食べたり読んだり笑ったり

食べたり読んだり笑ったり

記憶の国



眠ると夢を見るでしょう、目覚めて夢を忘れるでしょう、
昨日が明日になるでしょう、なにかを忘れているでしょう。

置き去りにされた記憶を使って、国を建てる小人がいます。
保険証とかパスポートとか大事なものを入れている、小さなひきだしをあけたとき、からっぽのマッチ箱が入っていることがありませんか。
揺すらないようにして、こっそり箱を引き抜いてみてください。

一瞬、ですよ。
私が見たのは、夕焼けの国。
沈む陽をうつした海の向こうにガラスでできたお城があって、透明な魚が一尾、くるりとはねて輝きました。

まばたきのうちに消えたけれども。

かさり、引き出しを引くときに、音が立つと失敗です。成功したのは、一回だけ。
最近、父が煙草をやめて、マッチ箱の数が少なくなりました。
小人も困ることでしょう。


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: