2006/07/16
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 夜はオンブ紐なしで寝れるようになったチビタだが、お昼寝だけはオンブでないと駄目だ。

 おぶると三分もしないうちに急に重くなってぐっすりと寝てしまうのに、一緒に添い寝すると一時間たってもゴロゴロするばかりでいっこうに寝ないので、私のほうが根負けしておぶってしまうのである。

 毎日の、こなさなければいけない雑用が多すぎて、母は「時間」に負けてしまうのである。

 そんな中でチビタをおぶりながら昼過ぎに読んだのが太宰治の「津軽通信」だった。疎開先の故郷津軽で書かれた短編が連なるこの文庫本は、私が一番好きな太宰氏の本である。

 この「燈」は、早くして亡くなった父に代わり、親代わりを務める兄への複雑な心境を当時の皇太子誕生の出来事にからめて書いている。

 太宰氏は戦争の影響の中を通り過ぎた作家なのだか、まったくそれを感じない作品が多い。しかし、私はこの作品にそれを多く感じる。

 大学まで進んだ太宰氏が卒業近くになって、その怠惰が兄の知るところとなり、兄は彼を呼びつけ激怒する。

 それと平行して皇太子誕生に巷は誰も彼もが嬉しそうに笑い、にぎやかになっている。

 兄はタクシーを呼ぶように宿屋に命じ、全ての国民がこのお祝いに沸く中、太宰氏を連れてそれを見に行き、その中にまぎれて同じく喜び、涙を流す。

 兄の癇癪が納まったのを内心喜びながら、兄を冷静にみる太宰氏の描写は、さすがの短編である。

 昭和に入ってから短編を書くことに長けた作家は井伏鱒二だけだ、と言っていた彼が、是非とも短編を書いてやろう、と言っていた心意気がうなずける作品だ、と私は思う。

 私は彼が好きである。彼の一途にして、それゆえに滑稽すぎるほどのけなげな文脈もさることながら、その文間から漂う彼のまなざしの優しさが好きである。

津軽通信改版

  ↑楽天では津軽通信改版しかなかった。

   苦笑。







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Last updated  2006/07/17 01:03:05 PM
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