れな戦楓を迎えにきたのが瑩衣(エイイ)でしたつづく( ̄▽ ̄;)何だか物語の3分の2はカールに振り回された皆さんの苦労話なのか?w
2020.05.07
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三生三世十里桃花 Eternal Love第52話「三生石の悲劇」素錦(ソキン)は照歌(ショウカ)の様子を見ようと人間界にやって来た。幼い頃の夜華を見た素錦は、あの頃は自分だけが夜華(ヤカ)のそばにいられたと懐かしむ。「夜華は昔から見目麗しく、無口でおとなしかった、なかなか笑わないから苦労したわ …私はずっと夜華のそばにいた 夜華は私の唯一の家族、自分の命より大切にして真心を尽くして来た あの女どもの比じゃないわっ!」照歌は約束通り美しい神仙からもらった数珠を肌身離さず持っていた。そんなある夜、父が従姉・素錦を連れて来る。父は素錦が数日ほど滞在するため、一緒に遊ぶよう勧めたが、照歌は素錦にまったく興味を示さなかった。一方、崑崙虚(コンロンキョ)では白浅(ハクセン)が埃まみれの酒蔵を掃除していた。「男たちは皆、不精者なんだから…ブツブツ」「…怠け者だった17が別人のようだ」「師父!きれになりましたか?」「きれいだ」墨淵(ボクエン)は思わず司音(シイン)の頰についた汚れをぬぐい取った。「師父、覚えておいでですか? 離鏡(リケイ)に裏切られ、深酒した私のために、師父は修行を早めに切り上げて ここで寄り添ってくださいました 師父?当時、私が娘だとお気づきでしたか?」「そなたが崑崙虚の大殿に足を踏み入れた瞬間に狐帝白止の娘だと分かった」「?!ではなぜ私を弟子に?女弟子を取らないはずでは?…ふっ、折顔ですね?そうでしょう? もし拒めば折顔に絡まれますからね~」思えば自分を弟子にとった結果、師匠はもっと面倒なことになった。何せ上仙になる時、自分の代わりに天劫を受けることになったのだから。白浅はふとあの時、泣いてばかりで感謝もしていなかったことを思い出した。そこで改めて拝礼しようとしたが、墨淵が咄嗟に止める。「そなたは私のために7万年も心の血を抜いたと聞いたが誠か?」「師父には大恩があります、たとえ命を差し出しても構いません 私の心の血で師父の仙体を守れれば、私は本望です」「…もし私が東皇鐘(トウコウショウ)の生贄にならなかったら、そなたはまだ崑崙虚にいたか?」「もちろんです!17はずっと崑崙虚にいるつもりでした」「ずっと崑崙虚に?!」「実は離鏡とのことで感傷的になっていた頃、思ったんです いつまでも崑崙虚にいて師父のもとで修行したいなって…」「だが女子はいずれ嫁がねば…ご両親もそう考えるはずだ」「当時はまだ夜華がいなくて…誰かと添い遂げたいとも思いませんでした」「そうだな、夜華はいなかった… 17よ、私が7万年もの間、己の元神を修復させていたのはなぜだと思う?」「17には分かります、弟子たちを失望させないためですね? 師父が若水で″私を待て″と言ったので、必ず戻ると信じていました、全て私たちのためですね?」「″弟子たちを失望させない″か…その通り、確かに私の弟子のためだ」しかし白浅にはやはりその意味が伝わっていないようだった。すると墨淵は思わず司音を抱きしめてしまう。白浅は師父の背中に手を回し、かつて翼(ヨク)界に救出に来てくれた時もこうして抱きしめてくれたことを思い出した。「師父が戻られて本当に良かった~」「そうだ、師父は戻って来た」墨淵はそっと司音を離すと、そこに第16番弟子・子闌(シラン)がやって来た。司音に″賓客″だという。正殿では師兄たちに囲まれて楽しそうに笑っている阿離(アリ)の姿があった。阿離は白浅の姿に気づくと嬉しそうに駆け寄って来る。「にゃんちーん(娘亲)!」「どうしてここに?あ、私の師父・墨淵上神よ」阿離は父と瓜二つの戦神の姿に目を丸くしていたが、すぐひざまずいて拝礼した。「本当は父の代わりに阿離と東華帝君(トウカテイクン)が来るはずでした でも帝君が仙力を失ってしまったので、阿離が1人で来たのです」「そなたのふーちん(父亲)とは…」「天族太子・夜華です」そこで白浅は実は夜華が墨淵の弟で、父神(フシン)の息子だと教えた。阿離の父は生まれた時に身体が弱く、金蓮になって蓮池で眠り、それから太子・夜華として生まれたという。「ふーちんがにゃんちんのしふのでぃでぃ(弟弟)?では墨淵上神をどう呼べばいいの? 大伯?それとも太師父?にゃんちん、よく分かりません」「うーん…父上に聞いてみましょう?」「おう」墨淵は思いがけず甥と対面し、聡明な阿離に目を細めた。すると子闌が白浅には嫁入り前から子供がいると揶揄する。第2番弟子・長衫(チョウサン)は司音が最初に跡継ぎを作ったと驚き、いまだ独り身の大師兄・疊風(チョウホウ)に少しは遠慮しろと笑った。(  ̄꒳ ̄)<師父も独り身だぞ?@大師兄(´゚艸゚)<あ…人間界、その夜は激しい雪になった。素錦は照歌の部屋に駆けつけ、雪を見に行こうと誘ったが、照歌は相変わらず黙ったまま書を読んでいる。「秘密を教えてあげる、私たちの縁談が決まったの!」「そんな馬鹿な、今すぐ断りに行く」「駄目よ!私は夜華に嫁ぐの!」素錦は照歌の腕をつかんで引き止めたが、その時、照歌の手首から数珠が抜けてしまう。「誰からもらったの?!」「返せ!」「嫌!」2人が数珠の取り合いをしていると、照歌の従者が駆けつけた。すると照歌はようやく数珠を取り返し、憤慨して部屋を出て行ってしまう。「夜華!戻ってらっしゃい!」「…小姐?″夜華″とは誰のことですか?なぜ少爺にあんな口を利いたので? しかも少爺の命も同然の数珠に触れるとは…」「誰からもらったの?!答えなさい!」「私も存じません、ただ青丘に関係があるとか…」照歌は青丘について長いこと必死に調べているという。「青丘ですって?」従者は青丘を知っているなら照歌に教えて欲しいと頼んだが、素錦はなぜか癇癪を起こして教えないと拒んだ。洗梧宮(センゴキュウ)に戻った素錦は素素(ソソ)の木彫り人形を作り始めた。せめて9割方は素素に似ていないと夜華を欺くことはできないだろう。辛奴(シンド)は根を詰めないよう諌めたが、素錦は早く作り終えないと間に合わないと焦った。一方、青丘に帰った白鳳九(ハクホウキュウ)は飲まず食わずで泣いてばかりだった。迷谷(メイコク)は心配し、誰に恋するかは自分次第、女帝になることと何の関係があるのかという。「だって女帝になったら青丘を離れられないっ!姑姑が退位するのは九重天に嫁ぐからだわ!」「違います、姑姑のお相手は将来、天君に即位する太子夜華ですよ? つまり姑姑が青丘を離れるのは、いずれ天后になるからです でも東華帝君はとうに退位しています、だからどこへ行こうと文句を言われません だから小殿下が青丘女君になっても何の問題もない、むしろ女君になった方がいいですよ? 青丘の女君は九重天の朝議に出る機会が多い」迷谷の話を聞いた鳳九はかえって帝君と会える機会が増えると知り、急に女帝になる覚悟を決めた。善は急げ、白鳳九は礼法の書物や青丘の史籍をかき集め、女帝になる準備を始めた。すると突然、狐狸洞に司命星君(シメイセイクン)が現れる。司命は鳳九が女帝を継ぐことになった祝いに、ある興味深い天族の史籍を見せたいと言った。それは通常の史籍ではなく、東華帝君が四海八荒を治めていた頃の記録だという。鳳九は早速、その史籍を読んだが、そこでついに″三生石″の真相を知った。「だから姑姑まで帝君を忘れろと言ったのね…」司命星君は東華帝君が決して冷酷なわけではなく、鳳九への情もあるとかばった。実は人間界での修練は人生の六苦を味わうためではなく、鳳九の願いを叶えるためだったという。天宮では天命に縛られて鳳九と結ばれないが、人間界なら修練の名目で天に逆らえた。「東華帝君はわずか数年でも小殿下に真心を捧げました、これが小殿下に伝えたかった真相です」「帝君が私のために修練を?」鳳九は東華帝君の思いを知って号泣、狐狸洞を飛び出して行った。墨淵が現れると同時に翼界が荒れ始めた。報告を聞いた東華帝君は皇太子がなぜ人間界に行く前、天枢(テンスウ)に若水(ジャクスイ)を見張るよう命じて行ったのか気づく。…もしや何か起こるのか?…その時、太晨宮(タイシンキュウ)の門のところで座り込んでいる白鳳九を見つけた。東華帝君は白鳳九にもう来ないよう釘を刺し、門を閉めることにした。焦った鳳九は咄嗟に九尾狐に戻り、隙間から中へ飛び込んでしまう。すると鳳九に飛びかかられた東華帝君があっさり倒れ、喀血した。「帝君?!…帝君!大丈夫ですか?」「そなたは3割もの仙力で私に飛びかかったな」「まさか人間界から戻ったあと、本当に仙力を失ったなんて…なぜ私に隠していたのです?!」「大したことではない」東華帝君は天宮にいれば危険もないと言ったが、鳳九は心配で泣き出してしまう。「60年と定めた修練を最後まで終えなかったゆえ仙力を失ったのだ この私さえ天に逆らえないのだ、だが2年ほどで回復する、説明は以上だ、帰るが良い」東華帝君はきびすを返したが、その時、鳳九が後ろからいきなり抱きついた。「私を拒むのは…三生石に私たちの名がないからですか?」「なぜそれを?!折顔か墨淵が言ったのか?あるいはそなたの父か? 他言しないと私に約束したのに…」「違います、司命が天族の史籍を届けてくれたのです、三生石の己の名を自ら削ったのですか? ゥッ…もう打つ手はないと?…グスン…信じません!」