B (0:09:40): たまたま見つけて、村上春樹のスプートニクと、アンダーグラウンド借りたよ。スプートニクは読み終えた
A (0:09:52): あれ、まあまあ良いよね
B (0:10:32): うん、すみれちゃんと主人公のつながり方がいいね
A (0:10:58): あんまり内容は良く覚えてないけど、後期村上春樹にしては秀逸
B (0:11:24): いつから後期
A (0:11:46): やっぱり『アンダーグラウンド』あたりは完全に後期
B (0:11:58): それはわかる B (0:12:06): でもあれは小説ってんではないでしょ?
A (0:12:22): だから、あの本を書きたくなってる辺りからってことね
B (0:12:56): ねじまきあたりかね、長編で言うと
A (0:13:05): うーん A (0:13:27): アレを初期、あるいは中期の最後と位置づけるか、 A (0:13:29): それとも、 A (0:13:38): 後期への橋渡しと位置づけるか A (0:13:40): だね
B (0:14:00): ふむ。 B (0:14:14): アンダーグラウンドは B (0:15:25): テロでなくなった人たちやその家族とか B (0:16:27): に対する想像力をもっと、なんというか高めるためにも B (0:16:44): わたしは読む意味があるんだけど B (0:16:59): それよりも自分があの事件をどう他人事と思っていたか B (0:17:06): を確認してしまった
A (0:17:10): うん A (0:17:19): 他人事か A (0:17:28):俺の用語では A (0:17:35): 事なかれの方かな
B (0:18:01): そうかも
A (0:18:14): われわれには A (0:18:18): 知らないことがいっぱいある A (0:18:31): 知らないこと自体はしょうがない A (0:18:47): でも、それを知ったときに驚く心を持ってないのが一番困る A (0:18:59): と思う
B (0:19:33): 何で困るの、なんとなくそうAが言う気持ちわかるんだけどもなんとなくだ
A (0:19:54): うん A (0:19:59): ちょっと紐解いてみよう A (0:20:05): 俺のためにね
B (0:20:06): はい
A (0:20:29): 他人事の方から話してもたぶん大丈夫だと思うので A (0:20:48): 俺の語法では、他人事は A (0:20:58): 適当に「関わる」 A (0:21:12): 意見を述べる A (0:21:37): そこでは、語られる事柄は完全に<対象化>されている
B (0:21:56): 外だね
A (0:21:59): うん A (0:22:10): 対象化の怖いのは A (0:22:18): というよりも、 A (0:22:40): なんで、語りたいんだろう?
B (0:23:03): うん
A (0:23:05): たぶん、ここに鍵があるような気がする A (0:23:13): 例えば、 A (0:23:22): 尖閣諸島の問題
B (0:24:09): われわれの問題、って思ってるんじゃないの?あれを日本領土と主張する人たちは
A (0:24:16): うん A (0:24:18): 問題は A (0:24:25): その「われわれ」なんだよね
B (0:24:43): 誰かってこと?
A (0:24:50): なんというか A (0:24:57): 「靖国」もそうなんだけど
B (0:25:22): ふむふむ
A (0:25:27): 高橋哲哉は、「靖国」に関して A (0:25:38): 遺族は本当は悲しいはずなのに、 A (0:25:58): 天子様に表彰して頂いたって喜ぶ A (0:26:06): そういう「感情の錬金術」があった A (0:26:10): と言ってる A (0:26:28): つまり、 A (0:26:47): 認めてくれる「第三者の審級」の想定のもとで A (0:27:00): 「自分」の感情が裏返ってしまってる A (0:27:34): ここでは、 A (0:27:45): 自分までもが<対象化>されている
B (0:28:02): ふむむむ
A (0:28:21): 納得のマークか?(笑)
B (0:28:50): まだ納得しきれないが話の続きを聞きながら考えるのマーク
A (0:28:52): じゃ、もうちょっと考えていることを言うと A (0:29:28): 権威主義的「甘え」がポイントじゃないかと睨んでる
B (0:30:06): むう
A (0:30:09): <対象化>というのは、「物語化」なんだ
B (0:30:16): ははん
A (0:30:41): 精神療法において A (0:30:52): 心的外傷を負った人に A (0:30:56): 対する A (0:31:02): 治療法は A (0:31:13): その過去の出来事を A (0:31:17): 抑圧するのではなく、 A (0:31:28): 対象化し、物語化すること A (0:31:43): 良い意味で(?)他人事化することなんだな
B (0:31:57): 靖国の遺族もそれで癒されてる
A (0:32:09): うーん A (0:32:21): ちょっと譲歩が必要だと思うけど、それに近い A (0:32:41): 問題を整理すると、 A (0:32:45): ここでの目的は A (0:33:00): <対象化>が他人事化に繋がっていることを確認することなんだ A (0:33:02): けど A (0:33:07): どうですか? A (0:34:06): じゃ、もうちょっと付け足す
B (0:34:09): うん、続けて
A (0:34:21): 自己をも包摂する物語を想定する A (0:34:36): そこには自ずと、他人も入ってる
B (0:34:50): うん
A (0:35:08): そうした大きなアイデンティティというのは、言わばフィクションだよね
B (0:35:22): 想定だからね
A (0:35:25): うん A (0:35:46): でも、それで自分が成立しているわけだから
B (0:36:35): 自分にとってはよって立つ大事なこと
A (0:36:39): うん A (0:36:47): ちょっと具体的に話そう A (0:36:55): 「靖国」ね
B (0:37:10): うん
A (0:37:19): 他の遺族がいる A (0:37:26): 長男が死んだ A (0:37:50): しかし、その物語に拠って立つ人は A (0:37:59): それをみて、良かったねという A (0:38:12): 「天子様のお役に立てた」と A (0:38:40): そこには、徹底的に想像力が欠如している A (0:38:59): <個>としての想定が無視されている A (0:39:11): 日本人は喜ぶものだという物語に包摂されている A (0:39:25): ここまでどう?
B (0:39:35): だいじょうぶ
A (0:40:07): たぶん、そこには甘えがあり、他人事主義の原型がある
B (0:40:45): 甘えはわかるけど他人事主義の原型・・・?
A (0:40:51): うん A (0:41:00): 甘えはどのように理解した?
B (0:41:37): あなたも私と同じ考え方に違いないって思い込み
A (0:41:44): うん A (0:41:50): たぶんそういうことだと思う A (0:41:59): それは物語化されてて A (0:42:15): そこでの登場人物は、そう思わないと「いけない」
B (0:42:57): そうだね、そう思うことが「美徳」(「美毒」って間違えて書いてしまった)
A (0:43:16): 美徳かどうかはちょっと留保しよう A (0:43:33): なんでそう「すべき」なのかは、もうちょっと後でね A (0:43:46): で、先に本線を通しとくと
B (0:43:51): はぃ
A (0:44:08): 現代に生きる人間として A (0:44:19): 僕等は他者の気持ちはわからない
B (0:44:29): うん
A (0:44:37): これは賛成?
B (0:44:58): はい
A (0:45:00): OK A (0:45:04): でもね、 A (0:45:12): 「甘え」の原理は A (0:45:31): 人の気持ちがわかる、というか「こう思うはず」 A (0:45:41): あるいは、「こう感じないといけない」 A (0:45:46): に転じている