全4862件 (4862件中 1-50件目)
![]()
秋雨物語【電子書籍】[ 貴志 祐介 ] 面白かった。 ホラーという小説の書き方は、この人に聞けばよろしい。 本作に収録されたどの短編も実にレベルが高い。 おかげで私は、あっという間に読了することができた。 そもそもホラーなのでこの世のエビデンスでは計り知れないことで話が進む。 例えばこっくりさん。 普通に考えれば、こっくりさんは、誰かの意思が明確に出されてその指示が入る。 しかし本作のこっくりさんは、どうもそうではない。 明らかにこっくりさんというものが仕切っているのだ。 そしてこのこっくりさんは、ルシアンルーレット的なものになって死ぬ人が死ぬというゲームにもなっている。 不思議な音の話も面白かった。 つまり現代のオーディオの粋を集めたステレオで聴くと、なんと、ある歌手の声が二重に聞こえるというもの。 これには、作品上のエビデンスがあった。 つまり寄生虫が犯人だったのだ。 なぜこのミツコという日系の歌手がそのような天才的な歌声に至ったのかという謎についてロスという私立探偵が見事に謎を解くのだが、そのロスもまた寄生虫にむしばまれていた。 そういう話の奥深さ。 それを文章にできる筆力。 なぜに作家間にこれだけの格差が出るのでしょうか。 本当に恐ろしい話だ。 この本作のような傑作が読めるから私は、読み師を辞めるわけにはいかない。(2/16記)
2026.05.27
コメント(0)
![]()
BARゴーストの地縛霊探偵【電子書籍】[ 歌田年 ] こんなこんなつまらない作品よく人に読ませることができるものだなと思った。 一体何を言いたかったのだろうか。 不思議でならない。 結局この作家の言いたいことがまず第一に読み手伝わらないという欠点がある。 なぜ幽霊が出てくるのか。 そしてまたそれがなぜ見えるのか。 その理由は最終盤に明らかになるのではあるけれども果たして幽霊が見える人と見えない人がいてそして そのような事実があった場合に誰も怖がらないものなのだろうか。 それがバーであればさらに人が集まらなくなるのではないのか。 幽霊がそのバーで話題になった事件の推理をするという形が取られているけれどもその推理をしなければならない事件の浅さは、これまた大きな欠点ではなかったか。 考えてみれば幽霊などというのはどこにでも行けるのだろうから、推理も何もない。 ただその事件の真実を幽霊として見るだけの話じゃないか。 とすればもうそこに矛盾が仕掛けられているということになる。 本当にこのような作品ばかりを読ませられれば立花隆のいう無駄な時間を過ごしたということになってしまい私にその時間を返してくれと言いたくなるのだ。(2/15記)
2026.05.26
コメント(0)
![]()
やまのめの六人【電子書籍】[ 原 浩 ] しかしこういう小説は初めてだ。 臨場感が半端なくてついつい 引き込まれてしまった。 そもそもやまのめの6人という標題なのでこれはきっと一人余分な人間がいるんだろうなあと、私は、読み師として予測したのだが、全くそのような理論だった。 それはともかく 一番最初 アタッシュケースの中に一体何が入っているのだろうかと大変気になったわけ なのだが、 それはどうも 5人組が宝石強盗をしてきた18カラット もあるダイヤモンド らしいということがわかった 。 しかしながら、アタッシュケースの中にあったのは単なる柑橘類 だった 。 一体誰がそれを自分のものにしたのかというミステリーが残る。 それもさることながらこの5人組はおりからの台風で山道に入ったもののその山道が封鎖されてしまってわけのわからない集落に入り込んでしまう。 そこにばあさんと一郎二郎の兄弟が出てきて…。 そこからは、大混乱。 誰が生きているのやら死んでいるのやら、そしてまた途中拳銃が出てきてしかもそれを簡単に発砲するなどという話がですね。 話が飛んでいくわけですよ。 まあ それはそれでこの人の書きっぷりだろうし読む方は、それを厭わない読まなければならない。 それが 読書だと私は思うのでここのところは、気にもせず最後まで読んだのだった。 ただ最後のやまのめという得体の知れない現象について人が増えたり減ったり死んだり生きたりわけのわからないまま終わったのは、残念だなと思う。 やはり正解書いて欲しかったなと思った。(2/14記)
2026.05.25
コメント(0)
![]()
地雷グリコ【電子書籍】[ 青崎 有吾 ] 文章は、読みやすいのだが、いかんせん独り善がりすぎる。 そもそも本作に書いてあることを読んだところでいったい何になるのだという感想を私なんざあ、持ってしまう。 それほどつまらない話だ。 しかしそれにしても作家のうちの何割かは、なぜこうも学園モノを書きたがるんだろうか。 中学生がだな。 志望校に推薦してもらうために問題の差し替えなどするものなのかどうか。 そのおかげでタップダンスの学校に推薦してもらうはずだった子が入れなかったことに対していつまでもその友達が根に持つものかどうか。 それにしてもその問題差し替えの理屈で頭のいい奴は残るしそうでない奴は落ちるというその原理がねアンフェアすぎて憎たらしい。 そのほかポーカーだの標題作である地雷グリコに由来するじゃんけんだのとにかく次から次へとつまらない話を持ってくるわけだ。 だるまさんが転んだもあったな。 だるまが遠まわりすれば、セーフになるなどという論外な話だった。 しかし作者は本作において読み手にに何を伝えたかったのだろうか。 とにかくこれじゃあまた故立花隆から叱られる。 どうもこの作品そのものが好きになれん。 残念ながら。(2/13記)
2026.05.24
コメント(0)
![]()
半分の過去【電子書籍】[ 赤川次郎 ] あーあつまらなかった。 なんて感想本当は、書きたくないのだけれどそして有名な赤川次郎だから、ああ面白かったと、書きたいところダメだね。 もう今の時代にそぐわないつまらない作品だった。 いつの時代のことなのかつまりあの学生運動華やかなりし時のことなのかそのあとの赤軍派だとかなんだとかの過激派のリンチなどが大流行になった時の話なのか皆目見当がつかなかった。 ともかく夫婦が逃亡しているというシチュエーションですな。 それが舞台だ。 それがなんとも詰まらんわけだ。 なぜ一主婦がその逃亡に手を貸さなければならないのか。 夫が見知らぬ女と一緒なら、それは浮気あるいは不倫という相場が決まっている。 それなのに夫が何やら得体のしれぬ知り合いを逃がしてあげようと画策していたという話から、始まるのだった。 大体途中で妊娠が知れたら、それは不倫の産物と決まっているのに赤川は、自分の都合のいいように不倫相手の子じゃなくて夫の子だと言い張らせる。 どうも不自然極まりない小説的な話なのだった。 しかしさあこれこそ立花隆から批判を受ける作品だよね。 暇つぶしにもならんもの。 そういう彼の作品を好んで読んでいた私は、いったい何モノだったんだろうか。(2/12記)
2026.05.23
コメント(0)
![]()
犯罪心理分析班・八木小春 ハロウィンの花【電子書籍】[ 佐藤 青南 ] ついに本作にも閻魔様登場。 とはいえちょい出だ。 あの圧巻の取調べはなし。 さて本作であるが、表紙を見れば、わかる通り連続殺人犯人は、ラテックスのコアラのマスクをかぶったコアラ男だ。 この男を追い求めてC-MASは、様々な分析を続ける。 途中小春が自分もまたC‐MASの成員同様サイコパスではないかと思い悩むシーンもある。 はて前作でも私は、指摘したが、つまり司法権がないから違法が許されるか否かということについて相変わらず建造物侵入を筆頭に違法の限りを尽くして真相に近づこうとするのだが、それを警察官たる小春やマシバンまでやっていいのかということ。 それ以上にC-MASの職員は、事件に公平に向き合う立場にあるのではないのかということ。 これらの矛盾に私は、ついていけないのだった。 しかしながら、この類稀なる筆力を持つ作家の話の上手さから離れられない。 結局読み手の側の許容範囲をどこまでにするかということなんだろうが、小説だということで何でも許されるのであれば、リアルに欠けるしかといってあまりにも事実にがんじがらめになってしまうと面白みに欠けてしまう。 その辺りのぎりぎりの線をこの作家は、心得ていて本当に面白い話を紡ぐのである。(2/12記)
2026.05.22
コメント(0)
![]()
臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体【電子書籍】[ 高野結史 ] 一種の叙トリですな。 別に驚きもしない。 むしろ叙トリという卑怯なトリックがどうも好きになれないだけだ。 さて秘密基地で死んでいたのはいったい誰だったのか。 なぜ天は、その大きな間違いをうのみにしてしまったのか。 人間の脳というのはそんなにも脆弱なものであるのか。 たしかに記憶は、風化する。 50年60年経ってしまうと明らかな事実がぼやけてしまう。 そして例えば昭和36年に大規模な水害があったという事実がなければその年を基点にして話を紡いでしまうといういわゆる記憶の捏造が存在するということも分かった。 つまりだ。 われわれは、砂上の楼閣である記憶の上に立っている。 記憶は、当てにならないということになる。 その伝で行けば、本作の秘密基地における首つり死体を天が誤って記憶していたことも別に不自然ではないということになろう。 つまりは、記憶のあやふやさは、叙トリにもなれないということなのかもしれない。 それを逆手にとって話を紡いだこの作家の筆力は、大したもんだと言わざるを得ない。(2/10記)
