一時、日本のジャズから関心が離れてほとんど新譜を買っていない時期があった。 平成ジャズ維新と名打ってキャンペーンなども行われていたようだが、傍観していて、大西順子や大坂~原クインテットなども1,2枚所有していただけで、あまりとやかく言えるほどきいていなかったのです。 関心が大きくなったのは、N内さんからの影響だった。 「ケイコ・リーって滅茶苦茶ええボーカリストやでぇ!天才やわぁ!」熱心に何回も語るのに影響されて広島のジャズニーズに聴きに行った。 その頃のケイコ・リーはステージでは今ほど愛想もなく音楽がすべてといった按配だったが、いままでのボーカリストにはないオーラを感じさせ、N内さんが騒いでいた理由が納得できた。 ちなみに、オフステージでは凄く気さくな方です。 それから暫らくして綾戸智絵もデビュー。 そんなこんなで、ライブハウスによく脚を運ぶようになって日本のジャズも新譜で再びよく買うようになっていった。 ギターの新譜でその頃買ったのが、宮の上貴昭の完全ソロ作とこの岡安芳明の「HOT HOUSE」。 4畳半ジャズという言葉があるが、この2枚など深夜、ウイスキーなどを舐めつつ聴いていると最高にいい。 高田馬場にあるジャズハウスHOT HOUSEでの編成をそのままスタジオに持ち込んで録音した由だが、臨場感あふれた演奏でライブハウスで本当に聴いているような気分になってくる。 編成もソロ、デュオ、原朋直を加えたトリオと飽きがこないように工夫を凝らしている。 ケニー・バレルのヴィレッジ・ヴァンガード盤やケニー・ドーハムのクワイエット・ケニーなどと並ぶ4畳半ジャズの名作がここに完成した。 メンバーは岡安芳明(G)上村信(B)原朋直(TP) I`VE NEVER BEEN IN LOVE BEFORE,I`LL CLOSE MY EYES,SUMMERTIME,WILLOW WEEP FOR ME,HOT HOUSE,WEDNESDAY NIGHT BLUES,SAMBA DE ORFEU,I GOT IT BAD,STRAIGHT NO CHASER,LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG 全10曲。 録音は1998年12月16,17日 東京
DOLDINGER IN NEW YORK/STREET OF DREAMS(WEA) KLAUS DOLDINGER(TS,SS)TOMMY FLANAGAN(P)CHARNETT MOFFETT(B)VICTOR LEWIS(DS)ROY AYERS(VIB)DON ALIAS(PER) 録音1994年5月16日~19日 NY SKYLINE STUDIO
・FABRIZIO BOSSO/ROME AFTER MIDNIGHT(SOUND HILLS SSCD8129)\2625
▽ PERSONEL FABRIZIO BOSSO(tp,flh), DANIELE SCANNAPIECO(ts), MIKE MELILLO(p), MASSIMO MORICONI(b), LORENZO TUCCI(ds)
▽ TRACKS 1) EYES OF THE HURRICANE 2) CEORA 3) HONEYSUCKLE ROSE 4) ROAD SONG 5) JOHNNY COMES LATELY 6) YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS 7) BIRDLIKE 8) HAVE YOU MET MISS JONES 9)CRISIS 10) THERE IS NO GREATER LOVE 11) I REMEMBER APRIL Recorded at House Recording Studio, Rome Italy, Oct. 12 & 13, 2004
