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天の王朝
不思議な世界8
夢1
妙に印象に残る夢は、誰でも経験があるだろう。私の場合はペルーのクスコという異国の地で見たこともあり、今でも鮮明に記憶に残っている。それは本当に奇妙な夢であった。
クスコは、ご存知のように古代インカの首都であった。当時の神聖な巨石建造物はスペイン人によって教会に改造されるなど、ずい分破壊されてしまったが、それでも市内のあちこちや周辺では当時の面影をしのばせる巨石建造物がそのまま残されている。空中都市とも呼ばれるマチュピチュ観光の重要な基地でもある。
私は見知らぬ街に来ると、好奇心からつい興奮して歩き回ってしまう。クスコに着いたときも例外ではなく、ホテルにチェックインするや、夕食時間までに2時間ほど時間があったので、すぐに外出。2時間たっぷり歩き回り、クスコの街の雰囲気を味わった。
しかし、これが間違いだった。クスコの標高は3400メートル、周囲の山地は4000メートルもある。リマのような平地から3000メートルを超える高原に着いたときは、酸素(空気)が薄いことによって起こる高山病に気をつける必要があったのだ。動き回れば、それだけ酸素を消費、酸素不足になる。
私は最初すごく調子が良かったので、かなり活発に動き回っていたようだ。案の定、ホテルに戻るとすぐに、頭が割れるように痛くなった。水分を大量に補給すればいいと聞いたので、マテ茶をガブガブと飲んだが、一向に状況はよくならない。
食事を済ませ、部屋に戻っても、頭は痛いままだ。これは困った。横になって深呼吸を何度もしてみた。少しはよくなるが、しばらくするとまた、頭の中が響く。とっておきのマントラを唱えると、やはりしばらくよくなるが、ほどなく頭痛が再襲来する。
それでも休まなければならないので、頭痛と闘いながらも、うとうとしていると、やがて半眠半覚醒状態で夢を見た。
夢の中では、赤い色の民族衣装を着た子供たちが突如、現われた。彼らは古代インカ人のようであった。おそらく女の子なのか、おかっぱのような髪型をしている。やがて彼らは、私が休んでいるホテルの部屋の周りをぐるぐると回り始めた。初めは、座敷童子みたいだな、などと面白がっていたが、その赤い服を着たインカの子供たちが走り回れば回るほど、頭が痛くなることに気が付いた。
私の意識というか視点は、部屋の上空から部屋で横になっている自分と部屋の周りを走り回っているインカ人たちを見下ろしている状況だ。もちろん夢の中なので、自由自在に視点を変えることができる。見ようと思えば、インカ人の顔をまじまじと見ることもできた。
さて、困ったのは、この赤いインカ人たちが走ることによって生じる私の頭痛だ。夢であろうと、痛みは容赦しない。だが、悪意があって、そのインカ人たちが走り回っているようには思えない。なにか楽しくてしょうがないから走っているようだ。
どのくらい、その頭痛と闘っただろうか。やがて、インカ人たちの中に青色の民族衣装を身にまとった子供たちがいることに気が付いた。彼らは部屋の周りの廊下の隅に静かに座っている。私の意識がその青いインカ人に向かうと、それまで暴れまわっていた赤いインカ人の子供たちはいずこかへと消え去ってしまった。
おや、と半眠半覚醒状態の夢の中で不思議がっていると、頭が痛くなくなっている。ああ、これで頭痛から解放された、と安心して、夢の中の私は眠りについた。翌朝、起きたときには、昨日の頭痛は跡形もなく、消えていた。
(続く)
不思議な世界番外3
夢2
夢の中では、いろいろと不思議な体験ができるので面白い。とにかく物理的障害があろうとも、見たいなと思うものがすぐ目の前に現われる。このメカニズムを使えば、千里眼にも簡単になれるだろう。
私はUFOを一度も見たことがない。20年以上も前、有志5,6人と夜、富山県の尖山に登ってUFOを呼んでみたことはあるが、日ごろの行いが悪いせいか、途中で雨に降られてしまい、UFOを目撃するどころか、ずぶ濡れになってしまった。
それでも、夢の中では鮮明にUFOを見たことがある。UFOを目撃したと報じられた山の中の村落に、私が取材に行き、村人にそのときの様子を聞いているという夢であった。
場所はどこだか、よくわからない。スイスの山奥のような気もするし、アンデスの山中のようでもある。あるいは日本の山村であったかもしれない。村人たちも外国人が出てきたと思うと、日本人らしき人も出てくる。
ようやく、目撃者を知っているという人にたどり着く。あごひげをはやした初老の男性であった。その男性は、はるか遠くの谷合いにある村を指して、「あそこにいる人達が目撃したのだよ」と教えてくれた。私が指差した方向にある村を見ると、おそらく数キロも離れた村なのに、まるで数十メートル先の村のように拡大されて見える。村の中を歩いている人の顔まではっきり見えるのだから、夢の中とはいえ、この千里眼の能力は非常に便利だ。
