最初は森山カルテットでのような演奏を予想していたので、?マークが三つくらい頭に浮かんだのを正直に告白しておこう。 このアルバムが本当に心に沁みるようになったのは、社会にはいってからだと思う。 自分に自信をなくして落ち込んでいるとき、このアルバムの知己のサックスとエルビンのブラシが優しく慰めてくれ、元気付けてくれた。 男としての気概を奮い立たせてくれたのだ。 普段はジャズにたいしてもっとドライでクールな目でみている私であるが、このアルバムだけは例外。 今でも、年に何回か取り出して聴いている。 一曲目の「ALL GREEN」で知己の野太くて哀愁あふれるソプラノがメロディーを奏で出すともういけません。 酒がはいって少し感傷的になっているときなど、それだけでウルウル状態になってしまいます。 2曲目でのアップテンポ「HAVE YOU MET MR. JONES」での向井滋春の張り切りプレイ、続く知己のトレーンライクだが日本男児の気骨をも同時に感じさせるテナーサックスのソロに聞き惚れる。エルビンのプレイしながらの満面の笑みが感じ取れる。3曲目は再びクールダウン。日本的な情緒あるメロディーがフォービートにうまく乗っかって知己のテナーソロもイマジネーションがひろがっていく。