語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

2021年02月11日
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カテゴリ: 宿曜研究
毎週日曜夜が楽しみだった ​大河ドラマ「麒麟がくる」が遂に完結​ しました。
誰もが知っている戦国武将・織田信長と本能寺の変は言うまでもなく様々な説があり、数々の書物や映画やドラマで多様に描かれてきたようですが今回ほど、信長とその周りの人々の人間模様とその切ない心情に共感、親近感を感じたことはありませんでした。
この人であれば世を変えられる。この人をなんとしてでも守り抜く。この人の求めなら全力で動く。あの人がそう言ったから信じる。あなたとなら共に戦える。あなたと語る夢こそが理想。あなたの喜ぶ顔がみたい。あなたと共に平穏の幸を噛みしめたい。
主君を討った謀反者のイメージが強かった明智光秀が、これほどまでに正義と人情味に溢れた緻密、知的な人物であり、いかに周りの人々から頼りにされていたのか。

裏切られた暴君、織田信長は元来、常識にとらわれない行動で庶民を喜ばせたり、名もなき下僕を励まし仲間に従えたりといかに明智が感銘を受け、惚れ込んだ人物であったのか。
今回のドラマでは、メインの織田×明智の関係にとどまらず、全編を通して男女の別なく、人が人に惚れ込み、信じるということの清らかさ、尊さ、儚さ、悲しさが波紋のようにいくつも重なり合って丁寧に描かれており、見る者の感情移入を誘いました。
史実としては、潔い武勇伝が残りがち。
過去のドラマなどでの描写では、いざ、信長に対峙した明智が長々と恨みつらみを叫び訴えるシーンや、燃え盛る火の中で死を悟った信長が静かに舞をまって、潔く自らの首に刀をあて、血飛沫をあげながら絶命といった絵が語り草ですが、今回はまったく違いました。
明智にも信長にも、出会いの頃の感動、共に夢を語り合った蜜月の日々が次々と脳裏に浮かびます。
少しずつ何かが掛け違っていく。こんなはずではのことが次々と起こる。軌道修正してもしてもうまくいかない。
遂に、信長様は変わってしまわれたと直訴する明智に対し、わしを変えたのはそなたではないかと返す信長。
それでもまだ信長は、同志としての明智の働きを信じ、明智が最も重荷とする命を与えます。
この時の信長の一言が、あまりにも拍子抜けで悲しい。2人の気持ちが全く噛み合っていないこと、この2人の先に明るい未来がないことを決定づけてしまいます。
「もう一息じゃ。これで世が鎮まればそなたと二人で穏やかに茶を飲みたい」
もう後には引けない信長。
暴走を止めるには暴走を煽った自分が始末するほかに我が役目なしと兵を挙げた明智。
鮮やかな桔梗紋がはためくなか、明智軍は本能寺で寛ぐ信長を追い込みました。
まさか自分を討ちにきたのが明智と知った信長。そうかそうかと泣き笑い。演じる染谷さん最高の名演で引き込まれました。



甲冑相手に白浴衣で大奮闘。思う存分に受けて立ち、最後は一人静かに、わしを焼き尽くせと部屋に籠り、横臥。
幼い頃より、父母の愛に飢え、ただ人に褒めてもらいたかったと語っていた信長。まるで母の胎内に戻るかのように、小さく丸まった胎児のような最期の姿。まさに剛柔併せ持った織田信長の孤独な悲しい生涯を象徴した ​​ 大変印象深いワンシーンでした。
無邪気で誰も思いつかないような型破りな発想力の持ち主。
愛嬌があり、一際ユニークな存在感を輝かせていた信長は
宿曜占星では ​​ 剛柔宿 である ​氐宿 ​​ を宿星​​ に持つと言われています(諸説あり)
まさに人を惹きつける人間味あふれる柔らかさに加え、精神力、体力ともに底なしのパワーで逆境を跳ね除け、確固たる自分のやり方を強引に押し通そうとする剛の部分、両方が突出していて、信長にぴったりです。
しかも、27宿の解説中、 氐宿の特性
唯一出てくる ​​ 「狡猾」 ​​ というキーワード。
自分の欲望のためには、手段を選ばない。血も涙もないかのごとく、狡猾的なやり方で人を陥れることができるため一歩間違えれば人から恨まれ憎まれ転落の難あり。と出ているのです。

宿曜ではそんな氐宿と壊の関係であった婁宿、明智光秀が
命がけで信長を消し、自らも転落。。

しかしながら、今回の大河ドラマ「麒麟がくる」では、また違う未来の予感も垣間見れ、余韻の楽しいものになりました。


一説では、その後、明智は天海という僧として生き延び徳川幕府の政にも絡んでいたとかいないとか。しかも、天海といえば、有名な宿曜師としてその名が知られている人物。
もしや明智が様々な人間関係の苦難を宿曜を学びとして乗り越え新たな知恵を武器にさらなる未来を生きたとしたら。

加えて言うなら、明智と深い信頼関係にあった武将、松永久秀も劇中、易をたしなむシーンが描かれ、人間関係に苦悩する明智に人の相性について助言する場面も。
無念の自害のシーンでは「南無三宝!と叫び衝撃的な最期でした。
理不尽な想いを抱えながらも自らの命を信念を持って、自らの手で終わらせることもまた常であった武士の時代。
それに比べれば現代は、様々に生きる権利を主張でき、それだけでも何と幸せなことかと思うこの頃です。
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最終更新日  2023年01月18日 09時40分11秒


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