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昨日は、井沢元彦について書きましたが。井沢氏も「逆説の日本史」の中で、何度も言っております。 日本史は怨霊の歴史である。 たたりを恐れる歴史である。 出雲大社は、大和朝廷に破れて、歴史の表舞台から去った大国主命を、祭っておりますが。世界中、どこにも、敗者を大々的に祭るところはありません。 でも、日本人にはよくわかるメンタリティ。 死者はいい人なのです。特に、志なかばで死んだり、非業の死を遂げた人は。 総理大臣で在任中に亡くなった、大平さんや小渕さん。生きてる間は散々けなしていたくせに、死んだ途端、いい人だったの大合唱。マスコミの手の平の返し方。 びっくりしましたが、日本人は、やっぱり、死者が怖いのよ。たたりが怖いのよ。 恨みを残し、非業の死を遂げた人は、立派な神社・寺に祭られ、素晴らしい名前や称号が与えられるのです。 で、それまでは神社に祭っていたのですが。新しいたたりをしずめる装置「寺」が中国から輸入されました。 そう、日本史で最初に寺に祭られ、聖なる名前を与えられた人。 聖徳太子。 実は、聖徳太子は恨みを残して死に、法隆寺は怨念をしずめるための寺だというのです。 一つだけ言っておけば、聖徳太子の子供、山背大兄皇子は一族25人とともに、蘇我入鹿に滅ぼされます。子孫が絶えると言うことは大変なことです。特にあの時代に。 聖徳太子が幸福であるとは、あの時代の人は一人も思わなかったでしょう。 初めて読んだ時、おもしろくて、気付いたら夜中です。 聖徳太子の恨みの深さ、呪われた者達が聖徳太子を封じ込めるために行うことの一つ一つ。 話が核心に迫っていくと丑三つ時です。今さら、やめられませんよ。 しかし、怖い。人間がやることの怖さです。 今回、いろいろ書きましたが、一つもネタバレはありません。本書の「はじめに」から、法隆寺は怨霊鎮魂の寺と書いていますし、 梅原猛は、法隆寺の謎を七つあげ、一つ一つ解いていきます。圧倒的なエネルギー。まるで、ミステリの解決編です。 歴史好きの人、長いのが苦でない人。おすすめします。 梅原猛の熱意を感じてください。 梅原猛の本です。※1 前に、、「本がどんどん買いたい」で、「問題な日本語」を、古本屋で待つ、と書きましたが。今日、用事があって、学校の図書館に行ったら、新入荷。一番で借りてきました。幸せ。人気blogランキング ←参加しました。押して下されば、元気が出ます。
2005.04.13
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本日は、読者を無視しているかも。 今は無き、サンリオSF文庫。 早川でも創元でも徳間でも読むべき本がいっぱいあったわたしは、サンリオSF文庫は、まー、そのうち評価が固まったらなどと、考えておりました。 そしたら廃刊。 で、結局、入手したのは一冊のみ。「去りにし日々、今ひとたびの幻」ボブ・ショウ 光が、そこを通過するの時間がかかるガラス。スローガラス。 光が通過するのに、一月かかるとしたら、そう、そのガラスに映る景色は1月前の景色。 スローガラスの偶然の発明から、発明者の人生をいくつかのエピソードで描いた長編。 そして、長編の途中に、主人公とは関係ない、スローガラスの短編が3つ。この構成がスローガラスで変わっていく世界を表現している。 そして、この短編がいいのだ。 10年物のスローガラス。つまり、10年前の景色が映し出される。自然の中に立てられたガラスを、都会に運び、窓にはめて、10年分の自然を楽しむ。 だが、窓ガラスは、外を写すだけではない。家の中の様子も、外にしめすのだ。 10年前の暖かい家庭の情景。そして、現在の家の中の様子は? わたしが好きなのは、2つ目の短編。 「立証責任」 殺人事件の現場にあったのは5年物のスローグラス。5年たてば、犯人は明らかになる。だが、判事は裁判を引き延ばすことをせず、容疑者を死刑にする。 そして、5年後、スローグラスが犯行の様子を映し出す。 劇的なこともなく、判事の心理の動きだけで進む話です。 この、話の中で、判事は考えます。 ビデオができた時の野球の審判と同じだ。審判が正しいモノとして、ゲームは進めなくてはならない。後で、ビデオがどういう映像を出そうとだ。 これが、わたしの法律に対する考え方になりました。 法律とは社会を進めるための道具に過ぎない。完全な正義や善悪を目指すモノではない。社会を円滑に進めるためには、誤審もあり得る。 話が、変な方向に行きましたが、その後、スローガラスは自由に映像を取り出せるようになります。すると、プライバシーや秘密を守ることは、むずかしくなります。 ショックを受ける、主人公。そして、さらに秘密を探る方法が考え出されます。 後は、読んでのお楽しみと言っても、入手はかなり困難です。すいません。「去りにし日々、今ひとたびの幻」の復刊希望ページ※1 復刊ドットコムの「去りにし日々、今ひとたびの幻」の復刊希望ページに、リンクしてあります。興味のある方はのぞいてみてください。 ← メールマガジン始めました。「応援メール」です。がんばる人の応援を毎日しています。※2 楽天オークションで4,600円ついていました。興味のある方は、のぞいてみてください。↓ でも、買うことはないよ。 4,600円の価値あるなら、とっくに復刻されていますよ。 これは、多分、思い出価格。「去りにし日々、今ひとたびの幻」オークション価格、4,600円。※3 枯草熱-hay fever-が、サンリオSF文庫にありました。買おうかどうかずいぶん迷いました。多分、帯か背表紙に引かれたのだと思いますが。 今、調べてみたらスタニスワフ・レムじゃないですか。買っとけば良かった。 メルマガのバックナンバーはこちら
2005.06.07
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