2006/07/09
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 それは、チビタの保育園のお迎えにちょっと早くついた車中の中での十分くらいでもあるし、夕食を作っている最中、チビタがテレビに夢中になっているのを確認しながら、煮込んでいる肉じゃがの鍋の前の二十分だったりする。

 このような状況下だから、持つ本は手軽な文庫本に限られ、なおかつ読み物は短編のみである。忙しくしていても読んだ読了感を満喫するためには、この二点は重要である。

 夏の蒸し暑さをかき消すような、さらさらとした文章が読みたかった。なおかつ深い森の中にあるようなものがいい。

 そう思って、キッチンの棚に並んでいた泉鏡花の「高野聖」を再読した。


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 主人公が 旅の途中で あるお坊さんと懇意になる。そのお坊さんに連れ立って一緒にお世話になった宿で布団を並べた深夜、ある話をきく。

 話とは、その坊さんが遭遇した不思議な妖女の話である。

 修行中、ある山を越えようとして立ち寄った茶屋で、坊さんに嫌味をいった嫌な薬売りがいた。

 その薬売りは、お坊さんを追い越して十人に一人も帰らない道のほうへと脚を踏み入れてしまう。

 呼んでひき帰させようと、お坊さんは後を追う。

 しかし、その薬売りを見つけられぬまま、お坊さんはある孤屋へたどり着く。

 美しい女と下男、女の主人らしい白痴の太った男がそこにいる。

 美しい女は、泊まる前に体を洗った方が良い、と滝のほうへお坊さんを案内する。下男は、一頭の馬の前で、お坊さんに含み笑いを向けている。

 滝までたどり着く道中に、数匹の獣が美しい女にしがみつく。女はあしらい、お坊さんを滝へと導く。

 滝で体を濡らすと、美しい女が添うてお坊さんの体を洗う。お坊さんは美しい女に心を奪われそうになるがなんとか堪えるのである。

 美しい女とお坊さんが滝から戻ってくると、下男はびっくりしている。そうして、意味深い事をいいながら、先ほどの馬を引いて、街へその馬を売りに行ってしまう。

 夕食を終え、お坊さんは母屋で床を頂き、夫婦は離れへ下がる。

 夜中になにやら不思議な重たい気配が母屋を覆うが、お坊さんは念仏を唱えて事なきを得る。

 次の日、礼を言って孤屋をあとにするが、お坊さんの心は歩きながら迷う。

 もう修行をやめて、あの美しい女のところに戻り、白痴の主人の世話をする女の助けをして暮らそうと決心を固めだした時、昨夜出かけた下男に逢う。

 下男は、馬を売ったお金で買ったであろう大きな鯉を持っている。そうして、あの美しい女の正体をお坊さんに話す。

 美しい女には、いつのまにやら妖力がついて、いい寄る男を獣や動物に変える事ができるのだ、あの馬はお坊さんの少し前に孤屋にきた薬売りだと。

 あなたは、その信心深さからそういう目にあわずに出来たはじめての男だから、早くこの場所から立ち去って、里に下りるように、と。

 実は、美しい女に案内されて滝まで行くうちに、女にしがみついてきた獣たちは、女に姿を変えられた旅人たちだった。


 そんな夜話をそのお坊さんから聞いた主人公は次の日、別れがたい心情を胸に、別の道へと向かうお坊さんを見送る。



    ********



 泉鏡花の文章は、何時読んでもまるで音楽のようなリズムが胸を打つ。

・・・うわ。一番書きたいところで、チビタが遅いお昼寝から起きてしまいました。泣いております。苦笑。続きはのちほど。



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 (4時間後)

 泉鏡花の短編を読むと、私は「水琴窟」のあの神秘的な音色を思う。上薬りを塗った瓶に落つる雫の音は、無重力に漂うようである。その雫のリズムに耳を立てているうちに、体ごとその物語の中に吸い込まれる。

 文壇の中でも(本人の思惑はわからないが)まるで重力を感じない存在のようだ、と当時の泉鏡花を感じている私の心がそうさせるのかもしれない。


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 書きたい事がたくさんあったのだが、なんだか骨を折られたようになってしまい、全てが失せてしまった。苦笑。

 いつぞやにふと思い出したら、こっそりと書き足していこうと思い、今日は終わりにしておこう。


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 風呂上りのチビタが横で「あそぼう、あそぼうーよ。」と袖を引っ張っている。主人は風呂上りの濡れた髪のまま、NHKの「功名が辻」をみながら、好物のチップスターを頬張っている。

 久しぶりの家族団らんの日曜日である。
 さて、すいかでも切ろうか。



 それでは皆さん、
 次のブログ更新まで
 どうかお元気で!




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Last updated  2006/07/10 01:51:59 PM
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