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読書サイトを作ってもらいました。http://book-hon.info/ WORDPRESS.COM BLOG.の練習で以下作っています。https://mangaagencyyamadakikaku.wordpress.com 山田企画事務所の全体情報は、http://yamada-kikaku.info
2020.02.15
9VAe-iPhne/iPad版animation制作無料ソフト9VAe山田企画事務所はanimation制作無料ソフト9VAeの普及に協力しています。http://9vae.com/ja/ 9VAeきゅうべえアニメ研究所よりの提供資料です。ダウンロードサイト情報です。9VAe-iPhne/iPad版(9VAeDangla)ダウンロードhttps://apps.apple.com/jp/app/9vae-iphone/id1482450143 9VAeでグリーンバック動画を作成してiMovieに合成する方法https://dnjiro.hatenablog.com/entry/2020/01/20/064450 プレゼン用動画素材の作成https://dnjiro.hatenablog.com/entry/2020/02/03/144517 トレス動画は9VAeきゅうべえで作ると簡単https://dnjiro.hatenablog.com/entry/2020/02/05/152910
2020.02.15
YouTube.com■山田企画事務所の3000種類のYouTube動画チャンネル山田企画事務所の動画整理■YouTube.com■チャンネルアドレスを短縮しました。3000種類の YouTube動画が入っております。ご覧ください。山田企画事務所のYouTube動画のチャンネルです。ーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/Ydd16m漫画の描き方 などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/CqyT9Q大阪・近江八幡・伝統的町並み風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/5jomdsメカムシ教室(クラフトアート)京都・大阪風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/V3atM4近江八幡・兵庫県武田尾温泉・兵庫県伊丹市風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/8B7dCJ金沢城・松山城風景などのYouTube動画ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●https://goo.gl/zyNTfS滋賀県高島市。琵琶湖風景などのYouTube動画
2019.08.11
山田企画事務所のロゴです。
2018.11.09
光陽社さんの本年度アート年賀状発売!:2019年-亥年(いのししどし)https://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2019/index.html光陽社さんのアート年賀状はクリエイターさんには有名です。●山田企画事務所は、毎年作家さんの発見に協力しています。本年度の山田企画事務所の協力クリエイターさんで年賀状に採用された作家は、●鈴木純子先生 http://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko.html●岩崎ナギ先生 http://www.yamada-kikaku.com/artists/45-iwasaki-nagi.html●大石容子先生 http://www.yamada-kikaku.com/ooishi-youko.htmlの3人です。ごらんになってアート年賀状購入の程よろしくお願いいたします。お申込締切日 平成30年12月20日(木)午後4時ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2018.10.31
知り合いのフォボンピクチャーズ(西宮映像)の山本監督より。映画「MOVIES Mr.フキョー VS 映画たち」上映お知らせです。http://n-film.net http://n-film.net/movie.html6月16日(土)に●「OSシネマズ 神戸ハーバーランド」映画館「MOVIES Mr.フキョー VS 映画たち」が上映。●「OSシネマズ 神戸ハーバーランド」(※6月16日(土)●「スクリーン10」にて18時20分より上映)https://www.jollios.net/cgi-bin/pc/site/det.cgi?tsc=21120下記が上映の詳細。1月の宝塚上映から、再編集したバージョン。https://kobe-movie.doorkeeper.jp/events/75639●上映後にクリエイターの紹介コーナーがあり。事前チェックがありますが、映画製作をされている方は予告編を流して頂けます。若いクリエイターを応援し、クリエイターの交流の場にしたいということですので、映画製作者以外でもクリエイターさんであれば、短い時間ですがPRして頂きたいとのことです!●CG製作、パルクール、特殊メイク、イベント開催などクリエイターさんであれば大丈夫です。●今後、神戸国際映画祭を行うためのプレイベントです。●映画館の場所が神戸ポートタワーの近くにある●「umie(ウミエ)」●というショッピングモール内。「神戸ハーバーランドumie」http://umie.jp/
2018.06.10
CM話題の岐阜大仏です。CM話題の正法寺外観(岐阜大仏)です。
2017.12.18
コンテンツ東京 2017■第6回クリエイターEXPO■会場●東京ビッグサイト6月28日(水)~6月30日(金)コンテンツ東京 2017■第6回クリエイターEXPO個人クリエイターとして■山田博一は第6回クリエイターEXPO映像・アニメ・CG ゾーンブース番号 C1-64出展させていただきます●http://www.yamada-kikaku.com/ 去年の東京ビッグサイトの様子(本年は場所が違います。ご注意ください)https://youtu.be/M4Q_Mrmjejwhttps://youtu.be/AcisxFE8j-8■会場●東京ビッグサイト2017年6月28日(水)~6月30日(金)<3日間>10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)■クリエイターEXPO展示会URL: http://www.creator-expo.jp/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■出展対象■・作家・ライター・漫画家・絵本作家・イラストレーター・グラフィックデザイナー・ブックデザイナー・写真家・書道家・映像・アニメーション・CG クリエイター・ゲーム クリエイター・作編曲家・サウンド クリエイター など、個人のクリエイター 700人ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■来場対象■去年実績 4万人・出版社・新聞社・通信社・編集制作プロダクション・広告会社・印刷会社・テレビ局・映画会社・映像制作プロダクション・アニメ関連会社・ゲーム・アミューズメント会社・音楽・レコード会社・ライセンス エージェント・一般企業の 広報宣伝 販促部門 商品企画 開発部門 などーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー文章、マンガ、イラスト、写真、映像、アニメ、ゲーム、音楽などを創作する個人が出展し、自分自身を売込むという世界的にもユニークな商談展。 会場にはメディアや一般企業の宣伝・商品企画担当者などが来場、制作依頼や企画の相談などの商談が行われ。 実際に、出展した作品がゲームや絵本、商品パッケージ等に採用され、「ビッグチャンスをつかめる場」として注目を集めている。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●主催●リード エグジビション ジャパン株式会社 コンテンツ東京●構成展示会●コンテンツ東京 2017●第5回 コンテンツ配信・管理ソリューション展●第6回 クリエイターEXPO●第5回 映像・CG制作展●第7回 キャラクター&ブランド ライセンス展<通称:ライセンシング ジャパン>●第3回 コンテンツ マーケティング EXPO●第3回 先端コンテンツ テクノロジー展●第1回 グラフィックデザイン EXPOーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2017.06.23
光陽社さんのアート年賀状 2017年酉年(とりどし)光陽社さんのアート年賀状2017年-酉年(とりどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。http://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2017/
2016.12.05
広告マンガと娯楽マンガの差 advertising manga and manga
2015.12.21
漫画家になる塾10万アクセスをありがとうございます。http://plaza.rakuten.co.jp/mangakanaru/ Animate with 9VAe, SUZUKI JUNKO's bird character 9VAe: How to make animation ? Animate with 9VAe, SUZUKI JUNKO's bird character 9VAe: How to make animation ?https://youtu.be/CFC_ZcZWtic9VAe: How to make animation ?(9va-win, 9va-mac, 9va-pi) http://9vae.comhttp://9vae.com/index.html ● http://suzuki-junko.com/
2015.12.14
光陽社さんのアート年賀状2016年-申年(さるどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。山田企画事務所は、ビジネス・マンガ制作事務所です。光陽社さんのアート年賀状2016年-申年(さるどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。http://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2016/作家の作品は、以下を御覧ください。mangakadata.net年賀状の協力作家の作品見本です。年賀状番号1671 1672 suzuki 鈴木純子http://suzuki-junko.com/ 鈴木純子鈴木純子mangakadata.net年賀状番号1656 1668 oishi 大石容子http://mangakadata.net/oishi/index.html# 大石容子大石容子mangakadata.net年賀状番号1639 1685 1686 kitagaki北垣 絵美 http://mangakadata.net/kitagaki/index.html# 北垣 絵美北垣 絵美mangakadata.net年賀状番号1666 1667 shougaki 正垣有紀http://mangakadata.net/shogaki/index.html# 正垣有紀正垣有紀mangakadata.net年賀状番号1654 1673 1674 morinaga 森永先生山田企画事務所は、ビジネス・マンガ制作事務所です。http://www.yamada-kikaku.com/ ▲『マンガ家になる塾』ナレッジサーブ『マンガ家になる塾』ナレッジサーブ ■ユーチューブ■youtube.com●how to draw manga● ●http://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 -------------------------------------------------------
2015.12.02
マンガ家になる塾http://www.knowledge.ne.jp/lec1379.html●マンガ業界がかなり厳しい業界であると認識して受講下さい。●マンガ原稿をすぐ拝見!●編集部へ持ち込みの原稿を添削指導!1か月分の会費です。ただしマンガ家先生のスケジュール調整があり。基本の課題は、かならづしも1回の授業からの課題でなくても構いません。山田企画事務所のHPにテキストは入れています。http://www.yamada-kikaku.com/lesson.html ●1回だけの受講、飛び飛びの受講も可能。参加者の紙原稿(漫画データ)への赤ペン添削●参加の方の個人に合わせ課題も。
2015.11.25
----------------------------------------------------!山田企画事務所ピンタレストーすべてyoutube動画にリンクしてます!漫画の描き方 も掲載してます。 日本の美景写真集http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧くださいyamadakikaku 山田企画・山田博一の写真帳を御覧ください・http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧くださいhttp://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧ください------------------------------------------------------------
2015.09.17
My youtube VIDEO List, http://www.pinterest.com/yamadakikaku/My youtube VIDEO List, entrance to How to draw manga etc、my pinterest http://www.pinterest.com/yamadakikaku/山田企画事務所のyoutube 動画LIST になっています。漫画の描き方や日本の美景の 動画の入り口の 写真集です。御覧ください。
2015.07.26
