2004年3月29日(月曜日)



 エルビラは自宅でその「お茶会」を是非したいと

 私の顔を見るたびに”セレモニア・デ・テ”と話しかけて来ました

 友人が訪問してくると

 私を紹介して「お茶会」の話題で盛り上がり

 電話がかかると

 ”ハポネサ(日本人)”&”セレモニア・デ・テ”の言葉が

 聞こえてきました

 私の滞在中、最後の日曜日に「お茶会」を開催する事になりました

 当日の通訳はエルビラの友人で大学留学中に

 Mexico人の医者と出会い結婚したアヤコと

 出張中の日本人商社マンと結婚したエルビラの娘シルビアの

 息子で大学生のヨシキの二人に頼みました

 お茶会当日

 エルビラ邸の広いリビングにメリダ市民26名の老若男女が集いました

 ヨシキが最初に「お茶とお菓子のいただき方」を説明しましたが

 ”お先に”がやはり気に入ったようで

 ご老人から子どもまで楽しそうに隣の人に御挨拶をしました











やはり静寂の中お点前が始まったのです

 エルビラ邸のリビングはもはや「茶室」と化していたのでした

 エルビラの息子マリオは挨拶を忘れた人にアドバイスをし

 自分が茶碗を持つときには緊張の糸がピーンと張っていました

 抹茶を飲み終わった人から質問も飛び出します

 お茶は何から出来ていてどうして作るのか?

 茶筅は何から出来ていて作り方は?

 何故日本人は「お茶会」をするのか?等々でした

 前もってアヤコには「和敬清寂」の理念を説いてあったので

 一生懸命に日本の四季を楽しむことまで通訳してくれました

 和やかな中にも熱気が漂うMexicoとJaponの

 交流のひとときでした

 ここでも自ら茶筅でお茶を点てたいと次々にチャレンジします

 エルビラはお運びを手伝ってくれましたが

 驚いたのはエルビラの顔つきがすっかり”お茶人”になっていて

 歩き方も思いのほか”しずしず”とすり足になっていました









全ての人がお茶をいただき終わった時

 そばで熱心にお点前を見つめていた一人の女性が歩み寄り

 感激のしぐさで私をだきしめ

 「ボニータ!ボニータ!(美しい)グラッシアス」といいながら

 彼女の瞳はウルウル潤んでいました

 文化交流に言葉は要らないのだと

 茶道の心は確かに国境を越えた事を全身で感じたのでした


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