「そなたが信じなくとも、三生石に私の名は現れないのだ、私はそなたばかりか誰とも結ばれない」白鳳九はどうしても納得できなかった。そこで東華帝君の宝剣を仙力で引き寄せ、自分の九尾を一本、切り落としてしまう。「うっ!…青丘の狐の尾は執念を神器にできる、三生石に帝君の名を刻みます」すると鳳九は呆然と立ちすくむ東華帝君を残し、誅仙台(チュウセンダイ)へ向かった。白鳳九は階段を駆け上がったが、三生石の目前で転んだ。司命星君の話では当時、四海八荒で戦が絶えず、その主として天地を治めていた東華帝君は己の弱みをなくそうと三生石から自分の名前を削ってしまったという。婚姻の縁を定めるという三生石、そこに名がなければ今生、誰とも結ばれなかった。つまり東華帝君がどんなに長命でも、生涯、独り身と決まっている。そのため誰かを愛しても悪縁にしかならず、人間界での修練と同じように鳳九との愛は実らないのだ。それでも白鳳九は傷ついた身体で起き上がり、三生石までたどり着く。しかしやはりいくら探しても東華帝君の名前はなかった。そこで自分の名前を探してみたが、思いがけず自分には別の縁があると知る。…白鳳九…文昌(ブンショウ)帝君「不可能…そんなはずない…どうしてこうなの?…私が愛しているのは東華帝君よ」司命星君はこれ以上、執着して天に逆らっても何も良いことはないと忠告していた。東華帝君と白鳳九の人間界での縁は天上ではわずか数日のこと、それでも帝君は仙力を失うことになってしまう。「これは警告です、小殿下が執着し続ければ、どんな報いがあるか分かりません 小殿下、あきらめるのです」鳳九は司命の言葉を思い出し、泣き崩れた。その時、九尾で作った短剣を思い出し、自分の名前の隣に″東華帝君″と刻むことにする。しかし何度、彫っても彫っても、東華帝君の名前は風のように消えて行った。やがて鳳九は尾を失った衝撃の大きさから気を失ってしまう。その姿を東華帝君が見ていた。東華帝君は白鳳九を腕に抱き、太晨宮に向かった。そこで司命星君に鳳九を託し、直ちに青丘へ送るよう頼む。「自ら尾を断った… 掟では天族の史籍は持ち出し厳禁、戻った後、普化天尊(フカテンソン)のもとで罰を受けよ」「小仙、拝命しました」司命星君はすぐ白鳳九を連れて青丘へ向かった。そこで迷谷に鳳九を渡し、尾を断ったと伝える。「何だって?!心の臓をえぐるような痛みだぞ?!」「それほど深刻か?」憤慨した迷谷は司命星君を追い返し、急いで十里桃花へ向かった。折顔も白真も崑崙虚へ出かけたまま、十里桃花には誰もいなかった。そこで迷谷は白鳳九を抱えて崑崙虚へ向かい、ちょうど門に出てきた子闌に助けを求める。「小殿下は尾を断った後、ずっと高熱が…折顔上神が見当たらないのでここに来ました」知らせを受けた白浅たちは慌てて房間に駆けつけた。迷谷の話を聞いた白浅はさすがに動揺を隠せず、白真も白鳳九が命を粗末にしたことに愕然となる。折顔はともかく鳳九に丹薬を飲ませた。このまま痛みを止めてやらねば、激痛で死ぬ恐れもある。すると折顔がしばらく鳳九を1人で静かに休ませようと言った。白浅たちが中庭に降りると、ちょうど墨淵が東華帝君を連れてやって来た。すると怒り心頭の白浅は東華帝君に拝礼もせず、何の用かと突っかかる。「小五、無礼な口を利くな、この件は帝君の過ちではない」折顔は白浅をとがめたが、白浅は鳳九をここまで追い詰めた東華帝君を許せなかった。「帝君、あなたはもっと早く小九を拒むべきだった 私たち九尾狐族は一度、心に決めた相手を永遠に愛するわ 小九を深みにはめたくせに、あの子を拒むなんて…何のお遊びかしら?」「…すまない」「今さら謝っても、あの子の痛みは取れません!」白浅は思わず声を荒げると、墨淵が止めた。「17…帝君もつらいのだ」「はお、もうやめるわ」さすがに師匠に止められた白浅はそこで退くしかない。すると折顔が鳳九も目覚めた頃だと教え、様子を見に行こうと言った。意識が戻った白鳳九の前に東華帝君が立っていた。白浅は鳳九が幻覚と間違えていると気づき、2人のために黙って房間をあとにする。すると東華帝君は枕元に座り、そっと鳳九の頰に触れた。つづく( ー̀ωー́ )帝君も辛いのだ…(」゚ロ゚)」俺も~@師父
2020.09.10
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三生三世枕上书 Eternal Love of Dream第50話「終わらない戦い」翌朝、白鳳九(ハクホウキュウ)が目を覚ますと寝台で独りだった。しかしそこへ先に起きていた東華帝君(トウカテイクン)がやって来る。「あなたは誰?」鳳九はまた記憶を失ったふりをしたが、そのいたずらで墓穴を掘ることになった。「残念だぁ~青丘でそなたの家族に相談するつもりだった、そなたとの婚儀の祝宴をいかに行うか… だが花嫁の記憶がないなら全て無期の延期じゃな」東華帝君があっさり出て行こうとしたその時、鳳九は慌てて後ろから抱きついて引き留める。「おっ思い出してきた!あなたは帝君で、私は白鳳九です!…あなたの小白よ」すると東華帝君は鳳九の額を指で軽く小突いた。「痛っ…次はもっと上手くやるわ」「次だと?」「もうしない…ボソッ」「ふっ、もうじき谷を出るゆえ、温泉で身体を癒やせ、重霖(チョウリン)に婚姻の準備をさせておく」ピューッ!ε===┏( ・_・)┛<ラジャー!白鳳九が温泉に行ったところで東華帝君は中庭に出た。すると連宋(レンソウ)が比翼鳥(ヒヨクチョウ)族と夜梟(ヤキョウ)族の王族たちを連れて待っている。実は相里橘諾(ショウリキツダク)たちは民たちだけ避難させ、王族たちで梵音谷(ボンオンコク)を死守しようと決めていた。「我々には王族としての誇りがございます、今ここに留まらねば後代の者に顔向けできません」確かに梵音谷では天族は仙力が失われてしまうため、仲間がいるのは心強い。連宋もすでに脱出の手はずを整え、天族も準備万端だと報告した。「谷を守ることをお許しください」橘諾たち王族はひざまずいて嘆願すると、東華帝君は共に妙義淵(ミョウギエン)を守ろうと了承する。そこで邪気を浄化して緲落(ビョウラク)を抑えることができる連心鏡(レンシンキョウ)を女王に授けた。比翼鳥の王族は話し合いの末、郡主・潔緑(ケツリョク)だけ脱出させることにした。驚いた潔緑はちょうど学堂で片付けをしていた第2皇子・相里萌(ショウリホウ)を見つけ、自分も残りたいと掛け合う。しかし相里萌は、全員が残れば寄る辺がなくなってしまうとなだめた。「先導して民を率いる者が必要なんだ、天族に生殺与奪の権を握られてもいいのか?」相里萌は王子として梵音谷を守ることが使命だと話した。母の戒め通り、梵音谷の悲劇はこの地にとどめなくてはならない。「案ずるな、これは一時的な別れだ」相里萌は谷を守り抜いて再会の日を待つと安心させたが、覚悟は出来ていた。蘇陌葉(ソハクヨウ)はひとり解憂泉(カイユウセン)で簫を吹いていた。そこにふらりと東華帝君が現れ、気品ある情感豊かな音色だと称賛する。「こたびのそなたの尽力に礼を言う」「帝君に尽くすのは生涯の光栄です…その上、私の身勝手をお許しくださいました」しかし東華帝君は身勝手ではなく真実を求めただけだと理解を示した。長年、阿蘭若(アランジャク)の死が頭から離れなかった蘇陌葉、確かに沈曄と阿蘭若が相思相愛だったという結末には傷ついたという。「苦しみ悩んである考えに至りました、この真実は私の想像より救いがある 阿蘭若もそう思うはずです、阿蘭若が愛したのはふさわしい相手だったのですから…」「(´ -ω-)うむ、ついに悟ったのじゃな、立派じゃ」すると蘇陌葉は何やら不穏な動きがあることを知り、万一があれば西海も東華帝君に従うと誓った。白鳳九は中庭に出ると、久しぶりに現実世界の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。すると燕池悟(エンチゴ)から長い手紙が届く。相里萌が別れの宴を所望しているため、元気なら酔里仙(スイリセン)で酒を飲もうと書いてあった。…お前が夢の中にいた頃、比翼鳥族は我々の身分を疑っていた…だが仏頂面と連宋の手前あえて追求しなかった…萌少にも何度か聞かれたが、俺の身分だけ明かした、親友だからな…お前のことも魔族だと思っているようだ…萌少が恋しているのは伝説の白鳳九でお前ではない、真実を伝えたところで仏頂面にかなうまい…このまま隠し通すか、身分を明かすか、自分で決めてくれ一方、東華帝君と連宋は水月潭(スイゲツタン)にいた。連宋は四季が復活した梵音谷はさながら桃源郷のようだと感慨深い。東華帝君が本来、俗世に無縁の梵音谷を選んだのは妙義淵(ミョウギエン)を封印し、三毒の気を中和するためだった。しかし完全に浄化するには東華帝君の残された修為では足りない。回復するには再び長い眠りが必要だったが、その前に緲落を始末する必要があった。東華帝君は妙義淵を抑えれば緲落を封じることができるが、息の根を止めるなら妙策が必要だという。そこで連宋は独りで戦わずとも天下には有能な上神もいると訴え、太晨(タイシン)宮で静養したらどうかと進言した。すると東華帝君は嬉しそうに近々、慶事があると教える。「谷を出たら娶る約束なのじゃ」連宋は男女の情に疎い東華帝君に先を越されるのかと驚きを隠せなかったが、ふと大事なことを思い出した。「そう言えば、あの頻婆果(ビンバカ)は謝(シャ)冥主に託しました」その頃、酔里仙では燕池悟と相里萌が先に始めていた。