次の瞬間にはその村に移動して、村人から目撃談を聞いている。つまりテレポーテーションが夢の中ではできるわけだ。村の人達にUFOの様子などを聞く。すると、夢の中では次のような能力が発揮される。村人の話に合わせて、UFOを目撃した過去へと飛ぶことができるのだ。これはタイムトラベルの能力といえる。
私が過去へと一瞬で飛ぶと、確かに地上から2,30メートルほどの上空にUFOが浮かんでいる。銀色に輝く円盤型のUFOだ。直径は10メートルぐらいあるだろう。もちろん私が見ているのは、過去の影像である。もっとよく見てやろうと意識をUFOに向けた瞬間であった。UFOはピカッとまばゆいばかりに光ったかと思うと、私の夢の中の意識はそこで途絶えてしまった。
夢の続きはなんだったのか。今でもわからないままだ。
(続く)
不思議な世界番外4
目をつぶると見える世界1
目を開けていると見えないが、目を閉じると見える世界がある。別にナゾナゾ遊びをしているわけではない。私には、目をつぶると必ず見えるものがある。目を閉じれば真っ暗になるだけだと言う人もいるかもしれないが、注意深く見れば無数の粒子のようなものが見えるはずだ。
子供のころ、大人にそのことを言っても、信じてもらえなかった。小学校の理科の先生にたずねても、目のゴミだろうと言われるのが関の山だった。友だちに聞くと、見える人と見えない人がいるという。なぜ、このようにはっきりしたものが見えないのか。私は首をかしげるばかりだった。
見たことがない人のために、どのような粒子なのか説明すると、直径1ミリもないような無数の丸い粒子が目をつぶった「視界」一杯に広がっている。粒子と粒子の間は等間隔、私の感覚では一センチ四方に20個以上あるから、数百個、いや数千個以上あるかもしれない。その粒子群はただ、その場に留まっているだけではない。すべての粒子は、海の中の小魚の大群のように、一斉に右に動いたり、左に動いたり、斜め上方に動いたり、下方に動いたり、たえず一糸みだれることなく流れるように動いている。
面白いのは、スピードが変わることだ。スピードが速くなると赤くなり、スピードが落ちると青くなる。少なくとも、そのように見える。クスコで見た夢の中でも、走り回るインカ人は赤く、座っているインカ人が青かったことから、スピードと色には関連がありそうだ。
調べてみると、ドップラー効果により、光を発している物体が私たちの方へ近づいていれば光のスペクトルは青い方へずれ、遠ざかっていれば赤い方へずれるという現象(光のドップラー偏移)が起こるという。粒子が赤くなるということは、私から遠ざかっていることを意味しているのか。逆に粒子が青いときは、近づいているのだろうか。
ところが、よく観察してみると、必ずしもそうでないことがわかる。純粋に早く動くと赤く、遅くなると青になるようだ。このメカニズムについてはよくわからない。
さらに面白いのは、この粒子群が存在するのは、立体的な世界、つまり三次元世界ではなく、平面の世界(二次元世界)に存在するということだ。粒子群は私から遠ざかることはない。私の「視界」の平面上を行ったり来たりするだけ。このため私は、これらの粒子が目の表層の細胞と関係あるのかとも推測した。あるいは網膜の表面を流れる液体状の粒子であるかもしれないと考えた。
ただ、そのように考えても、まだ説明しきれない部分が多くあることもわかってきた。どういうことかと言うと、その粒子群は目の動きと関係なく、動くということだ。何か規則性があるわけでもなさそうで、右に行ったり左に行ったりする。不思議なことに、右に動けと念じると、すぐ右に動き出し、左に動けと念じると急に左に動き出すこともある。なにか意識と連動する粒子である可能性もある。
結局、現在に至るまで、この現象を明確に説明した人を知らない。これを見る人がどれだけいるのか、いないのか、それすらわかっていない。
(続く)
不思議な世界番外5
目をつぶると見える世界2
私には目をつぶると見える世界はもう一つある。それは意識的に見る夢のようなものである。想像して見る映像とどう違うのか、と問われれば、答えは簡単。夢と同じで次がどうなるかわからないことである。
つまり無意識にゆだねて、その動画を見るわけだ。もちろん意識ははっきりとしており、夢ではない。深くリラックスして(多分アルファ波を出して)、人間の第3の目のある辺りに意識を集中する。いつも成功するわけではないが、しばらくすると映画のような動画が見えてくる。
ストーリー性はほとんどないようだが、細部までが極めてリアルだ。何か乗物に乗っているのか、周りの風景が飛ぶように動く場合もある。見たこともないような風景だ。本当に乗物に乗って旅をしている気分になる。ただし、旅をしているのは視覚だけで、嗅覚や聴覚、触覚はない。
