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2016年07月26日
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カテゴリ: 罵詈雑言

誰しもが憂鬱に感じる月曜日の朝、阪急電車の最寄駅ホームで私は事故に遭った。

---

「プルルルルルルル…」

階段を駆け上がる私の頭上から、けたたましく鳴り響く蝉の声と三宮方面に向かう電車の発車を知らせるベルが入り交じって降り注ぐ。
焼夷弾のように次々とホームから降りてくる人の波を必死で抗いながら、前へ進む。
ところが、幸いにも世の中は朝の通勤・通学ラッシュという時間帯、降車する人が途切れなかったことが功を奏し、肩で息をしながら登り切った階段を背に「間に合った」と確信したその時、一人の男性がスマホ片手に電車からゆっくりと降りて来るのが目に入った。少し嫌な予感がした。

電車の扉はまだ開いてはいたが、ホームに響くベルの音は既に消え、いつ閉まり発車してもおかしくない。早く乗らなければ―と再び駆け足を始めた時、そのスマホ男が私に一瞥もくれずに勢いよく迫って来た。

「ぶつかる!」

次の瞬間、私はその場で大きく転倒。
両膝を強打し、持っていたバッグの中身はそこらじゅうに散乱、お気に入りのサンダルは底が靴本体から剥がれてしまい、ホームの地面についた両方の掌からは血が滲んでいた。

そして同時に、今朝見たテレビニュースが走馬灯のように頭に浮かんだ。

●「ポケモンGO」を操作しながら車を運転していた20歳の女子短大生が交差点で信号待ちをしていた車に追突
●公園で自転車に乗りながら「ポケモンGO」を操作していた45歳の女性が転倒しケガ
●「ポケモンGO」を操作しながら自転車を運転していた10代の男性が赤信号を無視し、50代の女性が乗る自転車と接触して転倒

---

少し語らせて頂きたい。

私は、このゲーム自体を否定するわけではない。寧ろ「脱ひきこもり」や「運動不足解消」等、精神的および身体的に健康であると言い難い人たちとっては良い影響を与えることも期待できるのではないかと、医療従事者の端くれとしてはメリットすら感じている。
だが、それもすべて「ルール(規則)」と「マナー(礼儀)」もしくは「モラル(道徳)」が遵守された上での話であって、そのどれもが欠損してはいけないと思っている。
確かに、このゲームをプレイするに際しての統一見解が示された教本があるわけではない。しかし、学校や職場など、時間の長短や質の濃淡こそあれど、それなりに皆多かれ少なかれそのような「集団」という中での「個」の在り方を学んでいるだろうし、そこで過ごした時間はポケモンGOに限らず、多岐にわたって有用なオールマイティ教本となり得ると言っても過言ではない。

とどのつまり、ポケモンGOをするなら、やはりスマートにやっていただきたいと老婆心ながら思うわけである。
平たく言うと、歩きながらや車を運転しながらプレイせずに(規則を守り)、公衆の場では周囲に気を配り(礼儀正しく)、人に迷惑をかけずに(道徳的に)遊ぶ。そうすると、あれこれ厳しく言う大人たちもきっと認めてくれるに違いない。

---

「イタタタ…」

思わず口から零れる声。電車の中から外から注がれる嘲笑と同情を含む視線を背中に感じつつ、ホームに散らばった化粧ポーチや財布等を拾いながら私は心の中で叫んだ。

ぬぅおーい!
どうしてポケモンGO してへんねん 、ワ~レ~!


逆切れした私の心の声は続く。

クソ混んでいるホームで、あれほど駅員が「駆け込み乗車は危険です」と忠告しとるにも関わらずガン無視して強行突破しようとするクルクルパーな行動も制裁に値する行動やと非難されても仕方ないのに、加えて、筋肉も朽ち始めた初老のくせに銀座でショッピング決め込む有閑マダムが履くようなシュっとしたピンヒールサンダルなんかで爆走するから、突起物も障害物もな~んにもない、なああぁぁぁ~んでもない平た~いホームでつまづいて一人勝手に転んだ私が、この私がクソ恥ずかしい思いをしてもたやないかーい!

更に心の声は続く。

己が歩きポケモンやっとったら「このクソ餓鬼ぃ、何してケツかんねん!んなもん歩きもってやることちゃうやろがーい!」とブチ切れできたのに、ただ普通に行儀よく電車から降りてきて、スマホは手に持ってるだけて。

どどど、どないやねーん!!


---

そんな中、転んでもタダで起きてはいけないよと昔の偉い人が言っていたことを思い出して「いや、ちょっと待てよ、こいつぁーブログネタになるかも知れんな(ニヤリ)」と。
イヤというほど地面に叩きつけた両膝に、さぞ見事な青タンが出来るだろうと、そしてそれを画像としてUPしようと目論み、一晩寝かしたのにも関わらず、今朝になってみても痛みは若干マシになった程度で未だにかなり疼いているのにも関わらず、見た目は「膝、日焼けしたん?」っていう程度だっつー。





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最終更新日  2016年07月26日 14時02分00秒


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