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本書は、2015年「このミステリーがすごい ! 」第1位になった米澤穂信の短編集である。6編の短編が収録されている。それぞれのあらすじは次の通り。
「夜警」――緑1交番に新任の川藤が配属になった。ある日の深夜、「夫が刃物を持って暴れている」と110番通報があった。すぐに、交番長の柳岡、梶井、川藤は現場に向かった。 庭で、男が妻に刃物を突き付けていた。川藤が「緑1交番だ」と叫んだ。男は刃物を構えて彼に突進してきた。
「死人宿」――男は姿を消した恋人の美佐子が温泉旅館で仲居をしていることをつかみ、会いに行った。彼女は、脱衣所で遺書を見つけたと言って、男に見せた。泊り客は男以外にあと3人。自殺を止めなければならない。二人は誰が書いたのか、解明を始めた。
「石榴」――さおりは祖母の容姿を受け継ぎ、美人でもてた。大学生になり、佐原成海に恋をした。ライバルたちを蹴落として、結婚することになった。父は反対したが、既成事実をつくって結婚した。生まれた娘に、鳴海は夕子と名付けた。2年後に月子が生まれた。さおりは、娘たちのために働いた。鳴海は、大学を卒業しても定職に就かず、ブラブラしていた。
さおりは離婚を決意した。鳴海は、同意したが、親権は譲らなかった。そして、裁判になった。
「万灯」――伊丹は井桁商事のバングラディシュの事務所に室長として異動になった。目的は天然ガスの開発だ。彼は誰も目を付けていないボイシャク村を候補地に選んだ。しかし、地元の同意がとれない。あきらめかけていた時、向こうから連絡があった。
「関守」――男はライターで交通事故にかかわる都市伝説を取材しに、伊豆の桂谷峠を訪れた。4年で4件の死亡事故が発生しているのだ。ドライブインに入った。店主の老婆にいろいろと話を聞いた。彼女は事故についてすべて知っていた。
老婆は「記事になるのか」と聞いたので、男は「なる」と答えた。すると、老婆は「順を追って話す」と言って、事故の本質についてしゃべりだした。
「満願」――時代背景は1970年代。藤井は法学部の学生で司法試験を目指して勉強している。下宿が火事になり、調布にある畳屋の二階に移った。そこのおかみさんは妙子と言って、藤井に親切にしてくれた。勉強がうまく進まないときは、励ましてくれた。
そして、藤井は弁護士になった。数年後、妙子が殺人事件を起こし、その弁護をすることになった。
どの短編にも共通するのは、単なるミステリーというのではなく、登場人物の人間模様が展開されることだ。そして、「アッ」という結末。だから読んでいて飽きない。 もう一度読もうか、という気にさせてくれる作品である。
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