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2008年03月17日
さようなら、私達のおうち
(4)
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今日は、解体の日。
朝から、パパから電話があり、
もう、業者がきているから、
まだ、ほんの少しあった荷物をすぐに取りにくるよう電話があり、
あわてて家を出た。
しかし、前の家に行ってみおたら、
何のことはない、今日は、植木の確認に来ただけだと仰った。
電気の工事に、電力会社の作業の方が来ていて、
「今日で、全部の電気を止めます」とのこと。
そりゃそうだよなあ。
今日から解体と言っていたが、
私は、火曜から本格的と聞いていたので、
おかしいと思った。
家の中に入ると、別の電気屋さんが、
残っていた数個のエアコンを外す工事をしていた。
解体の業者の方と、残す植木を、庭を回って確認した。
残せないと思っていたお花の咲く木を、残したいと言ったら、あっさり、
「良いですよ。」
「え?残せるんですか?」
「はい、掘り返しますので、枯れてしまうかも知れませんが、それでも構わないのでしたら、
どの木も、残せますよ」
そうなんだ~。
この家は、30年の歴史があるから、木も相当大きくなっている。
いつぞや、斜面にあった、高さが5メートルもの大きな胡桃の木が雨で地盤が緩み倒れてきて、
仕方なく切った時は、本当に残念だったが、
庭にある、タイセン木など、やはり、3メートルくらいになっているし、
松も、相当大きくなっている。
今度の家は、松が似合わないデザインの家なので、松は要りませんと言ったが、
他の大きな木は全部残したいと伝えた。
午後から、本当に最後に残った荷物、
この家に片付けに来るたび、休憩していたディレクターチェアやら、
荷造りグッズや、積み忘れていたコンテナなど、
全部車に乗せ、もう一度、家の中に入った。
薄暗くなった家の中、
もう、電気もつかなくなっちゃったから、
刻々と暗くなる中、
一番上の部屋から、見て行った。
娘たちの寝室
「子供たちを育んでくれ、ありがとうございました」。
最初は子供たちの勉強部屋だったロフトのある、最後はパパの部屋だった洋室。
思い出の品ばかり残っている
「どうもありがとう」。
少し階段を降りた中二階の私たちの寝室
「ありがとうございました」。
そして階段を降りて、この家を買うきっかけになった、
少し離れた3段の階段を降りた、10畳の洋室。
おばあちゃんを引き取るためのおばあちゃんの部屋だったが、
認知症になってからは、子供たちの勉強部屋だった。
「ありがとう」深く頭を下げた。
そして、最後におばあちゃんの部屋だった八畳の和室。
おばあちゃんとの辛い確執の舞台だった。
私にとって、一時入ることができなくなった部屋も、おばあちゃんが亡くなり、お骨がなくなり、
おばあちゃんの家具や私物を処分し、
畳も、ふすまも一新してから、やっと、何のわだかまりもなく入れるようになった部屋だった。
本当は、この家に来てすぐ、お友達の親子を沢山呼んで、チビのお誕生日会をした部屋でもあった。
「ありがとうございました」
心の底から、言いながら、お別れした。
そして最後に、ガラーンとしてしまったリビング。
この家に最初にごあいさつ来た時、
お日様が燦々と降り注ぎ、前の住民の方が沢山窓際に植木やお花を置いていて、
ああ、この家は、こういう家なんだとすぐにこの家が気に入った。
南にベランダの付いた大きな大きな窓、東に小さな窓があり、
朝日も入り、昼間に電気をつけることなど、ほとんど無くて済んだ。
「本当に、ありがとう。壊しちゃうけど、ごめんね」
とても切なかった。
私さえ、もっと、片付けが上手にできていたら、
お掃除もしっかりしていたら、
建て直しなどしなくて良かったのだから、
この家の運命を変えてしまったのは、私なのだ。
心の底から、ごめんなさい・・と思った。
そして、10年前、リフォームした、キッチン。
毎日、そこにいる時間が一番長かったキッチン。
「さようなら」。
本当はね、全部のお部屋をきれいにして、出ていきたかったのに、
どこの部屋も、足の踏み場もないくらい、ゴミだらけ。
それだけ、要らないものを、抱え込んでいたのだ。
この建て替えがなかったら、たぶん、中身も見ないで、そこにそのままあっただろう
数知れぬ、段ボール。
もう、この家には、感謝の気持ちと、お詫びの気持ちしかない。
小学校6年生だったオネエと、2年生だったチビ。
オネエは、もう、卒業式を目前にしていて、初めての電車通学にチビはオネエが頼りだったが、
ほどなく迎えたオネエの卒業式の朝、チビは、
「明日から、私はどうしたらいいのよ~?」
と嘆いて家族の爆笑を誘った。
仕方なく、回数券を買い、翌日、電車で一緒に行ったが
大きな駅に着いた途端、声をかけてくださる伯母時学校の沢山のお友達に会い、
「お母さん、明日から一人で行くから、もう良いわ」(笑)
そこから一人電車で引き返し、買ったばかりの回数券を払い戻しながら、可笑しくて、笑っちゃった。
庭のあるおうちがうれしくて、
毎年、花だらけにした。
私、幸せだったよなあ・・・と改めて、思い、感謝した。
勿論、おばあちゃんを引き取ってからの5年間は、私の人生の中、本当に辛い日々だったが、
うつ病になっちゃったりもしたが、
父の看病にここから通い、父が亡くなった時も、この家ですごしたが、
今は、みんな、過ぎ去った思い出。
39歳の女盛りから、更年期を終えた歳までこの家で過ごした。
子どもたちは小学校、中学校、高校、大学までこの家で過ごした。
13年間、本当にありがとうございました。
最後に深く頭をさげ、暗くなった家に鍵を掛け、出た。
吹き抜けの高いガラス張りの窓に、暗い空が写っていた。
さようなら。私達のおうち。
さようなら。
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最終更新日 2008年03月20日 11時52分50秒
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