!山田企画事務所ピンタレストーすべてyoutube動画にリンクしてます!http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧くださいyamadakikaku 山田企画・山田博一の写真帳を御覧ください・http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧ください
2015.07.10
http://www.tv-osaka.co.jp/event/eventtool/名 称イベントツールウエストジャパン2015会 期2015年5月28日(木)~29日(金) 10:00~17:00会 場 大阪南港ATCホール(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATC O's南B2F)主 催テレビ大阪 アジア太平洋トレードセンター後援経済産業省 近畿経済産業局、大阪府、大阪市、大阪商工会議所、(公財)大阪観光局、公益財団法人関西・大阪21世紀協会、一般社団法人日本イベントプロデュース協会関西本部、 NPO法人ジャパンイベントネットワーク、日本イベント業務管理士協会、一般社団法人日本イベント産業振興協会 (順不同)ーーーーーーーー入 場 料 無料 (招待制・事前登録制)目標来場者数5,000人ーーーーーーーーテレビ大阪では今年も、アジア太平洋トレードセンターとの共同開催による「イベントツールウエストジャパン2015」を5月28日(木)~29日(金)に大阪南港のATCホールにて開催します。本展は、イベントや販促関連のツールやコンテンツを所有する企業が出展。企業の販促、関・自治体・行政機関・各種イベント主催団体など、販促やイベント関連のツールをお探しのユーザーをお招きし、出展者とのビジネスマッチングの場としてご好評頂いております。4回目の開催となる今年は、多数の関連企業が出展し、ご来場の皆さまに質の高いプレゼンテーションを展開します。開催時にはぜひ本展へお越しくださいますようお願い申し上げます。ーーーーーーーーお問い合わせイベントツールウエストジャパン運営事務局(テレビ大阪 事業局内) 担当 :酒井・仲野〒540-8519 大阪市中央区大手前1-2-18TEL : 06-6947-1912FAX : 06-6947-1941E-mail : eventtool@tv-osaka.jpーーーーーーーー山田企画事務所・山田博一は、後援団体の日本イベント業務管理士協会/広報委員として告知しています。http://www.jedis.org/member/memberlist/517-940808.html日本イベント業務管理士協会http://www.jedis.org/ーーーーーーーー
2015.04.28
「マンガの描き方」教科書■How to draw manga tutorial by japanese■I am sorry here is no Lesson 1 data.ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」>> 文責 ラッキー植松http://www.yamada-kikaku.com/lesson.htmlHow to draw manga tutorial by japanese Lesson 2: Draw a picture Lesson 2>How to draw manga tutorial by japanese Lesson3: Draw characters Lesson 3How to draw manga tutorial by japanese Lesson4 Draw pictures –Draw charactersLesson 4How to draw manga tutorial by japanese Lesson 5: Draw backgrounds Lesson 5How to draw manga tutorial by japanese Lesson 6: The way to handle pictures Lesson 6How to draw manga tutorial by japaneseLesson 7: Create a story Lesson 7How to draw manga tutorial by japanese Lesson8: Create a story2 Lesson 8How to draw manga tutorial by japanese Lesson9: The basics of Komawari Lesson 9How to draw manga tutorial by japanese Lesson 10: Elements necessary for Komawari Lesson 10How to draw manga tutorial by japanese Lesson 11: How to create a dramatic effect when doing Komawar Lesson 11How to draw manga tutorial by japanese Lesson 12: How to become mangaka Lesson 12
2015.01.27
Thank you! youtube"yamadakikaku2009"subscribers! over 6800persons!https://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009世界の漫画の好きな方々や漫画家が、6800人登録していただいています。登録者の方々のチャンネルを、山田企画事務所のブログで紹介していきます。皆さんには、漫画家や、漫画の好きな方々ですので、漫画の描き方、プレゼンテーションのやり方が参考になります。(順不同ですThank you youtube"yamadakikaku2009"subscribers.I will continue to introduce Your youtube channel in the weblog of Yamadakikaku.Everyone is, manga-ka, manga fan, how to draw manga, the way of presentation of manga drawing. Your youtube channels will be helpful for manga-fan.ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーhttps://www.youtube.com/user/kittycoolcrafter123https://www.youtube.com/channel/UC2cMT5JLJ4h3wPHk192Odvghttps://www.youtube.com/user/bfflpowerhttps://www.youtube.com/channel/UCH5ZTV37e6zhgs_6k9mSXnwhttps://www.youtube.com/channel/UCfdlQq3x4UTsHTls4jnpFVQhttps://www.youtube.com/channel/UCrVa0fckGW0N4mH7rFSMHnghttps://www.youtube.com/channel/UCa5uOOrmS_4eOiW_WP5-MIghttps://www.youtube.com/user/kelly113355
2015.01.15
大石容子の作品http://oishi-youko.com/山田企画事務所 の協力作家大石容子の作品をまとめてみました。大石容子アートギャラリーマンガイラスト依頼見本にご利用下さい。oishi-youko.com大石容子アートギャラリー
2014.11.22
youtube・HPにマンガの描き方「マンガ家になる塾」・youtubeマンガの描き方・HPにマンガの描き方教科書(山田企画事務所)マンガ家になる塾 はネット通信・マンガ添削教室です。マンガ家になる塾のテキストは、http://manga-training.com/ に掲載しています。添削している様子はhttp://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 のyou tubeのチャンネルがあります。御覧ください。●HP教育「マンガ家になる塾」 ●youtubeマンガの描き方 ●HPマンガの描き方教科書●
2014.08.04
山田企画事務所・山田のpinterest写真集ーyou tube動画にリンクしてます。●●pinterest●●pinterest●●http://pinterest.com/yamadakikaku/ ●
2014.08.03
涼し気なる琵琶湖の波音 you tube 映像です。●you tube event-art seminerイベント案内 ●you tube Scenery in japan01風景写真●you tube 風景写真Scenery in japan02 ●you tube 風景写真Scenery in japan03●you tube 風景写真Scenery in japan04 pinterest風景写真集 you tube 映像です。画像をクリックして御覧ください。涼し気なる琵琶湖の波音22涼し気なる琵琶湖の波音21涼し気なる琵琶湖の波音20涼し気なる琵琶湖の波音12涼し気なる琵琶湖の波音11涼し気なる琵琶湖の波音10涼し気なる琵琶湖の波音09涼し気なる琵琶湖の波音08涼し気なる琵琶湖の波音07涼し気なる琵琶湖の波音06涼し気なる琵琶湖の波音05涼し気なる琵琶湖の波音04涼し気なる琵琶湖の波音03涼し気なる琵琶湖の波音02涼し気なる琵琶湖の波音01
2014.07.27
http://suzuki-junko.com鈴木純子作品より
2014.05.01
■ガーディアンルポ03「洪水」第14回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■ガーディアンルポ03「洪水」第14回■■11 僕、カインが、目をさますと、知らない人達が、僕の顔をのぞき込んでいた。「大丈夫か地球人よ」「あなた方は」「君達を助けるために来た宇宙人、LS星人だ」 遅かった。もう少しても早ぐ来てくれたら、彼女アニーは助かっていたろう。たった一入の恋人、アニー、いやたった一人の肉親だろう、そして僕が、この星で生きていくためのパートナー。僕はぼんやりと考えながら、その宇宙船の内部をながめていた。 「ところで、君は犬洪水をもたらした放射線の熱射が、外部の要因だと聞いたら驚くかね」「外部からの要因?どういうことですか」「ROW星人の仕業なんだよ。この地球の大きな災害はね」災害だって、災害にしてはひどすぎるじゃないか。「ROW星人は自分達の住みやすい星を発見すると、自分達の具合のよいようにその星を改造するのだ」 くそっ。痛い。体じゅうがうめき声をあげていた。まるで地獄の炎に焼かれているようた。おまけに、こんな話を生き残った僕一人だけが聞かなければならないなんて。「君の体の傷は、残念だが非常に重い。君はその地球人の体でいる事は不可能だ。だが我々の提供する別の体に移しかえることができる。我々はROW星人を妨害しようとした。しかし彼らの力の方が、残念なから優れている。我々は君達人類に警告しようとした。しかし我々の乗物を見て、君達はUFOと呼び、怖れ、その存在を否定した。我々の存在を君達は信じようとしなかった」僕は苦しい息の下で尋ねた。「ROW星人はいつやってくるのですか」「わからない」僕は決意した。奴らに復讐してやる。僕の地球。僕の家族、恋人。そして友達を殺し、滅ぼした奴らに復讐してやる。何年でも、何世紀でも待ってやる。でもこの痛々しい体では。苦しい。待てよ。彼らは別の体をくれると言っていたな。「別の体をくれるといっていましたね」「そうだ」「僕カインを、箱舟にしてドさい。どんな体でも可能なのでしょう。あなた方の科学力をもってすれば」「箱舟か。カイン君は、この地球にまだ生きているかも知れない人々を助けるつもりかね。そしてROW星入を待ち続けるつもりか。彼らと戦うのか。何世紀先になるかわからないぞ」彼らLS星人は、相談しているよりたった。どうでもいい。早くしてくれ。お願いだ。[わかった。我々は君、カイン君に賭けることにする。何世紀か先、君がROW星入に出会った時、どうするかか。君にすばらしい体を与えよう。Row星人と戦うためにね」手術が始まった。闇の中で僕は考え始める。放射線は神の怒りの剣てなかったかと。最後の審判では なかったか。我々人類は今まであまりに傲慢ではなかったろうか。ROW星人のしわさてはなく、神の、我々が神と叶ぶものによってこの災害がもたらされたら、我々はそれが自らの罪と認め、進んで死についたかも知れない。自分で、自問自答している自分がいやになる。ちえっ、伺て弱気たんだ。お前カインは。僕は自分自身の気弱さにいらたち始める。これから何世紀も待ち続け互ければならないんだ。ひょっとしたらROW星人はこないかも知れない。だが、、それが何んだ。僕は必ず復讐してやる。もし箱船のゆえに、この地球を離れることができないなら、新しい人類を僕自身「箱舟」の体の中で進化させ、人類戦士として彼らを宇宙にはばたかせるのだ、ROW星人と戦うために。考える時間は充分にあるのだ。僕の体は、ばらばらに分解され、彼らの科学力をもって作りあげられたすばらしい箱船という体に、僕の神経系や脳組織が移植された。手術は終わり、僕は箱船として、この荒れはてた地球を、いや、いまや大海原の星を、漂い始めた。人間を探すのだ。そして僕の体の中で、彼らを人類戦士として進化させるのだ。いまに見ていろ、ROW星人め、いつの目か、僕カインの地球にやってきて手強い敵に出会うことになるのたぞ。■12 アーニーも助けられていたのだ。気がつくのに何世紀もかかった。彼女は同じ宇宙人によって「主」に変えられていたのだ。破壊をまぬがれていたビッグコンピュータシステムと連結した体となり、地球を支配しようとしていた。彼は彼なりにROW星人と戦うために準備をしていたのだ。何んと長い別離だったのだ。お互いに、すぐ側にいながら、変わり果てた姿で、お互いがわからなかったのだ。 僕たち二人、カインとアニーは、互いに協力し、ROW星人を待つことにする。ム=ウムについて言えば、彼はこの新しい地球の真世紀のアダムとなる。彼は自らの手でこの地球をエデンの園にかえなければならない。もちろん弟と私の手前けが必要だろう。 僕は海原を再び遊弋し始める。傷もいえた。ROW星人よ、やってこい。ここ地球には、強力な敵がいるのだ。地球の夜空は暗いが、希望の星々が輝いている。しかし、僕カインと恋人アニーの心には疑問が残る。---ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■13 『本星LSへの報告。 我々の地球に対する第四段階の作業は完了した。敵星「ROW」に対する防備は、地球に関する限り完璧といえるだろう。「フネーカイン」及び「主ーアニー」旧人類改良型監視機構による防備体制である。 これにより我々のROWに対する戦いは、非常に有利になると考えられる。彼らフネ及び主は、我々LS星人が、完全に人類の味方たと信じこんている。全宇宙をめぐる我々LS星人と、敵「ROW」との戦いの一部だとは、地球人類は知らない。 地球方面派遣軍LS星軍情報部 J・N・リーマン大尉以上、本部への連絡を終了。●なぜだ、なぜ。体を改造する時に、お互いの存在を言ってくれなかったか?●●そう、LS星人は、何者なのか? ROWは本当に存在するの?カイン●(ガーディアンルポ03「洪水」完)■ガーディアンルポ03「洪水」第8回(1979年作品-2011改稿)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook●http://manga-training.com●http://mekamushi.com/●http://manga-agency.com●http://suzuki-junko.com/