相里萌は今度の一件で九歌(キュウカ)の想い人が東華帝君だと知り、愛する人と一緒にいられて羨ましいという。しかし白鳳九の本当の姿を知らず、幻想だけを膨らませる相里萌に燕池悟は困惑した。「きっと彼女は良家の箱入り娘で、純粋で善良な仙女だ〜♡ 小動物を愛し、酒や肉など口にせず、それから…」そこへちょうど白鳳九がやって来た。「それから生き物や虫が好きで、蝿さえとても殺せない…」その時、奇しくも鳳九が卓上に止まった蝿を一発で仕留める。相里萌は唖然となったが、燕池悟はもし白鳳九が九歌のようならどうするかと尋ねた。「あははは~ありえない!もしこんな人なら豆腐の角に頭をぶつけて死ぬ…」「…私が青丘の白鳳九よ?あの壺も私があげたのよ?あなたを助けた時は身分を隠してた ずっと黙っててごめんね?(^ꇴ^)うふふふ~」相里萌が恋い焦がれて来た白鳳九は理想とは全く異なる仙女だった。すると長年の夢が破れた衝撃で、相里萌は失意のあまり卒倒してしまう。その時、東華帝君と連宋がやって来た。侍女たちに起こされた相里萌は女など二度と信じないと声を荒げ、そのまま帰ってしまう。そこで燕池悟は東華帝君と鳳九を2人きりにするため、連宋を誘って相里萌を慰めに行くことにした。相里萌は山道の途中でひとり落ち込んでいた。連宋は相里萌が愛したのは空想上の女子に過ぎず、白鳳九ではないと諭す。しかし相里萌は傷ついたのではなく、冷静になってみると大失態だったと嘆いた。「私は朋友に恋していたんだ、目の前で愛を語りながら気づかなかった…情けないよ」すると燕池悟は告白すればいいと発破をかける。相里萌は恥の上塗りだと言ったが、燕池悟は相思相愛だけが愛ではないという。「報われなくても愛は愛だ、違うか?想いを伝えろ、一生、後悔するぞ?」相里萌はちょうど東華帝君と一緒に歩いている白鳳九を見つけた。そこで東華帝君に鳳九と話がしたいと断り、酒席での失態を詫びる。しかし鳳九は相里萌を大切な友だと伝え、これからも九歌だと安心させた。「それは良かった、だって…ずっと好きだった方に思いを告げられるから… 鳳九殿下、うぉ(我)…悔いはありません」「ふふ、本当に?愛は実った時こそ悔いがなくなるわ 心から愛する相手には必死で向き合うこと、小燕が手本よ、次は振り向いてもらえるようにね」「はお!」連宋と燕池悟は遠目から相里萌の様子を見ていた。「東華帝君と女を争う命知らずがいるとはな~もっと近くで見ればよかった~」「面白がってんのか?( ̄  ̄)サイテー…天族って悪者ばかりだな~」そこへ相里萌が戻って来た。相里萌は東華帝君の手前、白鳳九に何も言えず、ただ祝福を伝えたという。←そうなの?「私が恋したのは空想上の女子だと言っていただろう?違うんだ… 届かぬ想いは承知の上、諦め切れなかったのは私の愚かさというより、 鳳九殿下に会って初めて春や夏の暖かさを知ったからだ」すると相里萌は燕池悟たちと友情を結べて本当に嬉しいと言った。一方、東華帝君は白鳳九と2人で沈曄(シンヨウ)と阿蘭若の元神を封じた苗木を植えることにした。2人は影だったが元神があり、亡くなって全てが無に帰しても、世間の道理にならえば感情は残るという。「2人は影だったけど本物の愛があった…ここは埋葬地にふさわしいわ、遺恨もきっと消える」「一緒に帰ろう」「ふふ~太晨宮でお仕えした時、帝君は一瞥もくれなかった 一緒に帰ろうだなんて、まるで夢見たいだわ」「知らなかったのだ、知っていれば時を惜しんだはず…」妙義淵に比翼鳥族と夜梟族の王族が駆けつけた。緲落は地仙ごときが自分を始末するつもりかと呆れたが、驚いたことに緲落が邪気を浄化する連心鏡を放つ。「ドンファ…やはり機会を与えぬつもりか…」そこで緲落は邪気で玄(ゲン)魔君・聶初寅(ジョウショイン)に助けを求めた。…聶初寅、早く来るのだ!…しかし聶初寅は赤(セキ)魔君・喣暘(クヨウ)が命がけで結界を張っており、禁忌の地で血涙を奪うなら殺さねばならないと困惑する。「今の私には無理です」…どうあっても殺せ!東華に力を封じられた、ここを出るには絶対に血涙が必要だ!…↓( ー̀ωー́ ).oO(メンドクセーと思っていそうw聶初寅は禁忌の地でひとり血涙を封印している喣暘を背後から狙った。しかし運悪く燕池悟が現れる。「何をしている!」「結界を強化すると聞いて加勢に来たんだ」喣暘の話では違和感を覚えるが原因が分からないという。そこで燕池悟と聶初寅が手伝いを申し出ると、喣暘は聶初寅だけ制止した。「玄魔君は結界を強化するので集結するよう仲間に伝えて来い」梵音谷を出た白鳳九は真っ先に縁啓(エンケイ)台を訪ねた。謝孤栦(シャコシュウ)が葉青緹(ヨウセイテイ)に頻婆果を与えてまだ3日、復活にはまだ時間がかかるという。「埋葬の時、骨はなく、わずかな元神が残ったのみで、それすら眠りの間に失われつつあった 復活を急ぐと邪悪な気が取り除けず残るぞ?、そうなると頭は朦朧として知力が衰えてしまう 戻す方法はあるが、ただし神仙の修為を分けてもらう必要がある」すると鳳九は命がけで自分を助けてくれた葉青緹に自分の修為を使って欲しいと頼んだ。そうと決まれば仙籙宝籍(センロクホウセキ)の定めによれば葉青緹は神仙にふさわしく、あとは仙体を与える者と瑶池(ヨウチ)に行って身を清めれば神仙になれるという。「分かった、修行には私が付き添うわ」「まだ体形を整えたばかりだ、焦りは禁物だぞ?時機が来たら必ず伝えるよ」「はお」つづく(  ̄꒳ ̄)萌少の話がチンプンカンプンなんですが…ってこの恋バナ必要か?w
2021.01.20
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琉璃(琉璃美人煞) Love And Redemption第22話少陽派掌門・褚磊(チョライ)は璇璣(センヂー)が無謀なことをしないよう居所に閉じ込めた。そんな璇璣のため禹司鳳(ウシフォン)は密かに牢へ侵入、天虚堂(テンキョドウ)の配下から手がかりを得ようと試みる。司鳳が示した魔族の指輪に配下は安堵し、北壇主の烏童(ウドウ)なら総壇に戻ったと教えた。しかし男は入壇して日が浅く、総壇の場所まで分からないという。「人間界ではなくて、確か西…」その時、どこからともなく暗器が飛んで来た。司鳳は咄嗟に避けられたが、配下の男は首を刺されて死んでしまう。璇璣は緒玲瓏(チョレイロウ)の元神を取り戻そうと焦るあまり、定坤(テイコン)剣で父の結界を破った。しかし部屋を飛び出したところで昊辰(コウシン)に見つかってしまう。…定坤剣の力を封じたのにもう破られたか…「私には玲瓏が必要です!絶対に助ける!」「何も分かっていない、大きな罪を犯すことになるぞ」「師兄、人には情があります、私に何の罪があると?」その言葉を聞いた昊辰はかつて天界で捕らわれの身となった戦神の姿を思い出す。…私に何の罪がっ?!…昊辰は璇璣が情に支配されていると焦り、すぐ少陽山に戻って禁足しろと命じた。「魔煞(マサツ)星の心魂の件を妖魔に知られた、危機が迫っている、弟子として務めを果たせ!」「嫌よ!姐姐を助ける!秘境は師父や師兄が守ればいいわ!」「ふぁんすー!」昊辰は口答えした璇璣に激怒、呪縛で捕らえてしまう。そこへちょうど璇璣を訪ねて司鳳がやって来た。司鳳は璇璣から自由を奪った昊辰を非難し、解放するよう迫った。激情に駆られた昊辰は司鳳の腕次第だと挑発、そのまま2人の手合せが始まる。「傷を負った身で強がるな…」司鳳は昊辰の一撃を受けながらも必死にこらえた。すると主の危機を救うため、陸嫣然(リクエンゼン)こと小銀花(ショウギンカ)が人形(ヒトガタ)に戻って昊辰に毒を放ってしまう。「嫣然!やめろ!」昊辰は咄嗟に避けて無事だったが、そこへ楚影紅(ソエイコウ)がやって来た。意識が戻らなかった鐘敏言(ショウビンゲン)がようやく目を覚ましたという。昊辰は仕方なく璇璣を解放して司鳳と行かせたが、このまま陸嫣然を見逃すことはできなかった。鐘敏言は真っ先に玲瓏のもとへ駆けつけた。しかし玲瓏は烏童に元神を奪われ、魂だけでわずかに生きながらえているだけだと知る。敏言は玲瓏を守れなかった自分を責め、すぐにでも元神を取り戻しに行くと決めた。璇璣と司鳳も同行することにしたが、門の前で褚磊に阻止されれてしまう。すると昊辰が嫣然を連行して来た。昊辰は点睛(テンセイ)谷の弟子が毒を使ったことを訝しみ、容谷主に確認したいという。その時、敏言が剣を招喚し、嫣然に向けた。「違う!天虚堂の間者だ、この目で見た!烏童の命に従って修仙門派の弟子を殺したんだ!」「誤解よ!私は殺してない!」しかも知らせを受けた容谷主が現れ、本物の陸嫣然はすでに修行を終えて点睛谷に戻っていると証言した。司鳳は小銀花を招喚して隠し、実は自分の霊獣で天虚堂に潜入させたと説明した。実は小銀花は誤って天果を食べて人の姿になれただけで、人の血を吸って人形に化けている妖魔とは違うという。「誤解されないよう身分を偽らせていました 霊獣は主と共鳴するもの、人を殺せば分かります、誓って小銀花は人を殺めていません」すると小銀花に思いを寄せる若玉(ジャクギョク)も人を殺すことは絶対にないとかばった。そこで鐘敏言たちは小銀花を外へ出して尋問したいと言ったが、司鳳は拒否する。不穏な空気が流れる中庭、すると今度は牢で天虚堂の配下が死んだと報告が来た。天虚堂の配下は毒針により黒い水と化し、口封じに殺されていた。すると昊辰が偶然、司鳳の袖口が毒で汚れていると気づく。掌門たちは司鳳を捕らえるよう命じたが、咄嗟に璇璣が立ちはだかった。