大学一年生だった夏、和歌山県白浜海岸で住み込みのレストランのバイトを一ヶ月やった。 ジャズより当時クロスオーバーとまだ呼ばれていたはずのフュージョン系のカセットテープをたくさん持っていって休みの日の海岸や宿舎で夜よく聴いた。 渡辺貞夫/カルフォル二ア・シャワー、ボブ・ジェームズ/タッチダウン、クルセーダース/風に舞う、スクラッチ、リー・リトナー&ジェントルソウツ、スタッフ、デイブ・グルーシン、ジョージ・ベンソンなどなど。 バイト先のレストランの前にプールがあって休憩時間なんかにもよく泳いだ。アイスクリームを売店で売る当番があってよくちょろまかして食べたもんだ。 歩いて十分ほどのところに「画房」というジャズ喫茶があってバイトが休みの日にはよく訪ねた。 そうして稼いだお金はアルトサックスを買う資金の頭金になったはず。 もちろんレコードも買った。 当時はヒノテルの大ファンでこのFRYING DISK第2作目もその時買ったはず。 当時より今の耳で聴いたほうがこのレコードなど評価が高いのではないか? THIS PLANET IS OURS(HARRY WHITTAKER)やFALLは、TAWATHAと笠井紀美子のボイスを効果的に使っていて今のクラブシーンなんかでも結構うけるのではないか。 メンバーも凄い顔ぶれ。 日野皓正(TP)峰厚介(TS,SS)JOHN SCOFIELD(G)益田幹夫(P,EL-P)CLINT HOUSTON(B, EL-B)日野元彦(DS)ジョージ大塚(DS) MTUME(CONGAS,PER) CITY CONNECTIONをだす前の過渡期的な作品と見られがちだが、 サウンド的には結構いい線いってると思います。 たくさん所有している日野さんのレコードの中でも特によく聴く一枚。
ウォーン・マーシュはウェイン・ショーターと並んで私のアイドル的存在のテナー奏者だ。 初めて聴いたのは何時だったのだろう? たぶん「アスペクト・イン・ジャズ」のリー・コニッツ・ストーリーでレ二ー・トリスターノ5重奏団の演奏かなんかを聴いたのだと思う。 青白くカミソリのような鋭さを持つ40年代後半から50年代初頭にかけてのコニッツの演奏(当時の風貌も独特の雰囲気がある)に比べマーシュの演奏はテナーという楽器の特性もあるがその頃からおっとりとした朴訥で暖かい印象を受けたが、はっきりいって当時はあまりよく分からなかった。 マーシュが俄然自分の中で大きな存在になったのは、幻の名盤読本に載っていた2枚のレコードだ。 「JAZZ FROM TWO CITIES」と「MUSIC FOR PLANCING」。 最初のはH野さんに聴かせてもらってその流麗なラインとハーモニーに感銘を受けた。 後者は「JOJO」でリクエストしてそのユニークな曲解釈に思わずコーヒーをお替りしたのを覚えている。 VSOPからこのモード盤がリイシューされた時すぐに買い求めた。 その時の嬉しかったことよ! 行きつけの「JOKE」でもアトランティク盤やWAVEやSTORYVILLEのレコードをリクエストしたり、よくかかってもいていつのまにか最初どこがよいのか今ひとつよくわからなかったマーシュのテナースタイルの虜になっていた。 80年代以降もCRISSCROSSやDISCOVERY盤で晩年の演奏を追いかけた。アーティキュレーションがやや不安定になるのは仕方ないとして(否、マーシュのスタイルではそれも個性とて発揮されるか?)バラード演奏などワンアンドオンリーのオリジナリティーをだし続けた。 無くなる寸前まで演奏していたという。 演奏の休憩中に具合が悪くなりそのまま病院へ、そのまま息をひきとったらしい。まさにミュージシャン冥利につきる死に方ではないか。 ウォーン・マーシュのDNAはポール・モチアン~ジョー・ロバーノを触媒としてマーク・ターナーなど今日のヤングテナーマンに確実に継承されている。 彼ら若手のキーワードは自身のオリジナリティー、プレイ指向よりもむしろサウンド指向という点。 これぞマーシュのテナースタイルの真骨頂ではないか! かなわぬ夢だが、マーシュとターナー、マーシュとジョシア・レッドマン、マーシュとクリス・ポッター、クリス・チーク、ビル・マクヘンリー、シーマス・ブレイクの共演を聴きたいのは私だけではないだろう。 今日の若手白人テナーにとってマーシュの存在は同ギタリストにとってのジム・ホールと同格の位置付けなのではないだろうか? このCDは今日駅前のグルーヴィンで\1029で買った。 録音もいいしスインギーなマーシュのプレイが記録されている。 もう一度今から聞き直してみます。