2013.11.14
鈴木純子 先生のアート作品を順次、整理中です。が御覧ください。http://suzuki-junko.com/works.htmlよろしくお願いいたします。
2013.08.05
■ガーディアンルポ03「洪水」第13回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■9潜水艦ソードフイッシュの後部魚雷発射管が開く。ム=ウムの眼をねらって魚雷が発射された。思わずムは両手で眼をかばう。小さな爆発がかこる。ムがひるん だ間にポラリス・ミサイルが発射された。ム=ウムは目の前の潜水艦から水面にむけて水柱が走った瞬間、水面に向けて一度はねあがったが、間にあわなかっ た。二本の火線はフネの方へ向ってのびていく。ム=ウムの体はダイブし、再び、抜き手で潜水艦を追いかけ始めた。ム=ウムには潜水艦の行き先がわかっていた。ム=ウムの一族の禁制地域だ。ム=ウムの目前の暗いよどんだ海水を間に訟いて、潜水艦が見えた。もう少しだった。僅差でム=ウムの右手の中に、そのテアドロップ型の艦体をにぎり込めそうだ。禁制地域の目の前たった。主はその中枢部から巨大な触手を江じり出した。触手はのびてム=ウムの足にまとわりつき、ム=ウムの動きを静止させた。触手は、ム=ウムの体しゅうに給与つき、体をもて遊び始めた。海底にム=ウムの体は激しく打ちつけられれる。ム=ウムの体のあちこちから血が流れ出していた。ふりまわされている時、偶然ム=ウムの手が、潜水艦に触れ、ム=ウムは無意識に艦体をしっかりとにぎりしめた。ム=ウムは、手にした潜水艦の船体を相棒の代わりにして、触手をふりほどこうと痙ぐりつける。触手の神経系がとぎれ始める。ずたずたに触手は分断され、分解したす。ソードフイッシュ号は中央部からひびがけいり、一挙に海水が船内になだれこみ、原子炉が爆発をかこした。核爆発は、周囲の触手を完全に消滅させた。主は再度の核爆発にショックを受けた。一方、フネは自分に向かって飛来してくるミサイルを、今度は自覚しでいた。前は、近くにいた空母「エンタープライズ」とその塔敵機に気をとられていたの だ。フネもその空母や飛行機をシュクセイキに見たことがあったのだ。バルカン砲や爆発はうろさかったが、その姿自体にはなつかしさすら覚えていたのた。 昔をよりよく思い出していたのだ。それゆえ16発のポラリス・ミサイルの飛来に気づいた時はすで遅かった。その時の放射能や熱予イエネルギーはフネの体をまだ蝕んでいたが、怒りが彼をささえていた。二発のポラリス・ミサイルに対してフネは無力感を持ち始めていた。今度、体にポラリスミサイルが命中した時には自分は終わりだと考えていた。待てよ。自分 はもう終わりたと思ったことが、大昔にあったような気がする。いつのことたったろう。ずっと昔だ。そう私の体が人間だった時……。■10 主は核爆発、自分が再構成した潜水艦ソードフイッシュの核爆発によって自分の体の一部である触手が破壊された時、ある種の記憶がはっきりと甦った。ムの体も爆発によって吹き飛ばされ、近くの海底に横だわっている。あのムの顔。今の潜水艦によって痙ぐりつけられる痛さ。確か、大洪水の時、伺かの物体が私の体に……。 主は、、完全に、、理解した。主も、シュクセイキには入間の体を持っていたのだ。 そして放射癩が地球を襲った陵にかこった大洪水、放射線により地球上の于べての水山、氷河が解け去り、陸地を水没ざせ、地球を文字通りの「水球」とさぜたあの時。彼女アニーと、彼のカインは、その大洪水の時、別れ別れになり、彼女アニーだった「主」は流木に頭を激しく打ちつけられ、意識を失ない、そして……。 ムは、まぎれもなくカインの顔をしている。彼女主は、認知した。フネは伺らかの理由で変貌したカインの姿であると。 フネは間近に迫ったポラリス・ミサイルが急に消滅するのを感じた。なせだろう。フネにはそのわけが、わからなかった。 やがて、彼女「主」から今までに痙い親密の念をこめて、テレパシーが送られてきた。それは『カインよね、カインよ、私よ。あなたの彼女アニーよ、、』■ガーディアンルポ03「洪水」第13回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.08.01
ガーディアンルポ03「洪水」第12回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■8ム=ウムの姿は、かつてシュクセイキにフネが入間の姿をしていた時の姿にうり二つだった。フネは爆発のショックでシュクセイキに自分が人間であったことを思い出していたのだ。フネの全記憶機構の働きにより、ゾュクセイキの自分の姿に、ム=ウムを再構成したのだ。 ム=ウムは、主によって創りあげられたが、今はフネの意志により、遠い昔のフネの姿をした入間だった。フネは暴力には暴力で迎えうつ決意をした。 主はフネが消滅していないことに気づぐのに時間がかかった。なぜならフネの近ぐにのばしてあった.その感応枝も吹きとんだからか。主白身も原子爆弾の破壊力のすざまじきにより神経中枢に支障をきたしていた。吹き飛んだ感応枝はその最後の瞬間に神経系の痙學のインパルスを彼にもたらした。 熱風が吹き去って、海面が平常に戻り始め、やがて主も息を吹きかえし、感支柱を復活させフネのあったであろう所へ再生させた。 フネは、しかし、まだ存在していた。驚愕が主を襲う。しばらくは呆然としていた。存在すべきで痙いものがまだあるのた。一時は放射能の影響による感応枝の異常では々いかとさえ思った。 だが、事実、フネはその傷ついた姿をまだ海面上に保っているのだ。 主はポラリス・ミザイルを再度フネに襲いかからせようとした。ポラリス・ミザイルの再生には時間がかかる。もてる能力を最大限に利用するが、何せ古代の代物だ。記憶が定かではない。 その内、別の異物が、主の感支柱に感じられ始めた。巨大々人間だ。その姿に主はわずかな動揺を感じた。何だ、あの姿は、、ム=ウムを再び自分の統禦下にかこうと思老波を送る。ためだ。主の意向には従かうとしない。ム=ウムの姿、特にその顔は、主の記憶回路にうったえる何物かがあった。かつて見た事がある。それもかなり昔に。ム=ウムは完全に古代の、シェクセイキの入間の姿をしている。とまどい、熟考している間に、ム=ウムは潜水艦のすぐそばまで泳ぎついていた。主はあわてて、ポラリス・ミサイルを発射しようとしていた。最初の二発は、ム=ウムの手刀でなき払われた。ぞサイルは水面に水しぶきをあげて飛び出した瞬間、ム=ウムは手刀で大きく横にはらい、ミサイルの中央部をまっぷたつに分断した。さらにム=ウムの体は急速に潜水艦に接近してくる。潜水艦は急深度潜行を開始する。ム=ウムも潜ってぐる。ム=ウムの体はもう水棲人間の形をとってはいない。人間の形をしている。しかし恐今へき潜水能力をもっていた。■ガーディアンルポ03「洪水」第12回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.31
ガーディアンルポ03「洪水」第11回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/シュクセイキ以前、人間達がそういった種類の船を建造していたことを。主の感覚枝は全地球を巡っている。つまり、海底世界に自分の神経網がはりまぐらせている。軍艦を探すのだ。はるか昔、人類たちに作られ、その人類たちが放射線のため死に絶えた後、何年かの間、自動操縦装置により無人で動き回り、やがて海に沈んていった何隻かの戦闘艦。それらは、何世紀かの間、海底の泥流の中に埋れているはずだった。彼は感支柱を使い、軍艦の残骸を数隻見つけた。過去の人類の遺産はまだ完全に朽ち果ててはいなかった。比較的状態のよい艦二隻に浮力を与え、海面上に持ち上げた。彼は記憶域から明確なイメージを固定した。サビや付着物を、感覚枝で払い落とす。不足部分を過去のイメージから複製した。残像がある。その軍艦は古代、人によって原子力空母エンタープライズと呼ばれていた。もう一隻は原子力潜水艦ソードフィッシュと名づけられていた。二隻の艦の体裁を完璧に整え、装備を完了し、彼はフネヘと向かわせた。艦には誰ひとり人間は存在しない。ただ、主の思念のみがその内部機構を作動きせていた。潜水艦のミサイル発射筒には、核弾頭が装備されたポラリス・ミサイルが複製されている。 空母甲板には戦闘機F15トムキャットが、70機以上塔載されていた。フネは恐らくこういった種類の物理的攻奮を受けた事が々いだろうと主は考えた。ム=ウムはフネの粘液の中でもがき苦しんでいた。ム=ウムは真人であるがゆえに黒い使徒達の様に圧殺されはしなかった。フネは主の影響をムから取り除こうとしていた。ムのその身勣きてきない苦しみは、フネの中枢記憶回路を刺激していた。フネはかつて自分も同じ様にもがき苦しんだ経験があるというかぼろげな記憶を有していた。フネは自分の過去の記憶バンクを探索し始めていた。類似経験? しかしその間にも、ム=ウムの苦痛は一層倍化していた。ム=ウムの体は次第に丸まっていき、手足を縮め、人間の胎児の形を取り始めた。 潜水艦ソードフィッシュは、フネに対する攻撃行動を開始していた。その原子炉から発するエネルギーは最大速力30ノットで総体を推進させていた。しかし、フネまての距離はまだ数千キロメートルもあった。 一方、エンタープライズは、俊足に、フネに近づきつつあった。だが全長三百四十一メートルの巨大な姿もフネの前には、ケシツブにしかすぎない。 エンタープライズは無人の状態で攻撃機F14トムキャットを断続的に発進させていた。トムキャットはフネの回りを飛行し、ミサイルや爆弾の雨を降り注いだ。しかし、フネの外皮には何の変化も見られなかった。フネは泰然としていのだ。トムキャットのバルカン砲、ミサイル程度の攻撃ではびくともし々いことを主は理解した。最後の手段を取ることにした。が、この攻撃は、海や主自身に対する悪影響ははかりしれないと思われた。フネに向かって航行中のソードフィッシュ、そのミサイル発射筒のハッチが全開された。内蔵されていたポラリス・ミサイルが、次々連続して、16本発射された。それはフネに対する主の剣であり、大の矢であった。ポラリス・ミサイルの破壊力は広島型原爆の10発以上に相当する。シュクセイキでさえ、究極兵器と言われていた。主はその破壊力の恐ろしさを理解していた。海面上に大きな水しぶきを上げて、それは上空に消えて行く。非情な決断たった。フネが死ぬか主自身が死ぬかだった。恐らく彼が創りあけたこの海に獄む種々の生物群は多数、死に絶えてしまうだろう。しかし生物群を失うこと以上に、フネに対する憎悪は深い。それは、フネは主の理解を越え、さらに主の影響力を受けない地球上唯一のものだったからだ。ポラリス・ミサイルが目標をはずすわけはない。フネは海面上に漂う唯一無二の存在だった。大きさは小さな島に相当する。閃光が走った。音が響いている。キノコ雲が湧き上がっていた。フネのまわりの海は一瞬のうちに水蒸気となる。熱風が吹き荒れる。シュクセイキ以後の地球にかこった最も大きなエネルギーの開放だった。フネのまわりを遊戈していたエンタープライズはその塔敵機と共に消滅していた。さすがのフネも大きな損傷を受けていた。しかし全面崩壊はしていない。だが表皮はまっ赤になって燃えあがり、あるいは内に包みとかようにはがれめぐりあがっている。盾所にひび割れすらかとっていた。フネは爆発の瞬間、意識を失った。一瞬、主に対する憎悪の念が浮かび、それが増大され残った。爆心地へ、海水が消滅した空間へ、海水がなだれこむ。海底までも核爆弾はえぐり取っていた。そこにフネは横だわっていた。普段の威光はない。半死半生の傷ついた姿だ。フネは流れ込んだ激流に飲みこまれ、翻弄される。やがて浮力により水面上に持ち上げられる。しかしその姿は痛々しい。昏倒からようやく目ざめたフネは憎悪のかたまりと化していた。混濁の世界から抜け出したフネの記憶はシュクセイキを思い出していた。今の原爆を体に受けた体験は過去の放射線の記憶へと繋がっていた。フネは、今、シュクセイキの時の記憶を再生し始めた。怒りはフネの全神経組織を狂わせ、憎悪の噴出として、巨人がフネの内部から送り出された。巨人はム=ウムの変化した姿だった。ム=ウムは胎児の姿でフネの内部に閉じ込められていた。徐々に彼は主の支配下を離れ、フネの統制下にはいっていた。ポラリス・ミサイルをフネがその体に被弾した時、ムも痛みを感じた。それは遠い昔から統いてきたム=ウムの一族の言いしれぬ悲しみを具現したような痛みてムをうならせた。気づいた時、ム=ウムは生まれ変わった姿で大海原を泳いでいた。今までの自分とは別人のようだ。ム=ウムは、何かの怒りにとりつかれたように、水をけっていた。■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」第11回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook
2013.07.30
