むのたけじ(武野武治)は1915年生まれ、97歳になった。
朝日新聞の中国・東南アジア特派員となるが、敗戦の45年8月に、「負け戦を勝ち戦とだまして報道してきた責任を取る」と退社。
故郷の秋田県に戻り、週刊新聞『たいまつ』を創刊。
反戦の立場から言論活動を続けている。
大本営発表を垂れ流しにしているだけの記者は、ジャーナリストとは呼べない。
戦時中の苦い経験を、日本の記者は深く反省するべきだった。
その期を逸し、真実から目をそむけ、体制や風潮に迎合するそのままの体質が、昨年の福島原発事故の被害を拡大させる原因の一つにもなった。
組織防衛のために、政府・東電の発表を何の検証もなく、歪曲した情報報道を流し続けた。
それを恥ずかしいと思ったら、今からでも本当のことを言ってほしい。
詩集『たいまつ』は、週間新聞「たいまつ」の巻頭を飾っていた、むのたけじ語録である。
反骨のジャーナリストの芯はぶれない。
こんな風に老いていきたいものだ。
例のごとく〔 〕内は僕のコメントです。
『たいまつ』
一月一日に、おおみそかと元旦がかさなっている。
おわったところから、はじまっている。
死ぬるところは、つまりうまれるところである。
〔今年は去年のつづき。今日は昨日のつづき。明日は今日のつづき。
つづいているから、どんな"今"でも大切にしなければならない。〕
夜を充分にくぐりぬけなければ朝を迎えることができないように、種をまかなければ芽をみることができないように、青年期をしなびさせると豊かな壮年にはなれない。
壮年期を充実させないと、実りをもった老人にはなれない。
〔人生の到達点は、老人になること。
老後の楽しみとして、青年期や壮年期の思い出が必要になる。青年・壮年期は料理の下準備をしているようなもの。〕
考えるとは何か、を考えましたか。「考える」の原意は「問いただす」であり、その内容は「あれやこれや」と思い巡らす。「あらたなものを工夫する。考案する」であると説明しています。
私たちは目的なしに考えることはできません。考えて目的をつかむのではなく、目的があるから考えるのです。
進歩とは疑問符の積み重ねである。
〔「いい質問」が思い浮かべば、おのずから解決法は導き出される。
そのためには、正しい考え方を、正しい方向で身につけることだ。〕
決断は準備の充実から吹き出すものである。
充分な準備をしないでどうして優れた仕事ができようか。
〔締め切りがある仕事は、ある意味"楽"である。期日に合わせて、できることをすればいいのだから。期日が過ぎればちゃらになる。
ところが、一生かける仕事にはきりがない。人生のチャンスは突然やってくる。それを掴み取るためには、日頃のたゆまぬ努力が必要なのだ。〕
その時はムダだと思ったことが、実に大事なことであったとあとになって気づく場合が少なくない。現在と言う瞬間には、何がムダでどれが有用であるかは判断しかねるものである。それゆえ、生活のどんな部分であろうと、生活の一部であるからには粗末にできない。
〔人生はすべて神様が用意してくれたものだ。いろんな伏線がはられている。様々な困難や苦労にも、人生の謎解きの楽しみが隠されている。〕
真に恐いのは失敗することではなく、いい加減にやって成功することだ。
〔成功は失敗までの猶予期間でしかない。失敗して始めて何かを学べるのである。〕
飢えて死ぬより食いすぎて死ぬ人間のほうが多い。失敗してだめになるより、成功してだめになる人間の方が多い。
〔「太った豚より、やせたソクラテスになれ(J.S.ミル)」とは、長寿の格言でもある。
精神の肥満は、判断力の動脈硬化を引き起こす。〕
もし人間の真価を試したいなら、逆境ではなくあり余るほどの金銭、欲しがっている以上の地位、色欲のおもうがままの満足をその者にあたえてやればいいのです。
まさにその時こそ、万人が自分について掛け値なしの答案を差し出します。
ご覧なさい。逆境のため滅ぶ人間の何十倍、何百倍の人間が順境の中で滅んでいるではありませんか。
賢い人は上り始めるとブレーキをかける。
〔人間だけが"欲"を体内に納めている。動物は必要以上のものは求めない。欲を捨て去れば、欲求不満も消え去るのに。〕
知恵は表現する行為によって磨かれる。
見たこと、読んだこと、聞いたこと、考えたことを絶えず書き表し、言い残す努力を続けることによって、知恵はたくましくなる。
〔そう信じて、このブログをやっているのだが...〕
山にはいくつも登り口がある。どの口を選ぶかは問題ではない。問題は二つ。方角を誤らないこと、最後まで登ることである。そうすれば、みんなが頂上で握手する。
〔世界中の人が、平和で、健康で、幸せになればいいと思う。それをめざして、すべての物事を考察したい。〕
読書は、第四の食事である。望ましい作法は、他の食事と同じである。暴飲暴食は精神に下痢を起こすだけである。一度に多量ではなく毎日欠かさず適量を摂取すると一番ためになる。
