最近の食中毒事例をみると、厚労省の発表ではノロウイルスが、全食中毒事件の事件数で35.2%、患者数で60.9%を占め、断トツの1位になっています。
しかし、僕はこのノロウィルス騒動(?)にはかねてから違和感を持っています。
http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/201409090000/
僕の食中毒の知識の基本は、調理師学校で学んだものなので40年も前のことなのですが、この間に食中毒の定義が変わったというのならそうかもしれませんが、でもやっぱり少し知識があるものには違和感がぬぐえません。
そんな時、「食中毒安全講習会」で専門家の話を聞く機会を得ましたので、講師の先生に質問をしました。
先生は保健所の課長の方です。
(簡略化してます、実際はもっと丁寧に聞いています。)
Q:ノロウイルスに、毒性はあるのですか?
A:ノロウイルスに毒性はありません。(キッパリ)
Q:毒性がないのなら、下痢・おう吐は異物の侵入に対するただの免疫作用なのではないですか?
A:ノロウイルスは小腸で増殖する時、絨毛(小腸内壁の輪状ひだに存在する突起)を破壊します。
この時に下痢を起こします。
Q:ノロウィルスが原因の死亡者はどれくらいいるのですか?
A:ノロウイルスが直接死因にはならないのですが、おう吐物が詰まって窒息死するお年寄りがいます。
Q:ノロウイルスが急速に流行した理由なんですか?
A:(大きく手を振り)ノロウイルスは以前からありました。
その時は、感染症として扱われていたのですが、2007年から食中毒に分類されることになり、それから世間に取り上げられるようになったのです。
Q:静岡の給食パンの事例は、他に原因は考えられなかったのですか?僕にはどうも納得がいかないのですが。
A:あれだけ強硬な対処をしたのだから、よっぽど確信があるんだと思いますよ。でないと裁判で負けますから。
Q:あの事例では、DNAの違う種類のノロウィルスが患者から発見されたという報道もありましたが。
A:あの時期(1月)は蔓延している時期ですから。
Q:例えば、パンの袋にウィルスが付着して、それを触った指から口に入って感染した場合、それも食中毒になるのですか?
A:パンを食べてなければ食中毒になりません。
Q:ウイルスが、パンについていたか、パンの袋についていたかで、食中毒に認定されるかどうか対応が変わるのはおかしくはないですか。
パンによる感染か、パンの袋による感染かはわからないのだから、やはりインフルエンザのような感染症による胃腸炎として扱うべきではないですか。
A:そうなんですけど、保健所は食品の汚染について対策をするものでして。
講習の中では、静岡のパン工場がいかに清潔で、食中毒対応もちゃんと行っていたかも説明していました。
こんなに対策してたのに起こしてしまった、というアプローチでした。
「ノロウィルスが付着する機会が一番多いのは盛り付けの時なので、必ず使い捨ての手袋を使ってください」と言いながら、とりあげた事例はすべて手袋を使用していたそうです。
食品従業者は、下痢などの症状が出たら絶対に勤務しないで休ませろ、ということを強調していました。
(家族に症状が出ても出勤停止、潜伏期間を考えて1か月、などと現実的ではない提案をします。)
しかし静岡の事例も、原因とされた従業者は不顕性感染者(ウイルスや菌に感染していても症状が出ない人)でした。
不顕性感染者は、感染者の3~6割いると言われています。
疾患の症状を訴えた人の中でノロウイルスが確認されるのがいつも2~3割ですから、それより多いことになります。
例えば、ピロリ菌に感染している人は50%いて、その中で胃がん・胃潰瘍など病気を発症するする人は5%ですが、発症したひとの99%がピロリ菌に感染しているという数字があります。
この数字を見れば、ピロリ菌が原因という結論も出せますが、発症しているひとの20~30%しかノロウイルスは発見されず、それより多い不顕性感染者が常にいるという状態は信頼に足るのでしょうか。
本当に、原因物質がノロウイルスなのかどうやって判別しているのでしょうか。
感染経路はいつも不明で、疑わしいで終始します。
ノロウイルスは人間の腸でしか増殖しないので(汚染の元凶と言われる二枚貝の中でもほとんど増殖しない)、培養が出来ず、実験もできていません。
今言われていることは、ほとんどが推測です。
ラーメン屋さんで従業員がインフルエンザに罹っていて、くしゃみを抑えた手でどんぶりを触り、それで客に感染させたとしても何もありませんが、同じような経路でノロウイルスを感染させたとなれば、食品衛生法で行政処分や刑事処分に処されます。
本当は他の理由で下痢をおこしたとしても、調べてノロウイルスが発見されればノロウィルス中毒ということになってしまいます。
ノロウイルスはまだわからないことが多く、この先生も「疫学的なことは答えられない」と言っていました。
保健所はアリバイ作りのために、おおげさに予防策を宣伝しているのではないか。
指導していることは、他の食中毒対策にも共通するので反対はできませんが。
そもそも”中毒”というのは、”毒”に”中(あたる)”という意味で、毒を持たないノロウイルスを中毒の原因に数えるのには無理がある。
2問めの答えにあった、「絨毛を破壊する」ということは初めて知りました。
ところが、この絨毛は3日ぐらいで復活するというのです。
その時、ノロウイルスはまだ存在しているのに、とも言っていました。
毒もないのに何故だろう。
家に帰って考えていたら、ある仮説が浮かびました。
普通、ウイルスは生きたまま(ウイルスは厳密には生きていないので、活性化したままが正しい)腸にたどり着くことはありません。
胃液や膵液で不活性化されてしまうので。
ノロウイルスはなぜか不活性化されず(エンベロープと呼ばれる膜がないためと言われています)、小腸にたどり着き腸壁で増殖します。
そこで危険を察知した腸自身が、この異物から身を守るため、自分でセキュリティー強化のため改造するのではないか。
自分で古い絨毛を捨て、バージョンアップした絨毛で防御するのではないか。
それとも、単純にウイルスに侵入された細胞を、トカゲのしっぽ切りのように分解しているだけかもしれない。
小腸は新陳代謝が速いので、汚染された細胞が増殖することはありません。
”小腸がん”というものがないのもそのためです。
人間の免疫力は多様です。
神様からもらった体はすごいのです。
ノロウイルスによる”下痢””おう吐”は、”中毒症状”ではなく、人が体を防御する”免疫反応”です。
だから症状が出た時、クスリで免疫反応を止めてはいけません。
水分を補給して、安静にしているのが正しい処方箋です。
寝てれば治ります。
僕の他にもノロウイルス騒動に疑問を持つ人はいて、おなじみ武田邦彦教授も別の視点で疑問を呈しています。
エボラ出血熱や、お隣の国で広がっているMERS(中東呼吸器症候群)は死に至る病で、致死率が非常に高い危険な病気です。
そういうものは、真剣に防御する必要があるでしょう。
しかし、ノロウイルスはいわば”お腹に来る風邪”なのです。
治療のためのクスリもワクチンもないし、2~3日休めば治ります。
現在のところは、”冤罪”を被らないように保健所の指導に従うほかはないのですが、僕の感じるところ、10年後はノロウイルスにこんな大騒ぎをしてないと確信しています。
伊藤和磨著 『腰痛はアタマで治す』 2016年05月25日
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