テレビ・新聞が報じないお役に立つ話

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2021.04.13
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保険は確率の商品という大前提を理解しよう
  下図は保険の仕組みを表したものだ。契約者から集めた保険料は契約者共通の財産となり、契約で定めた要件に該当した人に、共通の財産から保険金や給付金が支払われる。そして、集めた保険料と支払った保険金・給付金の金額がイコールになるよう設計されている(「収支相当の原則」)のが保険だ。
 ある人にとっては保険料を払うだけで何一つ見返りがなかったとしても、払った保険料以上の給付を受ける人もいる。しかし契約者全体として見れば、保険料収入と保険金・給付金支出はイコールとなる。保険料は、支払い事由に該当する確率を基に、保険会社の経費等を考慮して計算される。
一般社団法人生命保険協会HPより
 このように、保険は確率の商品であることを理解した上で読み進めてほしい。

 では、保険金や給付金を受け取りにくい、いわば確率に「当たりにくい」保険とはどんなものだろうか。
自由に選べるタイプの保険は壮大なギャンブル
 自由に選べるタイプの保険は、どんなリスクにも対応できそうだが、確率の商品であるという基本を忘れてはならない。その確率に当たる、つまり保険金や給付金を受け取るためには、約款で定められた支払い要件に該当しなければならない。死亡保障、○○疾病保障、介護保障、入院保障、就業不能保障など、あらゆる保障を組み合わせるということは、あらゆる条件の賭け事をしているのと同じだ。
 自由に保障を組み合わせて選べるタイプの保険は、各保障パーツの保障期間が10年程度であることがほとんどなので、契約から10年間の賭けということになる。10年間支払い要件に該当しなければ、払い込んだ保険料はすべて消えてしまう。正確に言うなら、要件に該当した誰かの保険金として使われてしまったということである。
「それはイヤだ」と思って、数年に一度現金が戻ってくる健康祝金等の特約を付けると、当然その特約のための保険料がかかる。そして、祝金の給付を待たずに死亡した場合、「生存していること」という祝金の支給要件に該当しないため、結局掛け捨てになる。
 さらに気を付けたいのが、このタイプの保険は保険料が高いということだ。ある保険会社のサイトを見ると、35歳男性でおすすめプランのまま加入すれば2万円近い保険料となることもある。10年後の更新時はさらにアップするので、20年間の保険料総額は軽く500万円越えだ。
保険に入る前にやるべき3つのこと
 このようなプランを勧められたとき、やるべきことは次の3点だ。
(1)    保障の各パーツの支払い要件をご契約のしおりや約款等で確認する
(2)    今後10年間で支払い要件に該当する確率はどれくらいあるのかを考えてみる
(3)    保障の各パーツの10年間の支払総額を計算する
 これらの結果を基に、公的保障や勤務先の福利厚生制度等でどの程度カバーされるかを考慮した上で、受け取れる保険金額と支払総額とのバランスが適切かを、冷静に検討すべきだ。
 どうしても手に入れたい魅力的な保障のパーツがあれば、そのパーツ単体で売ってくれないかと尋ねる。単体が無理だとなれば、そのパーツを手に入れるための、最低限の保障の組み合わせを再設計してもらう。
 再設計プランを基に、(1)~(3)の検討を改めて行い、納得するなら契約をすればよい。納得できないなら、自分が欲しい保障をもっと安く、小口で売ってくれるところはないか、他の保険会社の商品を当たってみる。1つの保険会社の商品に固執して、自分を無理に合わせる必要はない。
 もっといえば、「保険で何もかもカバーするのは無理」と割り切ることも大切だ。保険の支払い要件に合わせて病気になるわけにはいかないし、保険の支払い要件に合わせた治療方法を選ぶわけにもいかない。
 死亡保障が必要なら割安な掛け捨ての定期保険、医療保障が欲しいなら入院と手術を保障するだけのシンプルな医療保険に加入し、何にでも使える積立貯蓄と保険料を組み合わせて将来に備えるのが賢明だ。

