相変わらず、良い文章ですね。
こういう話は日本でもたまに伺いますが、いかんせん大抵がバブル時代の産物でして、ワインに対する心得が無い保有者が多い為、残されたワイン自体も昇天していることが多いようです。

しかし、またまた御発注ですか?
でもこの手の意思の弱さは人として可愛いと思いますよ。
僕もこうありたいです(笑)。 (2006/01/14 08:48:43 AM)

Terroir

Terroir

2006/01/14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
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昨日もまた2ケース余発注してしまった(Kurivouさんが興味あるのではないかと思うのでMeursaultとだけ記す。勿論2つのうちの1つである)。私の意志の弱さは私が知る以上かもしれない。夜半にセラーの整理をしながらふと1本のワインを見つけ、考えさせられてしまった。20年程前私がカリフォルニアに住んでいた時に買ったものである。

当時、ワインに夢中になりはじめていた頃で暇があると酒屋に行って瓶を眺めていた。そのうちに親父と仲良くなりいろいろ情報を得るようになり、更にそこの顧客(殆どが富豪である)が亡くなった時にセラーを売りに出すということを知った。当時はネットオークションも無く、大抵は遺族が故人が贔屓にしていた酒屋に電話してセラーの中身の処分を依頼することになる。酒屋が売値でそのまま引き取り、その値段で別の顧客に渡すことになる。遺族も遺族なら酒屋も酒屋。今のように値動きがなかったせいもあるが、Altruismというべきか欲が無いというべきか。よき時代であった。

そうこうしているうちに、顧客が亡くなる度に酒屋がわざわざ電話をしてくれて故人のセラーに随行するようになった。コレクションを見る度に故人が素晴らしいコレクションを持ちながら旅立たれた無念に心が痛む一方、心のどこかで完璧に保存されたワインをゲットできる喜びにほくそえんでいたのも事実である。実際、私のコレクションの1950・60年代は大抵そこから来ている。

前置きが長くなったがこのボトルはその中の一つである。セラーは500本位でボルドーが多く特記するものは少なかったが故人はソーテルヌがお好きだったようでファルグやジレットなどがあった。そしてセラーの一番目立つ所にこのボトルと1929のイケム。29の方は酒屋の親父が取り、私がこのボトルを頂いた。このボトル、故人の怨念がつまっているのか、それともワインを判ってくれる(と自分では思っている)人の手に渡って故人が安らかに眠られているのか(RIP)は知る由もない。イケム67自体はまあ、普通だがただ自分はこのボトルは心して開けなくてはならないと決めている。未だにそういう機会はないし、ひょっとして死ぬまでそういう機会はないかもしれない・・・・

そう、考えたこと・・・私のコレクションは私の死後どうなってしまうのか?せめて何本か死の直前に開けて飲もう。残りは価値の判る若いワイン愛好家の手に渡るのも良いだろう。そういえば私の英国人の友人は75歳を機に一切新しいワインを買うことをやめた。メメント・モリである。





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Last updated  2006/01/14 03:44:44 AM
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メメント・モリ  
ショコタ さん
時を経たワインがどうして魅力的になっていくのか。その秘密がほんのちょっとだけ理解できたようなきがしました。
ボトルの中に、いらっしゃるのですね・・・。皆さん。

今、僕の中に見えたもの、この先忘れることはないです。ありがとうございました。
(2006/01/14 04:56:54 AM)

Re:Memento Mori(01/14)  
kurivou  さん

イケム67自体はまあ、普通だが  
イケムの67と言えば!!!!!!! じゃないでしょうか? 恥ずかしながらまだ67では、Climensしか飲んだことがありません。 このワインを指してまあ、普通! こんな台詞を言ってみたいですねぇ。驚愕です。


今夜は仕事を終えて同僚たちと行き着けの和風ビストロへ伺い、ThierryとDenisの2003それに、St.Aubinの先にお知らせ致しました白を飲んで参りました。 同じ兄弟でもここまで違うのか比べると実に明らかで、大晦日にDenisから初めてGroffier,Anne Gros・・・と楽しみましたが、単一で飲むとそこそこのワインでした。(Denis) Thierryは、自宅では良いとは思ったいたのですが、少々軽いですね。 うちの普通のブルゴーニュグラスの方が愛称が良かったような気もしますが・・・

当地でも良くセラー開放の情報がありますが、アメリカのwine fanaticは、凄いんでしょうね。それにしてもこの67の写真は目の毒です。 (2006/01/14 11:31:35 AM)

Re:メメント・モリ(01/14)  
Q_  さん
ショコタさん,

アンティークのものはいろいろな人の手を経ても皆さん使っていますが、ワインだけは最後の人だけ楽しむので色々と未練が詰まっているのではないでしょうか。特に心ならずも手放された人の場合は。。。
(2006/01/14 06:43:45 PM)

Re[1]:Memento Mori(01/14)  
Q_  さん
kurivouさん
>相変わらず、良い文章ですね。

お恥ずかしい次第です。

>こういう話は日本でもたまに伺いますが、いかんせん大抵がバブル時代の産物でして、ワインに対する心得が無い保有者が多い為、残されたワイン自体も昇天していることが多いようです。