ガーディアンルポ03「洪水」第10回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■ガーディアンルポ03「洪水」第10回■海底の泥流の中に一個の知性体が存在していた。主である。その中枢記憶回路はムの一族の禁制地域にあった。フネに攻撃をかけ、失敗した「黒き使徒達」は、主が創造した生物だった。『せっかくの私のプランをムダにしたか。黒き使徒達よ! 君達は私が創造した生物で、最悪の失敗作だ』 フネに収容きれる目的で、ム=ウムを創り出すのに、何年かかったかと主は自問した。ム=ウムの一族の先祖を主の想念で作り出し、成長繁殖させた。何代にもわたり生成し、一人の真人として、ム=ウムを生みだしたのだ。 その主と自ら名のる生物は、シュクセイキ後の地球の混乱期を生きのびてきた。 彼の意識は、地球の海を総て被っていた。主はシュタセイキ浚、生命体としてあるものから新しい形態へと進化していった。彼の意識は、かつての人類の廃墟の中で、静かに、しかし確実に成長し、大いなる創造者として完成しつつあった。 彼がフネの存在を認知したのは、彼の時間の経過からすれば、そう遠い昔のことではない。いつからかフネは海を漂っていた。主の感覚枝がフネの存在に気づいた時、主はフネを敵として理解した。ある種の不気味さを感じたのだ。自分以外の巨大な知性体としてのそれに危惧を抱いたのだ。フネは彼の思惑通りには動かなかったし、彼の干渉を拒絶していた。フネは、主の世界の中で、意向に従わぬ唯一の異物であった。 主は、自分自身の記憶域を探索し始める。それまでのフネに対する計画は瓦解していた。新たな攻撃法が必要だった。自らの散在、「フネ」という概念で、フネ自らの記憶域の中をかきまわす。過去、主は記憶をたぐる。戦闘のイメージが湧きあがってくる。戦闘1戦い。フネ。戦闘フネ。違う。戦闘艦? 確かシュクセイキ以前だ。軍艦!さらに記憶を手繰る。潜水艦? 空母? 明確なイメージ、形態が彼の心の中に呼び起こされてきた。そうだ!主はついに発見した。ガーディアンルポ03「洪水」第10回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.29
ガーディアンルポ03「洪水」第9回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/その同じ時期、黒き生物群がフネに近づきつつある。ムの一族を滅ぼした一群だった。彼らは強靭な膂力を持ち、重摩な体を持っている。複眼で、皮膚は粘液で彼われていた。 彼らはフネに到着し、その底に集合した。しかし、フネからは何の反応もない。フネはあまりに大きい。海面下の乳白色の壁面は、うつろな太陽の光を受けてぼんやりと輝いている。しかし底には、大いなる闇がしめている。「やはり外側から出入口を発見するのは不可能のようだな」黒き生物群、彼らの一人が言った。「フネの表面に密着するか。どんな探査装置があるか、わからんな」「どうやら、あいつム=ウムが出入口を見付けてくれるまで待つしかないか」「そうだな、彼の捜索行動を急ぐように主にお願いしよう」彼らから、遠く離れた場所に主は存在する。主は黒き生物群、彼らの思考を知覚した。そして行動に移った。フネの内部に居るム=ウムに対して一族の電波を発した。ム=ウムは体全体に力が蘇るのを感じた。突如、体がーまわりも二まわりも大きくなった。その時、ム=ウムは教導師ゼフから学習を受けている最中だ。教導師ゼフはム=ウムの体から暗い陰りを感じた。ム=ウムの急激な変貌に驚き、ゼフはフネ全体に警報を鳴らそうとする。ムはその巨大になった伴こと教導師ゼフにぶつかり、彼を行動不能の状態にした。ム=ウムの知覚能力もまた増大されたようた。今まで発見でき々かっかフロア間の移動装置が発見できた。一番外周にある核部屋のーつが移動装置になっていた。移動装置を使ってム=ウムは船底の方へ降りていく。フネは多層構造になっていた。降下する。いつまで続くのかと思われた降下がやっと終わる。ム=ウムは自分が、フネの底にいることを確信しか。ムは収容子の出入口を捜し始める。透視能力をもムは手にしていた。急に、フネの警告シグナルが点滅し、ブザーが鳴る。ゼフが発見されたらしい。ム=ウムはためらわず、収容子のコントロールパネルを操作した。出入口は聞かれた。 底で待機していた、黒き生物達が出入口より突入した。彼らの個々の体は溶解し、球体となりフネの内部へと向かう。黒の球体は強大なエネルギーを発散させながら船内を暴れまわる。底から上へと球体はフロア間の壁を突き破り上昇する。核部屋は打ち壊され、回廊は吹き飛ぶ。収容保護されていた生物達は身動きする間もなく、解体され死んだ。進入した黒の球体の一部はやがて、船の動力部分を捜し末めた。 フネは自分の体の内に、起こった痛みを感していた。すぐさま応急処置をしなければならない。その間にも殺戮された生物たちの苦しみや悲痛な声が、フネの頭脳に響く。フネは自己防御システムを作動させた。破壊された出人口のまわりの倍加分離し、拡散し、溶解し、伺もなかっかようにその裂け目を埋めた。フネの内部を我が物顔で走りすおり、破壊殺戮を行たっていた黒い球体の一つ一つに壁のあちこちから粘液が噴出された。黒い球体はその粘液により、動きが緩慢と痙り、やがてまったく行動できなくなる。さらに続々と流出する粘液は球体に絡まり、全表面を包みこみ、球体の動きをとめてしまう。次に球体はまわりの圧力でしわしわと収縮していき、その圧力により破壊する。黒い球体はその消滅の一瞬、思わず外部へと思念を、送り出していた。「主よ、お許し下さい。我々は失敗いたしました」海底の泥流の中に、一個の知性体が存在しているのだ。その名前は、主(しゅ)である。■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」第9回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.28
ガーディアンルポ03「洪水」第8回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■ガーディアンルポ03「洪水」第5回■ム=ウムはフネの収容子の出入口を捜そうとしていた。 数週間、ム=ウムは例のチューブですごしていたが、知らない聞に外科手術を受け、エラは切り除かれていた。彼は海との絆をとりはらわれていたのだ。水の中でなくても呼吸ができるようになっている。 フネの教導師に不審をいだかれないように、ムは出入口の発見を急がなければならなかった。しかし、この行動は、ム=ウムが自ら望んでやっているわけではない。ム=ウムの体は人形つかいに操つられているように動き、行動しているのだった。ム=ウムの心の内から声が響いている。テレパシーだろうか。 『ム=ウムよ、時が近づきつつある。早くフネの出入口を見つけ出すのだ。そして我々の合図と共に出入口を開けるのだ』ム=ウムは急ぐ。教導師ゼフの目をのがれ、船内を動きまわった。が、ム=ウムが収容されているフロアより上にも下にも行くことができないのだ。階段が存在しない。ドアの向こうは常にム=ウムが収容されているよう々球形の核部屋しかなく、ムと同じ様に収容された人類の末裔がいるだけたった。彼らとはまったくコミュケーションが取れない。ム=ウムとは言語形態が異なる様だった。かれら皆が同じ人類から派生したものだろうかと、。ム=ウムは思う。すべての生物は、いまや海の中で繁殖し、生活している。ひそかにム=ウムの頭の中に、ある言葉が刻みこまれていたのだ。ムはもちろん気付いていない。黒き破壊指令だ。『ム=ウム、近い内にお前はフネに、収容されるはずだ。その中に入ったらフネを破壊するのだ。それが、お前、ひいてはお前の種族が繁殖してきた意味、今まで存在してきた価値だ。フネに入り込み、破壊せよ。それが私「主(しゅ)」の命令だ』主?この言葉は、今まで彼が生存してきた禁制地域の中で、ムの頭の中に刻み込まれたのである。彼は思い起こす。あの日、ム=ウムは、自分が一族の禁忌を破って、その地域に入ったのか、自分ではわからなかった。 ム=ウムの心の奥に何か呼ぶ声がしたのだ。ムはその声に操られ、音識が混濁状態で禁制地域に足を踏み入れたのだった。 禁制地域はム=ウムの付落とまったく異たっていた。そこには一種独特の異様な雰囲気があった。何かしら、人間が建設し、作りあげた廃墟の様か。しかしながら、ム=ウムの一族の力ではとうてい構築不能であった。 地域の中心部にドーム型の建物が建っており、中にム=ウムは誘われていき、命令を受けたのだった。運命を背負わされたといっていいだろう。ム=ウムに秘密命令が下ったのだ。ガーディアンルポ03「洪水」第8回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.27
ガーディアンルポ03「洪水」第7回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ム=ウムは、この世界の中でひとりぽっちになったような気がした。水棲人にはない涙が、、こぼれていた。その頃、水棲人たちは、集落に帰ってきている。ム=ウムの両親は、ム=ウムが連れ去られた事を聞き、嘆き悲しむ。母親は、異子供であったム=ウムに、他の兄弟達よりもいっそうの愛情を注いでいたのだ。父親もまた、ムが他の子供達と異たっていたがゆえに、不潤に思っていた。水猿人の生存率はかなり低い。族に対する脅威が海の中には混在している。変貌した生物群が彼ら水棲人と同じように生活している。シュクセイキに地球を熱射した放射線は地球の生物相に大きな影響を与えていた。常に外敵に晒されているムの一族は集落を要塞化していた。見張りが、常時、まわりを遊泳し、警戒をおこたらない。突如「黒い死の使い」が彼らを襲ってきた。見張りの者達は、その敵の姿をかいま見ること反ぐ死んていった。黒い生物は、体を溶解させ、拡大したそれは、水棲人の体全部をすっぽり包み込んだ。水棲人の体は黒い生物の体圧で粉々に砕かれる。黒い生物の体全体が変容し、ある者は鋭い刃部と反って水棲人を切り刻み、また、ある者は槌の形をとり、あたりの水棲人や建物を押し潰す。恐ろべき膂力を持つその生物群は、水猿人に反撃のひまを与えず、効果的に集落を襲い、破壊し、生會のかけらも残さず、ムの一族を完全に抹殺した。全身黒づくめて強力な四肢を自在に使いこなすこの生物の通りすぎた後には、生物の影はない。ミ=ムネは死の瞬間、ムの事を再び思い出していた。「やはりあの言い伝えは真実だったのね」彼女はそう思った。彼女の属する水棲人の一族は、ム=ウムという変わった水棲人個人を生みだすためにのみ存在していたのでは、という不思議な思いが、彼女の心を一瞬よぎった。が、その考えも、また、激痛と共に、闇の中へ消えていく。その抹殺行動は、主(しゅ)の命令だった。役割が終わった種族は生存すべきではない。それが彼女、主(しゅ)の思想だった。(続く)ガーディアンルポ03「洪水」第7回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.26
ガーディアンルポ03「洪水」第4回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/部屋は,白色の球形をしていた。ム=ウムは、溶液のみたされたチューブの中で眠る。部屋には、そのチューブ以外には何の装備もないようだった。 フネは真人の可能性の高いム=ウムを、くらげ形の収容子を通じて収集し、船の中に収容したのだ。そして、再び、フネは新たな「真人」を求め遊戈し始めた。 ム=ウムは眠りの聞に真人であるかの再チョックを受けていた。フネのコンピューターはそのデータ・バンクから情報をはきだし、検索機器はム=ウムの体を探査していた。 ム=ウムがチューブの中で覚醒した時、今まてかって彼が目にしたことがないものがあった。体はムよりかなり大きく倍近くあるだろうか。円筒形で頭部らしきものはつり鐘形をしている。全身は山吹色に輝いていた。それに、そいつは水の中にいない。「ム=ウムよ、目ざめましたか」無気質な女の声が、ム=ウムの耳に響いた。「なぜ、僕の名前を知っているの」「私はあなたの事なら、何でも知っています。あなたの頭脳からあなたのパーソナルヒストリーをすべて読みとりました」 「あなたは何者。それに、僕は、、何のためにこんなところにいるの」 「私の名前はゼフ。教導師です。あなたに真実を教えるのが私の役目です。 ム=ウムよ。あなたは数少ない人類の遺伝子をもつ生物なのです」「ジンルイ? ジンルイって何」「あなた方の本当の祖先なのです。今でこそ、あなた方は海の中で生活していますが、シュクセイキ以前には人類は陸の上で生活していたのです」 「信じられないよ。シュクセイキ?」 「今はわからなくてもいいのです。そのうちわかるようになります。あなたは人類の歴史を学は々ければなりません。そして地球を元の状態、少なくとも「シュクセイキ」以前の地球文明を取り戻さなければならないのです」 「まったくわからないよ。何の事だい」 「このフネの中にはあなたと同じような真人が数多く収容されています。フネは人類を再生させ、地球を復興させようとしているのです」「もういいよ。そんなわからない話は、興味がないよ。僕を仲間の所へ帰してくれよ。ゼフとかいったよね」「それは不可能です。あなたはもう二度と彼らのもとには帰れません。あなたは真人であり、彼らはそうではないのです。彼らの役割はもう終わりました。用はありそれにません。あなたは選ばれし者。フネは、次の目的地めざしてすでに出航しています」「もういいよ。そんな話は。帰しておくれよ」「あなたにもわかってくるでしょう。どうも、あなたは環境が急激に変化したので興奮しているようですね。さあ、また少し休んで下さい。一度にすへてを知る必要はないのです。我々には充分の時聞か与えられています。学習には恐らく長い時間が必要ですね」痛みが走り、ム=ウムの体の中に溶液が注入される。ム=ウムは、再びチューブの中で眠りにつく。夢の中で、ミ=ムネが現われた。ミ=ムネは悲しそうな顔をしている。それから家族の顔や種族の人達の顔が現われ、それら総てが何かしら底知れぬ巨大なものに包み隠された。「かあさん。とうさん、ミ=ムネーつ」心の中で叫んでいた。が、あとには闇だけが残った。。ガーディアンルポ03「洪水」第4回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.25
ガーディアンルポ03「洪水」第5回(1979年作品ー2013年改稿)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/何時間、経ったろうか。ムは放心状態で入口から泳ぎ出てきた。ミ=ムネは急いで後ろから泳ぎつき、ムの名前を呼んだ。「ム=ウム、ムったら、しっかりしてよ。私よ。ミ=ムネよ。わかる」「え、何、ああ、、ミ=ムネミか。どうしたの。ここはとこなの」ムは、急に気付いた。「伺を言っているのよ。ム、今まであなたかとこにいたか気がついていないの」「えっつ、僕がどぅしたって」驚いて彼女を見る。「いい、よく聞いて。これは冗談じゃないんだから」「わかってるよ、ミ=ムネ、そんな侑い顔をするなよ。せっかぐの君のかわいい顔がたいなしだよ」「ふざけている場合じゃないわ。あなたは今、禁制地域から出て来たのよ」「禁制地域!、、だって」「そぅよ、、、禁制地域よ」「うつ、本当か」「ム=ウム、あなたも知っているでしょう。私達の種族の言い伝えを。もしあの地域に誰かが足を踏み入れた時、私達の一族は皆滅んでしまうという伝説を」ムは驚いたままだ。「もちろん、知っている。何代にも渡って語りつがれてきたことたから」 肩を落とし、声はふるえる。「間違いなく僕は禁制地域に人っていったんだね」 思いつめたようにムはミに尋ねた。ミ=ムネはどぎまぎしながら答えた。「間違いないわよ、わたしこの眼ではっきり見九んたから」「そうなのか。。」「でも、安心して、ム=ウム、私は一族の誰にも、この事は言わない。約束するわ。第てこんな事がわかったら大騒ぎよ。殺されかねないわ」「ありがとう、ミ=ムネミ。本当にありがとう」体が震えていた。「僕は自分自身が怖いんだ。なぜそんな事をしたんだろう」頭を抱える。「それじゃまったく禁制地域の中の事は覚えていないの」「そう、まったく記憶がないんだ」二人だけの秘密はミ=ムネミとム=ウムの間をよりよく親密にしてした。今日この日、ム=ウムがさらわれていくまで。■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」第5回(1979年作品ー2013年改稿)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook/
