住宅営業マン日記~月いちこと菊原智明@営業コンサル@大学講師

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私の情けない過去



一番悪いときは年間2棟という年がありました。

しかもそのうち一棟はうちの会社の関連のお客様。

誰が営業でもよかった物件です。

実質年間一棟しか取れなかったこともあります。

本当に苦しかった。

辞めたかったけど、辞める勇気さえも持てなかった。

そんな情けないヤツです。


売れなかった時代でこんな思い出があります。

あるお客様に見積もりを出したのだが、その後まったく連絡が取れなくなった。

訪問してもいつも留守。

私は当時の所長にこう報告していた。

所長『あの客どうなってるんだ!』

私『はい。何回も訪問して手紙を置いてきているのですが会えません。』

このような報告を繰り返していた私に所長はキレた。

所長『今週中に必ず会って結果を報告しろ!』

私『はっ、はい!』

私は毎日のように訪問していたのだがいつも留守。

後でわかったのだが、子供が体調を壊し実家に帰っていたという。

そんなことは知らずに私は毎日お客様のアパートが見えるところに車を止め、お客様の帰りを待った。

電気メーターを見に行ったり、郵便物をチェックしたり。

まさにストーカー行為。

今だったら確実に捕まっていただろう。

週末になり私は追い詰められてきた。

《明日までに会って結果を聞かないと所長に殺される》

私は夕方5時からお客様の窓が見える位置に車をとめた。

怪しまれるので車のエンジンは切った。

このとき季節は3月。

夜はものすごく寒い。

私はダウンジャケットを着てお客様が帰るのを待っていた。

4時間ほど待っていると突然アパートの電気がついた。

《よっし、帰ってきたぞ!》

私は急いでお客様の家に向かった。

私は深呼吸をひとつしチャイムを押した。

お客様『はい。』

私『○○ホームの月いちです。』

お客様『ちょっと待ってください。』

お客様が玄関まで出てきてくれた。

私『見てもらえました?見積もりは。』

お客様『あぁ、実は実家の知り合いのところで決めたのですよ。』

私はいろいろと言っていく下がったがお客様にこういわれぐうの音も出なかった。

お客様『実家の土地に建てるので私たちだけでは決められないので。』

私『そっそうですか、わかりました。』

これで私の一週間の張り込みが終わった。

私は事務所に戻りそのことを所長に報告した。

所長『おまえさぁ、よく考えろよ。実家の土地に建てるんじゃダメに決まってるだろ!』

確かこんな感じのことを言われた。

私はその夜悔しくて眠る事ができなかった。

次々に雑念が頭をよぎる。

《所長が毎日行けって言ったんじゃないか!》

《あの客も言ってくれよなぁ》

《すげぇ寒かったよ、車の中》

《だいたいなんで俺が寒い中ダウン着てお客を待ってなきゃならないんだ!》

しまいにはこんな事を考えていた。

《チックショー、絶対明日辞めてやる!》


次の日出社していつもの朝礼が始まる。

私『今日は20件訪問します!』

と自分が思っていないことを宣言する。

《訪問するのいやだけど、やるしかねぇかぁ》

こんな毎日の繰り返しだった。

本当に情けない。

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