日本に関してはやはりバブル期のDRCのミックスケース崩れとそれに続くルロワの解任でしょう。なにせラ・ターシェが市場に雪崩うって出てきましたから・・・ ひどいときは1万円以下でした。。。

>しかし、またまた御発注ですか?
>でもこの手の意思の弱さは人として可愛いと思いますよ。
>僕もこうありたいです(笑)。
全然高いワインではありませんがディリー用に買いました。Kurivouさんのお好きなドメーヌでコートドボーヌ白、生産量は3樽。自家用なので市場にはまず出てきません。(時々ネットに現地レストランからの横流しが1本単位で出てきますが)。お約束でこれ以上は書けません。飲みたくなったでしょう(笑)。 (2006/01/14 06:52:20 PM)

静物画  
やっぺ さん
 先日アムステルダム国立美術館展を見てきた際に花瓶に生けられた花々、果物、レモン、蝶、などが描かれたその手の寓意画を何点か見てきました。
 その中に牡蠣も描かれた絵があり、いわゆる真牡蠣ではなく、この当時はまだヨーロッパでは一般的ではなかったことを思わせました。

 祈りの場でもキリスト教の教会では磔刑のキリストの像がありメメント・モリするようになっているように、信仰によってはQさんの英国人の友人ような境地に至る方が多いのでしょうか。

 なかなか開けられないのは開けるタイミングが難しいのか、普通といいつつもなかなか開けられないオーラを放っているのか・・・。ある意味何時飲んでも思慮深くさせる魔力があります。 (2006/01/14 07:07:27 PM)

Re:イケム67自体はまあ、普通だが(01/14)  
Q_  さん
よだれTomochanさん

私の書き方が悪かったですね。Extraordinaryではなく「普通に素晴らしいワイン」と言うことです。確かに素晴らしいのですが私は熟成したSauternesは重すぎるのではないか?と思っています。個人的には1杯飲むともう1杯飲みたくなるようなワインを好んでしまいます。最後にシャトーマルゴーを飲んで心中する渡辺某の小説がありましたが、私の友人の意見「心中なら最後は若いイケム」全く同感です。

>今夜は仕事を終えて同僚たちと行き着けの和風ビストロへ伺い・・・・

やはり最後はレジョナルですから凝縮度が少ないのは仕方が無いでしょう。レストランなら料理との釣り合いを考えて最低でもヴィラージュ位にしたほうが無難だと思います。私もきちんと作る時はやはり1級以上のものを開けます。

>うちの普通のブルゴーニュグラスの方が愛称が良かったような気もしますが・・・

レストランの場合割れることが多いのでコストを考えると安グラスを使ってしまいます。マイグラスは大事ですね。グラスだけは最高の物をお使いになることを強くお勧めします。

>当地でも良くセラー開放の情報がありますが、アメリカのwine fanaticは、凄いんでしょうね。それにしてもこの67の写真は目の毒です。

こちらでは一般にセラー開放はあまり無いですが確かに凄い人はいるようです。ただ最近のワインファンはどうしてもカリフォルニアが中心のようですが。 (2006/01/14 08:46:11 PM)

Re:静物画(01/14)  
Q_  さん
やっぺさん,

ヨーロッパの絵画では食材が静物画の画材として歴史的に使われていますね。細かいところまで観察して食卓の歴史を喝破するやっぺさんの眼には感心します。私が好きな食材画はCham Soutineのエイです。ご存知でしょうか?

> 祈りの場でもキリスト教の教会では磔刑のキリストの像がありメメント・モリするようになっているように、信仰によってはQさんの英国人の友人ような境地に至る方が多いのでしょうか。

私の友人は得てしてリベラルであまり宗教がかってはいませんがやはりある程度の年を取ると皆、敬虔になるようです。宗教というのは輪廻転生や魂の浄化など細部の違いはあれど、結局のところどれも死後の世界の救いを主目的としたものですね。

他のボトルは結構飲んでしまいましたがこのボトルだけは故人の魂を感じます。オーラでしょうね。 (2006/01/14 09:57:38 PM)

Re:Memento Mori(01/14)  
heren’s  さん
「メメント・モリ」、しばらく心から離れていたこの言葉、想い直す良い機会となりました。
同時に、「四苦八苦」がふと頭をよぎり、色々と考えさせられました。
先ほど、日付が変って今日、またひとつ年をとりました。良い1日のスタートで記憶に残る誕生日となりそうです。
Q_さまの文章、拝読させていただくたびに心があらわれるように思います。 (2006/01/15 02:09:28 AM)

Re[1]:Memento Mori(01/14)  
Q_  さん
heren’sさん

この言葉と共に常に頭に置く言葉は「Life is Beautiful」です。逆境に置かれたときにいつもこの言葉を口ずさみます。

>先ほど、日付が変って今日、またひとつ年をとりました。良い1日のスタートで記憶に残る誕生日となりそうです。

お誕生日、おめでとうございます。また1年いろんな事を見て、人と出会い、経験を重ねて人生を楽しまれることと思います。Life is Beautifulですよね。

>Q_さまの文章、拝読させていただくたびに心があらわれるように思います。

Heren'sさんのような方に褒められ、非常に光栄に思います。また私も勉強させてください。
(2006/01/15 02:53:35 AM)

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