2013.07.24
ガーディアンルポ03「洪水」第4回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■ガーディアンルポ03「洪水」第4回■ミ=ムネはうなだれて岩の上で想いかえす。彼、ム=ウムの事を。 ム=ウムは生まれた時から変わったところがあったのだ。しかし、彼女の属している種族自体も他の水棲人達と変わっているといえばいえる。何かしら創造者が施したとおもわれる作為的なところが、ミ達の体に感じられるのだ。あまりにも体が能率的左のが陥きらに精神構造も違っているようだ。彼女の一族と他の水棲人達とのいききはほとんとといってない。また、他の水棲人達とも付き合かうとしない。限られた地域の中で、彼女の一族は生活をしているのだ。けれど、それにも増してム=ウムは異端児であった。彼ム=ウムの一族は、「シュクセイキ」から続いているといわれる種族の連綿と続く歴史の中で始めておこった異変といえるであろう。彼の体は、まるで種族のそれと異っていた。彼か生まれた時、彼の父はム=ウムを殺そうとした。必死で長老達が押しとどめなければ、彼は今生きていなかった。水棲人たる彼にはエラがなかったのだ。少なくともエラがはえるまで日数がかかった。その間、彼は息も絶え絶えの状態だったのだ。部落の中央にある岩屋の中の、天井にたまったわずかな空気で彼はかろうしかその生命を保っていた。さらにうろこのはえるのも遅かった。ム=ウムが一族の災いの元である決定的な証拠はミ=ムネしか知らない。それは今日から、三ヵ月前のことだ。その日、ム=ウムはいつもと様子が違っていたので、ミ=ムネは不審に思っていた。何も言わず、ムはひとりどこかへ行こうとする。心配のあまりヽ心は彼をつける事にLだ。驚いた事に、ムは彼ら種族が厳しく立ち人りを禁止している禁制地域へ何のためらいもなく人っていく。ミ=ムネはムを、その禁制地域の人口で待つ事にしか。長い時間、ム=ウムはその中に人ったまま帰ってこない。ミは、恐怖と不安のあまりに、何度も集落へ帰ろうかと思ったが、やはりムのことが気になり、岩陰から中の様子を見守っていた。何時間、経ったろうか。ガーディアンルポ03「洪水」第4回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.23
ガーディアンルポ03「洪水」第3回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/ ム=ウムは、水棲人一族の者と共に狩りに精を出していた。ム=ウムのエラから泡が立ち登っている。ムの一族は水棲人で、体全身はうろこで被われ、海の中を自在に泳ぎ、自分達の世界としていた。 狩りの獲物はまた、変貌した魚類であった。魚類は巨大になり強力な力を手にしていた。 かつて陸上で我が世の春を謳歌していた肉禽獣のごとく、彼ら魚類は力強ぐ柔軟な体躯を自分のものとしてい九。 大昔、アフリカ人達が、白身の持てる智力と体力でライオンや豹と対峙していた様に、水棲人達は魚類と闘っているのだった・ 今日の獲物は飛切上等の「グル」だ。何にちも部族が食べる事ができるこの時代のくじらだ。ム=ウムの仲間遠はもう小一時間も奴を追いかけていて、薙ぎ倒そうとしていた。手にしているモリは唯一の武器。ム=ウムたちは集団戦法を得意としている。ダルに一人で立向かうとす奴は生まれながらのパカなのだ。ダルにかかって何人の仲間が死んでいったろう。ダルの愕は昔のサメの伺倍もあった。グルもか々り傷ついて、狂暴になっていた。気をつけ痙ければいけない。こんな時が一番危い。心仏らも注意力が散漫になっている。疲れているのだ。海上から伺かが落下してきた。その透明の半球状のものが、突如水棲人達を襲ってきた。底部から突出した無数の触手を水棲人遠にのばす。ムは痛みを感じた。上はく部のうろこの下から血が、わずかだが流れている。突然の「くらげ状のもの」が襲来、彼らは呆然としたが、気をとりなかした。攻撃の相手を今までのダルから、この半球状のものへとかえた。しかしム遠のモリ はこいつの体には役にたたない。その突然の出現とうって変わって、ヤいつは浮遊していた。ム遠はそいつにカー杯モリを叩き付けるが、跳ね返される。そいつ「くらげ状のもの」の内部では、触手に隠されたレーザーメスで収集した皮膚細胞が分析されていた。染色体の調査が行なわれ、フネのメインデータセンターを通じ、チェックが行なわれていた。再びそいつは活動を開始した。今までとは異なった動きをした。触手を眼にもとまらぬ速さで自在に勣かし始め、水棲人を追いたて始めた。触手は一人、ムだけ を追い求めた。フネのメインコンピ’―ターは、ムを真人の可能性が高いと分析したのである。ムの体は、三本の触手によってがっちりと掴みこまれたかと思うと、その透明の内部へ収容されてしまった。ムが、そいつの体の中に人れられる。それを見て水棲人達は総攻撃をかけた。が、触手から激しい電気が流れる。水棲人は生まれて始めて受けた電気攻撃にかもわずたじろいた。その瞬間、その半円球は水ヘ向かい急速に浮かび上が言cいっ九。水棲人達は必死でそいつを追いかけたが、みるみる引き離され、やがて、そいつは見えなくなった。「くらげ状のもの」半円球の物体はフネに引き寄せられ、フネ船底部から吸い込まれた。ミ=ムネは愛していたムが、そいつに連れていかれた、ショックで水面をずっと見上げていた。やがてみんながあきらめて集落へ帰り始める時も。まだあきらめきれず、眺め続けている。緋がミの肩を叩いて言った。{ミ=ムネ、残念だが、あきらめるんだ。もうム=ウムは帰ってこないぞ、いつまでまってもな」ミはそれに答えなかった。長はじっとミを見守っていたが、やがて皆の方へと泳いていった「ミ=ムネ、いいか、早く帰ってくるんだぞ。このあたりは危険だからな」と心配しながら。ミ=ムネはうなだれて、近くの岩棚に腰かけてム=ウムの事を考え始めた。■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.22
ガーディアンルポ03「洪水」第2回(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook/■ガーディアンルポ03「洪水」第2回■ フネは大洋を漂っていた。陸地と呼べるものは存在しなかった。生物は海の中に生息していた。海はどこまても青く、広がっている。地球は大洋といってよかった。地球イコール水球だ。 「フネ」は地球上を巡航し、「真人」を見つけだし、回収し保護することを自分の目的と考えていた。「真人」、誠の地球人類である。 フネは大いなる昔、何者かによって造りだされ、海に送りだされた。フネの記憶回路はそう告げていた。 「シュクセイキ」が地球にとって通い昔となった時、人類の影はなかった。 シュクセイキ。人類はなぎ倒され、多くの者は苦痛の中で、のだうち死んでいき、わずかに残った者はその拒咀の染色体に異常を受け、入間の形態をとらぬ生物へと変化をしていった。 人間の遺伝子をより濃厚に持つ真人を捜し出すことは、無限とも思われる能力を持つフネにとっても画題をきわめた。 フネの側を、水棲人の一入が泳いでいた。彼は驚く。こんな巨大なものが世の中に存在していたとは。その巨大さは彼の理解力を越えている。水棲人は近づくこともなく、フネを見ていた。 今夜、彼の集落は、この話でもちきりになるだろうし、彼は中心的役割を果たすことになる。フネに出会うことはめったに次い。その千載一遇の機会に彼はでくわしたのだ。彼の子々孫々にこの語は語りつがれるだろう。 フネは乳白色をしていた。底部は卵形をしている。中央は塔のような突起物が見えた。船の外周から中心部へとながらかな曲線で頂点部へともり上っている。フネは、だから海からひときわ高く空へ向けそそり立つ棒のようにも見えた。窓と呼べるものはない。全表面はすべすべして光り輝き、つなぎ目もまったく存在しない。 が、フネは意志をもっていた。その意志はある目的遂行のため。■(続く)ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.21
ガーディアンルポ03「洪水」■第1回■(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/http://ameblo.jp/yamadabook/■第1回■見渡す限り波だ。水の壁は情容赦なく僕カインの方へ襲いかかってくる。その激流の中で、僕の足はもう焼けただれた建物の屋上には届いていなかった。放射線で焼けただれた町。それでも僕には長く棲んでいて愛着があった。その廃墟が海に犯されていくのを、僕はなすすべもなくただ見ているしかなかった。海、すなわち大洪水たった。波は、伺度となく押し寄せてきて、廃墟を踪順した。なじみのある暗い町並は、二度と僕の目の前に現われることは、、ないだろう。服と呼べるだろうか。そのうす汚れた切れっぱしは、僕の体にまとわりつき、かかげて身勤きは緩慢にたってくる。水は僕の息をとぎれきせ、言うにいわれぬ悲しみは僕の体をしびれさせていった。彼女アニー。さっきまで、、ここに。やっと海面に顔が出る。まわりを見渡す。いる。何100メートル、離れているだろう。波間に見え隠れする。彼女も海にもて遊ばれている。僕は叫ぶこともできがたい。それはどの気力も残ってはいないのだ。打ちこわされた伺かの物体が大きな音をたてて迫り、アニーに当った。彼は泥水の中に消えていく。「アニー、、、アニー、、」僕は叫ぶ。が、、何てことだ。運命を呪う。地球の運命も。僕は、無意識の内に、浮かんでいる木片にしがみついた。すさましい勢いの雨は、人間の希望をすべて押し流すように降り続き、その暴風雨の祚はまるで銃声のように僕の耳には聞己えていた。そう、人類を完璧に打ち倒す銃声の様に。ショックとそれに伴う疲労のために、僕は意識を失いそうになる。夢、それも悪夢を見ているようなのだ。僕は夢うつつ考える。僕とアニーは、なぜ、あの放射線の熱射から肋かったのだろう。放射線は地球のあらゆる場所に降り注ぎ、地球の文明を根こそぎ大度たで打ち払ってしまったのだ。が、僕カインはまどろみ始める。(続く)ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
2013.07.20
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第12回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」「危ない所だった。天宮=地球意志は、私アー・ヘブンを道連れに、この星を破壊するつもりだったのか」 アー・ヘブンは独りごちた。 地球意志は、大球(元の地球)と結ばれた小球(元の月)に、スパイダーネットで、集積した色々な星の武器を集めていた。 地球爆発の際、武器群は小さなユニユニット群となり、小球から発進し、この宇宙に存在する生命を破壊しつくす武装機械船群を、あらゆる方向にむかって発射されようとしていたのだ。そのために、長い長い時間をかけ、知らないうちに、スパイダーネットを使い武器を集積していた。それは、ハーモナイザーに対する「地球意志」の復讐行動である。「地球の上に新しき生命を宿すのだ」 アー・ヘブンの心の底から声が響く。ハーモナイザーが呼びかけていたのだ。「どうやって、この地に生命を宿したらいいのですか」「アー・ヘブンよ、お前は種子なのだ。お前が変化し、新しき地球になじむ植物となるのだ。お前子孫がこの星、地球に充ちるのだ」「しかし、ハーモナイザー、この大球いや、地球は鋼鉄のよろいがあり、内部ば機械星となっています」「心配するな。機械星、大球に根をなせぱよい」「根ですって」「お前の第1触手を、根とするのだ」 アー・ヘブンはハーモナイザーにいわれた通り、第1触手を大球の機械地中深くシャフトにそってかろす。触手は膨張し、根となった。 次の瞬間、地表を被っていた鋼鉄面は光り出し、熱を持つ。一気に蒸発した。同時に地球全体が光り輝く。大球内部の機械類は燃えあがり、やがて燃えつき、土と化した。 アー・ヘブンの体に内包されていた、ハーモナイザーの種子も。同時にまきちらかされる。種子は大球、全世界を被う。 『大球をアウフ・ヘーベンせよ。アー・ヘブン、それが、お前の役割なのだ』 光の声がいう。 いまや、大球から変化し、再生された地球の世界樹となったアー・ヘブンの聴覚に、ハーモナイザーが働きかけ、アー・ヘブンは始めて、自分の名前の意味合いを悟った。 アー・ヘブン=アウフ・ヘーベン(止揚)だったのか。 アー・ヘブンである、世界樹の、表皮、小さな部分に、古代の地球文字が刻まれている。突然、それは現れた。『私の夢は、、、』今は存在しない「北の詩人」イメージ脳はただよう。その存在しない思念には、かつて″木″、に記号を印した事を思い出している。すっと昔の古代の記憶。『かしのきに、ナイフでしるしを……』北の詩人が。消え去る一瞬、耳にした何かの産声は、この変化のさきぶれだったのか。新しき地球は、ハーモナイザーと意識では一体化し、アウフ・ヘーベンした世界樹により、新たなIページを書き記し始めた。北の詩人の体は、再び実体化し、北の詩人の目の前にはユニコーンの姿も、ちらほら形作られはじめるのが見えた。そして、ゴーストトレインも、、、(完)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第12回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2013.07.12
