2005年10月05日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
カウンセリングに久しぶりに行った。
やはり、今の私には、必要な時間だった。

昨日、パパが帰宅して、
Hさんの詳しい状況がわかり、
パパに詫びる遺書があった事も解り、
パパは、かなり、参っていた。
私は、何も言ってあげられなかった。
パパは、本当によくやってくれていた。
「気にすることないよ」
あまりに空しい言葉。
人一人、亡くなったのに、
どんな言葉を掛けて良いのか、全く解らなかった。
お葬式の時、パパがぽつんと言った言葉が蘇った。
「もしかすると・・」
まさかと思ったし、
当たっていなければ良いと思ったし、
もしそうなら、辛すぎると思った。
しかし、現実は、厳しかった。

今日知ったのは、
自己破産をするにも、お金が無いと出来ないって事。
何のための自己破産なのだろう・・・・。
Hさんの息子さんが相談に行ったそう。
事業主が自己破産を申請するには、
百を超えるお金がいるのだそうだ。
本当に、お金、お金の世の中なのだ。
Hさん一家は、一体どうなってしまうのだろう。
私も事業主の娘だから、良く解る。
私の場合は、16歳の誕生日に、
夜逃げのように、暖炉のある家から、
脱衣場の無い、2Kのアパートに引っ越した。

高校生だった。
毎晩、夜中まで父は、兄の会社のために働いた。
ある日、父が帰ってこなかった次の朝、
憔悴しきった父が玄関を開けた。
「差し押さえがくるかもしれないから、荷物をまとめておけ」
どうしたら良いのか、混乱した。
それでも母は私を学校に出した。
学校に行った私は、一時間目が終わった休み時間、
ふらふらと職員室に行き、
大好きだった担任のT先生に話した。
話をしているうちに、泣き出した。
T先生は、優しく手を握って
「もう、帰んなさい。そんな気持じゃ、心配で授業も身にはいらないでしょう」。
すごく良いお天気の日だった。
誰も歩いていない駅までの白い道を
家に向かって帰った。

帰った私に母は驚いたが、一緒にたんすの中の衣類や、
生活に必要な最低限の物をカバンに詰めた。
二人とも無言だった。
不思議と、私に悲壮感は無かった。
実感がなかったのだ。
裁判所がくると、紙を張られるそうだ。
そして、それが張られた箪笥からは、何一つ出してはいけないのだ。

幸い、差し押さえは免れた。
しかし、次の日から、家を買いに来る人が、
所、時、構わず訪れた。
今、住んでいるのに、他人の無遠慮な視線が、とても嫌だった。
そして、父は兄の会社を辞め、
夜逃げのように引越しをした。
誰も手伝いの無い、引越しで、
偶然、私の16の誕生日だった。
東京から連れてきた犬も、前日、持って行かれた。
お向かいのおばさんが、
お盆にココアを沢山のコップに入れて持って来て下さった。
父たちが、荷物を運び出し、持って行ったもので、
広い家の中に私一人だった。
「貴方一人なの!」とびっくりなさり、
一緒に荷造りを手伝ってくださった。
「可哀想ねぇ」と何度も仰ってくださったが、
家を無くしたのに、これから不安だったのに、
両親の気持とは裏腹に、私の気持は落ち着いていた。


正直、これで父は死なずに済むと思った。
その時、私はつい、父に言った。
「お父さん、良かったねぇ!」
父はびっくりしていた。
しかし、私にすれば、毎晩、毎晩、徹夜続きで、
このままの仕事では、父は死んでしまうと心から思っていたので、
自然に出た言葉だった。
後から聞いた話だが、私のその言葉で、
父は、自分の選んだ道は間違ってないと確信したそうだ。
もう、東京に帰る準備をしていた。
父に帰って来いと仰ってくださったのが、
今や女性誌などの出版社最大手の社長さんの弟で、
以前、父のすぐ下で、父と営業の仕事をしていた方だった。
その頃はもう、その出版社の専務さんになっていらした。
しかし、捨てる神あれば、拾う神もあるもので、
父は、今の仕事を始めるよう、今の親会社の方に言われ、
結局、東京には帰らず、起業した。


あれから30年経つ。
事業をしていれば、こんな事は、
誰でも一度や二度は経験する物だ。
そこから、どう這い上がるかなのだ。
しかしHさんは、這い上がるには、御年を召されていた。
だから、悔しかった。
Hさんが、どんなお気持で亡くなったのか、
あの世で父と会って、どんな言葉が交わされるのか思うと、
可哀想で仕方なかった。
パパに詫びた遺書を残したHさんのお気持ちが、
あまりに哀れだった。
一生懸命力になってあげていたパパにしてみれば、
本当にたまらないだろう。
悔しいだろう。
その気持を何も受け止めて上げられない自分が、
本当に情けなかった。
仕事の事は、一切、解らないし、
私は、私のやり方で、パパを支えてきたが、
今回ばかりは、混乱していた。

カウンセリングで、気持を吐き出した。
泣きたくないのに、
パパの気持を考えると、涙が出た。
パパは、私の前では、何も変わらない。
感情を出す人ではない。
ただ、時々ふっとした時「馬鹿野郎」とつぶやいた。
Hさんに対してではなく、
こういう状況にしたHさんの回りに対してだ。
本当に、今となっては、どうにもならない。

早く、パパの気持が癒えると良いな。
お父さん、パパを守ってください。















お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年10月08日 11時20分40秒
コメント(0) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: