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2021.12.02
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テーマ: 読書(8663)
サン・テグジュペリ作 「人間の土地」新潮文庫版です。




スラスラ読めなかったので少しずつ細切れに読んでいました。

たまにある、文章の流れに慣れるまで少しかかる現象。

分からん単語にちょいちょい出くわすので、
こういう場合はすぐ検索できる電子書籍がよかったかも。
今回はもちろん紙書籍でした、エェ。(泣)

文庫の表紙が宮崎駿氏、あとがきもなさっています。
この要素だけですでにテンションが上がります。

何かの作中の郵便飛行機の解説だったかの関係で本書を知って読んだので、
文学部でもないし、仏文学に造詣があるわけでもなし。
本の中で登場するような飛行機のことも初めて知りました。


わずかな知識を絞りだすと、
当時の飛行気乗りはかなり危険な仕事だったようです。
限りのある中での飛行で、
新航路の開拓もしていたりなんかで。
けっこう帰ってこない人が出るような。
サン・テグジュペリも最後の飛行で行方不明になっています。
その際は従軍での飛行だったようですが。

いまの感覚で見るとかなり『ァb、アッブネェぇなあ、おい』というような環境で飛んでるなと。

現代のわれわれとの間にこのくらい時間の隔たりがあると単純に現在の価値観・死生観で見ようとすると、いろいろすれ違いが起こりそうです。
例えばかなり近場で考えてみても、親・子・孫の間でさえ齟齬は生じるのでいわんや、です。

このあたり、当時の飛行士についての詳細は、本書の宮崎駿氏のあとがきに分かりやすく書かれています。
当時の飛行機、飛行士の状況がイメージしやすくなりました。
やはり現在と比べると当時の飛行士はかなり危険な職業です。
こちらを先に読んでおけばよかった。

昔そんな職業があったのだという読み物としてこのあとがきだけでも面白いと思いました。

「砂漠のまん中で」の章では遭難した時の話が描かれています。
試行錯誤をいろいろとしていくも徐々に方策が尽きていく過程は読んでいてまさに「手に汗にぎる」という臨場感がありました。
(この話が書かれているということは当然最終的には助かると分かってはいるものの。)

そんな仕事と出来事のアレこれの話なのですが、一つテーマとして「人間の本然」が語られています。
作中で、オレンジが立派に根を張り育つ「土地」こそがオレンジの”本然”、というようなことが書かれているので、人間の「土地」とはいわゆる土地ではなく、なにか別の言葉があてはまると分かりやすい気もしますが、力及ばず。

タイトルは仏語だと”Terre des hommes”でTerreの意味を調べてみると[地球、地面、陸、土地、土、土壌]などなどが出てきます。個人的には意味合いとして“土壌”がピンときました。

そこに至っては、当人さえも自覚していなかった性質があらわれるという。

先述した危険な職業だったからこそ彼が見る・感じることができた境地だったのか。

とかなんとか書いてみましたがちゃんと理解できているのか自信絶無。

おそらく何度も読み返す部類の本になりそうかと。

印象的なフレーズが多いので、それを探して読んでみてもいいと思います。
今回目に留まったのは次のような言葉です。

”(前略)…砂から草の芽の緑の火花を誘い出す水。”

「緑の火花」ってメチャステキヤーンじゃないすか?









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最終更新日  2021.12.02 20:05:51
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