〔若い頃は闇雲に読み飛ばしていたが、そろそろ身になる読み方に留意しなくてはならない。どんなに社会が変化しても、読書は人の成長にかかせないだろう。〕
卑屈の特徴は、自分がまじめに生きようとしないだけでなく、まじめに生きている他人をせせらわらうことだ。
〔ファイト! 闘う君の歌を 闘わないやつらが笑うだろ ファイト! 冷たい水の中を 震えながらのぼっていけ~♪ by中島みゆき『ファイト』〕
いつも不平たらたらの人は、新しいものをうみだせない。不平をこぼすことで不満を満たしてしまうからである。
〔不平は極力言わないに限る。問題点があるのだったら、解決法を探せばいい。〕
自画自賛-結構じゃないか。自賛できないような画はかくな。
〔人の行動原理は"自己満足"である。なにごとも主体性を持って行うことが、満足を得るためには必要だ。〕
職業を突き詰めると二つ。
人の持つ愚かさにつけ込むのと、人の持つ賢さに支えられるものと。
〔自分の姿は、他人の目によって明らかになる。できれば、自分が他人を見るときは、その人の良いところを描き出したい。〕
他人に頼りたがる人は自分を助けた人にろくに感謝しない。
感謝を知らないから、たやすく他人に頼れる。
〔他人頼み、運頼みは個人を成長させない。家畜がエサを待つような人生は何も得ない。人生は目標を持って、少しずつでも努力を重ねて進んでいくから、輝ける。振り返れば、なんと多くの人に支えられ救われていたのだろう。これを感謝せずにはいられない。〕
泣いてつく嘘は笑い話で終わる。
笑ってつく嘘は人を泣かせる。
〔我慢をすることも、嘘をつくことである。自分に鞭を打って、やせ我慢と言う嘘をつく。でもそれが僕の生きる美学。(これが過ぎると病気になるが)〕
イネは夜に育つ、誰にも見られていないときに。
自分ひとりのときにするかしないかで成長するかしないかが決まる。
〔余暇の楽しみが、自分を成長させることにつながれば一石二鳥ということになる。ゲームやギャンブルは"脳内麻薬"が快感を与え、止められなくなる。しかしこれはどんなに楽しくても、時間を浪費しているに過ぎない。〕
外電はしばしば報復を受けた理由としたテロや内戦を伝えるが、報復は高利貸しになりやすい。元金に利息を付けるだけでなく、利息にも利息を付ける。そのやり方とは反対に、彼らは一個の首と引き替えに47 個の命を支払った。それが泉岳寺の一角に香煙をたえさせないできた一因だろう。どっちにせよ、報復の悲劇はもちろん報復の美談ももうおさらばだ。
〔10年以上にわたったアフガン・イラクの"テロとの戦い"は、多くの命を奪い、社会を崩壊させた。武器商人の懐は肥えたが、世界を不幸にしただけだった。仕返しなどに意味はない。許すことによってのみ救いがある。〕
他人をほめるより悪口を言うとき、本人の悪い面がむき出しになる。
つまり、他人の悪口を言いながら、実は自分の悪口を自分で言っておるのだ。
〔夫婦喧嘩をしていて、「その台詞そっくり返してやる」と言われ、なるほどと思ったことがある。人は己の嫌な部分を他人に見つけると、無性に腹が立つのだ。〕
我が子を幸せに育てるのは至難だが、不幸せにするのはいとたやすい。欲しがるもの、ねだるものは何でも与えればよい。その子はこの世で長生きできないか、牢屋で長生きする。
〔魚を与えるのはほどこしで、魚の釣り方を教えるのが教育だ。人生は思い通りには進まない。そこを工夫して、少しでも近づけるのが生きる知恵だ。〕
何でも自分に都合よく解釈する。解釈通りの現実が来ないと、悪いのは自分自身ではなくて、自分の外側にある。これは一小島国の古い精神の特徴。
〔"ディスチミア症候群"という病気が話題だ。うまくいかないのは自分に責任はなく、環境や他人のせいだとする"適応障害"だ。"性格疾患"ともいえる。医者や薬では治らない。生き方を変え、自分で目覚めるしかない。〕
読書は満腹させるものではなく、飢渇の自覚を深めていく食事である。
〔知識は、知れば知るほど知らないことが増えていく。果てしない知の到達点を追い求めるのは、これも"依存症"なのか。〕
脱皮しない蛇は死ぬ。
脱皮しない人間は他人を死なせる。
〔人の体の細胞は、半年をかけてそっくり入れ替わる。新しい細胞に、遺伝子を伝達して古い細胞は死んでいく。いつまでも死なない細胞が、"ガン"だ。〕
たいまつは何にも依存しない。
自分で自分を燃やす。自分で燃えながらどこでも照らす。
照らしながら周りを温める。
だれでもたいまつをつくることができる。
〔暗闇に明かりを灯し、周りを暖める。そんな風になれたら本望だ。〕
こんな風に今年も始まり、"心と体の健康"と、"幸せな人生"を追求して、読書と映画と社会時評で精進したいと思います。
近藤誠著『「健康不安」に殺されるな』 2023年04月15日
ダニエル社長著『コロナと金』 2022年09月27日
ジェフリー・ケイン著『AI監獄ウイグル』 2022年02月05日
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