2026.05.21
コメント(0)
![]()
星の見える家【電子書籍】[ 新津きよみ ] しかしこの作家の話の泉は、尽きることがないようだね。 よくもまあこれだけの話を次から次へと紡ぐことができるものだと感心する。 ただ何冊も同じ作家の本を読むと、傾向が見えてくるね。 彼女の場合は、男女間の関係が希薄だということ。 つまり絶対的な愛情などというものの存在がないのだ。 だからたとえば、本作の表題である星の見える家というのは、ペンションのことでこれは、脆弱な息子のためにわざわざその物件に引っ越してきたのだが、その息子がおかげで体調がよくなりしかも頭もいいものだから、めきめきと田舎の学校で首席を取るほどまでに成長して母親が息子の希望通り都会の私立学校に入ったのを見越して星の見える家を捨てていったというものだが、捨てたのは、旦那と娘だったという話だ。 つまり簡単に彼女の話は、男女が別れてしまうのである。 いとも簡単に。 それが特色ですな。 だからテンポが速い。 男女間の深い愛情などというものには、彼女は、見向きもしない。 考えてみれば、現実の世界というのは、そういうものなのかもしれない。 好きだ云々かんぬんで一緒になったところで所詮薄っぺらな人間関係にしかならないというのがどうやら彼女のポリシーらしい。(2/10記)
2026.05.20
コメント(0)
![]()
クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない【電子書籍】[ 越尾圭 ] ふむなかなか面白い話だった。 蛇という題材を使っているが、これは当然 一般的な話ではない。 当然違法な動物を密輸入するという話が潜んでくるのだろうけれどもその点の取材や勉強も非常に必要な話だった。 この話をずっと続けるのは、 当然不可能だろうけれども殺人の手段として毒蛇を使うなどというのは、古典的には、シャーロックホームズのまだらの紐くらいなものだったように私は、思う。 それだけになかなか斬新な視点で書かれたミステリーだと私は思った。 話がどんどんどんどん 複雑になるのではあるけれども私の脳内でそれが決して全くわけのわからない雲散霧消するような話ではなくきちんと大団円で犯人の指摘にまで入っていくというところは、実によくできたミステリーでこの作品がこのミスで大賞やその他の賞を逃したというのが信じられない。 結構私的には好きだったから、次作も楽しみである。 ペットショップの店長と獣医師が友達だというのもまた面白い設定だったように思う。 その獣医師にペットショップの店長が最期の電話をかけてきたのだが、そこからがミステリーが始まった。 インコに語らせたソコワカスは、秀逸だね。 その後いろいろが 人物が出ては、くるのだけれどもそしてまた何人かが脅されて怪我をし殺されるのだけれどもそれらも含めた謎が矛盾しないで最後に指摘され犯人が自らの描いた動物の楽園内でトラに殺されるというオチだったあたりは、乱歩や正史の世界を思い起こさせる。(2/8記)
2026.05.19
コメント(0)
![]()
犯罪心理分析班・八木小春 アイアンウルフの箱【電子書籍】[ 佐藤 青南 ] さて本作は、本庁に作られたC‐Masという組織が舞台である。 ここに警視庁捜一の現職女性刑事が加わり連続爆発事件を捜査する。 閻魔様のシリーズと違い本シリーズでは、今のところ心理学云々は出てこない。 本件爆弾魔に関しプロファイリングを徹底していく。 さて冒頭が権力の権化のような国会議員の恫喝からはじまる本件は、その段階では、ボンバーの攻撃目標が政治にありの思わせぶりだ。 が、次第に本件の本筋に入っていくと、実は、まったく別の真相にたどりつくのだった。 それはともかく今回は、顔見世興行的な側面もあった。 結果は、ミステリーファンには、物足りなかったけれど、西南の文章は、読みやすいから、話に引き込まれる。 ある意味シリーズ化は、今日のミステリー界では、必要なのかもしれない。 読み手は、はて次作は、どんなだろうと、期待を持つものだ。 本作は、始まったばかりだから、過度な期待はしない。 ただなんとなく成員の個性がわかってきたので彼らの読みがどこまで通用するのかが楽しみだ。 本作では、ところどころ違法な行動があった。 それらのことが表に出れば、どんな大罪を犯したものも無罪になる。 それは、たとえ小説であっても許されることではない。 さてプロファイリングであるが、この手法については、賛否両論がある。 占いみたいなもので当たるも八卦当たらぬも八卦というのが今の現場の評価じゃないのか。 信奉者には、神であっても一般の捜査員には、邪魔以外の何物でもないらしい。 そのへんの課題をクリアできるかどうかが本シリーズの成功の鍵になりそうだ。(2/8記)
2026.05.18
コメント(0)
![]()
鷹野鍼灸院の事件簿【電子書籍】[ 乾緑郎 ] ヒロインは、 私の左足首の痛みの正体は、骨肉腫 だった。 骨にできるがんである。 子供や、若い人が発症することが多く、膝の辺りに起こることが多いが、私の場合は足首だった。だった。 陸上競技でかなり期待されていた。 その部活がちょいちょい使用していた医師が簡単な診断で間違った見立てをしたものだから、事態は、好転せず足首から先を切ることになった。 そして鍼灸師になった。 師匠は、小説によく出てくる利益をあまり考えないが、仕事がよくできる人。 本作上では、何やら鍼灸の世界にも派閥があるらしい。 そのような世界で生臭い話やら何やらの話が進む。 作品としては、さらっと読めるのだが、あとに残らない。 そういうのはだめだ。 だが、筆力はある。 今少し本格的なミステリーを書くことができるようになれば、相当売れるようになると、私は、思う。 そのためには、ミステリーの何たるかをしっかり勉強しなければなららない。 特に大事なのは、基礎だ。(2/7記)
2026.05.17
コメント(0)
![]()
誰かのぬくもり【電子書籍】[ 新津きよみ ] 本作は、 わたしのオリジナル作品としての九十一冊目にあたります。ということだそうだ。 つまり彼女は、多作家だ。 この作家の作品を読み継いでいくと、傾向が見えてくる。 またテーマも見える。 新津きよみの根底にあるのは、女性の生きざまをどのように表現するかにある。 読み手がえっ?となるそのぎりぎり手前で筆を止めるから、読み手は、不快にならない。 この辺が実に上手だ。 しかしながら、本作では、別れあり、死別あり、そして不倫ありとなかなかにぎやかな話が続く。 本作では、男は、60前に死んだりする。 残された女の話になっていく。 それはそれでいい。 しかしこの作家が考えているような男女関係だけではないと私は思う。 たしかに小説的に例えばひところはやった定年離婚は、実におもしろいけれど現実は、どれだけ多くの人がやっていたことなんだろうか。 もちろん新津が女性である以上女性の側からの表現になるというのは大いにわかる。 しかし例えば本作に出てくるような愛情は二の次、男として普通の人であれば、結婚する的なスタンスの女性は、いったい何人いるんだろうかな。 さて新津は、 わたしたちが子育てをしていたころは、小さな子を持つ親に対して社会が寛容で温かな目を持っているとは言いがたい時代だったかもしれない。 とするが、そんなことはなかったよ。 そもそもそのころの子供は、ぎゃあぎゃあ泣き叫んでばかりいなかった。 それが今はどうだ。 本当に不快な乳児の音が耳に入り私なんざあ、我慢できないほどだ。 とてもじゃないが、寛容で暖かな目などもてない時代になっている。(2/5記)
2026.05.16
コメント(0)
![]()
卒業のための犯罪プラン【電子書籍】[ 浅瀬明 ] これまたわけのわからぬ作品。 私の大嫌いな独善モノ。 つまり独り善がり。 そして本作に何かミステリーがあったろうかという疑問に駆られる。 何しろ本作は、このミス大賞で文庫グランプリを取ったものらしいぜ。 こういう作品に関しては、賞をもらうということは、複数の人の票を得なければならないことなのだ。 それを得ているというのだから、いったい世の中の審査員は、どこをどんなふうにして評価しているんでしょうかねえ。 ちょっと毛色の違った大学を設けたはいいが、その大学に読み手がすんなり入っていけないのだよ。 私の読みが浅いせいなのだろうが、大学二年生が親から今年卒業してくれなんて言われるシーンに入った時私は、ただただ???マークだった。 なにより本作がこれまた学園モノだということでがっかりした。 それほど作家は、学園から離れることができないのだろうか。 タイムマシンについて序盤話を書いているが、これなんざあ、単なる戯言。 こんな話に付き合わされる身にもなってみろ。 それだけで読者離れだ。 男だとばかり思っていたら女だったというのがこのところ私が読んだ小説に多くてなんだかがっかりする。 まるでそれがトリックだとばかり書いているのだが、そんなんことは枝葉末節。 話にならん。(2/4記)
