お月見
ネコフセ高原ネコフセ森の前にある
ノコママネコのお菓子屋さん
自慢の庭は広く
奥には清水の湧き出る泉があります
この泉
満月の日になると
泉の量が増えて
小さな池になるのです
今日は十五夜
満月の中でも特別な日
お月見の日です
泉の水量がいつのまにか増えて
小さな池になっています
日暮れと共に
大きな丸いお月様の姿が
くっきりと光り出したころ
ノコママネコの庭に
村のネコたちがやってきて
みんな静かに月を眺めています
泉がある場所からは
ネコフセ山のしっぽの木の側にある
涙池を見ることができます
月が高くなると
その涙池にお月様が写るのです
子ねこたちも集まってきました
「早く早く！」
「もうすぐだよ！」
お月様をながめながら
ネコたちはじっと何かを待っています
いったい何を待っているのでしょう
すっかり月が高くなり
涙池に月が写り
泉にも月が写りました
すると・・・
どこからか歌声が聞こえてきました
涙池の子守歌です
涙池の子守歌が
泉から聞こえているのです
子守歌は静かな
まるいお月様の明かりの中に
解けてゆきました
子守歌が終わると
村のネコたちは
泉の水をもらって家に帰ります
ミケにゃんとユキにゃんも
泉の水をもらって帰りました
家に帰ると
大きめの鉢に泉の水を張り
すすきやりんどうやききょうの花といっしょに
月の光のあたる窓辺に飾ります
この鉢の水に月が写ると
涙池の子守歌が
また聞こえてくるのです
村のネコたちは
家でこの子守歌を聞いてから
眠りにつくのでした
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