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くーる31 @ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
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カモメ7440 @ うまい! おそらく散文詩だと思います。 ショート…

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Mar 29, 2009
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カテゴリ: 柔らかい思念
 透明であることは、わたしにとっては他人にから見えないという点が魅力なのではなく、何色にも染まっていない、汚れることがないということがわたしを引き付けている。肉体だけではなく、精神も感情も透明になってわたしは存在していることがたまらなく嬉しい。空気のように人々に気にされることもなくわたしは存在できるのだ。
 透明になって犯罪をしようとする愚かな男たちがいるのは事実だ。実際、物理学的に透明であるという利点が活かされるのは犯罪の時以外にはないのかもしれない。しかし、わたしのように人間集団内のわずらわしい関係から開放されて、それでいて人間集団の中にいて孤立しているわけではない状況を喜ぶ人もいるのは確かだ。
 親切な行為をするときに、少し照れくさく感じてつい躊躇してしまうことはないだろうか。盲人が通勤電車に乗っていて、立っている。吊革の位置もわからなくて、ドアのすぐそばにたち立ち尽くしている。「こちらの席が空いていますよ。」と手をさし延べる。そうすることが周囲の人々から浮いてしまう。周囲の人々がそのような親切な行為を率先して行わないからわたしがやるのだと、周囲の人々を咎めているようにとられるかもしれないとつい周囲を気にしてしまう。それはその個人の気持ちの持ちようかもしれないけれども、少なくともわたしは周囲が気になってしまう。
 神がそんなわたしに同情してくれたのかもしれない。ある日、わたしが下宿で眼を覚ますとわたしは透明になっていた。わたしはベッドから起き上がるときに瞬間的にわかった。わたしは空気の中に紛れ込んでいく。その感覚をわたしは感じた。ガラスの破片のように空間に切り込んでいくわけではない。空間の中に包み込まれていく感覚をわたしは知って、感情も和らいでいった。もう人に傷つけられることも傷つけることもない。

 本当にわたしの心の中は平和だったのだ。透明になって、得るものは沢山あったけれども、失うものは何ひとつなかった。
 だから、わたしは老婆が駅のプラットホームから転落したときにも自然に体が動いた。それは当然の行為だと思った。ただ、透明になったとはいえ、その運動能力は普通の人間並みなのである、もっともわたしの場合は並みの人以下かもしれないが。老婆の体は予想以上に重いし、わたしは飛び降りたときに足をくじいてしまったようなのである。スーパーマンやバットマンのようにわたしが活躍できるわけはなかった。
 プラットホーム上の人々はざわめいている。何らかの行動をしてくれと祈るしかない。
 列車が見える。見る見るうちに近づいてくる。恐怖で体が動かないならまだ自分が許せると思った。しかし、もはや線路上に転がる老婆に眼もくれず、わたしは自分だけが助かろうとくじいた足を引きづりながら線路から離れようとする。老婆のもがく手がわたしのくじいた足首を捉える。その激痛がわたしを変えたのに違いない。つかまれた足とは反対の足で老婆を蹴りつけた。
 「誰もわたしを見えないはずだ。」わたしはそれを信じながら、必死でわたしの足にしがみついている老婆の手首をもう一度力いっぱい蹴りつけていた。





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Last updated  Apr 5, 2009 10:59:12 PM
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