2026.05.15
コメント(0)
![]()
看守の流儀【電子書籍】[ 城山真一 ] これだけ多くの事件が刑務所内で起きたら、刑務官もびっくりだろうな。 そもそも刑務所内でこんなに多くの事件など起きるわけがないと、私は、思う。 もっともそれは、私が素人だからそう思うだけで刑務所内は、こんなもんだなどと言われそうだ。 それはともかくHTというのは、何者なのかという謎が当初付きまとった。 最終盤にその謎が解ける。 火石司のイニシャルだった。 加賀刑務所にLGBTの歌手が収容された。 それも最終盤で明らかになる。 三上順という名の歌手だ。 火石は、上級刑務官ながら、三上専属の刑務官なのだった。 したがって三上が出所すれば、火石も必要なくなる道理なのだったが、この辺が加賀刑務所のしゃれているところでなんと火石を次長にすげてしまう。 入試問題の漏洩方法は、入試問題そのものを盗むものではなかった。 今の時代だね。 データ化してしまう。 かと思うと刑務所内の受刑者のカルテ、レントゲン写真等が紛失する事案が発生する。 これは、大きな不祥事だ。 が、そこを実にうまくカバーする話なんかは、刑務所の内部をよくよく知っていて書いたんだろうなと思った。 まあしかし本作は、横山秀夫がべた褒めしているらしい。 私も悪くはないなというレベルではあった。(2/3記)
2026.05.14
コメント(0)
![]()
幽霊たちの不在証明【電子書籍】[ 朝永理人 ] 本作は、 第 18 回『このミステリーがすごい!』大賞(二〇一九年八月二十八日) 本大賞は、ミステリー&エンターテインメント作家の発掘・育成をめざすインターネット・ノベルズ・コンテストです。 ベストセラーである『このミステリーがすごい!』を発行する宝島社が、新しい才能を発掘すべく企画しました。【大賞】 模型の家、紙の城 歌明田 敏 ※『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』(筆名/歌田 年)として発刊 【優秀賞】君が幽霊になった時間 泡沫栗子 ※『幽霊たちの不在証明』(筆名/朝永理人)として発刊 【U-NEXT・カンテレ賞】 ユリコは一人だけになった 貴志祐方 ※『そして、ユリコは一人になった』(筆名/貴戸湊太)として発刊 第 18 回の大賞・優秀賞は右記に決定しました。 大賞賞金は一二〇〇万円、優秀賞は二〇〇万円、U-NEXT・カンテレ賞は一〇〇万円です。ということ。 本作の上に紙鑑定士がいたのですな。 なるほどその通りだと思います。 さて本作であるが、いきなりの学園モノ臭さ。 これは、駄目ですね。 読み師が一番嫌うことだ。 そして終盤から最終盤にかけての推理の分かりにくさ。 この人どれだけミステリーを読んでいるのだろうか。 深みがない。 まず犯人は、何はともあれ何らかの形でわれわれの目に出続けなければならないというノックスの十戒に反している。 またあのわけのわからん数式はいったい何なのだ。 文化祭が舞台だったミステリーは、ほかにもある。 お化け屋敷をその舞台にしたというのも面白いが、だからといって期待できるほどのこともない。 動機は、希薄。 方法もまず不可能。 なにより現場の状況が我々にさらされないうえどうも警察の動きも見えない。 また立花隆に叱られそうだ。(2/2記)
2026.05.13
コメント(0)
![]()
悪女の秘密【電子書籍】[ 新津きよみ ] 彼女新津きよみは、稀代のストーリーテラーだ。 かなりの数の彼女の作品を読んだけれどどれもこれも優れている。 なにより女性の視点でしかも女性の心理を巧みに描いているので実にためになる。 男が書いた女主人公の小説とは、リアル感が違う。 ちょっと叙トリになるかな等と思ったが、事故を起こして過失致死の被害者になったタクシードライバーがさっきまで付き合っていた女性だったという話。 ふむこういうのは、今は、あまり話題にもならないのかもしれないけれどこの話が書かれた時代というのは、女性のタクシードライバーが珍しい時代だった。 小説によくある話が実の親子関係。 その子の幼い時代の火災も含めて家庭的に収まるところに収めたのだが、その深層に気づいたのがその子の妻だった。 幼いころから女性のアッシー役だった男が大学生になり就職してもなおアッシーばかりかその夫になった。 女は、死体がすぐに見つかって警察から検視をされるのがいやだから、死体を解体して白骨化してから見つかるようにしてほしいといって自死する。 私が読み師として感じることは、読み師に推理されるそのぎりぎりの線の直前まで書き綴る能力が新津きよみという作家は、実に高いということだ。 それには、文章力も必要だ。 何を書いているかどうかわからない作家もいる中彼女の作品には、そういうことがない。 そして今回かなりの数量の作品がkindleunlimitedに入れられた。 楽しみである。(2/2記)
2026.05.12
コメント(0)
![]()
推しの殺人【電子書籍】[ 遠藤かたる ] 法律的に言えば、本件は殺人にならないはずだったのだ。 つまり被害者がテーブルの角に頭を打ち付けた段階では。 その後首を絞めて殺した犯人は17歳の女性だから、少年法が適用される。 この先アイドルとして生きるのかそれとも贖罪して新しい人生を歩むのかを考えたら、警察呼んで司法に身を委ねるのが賢明だったな。 それじゃあ、小説にならんか。 ところで本作は、第22回「このミステリーがすごい!」大賞文庫グランプリ受賞作。 作者は、昭和63年愛媛県生まれの38歳。 甲南大法科卒とのこと。 私は、この作家には、筆力があると思った。 読み手をグイグイ引き込んで行く力がある。 スリル、サスペンスの書き込みもよくできている。 まるで見てきたような。 ただ一つ一つを検証したら、例えば、女3人で成人男性の死体をコントラバスのケースに隠して山まで運び さらにその山に死体を埋めるなどという作業がそんなにうまくいくものだろうか。 殺人者は、17歳。 共犯者の一人は、19歳。 本作の語り手は、成人。 19歳までの子は、少年法に救われるはずだった。 死体遺棄の共犯として問疑されるだろうが、行為時ではありませんからね。 発覚した段階では、成人になってましょうな。 そんな司法的なことを考えもせずひたすらアイドルをしたかった、アイドルでいたかったというのだろうな。(1月31日記)
2026.05.11
コメント(0)
![]()
二年半待て【電子書籍】[ 新津きよみ ] とにかく話の組み立てがうまい。 本作は、表題作をはじめとした短編集だ。 彼女の話は、私たち読み手ががっかりさせられることがない。 例えば、表題作だが、思わず客の財布から一万円札三枚を抜き取り執行猶予三年の判決を受けた男の話だが、結婚まで行く予定だったのにこの事件が契機になって交際相手から逃げられた結果捨てる神あれば、拾う神ありということで執行猶予期間中しっかりと生活をして今の妻と結婚したという話だった。 でき心か。 金が欲しけりゃ、すぐ目の前に中味の見える財布があれば、ついつい手を出してしまうということもありそうだな。 結婚離婚にまつわる話も随分入っていた。 基本新津きよみは、女性の立場から話を分析していきますな。 死後離婚などという制度もあるとのこと。 これは、家制度の崩壊を意味する。 つまりもはや家などというものが将来継続されることはないということだ。 自分自身家制度の残炎の中で生きてきた。 積極的に家を守ろうという気持ちを持ったことはない。 ばかりか父親が建てた家は、売り払いその父親の実家は、朽ちて崩壊した。 他人事のように書いているが、それがまがいなき実態なのだ。 自らの出生から小学校入学までの記憶を思い出そうとしているが、なかなか難しいものだ。 例えば、昭和三十六年七月七日私の母方の祖父が亡くなった日と記憶していたのだが、なんとその日は、山形県置賜が水害に見舞われた日だった。 つまり亡くなったのは、翌三十七年七月七日だったんだな。 記憶の危うさを感じる。(一月二十九日記)
2026.05.10
コメント(0)
![]()
帝都メルヒェン探偵録【電子書籍】[ 黒崎リク ] わかりやすい文章なのだが、探偵という題名でミステリーを標榜している割には、そのトリックにしろ話の根幹にしろイマイチだった。 メルヒェンとは、メルヘンのことなのだなとうす勘の悪い私は、今ここに記事をアップする段になって初めて気づいたのだった。 なにしろ小野カホルは、童話ばかり読んでいる中性的な少年という設定なのだから、読み師である私は、そこに気づくべきだったのだが、読書中気づくことは、できなかった。 本作における大きな話は、最終盤にある。 すなわち本作におけるミステリー的課題は、小野カホルの本名を当てることにあるのだが、小野カホルも理人も生命にかかわる大冒険を経てお互い大けがをしているわけだ。 大けがをしたエピソードそのものは、たいしたミステリーではない。 そのトリックも結局若返りというのが整形手術だったというのでは、どうも読み手は、面白くなく何か大きな捻り技がほしいと思うのである。 さらに当該若返り希望の女性が小野カホルの生き血がほしいなどということにいたり本作があらぬベクトルに向かっていることに気づく。 そして本作は、結局前述小野カホルの本名当てが最も重要な謎であることに気づく仕掛けになっていた。 でも何度も何度も書いているようにとにかく作家個人の能力に差がありすぎる。 本作家は、文章力があるのだから、もうすこし練りに練った話を書いてもらえればね。 しかしそれにしてもミステリーを読ませるにあたり無駄なものが何かと言えば、警察組織と刑事法だと私は、思う。 この二つをいい加減に書けば、それだけでその作品は、土台崩壊である。 だから、その二つを無視すればいい。 本作は、その典型だった。(1/29記)
