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2007.08.25
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カテゴリ: 教育相談だより
かににはさまれた2.gif


 ニューヨークに住むジェイソン君は、今、高校3年生で、17歳。生まれつきの高機能自閉症。5歳になるまで話ができず、社交性に欠ける事があり、時々まわりを不快にさせてしまうことが。

 そんな、ジェイソン君が、世界で一番好きなものは、バスケットボール。しかし、身長が167.6センチで、選手としては身長が不十分。それで、高校時代はバスケット部のマネージャーをして来ました。彼は、いつも大好きなバスケットに触れられるなら、何でもするという意気込み。選手にタオルやお水を渡したり、練習中にボールを投げたり、励ましたりで、チームメイト達からも非常に好かれています。
 「バスケットに関しては、ジェイソンは、全く問題なく、自分の感情を表現できる」とコーチ。

 そして、奇跡が起こったのは、先日、ジェイソン君たち3年生にとって、最後のホームゲーム(自分達の学校内の体育館での試合)が行われた時の事。
 試合の残り時間4分。かなり相手チームよりもリードしていたので、コーチは、何とジェイソン君を指名!今までの彼の貢献ぶりに感謝を表し、高校生活最後に、試合中コートに入るのはどんな気分か体験させてあげたいというのが目的でした。
 それで、彼は初めて、選手としてコートに。最初にジェイソン君にボールが回って来て、シュート!しかし、2メートル近くも、ゴールから離れた所にボールが落下し、皆が落胆。コーチも「これは間違ったことをしてしまったかも」とその瞬間思ったとか。

 ところが、その1分後に、コーチやチームメイトの予想を全くくつがえす、信じられない奇跡が起こり始めたのです!
 ジェイソン君は、まず、何と3ポイント・シュートを決めました。場内は割れんばかりの拍手喝采!しかし、これで終わりではありませんでした。ジェイソン君に、火が付いて、次々にシュートを!結局、最終的には、6つの3ポイント・シュートを決め、残り4分で、何と合計で20ポイントを獲得したのです!!
 試合終了後、凄い勢いで、選手や仲間達全員が詰め掛け、皆がジェイソン君を肩に担ぎ、彼は、初めてヒーローとして観衆の脚光を浴びました。

 ジェイソン君のお母さんは、「彼は人生で初めて何かに成功でき、自分のことを誇りに思えたようです。自閉症というのは、心に“ベルリンの壁”があるような物。でも、今回、彼自身で、その壁を見事にぶち破ったのです」と。コーチも、「長い教師生活で、こんなに感動したことはない。ジェイソンの活躍ぶりを見て、涙が止まらなかった!」
 今、ジェイソン君は、学校中どこに行っても、英雄扱い。皆から、「おめでとう」と声をかけられるので、どの授業にも遅刻してしまう程だそうです。


 なんとも感動的な話です。しかし、よく考えてみると、単なる「いい話」以上のものが、自閉症理解と対応の手がかりがこの話から見えてきます。

 今まで試合に出たことのなかった自閉症のジェイソン君は、わずか4分間の出場で20得点を挙げるという並はずれた活躍を見せます。彼が3ポイントの、遠距離からのシュートを6本も決めているという事実に注目してみる必要があると思います。
 自閉症の彼には、敏捷なドリブル突破や、臨機応変の状況を読んだたカットインはおそらくできないでしょう。彼の活躍は遠距離からの正確なシュートでした。自閉症児は周りの状況を読んだり、臨機応変に対応することに非常に弱さがあります。しかし、反面、単純な決まりきったこと、ある特定領域の専門的知識や技能には、ものすごい能力を発揮することがしばしばあります。
 おそらくジェイソン君は遠距離シュートを練習、あるいは遊びで繰り返しやっていたのでしょう。それを繰り返すうちに、普通の子よりはるかに正確なシュートの感覚を身につけてしまったのではないでしょうか。その結果が、この日の奇跡的活躍につながったのではなかという風に考えられるのです。

 アスペルガー症候群など、自閉がかった子どもは、なかなか集団行動について行けないことが多いし、友だちの中では、「どこかずれたやつ」という目で見られがちです。学年が上がるにつれて自己肯定感は下がっていきます。
 そういう子に「活躍の場」「みんなに尊敬の目で見られる機会」を何か与えてやることはとても大切なことです。「臨機応変」「応用」ではなく、決まりきったひとつのことに専念させ、習熟させる機会を作ってやることで、「スペシャリスト」として、みんなから認められる経験をさせてやることができるかもしれません。





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Last updated  2007.08.25 23:53:56
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