「司鳳、早く釈明して!」司鳳は確かに牢へ来たと認めた。烏童の居場所を聞き出すためだったが、背後からふいに毒針が飛んで来たという。恐らく避けた時、暗器に触れて袖が汚れたのだろう。司鳳は刺客を追いかけたが逃げられ、その後、昊辰とのいざこざがあり報告する暇がなかった。そこで無実を証明する機会が欲しいと嘆願したが、昊辰はさらに追い詰める。「霊獣で分壇の場所を突き止めていたのに、なぜ黙っていた?全て偽りなのだろう? 霊獣は天虚堂の妖魔に違いない、取り繕っても穴だらけだな」すると容谷主は霊獣をかばう司鳳こそ天虚堂の妖魔ではないかと怪しんだ。鐘敏言は潔白を証明するためにも司鳳に霊獣を出すよう説得したが、司鳳は呼べば殺されていまうと拒絶する。呆れた敏言は司鳳の腕をつかんで強引に引っ張り、驚いた璇璣が咄嗟に2人の腕を引き離した。その時、運悪く司鳳の袖から天虚堂の指輪が落ちてしまう。「…これは小銀花が盗んだものです」司鳳は釈明したが無駄だった。離沢(リタク)宮・副宮主は弟子の司鳳を反徒と断罪、掌門たちに尋問を任せた。璇璣は収監された司鳳を助けようと奔走するが、誰も取り合ってくれない。一方、若玉は司鳳をかばったことで副宮主から折檻されていた。「私はただ離沢宮のことを思って…」「ならば奴は妖魔と結託したことにしておけばいい!離沢宮とは無関係だ 目をかけてやったのに…罰を受けたいのか?妹を助けたいのだろう?」すると副宮主は何をすべきで何をすべきでないのか、ひざまずいて考えろと命じた。その頃、総壇に戻った烏童は玲瓏の身代わりを探していた。するとちょうど最後の修行で人形に変わる寸前の美人蕉(ビジンショウ)を見つける。そこで烏童は怯える美人蕉を天雷から守ってやった。無事に修行を終えた美人蕉は助けてくれた烏童に感謝し、恩返ししたいという。「私の望み通りの姿になれるか?」「お安いご用よ~ちょっと頭の中を見させてもらうわ」美人蕉は烏童の記憶をもとに玲瓏と瓜二つの人形になった。しかし姿は似ていても、あの勝気な性格までは真似ができない。烏童は引魂鈴(インコンリン)を招喚して美人蕉から元神を奪い取ると、花妖であることと自分のことだけ記憶に残した。そこへ玲瓏の元神を入れることにしたが、どうしても全て入れることができない。「頑固な女だ…まあ半分でもいい」こうして烏童は性格も玲瓏によく似た偽物を作ることに成功した。「お前の名は決めてある、玲瓏だ」一方、璇璣は浮玉島で妖魔を探し回っていた。鐘敏言は師匠から璇璣の見張りを任され、密かに見守っている。しかし璇璣が弟子たちの修練までのぞき始め、慌ててやめさせた。他門派が稽古を盗み見るのは禁忌だという。「目を覚ませ、妖魔は牢の中だ、あの妖蛇だよ、司鳳が妖蛇を渡せば済むことだ」司鳳を尋問することは不本意だが、唯一の手がかりは小銀花しかいない。璇璣は拷問が始まると聞いて愕然となり、牢へ急いだ。その頃、地下牢では東方島主が怒りに任せて司鳳に苦痛を与えていた。司鳳は理路整然としていたが、それがかえって東方島主を苛立たせている。すると司鳳から愛する妻に騙されたことで疑心暗鬼になっていると指摘され、図星だった東方島主は一撃を与えようと構えた。しかしそこへ褚磊と容谷主が現れる。「おや?尋問は3人で行うはず…もしや私怨を晴らそうとしているのでは?」東方島主は咄嗟に手を降ろし、誤解だとごまかした。褚磊は無実の場合を考え、拷問には難色を示した。しかし容谷主は口を割らせるためには痛めつけるしかないと言って閻羅釘(エンラテイ)を招喚する。「骨を砕かれるような苦痛を味わい続けることになるぞ?釘を刺す前にもう一度だけで機会をやる」「信じていただけないなら…何も言うことはありません」ちょうどその頃、璇璣と鐘敏言が牢へ駆けつけたが、門衛に追い返されていた。司鳳は両肩に閻羅釘を打ち込まれた。見兼ねた褚磊は霊獣を放つことが何よりの証明だと説得したが、司鳳は鼻であしらう。「証明?…五大門派は己の保身にしか興味がなく、天虚堂を侮っていた… ゆえに隙を狙われ、霊匙を奪われたに過ぎない… ようは誰かに濡れ衣を着せて責任逃れしたいだけだ…そんなことのために霊獣を犠牲にはしない!」つづく(  ̄꒳ ̄)武侠あるあるだけど、正派の方がだいたい…ゴニョゴニョw
2021.11.25
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甜了青梅配竹马 Sweet First Love第15話「告白」蘇牧雲(スームーユン)はカフェでレポートを書いている蘇念風(スーニエンフォン)を見つけた。しかし没頭している念風は目の前に牧雲が座っても気づかない。「根を詰めるな」牧雲はいきなりPCを閉じ、念風に時計をプレゼントした。「AI時計だ、何かあったら俺に通知が来る…選択肢は2つだ、受け取るか?家に帰るか?」「家には帰らない」すると牧雲はなかば強引に念風の手首に時計をつけてしまう。その時、ちょうど隣の席に念風の師姐(シジェ/先輩)がいた。2人の話に耳をそばだてていた師姐はどうやら念風が部屋を探していると知り、蘇牧雲とお近づきになるチャンスだと気づく。そこで師姐は席を立って念風に声をかけた。「小風、部屋を探しているの? 良かったルームシェアしない?これから部屋を見に来てよ、スームーユンも一緒に…」師姐のマンションはひどく散らかっていた。どうやらまだパピーの嘟嘟(ドゥードゥー)がいたずらして散らかしているらしい。しかも念風の部屋には窓がなかった。「だめだ」牧雲は日当たりが悪いと反対したが、師姐はその代わり家賃1000元でいいという。すると念風は窓がなければ落ちる心配もないと考え、何より家賃の安さが気に入って即決した。牧雲は念風の引っ越しを手伝って帰って行った。独りになった念風は荷物から高校時代につけていた悪魔日記を見つけ、久しぶりに開いてみる。手帳には牧雲の悪行が書き連ねてあったが、目に浮かぶのはなぜか優しい牧雲の姿ばかりだった。会社では相変わらずモニカ(莫妮卡)の念風への嫌がらせが続いていた。その日も仕事に追われてマンションへ戻ったのは深夜、すると運悪くエレベーターが点検のため停止している。念風は仕方なく非常階段を上り始めたものの、疲れ果てて途中でうずくまった。なぜともなく涙があふれ出す念風、そこへ突然、牧雲が現れる。「おぶってやるよ」牧雲は念風を背負って階段を上り、無事に部屋まで送り届けた。しかしこれ以上、念風を放っておけず、思わず告白してしまう。「…俺たち付き合おう、お前が好きだ」「アワアワ…もう帰って、聞かなかったことにするから!(バタン!」驚いた念風は逃げるように部屋に入ったが、いつの間にか牧雲を意識するようになっていた。一方、斉媛(チーユエン)は秦堯(チンヤオ)に釈明するため待ち伏せしていた。しかし何もかも知っていた秦堯は二度と会いたくないと突き放す。実は斉媛は裏アカウントがあり、昨夜も男を誘惑するような写真を投稿していた。斉媛は秦堯が自分のスマホを盗み見たと知って逆ギレしたが、秦堯は別れを告げて帰ってしまう。念風が嘟嘟の散歩に出るとまだ牧雲がいた。すると牧雲はなぜ念風がいつも犬の散歩当番なのかと尋ねる。「なぜ知っているの?」「ぁ〜たまたまいつも通りかかるから…」「ここは通り道じゃないでしょう?」「…さっきの答えがまだだ」都合が悪くなった牧雲が話題を変えると、今度は念風が焦ってそろそろ帰るとごまかした。「急がなくていい、待ってる」「…晩安」U・x・U<わんあ〜ん♪念風は新薬のレポートを完成させ、モニカに預けた。ファイルを見たトーマス博士は絶賛、連絡を受けた欧陽予(オウヤンユー)も鼻が高い。モニカはこのレポートに何日もかかりきりだったと手柄を横取りしたが、そこへ運悪く念風が現れた。これまで耐えて来た念風も我慢の限界、そこでモニカに質問する。「あなたがこのレポートを?…ならなぜシンポジウムの開催をティエンイー社に決めたのですか?」するとモニカは口ごもってしまう。そこで念風は長年、心筋症を研究して来たティエンイー社には心臓移植のデータが多いからだと教え、黙らせた。「董事長(CEO)、実は資料室で必要な資料を閲覧したいのですが…」「許可しよう」念風が出ていくとモニカは咄嗟に釈明しようとした。しかし欧陽予に遮られてしまう。「…次はないぞ」念風は楽堤胤(ローディーイン)に秦堯が失恋し、牧雲から告白されたと報告した。(´゚ω゚):;*.’:;ブハッ堤胤は急な展開に驚いて水を噴き出したが、牧雲こそ念風にとって特別な相手だと指摘する。Σ(・□・;)<へっ変なこと言わないで!じゃあもう帰るから念風は堤胤に心を見透かされそうになり、慌てて廊下へ出た。すると担当医と出くわし、まだ堤胤の治療法が見つからないと知る。「このまま見つからなければ恐らく…」念風はやりきれなくなり、独りで屋台に立ち寄った。そこへ偶然にも秦堯がやって来る。「失恋してやけ酒でも飲もうと思ってさ…初めて失恋で落ち込んでいる」念風はお酒よりやけ食いの方がストレス解消になると勧め、2人で串焼きを頬張った。帰り道、秦堯は付き合ってくれた念風に感謝した。「友だちでしょう?当然よ」「…小風、抱きしめてもいいか?」念風はまるで子供をなだめるように秦堯の背中をさすった。「じゃあ帰るわね、晩安」「晩安」しかしそんな2人の姿を丁小青(ディンシャオチン)に見られてしまう。念風はしみじみ秦堯への感情は恋への憧れでしかなかったと分かった。すると宝物のウサギのぬいぐるみがないことに気づく。