Four Seasons

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2005.11.14

県民の日。

(5)

カテゴリ：思い出

11月14日、埼玉県民の日。
毎年この日になると、思い出すことがある。

当時私は13歳。
学校が休みだったので、妹をつれて、片想いの男の子の家を探しに冒険に出た。

我が家は学校から見て、こっち15分くらいのところ。
彼の家は学校から見て、あっち１時間以上のところ。
もちろん彼の家は知らない、頼るは住所のみの、大冒険だ。

当時の私は、修学旅行や運動以外は普通に動けたし、健常者と比べて疲れやすいくらいで、特に深く考えず、どんどん歩き出した。
住所を見ながら、番地を探しながら、すごいところも歩いた。
まわりたいけど場所がわからなかったので、他人の家の畑の中などもつっきって歩いた。
その時、人の足が土の中からニョッキリつきだしていて、エラいびっくりしたのを覚えている。
長靴が逆さに置いてあっただけなんだけど、本当にびっくりしたよ～…^^;

すごい坂を下りて、人家の無いようなところも歩いて、ようやくようやく見つけた彼の家。
そこで私は、安心したのか疲れが出たのか、苦しくなってしまった。

今みたいな発作ではないけれど、そう簡単に治るものでもなく、困ってしまった。頭はボーッとするわ、冷や汗はかくわ。電話を探したけれど見あたらない。妹におぶってもらったが、妹は9歳。13歳の私をおぶってスタスタ歩けるわけでもなく、2、3歩歩いてはおろし、また…の繰り返し。私も苦しくてどうしようもなくなってきた。
場所も悪かった。住所頼りに歩いたので、場所がわからない。
さっきのすごい坂を上ることはまず無理。でも他の道もわからない。
必死で歩いたけれど彼の家がまだ見えるくらい。全然進んでない。

今思うと、妹はさぞ心細かったと思う。
私は意識もうろうとしてるし、歩けないし、話も満足に出来ない。
まわりには電話も見あたらず、道もわからない。
どうしていいかまったくわからない。
携帯も無い時代、9歳の頭では何も考えられず、姉は道ばたにへたりこんでる^^;
あぁ、今考えるとほんとにごめんよ、妹…。

どのくらいそこに立ちつくしていただろうか（いや、私はへたりこんでいた）。
「あなたたち、どうしたの？」
おばさんが、話しかけてきてくれた。
私は答えた。
「散歩しに来たんですけど苦しくなっちゃって…」
こんなにスラスラ答えてないけど^^;
「家はどこ？」
答えるとおばさん、目を丸くした。
「そんなとこから？２人で？…本当に散歩？」
まさか「好きな子の家を探しに」なんて言えるはずもなく、ただ頷くのみ。
おばさんは言った。
「あのね、おばさん、そっち方面に行く用事があるの。車で乗せていってあげるからちょっと待ってて」
あと、私の記憶はあまり無い。ただ、「本当に散歩で？」と何度も聞かれ「散歩です」と何度も答えていたような気がする。家の前まで送ってもらい、妹が母を呼びに行き、お礼を言って終わり。名前を聞くこともできなかった。

よく考えると、とても怖い。
知らない人の車に乗るなんて、とても怖い。
でもあの時は、それしか無かった。知らない人の車に乗っちゃダメだとか、そんなことを考える余裕は無かった。
ただただありがたかった。

あの時のおばさんにお礼が言いたいと時々思い出す。
うちの方に用事なんて絶対嘘だと思う。
そして図々しいけれど、もしかしたら、その、好きな子のお母さんだったかもしれないとも思う。
…それは無いか^^;
おばさんは、私のことを覚えているだろうか。

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