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第11回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 http://www.yamada-kikaku.com/本が風化するのと同時に、コードの中の,北の詩人の体も消滅した。アー・ヘプンはその一瞬、産声を聞いたような気がした。その機械共生体も、外気にふれて腐触し、機械パネルははじけ飛び、粉々に分解していく。が本がやヽその背後の機械共生体がくずれ去った後,内壁中央部に光点が残っていた。光点はアー・ヘブンの方へ移動してきた。球体には、ぎっしりと古代の本が積まっている。その球体からは、強烈な激怒のイメージが、アー・ヘブンに注がれていた。それが「天宮」だった。アー・ヘブンは「天宮」に話しかけている。「天宮」の過去の名前で。「地球意志よ、寂しかっただろう」「地球意志? 太古の、私の、名前を知っている、お前は一体……」「そう、「天宮」いや、地球意志よ、君が考えている通りだ」「つまりは、ハーモナイザーの手先というわけか」「正確にはそうではない。ハーモナイザーの意識の一部という方が、いいだろう」「なぜ、私の所へ来た。私地球意志の宇宙に対する復讐の理由を探りに来たわけか」 アー・ヘブンは、天宮=地球意志、の意志の強固さ。その意志の持つ邪悪さに、思わずたじろいた。「やはり、君は、宇宙に対して、復讐を考えていたわけか」「そうだ。私はハーモナイザーのおかけて、「地球人類」という、かけがえのない財産を奪い取られたのたからな。それに君は、私のデータベースも破壊した」 「まだ、わかっていないのたな、地球意志。ハーモナイザーは君から地球人を奪いとったわけではない。彼ら、地球人類は、自らの意志て君から離れたのだよ。地球人類は宇宙の意志という大きな思念のために出かけていったのたよ」アー・ヘブンの意識は、ハーモナイザーと一体となる。「ハーモナイサーの手先としてか」「手先?、そういった問題てはない。地球人類はひとつの思考形態としてより進化したといえるだろう。かつては地球人類という小さな枠て物を考え、自分達の能力を使っていたが、ハーモナイザーの意志により、彼らは同調したのだ。君、つまり地球意志より、より大きな意志のためにね」「ハーモナイザーよ、いくらくりかえしてもしかたがない。ハーモナイザー、君が私から人類を奪い去った事に変わりはない。あまつさえ、私にこの鋼鉄の鎧を着けさせてその上に監視員をおき、彼ら監視員を進化させた」「そう、彼ら新機類は、君、天宮=地球意志を、監視するために存在し、生命球がすへてを統禦していた。が新機類や生命球は君が滅ぼしたのだろう」「そう、それが、宇宙に対する、ハーモナイサーに対する私の復讐の手始めだ」生命球は、アー・ヘブンのソウルブラザー、同類の意識体だった。生命球も、ハーモナイザの個性群体の一つだったのだ。「ハーモナイザーは、君、地球意志の行動を観察していた。君があるいは新しい精神構造を持ち始めて、ハーモナイザーの考え方に同調するかもしれない、と思ったのたよ。がそれは残念ガがら、期待はずれだとわかったわけだ」「それて、わざわざ、このシャフトまで降りてきて、私を滅ぼすわけか」 天宮=地球意志の声、はあくまで冷たい。「地球意志よ。最後のチャンスだ。君の思念を我々と同調させなさい。それがすべてだ」「答えはノーだ」「わかった」天宮=地球意志は、何かの信号を送りだそうとしていた。間髪を入れず、アー・ヘブンは、第3触手をのばし、天宮=地球意志をにぎりつふそうとする。天宮の中身は、聖書、仏典、コーランなど地球の宗教書・哲学書、地球人類の遺産の書類とイメージーコーーダーが包含されていた。この宗教書こそが、天宮=地球意志のアイデンティティーたった。存在価値のすべてだ。アー・ヘブンの第3触手の握力で、天宮の外壁がはじき飛び、本の数々がバラパラに吹き飛び、破片は大気へ散っていった。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第11回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2013.07.11
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」アー・ヘブンが立ち去った後、しばらくして,北の詩人は意識をとり戻す。大球と小球を結ぶコードは揺れていた。北の詩人は振動するコードの中ではいつくばりきがら、事の始まりを思いかこしていた。北の詩人は、古代に生きていた男の実体化であった。詩人は自分白身のデータを情報ユニットとして残していたのだ。 彼は詩人であると共に、優秀次技術者でもあった。彼の画期的な発明が「イメージコーダー」てあった。 情報ユニットをイメージコーダーのある部位にセットすれば、それが実体化されるのだ。ただしわずかな時間だったが。 詩人は、その発明のパテント代で億万長者となり、死後、巨大な地下ピラミ″ドに埋葬された。 もちろん納宮室には、イメージコーダーと、彼の大好きだった情報ユニットのコレクションが収納された。 数百年後、このピラミッド近くに建築された軍のビッグコンピュータとリンクして、イメージコーダーが機械共生体の中心になるとは想像だにしなかった。 彼の地下ピラミッドの上には、樫の樹林が果てしなく広がっていた。その中の樫の木一本に、北の詩人が若い時、ナイフで刻みつけたフレーズが残っていた。『私の夢は・・・・:』 たどり着いたシャフトの内部を見て、アー・ヘブンは驚く。ここは古代の遺跡なのだろうか。 触手をのはしてみる。情報ユニット群にふれる。情報ユニットはやはり、アー・ヘブンと同じ植物繊維からできている。 さらに、情報これらの一つ一つは繊維のシートの集合体だった。 各シートの表面には、この星の旧生物が使用していた記号が、多量に刻み込まれている。 記号をシート上に刻み込むことを「印刷」といったらしい。 その記号を、この星の生物は古代より「文字」と呼んでいた。この一枚一枚のシートから或る情報ユニットは″本″と呼ぱれていたのだ。この本の集合体が、データベースであり、この星の住民は、視覚を通じて脳に入力していたのだ。この情報ユニット″本″が数十万、いや数百万ユニット、シャフトの中心部内壁に埋め込まれている。しかし、アー・ヘブンが鉄表を破って潜入し、密閉されたシャフト内に外気が侵入したことにより、シート=紙が変質し崩れ始めた。粒子となり飛び散り出す。 何千年の夢だろう。数えきれない程の、多数のこの星の住民の知恵が、虚空ヘチリとなって消え去っていく。 この星の文明遺産の消失であった。 膨大な本というペーパー情報集合体が消え去り、その後に古い機械が姿を現わす。機械共生体であった。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第10回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2013.07.10
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 アー・ヘブンは,横たわる北の詩人をながめている。彼からは、はっきりした「天宮」の位置を読みとれなかった。彼はその「天宮」の場所を知らないのだ。闇の空洞だと? アー・ヘブンはしかたなく、大球と小球をつなぐコード(絆)の内壁ににじりよると、内壁金属に聴覚器をあてがった。 この金属の持つ記憶巣から、「天宮」の情報を読みとれないかと思ったのだ。壁に聴覚器がふれた一瞬、アー・ヘブンの体は硬直した。 恐るべきデータが一度に脳に流れ込む。体が震動し、コードの内壁に倒れ込む。 倒れていても、アー・ヘブンの体は痙學し続けている。 コードの内部は、すでに「天宮」の腕の中も同然なのだ。コード内には「天宮」の神経系かくまなく張りめぐらされていた。その神経系から派生した神経糸が一本、アー・ヘブンの体に鋭く突きささる。神経糸は蛇の様に、体内に侵入し、ためらい左く体中を突き進む。神経糸はアー・ヘブンの中央脳を探りあて、アー・ヘブンの正体を知ろうとしていた。 脳部位はどこだ! 神経糸は位置をさがしあぐねていた。 アー・ヘブンには中枢脳がなく、しいていえば、体全体が脳機能を持っているのだ。 アー・ヘブンは、体の中を這い進む神経糸にたいいして、逆に、パルス(波動)スを送った。パルスがたどり着くところ、そこに「天宮」の命令中枢があるはすだ。 一瞬の後、逆にアー・ヘブンは「天宮」の位置を読みとっていた。 『シャフト』 アー・ヘブンは立ちあがると、体につきささっている神経糸を力まかせにひきちぎった。からまってきていた神経網を引きさく。アー・ヘブンは、コード内を大球にむかい直進していた。目ざすは「天宮」の存在するところ、「シャフト」である。 コード内の神経網が急激に膨張し、道をふさぐ。アー・ヘブンの前進をはぱもうとする。 コード自体も震動している。「天宮」は、小球とコードを、自分のいる大球から切り放そうとしていたのだ。アー・ヘブンをコードに詰め込んだまま。 大球とコードの接合部分はすでに切り放され、コードと大球の鉄表が数10開いている。 危ない所だった。アー・ヘブンは、コードの内壁を第3触手を使って突き破り、からくも大球の鉄表へ降り立りていた。 切り放されたコードは耳を聾する轟音をあげている。何かの泣き声の様だった。コードは小球の方へゆっくりとたぐり寄せられ、ねじ曲がっていく。何か生き物の断末魔を思わせた。 アー・ヘブンは鉄表の下を透視して身ぶるいをした。この鉄表下は驚くべきことに、機械の集合体に変化していた。本来の岩盤はどうなったというのだ。 この機械類はスパイダーネットによって集められた宇宙船の部品々のだろう。大球全体が機械惑星と化していた。内部の地層は天宮が変化させてしまったのだろう。 アー・ヘブンは、この機械類をチェックして、ある事に気づく。これは危ない。「天宮」は、何をやりだすかわからない。 全宇宙に害毒をぱらまくつもりかもしれない。機械のすきまを探査する。そこがシャフトのはずだ。それにその部分のみ、構成成分が異なるはすなのだ。 「天宮」自体が機械と、そのモノの集合体なのだから。 またそのモノは、、アー・ヘブンと同じ成分を持っているはずだ。「天宮」の存在するところ、「シャフト」の位置をようやく探し当てた。怒りという古い感情を思いおこし、鉄表をアー・ヘブンの第3触手でふち破った。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」なうで紹介 mixiチェック ツイート
2013.07.09
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」ユニコーンはゴーストトレインに向かって大声でどなった。「ゴーストトレイン、腹の中にいる生物が、今、動いたそ」それを聞いて、ゴーストトレインは,少しばかり、腹の中にいる生物を消化して動かさしてしまかうと考えた。生物の意識部分だけでも、残してかけば、調査には充分だろう。ゴーストトレインの腹腔内に分解液を分泌し始める。分解液は今までに断機類を解体している。やがてゴーストトレインの腹腔内は分解液で充満し、アーヘブンの体は、液中に沈んだ。「何だ、この液体は?」アー・ヘプンの触手の一部が解けていた。アー・ヘプンはこの液から逃がれようと、再び、触手を全開する。が、腹腔はアー・ヘプンの触手にあわせ、やわらかく包み込むように自在に拡張した。いくら試みても、柔らかな腹腔をつき破る事はできない。アー・ヘブンは今度は、自分の体に蓄積している体内エネルギーを放つ。光合成によって蓄積されたエネルギーだ。アー・ヘブンの全身は赤色に輝き、次第に熱をかび始める。ゴーストトレインの腹腔が、今度はアー・ヘブンの発した熱で溶ける。穴は徐々院ひろがり、充分々大きさになったのを見はからって、アー・ヘブンは外へころがり堕ちた。 それでもゴーストトレインは惰性で走り続け、張力が効かなくなった腹腔は前後二つに裂けた。上半身は、大球と小球を結ぶ「コード」の内部で、つっぷし、下半身は後にとりのこされたが、あたり一面に消化液が、コード内部にふちまけられた。 アー・ヘブンはゆっくりと立ちあがり、ゴーストトレインに近づく。ゴーストトレインはかま首を突然持ち上げた。悲しそうな顔だった。 『この動く″木″は一体何だったのだろう』 それがゴーストトレインの最後の意識であった。動く″木″である、アー・ヘプンはゴーストトレインの半透明の体が、コード内部の空気中に、かえっていくのをながめている。ユニットコードナンバー 836250ユニットタイトル 幽霊列車(ゴーストトレイン)実体化された、情報ユニット「ゴーストトレイン」は消滅した。大球と小球を結ぶコードの通路上には、二つの光るラインがずっと続いていた。 急に、後からアー・ヘブンの体に衝撃があった。 ゆっくりと振り向く。 ユニコーンだった。角が、アー・ヘプン体を見事に突き抜けていた。ユニコーンは自分のペアとゴーストトレインの敵討ちをしようとしたのだ。「くそっ、彼女とゴーストトレインをかえせ」 ユニコーンはそう叫んでいた。『無益な事をするな』 アー・ヘブノは悲しくなった。ヘブンのエネルギーが、ユニコーン角に収斂する。 ユニコーンの両眼がまっ赤になる。ユニコーンの体はきしり、爆発した。 コードー面に、肉片が散らばった。 角は、アー・ヘブンの体に突きささったままだった。ゆっくりとアー・ヘブンの内部細胞は、ユニコーンの角を、体外へと押し出した。 角はコード上にころがりがち、ゆっくりと静止する。角はユニコーンが存在したことの唯一の証拠に見える。ユニットコードナンバー 386574ユニットタイドル ユニコーンの旅情報ユニット消滅。 しばらくして、アー・ヘブンは、側に北詩人が忍びよってきたことに気づく。 「北の詩人よ、教えてくれ、天宮はどこにある」 アー・ヘブンは、この生物の名が自分が「北の詩人」という事を知っている。北の詩人は、少しづつ消滅しつつあるユニコーンの肉片の側にうずくまり、涙を流していた。「ユニコーンよ、とうとう、君まていなくなってしまった。僕はひとりぼっちじゃないか」北の詩人はアー・ヘブンに問いただす。「アー・ヘブン。なぜ、ユニコーンや、ゴーストトレインを殺したのた。私の数少々い友人達を」 北の詩人の言葉にはアー・ヘブンヘの激しい怒りが含まれている。「許してくれ、北の詩人よ。私にとっても以外なのだよ。殺戮とか抹殺とかいう狂暴なイメージをふりまく事すら、昔の私には耐えられきい事だった。が、私はやってしまった。いかなる事があろうと私は「天宮」の元に辿りつかなければ左らないのだ。それが私の使命なのだ」アー・ヘブンは、悲しげに北の詩人の眼をのそき込んだ。「それに君達は、この世界には存在しないはずの生き物なのだ。ただの情報ユニットなのだ。それが実体化させられたものだ。生物ではない」「存在しないはずの生物だって?」アー・ヘブンを見ていて、北の詩人は想いかこす事があった。北の詩人は思わず、アー・ヘブンの体に両手をのばし、その表面をなてていた。アー・ヘブノは詩人の心に悪意のない事を知り、なすがままにした。「ああ」急に、北の詩人はうめき声をあげ、ひざをおとした。北の詩人の眼からは、新たなる涙がこぼれ落ちていた。「わが家よ、暖かき住み家よ、、」北の詩人の口からは、そんなフレーズが湧き出ている。「住み家? どういう意味だ」「わから々い。ても、僕のイメージ脳が、そう告げている」涙をたたえた眼て、北の詩人は言う。「さあ、思い出してくれたまえ。こう質問を変えてみてもいい。君は大球のなか、一体、どこで生まれたのだね」「どこで生まれたかって? そういえば、、」北の詩人は、アー・ヘブンの体から手を放し、遠い所に視線を移して、昔の事を想い出し始めていた。「そう、大地の中だ」「地中はわかっている」「闇の中、いや光があった。そうだ。空洞があり、私の仲間たちがそこにたくさん居た」「仲間がたくさん居ただと?」「そう。まだ、実体化していない多くの仲間だ」「いったい、君やゴーストトレイノは何者なのか、わかったか」「僕達は、、僕達は、そう、情報ユニットが実体化されたものだ」北の詩人はそこまで言うと、突如、その場に倒れた。自分白身の記憶の復活があまりに強烈だったのだ。これは事実々のたろうか。イメージ脳がくるったのか。そう、北の詩人は考えていた。 脳裏には、かつてアー・ヘブンに似たモノ、動く″木″、に記号を印した事を思い出している。すっと昔の事だ。『かしのきに、ナイフでしるしを……』(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2013.07.08