実はぬいぐるみを拾ったのは秦堯だった。秦堯は大学で念風に返そうとカバンに入れていたが、バスケット部の練習で一緒になった牧雲に見られてしまう。「なぜお前がこれを?」「あ~念風が落としたんだ」「会ったのは偶然か?…チンヤオ、あいつは身代わりじゃない」牧雲はぬいぐるみを奪い返し、念風には自分から返すと言った。牧雲は念風が留守の間にマンションを訪ねた。師姐は大歓迎、そこで何とか引き止めようとしたが、牧雲は取り付く島もない。しかし急に牧雲が連絡先を交換したいと言って来た。「スーニエンフォンに何かあったらすぐ連絡を…」念風は柳子慧(リウズーフイ)と食事をして帰宅した。すると部屋の壁に窓枠から美しい景色が見える絵が飾ってある。机には付箋がついたウサギのぬいぐるみが置いてあった。…もう失くすなよ…師姐は牧雲が急に訪ねて来た理由を知った。「これを飾りに来たのね~クールに見えてすごく優しい人~彼ってフリー?」そこで師姐は牧雲のSNSを開いたが投稿がない。「もしやスームーユンって女嫌いなの?」師姐がぶつぶつ言いながら部屋へ戻ると念風はお礼のメッセージを送った。…ありがとう…しかしふと先輩の言葉が気になってSNSをのぞいてみる。…今夜もあいつの番をする…念風は驚いて窓から外を見てみると、牧雲がベンチに座っていた。つづく(* ゚ェ゚)ムーユンの大事な告白場面ではあるが…中国って椅子の背もたれが高くないと死んでしまうん?
2022.06.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第17話)第44話「降って沸いた功労者」行方不明の程少商(チォンシャオシャン)を探すため銅牛(ドウギュウ)県に入った凌不疑(リンブーイー)。そこで待っていたのは馬栄(マーロン)を説得して城内を解放させた河東楼(カトウロウ)氏二房の楼犇(ロウベン)だった。馬栄には投降を勧めたものの、彭坤(ポンクン)の配下に殺されてしまったという。「出征前、楼兄も同行させたいと申し出たが、楼太傅は婉曲に断った まさか楼兄が危険を冒し、銅牛県で手柄を立てるとはな」「去年、寿春(ジュシュン)へ行き馬栄と面識があったゆえ、数言ほど話せただけだ」「謙遜を…一城を守る将を数言で投降させることなどできない で、楼兄は顔忠(イエンジョン)が投降したと信じるのか?」すると楼犇は県丞・李逢(リーフォン)の証言だけでなく、県衙(ガ)の書房で顔忠の詫び状が見つかったと報告した。しかし少商の父・程始(チォンシー)の行方については何も知らないという。「それで李逢は?投降を拒んで投獄されたのであろう?」「あ、この数日、慌ただしくてな…すぐ釈放する」その時、衛兵が駆けつけた。「大変です!県衙の牢が火事です」↓まさに降って湧いた感w凌不疑は直ちに県衙の地下牢に駆けつけた。大事な証人だった李逢はすでに息絶えていたが、その時、誰かの咳き込む声がする。それは火事に巻き込まれ、炭で顔が真っ黒になった少商だった。凌不疑は無事に少商と再会、安堵した。少商もようやく身なりを整え、不疑に痛めた手首を手当してもらいながら、ここへ来るまでの苦労を切々と訴える。「でね、糞尿の桶に隠れて城内に入ったの、あの臭い、今、思い出しても頭が痛くなる…(´゚艸゚)ォェッ それで考えたの、李逢が鍵を握っていると…でも牢獄でしょう? だから焼餅(シャオビン)を2枚盗んで捕まるしかなくて…」すると不疑は急に少商が愛おしくなり笑ってしまう。「笑うところじゃないわ!」「はおらはおら~、私が来ただろう?…私は君の未来の夫だ、当然、程家の人間でもある 孤軍奮闘しなくていい、君の父は私の父でもあるのだから」「大事な時にそばにいてくれなかったじゃない(ボソッ)そうだ、牢獄では収穫もあったの」その時、部屋の外に楼犇がいた。楼犇は少商が何か嗅ぎつけたと気づいて立ち聞きしようとしたが、不疑に気づかれてしまう。「誰だ?!」「私です」仕方なく楼犇は部屋に入り、火事の死傷者名簿を渡して出て行った。少商は楼犇を疑っていた。実は収監された李逢がいずれ昇進して財を成すと自慢し、楼犇が銅牛県を奪還すれば贅沢できると話していたという。李逢は朝廷の兵が来れば馬栄が投降すると知っていたのだ。さらに火事で大騒ぎになった時、″裏切り″だの″口封じ″だの叫ぶ李逢の声が聞こえたという。「誰かと結託していたのね…阿父の失踪と何か関係があるのかしら?」少商と凌不疑は李逢の葬儀に出かけた。位牌の前で悲しみにくれる李夫人、2人は中庭から哀れな夫人の姿を見ていたが、その時、楼犇が夫人に何やら耳打ちしている様子を見かける。今や楼犇は銅牛県を救った英雄となった。少商はなぜ父が県令と精銅を運び出したのか疑問だったが、参列者の話ではあの日、程将軍と顔忠は寿春に隣接する銅牛県から精銅を守るため都に戻すという名目で運び出したという。その時、顔忠はなぜか家族も一緒に連れていた。「その経緯は誰から?」「李県丞です」するとしばらくして李夫人がふらふらと外へ出て行った。少商と凌不疑は李夫人の様子を訝しみ追跡した。李夫人は家財を売り回っているだけだったが、やがてある質屋で騒ぎを起こす。店主の査定に納得できず、外に飛び出して虐げられたと通行人に訴えたのだ。李夫人は激怒した店主に突き飛ばされて転倒したが、その時、少商は夫人が巾着を落とすのを見逃さなかった。少商は人混みから李夫人の落とした巾着を拾って凌不疑と戻った。中から出て来たのは役所の書類だったが、県の区画図を見るに顔忠が水路を掘って道を舗装する予定だったと分かる。果たして城内の整備を考えていた人間が急に投降などするだろうか。恐らく顔忠の投降が疑われないよう李逢が隠したのだろう。李夫人の回りくどい演技も、焼香を口実に現れた楼犇に脅されたせいだと察しがつく。すると少商は確かに李夫人の話は辻褄が合わないと気づいた。「李夫人は30里先の実家に戻るため質に入れると言ってた でも女の足でも2日、そんなに路銀が必要かしら? それに李逢に両親はいないのに″亭長の父親″って…誰? 30里…亭長…亭・・・ハッ!」少商の予想通り黒甲衛(コクコウエイ)は30里先の山道で亭(アズマヤ)を発見、付近で埋められた遺体を発見した。掘り出された遺体は身なりからして顔忠一家だと思われ、残りの遺体も服装から程将軍に同行した護衛だと分かる。少商は不疑が止めるのも聞かず、自ら腐敗した遺体を確認して父を探した。「少商、見つからないのは生きている証拠だ」「(ハッ!)そうね、そうよね、どこかで助けを待っているのかも…」すると少商は矢も盾もたまらず父を探しに走り出してしまう。凌不疑は慌てて少商を追いかけ捕まえた。「少商!冷静になれ!」「冷静になれるはずない!早く阿父を見つけなければ手遅れになってしまうわ!」少商は泣き喚いて父を探すと暴れたが、不疑が点穴して少商を眠らせてしまう。「君の心境は誰より私が分かっている…心配ない、私が受けた苦痛を君には味わせないよ」少商が目を覚ますと寝台だった。凌不疑の話ではまだ父は見つからず、やはり遺体の中にもいなかったという。「…阿父を探さなくては」少商は引き止める不疑に激怒したが、その時、控えていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が思わず口を滑らせた。「若主公は数時も若女君を背負って帰り、まだ水も飲まず…」梁邱起(リャンチゥチー)は咄嗟に弟を制したが、阿飛は何も知らずに若主公を困らせる少商に我慢できなかった。「曲陵侯の件を聞いた若主公は単身、寿春に潜入して刺されたんですよ? それでも若女君を案じてその足で銅牛県に来た この数日、不眠不休なのに少しはいたわってくれても…」「阿起、罰を受けさせろ」すると邱起は邱飛を連れて下がった。少商はようやく冷静になった。「今後は覚えていて、私のためでも命を投げ出さないと」「君のことばかり案じていた、命など考えている暇はなかった」凌不疑は少商の鎖帷子のおかげで救われていた。「時々、思うんだ、君が優しくしてくれるなら、身体にもっと穴が開いても良いと…」舅父の霍翀(フォチョン)が亡くなって母は錯乱、この世で自分を心配してくれる者は誰もいなくなった。不疑は霍家の最後の人間である自分だからこそ、今の少商の不安が痛いほど分かるという。すると少商は不疑の胸に顔を埋めた。「もう独りじゃない、私がいるわ…これからはあなたも孤軍奮闘しなくていい 私が永遠にそばにいてあなたを守る」「少商…私は…」「何?」不疑は何か言いかけたが、しばし少商の顔を見つめてから言い直した。「私は…君が必要だ」一方、文(ウェン)帝は何かと諫言してくる御史たちにうんざりしていた。その夜も左(ズオ)御史中丞が程始や程娘子を弾劾すべく謁見を願い出ていたが、皇帝は誰とも接見しようとしない。しかし左御史中丞が先に待っていた万松柏(ワンソンバイ)と言い争いとなり、腕をひね上げられ脱臼してしまう。「陛下!万松柏を訴えます!同僚に乱暴した無法者です!陛下!」皇帝は仕方なく謁見を認めると、一緒に待っていた袁慎(ユエンシェン)と楼太傅もやって来た。万将軍は転んだ左大人(ダーレン)を支えようと腕を引いただけだと釈明した。すると袁慎はもちろん、甥の功績のことで嫌味を言われた楼太傅までその通りだと認めてしまう。左御史中丞は悔しさと肩の痛みをこらえながら、未だ行方知れずの程始こそ精銅を盗んで顔忠一家を抹殺したと弾劾、一刻も早く曲陵侯一族を死罪に処し、程娘子も罰を受けさせるよう訴えた。そこで袁慎は戦の終結で慌ただしい中、御史台だけが暇を持て余していると指摘し、程娘子を帰京させる伝令は左大人自ら行ってはどうかと提案する。「なぜ私が内侍官の仕事を?!」「それはいい、確か子晟(ズーション)と程娘子とは旧情を交わした仲であろう?決まりだ!」左御史中丞は凌将軍から罰を受けたことを揶揄され、皇帝に何も言えなくなってしまう。「それから楼太傅の甥も一緒に戻ると良い、しかと論功行賞を行わないとな」楼太傅は偶然の産物だったと謙遜して辞退しようしたが、皇帝はすでに決めたことだと取り合わなかった。翌日、凌不疑と少商は楼犇に探りを入れることにした。実は顔忠にも密かに交流のある旧友がいたという。「世家の子弟だそうだ、ただ世家に迎合したと思われるのを恐れて交流を隠していたらしい 楼兄、ご存知か?」つづく( ;∀;)パパ~どこにいるの?!ルースー上手いわ~でも今回はウーレイのウルウルしたチワワのような瞳が全て持って行ったわw※亭長:役場町の長