2026.05.09
コメント(0)
![]()
いい加減な夜食2【電子書籍】[ 秋川滝美 ] 私は、この話に2が続くとは、思ってもみなかった。 そもそも話の根幹は、恋愛譚だったから、何はともあれ激しく愛し合って結ばれた二人の話は、第一話で終わりだとばかり思っていた。 そもそもの端緒が手抜き夜食だった。 第二話もそれっぽい話から始まる。 しかし第二話は、ダイナミックに展開していく。 つまり妻である佳乃がなんとそのビジネスの才を顕わし自分の会社はおろかドイツの支社それに下請けの会社をも助ける結果になるのだった。 プラス結婚に関してつきものの嫁姑の問題も噴出する。 それについて俊紀は、 佳乃を否定することは、彼女を選んだ私自身を否定することだと考えてください。と申し述べる。 ここに俊紀の佳乃に対する絶対的な愛を感じるのだ。 その俊紀であるが、そもそも嫁姑問題が表面化した理由が俊紀被害の瀕死の交通事故にあったのだった。 俊紀の意識不明が続き妻である佳乃がビジネスの才を出し始める。 そういう話の流れの中それらの話の根幹がぶれもせずきちんを読み手を最終盤に誘う。 なんという筆力だろうか。 本当になぜ小説家個人の才能にこれだけの差があるのだろうか。 私にとっては、読みづらい作品もきっときちんと読める人もいるのだろうな。 それはともかく私は、このブログに思ったことをきちんと書き連ねていきたい。(1/29記)
2026.05.08
コメント(0)
![]()
鬼面(おにつら)村の殺人 新装版〜黒星警部シリーズ1〜【電子書籍】[ 折原一 ] 大体警部殿が単身で事件に首を突っ込むなどということがない。 それが実に不自然だ。 大きな鏡を使った合掌造り民家消失トリックよりは、眠らせた人を別の場所に移すトリックの方がより具体的だ。 男女間の色恋沙汰が男男間の色恋沙汰というトリックも今は、ざらだがこの作品がつくられたのが平成元年のことということを考えれば、当時からすごいことを考えていたんだなと、私は、思う。 それはともかくとにかく推理小説につきものの大団円シーンで黒星警部は、何とかして面目躍如したかったことだろう。 結局鬼面村の成員全員に騙されたことに気づくのは、終盤になってから。 そしてそれで終わりでは、それは、読み手に実に失礼というほかないのだろうけれど、なぜか黒星警部は、残りあとわずかのページ数のときに真相に気づく。 しかし大麻防止法違反では、格好がつかん。 ミステリー作家は、刑事法に通暁していなければならないのだよ。 なんだよ大麻防止法違反て。 で私は、この作家のことをAIに聞いた。 そしたら、なんと叙トリの帝王みたいなことだった。 私は、ミステリーにおいては、叙トリを認めない。 そんなことなら、最初から叙トリ作品と書いてほしいものだ。 しかしながら、本作には、そんな気配は、なかったぞ。 大麻の栽培、大麻パーティのために黒星警部がスケープゴートになった話だった。 別に悪くはない。(1/27記)
2026.05.07
コメント(0)
![]()
梅雨物語【電子書籍】[ 貴志 祐介 ] ホラーに分類されている。 まあどういうのをホラーというのだろうか。 3つの短編があった。 とてもじゃないが、私には、理解不能だった。 ただ分かったことは、ぼけつまり認知症というのは、場合によっては、ホラーになるということ。 認知症でまだらボケともなると、どうも自分の犯した犯罪すらわからなくなるみたいだ。 その謎を解くべく教え子が様々な仕掛けを作って真実に迫ろうとする。 流れがね、叙トリなんだよな。 ヒントは、 皐月闇水漬く少女のまなこかなだ。 この話は、あまりにも俳句の話が入りすぎて理解不能だった。 きのこの話もまた理解不能だった。 霊は、きのこの胞子に反応するらしい。 それで見えたりするという。 もう少しわかりやすい文章で書いてもらえたら、もう少し理解できたんだろうがな。 結局この話で言いたかったのは、相続の順番だったものな。 そういうのは、ミステリー作品にいっぱいあるもの。 しかしそれにしても読みやすい文章に読みにくい文章となぜこの世の中に存在するのか。 そして出版社は、なぜ読みにくい本を出すのか。 その辺は、大きな謎だ。(1/26記)
2026.05.06
コメント(0)
![]()
ママの友達【電子書籍】[ 新津きよみ ] この作家新津きよみの底知れぬ力を感じる。 黙ってカテゴリー入りだ 。 ミステリーではないのだが 、殺人事件も散りばめられる。 けれども主題は、主婦、親子、学校、不登校そしてかつての友人だ。 つまり テーマは、実に広い。 しかしそれらが有機的につながって無駄がない。 まず中心になるのは、30年前の女子中学生。 この交換日記をつけていた 4人組。 その交換日記が郵送される。 その差出人が殺される。 まるで殺された後に郵送されたような謎が残る。 それは重要なことではない。 4人のかつての少女たちは、その後各々の道を別々に歩き始めるわけだ。 彼女たちが味わう人生の辛酸は決して特別なものではない 。 それこそどこにでもありそうなエピソードだ。 殺されたハセジュンもうまくいかない男女関係が原因だった。 合唱コンクールでいつも ピアノ伴奏していた子は、ピアノを弾かなくなって久しい。 ピアノもどこかに行き自宅のカーペットには、虚しくピアノの脚の跡が残る。 私は、1つの感想を持った。 この話を 映画化してほしいということ。 本作の何気ない話は、まさに人々の生き様の縮図だ。 佳作である。( 1月25日記)
2026.05.05
コメント(0)
![]()
いい加減な夜食 [ 秋川滝美 ] 実に読みやすいそして面白い小説 だった。 読み師の仕事にはならない。 そうミステリーではないから。 35歳の男が女子大生に恋しそのままありとあらゆる力でそんな女を妻にするまでの話。 ところが、どうもシリーズ化しているらしい。 私は2作目の Kindle Unlimited を買ってしまった、迷わず。 筆力が実に高いね。 理解できない表現がない。 女性作家なんですよね。 しびれますよ。 その心理描写。 その上体の反応も。 さてこの話この後どうなるのだろうか。 そもそもとにかく結婚した以上あと話は、終わりだろうと思うのだけれど、 さて第2作目は、どんな展開になるのだろうか。 そして私は、思った。 料理は適当がいいと。 レシピ通りなんかクソくらえ。 そもそもこの恋愛小説の始まりは、夜食。 リゾットでしたな。 冷蔵庫の中の調味料で いい味になりその夜食を食べた男がその女に恋をするという話なのである。 女がねだんだんだんだんだんだんだんだん男の魅力について行ってしまう。 それは一挙ではない 。 実に時間をかけた話なのだ。 本作では、ゆうに5年を経ている。 女性の心理の反面男の素直な心理も文章にしている。 本当に素晴らしい小説家だ。( 1月24日記)
2026.05.04
コメント(0)
![]()
天方家女中のふしぎ暦【電子書籍】[ 黒崎リク ] こちらは、筆力のある作家の作品。 話は、霊がらみ。 本作のような話を読むと、この世に霊界があると本気で思ってしまう。 尤も私には、そのような場所に行くと、自然にとめどもなく涙が出て止まらなくなる現象がある。 だから、話にのめりこめるのだ。 この話には、何一つ無理な話がない。 霊の話という以外にただただ自然な流れで話が進む。 さて今回のさわりは、蜈蚣の呪詛。 本作では、その呪詛を誰が飛ばしたのかはわからないが、天方家の女中になった結月には、梓弓の巫女の血筋があり、呪詛を大蝦蟇に食べさせるまでの活躍をするのだ。 違和感がないのが何ともいい。 なぜ作家間にこれだけの差があるのだろう。 この前読んだ警察モノなど読めたものじゃなかった。 同じ本できちんといいリズムで読了できる本とそうでない本がある。 私が読み師でなければ、拒否リスト入りしたものなど最後まで読む必要がないようにも思う。 そこまで苦しまなければならない本もあれば、本作のようにすいすい読了できる本もある。 それを読む前に判断することはできない。 だから、ただひたすら読むよりほかない。 さて本作は、シリーズ化されているのだろうか。 私は、少しだけこの作家さんのファンになりつつある。(1/23記)
2026.05.03
コメント(0)
![]()