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 /北の詩人は考えていた。私はどこへ行くのだろう。北の詩人は、ユニコーンから降りて、大球と小球をつなぐ「コード」の中間地点である通路に腰かけていた。やがて、北の詩人は、通路の奥、つまり「小球」側に近い所から大きな音が響いてくるのを聞いた。伺だろう。北の詩人は、すぐに立ち上がると、ユニコーンに音のした方向へ進むように命じた。 ゴーストトレインは、倒れているアー・ヘブンの体をさぐる。かま首をヘブンの体にあてる。鼻先から黒い舌の様なものが飛びでる。どうやら、今までにむさほり食った新機知の知いてはカいらしい。端をすこしばかり、かじってみる。 表面は固いクチニン質で被われている。この舌ざわりは、ゴーストトレインにが木というイメージ 語を、意識巣から思いおこした。 同時に、レール。枕木という単語が、意識巣から、頭の中に、こぼれ落てくる。 このイメージはすぐさま、ゴーストトレインの支配者である[天宮]へ送られた。 天宮は木というイメージ語から、自分の体を構成するモノとの相似に愕然とした。「木だと。誰なんだ。誰かが、私に何かの信号を送っているのかもしれん。私は長い間、眠りについていたのだ。私の覚醒におびえている者がいるかもしれん』 天宮はコードにいるゴーストトレインに命令する。『ゴーストトレインよ。その侵入者を食べるな。侵入者を積み込み、大球へ戻ってこい』 北の詩人は、ようやく、その場所へ辿りついていた。目の前でゴーストトレインが伺かを食べようとしていた。 よく見るとゴーストトレインは、その何かを噛まずに、飲み込もうとしていた。北の詩人にとって、飲み込これたものの姿は、彼のイメージ脳をいたく刺激した。 北の詩人の眼から、いつしか温いものが流れていた。 「この液体は! ああ、そうだ、「涙」というんだったな」 北の詩人は独りごち、手で涙をぬぐう。『なぜ、涙が流れるのだろう。それにこの心の奥から湧いてくる切ない気持はなんだろう』 さわりたい。あのアー・ヘプンの体にふれてみたいと北の詩人は思う。 なぜか、北の詩人は、その物体がアー・ヘプンという名を持つ生合体である事を知っていた。 北の詩人の手は、ゴーストトレインの半透明々体を貫き、すでに消化器に入っているアー・ヘブンの体をなでまわした。 ゴーストトレインは、いつの間にか詩人が現われた事や、さらに自分の体の中の生合体をさわって泣いている事に驚いていた。 ゴーストトレインは、北の詩人を見た。一体どうしたのだという表情で。『いったい、この侵入者は伺なのだろう。かつて、大球と小球をつなぐコードにある透視層を突き破った生命体はいなかった。それになぜ北の詩人が泣いているのだ』 ゴーストトレインは、不思議に思った。「ねえ、北の詩人、君は、この生合体を知っているのか」「いや」 北の詩人は首を振る。そして続けた。 「知らない。が、とてもなつかしい気がするんだ。この侵入者に触れてみたかったんだ」 「なつかしいだって? どんな気分々のか、俺にはわからないなあ。とにかく、俺は「天宮」さまから命令を受けている。この生物を「大球」までつれて帰れとね」 ゴーストトレインは、寂びしそう力顔をしている北の詩人に尋ねた。 「俺と、一緒に来るかね」 「いや、僕はユニコーンに乗せてもらうよ」 「そうか、それじゃ、俺は先にいくぜ」 北の詩人は、後をふりかえってユニコーンを呼んだ。 ユニコーンは、対のふたつに分かれた死体のそぱにいた。ユニコーンは無心に死体にしゃべりかけていた。「君は、どうして、僕と一緒に実体化しなかったのだろう。僕は待っていたんだよ。いつの間にか君が僕達を追いこして、コードにはいっていたなんて……」「ユニコーン、こっちに来てくれ」 今度は、北の詩人の声が聞こえたらしくユニコーンは、北の詩人の側にやってきた。詩北の詩人の様子に驚く。 「どうしたんだい、泣いているのかい。何か、悲しいことでもあったのかい。そう泣かないでかくれよ。僕も、彼女が死んでいるのを見て驚いているんだ」 北の詩人が、心配そうに尋ねた。「彼女だって、あのユニコーンか」「そうなんだ。情報ユニット「ユニコーンの旅」とは、僕と彼女の小球への旅々なんだ」「そうか。悪い事をしたんだね、僕は」 北の詩人は、また泣き出した。「しかたがないよ。もう彼女は生き返りはしない。早く、僕の背中に乗りなよ。ゴーストトレインを追いかけるんだろう」「頼むよ」「でも、なせ、ゴーストトレインに乗せてもらわなかったんたい」 北の詩人は答えす、首を左右にふった。「わかったよ、泣かないてくれよ。僕もとても悲しいよ」 アー・ヘブンは、ゴーストトレインの腹腔で、徐々に回復しつつあった。傷ついた表皮は復原機能が働き、元に戻りつつあった。 アー・ヘブンは自分の体が、振動しながら移動していることに気づく。体が空中に浮かんでいる。 空気が高密度に収斂し、動いている。空気の構成因子が膨張し、実体化され、ゴーストトレインという一つの生体機械を作り出しているのだ。 ゴーストトレインの車体部分はほとんど古代の動物そのものであり、しかも半透明だった。 アー・ヘブンは腹腔の中にとらえられたままでいようと思った。そうすれば、天宮の元まで、おのずと連れて行ってくれるだろう。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2013.07.07
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training アー・ヘブンは意識をとり戻す。奇妙な液体がアー・ヘブンの体をとりかこんでいる。アー・ヘブンはすばやくこの液体の成分を分析する。 塩分、鉄分、鉱物資源を多く含む液体層。それが透視層だった。 この中で生物体はやすらかに眠り、その眠りの間に、生体や生体細胞、生体情報が、すみからすみまで分析される。 アー・ヘブンは,層内には数々の星の、種々の精一構造を持つ星人の意識が浮遊しているのを読みとっていた。それらの意識は、スパイダーネットによってつかまえられた星人の意識なのだろう。 この透視層に浮かんでいる星人の意識は、色々な事を叫びつづけている。幻想的なイメージでー杯なのだ。そのイメージは一種、心のトリップをかもわせ、アー・ヘブンも興昧屎かった。 私も、そんな意識因子になるのか。アー・ヘブンは、快いまどろみの中でそう感じた。それもいいかもしれない。ハーモナイザー末端部の個性群体に属していた時の気分に戻っていた。 羊水の中にいるようだ。 アー・ヘブンの心は、さまよっている。 それはとてもいい気分であり、、長い宇宙飛行のあとの休息、、それに、体もバラバラに解体され…… すでに「アー・ヘプンの切り離された肉片」が解けて、同化しようとしていた。 『何をしている、アー・ヘブン』 心の奥で光るものがあり、それがまどろみをさえぎろうとする。 『アー・ヘブン、お前の使命は何だ。それを思いだせ』 その声は明らかに怒っていた。 アー・ヘブンに言いきかせている何かが、アー・ヘブンの心のどこかにいた 『その透視層の中から抜け出せ。溶液の中から逃げ出すのだ』 光の声は、そう叫んでいた。 まどろみたい、この安らかな溶液の中で。 意識が再び沈んでいきそうだった。相反する二つの意志。アー・ヘプンの心はまっ二つに分裂する。そんな気がする。どうすればいいのか。自問自答する。 意識の中の光が、働いていた。『はい出すのだ」 アー・ヘブンは、自分の球体に内包している全ての触手を、全開した。 3番目の触手が、透視層の外壁を一気に突き破っていた。 破れ口は拡がり、溶液は流れ出て、勢いにのって、アー・ヘブンも押し出された。 溶液に含まれている種々の星入の意識が、コードの内壁に拡がる。それらはバチバチと音をたてて、コード内に張りめぐらされた「天宮」の神経糸を刺激した。 アー・ヘブンは、しばらく倒れていたが、肉体としてなんとか立ちあがる。アー・ヘブンはの視覚組織は、自分の目の前にいる生物体を読み取っていた。、 その生物体はたしか、、、、。 天宮に関する知識を、プレイバックする。 「そぅだ、新機類か」 アー・ヘブンは、思い出していた。 このユニコーンは、ハーモナイザーが作り出したものだ。そう確か、ハーモナイザーが天宮を監視するために、新機類と呼ばれるユニコーン型の観測機械を大球上に配置したはずだ。 が、何かが少し違っている。 アー・ヘブンは、ユニコーンに意識を送り込み、意識を融合しよぅと努めた。しかし、アー・ヘブンの意識は、はじきかえされた。やはり変だ。ユニコーンの意識に同化できない。 ハーモナイザーの意識の一部であるならば、たやすく「アー・ヘブン」と内部で意識融合できるはずガのだ。が、意識の融合現象は、おきなかった。 あきらかに、そのユニコーンは何ものかに加工されたに違いなかった。 アー・ヘブンはゆっくりと、ユニコーンヘ近づく。 それより先に、ユニコーンの方がアー・ヘブンヘ接近してくる。ユニコーンは勢いづいていた。ユニコーンの角がキラリと光っている。眼には憎しみの感情があふれている。 感情だと! それも憎しみの!アー・ヘブンには理解しがたかった。憎しみの感情がまだ残っているのか このような感情は、ハーモナイザーの世界には存在しないはずだ。憎しみの感情が、こんきに原始的な形で存在しているなんて! アー・ヘブンは、未知の異なる存在に対する反応をおこしていた。 ユニコーンは、あきらかに、私アー・ヘブンを抹殺しようとしている。 「抹殺!」 何んという、原始的な感情なのだろう。 が、アー・ヘブンも古い本能を思い出していた。それは、先刻、透視層をつきやぶった時から、徐々に、アー・ヘブンの心を浸しつつあり、自分でも統禦できないものだった。 「身を守る」という概念が、古い意識の下から蘇ってきていた。 ユニコーンの角は、アー・ヘブンの第一表皮に接触した。 瞬時、アー・ヘブンは自らの体内エネルギーを解き放っていた。ユニコーンは動きを止め、胴体の真中からばっくりと二つに割れた。腹腔から、ずるっと内臓があふれ出た。湯気をあげているそれは、機械内臓ではなく、有機体のそれだった。アー・ヘブンは第一触手を、ユニコーンの体内に這わせ、神経記憶を読みとろうとした。『彼女が目ざめた時、すでに連れはいなかった。彼女は彼と旅をするはずだった。どうやら「北の詩人」という存在とすでに旅立ったらしい。彼女、ユニコーンは、彼「北の詩人」を求めて、大球をさまよった。が、大球では見つけることができなかった。しかたなく、彼女は、コード内に侵入し、異物とそうぐうしたのだ:・・「この記憶は……」アー・ヘブンがユニコーンの記憶に驚いた一瞬、危険という概念が、電撃の様に体を貫いていた。巨大な物体に、アー・ヘブンははじき飛ばされていた。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
2013.07.06
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training ユニコーンと北の詩人が歩みはじめた、その地下、つまり「大球」の奥深く存在する純粋思考体、新しく目覚めたばかりの「天宮」は異物の飛来を気にやんでいた。そしてまた、「大球」の鉄表面でも、大いなる生態系の変化が、起こっている。つまりは、すでに大球の表面に生棲していたハーモナイザーからの監視者=ユニコーン達、新機類、はゴーストトレインが喰いつくしている。覚醒したる「天宮」は、情報ユニット「ゴーストトレイン」を実体化させると同時に、その「ゴーストトレイン」の感覚を共有している。つまり、「天宮」イコール「ゴーストトレイン」。そして、不思議なことに同じく実体化させた情報ユニットである「ユニコーン」と「北の詩人」の心情、感覚も理解して、共有しているのだ。覚醒したる「天宮」は、「大球」の鉄の表面には、存在しえない生物体を実体化させ、「大球」「小球」の生命生態系を、大いに改革しょうとしている。まるで、別の星になるように、、何匹めかのユニコーンを倒した時、「大球」につながる「小球」に存在るう大いなるハモナイザーの監視機構「生命球」から、危険信号が天空にむかい放たれたのを、機械群の共生体「天宮」は感じていた。さらに、むずがゆさとでも呼べばいいのだろうか、ある種の奇妙な感覚を天宮の予知能が感じていた。目覚めたる機械群の共生体「天宮」にとっての「敵の存在」である。「生命球」以上の存在。ハーモナイザー?、しかし、今感じる脅威は、それではなかった。「天宮」、その気持は、新機類を喰いつぶした時のゴーストトレインの様な荒々しい気持とは異なっている。何か細やかな手ざわりを持つもの。そう、なつかしい人?の手?のイメージが、天宮の全感覚の中にひろがっていく。人? 手? それは、何だ。「天宮」には記憶にない。あるのかの知れないが思い出せない。やわらかき手。そして人間のイメージが、、。しかし、天宮は、そのやわらかい手によってにぎりつぶされるイメーージを描いた。「自分は滅びるかもしれない」、そんな予感を、覚醒したばかりの「天宮」は感じているのだ。ハーモナイザーの使徒、「アー・ヘブン」の空間飛翔体、つまり「胞子」は、急に襲ってきた「粘性の網」に包まれている。胞子の持つ推進力が、この粘着力のある網に対してはまったく作用しないのだ。あらゆる方向に動くことは動くのだが、一定の距離に達すると、反作用でまた元の場所へ戻ってしまう。つまりは、アー・ヘブンはみごとに敵の手中に陥ったようだ。ここは「敵」の勢力圏の中である。「敵」イコール、ハーモナイザーせざるモノたちである。恒星「タンホイザー=ゲイト」の中心部、緑色の液体で充たされた空間。その場所に浮遊する巨大な″木″。″木″は意思の集合体であり、「ハーモナイザー」と呼ばれる。この粘性のネットは、俗に「スパイダー・ネット」と呼ばれている。「天宮」は、小球をチューナー部分として使い、自分の膨大な情報ユニットが持つ、色々なイメーージを宇宙にまき散らし、そのイメージ像に、興味を持った宇宙船を呼び寄せていた。 そして、その宇宙船を、大球と小球を結ぶコードから発射される「スパイダーネット」でからめとっていた。 「天宮」は、その船のメインデータバンクや乗員から全宇宙の知識を盗み出していた。「天宮」は、自分の存在を検証しているのだ。自分とは何か。そして何のために存在するのか。そして大なる覚醒の意味合いは、何なのか? アー・ヘブンの乗った胞子は、ゆっくりとコードヘ引き寄せられていた。 ハーモナイザーの使徒、アー・ヘブンは、自分の分かれている位置をじっくり観察する事にする。 まっ黒な表面で包まれている「大球」のまわりをゆっくり「小球」がまわっている。小球は大球の何分のIかの大きさで衛星のようだった。 睡眠学習によれば、「大球」は、遠い昔、ハーモナイザーと争い、敗れたとの事。その時、「大球」はみずからの意志で、大球表面上の生き物をねこそぎ滅ぼした。 大球が黒い表面、鋼鉄で被われているのは、ハーモナイザーによって封印されたからだ。宇宙の邪悪な星として。 睡眠学習を再生中のアー・ヘープンの体にいきなり激しい衝撃が伝わる。 アー・ヘブンの意識は停止した。 ついに胞子は、スパイダーネット」によってコードまでたぐり寄せられ、凄まじい圧力を加えられた。「胞子」は圧力で消滅しアー・ヘブンは裸のままとり残される。アー・ヘブンのまわりを包み込んでいた胞子の構成要素は瞬時に消え去っていて、 破片を分析しようとしてコードからはりだした、「天宮」の「感覚枝」は、むなしく空をがでた。「感覚枝」は天宮の、実在化する神経細胞であり、手の役割をする。感覚枝は、代りに、とり残されたアー・ヘブンの体をとらえた。コードの一部に穴が開き、感覚枝はアー・ヘブンをその穴の中へ引きずり込む。感覚枝は、アー・ヘプンを、巨大&プールヘと送り込む。このプールは、コードにある透視層で、生命体が解析される場所だった。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