2023.11.13
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第22話)第49話「捨てられし者の矜持」自ら凌益(リンイー)に手を下し、宿願の復讐を果たした凌不疑(リンブーイー)。しかし静まり返った城陽(ジョウヨウ)侯府に突然、程少商(チォンシャオシャン)が現れる。寝殿は骸で埋め尽くされ、おびただしい鮮血が窓紗を染めていた。「…なぜ来た?」「あなたは誰?凌不疑?それとも霍無傷(フォウーシャン)?」「私が誰であろうと君への真心は変わらない」「でもなぜ今日だったの?…なぜ私に教えてくれなかったの?」一族を殺された仇は必ず討たねばならなかった。しかし成婚してから敵を討てば程氏一族を巻き込んでしまう。凌不疑は自分の始末は自分でつけると言ったが、その時、外から左(ズオ)将軍の怒号が聞こえた。「凌不疑!勝手に虎符を使い兵を動員したな?!謀反を画策した罪は許されぬ! 今日、この門を出ようものなら容赦なく殺す!」退路を断った凌不疑はすでに自分の命で贖うと覚悟していた。「少商…ここでお別れだ、もう会うこともない」すると不疑は満身創痍の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)には生きて欲しいと伝え、独りで屋敷から出て行ってしまう。少商は引き止めることもできず呆然と立ちすくみ、ただ泣きじゃくっていた。門前では凌不疑と因縁のある左将軍がすでに兵を率いて待ち構えていた。そこには捕縛された程家の姿もある。不疑は深手を負いながらも警告を無視して門から出た。すると弩から放たれた弓が不疑の肩に命中する。不疑はそれでも無視して一歩ずつ左将軍へ近づくと、今度は膝に弓が刺さった。「来啊っ!」「殺ーっ!」その時、馬のいななきとともに少商が現れた。門前は騒然、さらに梁兄弟が駆けつけ馬に体当たり、左将軍を落馬させてしまう。少商は凌不疑を連れて逃亡、しかしやがて崖に追い詰められた。「少商…これは私一人で進んだ道、同行させるわけにいかない」「なら答えて、歯型の誓いは何だったの?!私たちは生死を共にすると約束した 程家もあなたを救うために来たわ…今は恨みを捨てて私のことを考えて!」「少商、君には15年前の国の悲劇だろう、だが私には長年、心に巣食ってきた深い恨みなのだ 毎夜、眠りに就く時はいつも亡魂の叫び声が耳に響く そして目の前には無惨に殺された一族と血の海が広がっている あまりに重すぎる…あまりに重すぎて捨てることができない…きっとこの先も… すまなかった、君には本当にすまないことをした 天下の大罪人となった今、私が死んでこそ君や家族を守れる…」「…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!」「許してくれとは言わない…程少商、私と君の縁は尽きたのだ」その時、じりじりと迫っていた左将軍が程娘子ともども殺せと命じた。「少商…しかと生きろ、すまない」すると不疑は少商の背中を押し、独りで崖に落ちてしまう。「リンブーイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」程家は屋敷での軟禁を命じられた。少商は衝撃のあまり意識を失って運び込まれたが、家族の懸命の介抱もむなしく目を覚まさない。すると三皇子が兵を連れて曲陵(キョクリョウ)侯府に乗り込み、程少商を渡せと迫った。家族は嫋嫋(ニャオニャオ)の部屋の前に立ちはだかり抵抗、蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の閨(ネヤ)に外部の男を立ち入らせることはできないと拒否する。しかし三皇子は会えるまで帰らないと食い下がった。「子晟(ズーション)が程娘子にどれだけ尽くしたと?今日は何が何でも子晟を助けてもらう!」「裏切ったのは向こうだ!」娘を傷つけた凌不疑に憤懣やるかたない程始(チォンシー)、その時、寝台の少商がようやく長い夢から目覚めていた。三皇子が家族と対峙していると、少商が青白い顔でふらふらとやって来た。すると三皇子は子晟の父殺し、兵の動員、虎符の使用で朝廷に激震が走り、重臣18名が連名で弾劾、死罪を上奏していると教える。しかし少商は三皇子が来なくても参内するつもりだった。家族は止めたが、少商は自分に与えられた大役を果たさねばならないという。少商は皇宮に到着、輿を降りて三皇子と長い宮道を歩いた。「三皇子と子晟はいつから良朋に?」実は少商は雁回(ガンカイ)塔で密談していたのが三皇子と子晟だったと気づいていた。三皇子の話では幼い頃、池に落とされた子晟を救ったのは皇太子ではなく自分だったという。「私も子晟も独りを好み群れを嫌った、あの時も独りでいる時に溺れている子晟に気づいたのだ」「つまり幼い頃から2人は手を組んでいたと?」すると三皇子は人払いした。「バカを言うな!皇后と母妃は対立したこともない!」雁回塔では舅父の小越(エツ)侯が子晟に補佐を勧めたが、子晟は断ったという。それにしても程娘子はなぜ自分たち2人がいたと気づいたのだろうか。少商は凌不疑が杏仁を食べて倒れた時に看病したと明かした。その時、不疑が首から下げている玉佩を見たという。よく見るとその玉佩は少商が雁回塔で失くしたものだった。「あの時、2人の声が聞こえた、だから2人だと思っていたけれど、実は3人だったのね 3人目が子晟だった…」少商はようやく分かった。凌不疑が今回、皇太子の虎符で兵を動かせば当然、皇太子の位も危うくなる。つまり不疑が宿願を果たしたことで、図らずも三皇子の念願が叶ったのだ。少商はさすが抜け目のない凌不疑だと嫌味を言いながら歩き始めた。「それで?子晟を助けられるのか?」三皇子は程娘子があまりに冷静で淡々としている様子に困惑してしまう。「取り乱したり、共に尽きる気概はないのか?!」すると少商は急に立ち止まり、鬱憤を爆発させた。「いくら女でも自分の夫が何者かも知らず、蚊帳の外に置いてもいいと?! 成婚の2日前に気づいた、でも彼が話してくれるのを待ったわ もう憤ることも恨むこともできないのに、さもなければ薄情で身勝手だと思われる… 私の身体を切り開いて彼に心を見せてあげたい、彼が真心を捧げたなら、私とて彼に心を捧げた 彼に救われた命だからこの命で報いる、彼が助からないのならこの命で相殺する 死など恐れていなかったのに… 死ぬとしても生きているのに飽きたから、決して誰かと生死を共にするわけじゃない 凌不疑はこの世で最も好きな人よ、でも私は…やっぱり私なんです」その頃、朝堂では崔祐(ツイヨウ)が凌不疑への恩情を求めていた。しかし不疑に恨みがある左御史中丞は凌不疑が亡くなった母のために父を殺したと断罪する。袁慎(ユエンシェン)は左大人が早々に経緯を知っていたことを訝しんだが、返って廷尉府は凌不疑を庇うのかと非難を浴びた。寵愛する子晟の思わぬ暴挙に頭を抱える文(ウェン)帝、すると三皇子が程娘子を連れて現れる。左大人はここぞとばかりに凌不疑の父親殺しは明白であり、酌量の余地などないと訴えた。「…凌不疑は父親を殺していません、大層な意気込みですが最初から間違っているわ」「程氏、未来の夫のために嘆願に来たのだろうが、凌不疑ならやりかねん」御史台で散々な目にあった左大人は程氏も収監して尋問するべきだと訴えたが、皇帝は少商の言葉が引っかかった。「今、何と言った?なぜ父親を殺していないと?」「陛下にお答えします…なぜなら凌益は子晟の父親ではないからです 子晟の実父は霍翀(フォチョン)将軍、子晟は霍翀将軍の忘形見である霍無傷です」(O_O)言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~子晟は確かに城陽侯に似ておらず、どこか霍将軍の面影があった。少商の話では杏子が好物のはずの子晟が霍君華(フォジュンホワ)の手作りの杏仁菓子を食べ、熱を出したことがあったという。「霍無傷は杏仁に触っただけでも赤く腫れるとか、それで私は疑念を持ったのです そして宴の夜、本人から告げられました、自分は霍侯の息子・無傷だと… 陛下、凌益は孤城の陥落を企て、霍将軍を惨殺した黒幕、子晟は父の敵を討っただけなのです」全てを聞いた皇帝は呆然、腰が抜けるように少商の前で座り込んだ。崔祐は何も知らなかった霍君華を思うとやるせなくなったが、少商は臨終の時を思い出せば分かるという。あの時、霍君華は子晟に自分たちの敵を忘れるなと遺言を残した。