誘蛾燈【電子書籍】[ 横溝 正史 ] 素晴らしき横溝ワールド。 さすが二祖。 それは、ともかくじっくり読み始めると、その良さがじわりじわりとわいてくる感じなのが横溝ワールドだ。 たとえば、表題作の誘蛾灯。 誘蛾灯の色は、薔薇色。 その色に誘われて男が寄ってくるのだが、ある晩予定外にその女の夫が帰ってきて修羅場になる。 女は、夫を刺し寝室にあるだけの貴重品を情人に持たせて二階から下に逃がす。 そのとたん女は、持っていた拳銃で情人を射殺する。 その現場を後で見た人は、賊が夫を刺し寝室にあった貴重品を持って逃げたのだが、瀕死の夫が拳銃で賊を撃ち殺し命果てたと、推理するだろうな。 殺されて井戸に落とされた人妻は、格闘の際相手の小指をかみ切った。 大病で亡くなった夫の小指がなかった。 などというエピソードは、さすが正史とうなるほかない。 隣家の風見鶏の話は、ホラーだった。 旧暦8月13日午後2時の風見鶏の影のところに注意したまえというという話なのだった。 というような珠玉の短編集だ。 私は、このような素晴らしい作品を読まなければ、良質なミステリーを作家が書くことはできないと思う。 そしてしっかり読むことができれば、下手な作家にありがちな独り善がりもなくなると思う。 だから、ミステリー作家には、元祖~九祖をしっかり読んでほしいのだ。(1/22記)
2026.05.02
コメント(0)
![]()
殺意の構図 探偵の依頼人【電子書籍】[ 深木章子 ] ふむよくできた話だった。 九祖までの作家以外でもこれだけ凝った話を書けるのだなと、私は、実に感心した。 まず放火殺人事件の冤罪で無罪を勝ち取る。 それは、また一事不再理の序曲であった。 その後も事件は、起こる。 この冤罪事件無罪を勝ち取った男は、なんと梅酒に仕込まれた亜ヒ酸中毒で人事不省に陥る。 さらに階段から突き落とされて死ぬ。 さあWho done it? 本作は、丁寧に読み進めないと、真相にたどり着かない。 何しろ人間関係が実に複雑だから。 あれよあれよと先に書いた冤罪無罪男が死んでしまう事件が発生してしまうのだ。 そこで私は、後ろに戻りましたな。 えっ、彼が死んでしまったって? というようなことだったが、その後私は、丁寧に読みましたよ。 元刑事の私立探偵、弁護士、再婚同士の夫婦、その子二人がくんずほぐれつと話を進める。 もう、引き込まれる引き込まれる。 本当にこんな話を深木章子が書けるんだな。 そりゃあ、作品に出来不出来はあるだろうよ。 そんな中本作は、佳作ですよ。 たまに九祖以外のすごい作品を読めるのは、本当にいいね。(1/21記)
2026.05.01
コメント(0)
![]()
ホーム アウェイ【電子書籍】[ 森村 誠一 ] さすが四祖。 本作は、渾身の傑作だ。 テ、もよろしい。 交通事故あり猫の毛あり毛髪あり。 1995年すなわち平成7年の65歳以上の割合は14.6%(現在30%)。 そのことを前提にして本作が書かれている。 現実にこのころ造成された住宅団地は、住民が現在高齢者だらけだ。 本作の舞台は、一戸建てでないアパートの団地だ。 だんだんだんだん住民が減っている。 そのような中でひき逃げやら餓死やら暴走族退治やら幼女水死の事件が起きる。 それらが、テ、で有機的につながっている。 まさに森村ワールド全開の作品だった。 まったく数年前に森村が亡くなったのが惜しまれる。 いい作品は、何年経ってもいい。 結局本作における中心的な家族がほぼ全滅しますな。 そういう悲しい話でもある。 kindleunlimitedでは、当たりはずれが多い。 だから、まるで口直しで森村を読む。 私は、精神的に安定する。 九祖までの作家は、本当に重要だ。(1/20記)
2026.04.30
コメント(0)
![]()
失踪の果て【電子書籍】[ 松本 清張 ] 本当にミステリーを書きたいのであれば、本当によく清張を読むべきでしょうな。 当然書かれた時代を考えると、本作が世に出たのは、昭和62年のことだから、つまり昭和感コテコテなのだが、その人間関係、男女関係が半端なくベタベタなのだ。 それ以上にミステリーの書き方のコツというものを感じる。 大事なのは、普通なのにそれに気づかずあっと驚かせること。 文章が磨かれていること。 独りよがりでないこと。臨場感のあること。 例えば、腐乱死体の表現。 異様な臭気が7号室のドアの隙から漏れてき始めた それが具体的でなくとも腐乱死体の現場であることがわかる。 デジタルばかりだと、鰯の鱗 などという生臭いものなどは、決してわかるまい。 しかし現場は、生臭いものだ。 警察官の資質の表現も重要だ。 被害者の手配人相の富士額と八重歯について遠い記憶を思い出したくらいの能力がある警察官を登場させずして何がミステリーだ、警察小説だ。 商業主義の観点からすると、昭和は、特に男女間が必要でしたな。 それが今はどうだ。 何がジェンダーフリーだ。 そういう不自然な男女間もあるから女性を卑下することは許されない。 考えてみれば、これじゃあ、人口が減る一方だ。( 1月19日記)
2026.04.29
コメント(0)
![]()
消えた断章【電子書籍】[ 深木章子 ] 9祖までの作家以外でも書く気になれば、本作のような傑作をものすることができるのだ。 そのそもこのシリーズの樹来君は、前読では、小学生だった。 それがいつの間にか大学生になった。 妹の麻亜知も大学生だ。 二人とも一貫校で大学まで進んだ。 本シリーズのもう一人の欠かせない人であるじいじは、本作では、なんと老人ホームに入っていた。 今回は、都合4人もの人が殺された話だった。 さてそうなると、話が混線して何が何やらわからなくなる。 ところが今回は、この作家さんは、かなり丁寧に話を作った。 読み手が理解不能に陥らないのである。 結果的に実に論理的なミステリーに仕上がった。 触法に関して実によく勉強していた。 それを盾に本ミステリーを進めようとした手口は立派だ。 やはりミステリー作家は、刑事法に精通してないければならないのだ。 私は、本シリーズで本作ににわかに入ってきた麻亜知がうっとうしくてならなかった。 作家さんにしてみれば、狂言回しのつもりだったのだろう。 りけじょといいながら、理系的な面影がつゆほどもなくただ樹来とじいじと警察を批判するだけ。 途中その場面が長口上で入る。 読み手は、なんだかその論が正しいと思ってしまう。 しかしこの女は、しっかりと本シリーズにおける狂言まわしなのだった。 しかも全く的を射ることがないのだった。 私は、本シリーズにおいてこの麻亜知という女は、不要だと感じたのだった。(1/19記)
2026.04.28
コメント(0)
![]()
暗黒凶像【電子書籍】[ 森村誠一 ] それこそいやになるほどミステリーを読んだ。 今は、kindleunlimitedだ。 結果このkindleunlimitedには、当たりはずれがある。 そして超結論が出た。 それは、1~9祖(遂に9祖を知念としましたぞ)とそれ以外の作家間には、大きな格差があるということだ。 それ以外の作家の作品を読むと、頭が痛くなる。 理解不能になる。 人的関係が不明になる。 などの弊害がある。 さて本作であるが、 「危険な猫」という題名の方がわかりやすい。 私は、四祖森村に関しては、テ、という表現で彼の作品に関する論評をしている。 今回もその、テ、がいかんなく出ていた。 さらに今回は、ボッチの残像という現象も出ていた。 話が混んでいる割には、作者渾身の力作で読んでいて気味がよかった。 こうなると、もう九祖までの作家の作品しか読めませんな。 それは、ともかく今回のテは、微物、動物、交通事故等だった。 ミステリーを書きたかったら、こういう作家をしっかり読んでほしいものだ。 すくなくともわけのわからない話にはならないはずだから。(1/19記)
2026.04.27
コメント(0)
![]()
交換殺人はいかが?【電子書籍】[ 深木章子 ] これまた何を言いたかったのだろうか。 現役引退をして久しい刑事とその孫息子の話だ。 すでに決着のついている祖父の現役時代の事件にこの孫息子が口を出すわけだ。 話の設定は、 孫小6 。 当然決着している事件だから、今更覆るわけではない。 しかしその中のちょっとした細かい部分をこの樹来( 7月生まれだからだそうだ)が指摘していく。 元刑事は、ほうと、目を細めて孫の才能を褒め称える。 将来推理小説作家になりたいらしいという設定だ。 今までざっと書いてきた通り要するに覆がえしようのない話なので読み手にアピールできるものは、何もない。 それでもいいから、読めというこの作家のスタンスが気に入らない。 この作家もまた拒否リスト入りだね。 この前八祖+ 九祖入り間違いなしの作家を書き連ねたが、これらの9人との格差は、何ともしがたい。 その差は、一体どこにあるのかなんてことは、別に何も問題視するつもりはない。 何しろ読まなければいいのだから。 まあまた双子と話を出した段階でこの作家の作家としての命運は、尽きたと、言っても過言ではなかろう。(1月16日記)
2026.04.26
コメント(0)
![]()
罪の境界【電子書籍】[ 薬丸岳 ] ふむ傑作だ。 偉そうに傑作だなんて書いているけれど薬丸は、第八祖である。 乱歩ー正史ー清張ー森村ー東野ー内藤ー七里ー薬丸で第八祖だ。 やっと薬丸のkindleunlimitedを見つけたから、すぐに手に入れて読んだ。 500ページ近くの大作だった。 しかしミステリーとはいえ文学だ。 事件は、通り魔事件だ。 手斧で女性2名が襲われそのうちの一人を助けようとした男性1名の命が奪われた。 助けられた女性も重体だった。 婚約者がいて誕生日に外食の予定が婚約者に仕事が入ったことから、プンプンしながら、渋谷界隈を歩いていたところ災厄に遭った。 それが前段である。 その前提をもとにさまざまな人間模様が錯綜する。 彼女は、何とか持ち直し婚約者と正式に婚姻、男の子を出産予定だ。 つまりハッピーエンドだ。 よかった。 でと、こうなる。 つまり冒頭に書いた第八祖までの作家+知念実希人(第九祖にするか検討中)と他の作家の格差があまりにも大きいということ。 ということは、カテゴリーもこの9人だけにしていいような気もする。 とにかくいい小説は、あっというまに読了できる。 そして何より気持ちがいい。(1/15記)