 払った保険料が全額戻ってくるという医療保険は、絶対に保険で損をしたくないと考える人にとって魅力的に思える商品だ。しかし、保険料が戻るという一点でお得と判断すると、思わぬ落とし穴が待っている。
 一つ目の落とし穴は割高な保険料が一生続くこと。年齢・性別によって異なるが、同じ保障内容の医療保険より2倍以上の保険料負担になる。保険期間は終身で、所定の年齢に達するとそれまで払った保険料が還付金として戻ってくる。その後、割高な保険料が一生続くことになり、その保険料に戻りはない。
 それでも、なぜこのようなタイプの医療保険に魅力を感じる人が多いのかというと、若いうちはさほど入院することもないから、通常の保険料はムダになる可能性が高いと考えるからだ。
 しかし、そう考えるのであれば、元気な若いうちに老後の医療費に備えて積立貯蓄をしていけばよい。貯蓄であれば、今後、多少なりとも金利が上がれば、その恩恵を受けることができるが、保険料が戻る保険だと恩恵を受けるのは保険会社になってしまう。
 二つ目の落とし穴は、入院給付金等を受け取っていれば、還付金から差し引かれることだ。
 確かに、保険料が全額戻ってくるタイプの医療保険は、加入者が入院や手術を何度も繰り返し、受け取った給付金総額が保険料総額を上回ったとしても、還付金が受けられないだけで、差額を支払う義務はない。何だかお得そうな気がする。
 しかし、同じ保障内容の医療保険が半分の保険料で加入できるなら、そのほうがコスパはよいし、浮いた残りの半分を貯蓄しておけば、給付金と貯蓄の両方が使える。
 保険料総額を超えるくらいの給付金を受け取るような事態を想像してほしい。おそらく仕事にも支障が出て、家計的にも厳しくなるだろう。そんなときに割高な保険料を払い続けるのはきつい。
さらに、三つ目の落とし穴は、還付金から差し引かれるのは受け取った給付金だけではないということ。基本プラン以外に特約を付加すると、その保険料は還付対象外だ。また、先進医療特約が基本プランに組み込まれている商品もあるが、その特約保険料は還付対象外であるということに気付きにくい。
 つまり、自ら特約を付加しなかったとしても、払った保険料総額より還付金が少なくなるケースがあるというわけだ。加入時には、どれが主契約でどれが特約かをチェックし、不要な特約であれば、外すことができないかも確認しておこう。
 ただ、特約保険料が還付対象外ということは、給付金を受け取っても引かれないということだ。たとえ300万円の先進医療給付金を受け取ったとしても、それが差し引かれることはない。少しの保険料で高額の保障が得られる。これこそが保険の醍醐味であって、保険料が戻るとか戻らないというのは本質から外れているように思う。あくまでも考え方の話であって、先進医療の保障を勧めているわけではない。
 四つ目の落とし穴は、途中解約や死亡時にはまったく戻りがないか、あったとしても払った保険料総額より少なくなること。保険料が還付されるのは、あくまでも契約時に定められた年齢になったときに生存し、保険を継続していることが条件であるという点だ。
 受け取るまでの、数十年の間には、山あり谷ありだろう。家計のピンチや貯蓄ができない時期が訪れるかもしれない。そのような想像力を働かせてほしい。
 五つ目の落とし穴は、数十年先には保障内容が陳腐化している可能性があること。
 これは医療保険全般にいえることだが、保障内容がこの先数十年も変わらないのは果たして安心といえるのか。しかも、保険料が全額戻ってくる保険は数十年先になっても、現時点と同じ保障内容で割高な保険料を払い続けなくてはならない。
 保険会社としては、還付金を受け取った時点で、そのときの医療提供体制の変化、たとえば入院はさほどしなくなっている等を考慮し、不要と思えば解約して還付金をそれ以降の医療費準備金に充てることを提案しているようだ。
 数十年先が不確実なら、そして保険料を掛け捨てにしたくないのであれば、やはり積立貯蓄がお勧めである。支払い要件に該当しないと給付は受けられないという保険の弱点を、同じ保険で解決しようとするのは無理がある。
 保険しか売るものがない保険会社と違って、私たち消費者は、1つの保険商品で何もかもを完結しようとしなくてよい。貯蓄や投資だけでなく、信頼できるかかりつけ医を探したり、家族を大事にしたり、質の良い情報を得たりなど、備えの手段はたくさんある。
  どうしても医療保障が欲しいなら、月額2000円程度のシンプルで割安なものに加入しておけばよいのではないだろうか。医療費がかさむ事態になったときでも、経済的負担を感じることなく継続できるくらいの保険料にしておくこともリスク管理の一つだ。
 割安な保険料と積立貯蓄を組み合わせて準備し、ある程度貯蓄が積み上がれば、医療保険は解約するという選択もある。
 また、入院はしないが、通院で医療費がかさむこともある。病気予防のためにコストをかけることもあるだろう。そんなときは医療保険からの給付はなく、手持ちの貯蓄が支えとなる。
内藤眞弓:ファイナンシャルプランナー





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最終更新日  2021.04.13 13:30:04
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