さすらいの天才不良文学中年

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板前居酒屋「黒兵衛」の女将万歳

板前居酒屋「黒兵衛」の女将万歳

 敬愛する先輩が第2の人生を歩むことになり、祝宴を設けることになった。こういうときの場所選びは、意外に難しい。豪華になり過ぎてもいけないし、シャビー(安っぽい)であってもいけない。要はちゃんとしたところでなければいけない。

 そこで我がエースOさんの登場である。こういうことに関して全く抜かりがない。気配り、目配りは他の追随を許さない。総務事項に関して非の打ち所がない。誰もがOさんに頼めば間違いない。

 そのOさんの推薦の店が板前居酒屋「黒兵衛」(女将さんのご了解をいただいたので、お店の名前を出す)である。


黒兵衛女将さん


 京橋に所在するこのお店「黒兵衛」の看板娘は何といっても、この家のお内儀である(英子さま、写真)。御歳何と80才。現在も美人だが、若いときもさぞや美人に違いない上品な女将さんだ。笑顔も百万両である。

 ご本人を描いた絵(ブリヂストン美術館の要職であられた方、作)とサトウ・サンペイ氏の色紙もご紹介する(写真)。店内にさりげなく展示してある。


英子さん1


英子さん2


 客は、勿論この女将さん目当てだ。したがって、ほとんどが年配の男性客だ。お父さんたちが安心して飲める店なのである。併し、気さくな店でもあるので、親父ギャルにお薦めしても無論問題はない。

 おっと、肴も旨い(写真)。トマト・オムレツは旨かった。焼鳥も肉が違った。店が繁盛するのは女将さんの魅力だけでもない。思い出した。女将さんが広島の大竹市出身というのも良い。広島は美人が多いけぇのぅ。


メニュー


 締めは、鍋ラーメンだ(写真)。これがまた旨い。鍋をつついて具を平らげた後、ラーメンを鍋に入れて食す。具の出汁が効いた麺が泣かせる。最後に料金も良心的であったことをお伝えしておく。


鍋ラーメン


 京橋に旨いものあり、美人あり。



「黒兵衛」の灯

 京橋の「黒兵衛」の灯が消えた。


黒兵衛1


黒兵衛2


 再開発で営業継続を断念するという。「黒兵衛」のお店のことは、昨年このブログで取り上げている。女将である伊本英子さんが42年間、京橋で「黒兵衛」の灯を絶やさずに営業をしていた店である。

 突然の店仕舞いの「ごあいさつ」で驚いたが(写真下)、松山出張等夜の予定が詰まっていて、店に顔を出すことが出来ない。おいらの敬愛するOさんから「店仕舞いの記念品を預かっている」との連絡を貰い、慌てて千秋楽前日に顔を出すことにした。前回のブログで使用した写真を現像して、お礼にとお持ちしたのである。


挨拶状


 女将は相変わらず、笑顔で美人であった。昨年、おいらがデジカメを使用したとき、カメラを入れるケース(袋)を「黒兵衛」に忘れていたのだが、その袋を大切に保管していてくださったことへのお礼も申し上げると、手を口に当てて優雅に微笑まれた。抱擁感のある女将であった。おいらたちがいくら疲れていても「黒兵衛」に出向いてこの女将に会えば、そんなことは吹っ飛んでしまう弁天様のような人であった。

 女将のお嬢様がこのブログを拝見できると云っておられたので、この場を借りて、再びお礼を申し述べたい。
「隠居などしないで、チャンスがあれば、また浮世の世界にお戻りください。隠遁しつづけると、一気にお年を召されますよ」


 また、東京から良いお店が一つ消えた。




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