2026.04.25
コメント(0)
![]()
筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。鎌倉の夜は、罪を隠さない【電子書籍】[ 谷春慶 ] こちらは、飽きないシリーズだ。 筆跡鑑定もさることながら、清一郎と美咲の恋路も気になるところ。 そして美咲は、書道部員でもないのに何かと世話を焼きたがる。 清一郎に嫉妬もする。 美咲は、清一郎が好きなんだな。 その辺がこの作家は、実に巧妙だ。 最初から好きの嫌いのという話で入っていない。 この作品に入って初めて美咲が嫉妬する場面も出てくるのだ。 私は、こういう作品を読みたいのだ。 しかも書というものを中心にこの物語は、紡がれていくから、その先も期待できる。 本作では、速記体ののろいやらラテン語を利用した五股事件も出てくる。 これらの事件は、清一郎と美咲のコンビだからこそ解決に導かれるのだ。 そのコンビの清々しさよ。 そういうのがこのシリーズの魅力なんだよな。 小説におけるコンビの重要性を感じる。 話は、二人によって引っ張られる。 一人のヒーローないしヒロインによることはない。 そのコンビネーションをいかに緻密にするかに作家は、命をかけている。 それが成功したシリーズが本シリーズだと思う。 男女の名コンビは、このほか天久鷹央と小鳥遊優、楯岡絵麻と西野圭介があっていずれもいい味を出している。 そのこぎみ良さがあるから、小説は、やめられない。(1/14記)
2026.04.24
コメント(0)
![]()
満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜【電子書籍】[ 望月麻衣 ] 果たしてこのシリーズを私は、読まなければならなかったのだろうか。 訳が分からぬまま2作目を読んだのだけれど、なんの感動もわかない。 こんなことでいいのか。 しかしさあ、この作家さんと私の間には、大きな感覚の差がある。 たとえば、25歳で若い夫婦なんて記述があるけれどそれは普通でしょう。 そういう剥離感が強くてどうしようもなかった。 前作のように極めて魅力的な喫茶店の話は、今回は、なりを潜めてしまった。 一つ一つの逸話に作家それなりのペンが加えられている。 姪との別れについては、泣きそうな喪失感などと表現している。 なあにそれじゃあ、孫と別れる時の私の気持ちと一緒じゃないか。 つまりさあ、そういうところが臨場感のない作り話になっているんだよな。 だからなんの感動もわかないのだ。 小説に関して筆力のなさ、独善を禁忌として私は、主張しているが、それにブツブツの作り話もいれておきたい。 ブツブツの作り話というのは、リアリティー不足ということですな。 ということでここでも立花隆に屈してしまった。 すなわち小説読みによる時間消滅理論である。 だが、kindleunlimitedでは、読まなければ、何が書いてあるかわからないからな。 とにかく読み師は、ひたすら読まなければならない。 今日も明日も明後日も。(1/14記)
2026.04.23
コメント(0)
![]()
信じていたのに【電子書籍】[ 新津きよみ ] 新津きよみは、稀代のストーリーテラーである。 つまり独善もないし筆力にも優れている。 本当に小説には、どうしてこうも読みやすい作品とそうでない作品があるのだろうか。 その意味でこのタイミングで彼女の作品を読めたのは、私にとっては、非常に幸運だった。 本作は、家族の関係のうち夫婦、舅姑、実兄弟、義兄弟、実子などがからむ生臭い話の連続だ。 つまりだ。 本作のような話は、そこここに転がっているということだ。 それは、ホラーよりも恐ろしいことだ。 たとえば、生まれてくる子の名前を姑は、孝一とせよという話がある。 しかし妻は、それを納得しない。 なぜなら、浩市というのが彼女のかつての恋人の名前だったからだ。 この妊娠出産に関して女の子と最初に病院で判断された。 そこで彼女は、ナナという名を提唱した。 ところがこのナナも夫の今の愛人の名前だった。 なんていう話の連続。 かなり頭が回る人なんだな。 ミステリーがらみでは、子の犯罪を自分が請け負う話もあった。 何気ない自分の周りで起きそうなことを小説にするという才能に新津きよみという作家は、恵まれているんだろうな。 何気なさ過ぎてあっという間にその話を忘れてしまうけれど独善の話を読まされて苦しむよりは、ましだ。(1/13記)
2026.04.22
コメント(0)
![]()
知的生産の技術【電子書籍】[ 梅棹忠夫 ] 一体本書を何度読んだことだろう。 そもそも 高校時代読んで大学時代にかけて京大カードを使っていた。 カードの他 ケースも買って使っていたんでっせ。 ところが今は、その役割をブログに託しているわけだ。 さて本書の構想が立ったのは、昭和39年東京オリンピックの年だったという。 それから、62年。 私がこの本を読んだのは、昭和47年。 そこからでも54年。 いみじくも著者は、本書で コンピューターが家庭にまで入りこんでそれを操作することが人間としての最低の素養であるという時代が来るのは、もう少し先のことかもしれない。 しかし今日でもすでに大量の情報機械が専門家の手を離れて一般市民の手に移りつつある。 その操作に習熟することは、現代の人間として当然の素養となる。と述べて今日のIT世界を予言している。 さらに本書で著者はひらがな タイプライターについて書いているが、 これは、ワープロの発明により全く 用無しになってしまったものだ。 つまり知的生活のバイブルのような本書が述べているカード、タイプライターも用なしだが、梅棹が述べている以上の知的生活を我々一般人がしているのだ。(1月12日記)
2026.04.21
コメント(0)
![]()
櫻子さんの足下には死体が埋まっている わたしを殺したお人形【電子書籍】[ 太田 紫織 ] しかしそれにしても太田紫織の作品は、こんなにも筆力がなくてその上 独り善がりだったかな。 これまでは、短編で骨が出てきては、桜子が名推理を披露するのだった。 ところが、長編の本作になって骨の鑑定も何もなくその上話がブチブチに切れてワープするのだった。 とてもじゃないが 、私は、本作を全く理解できなかった。 太田紫織は、拒否リスト入りである。 なぜこのようなつまらん話を世に出してしまったのだろうか。 私なりの理解でどうも櫻子の身にとても危険が迫ってるような伏線が残ってしまった。 しかし、ミステリーという観点から果たしてそのような伏線が必要だったのだろうか。 本作前までは、骨に関する蘊蓄もありミステリーの体をきちんと なしていたのだが、なぜ本作では、その形を捨ててしまったのだろうか。 いずれにしろ小説は、書き手と読み手のハーモニー。 読み手が理解不能に陥るのは、書き手の責任だ。 太田は、書き手としてのそのあたりをきちんと理解しているのだろうか。 そこがわからないから、独り善がりになる。 まあそれにしても1人の作家から離れることになるのは、残念なことだ。( 1月12日記)
2026.04.20
コメント(0)
![]()
崩れる脳を抱きしめて【電子書籍】[ 知念実希人 ] 最高級の上質なミステリーは、文学を凌駕する。 それが読了直後に私が思ったこと。 とにかく途中で止まらず一気に読了して欲しい。 それが私が読者に望むこと。 評価は、それからでいい。 騙されやすい人は、静かに騙されて欲しい。 何らかの異常に気づいた人もそのことは、読了後まで言うのを止めて欲しい。 まずは、用語の解説 から。 グリオブラストーマ。 膠芽腫。 最悪の脳腫瘍だ。 それから、交通事故によるくも膜下出血と後遺症としての高次脳機能障害。 知念は、そういう世界に生きているのである。 その中で彼は、世に名作を送り出すのだ。 この文学を超えたミステリーは、実は、 大切な人生観を示唆してくれる。 それもまた本作の大きな特徴である。 そのテーマは、自分とは、何か。 すなわちつい最近まで私が追い求めていた終活の課題「私は、何モノ?」と同じ。 このことに関し作中登場人物に もしかしたら答えなんてないのかもしれない。(略) わからないなら、自分で人生の意味を決めちゃえばいいじゃん 見事な答えだ 。 そして医師碓氷蒼馬は、 あなたと一緒に歩んでいく。 それこそが僕の未来です 。(略) 誰だって明日まで生きている保証はなんてない。 僕たちはただ1日1日を必死に生きていくことしかできないんです。 お見事!!( 1月11日記)
2026.04.19
コメント(0)
![]()
筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 〜鎌倉の花は、秘密を抱く【電子書籍】[ 谷春慶 ] さてまずは、筆跡ではなく印刷工場の活字の話から。 職人にとっての活字は、我が子のようなものだったんですな。 そして小説そのものよりもその活字でできた本を愛する。 清一郎と美咲は、その謎に迫る。 小学生にいじめはあったかなかったか。 これは実に現代的な問題だ。 「死ね」と書かれたものは、誰に対してのものだったか。 繊細な小学生の心のうちの家庭内の問題があたかも いじめのような形で表面化していたというもの。 素人には、わからぬ筆跡も清一郎にかかれば、その心のうちのひだまで読み込めるのである。 清一郎の出した作品の展覧会に最終日やっと美咲は、行き着いた。 清一郎は、東雲清舟という名で金子みすゞの詩を出展しており推薦を受賞していた。 本作が清々しいのは、不器用な清一郎が美咲に対し件の金子みすゞの詩を君という人間のイメージそのものだよとボソッと語る辺りだ。 これが本シリーズの真骨頂である。 私は、学園モノ大嫌いの徒であるが、本シリーズに限っては、学園モノ解禁なのである。 正直に申し上げると、世の中の学園モノが本シリーズのような話であれば、何も嫌いになることはない。(1月10日記)
2026.04.18
コメント(0)
![]()
バルセロナで豆腐屋になった 定年後の「一身二生」奮闘記【電子書籍】[ 清水建宇 ] この本は、毎朝放送している「武田鉄矢の三枚おろし」で話題にしていたものだ。 私が本書で一番感動したことは、著者の奥さん(本文中カミさんと著者は表記)のバルセロナ前からバルセロナに至るまでの闘病記だった。 つまり武田鉄矢が放送した平成7年12月15日(月)~12月26日(金)の間カミさんの死の話題は、これっぽっちも触れられていなかった。 この番組で清水建宇のバルセロナで豆腐屋になった話は、AIによれば、2回目のようだ。 超巨大地震のあった平成23年に放送しているようだ。 私が聴いたのは、昨年のもの。 その際もカミさんの死は、語られなかった。 しかしそれにしてもこういう書評的なラジオ番組でも原作と番組の乖離があるんですな。 とても驚きました。 と同時に同じ本を違う人が読むと、これだけ感覚が違うんだなということにも驚いた。 もちろん私と武田鉄矢が違うのは、当たり前のこと。 だからこそ書物は独り善がりではいけない。 原作者と読み手のハーモニーだということ。 それが読書という行為の一番大事なところなのだ。 そういう根本的なことを読書教育で子供たちに教えているんだろうか。 読書は、無理強いすべきものではない。 まずは、読みたいときに読みたいものを読ませるのが読書教育の根本的なあり方だと思う。 まあそれにしても実に面白い本だった。(1/9記)
2026.04.17
コメント(0)
![]()
介護格差【電子書籍】[ 結城康博 ] 本書は、2024年に書かれたもの。 著者は、介護関係の研究を18年間しているという。 それをかなり長い年月というかどうか。 あたしゃあ、正職として38年、そのあと1年再任用、そのあと8年会計年度任用職員をしているもので18年と言われてもねえ。 それはともかくまずケアマネの話。ケアマネジャー不足の要因 ケアマネジャー不足の要因はいくつか考えられる。①介護職員の処遇改善(国による賃金引き上げ) 策が進みケアマネジャーとの給与差が縮小したことで、ケアマネジャーへ転職する介護職員が減った。②ケアマネジャー業務において、煩雑な事務作業や定期的な法定研修に追われるなど「業務負担」が増し、職種自体が不人気となっている。③年々、要介護(要支援) 者が増加しているため、供給(ケアマネジャー) が追いついていない。④ 2019 年度ケアマネジャー受験資格の厳格化により合格者が減少した。 特に、これらの中で、④ケアマネジャー受験資格の厳格化は、国(厚労省) は質の担保を理由に介護保険法を改正( 2018 年施行) したのだが、新しく生まれるケアマネジャーが少なくなってしまい、筆者は大きな間違いであったと考える。 という。 そもそもこの文章を引用したのは、私が現役引退するころ妻がキャリアアップしたい、正職につきたい、ということで頑張ってケアマネになったということで介護現場では、何よりケアマネに興味があったからだ。 しかしながら、妻もその激務にかなり疲れてしまい弱気になっている。 そんなケアマネの現状を知っているからこそ興味をもって本書を読んだのだった。 さてケアマネには、「入院時情報連携加算」の制度があり 例えば、在宅の要介護者の病状が悪化して医療機関へ入院したとしよう。 このようなケースでは、担当ケアマネジャーが入院先の医療機関へ日ごろの在宅生活の情報を提供することで、治療がより効果的となる。 そのため、介護報酬上の仕組みでは、ケアマネジャーによる情報提供を促進するために、「入院時情報連携加算」の要件が強化されている。 具体的にはケアマネジャーが入院当日中、または入院後 3 日以内に情報提供をした場合には、ケアマネジャー側に報酬が支払われることとなっている。 医療機関も早い段階で情報を得たほうが、連携はより効果的ということだろう。なのだという。 こんな事つゆ知らず。 つまり私にはわからないことがいっぱいあるということなのだろうが、逆に言うと妻は、順調にそのキャリアを伸ばしてきたということで本当にリスペクトしている。 本書は、現在の介護現場の現状を知ることのできる良書だった。(1/9記)
2026.04.16
コメント(0)
![]()
巻きぞえ【電子書籍】[ 新津きよみ ] 気が付いたら、いつの間にか読了していた。 新津ワールドというやつでしょうな。 成員がどこかでつながる話が特にこの作家は、好きなんだな。 たとえば、着付け教室に通っている女性が着付け道具をいっぱい持って歩いている途中襲われた。 襲った相手は、医学部志望の男性だった。 生まれてきた女の子は、研修医になった。 献体でやってきたのが当該医学部志望の男性の成れの果てだった。 とか表題作巻きぞえで飛び降り自殺の巻きぞえになった男性の婚約者と飛び降り自殺した女性の婚約者が結婚した話とか。 しかし小説は、読めば読むほど読んだ数だけの話がある。 当たり前の話だが。 今この段階で予約日記50下書き日記47だ。 とにかく一日に3冊以上読める日もある。 ほとんどがkindleUnlimitedだから、当たりはずれが著しい。 まあだから、いろいろな話が読めるということなんだろうな。 読んでいるときは、イライラもしない余計なことも考える必要もない。 だが、書いているときは、雑音が入ってくる。 集中できないんだな。 ということで読んだ本は増えるが、文章にするときにちょっと苦労している。 というかとにかく文化の違う人たちと仕事をしていると、イライラしてしまうんだよな。(1/8記)
2026.04.15
コメント(0)
![]()
満月珈琲店の星詠み【電子書籍】[ 望月麻衣 ] 星詠みなんて覚えようとも思わないが、しかしながら覚えなくともそういうのがバックにあって話が進行しているんだなということは、十分理解できた。 たしかに夢のようなというより夢の中の出来事なんだよね。 たとえば、 ぼろぼろと泣いた上級生の女の子を前にしたあの時……。 自分の胸が、ギュッと詰まったのだ。 小学校三年生と六年生の差は、とても大きい。 それなのに、この子を守ってあげたい、という甘苦しい気持ちにさせられたのだ。 自覚していなかったけれど、初恋だったのだろう。 あの時の甘苦しい感情が、こみ上げてくる。 あれから、十数年。などという発想は、この作家独特の感性から生み出されるものだろう。 たしかに何となくこんなことがあったななんて私も思ってしまうもの。 それが星の運行によってうまくいくこともあれば、行かない時もあるということ。 あのときのあの彼女いったい今何してるかなと、思う人がいないわけでもない。 さらに 「ええ、自分でも表現できないものを、『もっと感じて表現しろ』等と、中途半端な指示でオケの仲間たちに押し付けていたわけですから……。 結局、わたしはピアノにのめりこんでしまい、指揮者に戻ることはなかった」 そうですね、とマスターは頷く。「そうしてあなたは、世界に名の知れた、素晴らしいピアニストになった」「そう聞くと随分立派ですが、気が付くと結婚もせずに一人という、ただの音楽バカですよ。老後は親が残した家をリフォームして、ピアノを弾いて過ごしていました」 紳士はそう言って、頰杖をつく。などという人も出てくる。 どこにでもあるようないわば、平凡な人生なのだけれどなぜこの人が結婚できなかったかということが澱のように心に残る。 そういうメルヘンティックな話なんですなこのシリーズは。 だから、理解しようなどという無理をしない方がいい。 ふむそういうメルヘンがあるんだなと、思うだけで十分だ。 世の中には、そういう話もあるんだなと、思えばいい。 本作に理屈を求めても土台無理な話。 ただただただただポエジーに愉しみまっしょい!(1/8記)
2026.04.14
コメント(0)
![]()