そして最期は確かに天を見つめながら我が子の名を呼んでいる。「阿狸(アリ)や…阿母も行きますよ…」霍君華は全て分かっていた。すると左御史中丞が新婦である程氏の言葉では証拠にならないという。少商はようやく凌不疑の苦悩を理解した。自分が誰の子かも証明できず、城陽侯が死ねば証人も消え、生かしておいても実子だと断定すれば反論しても無駄になる。「陛下、子晟は仕方なくあんな下策を…」しかし皇帝には凌不疑が阿狸か阿猙(アージョン)か証明する方法があった。「阿猙が子供の頃に見たことがある、身体に変わった形のあざがあった」「虎の頭では?!耳が3つある…子晟の腰の半寸下にありました 子晟の身体を拭こうとした時に偶然、見たのです!」「そうとも、3つの耳がついていた!ぁぁぁぁ〜早く捜索に遣わせ! あの青二才を崖から救うのだ!医官も連れて行け!食料もだ!」三皇子は直ちに崖へ向かうことにした。すると少商が追いかけて引き止める。「子晟の命を狙う者がいます あの日、左将軍は私たちを追い詰めて矢を放てと命じ、それで子晟は崖に…」「分かった…今日のことは感謝する 今後、子晟は愛するそなたのいいなりだな、ふっ」しかし少商の顔に笑顔はなかった。一方、崖から身を投げた凌不疑は蔓にからまり、かろうじて岩肌に留まっていた。どうやら不疑が手首に巻いていた少商の弦が蔓に引っかかり、運良く助かったのだろう。「少商…」つづく( ́ඉ .̫ ඉ ̀)ァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥ…私のガオハン、美しかったわ~ ←そっちw
2023.12.01
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安乐传 The Legend Of Anle第4話大理寺卿(ダイリジケイ)・裴沾(ハイテン)を懐柔し、あっさり令牌を手に入れた任安楽(レンアンルー)。韓燁(ハンイェ)はこれも黄浦(コウホ)が裴沾に煩わされないためだと分かったが、当の黄浦は安楽への協力を拒んでいた。事件解明の猶予はわずか3日、仕方なく韓燁は安楽を連れて黄浦の屋敷を訪ねることにする。すると黄浦は四品の官吏とは思えないほど質素な暮らしをしていた。黄浦は科挙5回目で運良く及第、齢40にしてようやく少卿に任じられた。出世に時間を要したのは黄浦が寒門の出だからだという。貧乏人が命懸けで欲しがる官職は金持ちが気ままに売り買いする肩書きに過ぎず、手にすれば私腹を肥やして人を虐げる者ばかりだった。「できるなら官職を捨て、学生諸氏を代表して世の不公平を糾弾したいところだ!」「はあ?@うさぎ風 黄大人が嫌なら私が調べるわ~書き付けは1枚だけ、″死人に口なし″だしね!」黄浦は安楽の言葉に憤慨、家から追い出してしまう。↓おじさん近い近い@アンルー安楽は忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)に見張られていると知っていた。そのためお気楽官吏を装って黄浦を怒らせたが、内心ではこの国にもまだ公正無私な役人がいたと安堵する。しかし安楽は予定通り取り調べで子弟たちに身代わりを2人ほど立てるよう提案、さらに黄浦の怒りを買った。韓燁は黄浦から報告を受け、安楽を中庭へ引っ張って来た。「とぼけたふりだと思っていたが本気だったのか?! 大理寺とは?…物事に軽重あり、これを″理″という 堯(ギョウ)帝が人を裁く″理官″を作り、景(ケイ)帝が″大理″と名付けたのだ!」大理寺が置かれたのは冤罪や誤審を防ぐためであり、安楽の行いは天の理に背くものだという。しかし安楽は揚げ足を取った。「権力者が関わる事件はこうして処理すると聞いたわ、貧乏人に罪を着せればいいのでしょう?」安楽は遠回しに不正が横行していると指摘、話をそらした。「忠義侯を怒らせて殿下に嫁げなかったらどうすればいいの?板挟みよ〜 愛する太子殿下のために都へ来たのよ?私にはもう動かせる配下もなければ頼れる人もいない」「…今後、襟を正すなら私が後ろ盾になろう」韓燁の思わぬ言葉に目を丸くする安楽。一方、皇帝は刑部尚書・洛銘西(ルォミンシー)にも会試不正事件を手伝うよう命じていた。↓後ろ盾?何それ?美味しいの?洛銘西は復讐のためと言いながら、安楽が韓燁に心を動かされそうで心配だった。しかし安楽は全て計画を円滑に進めるためだという。「洛銘西、私に韓家の後ろ盾など無用、韓燁でさえも… 韓燁がいなくても私一人で盤上を支配できる」(๑•̀ㅂ•́)و✧<海賊王になるっ!牢獄の子弟たちは最も身分が低い呉越(ゴエツ)と周福(シュウフク)を身代わりに決めた。黄浦はまだ調査を続けるよう訴えたが、安楽はさっさと調書を書いて他の子弟たちを釈放してしまう。「黄大人、慌てなくていいわ、好機は巡って来た」安楽はようやくこれが芝居だと明かし、協力を持ちかける。そうとは知らず、安楽から調書を受け取った裴沾は大喜び、忠義侯にとりなすと約束した。その夜、古雲年は李(リ)府に配下を潜入させた。すると任府に主任試験官だった李崇恩(リスウオン)が自害したと報告が届く。遺書には呉越と周福が親戚とあり、貧しく不遇な状況に同情して問題を漏らしたと書いてあった。古雲年はこれで片がついたと思っただろう。しかし周福と呉越の取り調べが始まると、周福が黄浦に説得され、あっさり真実を暴露した。「解答を漏らしたのは主任試験官で、古斉善(コセイゼン)が自慢げに答えを教えていました」あとは呉越が周福と同じ証言をすれば解決するはずだった。そこで安楽は周福が白状したと教えたが、呉越は無実を訴えたものの、首謀者の名を決して明かそうとしない。実は周福は洛銘西があらかじめ送り込んだ密偵だった。これでどちらにとっても鍵となるのは古斉善に何年も付き従って来た呉越の証言となってしまう。その夜、韓燁は中庭で碁を打っていた。やがて白と黒はまるで今の状況を表しているようにこう着状態となる。「独りの証言だけでは罪には問えぬ、呉越が吐かねば身動きが取れぬな」その時、思いがけず安楽と洛銘西が現れた。「吐かないなら自ら話させる方法を考えればいい…」「安楽姐、どんな手を使うの?」温朔(ウェンショウ)は興味津々、すると安楽は証人と証拠が揃えば罰することができると教え、碁盤に自分の赤い石を置いた。「あ!黒も白も息を吹き返した!」「私の碁盤に無用な石は存在しない」韓燁は夜更けになっても中庭で月を眺めていた。「ここ数日、梓元(ヅユアン)のことばかり考える」温朔も梓元が2歳で皇太子妃と定められ、皇太子にとって特別な人だと知っていた。7歳の時、都へ入った梓元、当時は洛銘西を付き添わせ、韓燁など歯牙にも掛けない様子だったという。面白くない韓燁は得意な囲碁で梓元を負かそうと思いついたが、驚いたことに梓元の腕前の方が上だった。『梓元、私を追い詰めたのは君が初めてだ…』すると温朔は相手が安楽だったら勝てるだろうかと笑った。「どちらも策士ですがやり方は違うはず …ただどちらも類まれなる才女で、偶然にも殿下と巡り会った」翎湘楼(レイショウロウ)に戻った洛銘西は安楽と韓燁の交わす視線に心が乱れていた。すると琳琅(リンロウ)が現れ、密書を渡す。「…魚が釣れそうだ」その夜、大理寺の地下牢に刺客が潜入、呉越が殺された。古雲年は息子が呉越を殺したと知り激怒した。事件が結審する前に2人も死人を出し、これでは嫌でも周りから疑惑の目を向けられてしまう。「数日、おとなしくしていろ!都を出るのだ!」一方、韓燁は大理寺で待ちぼうけを食わされた。すると安楽を迎えに行った侍従・吉利(キツリ)が慌てて戻ってくる。「殿下、任大人は翎湘楼で花魁の宴に出席しているとか…」安楽は翎湘楼で洛銘西と一緒に古斉善が来るのを今か今かと待っていた。「琳琅が文で呼び出した、奴は好色ゆえ必ず来るだろう」「そろそろ報いを受ける頃合いだわ…あ、ちょうど私の客が来た」韓燁の姿を見つけた安楽は急に欄干に座ったかと思うと、そのまま後ろに倒れて落ちた。「レンアンルー!」階下にいた韓燁は颯爽と駆けつけ、見事に安楽を抱き止めてくれる。しかしその様子を上から見ていた洛銘西は内心、穏やかでいられなかった。安楽は酔ったふりをしてふざけて見せた。しかし韓燁は安楽が酔ってなどいないと分かっている。「朝早くからここで誰を待っている?」「それはあなたよ~うふふ~」「任安楽、誰よりも君に期待している、ゆえに誰よりも君を信じている」韓燁のまっすぐな目を見た安楽はそれ以上、あしらうことができなかった。「安心して、お望みの結果が得られるから」その頃、大理寺では事件が起こっていた。裴沾が早々に上奏文を皇帝に出すと言い出し、黄浦が阻止ようとする。しかし拘束されて手も足も出ず、結局、目の前で裴沾は印を押してしまう。失望した黄浦は辞職を決意、その場で官服を脱いで帰った。すると我慢の限界だった下級の官吏たちも黄浦に倣って出て行ってしまう。翎湘楼で琳琅の舞が始まった。傲慢な古斉善がいないお陰でようやく舞を見ることが叶った子弟たち、まさか林聡(リンソウ)の死をきっかけに会試の不正が暴かれるとは意外だったと噂する。すると安楽は子弟たちに混ざり、自分が必ず3日で満足の行く結果を出すと豪語した。「この事件は太子殿下ですら手を焼いてる、でも私、安楽にかかれば3手で解決よ! 1手目で悪党を誘き出す、2手目は成り行きに任せる…で3手目は?悪党を叩く!」その時、すでに酔っ払った古斉善がやって来た。つづく( ๑≧ꇴ≦)琳琅!琳琅!
