怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】

怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】

2014/10/25
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テーマ: お勧めの本(7346)
カテゴリ: 有川浩作品
『キャロリング』
有川浩/著[幻冬舎刊]


【楽天ブックスならいつでも送料無料】キャロリング [ 有川浩 ]

本ブログ勝手に推奨作家、有川浩さんの新刊です。

この作品は別冊文藝春秋で2012年、第301号に前篇、第302号に後編が掲載された作品です。
雑誌掲載時には、読み損ねていた作品なんですよね。
なので、初見になります。
そしてこの作品、演劇集団キャラメルボックスで舞台化される前提に書かれた作品という、珍しい経緯を持った小説になっています。
まぁ、有川作品としては舞台化作品のノベライズもあるので、珍しいとは言い難いかもしれませんけどねw

ストーリーはこんな感じ。
クリスマスを控えた季節。
本来なら華やかなイベントに心も沸き立ち、世の中が幸せな空気に包まれる頃。
そんな空気にそぐわない状況に追い込まれていた人々がいた。
クリスマス当日に倒産を余儀なくされた、小さな衣料メーカーで働く社員達。
両親が離婚寸前で、家族が離れ離れになりそうな親子。
祖父の借金返済を迫られ、取り立て屋の催促に困惑する整骨院の院長と常連客。
そして、とある事情で大きな金が必要になった、取り立て屋達。
そんな彼らが出会い、関わりあうことで、物語は回っていく・・・・・。

読んでいて思ったのは、人生においての出会い・・・・・めぐり合わせと言った方が良いのかな?・・・・それが人を形作る上で大きな影響を与えること。
これは、この作品を読んだからってだけでなく、自分の人生でも言えることだから、余計にそう感じたのかもしれない。
世の中には、いろんな人がいる。
出自、生い立ちはみな違う。
成長の過程で、あまり良くない影響を身内や他人から受ける人もいることでしょう。
その結果、間違うことも多い。
僕だって数多く間違ってきたし、いまも間違ってばかりだ。
だから、読んでいて痛い場面もたくさんありました。
でも、そのめぐり合わせが、人を成長させることも多い。
どん底の人間を救うのも、そんなめぐり合わせだったりする。

僕の場合は、幸い家族に恵まれている。
離れて暮らしてはいるが、今でもいろんなことで支えられ、励まされている。
間違った時は叱ってくれたり、時にはやさしく見守ってくれて、やり直すきっかけを作ってくれたりもした。
だけど、そうじゃない人間も多い。
知人や友人の中には、親との折り合いが悪く荒んだ幼少期を過ごしたという者も、少なからずいる。
ただ、だからといってそんな境遇の人間が、みんながみんな歪んで育つわけじゃない。
多くの人間は、少しいびつなところがあっても、なんだかんだでおおまかに見れば真っ直ぐ育つことが多いんじゃないだろうか。
どんな植物でも、すべからく陽の光を求め、空へと伸びるように。
それは、皆何かしらのめぐり合わせがあってのことだと思う。
誰にだって、導いてくれる人と出会うことはあるってことだ。
問題は、その出会いを活かせるかってことだろう。

この物語は、そんなめぐり合わせの物語。

相手を思うがゆえ、すれ違う者達。
空回りする関係。
自らの行動を許せない者。
誤りだと理解しながら、そういう生き方しかできない者達。
未熟ゆえに間違いを犯す者。
そして、
自分が間違ったゆえに、言える言葉がある。
そんな言葉だからこそ、今まさに間違えようとしている人へと届き・・・・。
それが、ほんのわずかな奇跡を生む。

間違えは誰にでもあること。
それは、生きていれば逃れられないことだと思う。
間違いは正されなければならないし、間違ったものは、それ相応の責任を取らなければならない。
取り返しの付かないこともある。
だけど、
間違ったとしてもやり直せることはある。
最後には、そんな希望を感じさせてくれるお話でした。

面白かったですよ。
今回は、恋愛要素もバッチリ!
個人的には、主人公達ではなくベンさんと朝倉さんの今後のほうが気になったりするけどなw
だって、主人公達は間違いなく上手くいく未来が見えるようだもん。

航平と言う少年の存在も良かったですよ。
今までも、少年と大人たちの関わりがある作品はあったけど、本作での主人公・大和と航平の関係はなかなか素晴らしかった。
↑案外、この作品があったから「明日の子供たち」の話があったのかも知れんね。←刊行は「明日の~」が早かったけど、連載はこっちのほうが先だったからさ。
ドラマ版では、航平役を鈴木福くんが演じるそうで・・・・彼がこの役を、どう演じるのかも見どころかな。
↑ただ、衛星放送の設備のないうちでは、BSプレミアムが観れないんだけどな・・・・orz
・・・・・いずれ、地上波でもやってくれる・・・・・よね?(^^;)

あと、このドラマにも有川さんの相方である阿部丈二さんが出演されるようですね。
はたして、舞台では主人公を務めた彼が、ドラマ版では誰をやるのか?!
それも気になるトコロ。
個人的には、悪役側をやってもらいたいものだが・・・・・ちょっとキャラが違いすぎるか??

<追伸>
この作品には、ある趣向が凝らされています。
最初読んだ時、ちょっと国語的に意味がつながらない一節があって、どうした有川浩?!・・・・とか思ったものです。←誤植かと思ったよ。
でも、それはその趣向の賜物であった。
これもなかなか面白い。
どんな趣向か?
それは読んでのお楽しみ!(^-^)


個人的「有川浩作品」感想一覧

http://xb70a.web.fc2.com/

是非一度、お立ち寄りください。<(_ _)>
宇宙開発関連の写真や、アラスカ旅行記もあります。

AX





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最終更新日  2014/10/25 07:32:12 PM
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