神の涙【電子書籍】[ 馳星周 ] アイヌという人種と友情と家族愛そしてカムイと呼ばれる羆の存在をそれぞれうまくちりばめて話を紡いだ。 今日のクマ騒ぎを考えると、本作における羆崇拝は、そうそうは、肯定できるものではないが、そもそも小説という枠内で考えれば、それはそれでありだなと、そんな風に私は、考えた。 まあそれにしても原発関係の電力会社関係者を拉致して過失致死で死なせてしまったなどという話も入りかなりキラキラしたすみれ話になってしまったなと、思う。 だからといって話が雑になったわけでもない。 さまざまなアイテムがうまく機能して話として仕上がったなという感じだ。 冒頭書いた人種差別や友情家族愛に関しては、その一つ一つをテーマにして深堀して欠ける内容でもあった。 しかしながら、そのいずれも深く書かずただ最終盤のハッピーエンドつまり大団円でその前あたりからではあったが、涙腺がかなり緩みましたな。 400ページ超えなので比較的長い話になるのだが、私は、一気に読了した。 もう一度この話に戻ってつらつら考えるに一つ一つの要素の説明があったら、もっとわかりやすかったろうなと思った。 例えば、アイヌ人としての人種差別というのは、いったいどんな感じだったのかとかそのようなアイヌ人と友達になれる女性とは、どういう心理の持ち主だったのかなど深堀もあってよかったのではなかろうか。 それから、尾崎と雅比古の関係ですな。 何も同一人物について二種の書き方をしないでほしかったね。 それは、何が目的だったのだろうか。 今や本州でもツキノワグマが跳梁跋扈している時代になった。 羆の話をされたら、それだけで恐怖以外の何物でもない。 その辺のずれが本作では、解消し切れなかったとというところに物足りなさが残った。(1/8記)
2026.04.13
コメント(0)
![]()
オイディプスの檻 犯罪心理分析班【電子書籍】[ 佐藤 青南 ] これは、青南の楯岡絵麻のシリーズとは、また違う趣のシリーズだ。 こちらはも男女のコンビなのだが、女性がまともな警察官で男性がサイコパスの科捜研の職員だ。 科捜研だけにプロファイリングで犯人像をせばめていく。 さらにサイコパスの職員には、同様の能力がある男性二人がつく。 閻魔様の話と比べると、かなり読みづらい。 こっちのシリーズを先に読み始めると、たぶん読みづらさから、拒否権発動となるだろう。 ただ本作の題名にあるオイディプスというのは、一種のヒントになる。 注射器のシリンジを押し込むと、男が崩れ落ちるように倒れた。 大手出版社の社員で、仕事を餌に僕に肉体を要求した男だ。 飯田橋のバーで手を握られた感触を思い出すと、身の毛もよだつ。 僕はどんな男にたいしても、性的な魅力を感じることはない。 僕が男だからだ。 肉体は女でも、心は男だ。 なんていうのは、いかにも今風の話なのだが、その心理について青南は、本当にわかったうえで書いたのだろうか。 その点は、はなはだ疑問だ。 それは、ともかく冒頭に書いた登場人物が少ないにもかかわらずどうも成員の関係性がわかりずらくて読了するのにかなり苦労した。 しかしながら読みづらいからといって投げ出すわけにもいかない。 いつか書いたと思うが、そもそも私のポリシーは、どんな本でも原則完読了することにある。 だから、どんなときにもあきらめず最後まで読む。 それで面白くなかったら、あるいは、独り善がりだったら、その作家をその後読むということがなくなる。 拒否権の発動である。 青南の場合は、先に書いた通り閻魔様を読んでいたので本シリーズがつまらんからとて捨てることはない。 それが俺流の読み方だ。(1/7記)
2026.04.12
コメント(0)
![]()
暴露(スクープ)【電子書籍】[ 伴野朗 ] 結構昔の推理小説だ。 連続殺人の果て自殺して生命保険を家族に残す話。 これなんざあ力業だな。 しかしながら、このトリックを見抜けなかったら、その警察は奈良県警並みだぞ。 シャブ中にサブリミナルアプローチを施しその妻を殺させる手口。 机上だから、できる仕掛けだな。 余命いくばくもないことから、自分が心中死体になることを了承した女性。 そんなのすぐばれるよ。 いじめの果てに自殺したとみられる少年。 実は、地蔵背負いで殺されて首吊りに偽装されたのだった。 このトリックを見破れなければ、警察ではあるまい。 つまりほぼ不可能なトリックが次から次へと語られそれがまるで可能なような書きっぷりで当時の読み手を喜ばせたんだろうな。 正に昭和平成の作品だ。 しかしそれにしても伴野朗は、上質なエスピオナージをかける作家なのになぜ本作集のような上記のようなつまらん作品を上梓したのだろうかね。 それは、商業主義のせいなのだろうか。 ただし私のような読み師にとっては、かえってトリックのヴァリエーションが増えてよかった。 だから、本トリックがもう少しリアルであれば、よかったのにねと思う。 いいトリックをミステリー化するのは、実際むずかしいということなんだね。(1/7記)
2026.04.11
コメント(0)
![]()
筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 〜鎌倉の猫は手紙を運ぶ【電子書籍】[ 谷春慶 ] すっかり本シリーズのファンになってしまった。 まず東雲清一郎が魅力的だ。 とにかく世間知らずで世間に迎合しないところつまりKYですなこういうところを私は、推したい。 そして近藤美咲。 いつの間にやら清一郎が美咲を他人に助手と紹介しているぞ。 その前に書のミニ解説。偏は左に伸ばし、旁は右に伸ばすと形が決まる傾向にある。というのと、 だが『し』や『り』などのひらがなは縦長にするイメージを持っておくと形が決まりやすい。というもの。 たしかに今やパソコンの時代。 手書きなどというのは、少なくなったものな。 そこをとにかく筆跡鑑定に特化して話を紡ぐというところが面白い。 鎌倉市内の看板につけられた×という文字のいたずら書きはいったい何なのか。 この辺のレベルだと、おこちゃま扱いなんだけれどついに落合などという詐欺師が現れて岬の家のことまで語らせるとなると、これは、事件ですぞ明らかに次回に向けた伏線だ。 この流れだと、警察も何らかの形で出てくることになりそうだな。 本シリーズは、始まったばかり。 この先様々な伏線を抱えながら、きっと面白く話が紡がれていくのだろう。 楽しみである。(1/6記)
2026.04.10
コメント(0)
![]()
妻の罪状【電子書籍】[ 新津きよみ ] 本作は、新津ワールドといってもいいような独特の世界観を醸し出している。 例えば殺した夫の死体を百日紅の木の下に埋めたなどという話は、いつかどこかで起きそうな話でもある。 ホラー的な話では中学校時代いじめにいじめられたしかも担任や学級委員が中心になって起きていたいじめに関して呪いをかけたら、かけられた人間が死んじまったという話などぞっとする。 基本本当に私の身近に本当にいる人々の話のような感じだ。 話題は、介護、義理の親戚関係と本当に身近で身につまされるところだ。 70近くの主婦がどうして自分の夫と義母の首を縊ったか。 報道では介護疲れとか老々介護とか様々な特徴のない言葉でくくられるのだが、その奥にある深い話を文章化して小説にしている。 ホラー的な話はあるが決して飛び道具を使っているわけではない。 また筆力のある文章で読み手をぐぐぐっと引き付ける。 まあそれにしても個々の作家の力になぜ差が出るのだろうか。 とにかくひどいのは、読めども読めども理解不能な独り善がり本だ。 そういうのだからって途中で投げ出すのは、私のポリシーに反する。 読了後は、何らかのコメントを基本本ブログにアップすることになる。 その点本作は、実にキレのいい話だった。 考えてみれば、世の中では不幸と見える離婚者、独身者、シングル・マザーも見方を替えれば、本作のような事件を起こしかねない。 つまり本作は、どこにでもある話だということ。 新津きよみはそういう話を小説にできる力のある作家だということだ。(1/5記)
2026.04.09
コメント(0)
![]()
筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。【電子書籍】[ 谷春慶 ] なかなか難しい部門を表に出した作品。 だからと言って七面倒な理論は何もない。 あるのは、筆圧、書き順、誤字。 それらを見て東雲清一郎は、その字を書いたもののその時の気持ち、そのものの性格などを推理していくわけだ。 舞台は、主に鎌倉学院大学。 つまり私の嫌いな学園モノ。 しかし東雲清一郎という学生にしては、老獪な変わり者の魅力には勝てない。 この男と仲良くなる人間などいるわけがないのだが、ただ本作中美咲という女学生がだんだんだんだん接近中なのだ。 まずもってラブレターですな。 昔の。 そこに書かれた女性の名前は順子。 妻の名は、久代だから、いったいこれは何なんだということですな。 読み師は、それを代筆でしょうと、全部みろっとめろっとお見通し状態になるのだった。 今時人の背中に張り紙をするかなということに関しては、なんと鎌倉学院大学の2年生から4年生の答案をもって書き主を当ててしまう。 まず「そ」の字。 そして「寝」の字。 「そ」を2画で書く人「寝」の脇を人偏にする人がいるらしい。 シリーズは、伏線もまた一つのアイテムだ。 清一郎には、左手書きの謎があるようだ。 そういう伏線回収も実に面白い部分だ。(1/4記)
2026.04.08
コメント(0)
全4862件 (4862件中 1-50件目)
![]()
![]()
