キー太先生の不動産に関するいろいろ

2024.09.27
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テーマ: 不動産(609)
カテゴリ: 建築のこと
こんにちは キー太先生です。

2023年4月1日に民法233条が改正されました。

<民法233条>
【改正前】
1.隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者にその枝を切除さえることが
 できる。
2.陳地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

宅地建物取引士の試験勉強で
隣地の竹から伸びてきたタケノコは勝手に取っても良いが、
隣地の柿の木から伸びてきた枝になった柿は勝手に取ってはいけない
と覚えた人は多いでしょう。
改正後は次の項目が追加されました。

【改正後】
3.次のいずれかの場合には、枝を自ら切り取ることができることとする。
   ① 竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、
   竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき
 ② 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき
 ③ 急迫の事情があるとき

    ※ 道路を所有する国や地方公共団体も、隣接地の竹木が道路に越境してきたときは、
   新たな規律に  よって枝を切り取ることが可能。
    ※ ①の場合に共有物である竹木の枝を切り取るに当たっては、
   基本的に、竹木の共有者全員に枝を切除するよう催告する必要がある。
   もっとも、
   一部の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときには、
   その者との関係では②の場合に該当し、催告は不要。
    ※ ①の 「相当の期間」とは、 枝を切除するために必要な時間的猶予を与える趣旨であり、
   事案によるが、 基本的には2週間程度 と考えられる。
    ※ 越境された土地所有者が自ら枝を切り取る場合の費用については、
   枝が越境して土地所有権を侵害していることや、土地所有者が枝を切り取ることにより
   竹木の所有者が本来負っている枝の切除義務を免れることを踏まえ、
基本的には、竹木の所有者に請求できると考えられる (民法703・709)。

キー太先生
これまでは、民法によって、たとえ枝1本であろうとも、所有者でない者が勝手に
切除することが
できませんでした。
竹木の所有者(共有者の全員)が応じないときは「枝の切除訴求訴訟」を提起する必要があり、
切除を命じる判決を得て強制執行の手続きを取るという、バカみたいな話になります。
したがって、
越境された土地所有者:「枝が伸びてきているのでこっちで切っていいですか?」
竹木の所有者(隣地):「すいません。切っておきます」または「すみません。構いません」
ということになります。
しかしながら、近年は
空家 で居住していなかったり、 ゴミ屋敷の住人 が応じなかったり問題が顕在化してきました。
また、道路に越境した枝によって信号機が見えずらくなる。電線に接触しているなど
インフラへの危険性が高まり、隣家だけの問題ではなくなってきました。
また、現行(改正前)では自力救済を誘発しかねないので、
権利の濫用を鑑み今回の改正内容までとなった
ようです
(管理不全土地の管理措置の導入は見送られました)。


道路法の車両の高さ制限は基本的に3.8m(高さ指定道路は4.1m)ですが、
自動車や歩行者の安全な通行を確保するために、電柱・信号機・樹木等が
路上に入っていけない空間を定めた「 建築限界 」があります。
車道の場合は4.5m、歩道の場合は2.5mの高さ範囲に通行の障害になるもの
(樹木・看板など)は置いてはならない と規定されています。
建築限界の範囲
建築限界

建築限界の範囲にある自宅の木の枝や近所の商店の庇や看板に心当たりはありませんか?
​(道路法第30条および道路構造令第12条)​

​車が傷ついた、怪我をしたなどの事故・クレームがないよう留意して管理しましょう。​

次回は「トイレは2つ必要か」です。






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最終更新日  2024.09.27 00:00:17
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