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2005.10.14
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たばこの健康への害が指摘されて久しいが、それでも日本では50%を超える男性がいまだにたばこを吸っており、これは先進国の中でもトップクラス。さらに問題なことは、若年層の喫煙者が増える傾向にあることだ。
 日本禁煙推進医師歯科医師連盟会員で、JR東京総合病院で禁煙外来を開設している石井周一・内分泌内科担当部長に禁煙方法や最近の禁煙事情などについて聞いた。

Q.まず、たばこの害について教えてください

A.なぜ喫煙が問題なのかというと、がんや循環器疾患などさまざまな病気を引き起こすとともに、周囲にいるたばこを吸わない人にも害を与える「受動喫煙」の問題があるからです。たばこには約4000種類の物質が含まれており、うち200種類以上が有害物質。なかでも3大有害物質といわれているのが、タールと一酸化炭素とニコチン。タールは発がん性があるし、一酸化炭素は神経や血管の障害をもたらし、ニコチンは虚血性心疾患の原因となり依存性もあります。
 喫煙によって、肺がんになる危険は非喫煙者の4.5倍となり、喉頭がんは32.5倍。また、喉頭がん患者の99%が喫煙者です。たばこを吸う本数が増えるに従って、肺がんや虚血性心疾患で死ぬ確率も高くなります。喫煙が原因で死亡している人は、WHOの推定では世界で年間300万人。うち日本は11万人。これは交通事故の年間死亡数の10倍の数です。300人の喫煙者のうち1年で1人が死ぬ計算です。これは少ない数字だと思うかもしれませんが、10年では10人、30年では10人に1人死ぬということです。

Q.禁煙できない人も多いですね?

A.医師のたった一言のアドバイスで簡単にやめる人もいる一方で、ビュルガー病(閉塞性血栓血管炎ともいい、原因の1つにたばこが挙げられている)で片足を切断してもたばこをやめられず、ついに両足を切断する人もいます。
 やめられない理由としては、習慣として喫煙する心理的依存とニコチンへの渇望としての身体的依存の2つがあります。ニコチンには依存性があり、喫煙は1種の薬物中毒です。ニコチンがなくなるとイライラしたり、集中できなくなったりするニコチン離脱症状が起こります。「たばこを吸うと気持ちが落ち着く」というのは、いわばニコチンを補って普通の状態に戻るだけのことなのです。

Q.禁煙方法について説明してください

A.方法としては、大きくニコチン置換療法と行動置換療法の2つがあります。身体的依存の場合、ニコチン離脱症状が辛いので、パッチ(貼付薬)やガムなどたばこ以外の方法でニコチンをからだに補給して離脱症状を緩和するニコチン置換療法で治療します。離脱症状は、禁煙してから1、2週間目がピークで、症状は約1カ月続くといわれています。離脱症状が緩和してくれば投与するニコチンの量を減らし、最後に投与を中止して禁煙が達成されるわけです。すべての人がそれだけでやめられるわけではなく、医師の適切なカウンセリングを伴って有効率が向上するのです。
 吸いたい気持ちをコントロールする方法としては、たばこを吸いたくなったらお茶を飲む、ガムをかむ、深呼吸をする、それからコーヒーやアルコールを控えるなど日常の行動パターンを変えることも有効です。また、喫煙道具をすべて捨てる、たばこを吸いたくなる場所を避ける、など環境を変えることもいいでしょう。禁煙を継続させるコツは、たばこの害について自分なりのイメージを持つ、禁煙した理由やそのために払った努力や禁煙をしてよかったことなどを思い浮かべる、周囲に禁煙を勧める、などです。

Q.喫煙運動にもさまざまありますが?

A.大きく、禁煙外来などのように医師などが個別に喫煙者を指導する方法と、禁煙教室のように集団的に指導していく方法があります。後者の形としては、禁煙マラソンが有名で、インターネットで多くの人に呼びかけて禁煙を目指す方法や、会社ごとに禁煙する方法、禁煙コンテストといって郵便で希望者を募り、禁煙のキットを配って呼びかける方法もあります。

Q.先生の禁煙外来はどういうきっかけで始めたのですか?

私はもともと糖尿病が専門です。糖尿病は網膜症、腎症、全身の神経障害という合併症が怖い病気です。いわば全身の細く小さい血管がおかされる病気です。ところが、たばこの中の一酸化炭素は細胞毒だし、赤血球と結び付いて酸素の運びを阻害して酸素欠乏にするし、ニコチンは血管を収縮させて血液の流れを悪くします。たばこが合併症に悪いということで、私は当時、患者さんに禁煙をアドバイスしていました。そんな時、禁煙のニコチンガムが日本で発売されたことを知り、平成6年12月、ニコチン置換療法を主とした禁煙外来を始めました。
 初診では、まず患者さんの喫煙状況を調べます。なぜ禁煙をしたいのか、どんなたばこを1日何本、何年間吸ってきたのか、職場環境は、禁煙の経験、その失敗理由は、身内にがんの人がいるか、などです。そして、ニコチン依存度テストをしたり、呼気中の一酸化炭素濃度の測定、次に資料や写真でたばこの害についてお話しして、患者さんに合わせた禁煙プログラムを作成します。

Q.患者にはどんな方が多いのですか?

A.開設当初の来院者は男性が9割で、女性が1割でしたが、女性がだんだん増えてきて、最近では7対3から6対4の割合です。特に最近、ニコチンのパッチ(貼付剤)が発売されてから女性が急激に増えました。女性はガムをかむことに抵抗感があるようですね。年齢は50歳以上が6、7割を占めています。
 また、来院の動機で一番多いのは、健康が心配でたばこをやめたいという人。だから9割が何の疾患もない健康な人です。それから、身の周りの職場や飛行機で分煙化が進み、「こんなことなら、いっそやめてしまおう」と思った人です。
 ほとんどが1日に30本以上吸うヘビースモーカーです。禁煙外来に来る人はみな、身体的依存と精神的依存の両方の側面をもっていますが、7割が身体的依存の方が強い。そして来た人の9割程度にニコチン置換療法を指導しますが、その結果、3カ月から6カ月の禁煙導入ができる人は6割くらいです。禁煙の動機がはっきりしている人の方が成功する率が高いです。

Q.最近、軽いたばこが増えていますが?

A.低タール、低ニコチンなどの軽いたばこは問題です。確かに単純に比較をすれば、軽いほうがからだにいいのですが、喫煙者はみな自分のからだに合ったニコチンの量が決まっています。だから、軽いたばこに変えると、結果的に吸う本数が増えたり、いままでより深く吸い込んだり、たばこの根元まで吸ったりと、吸い方が変わります。一酸化炭素に関していえば、吸う量が増える分だけ被害がもっとひどくなるかもしれません。
 それから、高校生で7割、中学生で5割、小学生で3割と、未成年者の喫煙経験率が「75.3」だと言われていますが、軽いたばこはとっつきやすいので、若年層の喫煙習慣という点からも大きな問題だと思います。







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Last updated  2005.10.14 19:55:31
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がくめぐみ @ こんばんは すごい莫大な量の廃棄物ですね。私も出来…
ゆう@ とうとう出ちゃったね うわさは本当だったよ。 http://himitsu.…
ss_beans @ 私も気になります 勉強になります。禁煙はいいことだと思い…
Drやま @ Re:凄く勉強になりました(09/25) ゲストさん >エイズは凄く恐い病気です…
Drやま @ ご訪問ありがとうございます。 エイズだけではなくこれから未知のウイル…

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