神と崇められたあの作り手からワイン作りの奥義を皆伝されたと言う作り手は自薦、他薦、色々といるが、実際それらの作り手を飲んで見て往年の神の域を感じさせてくれる作り手は自分が知る限りでは2人しかいない。甥でも地主・雇用主の二人でも無い。尤も甥は92年までと00に関しては例外的に神作品を感じさせるが。
その2人の一人はこの作り手になってしまうだろう。勿論かたや VR の1級や特級、こちらは Gevrey でしかも村名格とクリマのポテンシャルも違うし、新樽も少し抑え目で神のように一口口に含んで「服を脱いでテーブルの上に登って踊りたい衝動に駆られるような」高揚感は無い。それでも十分妖艶でエロチックさが有る。完全徐梗から来るしなやかでピュアでトーンの高い果実、滑らかな触感、長い樽熟によるエピスと果実の混じる複雑な香り。抽出も強すぎず弱すぎずバランスは素晴らしい。正しく神のスタイルだと思う。
今振り返ってみればちょうどこの作り手が神の主宰する会に参加したのはその頃ではなかっただろうか。あの素晴らしい VT の99の出来が悪く酷評され(抽出が強すぎたか)、この会に参加して inspire されたのか、この年の彼のワインはこのワインも含めてどれも素晴らしい出来だ。
2006 1 月、神よりも先に召されてしまったが、今存命なら素晴らしいワインを作っていたように思う。息子が彼の跡を継いでワインを作っているが、まだその域には達せず普通に美味しいワインの範疇に留まっている。
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