フライブルク日記

2009/09/11
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トルコ産の無花果
トルコ産の無花果 posted by (C)solar08


子どもの頃、実家の庭に二本の無花果の木がありました。
東京のど真ん中ですから、周りを近所の家や塀に囲まれ、日当たり良好とはお世辞にもいえない庭でした。

それでも、ヒョロヒョロと伸びることができたビワや杏は実を結構つけたのですが、無花果だけは毎年数個の実をつけるだけでした。
このわずかな実を「収穫」するのが許されたのは、木の所有者である祖父自身だけ。

祖父はすぐに一つ、二つは自分で食べてから、残りの二、三個を、いつものよう夏冬変わらないどてら姿で、私たち一家(つまりは父母と弟と私)のところにもってきて、
「どうだ、無花果だ」(そんなこと子どもだって知ってるー)と自慢してから、くれるのです。
そのたびに、父はとても不快そうな顔をしました。
そもそも、子どものときから祖父のことでは苦労させらっぱなしの父は、祖父とはできるだけお付き合いしたくないのです。
まあ父親と息子の軋轢ね、よくある。
ただ、わが家の場合には、祖父は祖母以上にエキセントリックというか変人というか自己中心的なので、私にも父の態度はよく理解できました。私だってできるだけお付き合いはしたくなかったのですから。

父は
「あの人のションベンのかかった無花果なんて。アー気持ち悪い」と舌打ちしました。
というのも、祖父は小用は庭でたすという習慣があったのです。
無花果の木にかけたかどうかはわかりませんが、庭の隅に落ち葉を積み上げ、たい肥(当時はコンポストなどという言葉は使われていませんでしたが)らしきものにして、そこに毎回、毎日、毎年、ひっかけたのです。
あるとき、このたい肥を祖父が椿の木の根元に積んだところ、その木は枯れました。祖父の毒気には耐えられなかったのでしょう。

そんなわけで、父は無花果を辞退し、母もあまり気のなさそうな顔をしたので、無花果は弟と私で分けて食べました。
祖父のおしっこが無花果に入り込むわけではないことぐらいは、わかりましたから。

無花果って、独特の香と歯ごたえがたまりませんねえ。

祖父は無花果がよほど好きらしくて、やはり私が小さいときですが、いっしょに出かけたときに、果物屋で無花果を買っていた光景を思い出します。

実は祖父はお金の数え方や払い方を知りませんでした(当時はクレジットカードなどはなかったですから)。
というか、現金に興味がなかったようです。ですから、買い物でもタクシーでも、支払いのときには、母がお金を入れておいた「巾着」をそのまま出して、「ここから取ってくれ」という意味の言葉をモゾモゾと言っていました。

ですから、そのときも無花果を指差して、何個か受け取ってから、金の巾着を店員にわたしていました。

今年も無花果の季節がきました。
テレビで有名シェフが見せる料理番組で、無花果のフリット、つまりは無花果の天ぷらが紹介されていました。もちろん、ドイツ人ですから天ぷらなどとは呼びませんでしたけど。フリットとも言わなかった。
無花果の中心にアイスクリームを詰めてから無花果を閉じ、衣につけて、さっと揚げるデザートです。

やってみたいけど、無花果は高いしなあーと思っていたら、Aldiというドイツの大手ディスカウンターで、500g(約10個)1ユーロ(135円ぐらい)で売っていました。
トルコ産だそうで、きっと農薬づけなんだろうなとは思いましたが、値段の魅力には勝てず、一キロ買いました。

切ってみると、一部は新鮮で甘く、一部はちょっと古そうでした。
それで、二個ぐらい食べた残りは、タルトにしてしまいました。
フリット?
昨晩、空芯菜の茎の天ぷらを食べたので、天ぷらへの意欲がもうなえてしまったのです。

無花果のタルト
無花果のタルト posted by (C)solar08

タルトのフィリングは、クリーム、卵、アーモンド粉、砂糖で、バターは入っていません。

オーブンを熱するついでに、昨日仕込んでおいたフィセル(細いフランスパン)。
加水80%で、レシピどおり、ヘラでざっとこねて冷蔵庫で一晩寝かせてから、成形。

加水80%で焼いたフィセルもどきの断面
加水80%で焼いたフィセルもどきの断面 posted by (C)solar08

全体の写真はお見せできません。天板に載せたとたんに、生地がデレッと伸びて、入れたクープが消えてのっぺりするという事態になったのです。
どうして私にだけ、こういうことが起こるの??・
でも、気泡は私としては最大です。

ジャムも通り抜けてしまうような気泡や歯が折れるほどのエッジのたったクープが実現するのはいつの日か。


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Last updated  2009/09/11 08:27:04 PM
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