本作はデブリアーノの魅力が曲を演奏の両面で楽しめる佳作だと思う。 メンバーはSANTI DEBRIANO(B)DAVID SANCHEZ(TS)DAVID KIKOSKI(P)TOMMY CAMPBELL(DS)MINO CINELU(PER) 録音は1993年4月13日 NEW JERSEY
デイブ・リーブマンがオランダのミュージシャンと録音した最新作で、今回はALEC WILDERの作品集という企画。 ゲストとして3曲ピアノのMARC VAN ROONが参加していて、あとはサックストリオなので和声的に解放されたリーブマンのより自由度の高い演奏が収録されている。 「TROUBLE IS A MAN」「THE LADY SINGS THE BLUES」「MOON AND SAND」「WHILE WE'RE YOUNG」など有名曲もプレイしているがあまり一般的に知られていない作品も数多く演奏されていてリーブマンのマニアックで学究肌のところがこういう選曲に関してもよく表れている。 テナー、ソプラノ、フルートを駆使して全体的に丁寧に演奏している印象が強く、約10年前に復活した(レコーディングで)テナーはともかくソプラノに関してはオリジナリティー、安定度の点で現役サックスプレイヤー中、確実に三本指に入ると思う。リーブマンは非常に多作なリーダーアルバム(サイドメン参加作も勿論多い)をリリースしているが、駄作は少なく安定度の高い音楽性豊かなアルバムがほとんどなのであるけど、最高傑作を選べといわれると困ってしまう。 飛びぬけた存在の生涯に渡ってダントツのベストアルバムがないのである。 これがリーブマン唯一の弱点といってよいのではないか? 残念ながらこのアルバムもワン・オブ・ゼムになってしまったようである。 決して悪い作品ではなくむしろ良質なジャズアルバムなのを強調しておきたい。 メンバーはDAVID LIEBMAN(TS,S,FL)MARIUS BEETS(B)ERIC INEKE(DS)MARC VAN ROON(P) 録音は2003年10月29日 HOLLAND
メンフィス出身のアルトサックス奏者LEWIS KEELが一昔前に録音したアルバム。 サイドメンにHAROLD MABERN,JAMIL NASSER,LEROY WILLIAMS, JIMMY PONDERと粒よりでテイストの似通ったミュージシャンが選ばれている。 1990年にレコーディングされたこの作品がデビュー作で、おそらくLEWIS KEELの唯一のリーダーアルバムだと思われる。 音楽的な影響はドン・ウィルカーソン、ハンク・クロフォード、ムハール・リチャード・エイブラムス、ジュニア・クックから受けたとライナーノートに記されている。 ビ・バップからハードバップスタイルを継承するマナーでファットでパッショネイトなトーンを用いて直球一本で吹いていく。 そこに小細工は一切ない。天才的なひらめきやスパークする部分ははっきり言ってないのだけど、歌心溢れたスイングする屈託のない楽しさに溢れたアルトサックスがアルバムを通して展開されているのだ。 アメリカ南部の土煙が舞いそうな乾燥した空気感がそのプレイから感じられるのは気のせいだろうか? バックのサポートもKEELを盛り立てるプレイに終始していてアルバムの出来を押し上げている。メイバーンとジミー・ポンダーはソロにバックに活躍し、ナッサーとウィリアムスは快適なビートを絶えず送りだして成功に導いている。 「LOVE FOR SALE」「DAY BY DAY」「EVERYTHING HAPPENS TO ME」「ANTHROPOLOGY」「LOVER COME BACK TO ME」「QUIET NIGHTS」「FRANKIE AND JOHNNY」「BLUES WALK」全8曲。 録音は1990年9月8日 SOUND ON SOUND STUDIO NYC
このCDでもそういったスキルを存分発揮して自作曲中心にプレイしている。 AYDIN以外では、ギターのMICK GOODRICKがスペースを活かしたイマジネイティブなソロをとっていてアルバムの価値を高めている。 GEORGE GARZONEは3曲目「A NEW SONG」でビターテイストな渋いバラード演奏を披露する。続くAYDINのソロはガラス細工のように繊細で美しく、キラキラ光を発しているように輝いている。4曲目はピアノトリオでショーター「FOOTPRINTS」を写実的表現から倍テンでアドリブして変幻自在でテクニカルな表現も見せつける。 ピアニストとしての実力がよく表れた1曲だと思う。 5曲目はなんとなくウェザーリポートを連想させる曲。 6曲目アルバムタイトル曲「PICTURES」はほんのりした叙情性を感じさせる美しい曲で、トリオの間奏部なんかキース・ジャレットのトリオを思わせるところがある。 個人的には7曲目「GREEN BOSSA」が最も気に入っている。 すこし甘口のチャーミングなメロディーをMICK GOODRICKが素晴らしく繊細でカラフルな音色で音楽をふくらませ、続くAYDINも均整のとれたソロを展開。 何回も聞きたくなる名曲だと思う。 このアルバムにボーカル曲は不要かなと思う8曲目「SPRING CAN REALLY HANG UP THE MOST」。全員のテクニカルで緊密間溢れる表現が9曲目「DOMINATION」で聴ける。 最後はトリオで「WE'LL BE TOGETHER AGAIN」でしっとりと締めくくられる。 メンバーはAYDIN ESEN(P)SELAHATTIN C KOZLU(DS)PETER HERBERT(B)RANDY KARTIGANER(VO)MICK GOODRICK(G)GEORGE GAZONE(TS,SS)MIKE RINGGUIST(PER) 録音は1989年2月 NYC
一昔前、六本木WAVEから通販で手に入れたCD。 サイドメンでDUSKO GOYKOVICHが参加していたからに他ならない。 ”PRIWJET!"というグループはこのアルバムのリーダー、HARALD RUSCHENBAUMが1993年にST,PETERSBURUGで開かれたジャズコンサートの為にロシアの若いミュージシャンと結成したのがはじまりで、ミュンヘンでのセッションにDUSKO GOYKOVICHがシットインしてジャムを演ったのがきっかけでレコーディングの話が持ち上がった絵らしい。 DUSKOは、数曲にゲストで参加、いつものように歌心のある素晴らしいトランペットを聞かせている。ダスコとPRIWJET!の音楽性が以前から共演しているかのようにしっくりと一致しているので、違和感がなくレギュラーグループであるかのよう。 テナーのNICOLAY POPRAVTSEVはズート系の暖かい音色で、スタイル的には最近のジャンニ・バッソやドン・メンザを彷彿させる豪放で男性的なフレーズを織り込みながら歌心あるプレイを聴かせる。 アルバムで演奏されている曲は、「I'TS YOU OR NO ONE」「MY ONE AND ONLY LOVE」「EMILY」スタンダード3曲に、モンク「BEMSHA SWING」ショーター「YES OR NO」にダスコの「SUNRISE IN ST. PETERBURG」、ベーシストVLADIMIR KUDRYAVTSEVの3曲が選ばれている。 ダスコのペンが冴え渡っている。ST.PETERBURGに日が昇って町並みや寺院に日が照り付けていく様や、鳥が青空に羽ばたいていく情景が目に浮ぶような朝の爽やかで躍動的な一日の始まりを予感させるようなエネルギーに満ちた曲。 「EMILY」での詩情豊かでリリカルなトランペットも聴き物だ。
DUSKO招聘が見事に当たってこのアルバムの出来を高めたといえよう。 メンバーはPETR KORNEV(P)NICOLA POPRAVKO(TS)VLADIMIR KUDRYAVSEV(B) HARALD RUSCHENBAUM(DS)DUSKO GOYKOVICH(TP) 録音は1994年5月6日