80年代後半からワインを始めた筆者にとって薫陶を受けた評論家と言えば RP 氏と Clive Coates ( CC )氏の二人だろう。この二人、それぞれに好き嫌いの軸が有り、微妙に違っているが、それを端的に表す一つが Hubert Lignier の評価だ。 RP 氏は Leroy 、 DRC 、 Jayer などと並ぶ5つ星を付けているが CC 氏は星を1つも付けず(彼は3つ星が満点だが)、他の生産者と十把一絡げにしてさらっと「この生産者はアメリカで高い名声を持っているが自分は他の評論家のようには高く評価しない」と言い切っている。まあ、 RP 氏の事を念頭に置いたのは間違いないだろう。この時の米評論家は彼しかいなかったからだ。 Wine Spectator は76年に創刊しているがこの時そのブルゴーニュの評価は参考に値するものとは思われてなかった。(注:当時20点満点で評価する Underground Wine Journal が当時の米のブルゴーニュファンの間では信頼されていた。今の RWA みたいなものだ。)
閑話休題。それから四半世紀経ってみて少なくともこの作り手に関しては RP 氏が正しかったようだ。若いうちは凝縮感も強く閉じ気味で少し「黒さ」さえ感じさせるが、熟成が10年を超えるころからほどけはじめ、ワインが開くにつれ赤果実、それもラズベリーのような軽快感の有る果実に変わっていく。このワインも高々村名格で凝縮感に欠ける事は否めないが逆に香りの素晴らしさ、味わいの軽快さが際立ちフィネス、官能美すらを感じる。秀逸とされる作り手の同村の村名ワインとしては Vogue や Roumier を遥かに凌ぎ(当たり前だが JF Mugnier よりも)、往年の Leroy の Lieut-Dix 入りよりちょっと下(というかこの Leroy が別格なのだが)に位置付けている。
一緒に付き合ってくれた年下のブルゴーニュファンもいたく感激してくれて年長としては面目躍如で有った。ただ惜しむらくは官能美溢れるこのワインは妙齢の女子と開けたかった気もするが。
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