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バンクーバーオリンピックが終わってもう1週間にもなるのに、私は未だにもんもんとしています。はっきり言って悔しい。浅田選手が試合後涙を流したのは、自分の演技にミスがあったから自分に対して悔しい気持ちだったのだろうと思いますが、私は彼女がこの4年間よい環境に恵まれなかったことが悔しい。五輪が終わってみてキムヨナ選手のサポート体制を知るにつけ、これこそが勝つために必要なことだったと思う。ジャンプおよび統括のブライアン・オーサー氏、振り付けのデヴィット・ウイルソン(彼はこの勝利で振付師としての地位をさらに確立したことでしょう)、スケート技術担当のトレーシー・ウイルソン、陸上トレーナー、メンタルトレーナー、その他の面々。勝つためには何が必要かを徹底的に分析して、対策を立てる。一人のコーチが何もかも面倒をみるというスタイルから、分業で成し遂げた勝利。キムヨナ選手からコーチを依頼されたオーサー氏は当時まだプロスケーターとして活躍しており、コーチ経験はなかったらしい。経験不足を補うため友人らに声をかけ複数で彼女をサポートする体制を整えたらしいのですが、これがうまくいった。複数のアドバイザーがいる場合、選手が混乱してしまう可能性も考えられますが、そのあたりはコーチ間の役割分担がしっかりしていたのか、キムヨナ本人の性格にぶれがなかったのかとにかく結果オーライです。その鉄壁の守り(攻め?)はオリンピックでも遺憾なく発揮され、選手村には入村せず、ホテルに滞在。練習も上位組とは違うメンバーでのびのびと練習(なぜそのような組み分けになったのかは不明?)鉄壁の守り(攻め?)も本人がそれをプレッシャーに感じてミスをしてしまう可能性もあったはず。最後の鍵を握るのは彼女本人。それを彼女は完璧にやり遂げた。彼女は自分の役割を完璧にやり遂げた。ここ4年ぐらいの間でキムヨナ選手がショート・フリーともノーミスで滑ったことは一度もないように記憶しています。フリーが苦手みたいで、ジャンプで転んだり、ジャンプそのものをひとつ飛ばしてしまったり・・・と何かしらのミスはありましたが、彼女は五輪本番ではノーミスで滑りました。その精神力たるや本当にすばらしいと思います。シーズン始めに点数が出すぎて逆にそれがプレッシャーになり、途中精細を欠いた時期もありましたが、彼女は今までできたことがなかったノーミスを五輪本番でやり遂げました。本当にすごいことです。フィギュアはお金のかかるスポーツらしく、子ども時代は彼女も苦労をしてきているようですし、熱心な母親との衝突もあり、ジュニア時代の彼女はスケートがあまり楽しくなかったような記事も目にします。しかし、カナダに言ってからの彼女はそれまでの苦労を取り返すように、よいチームで安心して競技に取組み、成果を上げ、とても幸福そうに見える。そして集大成の五輪で自分の任務を完璧にやり遂げ、最高の点数、最高のメダルをとった。シンデレラストーリーそのものです。一方、日本の浅田真央選手は、15歳のとき出場したにグランプリファイナルで楽しそうにスケートを滑り、見る人を幸せにする笑顔を振りまいて優勝した。彼女の子ども時代はとても幸せそうだ。彼女の苦しみが始まったのは、実はお姉さんを抜いたときからかなと思う。下の子の性格としてお姉ちゃんには負けたくないと一心不乱にやってたころはプレッシャーなんて感じなかったはず。でも、お姉ちゃんを抜いて、グランプリファイナルに優勝して、山田満知子先生から離れたころから、彼女の苦悩が少しずつ始まったのではないか。この4年、彼女の笑顔は年々少なくなっていった。ショパンのノクターン、チャルダッシュで滑ってたころは苦しみながらもジャンプが成功したときに大粒のうれし涙を流し、彼女のがんばりに勇気づけられた。けれども、2008と2009年で彼女の心からの笑顔を見たのは、2009年のNHK杯とオリンピックのショートの時ぐらいしか記憶がない。完璧にできたように見えたときでも、彼女はいつも難しそうな顔をしてキスアンドクライで座っていた。以前は、彼女が滑っているのを見ているだけでハッピーな気持ちだったのに、特にここ2年ほどは彼女を見ていると辛くなってしまう。タラソワコーチが「真央の長所は美しいところ」と言ってくれたのにもかかわらず、少なくとも競技用のプログラムではタラソワコーチは彼女の美しさを引き出してはくれなかったと思う。(ヴァイオリンと管弦楽のファンタジアはよかったですが)浅田選手はごてごてした飾りがなくても、小さい頭、長くてしなやかな手足など、素材そのものがすばらしく美しいので、その美しさをシンプルに引き出すようなプログラムが見たい。タラソワコーチの振り付けは忙しすぎて、ごてごてしているような印象を受ける。衣装ももっとシンプルなものが見たい。ショパンのノクターンの衣装や、ドビュッシーの月の光の衣装のように。プログラム・衣装の問題以外にも、何があったのかは知らないが、世界選手権に帯同しない前コーチ。ジャンプコーチがついていない状況。タラソワコーチは芸術面ではたくさんの引き出しを持っているのだと思いますが、浅田選手の場合、テレビで見ていると、特にキムヨナ選手と比べるとスケートが遅いように感じるのでスケーティングを見てくれる指導者も必要だったのでは。勝つためと考えた場合にあまりにもお粗末な体制、今シーズンの彼女の調子の悪さからすると銀メダルととれたこと自体奇跡的だったと思います。周囲は彼女のがんばりに甘えすぎているのでは。もし彼女がもっとわがままだったり、気分にムラがあったりする性格なら周囲は「真央ならできる」と彼女自身のがんばりを過信するのはなく、もうちょっときちんとサポート体制を考えたのではないかと思う。浅田選手を見ていると歯がゆいというかもんもんとしたものが溜まるばかりなのですが、救いはお姉さんお存在かな。浅田選手の成功に大粒の涙を流してくれるお姉さんの存在に癒されます。地方の一ファンの独り言ですが、彼女のこの4年間は苦難の連続だったと思いますが、これからの4年間は充実したものとなるように心から願っています。
March 6, 2010
昨日のキムヨナ選手のエキシビションはすばらしかったです。キムヨナ選手のあげひばりが好きな人はたまらないのではないかと・・・浅田選手のあとに出てきたキムヨナ選手の衣装は色はブルーグレイ、スカートは長め、スカート部分にグラデーションが入っていますが、色といいデザインといいちょっと地味すぎではないかと思えたのですが、滑ってみるとこのシンプルさが彼女の美しさを引き立てていました。袖は手首まで覆われており、首周りに少しデコレーションが成されているほかは全面は極めてシンプル。けれども、背中は大きく開いていて彼女の美しい背中に見とれます。まず、滑り出しから目を奪われました。とにかくスケーティングな滑らか。ただ滑っているだけで引き込まれます。イナバウアなどのポーズも美しい。表情を含めすべての動作が完璧に美しい。極めつけはフィニッシュのポーズ。大きく上げた左手はそのままに右手を静かに降ろすところにため息がでました。ごてごてしたものがない引き算の美学が見事に体現されていました。
March 1, 2010
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