このCDもリーダーのERIC FELTENが一番無名であとのメンバーは全員名の知れたミュージシャン。 JOE LAVANO(TS)RANDY BRECKER(TP,FLH)BOB MINTZER(B-CL)JONNY KING(P)IRA COLEMAN(B)BILLY DRUMMOND(DS)といった具合である。 このアルバムは彼の2枚目のリーダー作でデビュー作も同様にSOULNOTEからリリースされている。 アリゾナ州フェニックスの生まれで、祖父が東海岸のスイングバンドのトロンボ-ン奏者だったこともあり、9歳の時から始めた。 このアルバムでは、1930年代のエリントンのスモールコンボのサウンドを現代的な解釈をまじえ再現することを狙いとしたそうで、1曲目のホッジスの「JEEP`S BLUES」から古き良き時代の作品が流れてくるといった仕掛け。但し、各プレイヤーのアドリブは 当然といってよい位、現代的でオリジナルなサウンド。 ランディー・ブレッカー、ジョー・ロバーノのソロが聴きごたえがある。ピアノのJONNY KINGもこの頃から頭角をあらわしてきた新人で、CRISSCROSS,ENJAから立て続けにリーダーアルバムをリリースしていったが、最近あまり名前を聞かない。どうしているのだろう? 2曲目からはERIC FELTENのオリジナル作品が続く。 ソロオーダーはフェルテン、ロバーノ、ミンツァー、キングの順で極めてオーソドックスな楽曲にモダンで個性的なアドリブが快調につながれるといった按配。 3曲目はスローナンバー「GRATITUDE」こういう曲でのロバーノは最高に光ってみえる。続くFELTON君も個性という点ではロバーノにひけをとるが、健闘してプレイを披露。トロンボーンの楽器特性を活かした暖かく説得力のあるプレイなのがいい。 5曲目は急速調のテーマに続きランディー・ブレッカーのキレの鋭くスリリングなソロが爆発、続いて例のとぐろを巻くようなスタイルのソロにつながれる。キングも新主流派から現代ピアニストのスタイルを消化した熱気に溢れたソロを展開、最後にFELTENが締めくくる。 7曲目は「I FALL LOVE TO EASILY」甘くノスタルジックな響きを含ませつつモダンな解釈でバラードをプレイするフェルテンの実力が窺えるトラック。 8曲目「THE KING IN YELLOW」はレイモンド・チャンドラーの短編小説を読んでそのフィルムノワール的な雰囲気の曲を書こうと思いたって作った作品。 9曲目はボブ・ミンツァーのバスクラが活躍。 ラストはアルバム表題曲「GRATITUDE」がFELTENのジェントルな奏法で優しく奏でられる。 今月、VSOPから新作をリリースしたFELTEN、その音楽指向はこの頃よりオーソドックスでエンターテイメントなサウンド指向になっているようだ。 録音は1994年3月17日 NY