2024.02.11
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower最終話「夢がかなう時」娘の消息が分からず気を揉む季銘(キメイ)。桑葚(ソウシン)と苜蓿(ムーシュ)は憔悴した老爺の身体を心配していたが、そんなある日、ひょっこり季曼(キマン)が帰海号に現れた。季銘は季曼の無事な姿に安堵し、ずっと捜索を続けている寧鈺軒(ネイギョクケン)に急ぎ知らせるという。「寧鈺軒は皇上の聖旨が下って都に戻った、同平章事(ドウヘイショウジ)に任じられたそうだ 曼児、お前は疲れただろう?養生してから都へ戻ればいい」「いいの、彼には黙っていて」季曼は自分の身分が寧鈺軒の足枷になってしまうため身を引いたと明かした。憤怒した季銘は自分が一生、娘の面倒を見ると言ったが、季曼は自立するため他郷で商いを始めたいという。「まずは雲州へ行く、商機をつかんで民のための商いをするわ」こうして季曼は自分が戻ったことを誰にも知らせず、皓雪堂(コウセツドウ)を水亦清(スイイーチン)に託して旅立った。京城の寧府に海坊(カイホウ)へ戻った鬼白(キハク)から文が届いた。…今も夫人を探していますが見つかっていません…離れ離れになっても愛する人の無事を祈り続ける季曼と寧鈺軒。2人は偶然にも藍珠(ランジュー)と紅珠(ホンジュー)を繋げた腕輪をはめていた。それから1年、寧鈺軒は同平章事として多忙な日々を送っていた。依然として季曼の行方は分からなかったが、そんなある日、鬼白から急ぎの文が届く。…海坊が水害に見舞われました、食糧が不足していますが海が荒れて輸送できません、餓死者が出そうです、救済をお願いします…寧鈺軒は季曼と心血を注いだ海坊を危機から救うべく、翌日には都を発った。これまで近寄ることすらはばかられた季曼との思い出の地。懐かしい皓雪堂に足を踏み入れれば、今も笑顔で接客する季曼の姿が目に浮かぶ。すると鬼白と水亦清が寧鈺軒を暖かく迎えた。「状況を聞かせてくれ」皓雪堂に袁朗(エンロウ)が駆けつけた。今や旧友となった寧鈺軒と袁朗、鬼白の話では蛟龍(コウリュウ)幇が民のため奔走してくれているという。寧鈺軒は皇帝に水害の件を上奏し、救済金と食糧が数日で届くと安心させたが、水亦清は間に合わないと訴えた。「もう民は飢えているわ、到着するまでに手を打たないと死者が出る」「とにかく食糧を集められるだけ集めよう」すると水亦清がふと一月前にもらった文のことを思い出した。「そうだ、馬(マー)記の主・馬洪竹(マーホンジュー)が来てくれる すでに食糧を援助するため出発したと書いてあったわ、そろそろ到着する頃よ」馬記とは恒都(コウト)で主に穀物を商っている新興の屋号だった。城外では食料を狙って何軒も強奪が起きていた。寧鈺軒たちは馬記の隊列を警固するため直ちに出発、ちょうど山賊たちに襲われている馬記一行を救う。しかし山賊たちを捕らえても馬洪竹は馬車から姿を見せなかった。「馬老板?」寧鈺軒が訝しんで声をかけると、車から恐る恐る使用人が姿を現した。「大人(ダーレン)、馬老板は山賊の目を欺くため一計を案じました この隊列はおとりで、食糧は今頃、海坊に到着しているはずです」城内に戻った寧鈺軒は自腹でかき集めた食糧の配布を始めた。するとかつて皇商大会で季曼を助けてくれた婦人たちと再会を果たす。詳しい事情を知らない婦人たちは夫人の姿を探したが、その時、ちょうど馬記一行が食料を持って到着した。「老板って馬紅猪(ホンジュー)って言うの?」「ホンジューは″洪″の″竹″よ、猪なんて失礼ね~」婦人たちの話を聞いた寧鈺軒は″紅猪″と聞いて耳を疑った。まさかと思いながら馬記一行に目をやると、人混みの中に確かに愛しい人の姿がある。季曼と寧鈺軒は2人で桟橋に腰掛けた。「崖から落ちて助かってから、実は県衙に戻ったのよ?」「すまなかった」「私こそごめんなさい、1年も連絡しないで… 牢で陛下からあなたを同平章事に任ずると聞いて、それで姿を消すことにしたの 父にはこう言ったわ… 私はずっと人から守られて生きてきた、だからもう自分の力で道を切り開くべきだとね 今になって思えば私は正しかった、後悔はしていない」寧鈺軒は感極まってなかなか言葉が見つからず、自分の腕輪をまじまじと見つめた。季曼は寧鈺軒も藍珠と紅珠の腕輪をつけていたと知って感情が込み上げ、思わず涙があふれ出す。「″洪竹″って笑えるでしょう?ふふふ」「おかしいのになぜ泣くんだ?」「あなたこそ」皇帝に海坊から一報が届いた。寧鈺軒は救済用の銀子を支給して海坊の難局を解決、また馬記の屋号を名乗る商人が救済に貢献したという。「この1年、穀物の商いで評判を上げています 馬洪竹という老板の正体は陛下もご存知の方ですよ、例の季曼です」すると皇帝は寧鈺軒と馬洪竹に褒美を与えると決め、都に呼ぶよう命じた。寧鈺軒は皇帝に謁見、褒美は何が欲しいか聞かれたが辞退した。すると皇帝は人柄もよく、民に慈善を施している娘に徳恵(トッケイ)夫人の称号を与えたと話し、寧鈺軒との縁談を賜るという。寧鈺軒は海坊の危機を救った馬洪竹の正体が季曼だと明かして妻を娶るつもりはないと辞退したが、皇帝は縁談を拒むことはできないと迫った。「婚儀を執り行うまでは禁足を命ずる!」寧鈺軒と徳恵夫人の婚礼当日。寧鈺軒は支度もせず、書斎に引きこもっていた。そこへ海坊から婚儀に出席するため鬼白と水亦清が駆けつける。秦奕閑(シンエキカン)も身ごもった千怜雪(センレイセツ)を連れてやって来たが、寧鈺軒はどうしても嫌だと拒んだ。しかし突然、季曼が現れる。「寧鈺軒?私じゃ不満なの?!」季曼はかつて寧鈺軒が選んだ花嫁衣装をまとっていた。…寧鈺軒が皇帝に謁見した時、実は季曼は衝立ての奥で2人のやり取りを聞いていた『徳恵婦人がどんなに立派な女子だとしても、私にとっては季曼に及びません』季曼は寧鈺軒の変わらぬ深い愛情に感激、寧鈺軒が下がると皇帝に嘆願した『陛下とのお約束を今まで守ってきました、一瞬たりとも忘れてはいません 全てはこの日のため、晴れて妻となれる日のためです、どうかお許しください』すると皇帝は失笑し、2人の仲ならもう許していると言った『徳恵婦人とはそなたに与えた称号だ、よく耐えてくれた、2人の望みを叶えよう』…こうして紆余曲折を経て、寧鈺軒と季曼はついに愛する人と結ばれた。「もう二度と離れないわよね」「二度と離れぬ」完( ๑≧ꇴ≦)終わった~!そう言えば字幕で見たのに、なぜ袁朗父が死んだと思い込んでたんだろう、私…( ̄▽ ̄;)中盤から失速したのはオカルトいーにゃんのせいだと思ったけれど、終わってみる聶桑楡がなおざりにされているせいのような気がしてきたわまあとにかくめでたしめでたしってことでw
2024.05.22
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