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7日に発表されたスバル(富士重)の次世代プラットフォーム。「スバルグローバルプラットフォーム」とのネーミングだが、その詳細はどうなっているのだろうか。発表会で主に技術関連の発表を担当した大拔哲雄執行役員(スバル技術本部 副本部長)のプレゼンテーションをベースに解説したい。
大拔氏によれば、2025年までの使用と電動化まで見据えた次世代プラットフォームが目指したのは「動的質感の向上」である。動的質感とは、スペックなどの数値に現れる性能だけではなく、スムースさや気持ちよさに現れるものだという。ステアリングやペダルの操作感、それに対する応答、クルマの動き、音などの違いで運転を楽に感じる部分だ。これは、数値化、可視化するのは難しく、例えば、ある操作に対する1/10秒の動きの違いだったりする。
スバルでは、従来からあるシミュレーションモデルによる設計に加え、1/1000秒単位で各部の動きを計測するセンサー、200点ものひずみ計測を実路、または専用開発したテストベンチでの測定・評価によって、動的質感を定量化・可視化しているという。体感する指標としては「まっすぐ走れる」「騒音・振動の抑制」「快適な乗り心地」を掲げた。目指すのは、「現行車両と同じ価格帯で欧州車のような動的質感を実現する」(大拔氏)こと。そして、これを実現するために、シャシー剛性の向上、さらなる低重心化、足回りの進化を進め、次世代プラットフォームでは、現行車両にくらべて70~100%の剛性アップを実現したという。
例えば、フロント部への横曲げ剛性は90%、フロントサスペンション剛性は70%、車体ねじり剛性は70%、リヤサブフレーム剛性は100%、それぞれアップさせているという。シャシー剛性が高まることで、曲がるとき、レーンチェンジでも車体がゆがむことが少なく、楽に曲がることができ、思ったとおりのラインをトレースすることができる。また、サスペンションとシャシーの共振周波数が重なる部分がなくなり、余分な振動を抑えることができる。
構造上のポイントもいくつかある。全体はスポット溶接に加え、構造接着剤も利用して剛性アップにつなげている。フロントのサイドメンバーからフロア、リアサブフレームまでを貫く2本のフレーム構造は、途中途切れることがなくつながった。現行車では、燃料タンク部分で直角に曲がり、フレーム通しが分断されているような状態だ。Aピラーからフロントのサイドインナーパネルにかけては大幅な補強が行われている。これは、『レヴォーグ』のシャシーでも採用された方式だが、次世代プラットフォームでは、さらに結合部分が強化されている。この部分のインナーパネルの補強は、競技車両では行われることはあるが、市販車では珍しい。
足回りでは、キングピンのマスオフセット(ホイールの中心位置とサスペンションストラットの軸のズレ)を現行車両に比べて15%小さくしている。あわせて、アッパーマウントとその周辺のタイヤハウスの形状と補強によって、サスペンション取り付け部の剛性も向上させている。これらによって、路面の入力に対して、サスペンションが設計どおりの動きをしてくれるという。サスペンションの動きを考えてジオメトリを設計しても、実路でボディや取り付け部がゆがんでしまっては、性能どおりの動きをしてくれない。
リアスタビライザーは、車体のロール方向の揺れに対して、サスペンションの左右をリンクさせ、揺れを抑えたり、左右のタイヤの接地圧を制御するための部品だ。通常、サスペンションのリンク部分をつなぐだけか、サスペンション本体(ストラットやメンバー)に固定するが、次世代プラットフォームのリア部では、シャシーに固定することでその効果をアップさせている。
操縦安定性や応答性の向上には、重心の低さがひとつのポイントとなる。水平対向エンジンは低重心化に大きく貢献するものだが、次世代プラットフォームでは、現行車両よりさらに5mmダウンするそうだ。パワーユニットやリアデフなども10mm低くなる。加えて、フロントの座席も10mm、ペダルを置くヒール部も20mm、それぞれ下がる。あまり下がるとロードクリアランスが若干不安になるが、座席等のローダウン化は、視界の確保(ルーフが同じ高さなら)にもよい影響を与えそうだ。
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