2013.07.05
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_traininghttp://www.yamada-kikaku.com/ 北の詩人は、目ざめた。あるいは 意識が戻ったという方がいいのだろうか。とにかく、その時、彼はユニコーンの背中にのっていた。 突然、どこかの世界から、この世界へ転移されたような気分だった。 ユニコーンの背中の乗りごこちは気持よく、首すじの毛をそっとさわってみる。ぞくっとする。何とやわらかな手ざわり々のだろう。北の詩人は、ユニコーンに言った。「さあ、ユニコーン、行っておくれ、君の望む方向に」なぜ、この生物がユニコーンという名前なのか、とにかく、詩人の口を通じて出た最初の言葉だった。目のの前に、別のユニコーンがこちらを見ていた。そのユニコーンは、詩人が乗っているユニコーンとは異なっていて、悪意というものが感じられた。北の詩人の詩人には、その前のユニコーンのコードネームが、新機類「ルウ502」であり、ハーモナイザーの観察機械、というイメージが浮かび上がってくる。しかし、意味自体は、北の詩人には、コードしてしかわからない。その言葉の意味は理解できなかった。その、悪意を持つ「ユニコーン」は、背後から急速に接近してきたゴーストトレインにはじきとばされた。ゴーストトレインは、倒れたユニコーンの側へもどってきて、死体を確かめ、ユニコーンをうまそうに食べ始めた。その姿に、北の詩人は思わず顔をそむけた。どれくらい、時がたったのだろう。北の詩人は、暗い鉄表で被われた大球の上をユニコーンと一緒に移動し、やがて、一つの穴の前にたった。その穴は、空間にのびていて、どうやら小球という大球の衛星へと続く道の様々のだ。コードだった。 北の詩人とユニコーンは、その穴へと人っていった。なぜ自分がここを歩いているのか自分自身でも理解していなかった。 記憶なのだろうか、北の詩人の心を激しくとらえたのは、ユニコーンが、ゴーストトレインの餌食となったのをながめた瞬間の、胸をしめつける感覚なのだ。 その視覚イメージに触発されて、詩人の頭の内で何かが爆発し、言葉という古い記号が、自分自身のイメージ脳の泉から湧きあがってくるのを感じていた。 さらに奇妙なのは、詩人の情感が何かわけのわからない巨大々存在に扱い取られているような気がすることであった。 北の詩人はイメージする。 私は何かの感覚の末端であり、情報を、視覚と、それから誘発される言語記号で巨大なものに伝えているだけの存在ではないだろうか。 空気というものが、濃密にたまり、流れ、それが風という記号で呼ばれている事を、詩人は思い出していた。 風は、詩人が行くべき方向を示しているようでもあった。 地下道は、血脈のようなもので被われていて、天井には、その血脈から派生した網もはりめぐらされている。 詩人はユニコーンに言った。「さあ、風の吹いてくる方向に向かっておくれ」 ユニコーンと北の詩人は、「大球」と結ばれている「小球」への道を歩み始めていた。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_traininghttp://www.yamada-kikaku.com/ http://ameblo.jp/yamadabook
2013.07.04
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_traininghttp://www.yamada-kikaku.com/ ●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回一つの恒星がある。名前を「タンホイザー=ゲイト」という。星の中心部に緑色の液体で充たされた空間があった。 そこに巨大な″木″が浮遊していた。″木″は意思の集合体であり、自らをハーモナイザーと呼んでいた。虚空からの信号をハーモナイザーは受けた。彼はその信号を分析し、推理した。その信号は小球にある「生命球」の消滅を意味していた。同時に一つの決意が、彼の意識の中で生まれた。ハーモナイザーの末端部へ、中央神経叢を通じ、一つの刺激が送られた。ハーモナイザーの末端部には、数多くの個性群体が付着していた。それぞれは、小さな球体であり、それがまるで根に付着しているように群体を構成していた。個性群体のひとつである「アー・ヘブン」は夢みていた。たゆとう羊水の中で夢みる事を楽しんでいた。アー・ヘブンの個性がいつ、どこの星で生まれ、また、いつハーモナイザーに同化されたのか、その記憶は消え去っている。『アー・ヘブン、目ざめよ』突然、声がアー・ヘブンの体の中に響いていた。誰だ。この快いまどろみの中で私をめざめさせるものは。アー・ヘブンは怒りを感じた。『アー・ヘブン。使命を与える。すぐに旅立つのだ』使命を与えるだと、誰が、いったい、何の権利があって、私を目ざめさせるのだ。おまけに旅に出ろだと、何を言っているのだ。『アー・ヘブン、それが、お前の運命なのだ』運命だと、そんなものなど、とっくの昔に忘れてしまった。私に何をさせようというのだ。『アー・ヘブン。お前は一つの世界を作るのだ、私の代理人として』世界だと、世界とは何だ。それにそんなに価値を持つものなのか、世界を作ることが。『アー・ヘブン。動け。分前が自ら動こうとしないのなら、私が動かす』あー、やめてくれ、私はこの羊水から離れたくがいのだ。しかし、無情にもアー・ヘブンの球体は末端部から切り放され、ハーモナイザーの導管に吸い込まれた。上へ上へと扱いあげられる。 アー・ヘブンの球体の上から何かが、かぶせられたのを、アー・ヘブンの意識は感じた。 何かをかぶせられたまま、導管の内にあるアー・ヘブンの体は急激に加速度を増し、羊水の外、さらにはタンホイザー・ゲイトの外へとはじきとばされた。 アー・ヘブンの体を包んでいるのは「胞子」と呼ばれる飛翔体だった。アー・ヘブンの体は、タンホイザー・ゲイトから離れてゆく。アー・ヘブンは、自分の故郷、タンホイザー=ゲイトを観察する。真中に緑色の輝きが見えた。羊水湖の輝きだった。私はあの中で眠っていたのだ。できれば戻りたい。そうアー・ヘブンは思った。しかし、「胞子」は回転しながら、太陽光流に乗り、銀河を横切って行く。 長い旅路になるだろう。そうアー・ヘブンは感じていた。そして、自らの体を冬眠状態においた。 アー・ヘブンも、また一つの運命を荷っていた。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
2013.07.03
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第2回●作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training新機類、ユニコーン、ルウ502はどこまでも拡がる鉄表の上を四つの足で駆っている。眼の前に拡がるのは鋼鉄の荒野。いや荒野と呼ぶのさえ、不適当だろう。つるりとした冷たい鉄で被われていた。 ルウ502の生体機能は充分に活性化していた。活発に働いている内臓機構や機械筋肉がルウ502に快い気分を与えていた。荒野から絆が生え出ていて、それは上空に消えている。大球と小球を結ぶコード。がそれだ。衛星、小球に存在する生命球が、ルウ502たち、新機類に命令を授けているのだ。まさに、天の糸である。大球、つまり鉄の表面を疾駆するルウ502は、『ああ、俺は生きている。駆けている』 そんな充実感があった。 が、ルウ502の顔にあたる空気流が急に温かくきり、かまけに生体液のすえた臭いがした。 『うっ、この臭いは』 その時、生命球から『ゴーストトレインが出現した』という情報が入力された。ああ、なんという連絡なんだ。そんな連絡などなけれぱ、ルウ502はずっと快適に走れていたのに。 急に走るのがおっくうになる。 ゴーストトレイン。 この「生物的な動きをする一連の機関車・列車群」は、あるいは幻想かもしれなかった。というのは、ゴーストトレインが実際に走っている姿を見たルウ502の仲間はいない。 とにかくそいつはレールもないこの鉄表面を自在に走り廻り、ルウ502たちの仲間をひき殺しているという。 前方に仲間の新機類たちが集まっているのが見えた。ルウ502はどうやら目的地についたようだ。 犠牲者はルウ300たった。首がへんに左角度に折れ曲がり、角は抜きとられていた。腹腔が無惨に破られ、内臓機械がはみてていた。 ゴーストトレインはルウたち斯様類をくいちぎり、内臓をくらうという。それも情報回路が集積されている心臓部分を。 ルウ502は身震いをした。不快感から全身の汗腺穴が収縮した。が、冷静に観察しなければならない。 ルウ300の赤外線アイが色相変化している。かわり果てた姿としかいいようがない体。 角からコードがはみでているのも、物悲しい。 一番大切な角。 この角で、ルウ502達は衛星、小球にある「生命球」へ連絡をとっているのだ。 収集した現場データをルウ502は生命球へと送った。 しばらくして、ルウ502達全員に、生命球から命令が下った。 『ゴーストトレインの存在を確かめよ』 新機類たちは四方八方へ飛び出した。ルウ502も無限に拡がる鉄表の上を、つめが生えた節足で駆ける。 , 二、三クロノタイム走っただろうか。平原にはまるで変化はなかった。 ルウ502は急に停止する。角が感応する。何かが存在する。が、この鉄表上には何者も存在するはずがない事を、ルウ502は理解していた。 何しろ、この「大球」、つまり巨大な鉄の球の表上では、ルウ502たち、新機類しか生存していないのだから。 が、何かが反応していた。そいつは今、動いてはいない。 ルウ502の数m前の鉄表が白熱していた。 白熱部分にルウ502はゆっくりと焉ついていく。そいつは白熱部分の中から姿を見せていた。 自分の赤外線アイがこわれたのてはないか。ルウ502はそう思った。なぜなら、そいつはルウ502とうり二つなのだ。 が、体の中に機械が存在しない。かまけに、そいつの上には別種の醜い生物が乗っていた。 ルウ502達断機類とはまったく異なる存在だった。こんな生命体がいるとは信じがたい。 醜い生合体が、ルウ502にそっくりな生命体に音を使って意志を告げていた。ルウ502はその空気振動を解析した。音はこういう意味らしい。 『さあ、ユニコーーン、私、北の詩人と行こう。旅行しょうじゃないか。この大球をね』どうやら、そいつは、微笑んでいるようだ。つまりルウ502に対して、友好的な態度を見せているのだ。 驚きの連続でルウ502は一所に静止していた。 それゆえ、急激に接近してくる別の物体に全く気づかなかった。 一瞬、ルウ502の体は、巨大な物体にふき飛ばされていた。 ルウ502の赤外線アイは二本の光帯を一瞬見た。 ゴーストトレインだった。 ルウ502の生命光が消えるのと同時に、20メートルもの体長のゴーストトレインはかま首をもたげ、愕を開け、ルウ502の腹腔を喰い破り、心臓をむしゃぶり始めた。 ゴーストトレインの顔は、うれしそうに笑っている。おいしいのだ。ルウ502の体が。ゴーストトレインの先頭部に口となっていて、ぼろぼろと、ルウ502の内臓のあたる、機械部品が転がり出てくる。「大球」から遠く離れて存在する「小球」。その「小球」中心部に機械パネルで被われた生命球が存在していた。生命球はハーモナイザーの分身であり、また監視機類の元締であった。生命球は大昔、ハーモナイザによって、小球に組み込まれ、新機類を生みはぐくんできた。■生命球は、ルウ502の最後に送ってきた映像を分析していた。なぜ、新機知しか存在しないはずの鉄表に、生命体がいたのか。それにあの白熱は何を意味するのだろうか。『まさか、天宮がめざめたのては』何かが大球の中でかこっている。ハーモナイザーによって、大昔、「封印された大球」の中で。その頃、大球と小球をつなぐ絆に,変化がおこっていた。蘇った機械共生体「天宮」が神経糸を張りめぐらそうとしていたのだ。生命球は、大球上の、すべての新機類を呼びだしてみた。ゴーストトレインを捜索中のはずだ。が、どこ個体からも、応答がまったくない。こんな事は今までになかった。生命球が始めて感じたパニックだった。生命球は自らの体を移動し、バリヤーヘ逃げ込もうとした。が、パリヤーは生命球を包み込むと、収斂した。『これは、どういう事だ』バリヤーは生命球の意図に反して作動している。すでに、天宮の「神経糸」が小球へ侵入していた。生命球はバリヤーにからみとられ、動けない。表面パネルが音をたてて吹き飛び、各部位がめり込んだ。数秒後、「生命球」は圧力に抗しきれずづフパラにはじき飛んだ。生命球は消滅する時、信号を発する事が自分自身の存在理由であったことを理解していた。やがて、生命球の破片を天宮の神経糸がつかまえた。いまや大球と小球は完全に、機械共生体の支配下にはいっていた。それは天宮(てんきゅう)が一つの運命の道を歩み始めたことを意味した。■大球上では、醜い生合体がゴーストトレインに言った。「おいおい、僕の乗り物を奪うんじゃないって」「北の詩人よ。では、新しいユニコーンを再生してやろうか」ユニットコードナンバー 16589ユニットタイトル 北の詩人ユニットコードナンバー 836250ユニットタイトル 幽霊列車(ゴーストトレイン)ユニットコードナンバー 386574ユニットタイドル ユニコーンの旅彼らは、、機械群の共生体「天球(てんきゅう)」のイメージコーダーが作り出した創造物であった。(続く)●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第2回●(1987年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_traininghttp://www.yamada-kikaku.com/ http://ameblo.jp/yamadabook
2013.07.02
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