学生時代よく「JOKE」で聴いていて「いいなぁ」と思っていた。 今から一昔前大阪の名店「MUSIC MAN」で実際に手にいれた。 ホーズのピアノのイントロをバックに英語のナレーション、メンバー紹介が独特の雰囲気をかもしだしている。 GI時代以来の久々の日本人ジャズマンとのセッションでその成長振りに驚いたのではないか? 1曲目「ALL THE THINGS YOU ARE」はツーテナーのテーマ演奏の後、宮沢昭、沢田駿吾、松本英彦、鈴木勲、ハンプトン・ホーズとソロが廻される。 日本のミュージシャンは健闘している。しかしホーズのソロがやはりこの時点では、まだ群を抜いている。ネイティブの強みというか、普通にやっていても伝わってくる情報量が日本人ミュージシャンより断然多いのだ。
ホーズも宮沢も松本もなくなつてから月日が経つ。 今から35年以上前、ホーズの滞在中に録音された一期一会のジャムセッションだといえよう。 MJQ/ODDS AGAINST TOMORROW(UNITED ARTISTS)
確か高校2年生の冬休みに買った一枚。 クリスマスの時期になるとこのレコードのことを思い出す。 1曲目の「SKATING IN CENTRAL PARK」からクリスマスの雰囲気をなんとなく受けるのだ。 この曲はデイモン・ラニアン主演の映画「拳銃の報酬」の挿入歌として使われ文字通りセントラルパークの風景がモノクロの映画ながら美しかったのを覚えている。 このレコードをかってまもなく土曜日の夕方かなんかにTVで放映されたのを見たのだ。 ライアンと小さな女の子が風船をもって歩いていてその風船が空に飛んでいくシーンが何故か強く印象に残っている。 このシーンは「ラウンド・ミッドナイト」にも少し脚色されて引用されていたと記憶する。 ワルツテンポの1曲目と明日への期待と不安をかんじさせる最後の曲「ODDS AGAINST TOMMORROW」が聴き物。 ピンク色にコーティングされた水辺に佇む人影のジャケットも結構気にいっている。 久しぶりに聴いてみようと思う。
1991年だったか、このCDがでる一年前大阪BLUE NOTEでライブにH野さんと一緒に行った。 約一時間ちょっとのステージだったが濃い内容の演奏だったのを覚えている。 このCDのようにスタンダード、ジャズオリジナルはやらずにほとんどクラウディオ・ロディティのオリジナル作品を演奏したはず。 FLHとTPを曲によって持ち替え、一方パキート・デ・リベラもAS,SS,CLを持ち替え色々な楽器の編成でアンサンブルの妙を聴かせてくれた。 そして一番びっくりしたのが、パキートのクラリネットの饒舌さだった。学生時代、合歓の里で観たフィル・ウッズのクラリネットより断然うまい。 このときの編成もこのCDと同じくクインテットだったと思うが、他のメンバーを全く思い出せない。 それだけフロント二人が印象深かったのだろう。 このCDではバックのメンバーも印象に残るプレイを繰りひろげている。ケニー・バロン(P)レイ・ドラモンド(B)ベン・ライリー(DS)だから当たり前か? クラウディオのトランペットは派手なところはないかもしれないが、中音域がとても柔らかくてコシ、ハリがあり暖かな音色がして聴いていて飽きることがない。アドリブフレーズもメロディアスで よく謡っているので聴きつかれしない。 パキートの派手で高域に跳ね上がっていくアルトサックスと好対照をなしていてその対比が面白い。 このCDは1990年11月NYのバードランドでのスペシャルライブを収めたもの。 MILESTONES,I`LL REMENBER APRIL,BUT NOT FOR ME,PENT-UP HOUSE,BRUSSELS IN THE RAIN,MR P.C. の全6曲が収録されている。 BUT NOT FOR MEでクラリネットが聴ける。