この現象については、二つの解釈ができると思う。一つは、脳に記憶されたかつての影像が喚起されたとの考え。おそらく人間の脳は、それまでに見た画像をストックしておくような保管庫を持っているのだろう。その容量はスーパーコンピュータをもはるかにしのぐもので、ほぼ無限にストックできる。ただ、意識下にその画像情報を置いておくと、収集がつかなくなるので、無意識下のどこかに保存しておく。それが瞑想状態になることにより、どうしたきっかけか、意識下に呼び出される。
もう一つの解釈はユング的だが、瞑想することにより、集合意識の世界にアクセスして映像を見ているのだというもの。他人が見ている映像だろうとなんだろうと、視覚が捉えることができる、宇宙にあるすべての影像にアクセスできる。脳はその受信機であり、あとは、どのような周波数にその受信機を合わせることができるかにより、見る映像が違ってくるわけだ。
私にはどちらの解釈も成り立つように思うが、必ずしも記憶のなかの情報ではないと思えるような影像も見たことがある。いつものように遊び感覚で、意識的に脳の中の影像をスキャンしていると、ある人物がいることに気が付いた。その人は長い髪の女の人で、見たこともないような雰囲気を持っていた(もちろんどこかで遭遇した人である可能性も残っている)。
問題は、私がその女性に気づいたと同時に、向こうも私の存在に気づいたと思われたことだ。最初はその女の人は後ろ向きであった。しかし、私の存在に気づき、明らかにこちらに振り返ろうとしているところだった。横顔が見えた。まだ、目は合っていない。そのとき私は、なぜか「まずい」と感じた。目と目が合うと、私がどこにいるかがその女性にわかってしまう、との焦りに似た感覚があった。その間にも女性は、こちらを向こうとしている。もう目と目が合うと思った瞬間、私は目を開けてその影像をかき消していた。
あのまま目をつむっていれば、確実にその女性と目が合ったであろう。それがどういう結果につながったのか。知りたいようでもあり、知りたくないようでもある。
(続く)
不思議な世界番外6(最終回)
精神が世界をつくる
私は顔を変えたことがある。といっても整形手術をしたわけではない。精神の力で変えたのだ。
まさかと思う方もいるだろうが、実はこれは誰でも無意識のうちにやっていることでもある。苦労やストレスは顔に出るし、穏やかな心は、顔を穏やかにするではないか。ウソばかりつく政治家が醜悪な顔になるのと同様なメカニズムだ。私はそれを意識的にやっただけで、別にたいしたことではない。
それは私がまだ、中学生のときだった。友人に裏切られ、私は極度の人間不信に陥った。すべてを疑いの目で見るため、誰も信じられなくなり、ひたすら孤立していった。
あるとき、ふと鏡の前で、自分の顔をまじまじと見た。何ということか。鏡に映し出された自分の顔は、それまで見たことがないほどいびつになっていた。対称性が失われ、歪んで醜く見えた。
「これはひどい。病んだ精神がこれほどまでに自分の顔を歪めるとは!」――。私はかなりショックを受け、打ちひしがれた。
それからである。私は顔を変えることにした。不思議なことに、私はそれができると確信していた。病んだ精神が顔を変えるのだから、健全な精神をもってすれば、また顔は変わるはずだ、と考えたのだ。猜疑心、不信感、憎悪などの私が持っていたマイナスの感情を、すべての可能性を信じることにより、信頼、愛情、寛容などのプラスの感情にできるだけ変えていった。
今から思うと、一種の自己催眠であったのではないかと思う。悩みはほとんどなくなり、ストレスにも強くなった。ストレスがあっても、自分を客観視(ストレスに悩む自分を観察)して、まさに客観的に楽しむようにした。予想通りに私の顔は、再び元の自分の顔へと戻っていった(そして、自己催眠が効きすぎたのか、今でも童顔のままである)。
人間の苦労は顔に出てしまう。これは誰もが認めるはずだ。しかし、同じストレスがあったとしても、ストレスに苦しみ、その苦労が顔に出てしまう人もいれば、ストレスをプラスに考え、苦労とも思わない人もいる。これが結局、顔を変えることにつながる。ストレスに負ければ、中学時代の私のように顔が歪む。額の皺の刻印は深くなり、実際の年齢よりも老けて見えるようになるだろう。
だが視点や意識を変えることにより、ストレスは、ある程度の緊張をもたらすだろうが、苦労にはならなくなる。同じ年月を経ても、一人は老人のように、もう一人は若々しく見えてしまうのはそのためだ。
すべては人間の意識が決めるものである。あなたの意識が決まれば、肉体や物質はそれに従うのだ。意識(精神)はおそらく、あなたの世界の統治者である。あなたはこれから、どのような世界をつくろうとするのだろうか。
これまで多くの超能力者を紹介した。彼らは不思議な世界を旅するものたちである。しかし、実はあなたこそ、この深遠にして不思議にあふれた世界の主役であり、かけがえのない「神の旅人」でもあるのだ。
(了)
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